JP2522125Y2 - 電磁連結装置 - Google Patents

電磁連結装置

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JP2522125Y2
JP2522125Y2 JP1990048616U JP4861690U JP2522125Y2 JP 2522125 Y2 JP2522125 Y2 JP 2522125Y2 JP 1990048616 U JP1990048616 U JP 1990048616U JP 4861690 U JP4861690 U JP 4861690U JP 2522125 Y2 JP2522125 Y2 JP 2522125Y2
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孝 田村
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小倉クラツチ株式会社
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ロータ内に内蔵された永久磁石によって生
じた磁束を、電磁コイルで発生した磁束で打消すことに
よって連結状態を解く無励磁作動形の電磁連結装置に関
するものである。
〔従来の技術〕
従来のこの種の無励磁作動形電磁連結装置としては、
例えば実公昭63-11394号広報に開示された電磁クラッチ
がある。この電磁クラッチは、エンジンによって回転さ
れるロータがカークーラー用コンプレッサのハウジング
に回転自在に設けられ、このロータに磁気吸着されるア
ーマチュアがコンプレッサの回転軸に軸装されていた。
そして、断面コ字状に形成されたロータの環状溝内に、
一対の環状磁性板に挾持された永久磁石がこの環状磁性
板を介して内設されており、この永久磁石の磁束が前記
一対の環状磁性板とロータ,およびこのロータと対向す
るアーマチュアを磁気回路として流れるように構成され
ていた。また、前記環状溝の開口部には電磁コイルを内
蔵したフィールドコアの前面部が臨んでおり、この電磁
コイルの磁束がロータとアーマチュアとを磁気回路とし
て流れるように構成されていた。
このように構成された従来の電磁クラッチでは、永久
磁石の磁束の流れと同一方向または逆方向の磁束を電磁
コイルで発生させることによって、コンプレッサへ動力
を伝達したり、動力伝達を遮断したりすることができ
る。
〔考案が解決しようとする課題〕
上述したように構成された従来の電磁クラッチは、コ
ンプレッサへの動力伝達や遮断時のみに電磁コイルへ通
電すればよいため、電力消費量が少なく経済的である。
ところが、フィールドコアは永久磁石より環状溝の開口
側に配置されている関係から電磁コイルの磁気回路が長
くなり、しかもこの電磁コイルで永久磁石の磁束を相殺
する磁束を発生させなければならないので、電磁コイル
のアンペアターンを大きく設計しなければならないとい
う問題があった。また、従来の電磁クラッチでは、ロー
タに永久磁石の磁束が常時流されているため、外部振動
によりアーマチュアがロータ側に振れてギャップが小さ
くなると、アーマチュアが永久磁石の磁束でロータに吸
着されてしまう。このため、板ばねの初期反力を大きく
設定しなければならない。この点も電磁コイルのアンペ
アターンを大きくしなければならない要因となってい
た。さらに、電磁コイルの磁束が永久磁石の磁束に対し
て相助,相殺両方向へ発生するように電磁コイルへの通
電を制御しなければならないので、特別な制御回路が必
要であった。
〔課題を解決するための手段〕
本考案に係る電磁連結装置は、回転軸の軸端部に復帰
用ばね部材を介して軸装したアーマチュアとフィールド
コアとの間に、アーマチュア吸着用摩擦面を有するロー
タを前記回転軸と同軸状となるように回転自在に設け、
このロータにフィールドコア側へ向けて開口する環状溝
を形成し、この環状溝の内側底部に軸方向へ着磁された
永久磁石を装着するとともに、この環状溝の開口部に、
磁性材からなる板を環状に形成してなる固定ディスクを
フィールドコアと対向させて取付け、この固定ディスク
と前記永久磁石の間に磁気回路形成用磁性材製可動ディ
スクを軸方向へ移動自在に設けてなり、フィールドコア
の電磁コイルを励磁した状態において前記可動ディスク
が前記固定ディスクに磁気吸着されることにより電磁コ
イルの磁気回路が形成され、かつ前記電磁コイルが励磁
されていない状態で前記可動ディスクが前記永久磁石に
磁気吸着されることによって、アーマチュアが介在する
永久磁石の磁気回路が形成される構成としたものであ
る。
〔作用〕
電磁コイルが励磁されていない状態では、可動ディス
クが永久磁石に磁気吸着され、永久磁石の磁気回路が形
成される。電磁コイルを励磁させると、可動ディスクは
永久磁石から離間して固定ディスクに磁気吸着され、永
久磁石の磁気回路が開かれる。このため、永久磁石より
フィールドコア側に配置された可動ディスクを実質的な
スイッチとして動力の伝達,遮断の切換えを行なえるの
で、電磁コイルの磁束が通る磁気回路の長さが短くな
る。
〔実施例〕
以下、本考案を、エンジンによって駆動されるウォー
ターポンプの電磁クラッチに適用した例について第1図
および第2図によって詳細に説明する。
第1図は本考案に係る電磁連結装置を示す縦断面図、
第2図は第1図におけるロータのII-II線矢視図であ
る。第1図において中心線より上側は励磁状態を、下側
は無励磁状態を示す。これらの図において、1はウォー
ターポンプのハウジング、2はロータで、このロータ2
は前記ハウジング1の円筒部1aに軸受3を介して回転自
在に支持されている。このロータ2は、ベルト溝が外周
部に形成された外側円筒部2aと、前記軸受3が内周側に
嵌合された内側円筒部2bと、軸方向外側面に摩擦面2cが
形成されかつ前記両円筒部2a,2bを連結する円板部2dと
からなり、外側円筒部2aと内側円筒部2bとの間に環状溝
4が形成されている。環状溝4内には、後述する永久磁
石5の軸方向端面に第1および第2の磁性板6,7を固着
してなる磁性体8と、この磁性体8に接離される可動デ
ィスク9を備えた固定ディスク10とが組込まれている。
前記磁性体8の永久磁石5はロータ2の軸方向に着磁
されており、永久磁石5におけるロータ2の円板部2d側
端面に第1の磁性板6が、環状溝4の開口側端面に第2
の磁性板7がそれぞれ固着されている。磁性体8は、各
構成部材がそれぞれ円環状に形成され、第1の磁性板6
をロータ2の内側円筒部2bに嵌着させることによって環
状溝4内に固定されている。なお、取付け状態では第1
の磁性板6とロータ2の円板部2dとの間に空間S1が設け
られている。また、各構成部材の外径は前記外側円筒部
2aの内径より小さく設定され、永久磁石5および第2の
磁性板7の内径は内側円筒部2bの外径より大きく設定さ
れている。これによって環状溝4内に空間S2,S3が設け
られる。
前記固定ディスク10および可動ディスク9はそれぞれ
磁性材によって円環状に形成され、可動ディスク9は、
固定ディスク10に立設された3本のピン11によって前記
磁性体8と固定ディスク10の間で軸方向へ平行移動自在
に支持されている。この固定ディスク10および可動ディ
スク9は、それぞれ両面が平坦に形成されており、各々
の外径はロータ2の外側円筒部2aの内径より小さく設定
され、かつ内径は内側円筒部2bの外径より大きく設定さ
れている。また、固定ディスク10は、第2図に示すよう
に外周縁部に外フランジ10aが周方向に沿って複数突設
され、可動ディスク9を装着した状態でこの外フランジ
10aをロータ2の外側円筒部2aに嵌着させることによっ
て環状溝4の開口部に固定されている。固定ディスク10
の取付け位置は、可動ディスク9を固定ディスク10に密
接させた状態で可動ディスク9と前記磁性体8との間に
隙間G1が設けられるように位置づけられている。そし
て、可動ディスク10をロータ2に取付けた状態では、環
状溝4内における固定ディスク10の外周側に空間S4が、
可動ディスク9の外周側に空間S5が、両者の内周側には
空間S6が設けられる。このように可動ディスク10に装着
された可動ディスク9においては、磁性体8側へ移動し
た時には前記第2の磁性板7と、ロータ2の外側円筒部
2aに形成された軸方向端面2eとに密接され、固定ディス
ク10側に移動した時には固定ディスク10に密接される。
なお、12は固定ディスク10を通る磁束を迂回させるため
の非磁性体で、この非磁性体12は、固定ディスク10にプ
レス打抜きされた円周方向へ長い長孔内に充填されてい
る。
13は電磁コイル14を内設したフィールドコアで、この
フィールドコア13は円環状に形成され、軸方向一端面を
前記固定ディスク10に対向させた状態で取付けフランジ
15によってハウジング1に固定されている。
16はウォーターポンプの回転軸、17はこの回転軸16に
嵌合されて軸装されたアーマチュアハブである。18はこ
のアーマチュアハブ17に板ばね19を介して支持されたア
ーマチュアで、このアーマチュア18は、前記電磁コイル
14が励磁状態の時に隙間G2をおいてロータ2の摩擦面2c
に対向するように設置されている。なお、この摩擦面2c
が形成されたロータ2の円板部2dには、磁束迂回用の長
孔2f,2gが穿設されている。また、第1図においてΦ
は電磁コイル14の磁束を示し、Φは永久磁石5の磁束
を示す。
次に、このように構成された電磁クラッチの動作につ
いて説明する。電磁コイル14が通電されている励磁状態
では、第1図上半部分で示すように、電磁コイル14の磁
束Φはフィールドコア13,固定ディスク10および可動
ディスク9を磁気回路として流され、これにより可動デ
ィスク9が固定ディスク10に磁気吸着される。このよう
にして可動ディスク9が固定ディスク10に磁気吸着され
ると、第2の磁性板7と可動ディスク9との間に隙間G1
が設けられるために永久磁石5の磁気回路が開くことに
なる。すなわち、励磁状態では、アーマチュア18はロー
タ2に磁気吸着されずに板ばね19の弾撥力によってロー
タ2から離間されるので、ロータ2の回転は回転軸16へ
は伝達されない。また、電磁コイル14への通電が断たれ
た無励磁状態では、第1図下半部分で示すように、電磁
コイル14の磁束Φが消滅し、可動ディスク9が永久磁
石5の磁束Φにより第2の磁性板7に磁気吸着され
る。この際、永久磁石5の磁束Φは第1および第2の
磁性板6,7、ロータ2およびアーマチュア18とを磁気回
路として流され、これによりアーマチュア18がロータ2
に磁気吸着される。すなわち、無励磁状態ではアーマチ
ュア18がロータ2に磁気吸着されてロータ2の回転が回
転軸16へ伝達されることになる。
したがって、永久磁石5よりフィールドコア13側に配
置された可動ディスク9を実質的なスイッチとして動力
の伝達,遮断の切換えを行なうことができる。このた
め、電磁コイル14の磁束Φをロータ2側へ迂回させな
くてもよいので、電磁コイル14の磁気回路の長さを可動
ディスク9までとして短縮することができる。
また、励磁状態では、永久磁石5の磁気回路が開くた
めにアーマチュア18をロータ2に磁気吸着させようとす
る力はきわめて小さいので、板ばね19の初期反力を必要
最小限度の大きさに設定することができる。
なお、本実施例では可動ディスク9を、固定ディスク
10に立設されたピン11を介して移動自在に支持した例を
示したが、可動ディスク9はロータ2にスプライン結合
させて移動自在に支持することもできる。このようにす
る場合には、ロータ2における外側円筒部2aの内周部分
にスプライン溝を設け、かつ可動ディスク9の外周部分
に前記スプライン溝に嵌合する歯を設けることによって
行なわれる。また、本実施例ではアーマチュア18を板ば
ね19を介してアーマチュアハブ17に取付けた例を示した
が、板ばね19の代わりにダンパゴムを使用することもで
きる。
また、本実施例ではロータ2の円板部2dに磁束迂回用
の長孔2f,2gを設けて所謂ダブルフラックス形の電磁ク
ラッチとしたが、シングルフラックス形とする場合に
は、ロータ2の環状溝4内の空間S1と第1の磁性板6は
不要とすることができる。さらに、本実施例では固定デ
ィスク10に非磁性体12を設けたが、非磁性体12を充填せ
ずに固定ディスク10の非磁性体充填用長孔内を空間とす
るだけでも同様の効果が得られる。
さらにまた、本実施例ではエンジンによって駆動され
るウォーターポンプの電磁クラッチに適用した例を示し
たが、本考案はこのような限定にとらわれることなく、
ロータ2を固定とすれば無励磁作動形の電磁ブレーキと
することができる。
〔考案の効果〕
以上説明したように本考案に係る電磁連結装置は、回
転軸の軸端部に復帰用ばね部材を介して軸装したアーマ
チュアとフィールドコアとの間に、アーマチュア吸着用
摩擦面を有するロータを前記回転軸と同軸状となるよう
に回転自在に設け、このロータにフィールドコア側へ向
けて開口する環状溝を形成し、この環状溝の内側底部に
軸方向へ着磁された永久磁石を装着するとともに、この
環状溝の開口部に、磁性材からなる板を環状に形成して
なる固定ディスクをフィールドコアと対向させて取付
け、この固定ディスクと前記永久磁石の間に磁気回路形
成用磁性材製可動ディスクを軸方向へ移動自在に設けて
なり、フィールドコアの電磁コイルを励磁した状態にお
いて前記可動ディスクが前記固定ディスクに磁気吸着さ
れることにより電磁コイルの磁気回路が形成され、かつ
前記電磁コイルが励磁されていない状態で前記可動ディ
スクが前記永久磁石に磁気吸着されることによって、ア
ーマチュアが介在する永久磁石の磁気回路が形成される
構成としたため、電磁コイルが励磁されていない状態で
は可動ディスクが永久磁石に磁気吸着され、永久磁石の
磁気回路が形成される。電磁コイルを励磁させると、可
動ディスクは永久磁石から離間されて固定ディスクに磁
気吸着され、永久磁石の磁気回路が開かれる。
このため、永久磁石よりフィールドコア側に配置され
た可動ディスクを実質的なスイッチとして動力の伝達,
遮断の切換えを行なうことができる。したがって、電磁
コイルの磁気回路の長さを可動ディスクまでとして短縮
することができるから、電磁コイルのアンペアターンを
小さく設定することができる。また、電磁コイルの制御
回路を特別に設けることなく動力の伝達,遮断の切換え
を行なうことができる。しかも、アーマチュアを軸方向
の最も外側に配設し、アーマチュアを軸装した回転軸の
径方向の外側にロータおよびフィールドコアを配設でき
るので、軸方向に大型化することもない。
したがって、本考案によれば、永久磁石を内設した無
励磁作動形としては、小型で安価な電磁連結装置を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る電磁連結装置を示す縦断面図、第
2図は第1図におけるロータのII-II線矢視図である。 2……ロータ、4……環状溝、5……永久磁石、6……
第1の磁性板、7……第2の磁性板、9……可動ディス
ク、10……固定ディスク、13……フィールドコア、14…
…電磁コイル。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸の軸端部に復帰用ばね部材を介して
    軸装したアーマチュアとフィールドコアとの間に、アー
    マチュア吸着用摩擦面を有するロータを前記回転軸と同
    軸状となるように回転自在に設け、このロータにフィー
    ルドコア側へ向けて開口する環状溝を形成し、この環状
    溝の内側底部に軸方向へ着磁された永久磁石を装着する
    とともに、この環状溝の開口部に、磁性材からなる板を
    環状に形成してなる固定ディスクをフィールドコアと対
    向させて取付け、この固定ディスクと前記永久磁石の間
    に磁気回路形成用磁性材製可動ディスクを軸方向へ移動
    自在に設けてなり、フィールドコアの電磁コイルを励磁
    した状態において前記可動ディスクが前記固定ディスク
    に磁気吸着されることにより電磁コイルの磁気回路が形
    成され、かつ前記電磁コイルが励磁されていない状態で
    前記可動ディスクが前記永久磁石に磁気吸着されること
    によって、アーマチュアが介在する永久磁石の磁気回路
    が形成される構成としたことを特徴とする電磁連結装
    置。
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