JPH06262678A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルム

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JPH06262678A
JPH06262678A JP5558593A JP5558593A JPH06262678A JP H06262678 A JPH06262678 A JP H06262678A JP 5558593 A JP5558593 A JP 5558593A JP 5558593 A JP5558593 A JP 5558593A JP H06262678 A JPH06262678 A JP H06262678A
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JP
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film
tape
less
biaxially oriented
elongation
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JP5558593A
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Takao Nakajo
隆雄 中條
Kohei Endo
浩平 遠藤
Yasuhiro Saeki
靖浩 佐伯
Hisashi Hamano
久 浜野
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベースフィルムの取扱い作業性が良好で、固
定磁気ヘッド方式のデジタルオーディオテープとしたと
き、磁気ヘッド付近で強制的に伸ばされたテープの復元
性に優れ、記録の歪、出力変動が小さく、テープの走行
性やオーディオ特性(電磁変換特性)も良好で、特にバ
ックコーティングのないタイプのデジタルオーディオカ
セットテープに有用な二軸配向ポリエステルフィルムを
提供する。 【構成】 ポリエステルフィルムよりなる基体フィルム
上に磁性層を設けてなるデジタルオーディオカセットテ
ープに供するベースフィルムであって、フィルムの縦方
向の5%伸張時応力が12kg/mm2 以上であり、縦
方向および横方向の残留伸度がそれぞれ0.2%以下で
あり、表面粗さRaが5〜25nmであり、105℃で
30分間無荷重下で熱処理したときの縦方向の熱収縮率
が1.5%以下であり、そしてフィルム厚みが12μm
以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィ
ルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二軸配向ポリエステルフ
ィルムに関し、更に詳しくはデジタル・コンパクト・カ
セットテープ(DCC)などの固定磁気ヘッドによるデ
ジタル録音方式のオーディオカセットテープに供し、テ
ープ使用時テープの伸び変形の極めて少なく高密度記録
可能な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、音質の優れたデジタル録音方式の
オーディオカセットテープレコーダーとして回転磁気ヘ
ッド方式のデジタル・オーディオテープレコーダー(D
AT)や固定磁気ヘッド方式のデジタル・コンパクト・
カセットテープレコーダー(DCC)などが開発されて
いるが、特に、固定磁気ヘッド方式でのDCCについて
は、例えば、村田欽哉著「DCC・MDガイドブック」
(電波新聞社刊)に記載されているように、磁気ヘッド
の上下にテープを安定に走行させるための「アジマス
(方位)安定用テープガイド」とテープパッド両側に
「アジマスロックピン」を設置し、より安定性を確保し
ている。これらの内、特に、テープガイドは傾斜を付け
たガイド壁を有し、この上にテープの片側エッジを押し
つけるように通過させることにより、テープを巾方向反
対側エッジに押し付け、テープを巾方向に揺れることな
く安定して走行させ、さらにロックピンにより、テープ
を確実に磁気ヘッドに接触させる構造になっている。こ
のため、テープガイドの傾斜壁を通過したテープの片側
エッジが強制的に数%伸ばされてしまう。これにより、
テープの片側エッジが伸びたり、折れ曲がりが起って、
テープと磁気ヘッドとのなじみ(ヘッドタッチ)が悪く
なり、録音時の記録信号の欠落や再生時に出力が十分に
出なかったり、テープの走行が不安定になり再生信号を
正確に読み取れなくなるというトラブルが発生する。こ
のため、長手方向高強度のアナログ録音用テープの基体
フィルムを、DCC用ベースとして使用したとしても、
テープのスタート・ストップ時の張力変動によるテープ
の伸び、変形を抑えることが出来なかったり、また該フ
ィルムは巾方向の強度が十分でないこともあり、上記よ
うなエッジダメージを防ぐことが出来ない。
【0003】また、DCCはデジタル再生録音に対応し
て高密度記録されるため、磁性層表面はより平坦である
ことが必要である。前記「DCC・MDガイドブック」
では使用されるテープはスタンダードタイプのVTRテ
ープ相当としており、ベースフィルムの表面も平坦であ
ることが要求される。デジタルオーディオカセットテー
プでは、高密度記録に対応して表面粗さを非常に低下さ
せたベースフィルムを使用すると、フィルム面間の滑り
性が悪く、またフィルム間に存在する空気の逃げが悪い
ため、フィルムをロール上に巻き上げることが非常に難
しくなる。従って、ベースフィルム表面は平坦であると
同時に走行性の優れたものが要求される。
【0004】一方、従来のアナログオーディオカセット
テープは、通常、ポリエステルフィルムの表面が粗く、
上述の要求特性を満足して実用に供しうるものは見出さ
れない。
【0005】また、オーディオカセットテープは、夏季
の屋外や車内でも使用されるようになってきており、き
びしい高温の環境下で使用される場合が多くなってい
る。このようなことから、耐熱性等に優れ、より厳しい
環境変化においてもテープ特性の変化が起こらないも
の、例えば90〜100℃のような高温下でテープを放
置した場合でも特性の劣化が起こらないものが望まれて
いる。
【0006】そこで、固定磁気ヘッド方式のデジタルオ
ーディオカセットテープの支持体として、これらの問題
の生じないもの、換言すれば、伸びに対する復元性に優
れ、且つ平坦易滑性に優れ、高温下での特性の劣化の起
こらないベースフィルムが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解消し、固定磁気ヘッド方式のデジタルオーディ
オテープとしたとき、磁気ヘッドのテープガイドでの傾
斜壁によるテープ片エッジの伸ばされに対する復元性に
優れ、記録の歪、出力変動が小さく、テープの走行性や
オーディオ特性(電磁変換特性)も良好で、実質的に易
滑性付与のバックコーティングがなされていないデジタ
ルオーディオカセットテープ用ポリエステルフィルムを
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次の構成からなる。
【0009】ポリエステルフィルムよりなる基体フィル
ムの上に磁性層を設けてなるデジタルオーディオカセッ
トテープに供するベースフィルムであって、フィルムの
縦方向の5%伸張時応力が12kg/mm2 以上であ
り、フィルムの縦方向および横方向の残留伸度がそれぞ
れ0.2%以下であり、表面粗さRaが5〜25nmで
あり、105℃で30分間無荷重下で熱処理したときの
縦方向の熱収縮率が1.5%以下であり、そしてフィル
ム厚みが12μm以下であることを特徴とする二軸配向
ポリエステルフィルム。
【0010】本発明におけるポリエステルは、ポリエチ
レンテレフタレートを主成分とするポリマーであり、ポ
リエチレンテレフタレートホモポリマーのみならず、酸
成分の80モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコ
ール成分の90モル%以上がエチレングリコールからな
る共重合ポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレン
テレフタレートが85重量%以上(好ましくは90重量
%以上)を占め、他のポリマーが15重量%以下(好ま
しくは10重量%以下)であるようなポリマー・ブレン
ドを含む。
【0011】共重合の酸成分としては、例えばナフタレ
ンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルスルホンジ
カルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸などの芳香族
ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ド
デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサ
ヒドロテレフタル酸、1,3−アダマンタンジカルボン
酸などの脂環族ジカルボン酸等を挙げることができる。
また、グリコール成分としては、例えば1,3−プロパ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、P−キシリレングリコールなど
を挙げることができる。ブレンドできる他のポリマーと
しては、ポリアミド、ポリオレフィン、他種ポリエステ
ル等を例示することができる。
【0012】また前記ポリエステルは、必要に応じて滑
剤、艶消剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤などを含有す
るものであってもよい。
【0013】このようなポリエステルは、通常溶融重合
法によって公知の方法で製造される。その際、触媒等の
添加剤は必要に応じて任意に使用することができる。
【0014】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、基本的には従来から蓄積された公知の製膜方法で製
造できる。例えば、乾燥ポリエステルを溶融押出し、キ
ャスティングドラム上で冷却して未延伸フィルムを得、
さらに該未延伸フィルムを同時または逐次二軸延伸し、
熱固定する方法で製造することができる。
【0015】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、フィルムの縦方向の5%伸張時応力が12kg/m
2 以上であることが必要である。この縦方向の5%伸
張時応力は、テープの記録再生時間によって変えるのが
好ましく、記録再生時間が60分以下の場合には12〜
15kg/mm2 が好ましく、記録再生時間が60分を
超え90分以下の場合には15〜20kg/mm2 が好
ましく、そして記録再生時間が90分を超え150分以
下の場合には20kg/mm2 以上が好ましい。これに
よって、テープのスタート・ストップ時や電子編集での
テープの伸縮や永久変形が防止でき、テープの歪の回復
を速やかになしうる。また、テープ巾ガイドの傾斜固定
ピンによるテープ片側エッジの永久変形を防止できる。
フィルムの縦方向の5%伸張時応力が12kg/mm2
未満の場合、テープ走行時の伸びやスタート・ストップ
時の張力変動によるテープの伸縮及び変形が起こり、出
力変動が大きくなったり、音質が悪化する。さらに、傾
斜固定ピンでテープ片側エッジが永久伸び変形を受け、
ヘッドタッチも悪化するため、電磁変換特性も不良とな
る。
【0016】かかる縦方向の5%伸張時応力を得る手段
としては、一般的な延伸ロールやステンターを用いて、
縦,横方向に同時延伸してもよく、また縦、横方向に逐
次延伸してもよく、また縦、横方向に2段以上延伸する
方法を用いてもよい。具体的には、延伸方法は公知の方
法でよく、延伸温度は通常80〜140℃であり、延伸
倍率は縦方向に3.0〜5.0倍、好ましくは3.3〜
4.3倍、横方向に3.0〜5.0倍、好ましくは3.
5〜5.0倍を選択する。得られた二軸延伸フィルムを
150〜260℃、好ましくは180〜250℃で1〜
100秒熱固定することよって前記二軸配向ポリエステ
ルフィルムを得ることができる。
【0017】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、フィルムの縦方向及び横方向の残留伸度がそれぞれ
0.2%以下である必要がある。縦方向の残留伸度は
0.15%以下、更に0.1%以下、特に0.05%以
下であることが好ましい。また、横方向の残留伸度は縦
方向の残留伸度と同じか、これより大きいことが好まし
い。これによって、テープが磁気ヘッドのテープガイド
の傾斜壁を走行することによって強制的に片側エッジが
伸ばされても、ヘッドを通過した直後の復元性が良好で
あり、特に横方向の残留伸度が縦方向より大きい場合、
特に復元性に優れており、残留伸びや永久変形の発生が
なく、テープのヘッドに対するなじみ(ヘッドタッチ)
が良好で、出力特性や音質特性に優れている。フィルム
の縦方向または横方向、あるいは両方向の残留伸度が
0.2%より大きい場合、テープが磁気ヘッドのテープ
ガイドの傾斜壁を走行することによって片側エッジが伸
びたり、折れ曲がりが生じ、テープと磁気ヘッドとのな
じみ(ヘッドタッチ)が悪くなるため、録音時の記録信
号の欠落や再生時出力が十分に出ない。
【0018】かかる残留伸度は、前記5%伸張時応力を
得る手段で二軸延伸、熱固定を行う際、残留伸度が熱固
定温度により大きく変化するため、あらかじめ、上記熱
固定の適正温度範囲内で熱固定温度を変えて得たフィル
ムの縦、横方向の残留伸度を縦方向の5%伸張時応力と
同時に測定を行い、測定値を比較しながら最適熱固定温
度を選択することで得ることが好ましい。
【0019】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、表面粗さRaが5〜25nmの範囲、好ましくは8
〜20nmの範囲であることが必要である。これによっ
て、易滑性付与のバックコーティングをしてないデジタ
ルオーディオカセットテープとした時、村田欽哉著「D
CC・MDガイドブック」(電波新聞社刊)に記載の如
く、スタンダードタイプのVTRテープ相当の表面性の
テープが得られ、かつ、テープ走行性に優れる。表面粗
さRaが25nmより大きくなると、従来アナログオー
ディオカセットテープの如く、ベースフィルムの粗れた
表面が磁性層まで影響し、磁性層を粗化させてしまうた
め高密度記録用の磁気テープとして必要な電磁変換特性
が低下するとともにドロップアウトが発生する。また、
Raが5nmより小さくなると、ベースフィルムの摩擦
係数が大きくなり、フィルムの取扱性及びロール上に巻
き上げることが非常に難しくなる。さらに易滑性付与の
バックコーティングのないデジタルオーディオカセット
テープとした場合、テープ走行性を著しく悪化させる。
【0020】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、105℃で30分間無荷重で熱処理したときの縦方
向の熱収縮率が1.5%以下である必要がある。好まし
くは1.2%以下、更に好ましくは1.0%以下であ
る。この熱収縮率が大きすぎると、夏季等の高温雰囲気
下での使用や保管時、磁気テープの変形が大きく、テー
プの特性が損なわれる。
【0021】105℃、30分の熱収縮率は、通常、上
記熱固定処理条件の範囲内で熱処理条件を適時選択する
ことにより達成される。別の手段として、上記熱固定処
理後、さらに速度差を持った2つのロール間にフィルム
を通し、ポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上の
温度をかけて弛緩処理をすることにより達成される。し
かし、特にこれらの方法に限定されるものではない。
【0022】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、フィルム厚みが12μm以下である必要がある。好
ましいフィルム厚みは、記録再生時間によって変り、記
録再生時間が60分以下の場合には9〜12μmが好ま
しく、記録再生時間が60分を超え90分以下の場合に
は6〜9μmが好ましく、そして記録再生時間が90分
を超え150分以下の場合には4〜6μmが好ましい。
フィルム厚みが12μmより厚いと、小型、軽量のデジ
タルオーディオカセットテープとしての機能を達し得な
い。フィルム厚みの下限は特に限定されないが、厚みが
4μm未満になると縦方向の5%伸張時応力が12kg
/mm2 以上であってもテープとしてのスティフネスが
不足し、テープの腰の弱さから、テープの走行性が不安
定となり、テープの伸び、折れ曲がり、巻付きなどのト
ラブルが起るようになる。さらに、厚みが薄くなると、
残留伸度が極度に落ち、特に3μm以下では残留伸度を
0.2%以下に保つことが困難となり、磁気ヘッドのテ
ープガイドの傾斜壁でテープ端面の片伸びが起るため、
フィルム厚みの下限は4μm以上が好ましい。
【0023】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、記録再生時間に合せて、5%伸張時応力、残留伸
度、フィルム厚み等を下記の如く選ぶのが好ましく、こ
れにより小型、軽量でかつテープの走行時やスタート・
ストップ時のエッジダメージやテープの伸び、変形を抑
えることができる。
【0024】記録再生時間が60分以下の場合、フィル
ムの縦方向の5%伸張時応力が12〜15kg/mm2
であり、縦方向の残留伸度が0.15%以下,さらに好
ましくは0.10%以下、特に好ましくは0.05以下
であり、横方向の残留伸度が0.2%以下、さらに好ま
しくは0.15%以下、特に好ましくは0.1以下であ
り、そしてフィルム厚みが9〜12μmである。
【0025】記録再生時間が60分を超え90分以下の
場合、フィルムの縦方向の5%伸張時応力が15〜20
kg/mm2 であり、縦方向の残留伸度が0.15%以
下,さらに好ましくは0.10%以下、特に好ましくは
0.05以下であり、横方向の残留伸度が0.2%以
下、さらに好ましくは0.15%以下であり、そしてフ
ィルム厚みが6〜9μmである。
【0026】記録再生時間が90分を超える場合、フィ
ルムの縦方向の5%伸張時応力が20kg/mm2 以上
であり、縦方向の残留伸度が0.15%以下、さらに好
ましくは0.10%以下、特に好ましくは0.05以下
であり、横方向の残留伸度が0.2%以下、さらに好ま
しくは0.15%以下であり、そしてフィルム厚みが4
〜6μmである。
【0027】
【実施例】以下、実施例に掲げて本発明を更に説明す
る。
【0028】なお、本発明における種々の物性値及び特
性は以下の如くして測定したものであり、かつ定義され
る。
【0029】(1)5%伸張時応力 フィルムを試料巾10mm、長さ150mmに切り、チャッ
ク間100mmにして引張速度100mm/分、チャート速
度100mm/分にインストロンタイプの万能引張試験装
置にて引張る。得られた荷重−伸び曲線の5%引張時の
応力を単位面積当たり(mm2 )に換算し求める。
【0030】(2)残留伸度 三豊製作所製精密万能投影機PJ321Fの測定台上に
巾3/20インチ、長さ600mmのフィルム試料を置
き、長手方向の片側を固定し、他方側を試料台横に平行
設置したロール上部が試料台の水平面と同一高さの位置
にあるフリーロール上を通し、垂直に垂れ下げる。試料
台上のフィルム試料につけた約200mmの標点を正確
に測定し、続いてフリーロール側の垂れ下がったフィル
ム端部に200gの荷重かけ10分間放置後、200g
の荷重を外し、更に10分間放置後、寸法変化を読み取
る。無荷重時の長さ(S0 )と200g荷重による寸法
変化量(△S)より、次式(数1)で残留伸度を求め
る。
【0031】
【数1】
【0032】(3)フィルム表面粗さ(Ra) 小坂研究所(株)製の触針式表面粗さ計(サ−フコ−ダ
30C)を用いて針の半径2μm、触針圧30mgの条件
下にチャート(フィルム表面粗さ曲線)をかかせる。フ
ィルム表面粗さ曲線から、その中心線の方向に測定長さ
Lの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸
とし、縦倍率の方向をY軸として、粗さ曲線をY=f
(x)で表わしたとき、次の式(数2)で与えられるR
a(μm)をフィルム表面粗さとして定義する。
【0033】
【数2】
【0034】(4)熱収縮率 105℃に設定されたオーブンの中にあらかじめ正確な
長さを測定した長さ約30cm、巾1cmのフィルムを無荷
重で入れ、30分間熱処理し、その後オーブンよりサン
プルを取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読
み取る。熱処理前の長さ(L0 )と熱処理による寸法変
化量(ΔL)より、次式(数2)で熱収縮率を求める。
【0035】
【数3】
【0036】(5)磁気テープの走行耐久性 ベースフィルムに、70wt%のγ−Fe23 と30
wt%のバインダーからなる塗料を塗布する。このバイ
ンダーは5wt%のウレタンゴム、3.5wt%のニト
ロセルローズ、1.5wt%の塩化ビニール、90wt
%のメチルエチルケトン、更に硬化剤としてイソシアネ
ート化合物を樹脂に対して15wt%配合したものであ
る。この塗布によって600mm巾の磁性層コーティン
グ原反を得、このコーティング原反にシェアー式スリッ
ターを用いて3/20インチのマイクロスリットを施
し、得られた磁気テープを用いて、松下電器産業(株)
製デジタルカセットデッキRS−DC10で走行開始、
停止を繰り返しながら100時間走行させ、このときの
磁気テープの走行耐久性を下記ように判定する。 <3段階判定> ○:テープのエッジが伸びや、折れ曲がりが起らない。
また、削れがなく白粉付着がない。 △:若干、テープのエッジの伸びによるワカメが発生し
たり、折れ曲がりが起こり、小量の白粉付着が見られ
る。 ×:テープの片側エッジが伸びたり、折れ曲がりが起こ
り、ワカメや折れの発生が著しい。また、テープ削れが
著しく白粉が多量に発生する。
【0037】(6)巻き上がり良品率 フィルムを500mm巾で4000m、ロール状に100
本巻き取ったときに得られる良品数を百分率で示した。
このとき良品とは、次のものをいう。フィルムが円筒状
に巻き上げられており、角ばったり、たれさがったりし
ていない。フィルムロールにしわの発生がない。
【0038】
【実施例1】平均粒径0.8μmの炭酸カルシウム粒子
を0.2重量%含有した固有粘度0.65dl/g(オル
ソクロロフェノールを溶媒として用い、25℃で測定し
た値)のポリエチレンテレフタレートを160℃で乾燥
した後、280℃で溶融押出し、40℃に保持したキャ
スティングドラム上で急冷固化せしめて約150μmの
厚みの未延伸フィルムを得た。
【0039】この未延伸フィルムを速度差をもった2つ
のロール間で90℃の温度で縦方向に3.8倍延伸し、
さらにテンターによって横方向に3.8倍延伸し、続い
て200℃で30秒間熱処理をした後、90℃で15秒
間冷却し、巻取った。この様にして厚み10μmの二軸
配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
【0040】続いて、該二軸配向ポリエチレンテレフタ
レートフィルムに前記(5)磁気テープの走行耐久性に
記載の組成の磁性塗料を塗布し、磁気テープを得た。
【0041】得られたフィルム及び磁気テープの特性を
表1に示す。この表から明らかなようにベースフィルム
の取扱い性が良好で、磁気テープの走行耐久性に優れて
いる。
【0042】
【実施例2】実施例1と同様にして未延伸フィルムを
得、この未延伸フィルムを速度差をもった2つのロール
間で60℃の温度で縦方向に4.5倍延伸し、さらにテ
ンターによって横方向に3.5倍延伸したのち、実施例
1と同様にして熱処理し、厚み10μmの二軸配向ポリ
エチレンテレフタレートフィルム及び磁気テープを得
た。この結果を表1に示す。実施例1と同様、良好な結
果が得られた。
【0043】
【実施例3】実施例1における添加不活性固体粒子の代
わりに、平均粒径0.4μmの単分散シリカ粒子を0.
2重量%添加した以外は、実施例1と同様にして厚み1
0μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
及び磁気テープを得た。この結果を表1に示す。実施例
1と同様、良好な結果が得られた。
【0044】
【比較例1】実施例1と同様にして未延伸フィルムを
得、該未延伸フィルムを速度差をもった2つのロール間
で90℃の温度で縦方向に3.5倍延伸し、さらにテン
ターによって横方向に3.5倍延伸し、続いて170℃
で30秒間熱処理をした後、実施例1と同様にして厚み
10μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィル
ム及び磁気テープを得た。この結果を表1に示す。ベー
スフィルムの縦方向の5%伸張時応力が低く、残留伸度
が高いため、走行時にワカメや折れの発生が著しく、又
熱収が高いため、夏季の等高温雰囲気で使用時及び保管
時、磁気テープの変形が大きくなり、デジタルオーディ
オテープとして、好ましくなかった。
【0045】
【比較例2】実施例1と同様にして未延伸フィルムを
得、該未延伸フィルムを速度差をもった2つのロール間
で90℃の温度で縦方向に3.0倍延伸し、さらにテン
ターによって横方向に4.5倍延伸し、続いて200℃
で30秒間熱処理をした後、実施例1と同様にして厚み
10μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィル
ム及び磁気テープを得た。この結果を表1に示す。ベー
スフィルムの残留伸度は適正範囲にあるが、縦方向の5
%伸張時応力が低いため、走行時に伸びが発生しワカメ
や折れの発生がおこり、デジタルオーディオテープとし
て、好ましくなかった。
【0046】
【比較例3】比較例1と同様にして二軸延伸後、テンタ
ーにて240℃で30秒間熱処理をした後、実施例1と
同様にして厚み10μmの二軸配向ポリエチレンテレフ
タレートフィルム及び磁気テープを得た。この結果を表
1に示す。ベースフィルムの縦方向の5%伸張時応力が
低く、更に特に残留伸度が高いため、走行時にワカメや
折れの発生が著しく、デジタルオーディオテープとし
て、好ましくない。
【0047】
【比較例4】実施例1における添加不活性固体粒子の代
わりに、平均粒径0.02μmの単分散シリカ粒子を
0.03重量%添加した以外は実施例1と同様にして厚
み10μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム及び磁気テープを得た。この結果を表1に示す。ベ
ースフィルムの表面粗さが低く、取扱い作業性が悪く、
走行テスト時、ベースフィルムの削れが著しくカイドピ
ンやパッドに白粉が多量に発生したため、デジタルオー
ディオテープとして、不適切なベースであった。
【0048】
【実施例4】実施例1と同様にして厚み約130μmの
未延伸フィルムを得、この未延伸フィルムを速度差をも
った2つのロール間で60℃の温度で縦方向に4.7倍
延伸し、さらにテンターによって横方向に3.5倍延伸
したのち、実施例1と同様にして熱処理し、厚み8μm
の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、及び
記録再生時間が90分の磁気テープを得た。この結果を
表1に示す。実施例1と同様、良好な結果が得られた。
【0049】
【実施例5】実施例1と同様にして未延伸フィルムを
得、この未延伸フィルムを速度差をもった2つのロール
間で70℃の温度で縦方向に2.0倍延伸し、続いてテ
ンターによって横方向に90℃の温度で3.2倍延伸
し、さらに110℃で中間熱処理した。ついで、この熱
処理したフィルムを加熱ロールで100に加熱後冷却ロ
ールとの間で張力を調整することにより縦方向の熱収縮
率を0.5%と調整した。得られたフィルムの厚みは6
μmであった。以下実施例1と同様にして記録再生時間
が120分の磁気テープを得た。この結果を表1に示
す。実施例1と同様、良好な結果が得られた。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、ベースフィルムの取扱
い作業性が良好で、固定磁気ヘッド方式のデジタルオー
ディオテープとしたとき、磁気ヘッド付近で強制的に伸
ばされたテープの復元性に優れ、記録の歪、出力変動が
小さく、テープの走行性やオーディオ特性(電磁変換特
性)も良好で、特にバックコーティングのないタイプの
デジタルオーディオカセットテープ用ポリエステルフィ
ルムを提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 浜野 久 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムよりなる基体フィ
    ルム上に磁性層を設けてなるデジタルオーディオカセッ
    トテープに供するベースフィルムであって、フィルムの
    縦方向の5%伸張時応力が12kg/mm2 以上であ
    り、縦方向および横方向の残留伸度がそれぞれ0.2%
    以下であり、表面粗さRaが5〜25nmであり、10
    5℃で30分間無荷重下で熱処理したときの縦方向の熱
    収縮率が1.5%以下であり、そしてフィルム厚みが1
    2μm以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステ
    ルフィルム。
  2. 【請求項2】 記録再生時間が60分以下のデジタルオ
    ーディオカセットテープに供するベースフィルムであっ
    て、フィルムの縦方向の5%伸張時応力が12〜15k
    g/mm2 であり、縦方向の残留伸度が0.15%以下
    であり、そしてフィルム厚みが9〜12μmであること
    を特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリエステルフィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 記録再生時間が60分を超え90分以下
    のデジタルオーディオカセットテープに供するベースフ
    ィルムであって、フィルムの縦方向の5%伸張時応力が
    15〜20kg/mm2 であり、縦方向の残留伸度が
    0.15%以下であり、そしてフィルム厚みが6〜9μ
    mであることを特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリ
    エステルフィルム。
  4. 【請求項4】 記録再生時間が90分を超え150分以
    下のデジタルオーディオカセットテープに供するベース
    フィルムであって、フィルムの縦方向の5%伸張時応力
    が20kg/mm2 以上であり、縦方向の残留伸度が
    0.15%以下であり、そしてフィルム厚みが4〜6μ
    mであることを特徴とする請求項1記載の二軸配向ポリ
    エステルフィルム。
JP5558593A 1993-03-16 1993-03-16 二軸配向ポリエステルフィルム Pending JPH06262678A (ja)

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TW83102190A TW321665B (ja) 1993-03-16 1994-03-14
DE69424703T DE69424703D1 (de) 1993-03-16 1994-03-15 Magnetband zur Verwendung in Kassetten für digitale Tonbandgeräte und biaxial orientierte Polyesterfilme dafür
KR1019940005157A KR100297271B1 (ko) 1993-03-16 1994-03-15 디지탈오디오테이프레코더카세트용자기테이프및그에사용되는이축배향폴리에스테르기재필름
EP94301810A EP0616320B1 (en) 1993-03-16 1994-03-15 Magnetic tape for use in cassette for digital audio tape recorder and biaxially oriented polyester base film therefor
US08/274,755 US5439738A (en) 1993-03-16 1994-07-14 Magnetic tape for use in cassette for digital audio tape recorder and biaxially oriented polyester base film therefor
US08/350,470 US5463015A (en) 1993-03-16 1994-12-07 Magnetic tape for use in cassette for digital audio tape recorder and biaxially oriented polyester base film therefor

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08132523A (ja) * 1994-11-09 1996-05-28 Toray Ind Inc 低熱収縮性ポリエステルフィルム
JPH08164558A (ja) * 1994-12-15 1996-06-25 Toray Ind Inc ポリエステルフィルム
JP2021190143A (ja) * 2020-05-28 2021-12-13 富士フイルム株式会社 磁気テープ装置、磁気テープおよび磁気テープカートリッジ

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