JP2652407B2 - 可変容量ターボチャージャの制御方法 - Google Patents

可変容量ターボチャージャの制御方法

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JP2652407B2
JP2652407B2 JP63115706A JP11570688A JP2652407B2 JP 2652407 B2 JP2652407 B2 JP 2652407B2 JP 63115706 A JP63115706 A JP 63115706A JP 11570688 A JP11570688 A JP 11570688A JP 2652407 B2 JP2652407 B2 JP 2652407B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、過給圧を変化させるための可変容量部を有
するとともにインタクーラを介して機関本体に接続され
る可変容量ターボチャージャの制御方法に関する。
(2) 従来の技術 従来、かかる可変容量ターボチャージャの制御方法
は、たとえば特開昭60−128930号公報等により公知であ
る。
(3) 発明が解決しようとする課題 ところで、インタクーラの冷却効果は、車両の走行条
件によって変化するものであり、たとえば外気温が低い
とき、あるいは高速走行時においてインタクーラの冷却
効果が上昇したとき等には、機関本体に供給される吸気
の温度が低くなり過ぎて吸入空気の充填効率が上がり過
ぎ、機関に過大な負荷を与えることになって機関の耐久
性上好ましくない。そこで上記従来のものでは、吸気温
が極端に低いときには過給圧を所定値だけ低下させるよ
うにしている。
ところが、吸気温が低くても機関回転数が低いときに
は機関に過負荷がかからないものであり、上記従来のよ
うに吸気温が低いときに過給圧を一律に低下させるよう
にしたものでは、機関の始動時に過給圧の立ち上がりが
遅くなり、過給特性が劣ったものとなる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、
機関の耐久性を向上した上で機関始動時の過給特性を向
上した可変容量ターボチャージャの制御方法を提供する
ことを目的とする。
B.発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明は、過給圧を変化さ
せるための可変容量部を有するとともにインタクーラを
介して機関本体に接続される可変容量ターボチャージャ
の制御方法において、インタクーラ下流側の吸気温が設
定吸気温未満であり且つ機関回転数が第1設定回転数を
超える場合と、前記吸気温が設定吸気温を超えても、機
関始動後時所定時間内で機関回転数が第2設定回転数未
満であり且つスロットル開度の増加変化率が所定値を超
えない場合には何れも、過給圧を低下させるべく可変容
量部を容量増大側に制御することを第1の特徴とし、前
記可変容量部が気圧応動式のアクチュエータの作動に応
じて制御され、このアクチュエータが、ターボチャージ
ャ下流側の過給圧が導入されて該可変容量部を容量増大
側に付勢する第1圧力室と、スロットル弁下流の吸気圧
が導入されて該可変容量部を容量増大側に付勢する第2
圧力室とを備えたことを第2の特徴とし、更に前記第1
圧力室へターボチャージャ下流側の過給圧を供給する管
路に第1制御弁を、また前記第2圧力室へスロットル弁
下流の吸気圧を供給する管路に第2制御弁をそれぞれ設
け、その第2制御弁を前記場合に開弁させるようにした
ことを第3の特徴とする。
(2) 作 用 上記方法によれば、インタクーラ下流側の吸気温が設
定吸気温未満であり且つ機関回転数が第1設定回転数を
超える場合には、過給圧を低下させるべく可変容量部が
容量増大側に制御されるため、機関始動時には、吸気温
が低くても機関回転数が低いときには吸給圧を不必要に
低下させることが回避され、一方、機関回転数が高くて
機関に過大な負荷がかかるときには過給圧を低下して機
関の耐久性向上が図られる。
またインタクーラ下流側の吸気温が設定吸気温を超え
ても、機関始動後所定時間内で機関回転数が第2設定回
転数未満であり且つスロットル開度の増加変率が所定値
を超えない場合には、過給圧を低下させるべく可変容量
部が容量増大側に制御されるため、冷間始動時で、イン
タクーラ下流側の吸気温が設定吸気温を超えた直後であ
っても、機関回転数が比較的低く加速要求も比較的少な
い(従って発進加速性を損なう可能性もない)運転状態
では過給圧の急激な上昇が回避され、機関やターボチャ
ージャ等の耐久性向上が図られる。
(3) 実施例 以下、図面により本発明の一実施例について説明する
と、先ず内燃機関の吸気系および排気系の全体概略構成
を示す第1図において、多気筒内燃機関の機関本体Eに
おける各気筒の吸気ポートには吸気マニホールド1が接
続され、この吸気マニホールド1はさらに吸気管2、ス
ロットルボデイ3、インタクーラ4および可変容量ター
ボチャージャ5を介してエアクリーナ6に接続される。
また各気筒の排気ポートには排気マニホールド7が接続
され、この排気マニホールド7は可変容量ターボチャー
ジャ5を中間部に介設した排気管8を介して、三元触媒
を内蔵した触媒コンバータ9に接続される。また各気筒
の吸気ポートに向けて燃料をそれぞれ噴射するための燃
料噴射弁10が吸気マニホールド1の各吸気ポートに近接
した部分に取付けられる。
可変容量ターボチャージャ5には水ジャケット11が設
けられており、この水ジャケット11の入口とインタクー
ラ4の入口とは、吸入口をラジエータ12に接続した水ポ
ンプ13の吐出口に並列に接続され、水ポンプ13およびイ
ンタクーラ4の出口はラジエータ12に接続される。しか
もラジエータ12は、機関本体Eにおける冷却水用のラジ
エータとは別に設けられるものである。
次に第2図、第3図および第4図を参照しながら可変
容量ターボチャージャ5の構成について説明すると、こ
のターボチャージャ5は、コンプレッサケーシング14
と、該コンプレッサケーシング14の背面を閉塞する背板
15と、主軸16を支承する軸受ケーシング17と、タービン
ケーシング18とを備える。
コンプレッサケーシング14および背板15間にはスクロ
ール通路19が画成され、コンプレッサケーシング14の中
央部には軸方向に延びる入口通路20が形成される。しか
もスクロール通路19の中央部であって入口通路20の内端
に位置する部分における主軸16の一端部にはコンプレッ
サホイル21が取付けられる。
コンプレッサケーシング14と背板15とは複数のボルト
22により締着されており、この背板15の中央部に軸受ケ
ーシング17が接続される。軸受ケーシング17には、相互
に間隔をあけて一対の軸受孔23,24が同軸に穿設されて
おり、これらの軸受孔23,24に挿通される主軸16と軸受
孔23,24との間にはラジアル軸受メタル25,26がそれぞれ
介装され、これにより主軸16が回転自在にして軸受ケー
シング17に支承される。また主軸16のコンプレッサホイ
ル21側に臨む段部16aと、コンプレッサホイル21との間
には、段部16a側から順にカラー27、スラスト軸受メタ
ル28およびブッシング29が介装されており、コンプレッ
サホイル21の外端子に当接するナット30を主軸16の一端
部に螺合して締付けることにより、主軸16のスラスト方
向支持およびコンプレッサホイル21の主軸16への取付け
が行なわれる。
軸受ケーシング17の上部には、図示しない潤滑油ポン
プに接続される潤滑油導入孔32が設けられ、軸受ケーシ
ング17内にはラジアル軸受メタル25,26およびスラスト
軸受メタル28に潤滑油導入孔32から供給される潤滑油を
導くための潤滑油通路33が穿設される。また軸受ケーシ
ング17の下部には各潤滑部から流出する潤滑油を下方に
排出するための潤滑油排出口34が設けられており、この
潤滑油排出口34から排出される潤滑油は図示しないオイ
ルサンプに回収される。
ブッシング29は、背板15の中央部に穿設された透孔35
を貫通して配置されており、スラスト軸受メタル28から
流出する潤滑油がコンプレッサホイル21側に流れること
を防止するためにブッシング29の外面および透孔35の内
面間にはシールリング36が介装される。また背板15とス
ラスト軸受メタル28との間にはブッシング29を貫通させ
るガイド板37が挟持される。したがってスラスト軸受メ
タル28から流出した潤滑油はブッシング29から半径方向
外方に飛散してガイド板37で受止められる。しかもガイ
ド板37の下部は受止めた潤滑油を潤滑油排出口34に円滑
に案内すべく彎曲成形される。
軸受ケーシング17には、主軸16の周囲に水ジャケット
11が設けられるとともに、該水ジャケット11に水ポンプ
13(第1図参照)からの水を導くための水供給口38なら
びに水ジャケット11からの水をラジエータ12(第1図参
照)に導くための水排出口39が穿設される。しかも水ジ
ャケット11は、タービンケーシング18寄りの部分では主
軸16を囲む円環状に形成されるとともに潤滑油排出口34
の上方に対応する部分では主軸16の上方で下方に開いた
略U字状の横断面形状を有するように形成され、水供給
口38は水ジャケット11の下部に連通すべく軸受ケーシン
グ17に穿設され、水排出口39は水ジャケット11の上部に
連通すべく軸受ケーシング17に穿設される。
タービンケーシング18内には、スクロール通路41と、
該スクロール通路41に連通して接線方向に延びる入口通
路42と、スクロール通路41に連通して軸線方向に延びる
出口通路43とが設けられる。
軸受ケーシング17とタービンケーシング18とは、それ
らの間に背板44を挟持するようにして相互に結合され
る。すなわちタービンケーシング18には複数のスタッド
ボルト45が螺着されており、軸受ケーシング17に係合す
るリング部材46をスタッドボルト45に螺合するナット47
によって締付けることにより軸受ケーシング17とタービ
ンケーシング18とが相互に結合され、背板44の外周部に
設けられるフランジ部44aが軸受ケーシング17およびタ
ービンケーシング18間に挟持される。
背板44には固定ベーン部材48が固着されており、この
固定ベーン部材48によりスクロール通路41内が外周路41
aと流入路41bとに区画される。該固定ベーン部材48は、
出口通路43に同軸に嵌合する円筒部48aと、該円筒部48a
の中間部外面から半径方向外方に張出す円板部48bと、
該円板部48bの外周端から背板44側に向けて延びる複数
たとえば4つの固定ベーン49とから成り、主軸16の他端
部に設けられるタービンホイル50が該固定ベーン部材48
内に収納される。前記円筒部48aは、その外面に嵌着さ
れたシールリング51を介して出口通路43に嵌合され、固
定ベーン49がボルト52により背板44に結合される。
固定ベーン49は、周方向に等間隔をあけた位置でター
ビン部材48の外周部に設けられるものであり、各固定ベ
ーン49はそれぞれ円弧状に形成される。また各固定ベー
ン49間には、主軸16の軸線と平行にして背板44に回動自
在に枢着された回動軸53に一端を固着された可動ベーン
54がそれぞれ配置され、これらの可動容量部としての可
動ベーン54により各固定ベーン49間の空隙の流通面積が
調整される。
各可動ベーン54は、固定ベーン49と同等の曲率の円弧
状に形成されており、第3図の実線で示す全閉位置と、
鎖線で示す全開位置との間で回動可能である。しかも各
回動軸53は、背板44および軸受ケーシング17間に配置さ
れるリンク機構55を介してアクチュエータ60に連結され
ており、そのアクチュエータ60の作動により各可動ベー
ン54が同期して開閉駆動される。
背板44および軸受ケーシング17間には、タービンホイ
ル50の背部に延びるシールド板56が挟持されており、こ
のシールド板56により流入路41bを流れる排ガスの熱が
軸受ケーシング17の内部に直接伝達されることが極力防
止される。また排ガスが軸受ケーシング17内に漏洩する
ことを防止するために、タービンケーシング18内に主軸
16を突出させるべく軸受ケーシング17に設けられた透孔
57に対応する部分で、主軸16にはラビリンス溝として機
能する複数の環状溝58が設けられる。
かかる可変容量ターボチャージャ5では、機関本体E
から排出される排ガスが、入口通路42から外周路41aに
流入し、可動ベーン54の回動量に応じた可動ベーン54お
よび固定ベーン49間の空隙の流通面積に応じた流速で排
ガスが流入路41b内に流入し、タービンホイル50を回転
駆動して出口通路43から排出される。この際、各可動ベ
ーン54および固定ベーン49間の空隙の流通面積が小さく
なるとタービンホイル50すなわち主軸16の回転速度が速
くなり、各可動ペーン54および固定ベーン49間の空隙の
流通面積が大きくなるとタービンホイル50すなわち主軸
16の回転速度が遅くなる。このタービンホイル50の回転
に応じてコンプレッサホイル21が回転し、エアクリーナ
6から入口通路20に導かれた空気が、コンプレッサホイ
ル21により圧縮されながらスクロール通路19を経てイン
タクーラ4に向けて供給されることになる。したがって
可動ベーン54をタービンケーシング18の半径方向最外方
に位置させて固定ベーン49との間の空隙流通面積を最小
としたときに過給圧が最大となり、可動ベーン54をター
ビンケーシング18の半径方向最内方に位置させて固定ベ
ーン49との間の空隙流通面積を最大としたときに過給圧
が最小となる。
この可変容量ターボチャージャ5における空気圧縮時
の温度上昇による軸受ケーシング17の温度上昇が水ジャ
ケット11への冷却水の供給により極力防止され、また吸
気温の上昇がインタクーラ4への冷却水の供給により防
止される。
再び第1図において、可変容量ターボチャージャ5の
可動ベーン54を駆動するためのアクチュエータ60は、ハ
ウジング61と、該ハウジング61内を第1圧力室62および
第2圧力室63に区画するダイヤフラム64と、第1圧力室
62を収縮する方向にダイヤフラム64を付勢すべくハウジ
ング61およびダイヤフラム64間に介装される戻しばね65
と、ダイヤフラム64の中央部に一端が連結されるととも
に第2圧力室62側でハウジング61を気密にかつ移動自在
に貫通してリンク機構55に他端が連結される駆動ロッド
66とを備える。しかも駆動ロッド66とリンク機構55と
は、ダイヤフラム64が第2圧力室63を収縮する方向に撓
んで駆動ロッド66が伸長作動したときに、各可動ベーン
54がタービンケーシング18の半径方向内方に回動して各
固定ベーン49との間の空隙流通面積を増大するように連
結される。
第1圧力室62には、可変容量ターボチャージャ5およ
びインタクーラ4間の吸気路が過給圧P2を供給すべくレ
ギュレータ67、絞り68および電磁制御弁69を介して接続
されるとともに、エアクリーナ6および可変容量ターボ
チャージャ5間の吸気路が絞り75を介して接続される。
この電磁制御弁69はデューティ制御されるものであり、
そのソレノイド70のデューティ比が大となるのに応じて
第1圧力室62の圧力が増大、すなわち駆動ロッド66およ
びリンク機構55を介して可変ターボチャージャ5の可動
ベーン54が内方側に回動駆動される。また第2圧力室63
には、スロットルボデイ3よりも下流側の吸気路が吸気
圧PBを供給すべく逆止弁71および電磁開閉弁72を介して
接続される。この電磁開閉弁72は、そのソレノイド73の
励磁に応じて開弁するものであり、該電磁開閉弁72の開
弁に応じて第2圧力室63に吸気圧PBが供給されると、ア
クチュエータ60は可変容量ターボチャージャ5の可動ベ
ーン54を内方側に駆動する。
電磁制御弁69のソレノイド70および電磁開閉弁72のソ
レノイド73の励時および消磁は制御手段Cにより制御さ
れるものであり、該制御手段Cには、機関本体E内に設
けられた水ジャケット(図示せず)の冷却水温TWを検出
する水温検出器SWと、インタクーラ4よりも下流側の吸
気温度TAを検出する吸気温センサSAと、エアクリーナ6
および可変容量ターボチャージャ5間の吸気圧PAを検出
する吸気圧センサSPAと、可変容量ターボチャージャ5
およびインタクーラ4間の吸気路の過給圧P2を検出する
過給圧センサSP2と、スロットルボデイ3よりも下流側
の吸気圧PBを検出する吸気圧センサSPBと、機関回転数N
Eを検出する回転数検出器SNと、スロットルボディ3に
おけるスロットル弁74の開度θTHを検出するスロットル
開度検出器STHと、車速Vを検出する車速検出器SVと、
自動変速機におけるシフト位置を検出するためのシフト
位置検出器Ssとが接続される。而して制御手段Cは、そ
れらの入力信号すなわち水温TW、吸気温度TA、吸気圧
PA、過給圧P2、吸気圧PB、機関回転数NE、スロットル開
度θTH、車速Vおよび自動変速機のシフト位置信号に基
づいて前記ソレノイド70,73の励磁および消磁を制御す
る。
ところで電磁制御弁69におけるソレノイド70のデュー
ティ制御は、電磁開閉弁72が閉弁している状態で行なわ
れるものであり、この電磁開閉弁72が開弁すると、アク
チュエータ60における第2圧力室63に吸気圧PBが供給さ
れて、アクチュエータ60は可変容量ターボチャージャ5
における可動ベーン54が固定ベーン49との間の空隙流通
面積を大とする方向に作動する。このように、アクチュ
エータ60の第1圧力室62への過給圧P2導入用電磁制御弁
69の作動を制御する他に、アクチュエータ60の第2圧力
室63に電磁開閉弁72を介して吸気圧PBを導入すると、よ
り精密な制御が可能となる。これは過給圧P2を可変容量
ターボチャージャ5およびインタクーラ4間で検出して
いるのでスロットル弁74の微小な作動を感知し得ないの
に対し、吸気圧PBはスロットル弁74よりも下流側から導
出されるのでスロットル弁74の微小な作動を検知可能で
あるからである。すなわちターボチャージャ5の動きを
確実に検知する過給圧センサSP2と、スロットル弁74の
動きを確実に検知する吸気圧センサSPBとの両方にてタ
ーボチャージャ5を含む吸気系全体の作動をより正確に
反映することが可能となる。
次に第5図を参照しながら、電磁開閉弁72におけるソ
レノイド73の制御手順について説明する。第1ステップ
S1では、始動モードであるか否か、すなわち機関がクラ
ンキング中であるか否かが判定され、始動モードである
ときには第2ステップS2でフラグFを0とした後、第3
ステップS3でソレノイド73を消磁する。ここで、ソレノ
イド73の消磁は、電磁開閉弁72を閉じてアクチュエータ
60における第2圧力室63への吸気圧PBの導入を遮断する
ことを意味しており、この状態では電磁制御弁69による
第1圧力室62への過給圧P2導入制御に応じて、アクチュ
エータ60の作動すなわち可動ベーン54の作動が制御され
る。それとは逆にソレノイド73を励磁すると、電磁開閉
弁72が開弁して第2圧力室63に吸気圧PBが導入されるの
で、アクチュエータ60は可動ベーン54を駆動して過給圧
P2を低下させる。また第2ステップS2でのフラグFは、
ソレノイド73の励磁を許容するかどうかの判定に用いら
れるものであり、F=0ではソレノイド73は励磁されな
い。
第1ステップS1で始動モードではないと判断されたと
きには第4ステップS4に進み、この第4ステップS4では
基本モードに入って第1回目のTDC信号であるかどう
か、すなわち第1回目の処理サイクルであるか否かが判
断され、第1回目であるときには第5ステップS5でフラ
グFを1とした後、第6ステップS6に進み、第2回目以
降の処理サイクルであったときには第5ステップS5を迂
回して第6ステップS6に進む。
第6ステップS6では、インタクーラ4よりも下流側の
吸気温TAが設定吸気温TAOP0たとえば−15℃未満である
か否かが判断される。TA<TAOP0であるときには第7ス
テップS7に進み、この第7ステップS7では機関の回転数
NEが第1設定回転数NOP1たとえば3500rpmを超えるかど
うかが判定される。NE>NOP1であったきには第8ステッ
プS8でソレノイド73が励磁され、またNE≦NOP1であった
ときには第3ステップS3でソレノイド73が消磁される。
すなわち吸気温TAが設定吸気温TAOP0未満であって回転
数NEが設定回転数NOP1を超えるときにはソレノイド73が
励磁され、過給圧P2が低くされる。
第6ステップS6で、TA≧TAOP0であったときには第9
ステップS9に進み、この第9ステップS9では機関の始動
後に所定時間たとえば2分間が経過したかどうかが判定
され、所定時間が経過していないときには第10ステップ
S10に進む。第10ステップS10では、回転数NEが第2設定
回転数NOP2たとえば3000rpm未満であるかどうかが判定
され、NE<NOP2であるときには第11ステップS11に、ま
たNE≧NOP2であるときには第2ステップS2に進む。第11
ステップS11では、スロットル開度変化率ΔθTHが一定
範囲にあるかどうかすなわち0<ΔθTH<ΔθTHOP2
あるかどうかが判定され、0<ΔθTH<ΔθTHOP2であ
るときには第8ステップS8に進んでソレノイド73を励磁
し、そうでないときには第2ステップS2に進む。すなわ
ち吸気温TAが設定吸気温TAOP0以上であって機関始動後
に所定時間が経過していない状態では、NE≧NOP2であっ
て0<ΔθTH<ΔθTHOP2ではないときにソレノイド73
を消磁し、始動後所定時間内でもより精度の良い過給圧
制御を行なうことを可能とする。またNE<NOP2であって
0<ΔθTH<ΔθTHOP2であるときにはソレノイド73が
励磁され、アクチュエータ60により可動ベーン54が固定
ベーン49との間の流通面積を大とする方向に作動する。
これは冷間時の始動に対処するものであり、冷間時の過
給が防止され、また触媒温度を緩やかに上昇させること
ができる。
第9ステップS9で所定時間が経過していると判断され
たときには第12ステップS12に進み、車速Vが設定車速V
OP1未満であるかどうかが判定される。該設定車速VOP1
はヒステリシスを有するものであり、たとえば65/63km/
hに設定される。V<VOP1であれば第13ステップS13に進
み、またV≧VOP1であるときに第2ステップS2に進んで
ソレノイド73を消時する。また第13ステップS13では、
車速Vが設定車速VOP2未満であるかどうかが判定され
る。この設定車速VOP2はヒステリシスを有するものであ
り、たとえば4/3km/hに設定されている。V>VOP2のと
きには第14ステップS14に進み、V≧VOP2のときには第1
9ステップS19に進む。
第14ステップS14では前回の車速Vが前記設定車速V
OP2を超えるかどうかが判定され、V>VOP2であるとき
には第15ステップS15でタイマtOPをリセットした後に第
16ステップS16に進み、V≦VOP2であるときには第16ス
テップS16に進む。この第16ステップS16では前回が励磁
状態であったか否かが判定され、消磁状態であったとき
には第3ステップS3に進み、励磁状態であったときには
第17ステップS17でタイマtOPが設定タイマtOP0を超える
かどうかを判定して、top>tOP0であるときには第18ス
テップS18に、またtop≦tOP0であるときには第8ステッ
プS8に進む。第18ステップS18では、機関回転数NEが設
定回転数NOP4たとえば1200rpmを超えるかどうかが判定
され、NE>NOP4であるときには第3ステップS3に、また
NE≦NOP4であるときには第8ステップS8に進む。この第
18ステップS18は、VOP2以下の低車速時でもアイドルア
ップ中等で機関回転数NEがNOP4以上の場合は、運転者が
過給圧を要求していないにもかかわらず可動ベーン54を
閉じ側にすると排気抵抗が上がり燃焼性能に悪影響を及
ぼすとともに、不必要な出力アップに伴う燃費の悪化が
生じるので、そのようなときにはソレノイド73を消磁す
るようにしたものである。
第19ステップS19では機関回転数NEが設定回転数NOP3
未満であるかどうかが判定される。この設定回転数NOP3
は、ヒステリシスを有するものであり、たとえば2500/2
300rpmに設定されている。NE≧NOP3であるときには第3
ステップS3に、またNE<NOP3であるときには第20ステッ
プS20に進む。
第20ステップS20では吸気圧PBが設定吸気圧PBOP未満
であるかどうかが判定される。この設定吸気圧PBOPはヒ
ステリシスを有するものであり、たとえば−100/−150m
mHgに設定される。PB≧PBOPであるときには第2ステッ
プS2に、またPB<PBOPであるときには第21ステップS21
に進む。
第21ステップS21ではスロットル開度θTHが設定スロ
ットル開度θTHOP未満であるかどうかが判定される。こ
の設定スロットル開度θTHOPはたとえば20/15degに設定
される。θTH≧θTHOPのときには第2ステップS2に進
み、θTH<θTHOPのときには第22ステップS22に進む。
さらに第22ステップS22では、スロットル開度変化率
ΔθTHが、ヒステリシスを有して設定された設定スロッ
トル開度変化率ΔθTHOP1未満であるかどうかが判定さ
れ、ΔθTH<ΔθTHOP1であるときには第23ステップS23
に、またそれ以外のときには第2ステップS2に進む。次
の第23ステップS23では、フラグFが0であるかどうか
が判定され、F=0である場合には第3ステップS3でソ
レノイド73を消磁し、F=1である場合に第8ステップ
S8でソレノイド73を励磁する。
このような手順を纏めると、第6ステップS6および第
7ステップS7の判断で、吸気温TAが設定吸気温TAOP0
満てあって機関回転数NEが設定回転数NOP1を超えるとき
には、ソレノイド73を励磁して可動ベーン54が固定ベー
ン49との間の空隙流通面積を大とする方向に作動する。
これにより機関の始動時における過給圧の低減を図ると
ともに、吸気温TAが低過ぎることによる機関への過負荷
を回避することができる。
また第12ステップS12で65/63km/hを超える車速状態で
はソレノイド73を消磁しているが、これはそのような高
車速状態では第5図で示した電磁制御弁69の制御で充分
であるからである。さらに第13ステップS13ないし第18
ステップS18では4/3km/h以下の低車速すなわちほぼ停止
している状態で、前回の車速がほぼ停止状態にあるとき
にはタイマをリセットし、そのタイマたとえば1分が経
過する間ソレノイド73を励磁して、可動ベーン54を流通
面積が大きくなるように作動せしめる。これは再スター
ト時に可動ベーン54が流通面積を小とする側にあると、
過給圧P2が一時的に上昇して発進ギヤ等に過負荷がかか
るので、それを防止するためのものである。さらに車速
が4/3km/h以下のときに可動ベーン54が流通面積を小と
する側にあると、可変容量ターボチャージャ5が慣性等
で回転しているときにその回転を助長することになり、
その場合スロットル開度θTHはほぼ全閉であるので過給
圧がスロットル弁上流の吸気路内圧を上昇せしめること
になる。そこで、可動ベーン54を流通面積が大となる方
向に作動せしめることにより上記昇圧によるサージング
の発生が防止される。しかも冷間時の発進直後の触媒温
度上昇にも寄与することができる。
それ以外の第19ないし第22ステップS19〜S22の判定条
件により、VOP2<V<VOP1、NE<NOP3、PB<PBOP、θTH
<θTHOP、ΔθTH<ΔθTHOP1が全て成立したとき、す
なわち機関の部分負荷時の緩加速状態では、ソレノイド
73を励磁して過給圧P2を低下させ、それによりポンピン
グロスを防止することができる。
以上の実施例では可動ベーン54を作動させて容量を変
化させるようにした可変容量ターボチャージャを取上げ
て説明したが、本発明は、ウェストゲート方式の可変容
量ターボチャージャにも適用可能である。
C.発明の効果 以上のように本発明方法によれば、インタクーラ下流
側の吸気温が設定吸気温未満であり且つ機関回転数が第
1設定回転数を超える場合には、過給圧を低下させるべ
く可変容量部を容量増大側に制御するので、機関始動時
には、吸気温が低くても機関回転数が低いときには過給
圧を不必要に低下させることを回避して過給特性を向上
させることができ一方、機関回転数が高くて機関に過大
な負荷がかかるときには過給圧を低下させて機関の耐久
性向上を図ることができる。
またインタクーラ下流側の吸気温が設定吸気温を超え
ても、機関始動後所定時間内で機関回転数が第2設定回
転数未満であり且つスロットル開度の増加変化率が所定
値を超えない場合には、過給圧を低下させるべく可変容
量部を容量増大側に制御するので、冷間始動時で、イン
タクーラ下流側の吸気温が設定吸気温を超えた直後であ
っても、機関回転数が比較的低く加速要求も比較的少な
い(従って発進加速性を損なうおそれもない)運転状態
では過給圧の急激な上昇を回避して、機関やターボチャ
ージャの耐久性向上が図られると共に、触媒の耐久性向
上や活性化に寄与することができる。
また特に本発明の第3の特徴によれば、前記場合に可
変容量部を容量増大側へ制御するに当たり、スロットル
開閉に敏感に応答するスロットル弁下流側の吸気圧を用
いることができるため、その制御性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図は内燃機
関の吸気系および排気系を示す全体概略図、第2図は可
変容量ターボチャージャの拡大縦断側面図、第3図は第
2図のIII−III線断面図、第4図は第2図のIV−IV線断
面図、第5図は可変容量部を駆動するための電磁開閉弁
の制御手順を示すフローチャートである。 4……インタクーラ、5……可変容量ターボチャージ
ャ、54……可変容量部としての可動ベーン、60……アク
チュエータ、62……第1圧力室、63……第2圧力室、69
……第1制御弁としての電磁制御弁、72……第2制御弁
としての電磁開閉弁、E……機関本体、NE……機関回転
数、NOP1……第1設定回転数、NOP2……第2設定回転
数、TA……吸気温、TAOP0……設定吸気温
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−129420(JP,A) 特開 昭60−128930(JP,A) 特開 昭62−103421(JP,A) 特開 昭60−81425(JP,A) 特開 昭63−5117(JP,A) 特開 昭61−207827(JP,A) 実開 昭60−63035(JP,U) 実開 昭61−186741(JP,U) 実開 昭61−17429(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】過給圧(P2)を変化させるための可変容量
    部(54)を有するとともにインタクーラ(4)を介して
    機関本体(E)に接続される可変容量ターボチャージャ
    の制御方法において、 インタクーラ(4)下流側の吸気温(TA)が設定吸気温
    (TAOP0)未満であり且つ機関回転数(NE)が第1設定
    回転数(NOP1)を超える場合と、 前記吸気温(TA)が設定吸気温(TAOP0)を超えても、
    機関始動後所定時間内で機関回転数(NE)が第2設定回
    転数(NOP2)未満であり且つスロットル開度の増加変化
    率(ΔθTH)が所定値(ΔθTHOP2)を超えない場合に
    は何れも、過給圧(P2)を低下させるべく可変容量部
    (54)を容量増大側に制御することを特徴とする、可変
    容量ターボチャージャの制御方法。
  2. 【請求項2】前記可変容量部(54)は、気圧応動式のア
    クチュエータ(60)の作動に応じて制御され、 このアクチュエータ(60)は、ターボチャージャ(5)
    下流側の過給圧(P2)が導入されて該可変容量部(54)
    を容量増大側に付勢する第1圧力室(62)と、スロット
    ル弁下流の吸気圧(PB)が導入されて該可変容量部(5
    4)を容量増大側に付勢する第2圧力室(63)とを備え
    たことを特徴とする、請求項1に記載の可変容量ターボ
    チャージャの制御方法。
  3. 【請求項3】前記第1圧力室(62)へターボチャージャ
    (5)下流側の過給圧(P2)を供給する管路に第1制御
    弁(69)を、また前記第2圧力室(63)へスロットル弁
    下流の吸気圧(PB)を供給する管路に第2制御弁(72)
    をそれぞれ設け、 その第2制御弁(72)を前記場合に開弁させるようにし
    たことを特徴とする、請求項2に記載の可変容量ターボ
    チャージャの制御方法。
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