JP2519546Y2 - 自動車用エアバック作動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用エアバック作動装置に関し、さらに
詳しくは、助手席側のエアバックの起爆装置の動作制御
構造に関する。

（従来の技術） 周知のように、自動車が衝突した場合の乗員保護を目
的として、起爆することで膨張するエアバックを装備す
ることがある。

このエアバックは、通常、例えば、インストルメント
パネル内に格納されており、衝突時の衝撃を感知するこ
とで起爆装置の爆発による膨張作用によりバルーン状に
膨らみ、乗員が前に倒れ込むのを受けるようになってい
る。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上述したエアバックは、常に乗員が着座す
るとは限らない助手席側にも配備されており、衝撃を感
知した時点で運転席側と同様に起爆するようになってい
ることで、次のような問題があった。

すなわち、助手席に乗員が着座していない場合に爆発
させて膨らませるとインストルメントパネルの修繕費が
かなり高くなる場合がある。

また、乗員が着座態位にある場合、あるいは荷物が載
せてある場合、乗員の上半身がシートバックから離れて
極端にインストルメントパネルに接近させているような
とき、換言すれば、シートバックから上半身をインスト
ルメントパネル側に起こしているようなとき、また、上
述した荷物の前側をインストルメントパネルに接近させ
た状態で載せているようなときには、エアバックが膨ら
むと、そのエアバックにより乗員若しくは荷物がシート
バックに向け急速度で押し込まれたり、吹き飛ばされる
という不具合を招くことがある。

そこで、本考案の目的は、上述したエアバックにおけ
る問題に鑑み、必要時以外にはエアバックの作動をさせ
ないようにして危険を回避できる自動車用エアバック起
爆装置を得ることにある。

（課題を解決するための手段） この目的を達成するため、本考案は、自動車の衝突時
における衝撃を感知した際に格納状態にある状態から爆
発させることでエアバックを車室内に膨らませる起爆装
置を具備するエアバックの作動装置において、インスト
ルメントパネルに配設され、シートバックのヘッドレス
トよりも下の位置に反射点を設定してある超音波距離測
定機と、シートクッションを摺動自在に支持しているシ
ートスライダに設けられ、シートクッションの位置を検
知するスライド位置検出センサと、上記超音波距離測定
機より測定された距離が所定値を超え、且つ同超音波距
離測定機と上記スライド位置検出センサより検出された
距離との両距離の差が空席時の差と異なるとき上記起爆
装置を作動させる制御部とを備えたことを特徴としてい
る。

（作用） 本考案によれば、シートの位置とこの位置から割り出
されるシートバックの位置および超音波距離測定機から
の距離とを比較して、その距離の違いが乗員若しくは荷
物を載せている状態の場合にエアバックの作動を許容さ
れる。

（実施例） 以下、第１図および第２図において本考案実施例の詳
細を説明する。

第１図は本考案実施例によるエアバック作動装置の全
体構成を説明するための模型図である。

第１図において、作動装置はインストルメントパネル
１に配置された超音波距離測定機２とシート３のスライ
ダに設けてあるスライド位置検出センサ４とエアバック
の起爆装置５と制御部６とから構成してある。

上述した超音波距離測定機２は、インストルメントパ
ネル１におけるエアバックの格納位置よりも上部に位置
し、シート３におけるシートバック3A上部に取付けてあ
るヘッドレスト3Bよりも下に位置するシートバックの長
手方向中心部に音波の反射点を設定できる位置に設けて
あり、シートバックまでの距離を検出する。

上述した反射点は、シートバック３が起こされて通常
の使用態位にあることを前提として設定されている。

そして、上述したスライド位置検出センサ４は、例え
ば、シートクッション3C側とシートのスライドガイド用
レール７との間に設けてあるポテンションメータにより
構成してあり、シートクッションの現段階での位置を検
出する。

一方、上述した超音波距離測定機２およびスライド位
置検出センサ４は、共に制御部６に電気的に接続してあ
る。

すなわち、制御部６は演算制御可能なマイクロコンピ
ュータにより構成してあり、図示しない入出力装置を介
して、入力側には超音波距離測定機２およびスライド位
置検出センサ４がそれぞれ接続され、そして出力側には
エアバックの起爆装置５が接続してある。

制御部６は、内部にシートクッションの位置から割り
出したシートバック3Aにおける揺動基部の位置および乗
員若しくは荷物がシートバック3Aから離れてインストル
メント１に接近していることを意味する所定値すなわち
最短距離を記憶しており、スライド位置検出センサ４か
らの入力情報に基づいてシートバック3Aの揺動基部の位
置を割り出す一方、超音波距離測定機２からの入力情
報、つまり、実際のシートバック3Aまでの距離を入力さ
れることで、これら距離間での差が空席時の差と異なり
シートに乗員あるいは荷物を載せている状態にあるかを
判別するようになっている。そして、上述した距離の差
が乗員若しくは荷物を載せている状態に相当すると判断
した場合および上述した最短距離にない場合には、起爆
装置５への作動指令を行なって、エアバックを爆発させ
る。

本実施例は以上のような構造であるから、その作用を
第２図に示したフローチャートにより説明すると次の通
りである。なお、第２図において超音波距離測定機を便
宜状、ソナーという表現を用いて示していることを前置
きしておく。

すなわち、超音波距離測定機２およびスライド位置検
出センサ４によるシートの位置の読み込み並びにシート
バック3Aまでの距離の読み込みがリアルタイムに行なわ
れ、これら入力情報である距離（Ｓ）と（Ｌ）との大小
関係を判別することで差が空席時のものであるかを判断
する。つまり、上述した差は、乗員若しくは荷物をシー
トに載せていない場合には、空席時の値として表れるの
で、この値にない場合を乗員若しくは荷物が存在し、こ
の状態で乗員若しくは荷物がインストルメントパネル１
側に極端に接近していないかを超音波距離測定機２から
の距離に基づく最短距離を用いて判断し、いずれの条件
も満足している場合、すなわち超音波距離測定機２より
測定された距離が所定値を超え、且つ超音波距離測定機
２とスライド位置検出センサ４より検出された距離との
両距離の差が空席時の差と異なる場合にかぎり制御部６
が起爆装置５の作動を許容してエアバックの爆発膨張を
可能にする。

（考案の効果） 以上、本考案によれば、シートバック又は乗員若しく
は荷物とインストルメントパネルとの間の距離に基づい
て、乗員若しくは荷物の着座態位をも判断し、エアバッ
クの起爆動作を行うので、無為は爆発によるエアバック
の膨張動作を回避することができ、これにより、エアバ
ックの無駄な取替え費及びインストルメントパネルの修
繕費が嵩むことや乗員若しくは荷物の損傷を未然に防止
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例によるエアバック作動装置の全体
構成を示すブロック図、第２図は第１図に示した装置に
おける要部作用を説明するためのフローチャートであ
る。 １……インストルメントパネル、２……超音波距離測定
機、３……シート、3A……シートバック、3B……ヘッド
レスト、3C……シートクッション、４……スライド位置
検出センサ、５……起爆装置、６……制御部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車の衝突時における衝撃を感知した際
   に格納状態にある状態から爆発させることでエアバック
   を車室内に膨らませる起爆装置を具備するエアバックの
   作動装置において、 インストルメントパネルに配設され、シートバックのヘ
   ッドレストよりも下の位置に反射点を設定してある超音
   波距離測定機と、 シートクッションを摺動自在に支持しているシートスラ
   イダに設けられ、シートクッションの位置を検知するス
   ライド位置検出センサと、 上記超音波距離測定機より測定された距離が所定値を超
   え、且つ同超音波距離測定機と上記スライド位置検出セ
   ンサより検出された距離との両距離の差が空席時の差と
   異なるとき上記起爆装置を作動させる制御部と を備えたことを特徴とする自動車用エアバック作動装
   置。