JP2523140Y2 - 防音床材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は床材特に家屋の階上部分に使用して床面の衝
撃による固体音の階下への伝搬を防止する防音床材に関
する。

〔従来技術およびその課題〕 従来の建材への衝撃による固体音の伝搬を防止する防
音建材としては次のような公知例が挙げられる。

（ａ）実開昭50-49917号 この公知例の床材は床材本体の裏面に発泡倍率3-10倍
の軟質高発泡層およびエンボス加工せる発泡倍率1.5〜
３倍未満の軟質低発泡層を順次積層せしめたものであ
る。

（ｂ）実開昭61-47339号 この公知例の防音性木質床材は木質板下面全体に複数
層よりなる遮音用発泡体が貼り付けられており、隣接す
る上下の層の発泡倍率が相互に異ならしめているもので
ある。

そしてこれらの公知例のように発泡倍率の異なる発泡
体を複合されたものは、剛性の低い緩衝材であり、その
緩衝効果により直ちに緩衝力を受けた場合、その発泡体
の変形される間、緩衝時間が長くなり、運動量の変化、
すなわち力積、衝撃力の時間的積分値は一定であって
も、衝撃力のピーク値や衝撃固有周波数を低下させ、基
盤への衝撃入力エネルギーは低減され衝撃による音や振
動は共に低下される。

またこれらの緩衝材を建材の裏面に複合した時、衝撃
力は建材の曲げ振動で生じる緩衝材の伸縮変形によっ
て、エネルギー吸収を行なうものである。

しかしながら、建材と緩衝材との厚さ比の影響が高
く、厚さ比を２−３倍にする必要があり、緩衝材が厚く
なりすぎてしまい、建材自体のたわみがひどく建材の接
続部の破損の発生、床材に用いた場合には、歩行の不安
感の原因となるという問題点を残している。

〔問題点を解決するための手段〕

このような現状に鑑み、本考案者は上記先行技術の問
題点を解決すべく研究を重ねた結果、本考案を完成する
に至った。

すなわち本考案は、合成樹脂板の、表面にシート状化
粧材が施され、裏面に拘束シートの少なくとも一部が埋
設されてなる積層板と、該積層板の裏面に積層接着して
なる緩衝材から形成される防音床材である。

〔実施例の説明〕

以下本考案の防音床材の実施例を図面に基づいて説明
する。

第１図は、表面側からシート状化粧材１、合成樹脂板
２および拘束シート３の順で構成される積層板Ａの断面
図である。表面側にシート状化粧材１として、突板、合
成樹脂あるいは合成樹脂発泡化粧シート、化粧紙あるい
は合成樹脂含浸化粧紙などを積層接着することによりシ
ート状化粧材１が形成される。このように薄いシート状
化粧材１を用いることにより、その下面に積層される合
成樹脂板の有する伸縮力および弾性をシート状化粧材に
より遮断されることなく、シート状化粧材１の表面にお
いても同様に発揮される。この際、突き板等の湿度の影
響で反りが生じるものを用いる場合は、突き板と合成樹
脂板との間に、さらに１枚の単板を、突き板の繊維方向
に対し繊維方向が垂直方向になるように設けることによ
り反りの防止をすることができる。

合成樹脂板２は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹
脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリビニ
ルホルマール、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、ユリア樹脂等を用い、これら合成樹脂を、板状
体に加工したものを用いることができる。

これら合成樹脂板は、成型する際、木粉、パルプ粉、
バカス粉、麹穀粉、ヤシ穀粉等のセルロース系微細骨材
を含有させることにより、合成樹脂の有する熱又は湿度
の影響で膨張収縮する特性よりも、木の有する膨張収縮
特性に近いものとすることができる。特に表面のシート
状化粧材として突き板等の木質単板を用いるときは、こ
の木質単板と合成樹脂板との膨張収縮差が少なくなり、
接合した時の反りを防止する上で好ましい。

また、裏面には、拘束シート３の少なくとも一部3a
が、合成樹脂板１中に埋設するように設けられている。
拘束シートとしては、不織布又は織布および寒冷紗等を
用いる。

すなわち縦糸x,横糸ｙの一部が合成樹脂板２中に埋設
している。

このように拘束シートの少なくとも一部を合成樹脂板
中に埋設することにより、合成樹脂板１の反りを防止す
ると共に、その裏面に緩衝材を積層接着する際、接着剤
がこの拘束シート３に浸透し緩衝材との接着強度を向上
させることができる。

この場合拘束シート３として前記したように不織布状
の間隙あるいは粗目の織目状の間隙のあるものを用いる
のが好ましい。なぜならば、拘束シート３が合成樹脂板
２中にその一部が埋設し易くなるし、また緩衝材４との
接着剤が拘束シート３中に浸透し易くなる。

拘束シート３の少なくとも一部を、合成樹脂板に埋設
させるには、合成樹脂板を成型する際、型枠内に前もっ
て敷いた拘束シート３の上に合成樹脂を注入硬化させる
か、加工した合成樹脂板に、拘束シートを熱圧すること
により埋設するか、または合成樹脂板を構成する樹脂と
同一の樹脂もしくは接着剤により接着することにより埋
設することができる。

第２図は、第１図で示される積層板Ａの裏面に緩衝材
４を貼着した本考案の防音床を示している。図中、緩衝
材４は、フェルト、ヤシ繊維マット、ガラス繊維マッ
ト、木繊維、ゴム系、発泡ゴム系、合成樹脂あるいは発
泡合成樹脂系、アスファルト系などの粘弾性を有するシ
ート状物または、内部に鉛粉、酸化鉄等の比重４以上の
重量物が混合された上記の如きシート状物からなり、圧
縮ヤング係数が0.05-30kg/cm²であることが好ましい。
この緩衝材は伝搬される衝撃力をそれ自体の伸縮変形に
より衝撃エネルギー吸収を行なうものである。

〔考案の効果〕 積層板Ａの中間層に用いる合成樹脂板が伸縮力を有す
るため、表面に与えられた衝撃を、板状体全体の曲げ変
形に加え、この伸縮変形により吸収するため、木質板状
体を用いる場合に比べ、優れた衝撃吸収機能を示す。さ
らにその裏面に貼着された緩衝材により積層板Ａで吸収
することのできなかった振動を吸収し、階下への衝撃音
の伝搬を防止することができる。

不織布状、織目状の間隙のある拘束シート３の一部を
合成樹脂板２中に埋設したので、合成樹脂板２の反りを
防止すると共に、緩衝材４を合成樹脂板２に接着する際
接着剤が拘束シート３中に浸透し、両者の接着強度が向
上する。

【図面の簡単な説明】

第１図：積層板の断面図、第２図：本考案防音床材の断
面図、1:シート状化粧材、2:合成樹脂板、3:拘束シー
ト、3a:埋設される一部、4:緩衝材、A:積層板、x:縦
糸、y:横糸。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂板２の、表面に薄いシート状化粧
   材１が施され、裏面に不織布状、織目状の間隙のある拘
   束シート３の少なくとも一部が埋設されてなる積層板Ａ
   と、 該積層板Ａの裏面に積層接着してなる緩衝材４から形成
   される防音床材。
2. 【請求項２】合成樹脂板２に、セルローズ系微細骨材が
   含有されている請求項１記載の防音床材。