JP2520406B2 - 二軸配向ポリエチレンテレフタレ−トフイルム - Google Patents

二軸配向ポリエチレンテレフタレ−トフイルム

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JP2520406B2
JP2520406B2 JP1285787A JP1285787A JP2520406B2 JP 2520406 B2 JP2520406 B2 JP 2520406B2 JP 1285787 A JP1285787 A JP 1285787A JP 1285787 A JP1285787 A JP 1285787A JP 2520406 B2 JP2520406 B2 JP 2520406B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイル
ムに関するものであり、更に詳しくは、主としてビデオ
テープ用の基材に適した二軸配向ポリエチレンテレフタ
レートフイルムに関するものである。
[従来の技術] 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムで特に
ビデオテープ用基材に適したものとして、フイルム表面
の構造を特定化したもの(特開昭61−68727、61−6662
7、60−254415、61−5431号公報など)が知られてお
り、また熱収縮率、ヤング率、F−5値などの物理特性
を特定化したもの(特開昭60−195727、59−45327、59
−48125、59−82629号公報など)も知られている。
[発明が解決しようとする問題点] しかし、上記従来の二軸配向ポリエチレンテレフタレ
ートフイルムは、これをビデオテープ用基材としてビデ
オテープを作った時、該ビデオテープのクロマS/N比及
び画像の経済的歪み(スキュー)が満足すべきレベルに
達していないという問題点を有している。
本発明は、かかる問題点を改善し、ビデオテープにし
た時のクロマS/N比及びスキューのいずれも優れたもの
となるような二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイ
ルムを提供することを目的とする。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、平均表面粗さ(Ra)が0.010〜0.030μm、
ろ波中心線うねり(W CA)が0.08μm以下、かつ2次弾
性率が6×109〜2×1010N/m2の範囲にあることを特徴
とする二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムを
その骨子とするものである。
本発明でいうポリエチレンテレフタレート(以下PET
と略称する)とは80モル%以上、好ましくは90モル%以
上、更に好ましくは95モル%以上がエチレンテレフタレ
ートを繰返し単位とするものであるが、この限定量範囲
内で、酸成分及び/又はグリコール成分の一部を下記の
ような第3成分と置きかえてもよい。
−酸成分− イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−
ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン
酸、4,4′−ジフエニルジカルボン酸、4,4′−ジフエニ
ルスルホンジカルボン酸、4,4′−ジフエニルエーテル
ジカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ヘキサヒドロ
テレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ε−オキシ
カプロン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリ
ット酸、α,β−ビスフエノキシエタン−4,4′ジカル
ボン酸、α,β−ビス(2−クロルフエノキシ)エタン
−4,4′ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸など。
−グリコール成分− プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサ
メチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペ
ンチレングリコール、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4
−β−ヒドロキシエトキシフエニル)プロパン、ビス
(4−β−ヒドロキシエトキシフエニル)スルホン、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタ
エリスリトール、トリメチロールプロパン、ポリエチレ
ングリコールなど。
また、このPETの中に公知の添加剤、例えば耐熱安定
剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の
易滑剤、顔料、染料、有機または無機微粒子、充填材、
離型剤、帯電防止剤、核剤などを配合してもよい。この
PETの極限粘度(25℃のオルソクロロフエノール中で測
定)は、0.40〜1.20、好ましくは0.50〜0.80、さらに好
ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲にあるものが本発明内容
に適したものである。
本発明でいう二軸配向PETフイルムとは、PETを二軸方
向に延伸して得られるフルイムであり、X線回折によっ
て二軸配向に特有の回折パターンが得られるものを言
う。このフイルムの厚さは特に限定されるものではない
が、ビデオテープ用基材として考える場合、通常7〜25
μm、とくに10〜22μmの範囲のものが好適である。
本発明フイルムの表裏の平均表面粗さ(Ra)は0.010
〜0.030μm、好ましくは、0.013〜0.028μm、更に好
ましくは、0.015〜0.025μmの範囲内にあることが必要
である。この範囲よりRaが大きい場合には、この上に磁
性層を塗布した時の磁性層からのビデオ出力が低下す
る。また逆にRaが上記範囲より小さい場合は、これをビ
デオテープにした時、ビデオテープのVTR内走行性が、
悪くなってしまう。
従って、本発明PETフイルムの表裏のRaは、表と裏が
同じでもよく、あるいは異なっていてもよいが、いずれ
も上記範囲内に入っていることが必要である。
次に本発明フイルム表面のろ波中心線うねり(W CA)
は、0.08μm以下、好ましくは0.06μm以下、更に好ま
しくは0.04μm以下であることが必要である。このW CA
の値が上記より大きくなると、この表面に磁性層を塗布
してビデオテープとした時、このビデオテープのクロマ
S/N比(以後C−S/Nと略記する)が悪化する。ろ波中心
線うねり(W CA)は、平均表面粗さ(Ra)より、遥かに
周期の長い表面凹凸(うねり)を示す尺度であり、従
来、PETフイルム表面のうねりについては、ほとんど留
意されていなかったものである。発明者らは、このうね
りの程度を示すW CAの値が、C−S/Nを大きく左右して
いることを知見し、本発明に至ったものである。なお、
W CAの値の下限については特に限定されるものではない
が、この値を完全に0にすることは非常に難しいので、
実質的には、0.005μm程度が下限値と考えられる。
次に、本発明フイルムの長手方向の2次弾性率は、6
×109〜2×1010、好ましくは7×109〜1.8×1010、更
に好ましくは8×109〜1.5×1010N/m2の範囲にあること
が必要である。2次弾性率の値が上記範囲より小さい
と、このフイルムを基材とするビデオテープのスキュー
が大きい、という欠点を生ずる。また、逆に2次弾性率
の値が上記範囲より大きいと、フイルムあるいはテープ
を細幅にスリットする時、切断を起こし易くなるという
欠点が生ずる。この2次弾性率という値は、後述する測
定法からも明らかなとおり、力学模型として汎用される
マクスウェル模型とフォークト模型を直列に並べた4要
素模型におけるフォークト模型の弾性項の大小を示す値
であり、従来あまり留意されていなかったものである
が、発明者らは、この値がビデオテープのスキューを大
きく左右していることを知見して、本発明に至ったもの
である。
本発明フイルムを更にビデオテープ用基材として適し
たものとするには、フイルム表面にある微小な突起の中
で高さが0.54μm以上の突起の数(高突起密度)を60個
/mm2以下とするのが好ましく、より好ましくは40個/mm2
以下、更に好ましくは20個/mm2以下である。このように
することによって、このフイルムを基材としてビデオテ
ープを作った時、ビデオテープの信号欠落(ドロップア
ウト)の数を大幅に減少させることができる。
次に本発明フイルムを製造する方法の一例を示す。ジ
メチルテレフタレートとエチレングリコールに、触媒と
して酢酸マンガンを加え、常法によりメタノールを留去
させつつ、エステル交換反応を行なう。次いで、十分に
分散、過処理を施した無機粒子A(例えば平均粒径
(0.3〜0.5μmのコロイダルシリカ球形粒子)及び無機
粒子B(例えば、平均粒径0.6〜0.9μmの合成炭酸カル
シウムの多角形粒子)のエチレングリコールスラリーを
加え、更にリン酸トリメチル及び重合触媒としての三酸
化アンチモンを加えた後、1mmHg以下の真空下で加熱し
つつ重縮合反応を行ない、極限粘度0.63のペレット状ポ
リマを得る。このポリマ中に無機粒子Aは、0.2〜0.5重
量%、無機粒子Bは0.03〜0.08重量%含有されている。
このペレットを170〜200℃で十分に真空乾燥した後、こ
れを押出機に供給して、280〜290℃で溶融押出し、ギア
ポンプを通して流量変動を抑制した後、3μm以上の固
体を99%以上捕捉できるフイルターを通し、T型口金へ
導き、この口金からシート状溶融体として吐出せしめ
る。このシート状溶融体を表面温度50〜70℃の冷却ドラ
ムに巻きつけ密着せしめて冷却固化させ、表面温度が60
℃以上位のやや温度の高い未延伸フイルムを作る。この
未延伸フイルムを、温度降下ができるだけ生じないよう
に、ただちに85℃の熱風オーブン中へ導き入れ、フイル
ムの両縁部をクリップで把持し、クリップの長手方向間
隔を元の間隔の3.4倍に拡げることにより、フイルムを
長手方向に、3.4倍延伸する。この時の延伸速度は、500
〜5000%/分の範囲がよい。次いで、フイルム両縁部を
クリップで把持したまま、次の熱風加熱ゾーンの中へ導
き入れ、熱風温度を100℃にして、対向するクリップ同
士の幅方向間隔を元の幅の4.0倍に拡げることにより、
フイルムを幅方向に4.0倍延伸する。この時の延伸速度
も500〜5000%/分の範囲がよい。
かくして得られた二軸延伸フイルムを緊張状態のま
ま、200℃で5秒間熱処理し、ついで同じ温度で幅方向
に元の幅6%、長手方向に元の長さの1%を二軸方向同
時に弛緩させ、次いで再び緊張状態で、205℃で5秒間
熱処理する。次いで、緊張状態のまま、熱風温度120℃
のゾーンへ導き入れて中間冷却し、次いで100℃のゾー
ンへ導き入れて、ここで長手方向に元の長さの1%弛緩
させ、次いでフイルムをオーブンの外へ導き出す。オー
ブンから外へ出る過程でフイルムは徐冷され、オーブン
から出た時点でフイルムの温度は、ほぼ室温まで低下し
ている。
このフイルムを低張力(フイルム厚み15μmの場合で
2〜4kg/m程度の張力)で搬送し、マイクロウェーブで
フイルム巻取部を誘電的に加熱しながらコアに巻き取
る。
5000m以上巻上げた大径のフイルムロール(巻き硬度6
0〜70度ショア。巻き内部のフイルム温度70℃程度)
を、70℃に温調した部屋の中に24時間放置し、次いで室
温雰囲気中に24時間置いて徐冷した後、スリッターにか
けて巻き返し、適宜な幅のフイルム製品ロールとする。
かくして得られた二軸配向PETフイルムは、本発明要
件である各物性値を十分に満足しており、ビデオテープ
用基材として極めて優れたものである。このフイルムの
片面にアンカーコート剤を塗布した後、その上に磁性塗
料を乾燥後厚みとして3〜5μmになるように塗布し、
磁場で配向処理を施した後、乾燥し、スーパーカレンダ
ー処理し、これを必要なテープ幅(例えば1/2インチ
幅)にスリットして巻き上げ、いわゆるパンケーキを作
る。このパンケーキから適当な長さをリールに巻き上
げ、これをカセットの中に納めることにより、実用化し
得るカセット入りビデオテープが得られるわけである。
[特性の測定方法及び効果の評価方法] 本発明で用いる各特性の測定方法及び効果の評価方法
を以下にまとめて示しておく。
(1) 平均表面粗さ(Ra) 高精度薄膜段差測定機ET−10型に、信号解析装置(い
ずれも(株)小坂研究所製)を接続して測定した。Ra算
出原理は、JIS−B0601−1976に準じてある。測定条件は
次のとおりである。
高さ方向倍率:100000倍 測定面方向倍率:500倍 測定長さ:4mm(フイルム幅方向に測定) カットオフ値:0.08mm (2) ろ波中心線うねり(W CA) 小坂製作所製の万能表面形状測定機モデルSE−3Eを用
い、JIS−B0610−1976に定められている測定法に準じて
測定した。測定条件は次のとおりである。
高さ方向倍率:50000倍 測定面方向倍率:20倍 測定長さ:8mm(フイルム長手方向に測定) 低域カットオフ:0.8mm 高域カットオフ:8mm (3) 2次弾性率 幅12.5mmにスリットした試料(試料の長手方向はフイ
ルムの長手方向と一致させる。この試料の厚さをd(μ
m)、長手方向の熱収縮率をH1(%)とする)に、1.6k
g/mm2のストレスに相当する荷重をかけ、このままの状
態で、100℃の強制循環式熱風オーブン(容積0.09m3
の中に5秒間入れ、その後すばやく荷重を除き、23℃、
60%RHの雰囲気中へ移す。この荷重処理を施した試料の
長手方向の熱収縮率をH2(%)とする。すると、2次弾
性率は次式によって近似的に求められる。
なお、H1、H2の測定法は次のとおりである。
大きさが300mm×12.5mmで、かつその長手方向とフイ
ルムの長手方向とが合致するようにして採取した被測定
サンプルを、23℃、60%RHの雰囲気に30分間放置し、そ
の雰囲気下で、フイルムの長手方向に約200mmの間隔で
2つの印を付け、マイクロメーターにてその印の間隔を
測定し、測定値をAとする。次に、被測定サンプルは、
張力フリーの状態で70℃の雰囲気中に48時間放置して、
次いで23℃、60%RHの雰囲気に取り出して1時間冷却
後、先に付した印の間隔を測定し、測定値をA′とす
る。
上記測定値から熱収縮率H1又はH2は下式により求め
る。
100(A−A′)/A (4) 高突起密度 日本光学(株)製のサーフェイスフィニッシュマイク
ロスコープを用い、多重干渉法により、2次以上の干渉
縞の個数を数えて、これをフイルム面積1mm2当りの個数
の換算して表示する。
測定に用いる光の波長は、0.54μm、ミラー反射率65
%、顕微鏡倍率は200倍である。
(5) ビデオテープの製造とその特性の評価 下記の混合組成物をボールミル及びサンドミルで混合
分散処理し、その後ポリイソシアネート(日本ポリウレ
タン(株)製“コロネートL")を固形分換算で25重量部
加えて磁性塗料とする。
C0被覆γ−Fe2O3 300重量部 ニトロセルロース 35 〃 ポリウレタン樹脂 26 〃 カーボンブラック 18 〃 アルミナ粒子 5 〃 ミリスチン酸 7 〃 ステアリン酸ブチル 1 〃 メチルエチルケトン 220 〃 酢酸ブチル 530 〃 二軸配向PETフイルムの片面に、ポリエステル共重合
体を乾燥後厚み0.05μmの厚さにアンカーコートし、こ
の上に上記の磁性塗料を乾燥後の厚さが5μmとなるよ
うに塗布し、磁場をかけて配向処理を施した後、100℃
の熱風で乾燥する。次いで、これをスーパーカレンダー
処理し、1/2インチ幅にスリットしてビデオテープと
し、これをカセットに組込む。
このようにして得たビデオテープについて、次のよう
な特性を評価する。
(1) ビデオ出力 家庭用のVHS方式VTRを用いて、4MHzの単一信号を記録
し、その再生出力を測定した。なお、標準は、各実験水
準の中で最も出力の小さいものを0dBとして相対的に表
示する。
(2) クロマS/N比(C−S/N) 家庭用VHS方式VTRとシバソク925C型カラービデオノイ
ズメーターを使用して測定した。なお、標準は、各実験
水準の中で最もC−S/Nの低いものを0dBとして、相対的
に表示する。
(3) スキュー 家庭用VHS方式VTRを用い、40℃、80%RHの条件下で、
2時間モード300パス走行後、モニター画面上部に現わ
れる直線像のひずみ度合を測定し、これを時間(μse
c)に換算して表示する。
(4) ドロップアウト 家庭用VHS方式VTRを用い、4MHzの単一信号を記録し、
これを再生した場合の信号が平均再生レベルより12dB以
上低下する時間が5μsec以上のものの個数を1分間当
りで数える。
(5) テープの摩擦係数(μk) ビデオテープのVTR内走行性を評価する尺度として、
テープ背面とガイドピンとの摩擦係数(μk)を測定し
た。
直径4mmの表面を研磨したアルミ円柱に、テープの背
面を内側にして180゜の巻きつけ角で巻きつけ、テープ
を2cm/秒の速度で走行させ、送り出し側と巻き取り側の
張力を測定して、これよりμkを算出した。
[実施例] 以下に本発明の実施例及び比較例を示す。なお、本発
明がこれらの実施例に限定されるものでないことは言う
までもない。
実施例1 −固体粒子のエチレングリコールスラリーの調整− スラリーA:平均粒径0.30μmのシリカ粒子10重量部とエ
チレングリコール100重量部及びアンモニウム塩0.4部を
混合し、ホモゲナイザーで撹拌して、シリカ粒子のエチ
レングリコールスラリーを調整した。このスラリー100
容量部に、平均粒子径0.09mmのガラスビーズ100容量部
を加え、翼径16cmの十字翼を用いて、3000rpmで2時間
撹拌した。分散終了後、400メッシュの金網で濾過して
ガラスビーズを除去し、分離して得たシリカ粒子のスラ
リーを、更に3μmカットのフイルターで濾過した。か
くして得られたスラリーをスラリーAとする。
スラリーB:平均粒径0.80μmの合成炭酸カルシウム粒子
を用い、アンモニウム塩の代りに、リン酸0.4重量部及
びトリエチルアミン0.4重量部を用い、他は上述のスラ
リーAと同様にして、合成炭酸カルシウム粒子のスラリ
ーを得た。これをスラリーBとする。
−PETポリマの製造− ジメチルテレフタレート100重量部に、エチレングリ
コール60重量部及び酢酸マンガン0.04重量部を加え、15
0〜240℃で4時間、メタノールを除去しつつ、エステル
交換反応を行なった。次いで、リン酸0.02重量部、三酸
化アンチモン0.03重量部を加え、らにスラリーAとBを
加えた後、1mmHg以下の高真空中で3時間重縮合反応を
行ない、シリカ粒子を0.3重量%、合成炭酸カルシウム
粒子を0.05重量%含有するPETポリマを得た。このポリ
マの極限粘度は0.635であった。
−フイルムの製造− 上記ポリマのペレットを180℃で6時間、真空乾燥し
た後、押出機に供給して、285℃で溶融押出し、溶融ポ
リマをギアポンプを通して流量変動を抑制し、次いで3
μm以上の固体を99重量%以上捕捉できる金属繊維焼結
型フイルターを通して、濾過した後、T型口金へ導き、
この口金からシート状溶融体として吐出せしめた。
このシート状溶融体を表面温度60℃の冷却ドラムに巻
き付け、静電荷を付与してドラムと溶融シート間の密着
性を向上させつつ冷却固化させ、表面温度が約70℃の未
延伸フイルムを作った。この未延伸フイルムを、ただち
に85℃の熱風循環ゾーンの中へ導き入れ、フイルムの両
縁部をクリップで把持し、クリップの長手方向間隔を元
の幅の3.4倍に拡げることにより、フイルムを長手方向
に3.4倍延伸した。この時の延伸速度は4000%/分であ
った。次いで、フイルム両縁部をクリップで把持しま
ま、次の熱風循環ゾーンへ導き入れ、熱風温度100℃に
して、対向するクリップ同士の幅方向間隔を、元の幅の
4.0倍に拡げることにより、フイルムを幅方向に4.0倍延
伸した。この時の延伸速度は、1500%/分であった。か
くして得られた二軸延伸フイルムを緊張状態のまま200
℃で5秒間熱処理し、ついで同じ温度で、幅方向に元の
幅の6%、長手方向に元の長さの1%を、二軸方向同時
に弛緩させ、次いで、再び緊張状態で、205℃で5秒間
熱処理した。次いで、緊張状態のまま、熱風温度120℃
のゾーンへ導き入れて、この温度まで中間冷却し、次い
で100℃のゾーンへ導き入れて、ここで長手方向に元の
長さの1%を弛緩させ、次いでフイルムを室温まで徐冷
した。このフイルムの厚さは約15μmであった。このフ
イルムを2.5kg/m幅の張力で搬送し、マイクロウェーブ
でフイルム巻取部を誘電的に加熱しながら、コアに巻き
取った。
6000m巻き上げた大径のフイルムロール(巻き硬度65
゜ショア、巻き内部のフイルム温度は70℃)を70℃に温
調した部屋の中に入れて24時間放置し、次いで室温雰囲
気中に24時間置いた徐冷した後、スリッターにかけて巻
き返し、フイルム幅500mmのフイルム製品ロール(巻き
硬度90゜ショア)とした。
かくして得られたフイルムの特性及びこのフイルムを
基材として作ったピデオテープの特性を表1に示す。こ
の結果から、本発明特性を有するフイルムを基材として
用いると、極めて特性の優れたビデオテープが得られる
ことが分かる。
実施例2〜4及び比較例1 実施例1において、未延伸フイルムを得る時の冷却条
件及びこれを長手方向に延伸する時の条件を種々変更す
ることにより、ろ波中心線うねり(W CA)の値が異なる
フイルムを作った。これらの結果を表1に示す。ろ波中
心線うねりの値が大きくなるほど、クロマS/N比の値が
低下していることが分かる。
実施例5及び比較例2 実施例1において、熱処理〜巻取〜保存の条件を変更
することにより、2次弾性率の値の異なるフイルムを作
った。これらの結果を表1に示す。
2次弾性率の値が小さくなると、そのフイルムを基材
とするビデオテープのスキューが悪化することが分か
る。
比較例3及び4 実施例1において、PETポリマ中に加える固体粒子の
大きさを変更することにより、フイルム表面の平均表面
粗さが異なるフイルムをつくった。
平均表面粗さが小さくなりすぎると、これを基材とす
るビデオテープの走行性が悪化する。また逆に、平均表
面粗さが大きくなり過ぎると、これを基材とするビデオ
テープのビデオ出力特性が悪化することが分かる。
[発明の効果] 本発明は、二軸配向PETフイルムの平均表面粗さ(R
a)、ろ波中心線うねり(W CA)及び2次弾性率の値
を、ある特定の範囲とすることによって、そのフイルム
を基材とするビデオテープの特性、特にビデオ出力、ク
ロマS/N比、スキュー特性及び走行特性を良好にするこ
とに成功したものである。これらの効果は、必ずしもビ
デオテープに限られるものではないので、本発明フイル
ムは、その他のテープ、例えば、コンピューターのメモ
リー用テープやオーディオテープにも利用できるもので
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均表面粗さ(Ra)が0.010〜0.030μm、
    ろ波中心線うねり(W CA)が0.08μm以下、かつ2次弾
    性率が6×109〜2×1010N/m2の範囲にあることを特徴
    とする二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルム。
JP1285787A 1987-01-22 1987-01-22 二軸配向ポリエチレンテレフタレ−トフイルム Expired - Lifetime JP2520406B2 (ja)

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