JP2524181B2 - 可変容量タ―ボチャ―ジャの制御方法 - Google Patents

可変容量タ―ボチャ―ジャの制御方法

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JP2524181B2 JP62334197A JP33419787A JP2524181B2 JP 2524181 B2 JP2524181 B2 JP 2524181B2 JP 62334197 A JP62334197 A JP 62334197A JP 33419787 A JP33419787 A JP 33419787A JP 2524181 B2 JP2524181 B2 JP 2524181B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、過給圧を変化させるべく可変容量ターボチ
ャージャに設けられた可変容量部に、ダイヤフラムの両
側にそれぞれ設けられる第1および第2圧力室に過給圧
とスロットル弁の下流側の吸気圧とを導入可能にしたア
クチュエータを連結し、第1圧力室への過給圧の供給量
を機関の運転状態に応じて制御するとともに、第2圧力
室への吸気圧の導入、遮断を機関の運転状態に応じて制
御するようにした可変容量ターボチャージャの制御方法
に関する。
(2) 従来の技術 従来、かかる制御方法は、たとえば特開昭62−13730
号公報等により公知である。
(3) 発明が解決しようとする問題点 上記従来のものは、ターボチャージャの出口圧である
過給圧と、ターボチャージャよりも下流側に在るスロッ
トル弁よりも下流側の吸気圧とをアクチュエータの第1
および第2圧力室にそれぞれ供給し、機関の運転状態に
より適合した過給圧制御を行なうようにしているが、機
関が部分負荷状態にあるときの緩加速時に、可変容量部
が過給圧を上昇させる状態となることがあり、その場合
には背圧の上昇によりポンピングロスが増加するので好
ましくない。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、
機関の運転状態に応じた必要充分な出力を得るように過
給圧を制御するとともに、機関の部分負荷時の緩加速時
に過給圧を低下させてポンピングロスを低下させるよう
にした可変容量ターボチャージャの制御方法を提供する
ことを目的とする。
B.発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 本発明方法によれば、機関の運転状態に応じて設定さ
れる基本過給圧制御量に基づいて第1圧力室への過給圧
供給量を少なくともフィードバック制御するとともに、
第2圧力室への吸気圧の導入・遮断を第1圧力室への過
給圧供給制御とは独立して制御し、車両が所定の走行状
態に在り、しかも機関のスロットル開度が所定開度以下
であってそのスロットル開度変化率が予め設定した設定
値未満の正の値であるときに、第2圧力室に吸気圧を導
入して可変容量部を過給圧が低下する方向に強制的に作
動せしめるようにした。
(2) 作用 上記方法によると、第1圧力室への過給圧供給量を機
関の運転状態に応じた基本過給圧制御量に基づいて少な
くともフィードバック制御することにより、ターボチャ
ージャを含めた機関全体において運転状態に応じた充分
な出力を得ることが可能となり、またスロットル弁の動
きに非常に敏感な吸気圧の第2圧力室への導入・遮断を
第1圧力室とは独立に制御することにより、ターボチャ
ージャを含む吸気系全体の作動を運転状態により適合さ
せて制御することができ、しかも車両が所定の走行状態
に在り、かつ機関のスロットル開度が所定開度以下であ
ってそのスロットル開度変化率が予め設定した設定値未
満の正の値であることをもって緩加速状態であることを
検知し、過給圧を低下する方向に可変容量部を強制的に
作動せしめてポンピングロスを低下することができる。
(3) 実施例 以下、図面により本発明の一実施例について説明する
と、多気筒内燃機関の機関本体Eにおける各気筒の吸気
ポートには吸気マニホールド1が接続され、この吸気マ
ニホールド1はさらに吸気管2、スロットルボデイ3、
インタクータ4および可変容量ターボチャージャ5を介
してエアクリーナ6に接続される。また各気筒の排気ポ
ートには排気マニホールド7が接続され、この排気マニ
ホールド7は可変容量ターボチャージャ5を中間部に介
設した排気管8を介して、三元触媒を内蔵した触媒コン
バータ9に接続される。また各気筒の吸気ポートに向け
て燃料をそれぞれ噴射するための燃料噴射弁10が吸気マ
ニホールド1の各吸気ポートに近接した部分に取付けら
れる。
可変容量ターボチャージャ5には水ジャケット11が設
けられており、この水ジャケット11の入口とインタクー
ラ4の入口とは、吸入口をラジエータ12に接続した水ポ
ンプ13の吐出口に並列に接続され、水ポンプ13およびイ
ンタクーラ4の出口はラジエータ12に接続される。しか
もラジエータ12は、機関本体Eにおける冷却水用のラジ
エータとは別に設けられるものである。
次に第2図、第3図および第4図を参照しながら可変
容量ターボチャージャ5の構成について説明すると、こ
のターボチャージャ5は、コンプレッサケーシング14
と、該コンプレッサケーシング14の背面を閉塞する背板
15と、主軸16を支承する軸受ケーシング17と、タービン
ケーシング18とを備える。
コンプレッサケーシング14および背板15間にはスクロ
ール通路19が画成され、コンプレッサケーシング14の中
央部には軸方向に延びる入口通路20が形成される。しか
もスクロール通路19の中央部であって入口通路20の内端
に位置する部分における主軸16の一端部にはコンプレッ
サホイル21が取付けられる。
コンプレッサケーシング14と背板15とは複数のボルト
22により締着されており、この背板15の中央部に軸受ケ
ーシング17が接続される。軸受ケーシング17には、相互
に間隔をあけて一対の軸受孔23,24が同軸に穿設されて
おり、これらの軸受孔23,24に挿通される主軸16と軸受
孔23,24との間にはラジアル軸受メタル25,26がそれぞれ
介装され、これにより主軸16が回転自在にして軸受ケー
シング17に支承される。また主軸16のコンプレッサホイ
ル21側に臨む段部16aと、コンプレッサホイル21との間
には、段部16a側から順にカラー27、スラスト軸受メタ
ル28およびブッシング29が介装されており、コンプレッ
サホイル21の外端に当接するナット30を主軸16の一端部
に螺合して締付けることにより、主軸16のスラスト方向
支持およびコンプレッサホイル21の主軸16への取付けが
行なわれる。
軸受ケーシング17の上部には、図示しない潤滑油ポン
プに接続される潤滑油導入孔32が設けられ、軸受ケーシ
ング17内にはラジアル軸受メタル25,26およびスラスト
軸受メタル28に潤滑油導入孔32から供給される潤滑油を
導くための潤滑油通路33が穿設される。また軸受ケーシ
ング17の下部には各潤滑部から流出する潤滑油を下方に
排出するための潤滑油排出口34が設けられており、この
潤滑油排出口34から排出される潤滑油は図示しないオイ
ルサンプに回収される。
ブッシング29は、背板15の中央部に穿設された透孔35
を貫通して配置されており、スラスト軸受メタル28から
流出する潤滑油がコンプレッサホイル21側に流れること
を防止するためにブッシング29の外面および透孔35の内
面間にはシールリング36が介装される。また背板15とス
ラスト軸受メタル28との間にはブッシング29を貫通させ
るガイド板37が挟持される。したがってスラスト軸受メ
タル28から流出した潤滑油はブッシング29から半径方向
外方に飛散してガイド板37で受止められる。しかもガイ
ド板37の下部は受止めた潤滑油を潤滑油排出口34に円滑
に案内すべく彎曲成形される。
軸受ケーシング17には、主軸16の周囲に水ジャケット
11が設けられるとともに、該水ジャケット11に水ポンプ
13(第1図参照)からの水を導くための水供給口38なら
びに水ジャケット11からの水をラジエータ12(第1図参
照)に導くための水排出口39が穿設される。しかも水ジ
ャケット11は、タービンケーシング18寄りの部分では主
軸16を囲む円環状に形成されるとともに潤滑油排出口34
の上方に対応する部分では主軸16の上方で下方に開いた
略U字状の横断面形状を有するように形成され、水供給
口38は水ジャケット11の下部に連通すべく軸受ケーシン
グ17に穿設され、水排出口39は水ジャケット11の上部に
連通すべく軸受ケーシング17に穿設される。
タービンケーシング18内には、スクロール通路41と、
該スクロール通路41に連通して接線方向に延びる入口通
路42と、スクロール通路41に連通して軸線方向に延びる
出口通路43とが設けられる。
軸受ケーシング17とタービンケーシング18とは、それ
らの間に背板44を挟持するようにして相互に結合され
る。すなわちタービンケーシング18には複数のスタッド
ボルト45が螺着されており、軸受ケーシング17に係合す
るリング部材46をスタッドボルト45に螺合するナット47
によって締付けることにより軸受ケーシング17とタービ
ンケーシング18とが相互に結合され、背板44の外周部に
設けられるフランジ部44aが軸受ケーシング17およびタ
ービンケーシング18間に挟持される。
背板44には固定ベーン部材48が固着されており、この
固定ベーン部材48によりスクロール通路41内が外周路41
aと流入路41bとに区画される。該固定ベーン部材48は、
出口通路43に同軸に嵌合する円筒部48aと、該円筒部48a
の中間部外面から半径方向外方に張出す円板部48bと、
該円板部48bの外周端から背板44側に向けて延びる複数
たとえば4つの固定ベーン49とから成り、主軸16の他端
部に設けられるタービンホイル50が該固定ベーン部材48
内に収納される。前記円筒部48aは、その外面に嵌着さ
れたシールリング51を介して出口通路43に嵌合され、固
定ベーン49がボルト52により背板44に結合される。
固定ベーン49は、周方向に等間隔をあけた位置でター
ビン部材48の外周部に設けられるものであり、各固定ベ
ーン49はそれぞれ円弧状に形成される。また各固定ベー
ン49間には、主軸16の軸線と平行にして背板44に回動自
在に枢着された回動軸53に一端を固着された可変容量部
としての可動ベーン54がそれぞれ配置され、これらの可
動ベーン54により各固定ベーン49間の空隙の流通面積が
調整される。
各可動ベーン54は、固定ベーン49と同等の曲率の円弧
状に形成されており、第3図の実線で示す全閉位置と、
鎖線で示す全開位置との間で回動可能である。しかも各
回動軸53は、背板44および軸受ケーシング17間に配置さ
れるリンク機構55を介してアクチュエータ60に連結され
ており、そのアクチュエータ60の作動により各可動ベー
ン54が同期して開閉駆動される。
背板44および軸受ケーシング17間には、タービンホイ
ル50の背部に延びるシールド板56が挟持されており、こ
のシールド板56により流入路41bを流れる排ガスの熱が
軸受ケーシング17の内部に直接伝達されることが極力防
止される。また排ガスが軸受ケーシング17内に漏洩する
ことを防止するために、タービンケーシング18内に主軸
16を突出させるべく軸受ケーシング17に設けられた透孔
57に対応する部分で、主軸16にはラビリンス溝として機
能する複数の環状溝58が設けられる。
かかる可変容量ターボチャージャ5では、機関本体E
から排出される排ガスが、入口通路42から外周路41aに
流入し、可動ベーン54の回動量に応じた可動ベーン54お
よび固定ベーン49間の空隙の流通面積に応じた流速で排
ガスが流入路41b内に流入し、タービンホイル50を回転
駆動して出口通路43から排出される。この際、各可動ベ
ーン54および固定ベーン49間の空隙の流通面積が小さく
なるとタービンホイル50すなわち主軸16の回転速度が速
くなり、各可動ベーン54および固定ベーン49間の空隙の
流通面積が大きくなるとタービンホイル50すなわち主軸
16の回転速度が遅くなる。このタービンホイル50の回転
に応じてコンプレッサホイル21が回転し、エアクリーナ
6から入口通路20に導かれた空気が、コンプレッサホイ
ル21により圧縮されながらスクロール通路19を経てイン
タクーラ4に向けて供給されることになる。したがって
可動ベーン54をタービンケーシング18の半径方向最外方
に位置させて固定ベーン49との間の空隙流通面積を最小
としたときに過給圧が最大となり、可動ベーン54をター
ビンケーシング18の半径方向最内方に位置させて固定ベ
ーン49との間の空隙流通面積を最大としたときに過給圧
が最小となる。
この可変容量ターボチャージャ5における空気圧縮時
の温度上昇による軸受ケーシング17の温度上昇が水ジャ
ケット11への冷却水の供給により極力防止され、また吸
気温の上昇がインタクーラ4への冷却水の供給により防
止される。
再び第1図において、可変容量ターボチャージャ5の
可動ベーン54を駆動するためのアクチュエータ60は、ハ
ウジング61と、該ハウジング61内を第1圧力室62および
第2圧力室63に区画するダイヤフラム64と、第1圧力室
62を収縮する方向にダイヤフラム64を付勢すべくハウジ
ング61およびダイヤフラム64間に介装される戻しばね65
と、ダイヤフラム64の中央部に一端を連結されるととも
に第2圧力室63側でハウジング61を気密にかつ移動自在
に貫通してリンク機構55に他端が連結される駆動ロッド
66とを備える。しかも駆動ロッド66とリンク機構55と
は、ダイヤフラム64が第2圧力室63を収縮する方向に撓
んで駆動ロッド66が伸長作動したときに、各可動ベーン
54がタービンケーシング18の半径方向内方に回動して各
固定ベーン49との間の空隙流通面積を増大するように連
結される。
第1圧力室62には、可変容量ターボチャージャ5およ
びインタクーラ4間の吸気路が過給圧P2を供給すべくレ
ギュレータ67、絞り68および電磁制御弁69を介して接続
されるとともに、エアクリーナ6および可変容量ターボ
チャージャ5間の吸気路が絞り75を介して接続される。
この電磁制御弁69はデューテイ制御されるものであり、
そのソレノイド70のデューティ比が大となるのに応じて
第1圧力室62の圧力が増大、すなわち駆動ロッド66およ
びリンク機構55を介して可変ターボチャージャ5の可動
ベーン54が内方側に回動駆動される。また第2圧力室63
には、スロットルボデイ3よりも下流側の吸気路が吸気
圧PBを供給すべく逆止弁71および電磁開閉弁72を介して
接続される。この電磁開閉弁72は、そのソレノイド73の
励磁に応じて開弁するものであり、該電磁開閉弁72の開
弁に応じて第2圧力室63に吸気圧PBが供給されると、ア
クチュエータ60は可変容量ターボチャージャ5の可動ベ
ーン54を内方側に駆動する。
電磁制御弁69のソレノイド70および電磁開閉弁72のソ
レノイド73の励磁および消磁は制御手段Cにより制御さ
れるものであり、該制御手段Cには、機関本体E内に設
けられた水ジャケット(図示せず)の水温Twを検出する
水温検出器Swと、インタクーラ4よりも下流側の吸気温
度TAを検出する吸気温センサSAと、エアクリーナ6およ
び可変容量ターボチャージャ5間の吸気圧PAを検出する
吸気圧センサSPAと、可変容量ターボチャージャ5およ
びインタクーラ4間の吸気路の過給圧P2を検出する過給
圧センサSP2と、スロットルボデイ3よりも下流側の吸
気圧PBを検出する吸気圧センサSPBと、機関回転数NE
検出する回転数検出器SNと、スロットルボディ3におけ
るスロットル弁74の開度θTHを検出するスロットル開度
検出器STHと、車速Vを検出する車速検出器SVと、自動
変速機におけるシフト位置を検出するためのシフト位置
検出器SSとが接続される。而して制御手段Cは、それら
の入力信号すなわち水温Tw、吸気温度TA、吸気圧PA、過
給圧P2、吸気圧PB、機関回転数NE、スロットル開度
θTH、車速Vおよび自動変速機のシフト位置信号に基づ
いて前記ソレノイド70,73の励磁および消磁を制御す
る。
次に制御手段Cにおける制御手順を説明するが、先ず
電磁制御弁69におけるソレノイド70のデューティ制御に
ついて第5図のメインルーチンを参照しながら説明す
る。ただしこのメインルーチンでソレノイド70の励磁お
よび消磁を制御するためのデューティDOUTは、その値が
大きくなるにつれてソレノイド70のデューティ比が小さ
くなるものであり、DOUT=0はデューティ比100%に対
応し、DOUT=100はデューティ比0%に対応する。
第1ステップS1では始動モードであるか否か、すなわ
ち機関がクランキング中であるか否かが判定され、始動
モードであるときには、第2ステップS2でデューティD
OUTが0、すなわち電磁制御弁69を全開にして可動ベー
ン54と固定ベーン49との間の空隙流通面積が最大となる
ように設定される。これはクランキング中には機関が不
安定な状態にあり、かかる不安定状態で燃焼室に過給圧
を導入することは不安定を助長するものであるので、可
動ベーン54と固定ベーン49との間の空隙流通面積を最大
にして過給圧が燃焼室に導入されることを回避するため
である。またクランキング中は運転者も給気の過給を要
求することはなく、可動ベーン54と固定ベーン49との間
の空隙流通面積を小さくする必要はない。次の第3ステ
ップS3ではフィードバック制御開始を遅延させるための
タイマtFBDLYがリセットされ、その後、第4ステップS4
からデューティDOUTが出力される。
前記タイマtFBDLYは第6図で示す手順に従って演算さ
れるものであり、過給圧P2の変化率ΔP2によって3つの
タイマtFBDLY1,tFBDLY2,tFBDLY3のうちの1つが選択さ
れる。ここで前記変化率ΔP2は、今回の過給圧P2nと、
6回前の過給圧P2n-6との差(ΔP2=P2n−P2n-6)で求
められる。すなわち第5図に示すメインルーチンはTDC
信号により更新されるが、TDC信号1回だけでは過給圧P
2の変化率が小さ過ぎるので、過給圧挙動すなわち前記
変化率ΔP2を正確に読込むために6回前の過給圧P2n-6
との差を求めるようにしたものである。また設定低変化
率ΔP2PTLおよび設定高変化率ΔP2PTHは機関回転数NE
応じて予め定められているものであり、ΔP2≦ΔP2PTL
のときにはtFBDLY1が設定され、ΔP2PTL<ΔP2≦ΔP
2PTHのときにはtFBDLY2が設定され、ΔP2PTH<ΔP2のと
きにはtFBDLY3が設定される。しかもtFBDLY1<tFBDLY2
<tFBDLY3であり、過給圧変化率ΔP2が小さいときすな
わち過給圧P2が緩やかに変化しているときには遅延時間
が小さく設定され、過給圧変化率ΔP2が大きいときすな
わち過給圧P2が急激に変化しているときには遅延時間が
大きく設定される。これによりオープンループ制御から
フィードバック制御への移行時に過不足のない時間t
FBDLYが設定され、その移行時にハンチング現象が生じ
ることを充分に回避することが可能となる。
第1ステップS1で始動モードではないと判断されたと
きには、第5ステップS5で水温Twが設定低水温TwL未満
であるかどうかが判断され、設定水温TwL未満であると
きには第2ステップS2に進む。ここでTw<TwLが成立す
る場合として考えられる機関の運転状態は、たとえば機
関の始動初期あるいは外気温が極低温状態であるとき等
であり、機関の始動初期にはその運転状態が不安定な状
態が続き、また外気温が極低温であるときには吸気密度
が上がるので充填効率が上昇して異常燃焼の原因とな
る。このようなときに、過給圧を燃焼室に導入すること
は機関の不安定状態や異常燃焼を助長することになる。
また極低温時には電磁制御弁69自体の作動不良も考えら
れ、制御手段Cによる指示通りに電磁制御弁69が挙動し
ないおそれがある。そこで、Tw<TwLであるときには、
第2ステップS2に進んでDOUT=0とするものである。
第5ステップS5で、Tw≧TwL以上であると判断された
ときには第6ステップS6に進む。この第6ステップS6で
は水温Twが設定高水温TwHを超えるかどうかが判断さ
れ、設定高水温TwHを超えるときには第2ステップS2に
進む。ここでTw>TwHが成立する場合として考えられる
のは、たとえば機関が高負荷運転を続行している場合、
外気温が極高温の場合および機関本体Eの冷却水系に異
常が発生している場合等である。これら全ての状態では
吸気密度が低下すなわち充填効率が下降し、これが未燃
焼等の異常燃焼の原因となる。このように機関が不安定
で状態にあるときに過給圧を燃焼室に導入することは前
記不安定状態を助長することになるので、第2ステップ
S2でデューティDOUT=0とするものである。また極高温
時にはソレノイド70のインダクタンス特性が変化し易
く、通常状態での設定挙動と異なる挙動をするおそれが
あり、そのようなことを回避する点からも第2ステップ
S2に進ませるものである。第6ステップS6でTw≦TwH
あると判断されたときには第7ステップS7に進む。すな
わち水温Twが設定低水温TwL以上であって設定高水温TwH
以下の範囲にあるときに第7ステップS7に進み、それ以
外のときには第2ステップS2に進む。
第7ステップS7では、過給圧P2が第7図で示すように
予め設定されている高過給圧判定ガード値P2HGを超える
かどうかが判定され、P2>P2HGであるときには第2ステ
ップS2に進み、P2≦P2HGであるときには第8ステップS8
に進む。ここで高過給圧判定ガード値P2HGは、機関回転
数NEに応じて変化するものであり、機関回転数NEに対応
したノック限界値以下で最高出力が得られるように設定
されたものである。その限界低回転数域では低速変速段
で伝動部材にかかるトルクが正、限界高回転域では機関
本体Eの耐久性が正となり、それぞれ中回転数域より低
いP2HGが設定されている。この高過給圧判定ガード値P
2HGを超える過給圧P2が検出されたときには、第2およ
び第3ステップS2,S3を経た第4ステップS4でデューテ
ィ比を100%として過給圧P2の低下が図られるととも
に、燃料噴射がカットされる。
第8ステップS8では基本過給圧制御量としての基本デ
ューティ比DMが検索される。この基本デューティDMは、
機関回転数NEとスロットル開度θTHとに応じて予め設定
されており、その設定テーブルから基本デューティDM
検索される。このように基本過給圧制御量としての基本
デューティDMを機関回転数NEとスロットル開度θTHとで
定まるマップにより検索することで、機関の各運転状態
を的確に判断することができる。これは機関回転数NE
独あるいはスロットル開度θTH単独では減速時や過渡運
転状態を的確には判断し得ないためである。なおスロッ
トル開度θTHを機関の負荷状態を示すパラメータの代表
として採用しているが、吸気圧PBや燃料噴射量に代替し
ても同等の効果が得られるものである。
次の第9ステップS9では、自動変速機のシフト位置が
第1速位置にあるかどうかが判定され、第1速位置にあ
るときには第10ステップS10に進み、第1速位置以外の
シフト位置にあるときには第11ステップS11に進む。
第10ステップS10では、第8図で示すサブルーチンに
従って基本デューティDMの減算が行なわれる。すなわち
機関回転数NEおよび吸気圧PBで定まる運転状態に応じて
減量が必要である判別ゾーンが第9図の斜線で示すよう
に予め設定されており、この判別ゾーン内にあるか、判
別ゾーン外にあるかに応じて基本デューティDMの減算を
行なうかどうかが判定される。ところで、変速機に機関
から作用するトルクは機関負荷と比例関係にあり、また
前記トルクは機関回転数NEにより変化するものであり、
第9図は、機関回転数NEと機関負荷を代表するパラメー
タである吸気圧PBとにより、トルクすなわち吸気圧PB
変化を見るものである。しかも変速機に機関から作用す
るトルクが最大となるのは変速機が第1速位置に在る場
合であり、第9図における判別ゾーンの境界線は、第1
速位置でのギヤ軸の許容トルク量を示すものである。す
なわち第1速位置でギヤ軸にかかる力が過負荷にならな
いように、第9図で示すように各運転域での判別を機関
回転数NEおよび吸気圧PBで的確に判断している。判別ゾ
ーン外にあるときには基本デューティDMをそのままにし
て第12ステップS12に進むが、判別ゾーン内にあるとき
には、フラグFが0であるかどうかすなわちフィードバ
ック制御状態にあるかどうかが判断された後、オープン
ループ制御状態にあるときにはDM=DM−DFなる減算が行
なわれ、フィードバック制御状態にあるときにはP2REF
=P2REF−ΔP2REFFなる減算が行なわれる。ここで、DF
は予め設定された減算値である。またP2REFはフィード
バック制御状態であるときに用いる目標過給圧、ΔP
2EFFは予め設定された減算値であるが、後述のフィード
バック制御の個所で詳述する。
第11ステップS11では、第10図で示すサブルーチンに
従って基本デューティDMの減算が行なわれる。すなわち
スットル開度θTHが設定スロットル開度θTHOSを超え、
機関回転数NEが設定回転数NEOSを超え、吸気圧PBが設定
吸気圧PBOSを超え、前回の機関回転数NEの変化率ΔNE
正、今回の機関回転数NEの変化率ΔNEが負であるときに
は、オープン制御状態にあるときにDM=DM−DOSなる減
算が行なわれ、フィードバック制御状態にあるときにP
2REF=P2REF−ΔP2REFOSなる減算が行なわれ、それ以外
のときには基本デューティDMをそのままにして第12ステ
ップS12に進む。ここでDOS,ΔP2REFOSは予め設定された
減算値である。
第12ステップTS12では、スロットル開度θTHが予め設
定されているスロットル開度θTHFBを超えるかどうかが
判定される。この設定スロットル開度θTHFBはオープン
ループ制御からフィードバック制御に移行させるかどう
かを判断するために設定されたものである。このように
判断パラメータとしてスロットル開度θTHを採用するこ
とで、運転者が加速すなわち過給ゾーンを要求している
かどうかを的確に判別することができる。θTH≦θTHFB
であるときすなわちオープンループ制御を継続するとき
には、第13ステップS13で、第6図で示した遅延タイマt
FBDLYをリセットし、さらに第14ステップS14に進む。
第14ステップS14では、デューティ用補正係数KMODij
を検索する。この補正係数KMODijは、機関回転数NEと吸
気温度TAとで定まるマップで検索されるものであり、後
述のように最適過給圧P2が所定偏差内に収まったときに
学習され、その学習により随時更新される。ここで補正
係数KMODijの初期値は1である。
次の第15ステップS15ではデューティ用大気圧補正係
数KPATC(0.8〜1.0)が吸気圧PAに対応して決定され、
さらに次の第16ステップS16でデューティ用吸気温補正
係数KTATC(0.8〜1.3)が吸気温度TAに対応して決定さ
れる。第17ステップS17では過給圧P2の変化率ΔP2に応
じた設定減算デューティDTが、第11図のサブルーチンに
従って決定される。すなわちスロットル開度θTHが設定
スロットル開度θTHFBよりも大きいときには第12図
(a)、(b)、(c)で示すように過給圧P2の変化率
ΔP2および機関回転数NEによって設定された設定減算デ
ューティDTが選択され、θTH≦θTHFBであるときにはDT
=0とされる。
第12図(a)は機関回転数NEが予め設定されている第
1切換回転数NFB1(たとえば3000rpm)以下であるとき
の設定減算デューティDTを示し、第12図(b)は機関回
転数NEが第1切換回転数NFB1を超えて第2切換回転数N
FB2(たとえば4500rpm)以下であるときの設定減算デュ
ーティDTを示し、第12図(c)は機関回転数NEが第2切
換回転数NFB2を超えたときの設定減算デューティDTを示
すものである。ここで設定減算デューティDTは、後述の
第19図に示す通り目標過給圧P2REFよりも低い設定値P
2STを実際の過給圧P2が超えたときから処理されるもの
で、過給圧P2の立上がり時のオーバーシュートを防止す
るためのものである。しかもDTを、第12図および上述の
ように、機関回転数NEおよび過給圧変化率ΔP2に応じて
持替えているが、これは設定値P2STに到達する際の機関
回転数NEにより、また過給圧変化率ΔP2によりオーバー
シュート量に違いがあるため、上記持替えによって各運
転域におけるデューティ制御を最適にすることを目的と
するものである。ここではΔP2が大きい程、またNEが大
きい程、DTは大きく設定される。
さらに第18ステップS18では、設定加算デューティD
TRBが、第13図で示すサブルーチンに従って決定され
る。すなわちオープンループ制御であってしかも過給圧
P2の変化率ΔP2が負の状態であるときには第14図
(a)、(b)、(c)で示すように−ΔP2および機関
回転数NEによって設定されている設定加算デューティD
TRBが選択され、さらに設定減算デューティDTが0とさ
れる。またフィードバック制御状態であってΔP2が正で
あるときには設定加算デューティDTRBが0とされる。こ
の設定加算デューティDTRBも上述の設定減算デューティ
DTと同様に、機関回転数NEおよび−の過給圧変化率−Δ
P2に応じて第14図に示す通り持替えられるものであり、
NEが大きい程、−ΔP2が大きい程DTRBが大きくなるよう
に設定され、これにより各運転域においてハンチングの
少ない安定した過給圧P2が得られるようなデューティ制
御が可能となる。すなわち運転開始から所定領域P2ST
ではDOUT=100として可動ベーン54を固定ベーン49との
間の空隙流通面積が最小となるようにして過給圧P2を上
昇せしめ、過給圧P2が設定圧P2STを超えてからはオーバ
ーシュート防止用の設定減算デューティDTの反動として
発生するハンチングを防止すべく設定加算デューティD
TRBを加算することにより各運転域で安定した過給圧制
御を可能とするものである。したがって第4ステップS4
から出力される出力デューティDOUTは、上述の内容およ
び外的要因を加味した機関の運転状態を総合的に勘案し
た設定となっている。
このように補正係数KMODij、KPATC、KTATC、設定減算
デューティDTおよび設定加算デューティDTRMが決定され
た後には第19ステップS19に進む。
第19ステップS19では、デューティDOUTが次式により
補正される。
DOUT=KTATC×KPATC×KMODij×(DM+DTRB−DT) さらに第20ステップS20では、オープンループ制御で
あることを示すべくフラグF=1とし、第21ステップS2
1でデューティDOUTがリミット値を超えていないかどう
かをチエックする。すなわち機関回転数NEに応じてデュ
ーティDOUTのリミット値が予め設定されており、そのリ
ミット値から外れるかどうかをチエックし、リミット値
から外れていないときに、第4ステップS4でデューティ
DOUTが出力される。
第12ステップS12でθTH>θTHFBであると判断された
ときには、第22ステップS22に進む。この第22ステップS
22では、前回のフラグFが1であるかどうか、すなわち
前回がオープンループ制御状態であったかどうかが判定
され、F=1のときには第23ステップS23で過給圧P2
オープンループにおけるデューティ制御開始判別過給圧
P2STを超えるかどうかが判定される。このデューティ制
御開始判別過給圧P2STはP2ST=P2REF−ΔP2STにより得
られるものであり、ΔP2STは第15図(a)、(b)、
(c)で示すように機関回転数NEに応じて設定されてい
る。ここでΔP2STは、上述のDT,DTRBと同様に、最適な
デューティ制御をすべく機関回転数NEおよび過給圧変化
率ΔP2に応じて持替えられるものであり、機関回転数NE
が大きくなる程、また過給圧変化率ΔP2が大きくなる程
大きくなるように設定される。
第23ステップS23でP2>P2STであるときには第24ステ
ップS24で過給圧P2がフィードバック制御開始判別過給
圧P2FBを超えるかどうかが判定される。このフィードバ
ック制御開始判別過給圧P2FBは、P2FB=P2REF−ΔP2FB
により得られるものであり、ΔP2FBは第16図(a)、
(b)、(c)で示すように機関回転数NEに応じて設定
されている。このフィードバック制御開始判別過給圧P
2FBも、前記ΔP2ST,DT,DTRBと同様に、最適なデューテ
ィ制御をすべく機関回転数NEおよび過給圧変化率ΔP2
応じて持替えられるものであり、機関回転数NEが大きく
なる程、また過給圧変化率ΔP2が大きくなる程大きくな
るように設定される。この第24ステップS24でP2>P2FB
であるときには第25ステップS25に進む。
第25ステップS25では遅延タイマtFBDLYが経過してい
るかどうかが判定され、経過しているときには第26ステ
ップS26に進む。また第22ステップS22でF=0であった
ときには第23〜25ステップS23〜S25を迂回して第26ステ
ップS26に進み、第23ステップS23でP2≦P2STであるとき
には第27ステップS27に、第24ステップS24でP2≦P2FB
あるときには第13ステップS13に、第25ステップS25で遅
延タイマtFBDLYが経過していないときには第14ステップ
S14にそれぞれ進む。
第27ステップS27ではデューティDOUTが100とされ、次
いで第28ステップS28でタイマtFBDLYをリセットして第
4ステップS4に進む。
第26ステップS26では、過給圧変化率ΔP2の絶対値が
フィードバック制御判定過給差圧GdP2を超えるかどうか
が判断される。このフィードバック制御判定過給差圧G
dP2はたとえば30mmHgに設定されており、ΔP2の絶対値
がフィードバック制御判定過給差圧GdP2を超えるときに
は第14ステップS14に戻り、ΔP2の絶対値がフィードバ
ック制御判定過給差圧GdP2以下であるときには第29ステ
ップS29に進む。ここで|ΔP2|>GdP2であるときにフィ
ードバック制御を開始するとハンチングを生じる原因と
なるので、第14ステップS14に戻ってオープンループ制
御を行なうのであるが、上述の通りオープンループ制御
においてDT,DTRBによる補正を行なってハンチングおよ
びオーバーシュートを防止するようにしているので、第
26ステップS26はフェールセーフ機能を果たすことが主
眼となる。
第29ステップS29からはフィードバック制御が開始さ
れるものであり、先ず第29ステップS29で機関回転数NE
および吸気温度TAにより予め設定されている目標過給圧
P2REFが検索される。ここでフィードバック制御は、先
ず第12ステップS12においてθTH>θTHFBを満足するこ
とが前提となっており、この前提条件下で機関の運転状
態を的確に判断し得るパラメータとして機関回転数NE
よび吸気温度TAにより定まる目標過給圧P2REFが検索さ
れるものである。θTH>θTHFBつまり機関の中、高負荷
状態では機関回転数NEおよびスロットル開度θTHはほぼ
同一の挙動を示すものであり、NEは機関の運転状態を示
す有効なパラメータとなるものである。また吸気温度TA
は、第1図に示した通りインタクーラ4の下流側の吸気
温度であり燃焼室に導入される吸気状態を的確に示すパ
ラメータとなる。したがって機関回転数NEおよび吸気温
度TAで定まるマップにより目標過給圧P2REFを決定する
ことで、機関の運転状態に即応した値を設定し得ること
になる。
次の第30ステップS30では自動変速機のシフト位置が
第1速位置であるか否かが判定される。第1速位置であ
るときには、第31ステップS31において前述の第8図で
示したサブルーチンに従って運転状態が判別ゾーン(第
9図の斜線部)にあるときにP2REF=P2REF−ΔP2REFF
る演算が行なわれ、第33ステップS33に進む。このΔP
2REFFは、シフト位置が第1速位置にあるときに対応し
て設定される減算値である。また第30ステップS30でシ
フト位置が第1速位置以外の位置にあると判定されたと
きには、第32ステップS32において前述の第10図で示し
たサブルーチンに従ってP2REF=P2REF−ΔP2REFOSなる
演算が行なわれ、第33ステップS33に進む。しかもΔP2
REFOSはシフト位置が第1速位置以外の状態にあるとき
に対応して設定される減算値である。
第33ステップS33では吸気圧PAに応じて予め設定され
ている過給圧用大気圧補正係数KPAP2ならびにデューテ
ィ用大気圧補正係数KPATCが決定され、さらに第34ステ
ップS34で次の演算が行なわれる。
P2REF=P2REF×KPAP2×KREFTB 上記式でKREFTBは機関のノック状態に対応した補正係
数である。
第35ステップS35では、目標過給圧P2REFと今回の過給
圧P2との偏差の絶対値が設定値GP2以上であるかどうか
が判定される。該設定値GP2はフィードバック制御時の
不感帯定義圧であり、たとえば20mmHg程度に設定され
る。目標過給圧P2REFと実際の過給圧P2との偏差の絶対
値が前記設定値GP2以上であるときには、第36ステップS
36に進み、設定値GP2未満であるときには第43ステップS
43に進む。
第36ステップS36では、デューティの比例制御項DP
次式により演算される。
DP=KP×(P2REF−P2) 上記式においてKPは比例制御項に係るフィードバック
係数であり、第17図に示すサブルーチンに従って求めら
れる。この第17図において、機関回転数NEが第1切換回
転数NFB1以下であるときにはKP1が得られるとともに後
述の積分制御項に係るフィードバック係数KI1が得ら
れ、機関回転数NEが第1切換回転数NFB1を超えて第2切
換回転数NFB2以下であるときには、KP2,KI2が得られ、
さらに機関回転数NEが第2切換回転数NFB2を超えるとK
P3,KI3が得られる。
第37ステップS37では前述の第14ステップS14と同様
に、機関回転数NEおよび吸気温度TAに応じた補正係数K
MODijが検索され、第38ステップS38では前回のフラグF
が1であるかどうかすなわち初めてのフィードバック制
御状態であるかどうかが判定され、F=1であったとき
には第39ステップS39で前回の積分制御項DI(n-1)が次式
に従って演算される。
DI(n-1)=KTATC×KPATC×DM×(KMODij−1) この演算終了後には第40ステップS40に進むが、第38
ステップS38でF=0であったときには第39ステップS39
を迂回して第40ステップS40に進む。
第40ステップS40では、今回の積分制御項DInが次式に
従って演算される。
DIn=DI(n-1)+KI+(P2REF−P2) その後、第41ステップS41でデューティDOUTが演算さ
れる。すなわち、 DOUT=KTATC×KPATC×DM+DP+DIn なる演算が行なわれ、第42ステップS42でフラグF=0
とした後に第21ステップS21に進む。
さらに第35ステップS35で目標過給圧P2REFと実際の過
給圧P2との偏差の絶対値が設定値GP2未満であるときに
は第43ステップS43でDP=0、DIn=DI(n-1)とされる。
次いで第44ステップS44ないし第47ステップS47では、水
温TWが或る一定範囲すなわちTWMODLを超えてTWMODH未満
にあるかどうか、リタード量T2RETが0かどうかすなわ
ちノック状態から外れているかどうか、シフト位置が第
1速位置以外であるかどうか、KREFTBが1.0以下である
かどうかが判定され、それらの条件を全て満たしたとき
には第48ステップS48に進み、それらの条件から1つで
も外れたときには第41ステップS41に進む。
第48ステップS48では、デューティ用補正係数KMODij
の学習のための係数KRが次式に従って演算される。
KR=(KTATC×DM+DIn)÷(KTATC×DM) 次いで第49ステップS49では、補正係数KMODijの検索
および学習を行なうべく、 なる演算が行なわれ、さらに第50ステップS50で第49ス
テップS49で得られたKMODijが記憶される。
このような電磁制御弁69におけるソレノイド70のデュ
ーティ制御によると、自動変速機のシフト位置が第1速
位置にあるときには、オープンループ制御状態であれ
ば、第10ステップS10において機関の運転状態が第9図
の判別ゾーンにあるときに基本デューティDMがDFだけ減
算され、フィードバック制御状態では第31ステップS31
において前記判別ゾーンにあるときに目標過給圧P2REF
がΔP2REFだけ減算される。したがってシフト位置が第
1速位置であるときの急発進、過負荷等による自動変速
機への過負荷を基本デューティDMの減少に伴う過給圧の
減少により防止することができる。また第1速位置のま
まオープンループ制御からフィードバック制御に移行し
たときに、機関の運転状態が第9図の判別ゾーンにある
ことに基づいてオープンループ制御領域において基本デ
ューティDMをDFだけ減算したのに対し、フィードバック
制御への移行初期に目標過給圧P2REFが減算されていな
いと目標過給圧P2REFと実際の過給圧P2との差が比較的
大きくなって制御のハンチングが生じるおそれがある。
しかるに機関の運転状態が第1速位置の状態で第9図の
判別ゾーンにあるときには、目標過給圧P2REFもΔP2REF
だけ減算されるので、オープンループ制御からフィード
バック制御への移行時に目標過給圧P2REFと実際の過給
圧P2との差を比較的小さくして制御のハンチングが生じ
ることを防止することができる。
また第18図の下方に示すようなシフトチェンジを行っ
た場合を想定する。この場合、シフトチェンジ時には、
機関回転数NEが上昇するのに対して、制御手段Cによる
アクチュエータ60の作動にはタイムラグがある。そのた
め、過給圧P2が機関回転数NEに対応せず、オーバーシュ
ートが生じて過給圧P2が第18図の破線で示すように特に
中、高速域からの加速直後のシフトチェンジ時に限界値
を超えてしまうおそれがある。しかるに、第11ステップ
S11および第32ステップS32において、第10図で示すよう
なサブルーチンに従って基本デューティDMおよび目標過
給圧P2REFの減算が行なわれる。すなわち、シフトチェ
ンジ時には、スロットル開度θTHが所定値θTHOSを超
え、機関回転数NEが所定値NEOSを超え、吸気圧PBが所定
値PBOSを超えたとき、すなわち中、高速域での過給圧P2
の変化率ΔP2に応じて、オープンループ制御では基本デ
ューティDMがDOSだけ減算され、フィードバック制御で
は目標過給圧P2REFがΔP2REFOSだけ減算される。これに
より第18図の実線で示すようにシフトチェンジ時のオー
バーシュートを大幅に減少し、ハンチング現象が生じる
のを回避することができ、安定的な過給圧制御が可能と
なる。
さらにオープンループ制御からフィードバック制御に
移行する際には、第19図で示すように過給圧P2の落ち込
みをカバーして、速やかにフィードバック制御に移行す
ることができる。すなわち運転開始時にはデューティD
OUTが100すなわちデューティ比が0%となっており、ス
ロットル開度θTHが設定スロットル開度θTHFB未満であ
るオープンループ制御時には、第18ステップS18におけ
る第13図のサブルーチンに従ってDT=0とされる。そし
てθTH>θTHTBとなったときにオープンループ制御から
フィードバック制御側に移行し始めるが、過給圧P2がP
2STを超えたときにθTH>θTHFBであるときにはDM=DM
−DTとしてオーバーシュートを防止する。
ところが上述のようにDTだけ減算すると、その反動で
過給圧P2が第19図の破線で示すように落ち込むことがあ
る。しかるにΔP2≦0であればDT=0とし、DTPMだけ加
算するようにしたので、過給圧P2の落ち込みをカバーし
てフィードバック制御に速やかに移行することができ、
ハンチング現象のない過給圧の制御の拡大が可能とな
る。
上述の電磁制御弁69におけるソレノイド70のデューテ
ィ制御は、電磁開閉弁72が閉弁している状態で行なわれ
るものであり、この電磁開閉弁72が開弁すると、アクチ
ュエータ60における第2圧力室63に吸気圧PBが供給され
て、アクチュエータ60は可変容量ターボチャージャ5に
おける可動ベーン54が固定ベーン49との間の空隙流通面
積を大とする方向に作動する。
次に第20図を参照しながら電磁開閉弁72のソレノイド
73を制御するための制御手段Cにおける手順について説
明する。ここで第5図のメインルーチンに基づいてアク
チュエータ60の第1圧力室62への過給圧P2導入用電磁制
御弁69の作動を制御する他に、アクチュエータ60の第2
圧力室63に電磁開閉弁72を介して吸気圧PBを導入するこ
とにより、より精密な制御が可能となる。これは過給圧
P2を可変容量ターボチャージャ5およびインタクーラ4
間で検出しているのでスロットル弁74の微小な作動を感
知し得ないのに対し、吸気圧PBはスロットル弁74よりも
下流側から導出されるのでスロットル弁74の微小な作動
を検知可能であるからである。すなわちターボチャージ
ャ5の動きを確実に検知する過給圧センサSP2と、スロ
ットル弁74の動きを確実に検知する吸気圧センサSPB
の両方にてターボチャージャ5を含む吸気系全体の作動
をより正確に反映することが可能となる。
第1ステップL1では、機関の始動後に所定時間たとえ
ば2分間が経過したかどうかが判定され、所定時間が経
過していないときには第2ステップL2に進んでソレノイ
ド73が励磁され、アクチュエータ60により可動ベーン54
が固定ベーン49との間の流通面積を大とする方向に作動
する。これは冷間時の始動に対処するものであり、冷間
時の過過給が防止され、また触媒温度を緩やかに上昇さ
せることができる。この第1ステップL1で所定時間が経
過しているときには第3ステップL3に進み、車速Vがヒ
ステリシスを有して設定された判定車速VOP3たとえば90
/87km/hを超えるかどうかが判定され、V>VOP3である
ときには第4ステップL4に進み、V≦VOP3であるときに
は第5ステップL5に進む。
第4ステップL4では、スロットル開度変化率ΔθTH
設定スロットル開度変化率ΔθTHOP2未満であるかどう
かが判定される。この設定スロットル開度変化率θ
THOP2はシステリシスを有して設定されており、ΔθTH
<ΔθTHOP2であるときには第2ステップL2に進み、そ
れ以外のときには第5ステップL5に進む。
第5ステップL5では車速Vが設定車速VOP1未満である
かどうかが判定される。該設定車速VOP1はヒステリシス
を有するものであり、たとえば65/63km/hに設定され
る。V<VOP1であれは第7ステップL7に進み、V≧VOP1
であるときに第6ステップL6に進んでソレノイド73を消
磁する。また第7ステップL7では、車速Vが設定車速V
OP2を超えるかどうかが判定される。この設定車速VOP2
でヒステリシスを有するものであり、たとえば4/3km/h
に設定されている。V>VOP2のときには第12ステップL1
2に進み、V≦VOP2のときには第8ステップL8に進む。
第8ステップL8では前回の車速Vが前記設定車速VOP2
を超えるかどうかが判定され、V>VOP2であるときには
第9ステップL9でタイマtOPをリセットした後に第10ス
テップL10に進み、V≦VOP2であるときには第10ステッ
プL10に進む。この第10ステップL10では前回が励磁状態
であったか否かが判定され、消磁状態であったときには
第6ステップL6に進み、励磁状態であったときには第11
ステップL11でタイマが設定タイマtOP0を超えるかどう
かを判定して、tOP>tOP0であるときには第6ステップL
6に、またtOP≦tOP0であるときには第第2ステップL2に
進む。
第12ステップL12では機関回転数NEが設定回転数NEOP
未満であるかどうかが判定される。この設定回転数NEOP
は、ヒステリシスを有するものであり、たとえば2500/2
300rpmに設定されている。NE≧NEOPであるときには第6
ステップL6に、またNE<NEOPであるときには第13ステッ
プL13に進む。
第13ステップL13では吸気圧PBが設定吸気圧PBOP未満
であるかどうかが判定される。この設定吸気圧PBOPはヒ
ステリシスを有するものであり、たとえば−100/−150m
mHgに設定される。PB≧PBOPであるときには第6ステッ
プL6に、またPB<PBOPであるときには第14ステップL14
に進む。
第14ステップL14ではスロットル開度θTHが設定スロ
ットル開度θTHOP未満であるかどうかが判定される。こ
の設定スロットル開度θTHOPはたとえば20/15degに設定
される。θTH≧θTHOPのときには第6ステップL6に進
み、θTH<θTHOPのときには第15ステップL15に進む。
さらに第15ステップL15では、スロットル開度変化率
ΔθTHが正であり、しかもヒステリシスを有して設定さ
れた設定スロットル開度変化率ΔθTHOP1未満であるか
とうかが判定され、0<ΔθTH<ΔθTHOP1であるとき
には第2ステップL2に、またそれ以外のときには第6ス
テップL6に進む。
このような手順を纒めると、第3ステップL3および第
4ステップL4の判断で、90/87km/hを超える高車速時に
は、0<ΔθTH<ΔθTHOP2となる緩加速状態では可変
容量ターボチャージャ5の可動ベーン54が固定ベーン49
との間の空隙流通面積を大とする方向に作動する。これ
によりポンピングロスを防止することができる。すなわ
ち高車速のクルージング状態では加速を要求しておら
ず、可動ベーン54を過給圧増大側に作動せしめることは
機関の高回転数により発生する背圧上昇に伴ってポンピ
ングロスが発生するからである。
また第5ステップL5で65/63km/h以上の車速状態では
ソレノイド73を消磁しているが、これはそのような高車
速状態では第5図で示した電磁制御弁69の制御で充分で
あるからである。さらに第7ステップL7ないし第11ステ
ップL11では4/3km/h以下の低車速すなわちほぼ停止して
いる状態で、前回の車速がほぼ停止状態にあるときには
タイマをリセットし、そのタイマたとえば1分が経過す
る間ソレノイド73を励磁して、可動ベーン54を流通面積
が大きくなるように作動せしめる。これは再スタート時
に可動ベーン54が流通面積を小とする側にあると、過給
圧P2が一時的に上昇して発進ギヤ等に過負荷がかかるの
で、それを防止するためのものである。さらに車速が4/
3km/h以下のときに可動ベーン54が流通面積を小とする
側にあると、可変容量ターボチャージャ5が慣性等で回
転しているときにその回転を助長することになり、その
場合スロットル開度θTHはほぼ全閉であるので過給圧が
スロットル弁上流の吸気路内圧を上昇せしめることにな
る。そこで、可動ベーン54を流通面積が大となる方向に
作動せしめることにより上記昇圧によるサージングの発
生が防止される。しかも冷間時の発進直後の触媒温度上
昇にも寄与することができる。
それ以外の第12ないし第15ステップL12〜L15の判定条
件により、VOP2<V<VOP1、NE<NEOP、PB<PBOP、θTH
<θTHOP、0<ΔθTH<ΔθTHOP1が全て成立したと
き、すなわち10モード走行にあるような部分負荷時の緩
加速状態では、ソレノイド73を励磁して過給圧P2を低下
させ、それによりポンピングロスを防止することができ
る。
以上の実施例では可動ベーン54を作動させて容量を変
化させるようにした可変容量ターボチャージャを取上げ
て説明したが、本発明は、ウェストゲート方式の可変容
量ターボチャージャにも適用可能である。
C.発明の効果 以上のように本発明方法によれば、機関の運転状態に
応じて設定される基本過給圧制御量に基づいて第1圧力
室への過給圧供給量を少なくともフィードバック制御す
るとともに、第2圧力室への吸気圧の導入・遮断を第1
圧力室への過給圧供給制御とは独立して制御し、車両が
所定の走行状態に在り、しかも機関のスロットル開度が
所定開度以下であってそのスロットル開度変化率が予め
設定した設定値未満の正の値であるときに、第2圧力室
に吸気圧を導入して可変容量部を過給圧が低下する方向
に強制的に作動せしめるようにしたので、第1圧力室へ
の過給圧供給量を機関の運転状態に応じた基本過給圧制
御量に基づいて少なくともフィードバック制御すること
により、ターボチャージャを含めた機関全体において運
転状態に応じた充分な出力を得るとともに、スロットル
弁の動きに非常に敏感な吸気圧の第2圧力室への導入・
遮断を第1圧力室とは独立に制御することにより、ター
ボチャージャを含む吸気系全体の作動を運転状態により
適合させて制御することができ、しかも車両が所定の走
行状態に在り、かつ機関のスロットル開度が所定開度以
下であってそのスロットル開度変化率が予め設定した設
定値未満の正の値であることをもって緩加速状態である
ことを検知し、過給圧を低下する方向に可変容量部を強
制的に作動せしめてポンピングロスを低下することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図は内燃機
関の吸気系および排気系を示す全体概略図、第2図は可
変容量ターボチャージャの拡大縦断側面図、第3図は第
2図のIII−III線断面図、第4図は第2図のIV−IV線断
面図、第5図は電磁制御弁を制御するためのメインルー
チンを示すフローチャート、第6図はタイマ選択のため
のサブルーチンを示すフローチャート、第7図は高過給
圧判定ガード値を示すグラフ、第8図は第1速位置での
基本デューティおよび目標過給圧の減算サブルーチンを
示すフローチャート、第9図は第8図のサブルーチンで
用いる判別ゾーンを示す図、第10図は第1速位置以外で
の基本デューティおよび目標過給圧の減算サブルーチン
を示すフローチャート、第11図は設定減算デューティ決
定のためのサブルーチンを示すフローチャート、第12図
は設定減算デューティのマップを示す図、第13図は設定
加算デューティ決定のためのサブルーチンを示すフロー
チャート、第14図、第15図および第16図はDTRB、Δ
P2ST、ΔP2FBの設定マップをそれぞれ示す図、第17図は
比例制御項および積分制御項に係るフィードバック係数
を決定するサブルーチンを示すフローチャート、第18図
はシフトチェンジ時の吸気圧の変化を示す図、第19図は
オープンループ制御からフィードバック制御への移行時
のデューティおよび過給圧の変化を示す図、第20図は電
磁開閉弁を制御するためのメインルーチンを示すフロー
チャートである。 5……可変容量ターボチャージャ、54……可変容量部と
しての可動ベーン、60……アクチュエータ、62……第1
圧力室、63……第2圧力室、64……ダイヤフラム

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】過給圧を変化させるべく可変容量ターボチ
    ャージャに設けられた可変容量部に、ダイヤフラムの両
    側にそれぞれ設けられる第1および第2圧力室に過給圧
    とスロットル弁の下流側の吸気圧とを導入可能にしたア
    クチュエータを連結し、第1圧力室への過給圧の供給量
    を機関の運転状態に応じて制御するとともに、第2圧力
    室への吸気圧の導入、遮断を機関の運転状態に応じて制
    御するようにした可変容量ターボチャージャの制御方法
    において、機関の運転状態に応じて設定される基本過給
    圧制御量に基づいて第1圧力室への過給圧供給量を少な
    くともフィードバック制御するとともに、第2圧力室へ
    の吸気圧の導入・遮断を第1圧力室への過給圧供給制御
    とは独立して制御し、車両が所定の走行状態に在り、し
    かも機関のスロットル開度が所定開度以下であってその
    スロットル開度変化率が予め設定した設定値未満の正の
    値であるときに、第2圧力室に吸気圧を導入して可変容
    量部を過給圧が低下する方向に強制的に作動せしめられ
    ることを特徴とする可変容量ターボチャージャの制御方
    法。
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