JP2522212B2 - 車両の補助操舵装置 - Google Patents

車両の補助操舵装置

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JP2522212B2 JP31803187A JP31803187A JP2522212B2 JP 2522212 B2 JP2522212 B2 JP 2522212B2 JP 31803187 A JP31803187 A JP 31803187A JP 31803187 A JP31803187 A JP 31803187A JP 2522212 B2 JP2522212 B2 JP 2522212B2
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文章 村上
正利 黒柳
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要三 間嶋
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は、所謂、アンチスキッド制御装置搭載車両
の、左右車輪走行路面の路面摩擦係数が異なる路面での
制動初期の安定性向上に有効な車両の補助操舵装置に関
する。
[従来の技術] 走行中の車両の急制動時には、車輪と路面との間の摩
擦力に限界があるので、該限界を越えた車輪はロック状
態を陥り、車両は所謂スキッド状態に移行してしまう。
このような、所謂スキッド状態への移行を防止するため
に、例えば、左右車輪の回転速度を検出し、該回転速度
から求まる車体速度と車輪速度とに基づいて、左右各車
輪に各々独立に制動力を作用させる制御を行なう、所謂
アンチスキッド制御装置が知られている。
上記、所謂アンチスキッド制御装置搭載車両では、制
御制御時には、左右車輪の接地路面の路面摩擦係数の相
違により、各車輪に作用する制動力、例えば、ブレーキ
圧等が異なる。すなわち、路面摩擦係数が低い側の車輪
はロック状態に陥り易いのでブレーキ圧を降下して転動
させ、一方、路面摩擦係数が高い側の車輪はロック状態
に陥り難いのでブレーキ圧を上昇して制動力を発揮させ
るのである。このため、左右車輪の一方が、濡れた路
面、ぬかるみ、凍結路、積雪路等を、他方が乾燥した路
面等を走行する場合、すなわち、左右車輪の接地路面の
摩擦係数が相違する路面(所謂、またぎ路等)走行時に
急制動すると、左右車輪の制動力差に起因するヨーイン
グモーメントが発生し、車両進路が高摩擦係数路面側に
偏向し、著しいときには、車両がスピン状態に陥ること
もあった。
従来より、上記のような不具合点に対する対策とし
て、例えば、左右各車輪のうち高摩擦係数路面側の車輪
のブレーキ圧を、低摩擦係数路面側の車輪が所謂ロック
状態に陥らない程度のブレーキ圧より所定圧力だけ高い
圧力に制限して緩め、左右ブレーキ圧の差を減少させる
ことが考えられている。
また、例えば、制動装置の流体圧に基づいて伸縮する
油圧シリンダを車輪と車体との間に略幅方向に連結し、
制動時に生じる流体圧を導入して車輪のトー角変動を抑
制し、制動時および停止時における車両の安定性を向上
させる「制動時安定装置」(実開昭61−113006号公報)
等が提案されている。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、高摩擦係数路面側の車輪のブレーキ圧を制限
して弛める技術では、該高摩擦係数路面側の車輪のブレ
ーキ圧が低摩擦係数路面側の車輪のブレーキ圧に応じた
圧力ま低下してしまうので、充分な制動力を発揮でき
ず、減速時の運転感覚の悪化や停止時の制動距離の増加
といった弊害を生じ、総合的な制動性能の低下を招くと
いう問題点があった。
一方、左右車輪の接地路面の摩擦係数が相違する路面
走行時に急制動したときは、アンチスキッド制御実行に
伴う左右車輪の制動力差である左右ブレーク圧の差に応
じた修正操舵角だけ修正操舵を行なうと、ヨーレイトγ
は、第17図に実線で示すように、アンチスキッド制御だ
けを実行した場合(同図に破線で示す)に比較して減少
するので、車両の偏向量も少なくなる。ところが、制動
開始時刻T1からアンチスキッド制御開始時刻T2までは高
摩擦係数路側および低摩擦係数路側のブレーキ圧PH,PL
が同様に上昇するが、該アンチスキッド制御開始時刻T2
直後は、高摩擦係数路側と低摩擦係数路側との左右ブレ
ーキ圧差ΔPが急激に変動する非定常状態となり、該左
右ブレーキ圧差ΔPが定常状態に移行するまでの期間不
安定になる。したがって、左右車輪の制動力差の増大お
よび該制動力差に応じて定まる修正操舵角の増加に起因
するヨーイング方向の作用力が発生するので、制動初期
における車両の偏向や該偏向に起因するローリングを防
止できず、操縦性・安定性の低下を招くと共に、乗り心
地も悪化するという問題もあった。
このことは、所謂またぎ路での急制動時における車両
の偏向量増大を招き、直進安定性も低下するので、特に
顕著な問題となった。
また、制動初期には、車両系や車輪の操舵系に起因す
る修正操舵の応答遅れを生じるので、制動制御の応答性
・追従性が低下してしまうという問題点があった。
さらに、制動初期に、乗員に不快感や違和感を与える
ヨーイング方向およびローリング方向の短周期振動が発
生するため、車両姿勢を安定に保持したまま減速、ある
いは、停車が極めて困難であるので、車両走行時の信頼
性も低下してしまうという問題があった。
本発明は、左右車輪の接地路面の摩擦係数が相違する
路面(所謂、またぎ路等)走行時に急制動した場合で
も、制動距離を増加させること無く、車両の偏向量を低
減し、制動初期における操縦性・安定性および乗り心地
を好適に改善可能な車両の補助操舵装置の提供を目的と
する。
発明の構成 [問題点を解決するための手段] 上記問題を解決するためになされた本発明は、第1図
に例示するように、 外部から指令される制動力を、車両の前輪あるいは後
輪の少なくとも一方の左右車輪に各々独立に作用させる
制動手段M1と、 外部から指示される操舵角に従って、上記車両の前
輪、あるいは、後輪の少なくとも一方の左右車輪を操舵
する操舵手段M2と、 上記車両の制動状態を検出する制動状態検出手段M3
と、 該制動状態検出手段M3の検出した制動状態に応じて、
左右車輪の目標制動力を各々独立に算出する制動力算出
手段M4と、 該制動算出手段M4の算出した左右車輪各々の目標制動
力を上記制動手段M1に個別に指令する制動制御手段M5
と、 該制動制御手段M5の指令による制動時、左右車輪各々
の制動力の差を算出する制動力差算出手段M6と、 該制動力差算出手段M6の算出した制動力差に応じて前
記車両の前輪、あるいは、後輪のうち少なくとも一方の
左右車輪の修正操舵角を算出する修正操舵角算出手段M7
と、 該修正操舵角算出手段M7の算出した修正操舵角を上記
操舵手段M2に指示する操舵制御手段M8と、 上記制動制御手段M5の指令による制動開始時から所定
時間に亘って、上記制動力算出手段M4の算出する左右車
輪各々の目標制動力のうち大きい方の制動力をより小さ
い側に制限する制動力制限手段M9と、 を備えたことを特徴とする車両の補助操舵装置を要旨
とするものである。
制動手段M1とは、外部から指令される制動力を、車両
の左右車輪に各々独立に作用させるものである。例え
ば、ブレーキペダルに応動して作動流体の圧力を昇圧す
るマスタシリンダ、該マスタシリンダ圧力に追従する作
動流体圧力源、各車輪に配設されたホイールシリンダお
よびこれらの接続を、外部からの制御信号に応じて連通
・遮断する電磁弁等のアクチュエータを備えた油空圧回
路から成る、所謂アンチスキッド装置により実現でき
る。
操舵手段M2とは、外部から指示される操舵角に従っ
て、車両の前輪、あるいは、後輪の少なくとも一方の左
右車輪を操舵するものである。例えば、マルチリンクサ
スペンションの何れかのアームを、外部からの制御信号
により圧力源から高圧作動流体の供給を受けて伸縮する
アクチュエータに置き換え、後輪を操舵する4輪操舵装
置により構成できる。また、例えば、前輪の操舵角が、
運転者の意図に応じた操舵角を外部から指示される修正
操舵角により補正して得られる目標操舵角になるように
制御する操舵装置により構成しても良い。
制動状態検出手段M3とは、車両の制動状態を検出する
ものである。例えば、左右各車輪の回転速度に応じた信
号を出力する電磁ピックアップ式車輪速度センサ、左右
各車輪のホイールシリンダに作用する作動流体の圧力を
検出する半導体圧力センサから成るブレーキ圧センサ、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキスイッチ
等により実現できる。
制動力算出手段M4とは、制動状態検出手段M3の検出し
た制動状態に応じて、左右車輪の目標制動力を各々独立
に算出するものである。例えば、車体速度と車輪速度と
から、予め定められたマップ、もしくは、演算式に基づ
いて、左右車輪の目標ブレーキ圧を算出するよう構成で
きる。
制動制御手段M5とは、制動力算出手段M4の算出した左
右車輪各々の目標制動力を制御手段M1に個別に指令する
ものである。例えば、左右車輪のホイールシリンダ圧力
が各々目標ブレーキ圧となる駆動デューティ比を、ブレ
ーキ液圧回路に介装されたソレノイドバルブに個別の出
力するよう構成しても良い。
制動力差算出手段M6とは、制動制御手段M5の指令によ
る制動時に、左右車輪各々の制動力の差を算出するもの
である。例えば、左右前輪、もしくは、左右後輪の少な
くとも一方の相互の目標ブレーキ圧の差を演算するよう
構成できる。また、例えば、左右前輪、もしくは、左右
後輪の少なくとも一方の相互ホイールシリンダ圧力の差
を検出するように構成しても良い。
修正操舵角算出手段M7とは、制動力差算出手段M6の算
出した制動力差に応じて車両の前輪、あるいは、後輪の
うち少なくとも一方の左右車輪の修正操舵角を算出する
ものである。例えば、左右車輪の目標ブレーキ圧差、あ
るいは、検出されたブレーキ圧差から、予め定められた
マップ、もしくは、演算式に基づいて、基本修正操舵角
を算出し、さらに、該基本修正操舵角を車体速度に応じ
て補正して修正操舵角を算出するように構成できる。
操舵制御手段M8とは、修正操舵角算出手段M7の算出し
た修正操舵角を操舵手段M2に指示するものである。例え
ば、左右後輪を修正操舵角だけ操舵する制御信号を、後
輪操舵装置のアクチュエータに出力するよう構成でき
る。また、例えば、左右前輪を、運転者の意図する操舵
角に修正操舵角を加えた角度だけ補正して操舵する制御
信号を、前輪操舵装置のアクチュエータに出力するよう
に構成しても良い。
制動力制限手段M9とは、制動制御手段M5の指令による
制動開始時から所定時間に亘って、制動力算出手段M4の
算出する左右車輪各々の目標制動力のうち大きい方の制
動力をより小さい側に制限するものである。例えば、ア
ンチスキッド制御開始後、所定時間経過するまで、左右
車輪の各目標制動力のうち、大きい方の目標制動力を小
さい方の目標制動力により所定制動力だけ大きく設定し
て上限値を制限するように構成できる。
上記制動力算出手段M4、制動制御手段M5、制動力差算
出手段M6、修正操舵角算出手段M7、操舵制御手段M8およ
び制動力制限手段M9は、例えば、各々独立したディスク
リートな論理回路により実現できる。また、例えば、周
知のCPU,ROM,RAMおよびその他の周辺回路素子と共に論
理演算回路として構成され、予め定められた処理手順に
従って上記各手段を実現するものであってもよい。
[作用] 本発明の車両の補助操舵装置は、第1図に例示するよう
に、制動状態検出手段M3の検出した制動状態に応じて制
動力算出手段M4が各々独立に算出した左右車輪の目標制
動力を制動制御手段M5は制動手段M1に個別し指令し、一
方、該制動制御手段M5の指令による制動時、制動力差算
出手段M6の算出した制動力差に応じて修正操舵角算出手
段M7が算出した車両の前輪、あるいは、後輪のうち少な
くとも一方の左右車輪の修正操舵角を操舵制御手段M8が
操舵手段M2に指示するに際し、上記制動制御手段M5の指
令による制動開始時から所定時間に亘って、制動力制限
手段M9は、上記制動力算出手段M4の算出する左右車輪各
々の目標制動力のうち大きい方の制動力をより小さい側
に制限するように働く。
すなわち、制動初期には、左右車輪の制動力差が非定
常状態になるため、制動制御開始時から所定時間に亘っ
て左右車輪の目標制動力の差を所定値以内に制限し、該
制動力差の変動による車両の挙動変化および該制動力差
に応じて定まる修正操舵角の急激な変化を防止するので
ある。
従って、本発明の車両の補助操舵装置は、車両の制動
時に、制動距離の増加を招くことなく、制動初期におけ
る左右車輪の制動力差および修正操舵角の急変に起因す
る車両進路の偏向や姿勢変化(ロール等)を抑制するよ
う働く。
以上のように本発明の各構成要素が作用することによ
り、本発明の技術的課題が解決される。
[実施例] 次に本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説
明する。本発明の一実施例である車両制御装置のシステ
ム構成を第2図に示す。
同図に示すように、車両制御装置1は、4輪アンチス
キッド装置2、後輪操舵装置3およびこれらを制御する
電子制御装置(以下単にECUと呼ぶ。)4から構成され
ている。
上記4輪アンチスキッド装置2は、左・右前後輪5,6,
7,8に対応して配設されたホイールシリンダ9,10,11,12
に、ブレーキペダル13aの踏込に応じてブレーキ圧を発
生するマスタシリンダ13からの作動油を、管路14a,14b,
14c,14dを介し、上記ECU4の制御の基に作動するブレー
キ制御用油圧回路15から供給するように構成されてい
る。
また、上記後輪操舵装置3は、左後輪7を車体に支持
するロワーアーム21および後輪操舵用アクチュータ22、
右後輪8を車体に支持するロワーアーム23および後輪操
舵用アクチュエータ24、上記ECU4の制御に従って上記両
後輪操舵用アクチュエータ22,24に作動油を供給する後
輪操舵用油圧回路25から構成されている。
上記車両制御装置1は検出器として、左・右前後輪5,
6,7,8の回転速度を検出する電磁ピックアップ式の車輪
速度センサ31,32,33,34、左・右前後のホイールシリン
ダ9,10,11,12に供給されるブレーキ圧を検出するブレー
キ圧センサ35,36,37,38、ブレーキペダル13aの操作状
態、すなわち、制動時・非制動時に応じたブレーキ信号
を出力するブレーキスイッチ39、ステアリングホイール
40aの操作量から操舵角を検出するステアリングセンサ4
0、左右後輪7,8の操舵角を検出する後輪操舵角センサ4
1,42を備える。
次に、上記ブレーキ制御用油圧回路15の構成を第3図
に基づいて説明する。左・右前後輪5,6,7,8に対する油
圧回路構成は同一のため、左前輪5を一例として説明す
る。同図に示すように、モータ51により駆動され、リザ
ーバタンク52から作動油を吸い込む油圧ポンプ53の吸込
口と吐出口との間には、ブレーキペダル13aの踏込時
に、マスタシリンダ13の油圧により、上記油圧ポンプ53
の吸込口と吐出口との間を連通状態から遮断状態に切り
換え、保持するリリーフバルブ54が介装されている。該
リリープバルブ54の作用により、上記マスタシリンダ13
の発生する油圧に上記油圧ポンプ53の発生する油圧を追
従させられる。上記油圧ポンプ53の吐出口は、左前輪ブ
レーキ圧制御用リニアソレノイドバルブ(3ポート比例
電磁弁)55FLを介してホイールシリンダ9と接続されて
いる。該左前輪ブレーキ圧制御用リニアソレノイドバル
ブ55FLは、上記EUC4からのデューティ比制御信号に応じ
て流量を変更する。本実施例では、デューティ比が0
[%]のときに最小流量、一方、デューティ比が100
[%]のときに最大流量となる。なお、既述したよう
に、ホイールシリンダ9に供給されるブレーキ圧は半導
体圧力センサから成るブレーキ圧センサ35により、左前
輪5の回転速度は電磁ピックアップ式の車輪速度センサ
31により、各々検出され、上記ECU4に入力される。
次に、上記後輪操舵用油圧回路25の構成を第4図に基
づいて説明する。左・右後輪7,8に対する油圧回路構成
は同一のため、左後輪7を一例として説明する。同図に
示すように、モータ61により駆動され、リザーバタンク
62から作動油を吸い込む油圧ポンプ63が発生する高圧の
作動油はアキュームレータ64に蓄圧される。該アキュー
ムレータ64に蓄圧された高圧の作動油は、左後輪操舵制
御用第1方向切換弁(3ポート3位置電磁弁)65Lを介
して後輪操舵用アクチュエータ22のシリンダ67Lの第1
室67Laに、また、左後輪操舵制御用第2方向切換弁(3
ポート3位置電磁弁)66Lを介して後輪操舵用アクチュ
エータ22のシリンダ67Lの第2室67Lbに、各々供給され
る。上記左後輪操舵制御用第1方向切換弁65Lおよび左
後輪操舵制御用第2方向切換弁66Lは、各々上記ECU4か
らの制御信号に従って、増圧位置65La,66La、保持位置6
5Lb,66Lb、減圧位置65Lc,66Lcの3位置に切り替わる。
このような、左後輪操舵制御用第1方向切換弁65Lおよ
び左後輪操舵制御用第2方向切換弁66Lの切換位置に応
じて、上記シリンダ67Lと摺動自在に嵌合したピストン6
8Lが左右に移動、もしくは、停止する。該ピストン68L
に連設されたピストンロッド69Lの一端部はナックルア
ーム70Lに連結されており、上記ピストン68Lの移動に応
じて左後輪7が操舵される。なお、該左後輪7の操舵角
は、上記ピストン68Lの位置を計測する左後輪操舵角セ
ンサ41により検出され、上記ECU4に入力される。
次に、上記ECU4の構成を第5図に基づいて説明する。
同図に示すように、ECU4は、CPU4a,ROM4b,RAM4c,タイマ
4dを中心に論理演算回路として構成され、コモンバス4e
を介して、入力ポート4f、出力ポート4gに接続され、外
部との入出力を行なう。車輪速度センサ31,32,33,34お
よびブレーキスイッチ39の検出信号は、波形整形回路4h
で波形整形された後、入力ポート4fからCPU4aに入力さ
れる。また、ブレーキ圧センサ35,36,37,38、後輪操舵
角センサ41,42およびスタアリングセンサ40の検出信号
は、アナログバッファ4iおよびA/D変換を行なうA/Dコン
バータ4jを介して、入力ポート4fからCPU4aに入力され
る。一方、CPU4aは出力ポート4gを介して制御信号を出
力回路4kに出力し、該出力回路4kはブレーキ圧制御用ソ
レノイドバルブ55FL,55FR,55RL,55RRを駆動する。さら
に、CPU4aは出力ポート4gを介して制御信号を出力回路4
mに出力し、該出力回路4mは後輪操舵制御用方向切換弁6
5L,65L,65R,66Rを駆動する。
次に、上記ECU4が実行する制御操舵制御処理を、第6
図に示すフローチャートに基づいて説明する。本制動操
舵制御装処理は、ECU4の起動に伴って開始される。ま
ず、ステップ100では、メモリクリア、フラグリセッ
ト、初期値設定等の初期化処理が行われる。続くステッ
プ110では、上述した各センサおよびスイッチの検出信
号を読み込み処理が行われる。次に、ステップ120に進
み、ブレーキ制御(アンチスキッド制御処理)が必要か
否かを判定し、肯定判断されるとステップ160に、一
方、否定判断されるとステップ130に、各々進む。ブレ
ーキ制御の必要がないと判定されたときに実行されるス
テップ130では、ブレーキ制御中フラグFBを値0にリセ
ットする処理が行われる。続くステップ140では、非ブ
レーキ制御時の指令後輪操舵角θRSNを算出する処理が
行われる。本処理は、ステアリングセンサ40の検出する
前輪操舵角θFおよび車輪速度センサ31,32,33,34また
は、一般の車速センサ(ドライブシャフト回転数より検
出)の検出信号から求まる車体速度VBに基づいて指令後
輪操舵角θRSNを算出するものである。すなわち、第7
図に示すように、車体速度VBが所定車体速度VBNを越え
る範囲では後輪と前輪とを同位相に、かつ、車体速度VB
の増加に伴い転舵比を値1に接近させるように、前輪操
舵角θFおよび車体速度VBから指令後輪操舵角θRSNを
算出し、一方、車体速度VBが所定車体速度VBN以下の範
囲にある場合では後輪と前輪とを逆位相に、かつ、車体
速度VBの減少に伴い転舵比を値−1に接近させるように
指令後輪操舵角θRSNを算出する処理が行われる。次に
第6図のステップ150に進み、上記ステップ140で算出し
た非ブレーキ制御時の指令後輪操舵角θRSNを指令後輪
操舵角θRSとして設定し、後述するステップ700に進
む。
一方、上記ステップ120でブレーキ制御が必要である
と判定されたとき実行されるステップ160では、ブレー
キ制御中フラグFBが値1にセットされているか否かを判
定し、否定判断されるとステップ170に、一方、肯定判
断されるとステップ180に、各々進む。ブレーキ制御中
フラグFBが値1にセットされていないと判定されたとき
に実行されるステップ170では、ブレーキ制御開始時か
らの計時を行なうために、タイマTをリセット・スター
トする処理を行った後、ステップ180に進む。ステップ1
80では、タイマTの計時値が、所定時間T0{本実施例で
は数百[msec]程度}以上であるか否かを判定し、肯定
判断されるとステップ300に、一方、否定判断されると
ステップ200に、各々進む。ブレーキ制御開始時から未
だ所定時間T0だけ経過していないと判定されたときに実
行されるステップ200では、高ブレーキ圧制限アンチス
キッド制御処理を実行した後、ステップ400に進む。
本ステップ200で実行される高ブレーキ圧制限アンチ
スキッド制御処理は、第8図に示すような各処理から構
成されている。すなわち、ステップ201では、ブレーキ
制御中フラグFBを値1にセットする処理が行われる。続
くステップ205では、各車輪速度センサ31,32,33,34の検
出した車輪速度VWから、車体速度VB、車体加速度Bお
よび車輪加速度Wを演算する処理が行われる。次にス
テップ210に進み、各車輪のホイールシリンダの加える
目標ブレーキ圧を演算する処理が行われる。ここで、各
車輪の目標ブレーキ圧PYは、次式(1)〜(3)のよう
に算出される。すなわち、まず各々の車輪パラメータWP
を次式(1)、ブレーキ圧パラメータPMEDを次式(2)
のように決定する。
WP=K1×(VW−VB+K2)+K3 ×(W−B) …(1) PMED=PMED+K4×WP …(2) 次に、上記車輪パラメータWPおよびブレーキ圧パラメ
ータPMEDから、次式(3)のように各々4輪にたいする
目標ブレーキ圧PYを算出する。
PY=PMED+K5×WP …(3) 但し、K1〜K5は定数であり、予めROM4b内部に記憶され
ている。
続く、ステップ215では、左右車輪の目標ブレーキ圧
の差を、前輪側および後輪側各々独立に演算する処理が
行われる。次にステップ220に進み、上記目標ブレーキ
圧の差が所定値以上であるか否かを判定し、肯定判断さ
れるとステップ230に、一方、否定判断されるとステッ
プ225に各々進む。上記目標ブレーキ圧の差が所定値以
内であると判定されたときに実行されるステップ225で
は、上記ステップ210で算出した目標ブレーキ圧を左・
右前後輪の目標ブレーキ圧として設定する処理を行った
後、ステップ240に進む。一方、上記ステップ220で上記
目標ブレーキ圧の差が所定値以上であると判定されたと
きに実行されるステップ230では、低摩擦係数路側の目
標ブレーキ圧として、上記ステップ210で算出した目標
ブレーキ圧を、そのまま設定する処理が行われる。続く
ステップ235では、高摩擦係数路側の目標ブレーキ圧と
して、上記ステップ230で設定した低摩擦係数路側の目
標ブレーキ圧に所定値を加えた圧力を設定する処理が行
われる。本ステップ235の処理により、高摩擦係数路側
の目標ブレーキ圧の上限値が制限される。
次にステップ240に進み、現在のブレーキ圧PXから最
大値PMAX、最小値PMINを設定する処理が行われる。ここ
で、最大値PMAXは、デューティ比Dが100[%]、すな
わち、増圧指令のみからなる制御信号をブレーキ圧制御
用リニアソレノイドバルブ55FL,55FR,55RL,55RRに出力
した場合に、周期終了時点で到達すると予想される推定
ブレーキ圧であり、一方、最小値PMINHは、デューティ
比Dが0[%]、すなわち、減圧指令のみからなる制御
信号をブレーキ圧制御用リニアソレノイドバルブ55FL,5
5FR,55RL,55RRに出力した場合に、周期終了時点で到達
すると予想される推定ブレーキ圧である。続くステップ
245では、目標ブレーキ圧PYと最大値PMAX、最小値PMIN
とを比較する処理が行われる。目標ブレーキ圧PYが最小
値PMIN以下の場合に実行されるステップ250では、デュ
ーティ比Dを0[%]、すなわち、減圧指令のみからな
る制御信号となるように設定する処理を行った後、ステ
ップ280に進む。一方、目標ブレーキ圧PYが最大値PMAX
以上の場合に実行されるステップ260ではデューティ比
Dを100[%]、すなわち、増圧指令のみからなる制御
信号となるように設定する処理を行った後、ステップ28
0に進む。さらに、目標ブレーキ圧PYが最小値PMINと最
大値PMAXとの間にある場合に実行されるステップ270で
は、デューティ比Dを、第9図に示す目標ブレーキ圧PY
と現在のブレーキ圧PXとの関係を規定したマップに従
い、必要に応じて補間演算を実行して算出し設定する処
理が行われる。ここで、dは一周期、例えば32[ms]に
おける増圧時間を表すパラメータであり、デューティ比
Dは次式(4)のように算出される。
D=100×d/32 …(4) なお、上記マップに代えて、次式(5)に示す演算式
からパラメータdを求めても良い。
PY=(PX+0.344×d) ×0.5×e0.0217d …(5) 次に、ステップ280に進み、上記ステップ250,260,270
の何れかの処理で設定されたデューティ比Dからなる制
御信号をブレーキ圧制御用リニアソレノイドバルブ55F
L,55FR,55RL,55RRに出力する処理を行った後、本高ブレ
ーキ圧制限アンチスキッド制御処理を終了し、制御は第
6図に示す制動操舵制御処理のステップ400に移行す
る。
一方、既述したステップ180で、ブレーキ制御開始時
から既に所定時間T0だけ経過したと判定されたときに実
行されるステップ300では、通常アンチスキッド制御処
理を実行した後、ステップ400に進む。
本ステップ300で実行される通常アンチスキッド制御
処理は、第10図に示すような各処理から構成されてい
る。すなわち、ステップ310では、各車輪のホイールシ
リンダを加える目標ブレーキ圧を設定する処理が行われ
る。ここで、各車輪の目標ブレーキ圧PYは、既述した式
(1)〜(3)のように算出される。続くステップ320
では、ブレーキ制御中フラグFBを値1にセットする処理
が行われる。
次にステップ330に進み、現在のブレーキ圧PXから最
大値PMAX、最小値PMINを設定する処理が行われる。
続くステップ340では、目標ブレーキ圧PYと最大値PMA
X、最小値PMINとを比較する処理が行われる。目標ブレ
ーキ圧PYが最小値PMIN以下の場合に実行にされるステッ
プ350では、デューティ比Dを0[%]、すなわち、減
圧指令のみからなる制御信号となるように設定する処理
を行った後、ステップ380に進む。一方、目標ブレーキ
圧PYが最大値PMAX以上の場合に実行されるステップ360
では、デューティ比Dを100[%]、すなわち、増圧指
令のみからなる制御信号となるように設定する処理を行
った後、ステップ380に進む。さらに、目標ブレーキ圧P
Yが最小値PMINと最大値PMAXとの間にある場合に実行さ
れるステップ370では、デューティ比Dを、既述した第
9図に示す目標ブレーキ圧PYと現在のブレーキ圧PXとの
関係を規定したマップに従い、必要に応じて補間演算を
実行して算出し設定する処理を行った後、ステップ380
に進む。
ステップ380では、上記ステップ350,360,370の何れか
の処理で設定されたデューティ比Dからなる制御信号を
ブレーキ圧制御用リニアソレノイドバルブ55FL,55FR,55
RL,55RRに出力する処理を行った後、本通常アンチスキ
ッド制御処理を終了し、制御は第6図に示す制動操舵制
御処理のステップ400に移行する。
ステップ400では、ステアリングセンサ40の検出した
前輪操舵角θFの絶対値が所定前輪操舵角θ0より小さ
いか否かを判定し、肯定判断されるとステップ500に、
一方、否定判断されるとステップ600に、各々進む。
上記ステップ400で前輪操舵角θFの絶対値が所定前
輪操舵角θ0より小さいと判定されたとき、すなわち、
直進走行時に実行されるステップ500では、指令後輪操
舵角θRSを算出する処理を実行した後、ステップ700に
進む。
本ステップ500で実行される指令後輪操舵角算出処理
は、第11図に示すような各処理から構成されている。す
なわち、ステップ510では、左右前輪のブレーキ圧PFR,P
RLから左右前輪5,6にかかるブレーキ圧差ΔPの絶対値
を算出する処理が行われる。続くステップ520では、上
記ステップ510で算出したブレーキ圧差ΔPの絶対値か
ら基本後輪操舵角θRSBを、第12図に示すようなマップ
に従って算出する処理が行われる。同図に示すように、
ブレーキ圧差ΔPの絶対値の増加に伴い基本後輪操舵角
θRSBは単調増加するが、最大値はθRSB1に制限されて
おり、一方、ブレーキ圧差ΔPの絶対値が値ΔP1より小
さい範囲は、ノイズ防止等の観点から不感帯に設定され
ている。なお、同図に示す関係を規定する演算式、もし
くは、同図に示す関係の一部を抜粋したテーブルに基づ
く補間計算等から基本後輪操舵角θRSBの算出しても良
い。次にステップ530に進み、車速補正係数KVを、第13
図に示すようなマップに従って算出する処理が行われ
る。同図に示すように、車速補正係数KVは、車体速度VB
が小さい間は値1近傍であり、該車体速度VBの増加に伴
い減少するよう規定されている。続くステップ540で
は、上記ステップ520で算出した基本後輪操舵角θRSBに
上記ステップ530で算出した車速補正係数KVを掛け、最
終的な指令後輪操舵角θRSを算出する処理を行った後、
本指令後輪操舵角算出処理を終了し、制御は第6図に示
す制動操舵制御処理のステップ700に移行する。なお、
上記指令後輪操舵角算出処理により、後輪7,8の操舵方
向は、ブレーキ圧の低い車輪側に車両を進行させるよう
に設定される。これは、上記高ブレーキ圧制限アンチス
キッド制御処理、もしくは、通常アンチスキッド制御処
理により各車輪5,6,7,8毎独立にブレーキ圧が制御さ
れ、ブレーキ圧の低い側の車輪の接地路面は摩擦係数が
低く、車両を摩擦係数が高い路面側に回転させようとす
るヨーイングモーメントが発生するので、車両を摩擦係
数が低い路面側に回転させるヨーイングモーメントを後
輪操舵により発生させて上記ヨーイングモーメントを抑
制し、車両を直進させるのである。
一方、上記ステップ400で前輪操舵角θFの絶対値が
所定前輪操舵角θ0より大きいと判定されたとき、すな
わち、旋回走行時に実行されるステップ600では、前輪
操舵時の指令後輪操舵角θRSを算出する処理を実行した
後、ステップ700に進む。
本ステップ600で実行される前輪操舵時の指令後輪操
舵角算出処理は、第14図に示すような各処理から構成さ
れている。すなわち、ステップ610では、非ブレーキ制
御時の指令後輪操舵角θRSNを、既述したステップ140と
同様な方法で算出する処理が行われる。続くステップ62
0では、既述したように算出される左右ブレーキ圧差Δ
Pの絶対値から補正角θPを、第15図に示すようなマッ
プに従って算出する処理が行われる。同図に示すよう
に、左右ブレーキ圧差ΔPの絶対値の増加に伴い補正角
θPは増加する。次にステップ630に進み、前輪5,6の操
舵方向を判定する処理が行われ、続くステップ640、ま
たは、ステップ650で左右車輪が接地する左右路面の摩
擦係数の大小関係を判定して上記ステップ620で算出し
た補正角θPの正負の符号を決定し、上記ステップ64
0、もしくは、ステップ650の判定に従って、ステップ66
0,670,680,690の何れかに進み、上記ステップ610で算出
され、前輪と後輪との操舵方向が同相のときは正、一
方、逆相のときは負の符号を備えた指令後輪操舵角θRS
Nを上述のように算出した補正角θPで補正する処理を
行った後、本前輪操舵時の指令後輪操舵角算出処理を終
了し、制御は第6図に示す制動操舵制御処理のステップ
700に移行する。なお、上記前輪操舵時の指令後輪操舵
角算出処理により、前記非ブレーキ制御時の指令後輪操
舵角θRSNに対して、左右車輪の接地路面の摩擦係数の
相違に起因して生じるヨーイングモーメントの大きさお
よび方向を考慮した補正が行われる。すなわち、左右車
輪のブレーキ圧の差により発生する、車両を高摩擦係数
路面側に回転させるヨーイングモーメントと同方向に前
輪5,6が操舵されているときは、後輪7,8の操舵角を、正
負の符号(同相は正、逆相は負)を含めてより増加させ
るように(同相のときは、指令後輪操舵角の絶対値が増
加し、逆相のときは、指令後輪操舵角の絶対値が減少す
る。)、一方、上記ヨーイングモーメントと逆方向に前
輪5,6が操舵されているときは、後輪7,8の操舵角を、正
負の符号を含めてより減少させるように、各々左右同一
に設定される。
次にステップ700に進み、後輪操舵角センサ41,42の検
出信号に基づいて、左右後輪7,8の実後輪操舵角θRを
算出する処理が行われる。続くステップ710では、上記
ステップ700で算出した実後輪操舵角θRと上記ステッ
プ150,500,600の何れかのステップで算出した指令後輪
操舵角θRSとを比較する処理が行われる。次にステップ
720に進み、上記ステップ710で比較して求めた実後輪操
舵角θRと指令後輪操舵角θRSとの偏差を減少可能な値
の、後輪操舵制御用方向切換弁65L,66L,65R,66Rへの駆
動電流を算出する処理が行われる。続くステップ730で
は、上記ステップ720で算出した駆動電流を後輪操舵制
御用方向切換弁65L,66L,65R,66Rに通電する駆動信号を
出力する処理を行った後、再び、上記ステップ110にも
どる。以後本制動操舵制御処理は、上記ステップ110〜
ステップ730を、例えば、8[ms]毎に繰り返して実行
される。
なお本実施例において、4輪アンチスキッド装置2が
制動手段M1に、後輪操舵装置3が操舵手段M2に、車輪速
度センサ31,32,33,34とブレーキ圧センサ35,36,37,38と
ブレーキスイッチ39とが制動状態検出手段M3に、各々該
当する。また、ECU4および該ECU4の実行する処理のうち
(ステップ310〜370)が制動力算出手段M4として、(ス
テップ280,380)が制動制御手段M5として、(ステップ5
10)が制動力差算出手段M6として、(ステップ520〜54
0,ステップ610〜690)が修正操舵角算出手段M7として、
(ステップ700〜730)が操舵制御手段M8として、(ステ
ップ170,180,220,ステップ230〜270)が制動力制限手段
M9として、各々機能する。
以上説明したように本実施例によれば、左右前輪5,
6、あるいは、左右後輪7,8のブレーキ圧差ΔPの増大お
よび該ブレーキ圧差ΔPに応じて定まる指令後輪操舵角
θRSの増加に起因するヨーイング発生が抑制されるた
め、急激なブレーキペダル13a操作による急制動時に
も、高ブレーキ圧制限アンチスキッド制御処理の実行に
より、制動距離を短く保ったまま、車両の偏向量やロー
ルの発生量を低減させられるので、車両の操縦性・安定
性を向上できると共に、乗り心地も改善される。
このことにより、左右前後輪5,6,7,8の接地面の摩擦
係数μが左側と右側とで異なる路面、所謂またぎ路で、
急制動時における車両の偏向量を低減でき、高い直進安
定性の確保が可能になる。すなわち、第16図に示すよう
に、時刻T1にブレーキペタル13aの操作に伴って左右両
車輪のブレーキ圧が上昇し始め、時刻T2において高ブレ
ーキ圧制限アンチスキッド制御が開始される。このブレ
ーキ圧が非定常状態となる時刻T2から所定時間T0経過す
る時刻T3までの期間は、高ブレーキ圧制限アンチスキッ
ド制御が実行されているため、高摩擦係数路側のブレー
キ圧PHと低摩擦係数路側のブレーキ圧PLとの差は所定値
に制限され、左右ブレーキ圧差ΔPの変化は緩慢になる
ので、適切な後輪操舵を実現でき、車両に発生するヨー
レイトやロール等の変化も小さく、しかも、上記所定時
間T0経過後には、速やかに減少し、ほとんど消滅する。
また、上記所定時間T0経過後は、通常アンチスキッド制
御が行われるので、高摩擦係数路側の車輪のブレーキ油
圧PHは、同図に実線で示すように増加する。このため、
制動距離を短く維持でき、制動性能の悪化といった弊害
を生じない。ちなみに、高ブレーキ圧制限アンチスキッ
ド制御を上記所定時間T0経過後も継続すると、高摩擦係
数路側のブレーキ圧PHは、同図に破線で示すように低い
ままに保持され、制動距離の延長を招くので、制動性能
が低下していた。
また、アンチスキッド制御開始時から所定時間T0に亘
って左右前後5,6,7,8の各目標ブレーキ圧PYのうち、高
摩擦係数路面側の目標ブレーキ圧を低摩擦係数路面側の
目標ブレーキ圧に所定値を加算した圧力に設定して上昇
を制限し、所定時間T0経過後は左右前輪5,6の目標ブレ
ーキ圧PFL,PFRの差ΔPに応じた指令後輪操舵角θRSと
実後輪操舵角θRとの差だけ後輪7,8を修正操舵するた
め、制動初期には、迅速に実行可能な左右前後輪5,6,7,
8の目標ブレーキ圧差制限を行ない、操舵装置3や車両
系に起因する後輪操舵の応答遅れを補償するので、車両
偏向防止制御の応答性・追従性が高まり、左右前後輪の
5,6,7,8の目標ブレーキ圧差制限を行なっても、充分な
ブレーキ性能を発揮できる。
さらに、高ブレーキ圧制限アンチスキッド制御処理開
始初期に、乗員に不快感や違和感を与えるヨーイングや
ローリングといった短周期的振動を伴うこと無く、しか
も、短い制動距離で車両姿勢の安定を失うこと無く、減
速、あるいは、停車できるので、車両走行時の信頼性が
高まる。
なお、本実施例では、左右車輪5,6,7,8のブレーキ圧
をブレーキ圧センサ35,36,37,38から検出した。しか
し、例えば、実際のブレーキ圧を検出しないで、前回算
出した目標ブレーキ圧PYを記憶し、あるいは、現在のブ
レーキ圧PXを推定して、上記実際のブレーキ圧とするよ
うに構成しても良い。このように構成した場合には、ブ
レーキ圧センサ35,36,37,38が不用に成ると共に、該ブ
レーキ圧センサ35,36,37,38の検出信号を入力して処理
する、ECU4の周辺回路構成および制御プログラムを簡略
化できるという利点も生じる。
また、本実施例では修正操舵制御処理をECU4が実行す
るよう構成したが、例えば、アンチスキッド制御処理と
後輪操舵制御処理とを各々独立の電子制御装置により実
行するように構成しても、既述した実施例と同様な効果
を奏する。
さらに、本実施例では左右後輪7,8を操舵して修正操
舵を行なうよう構成した。しかし、例えば、前輪操舵後
輪駆動(所謂FR)で、左右前輪のブレーキ圧を独立に制
御可能な車両では、運転者によるステアリングホイール
操作に応じた左右前輪の操舵角を、周知のパワーステア
リング等の機構を利用してさらに所定角度だけ修正操舵
するよう構成しても、左右車輪の走行路面の摩擦係数の
相違に起因する車両の偏向抑制と制動性能向上とを良好
に両立できる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
のような実施例に何等限定されるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施
し得ることは勿論である。
発明の効果 以上詳記したように本発明の車両の補助操舵装置は、
制動初期には、左右車輪の制動力差が非定常状態になる
ため、制動制御開始時から所定時間に亘って左右車輪の
目標制動力の差を所定値以内に制限し、該制動力差の変
動による車両の挙動変化および該制動力差に応じて定ま
る修正操舵角の急激な変化を防止するよう構成されてい
る。このため、左右車輪の制動力差の増大と変動および
該制動力差に応じて定まる修正操舵角の急激な変化に起
因するヨーイング方向の作用力発生が抑制されるので、
制動時に、制動距離の延長を招くことなく、制動初期に
おける車両の偏向量やローリングを低減でき、操縦性・
安定性の向上と乗り心地の改善とを両立できるという優
れた効果を奏する。
このことは、左右車輪の接地面の摩擦係数が左右で異
なる路面(所謂、またぎ路)での急制動時における車両
の偏向を防止し、高い直進安定性を発揮するので、特に
顕著な効果を示す。
また、制動制御開始から所定時間に亘って左右車輪の
目標制動力の差を所定値以内に制限し、所定時間経過後
は左右車輪の目標制動力の差に応じた修正操舵角だけ修
正操舵するため、制動初期には、迅速に実行可能な左右
車輪の制動力差制限を行ない、操舵系や車両系に起因す
る修正操舵の応答遅れを補償するので、制動制御の応答
性・追従性が高まり、左右車輪の制動力差制限を行なっ
ても、充分な制動性能を発揮できる。
さらに、制動初期に、乗員に不快感や違和感を与える
ヨーイング方向およびローリング方向の短周期振動を発
生すること無く、短い制動距離で車両姿勢を安定に保持
したまま減速、あるいは、停車できるので、車両走行時
の信頼性が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の内容を概念的に例示した基本的構成
図、第2図は本発明一実施例のシステム構成図、第3図
は同じくその4輪アンチスキッド装置の構成を示す概略
構成図、第4図は同じくその後輪操舵装置の構成を示す
概略構成図、第5図は同じくその電子制御装置の構成を
示すブロック図、第6図は同じくその制御を示すフロー
チャート、第7図は同じくそのマップを示すグラフ、第
8図は同じくその制御を示すフローチャート、第9図は
同じくそのマップを示すグラフ、第10図および第11図は
同じくその制御を示すフローチャート、第12図および第
13図は同じくそのマップを示すグラフ、第14図は同じく
その制御を示すフローチャート、第15図は同じくそのマ
ップを示すグラフ、第16図は同じくその制御の様子を示
すタイミングチャート、第17図は従来技術の制御の様子
を示すタイミングチャートである。 M1……制動手段 M2……操舵手段 M3……制動状態検出手段 M4……制動力算出手段 M5……制動制御手段 M6……制動力差算出手段 M7……修正操舵角算出手段 M8……操舵制御手段 M9……制動力制限手段 1……車両制御装置 2……4輪アンチスキッド装置 3……後輪操舵装置 4……電子制御装置(ECU) 4a……CPU 13……マスタシリンダ 15……ブレーキ制御用油圧回路 22,24……後輪操舵用アクチュエータ 25……後輪操舵用油圧回路 31,32,33,34……車輪速度センサ 35,36,37,38……ブレーキ圧センサ 39……ブレーキスイッチ 40……ステアリングセンサ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部から指令される制動力を、車両の前輪
    あるいは後輪の少なくとも一方の左右車輪に各々独立に
    作用させる制動手段と、 外部から指示される操舵角に従って、上記車両の前輪、
    あるいは、後輪の少なくとも一方の左右車輪を操舵する
    操舵手段と、 上記車両の制動状態を検出する制動状態検出手段と、 該制動状態検出手段の検出した制動状態に応じて、左右
    車輪の目標制動力を各々独立に算出する制動力算出手段
    と、 該制動力算出手段の算出した左右車輪各々の目標制動力
    を上記制動手段に個別に指令する制動制御手段と、 該制動制御手段の指令による制動時、左右車輪各々の目
    標制動力の差を算出する制動力差算出手段と、 該制動力差算出手段の算出した制動力差に応じて前記車
    両の前輪、あるいは、後輪のうち少なくとも一方の左右
    車輪の修正操舵角を算出する修正操舵角算出手段と、 該修正操舵角算出手段の算出した修正操舵角を上記操舵
    手段に指示する操舵制御手段と、 上記制動制御手段の指令による制動開始時から所定時間
    に亘って、上記制動力算出手段の算出する左右車輪各々
    の目標制動力のうち大きい方の制動力をより小さい側に
    制限する制動力制限手段と、 を備えたことを特徴とする車両の補助操舵装置。
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