JP2517780Y2 - 編機における糸のテンション装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、編機における糸のテン
ション装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、編機のテンション装置は、糸にあ
る程度の張力を与えて編目の規則性を保たせると同時
に、横編機にあっては、キャリッジの往復運動の反転時
における糸の弛みを取り上げ、編目の外観を整えること
を目的として使用されている。従来例として図４に示す
ごとく、支持部材１に弾性を有するワイヤ等よりなるガ
イド２を、呼び戻しバネ３により右旋回方向に付勢力が
作用するように揺動自在に支持したものなどが知られて
いる。上記装置では、ボビン側４より繰り出される糸５
は、支持部材１に設けられた導糸孔６，７及びガイド２
の先端部に設けられた導糸孔８を通して図示しない編機
に給糸され、キャリッジの反転時などに糸５の弛みが出
ると、ガイド２の弾性及び呼び戻しバネ３の弾発力によ
りガイド２は右方向に跳ね返り、鎖線で示すように糸５
の弛みを取り上げると同時に糸５のテンションを補うよ
うにしている。

【０００３】このようなテンション装置においては、糸
弛みの量による糸のテンションの変動が大であり、糸弛
みを直線的に取り上げるため装置の規模も比較的大きな
ものとなってしまうといった問題点を有していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、従来の技術
の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、編み取られる糸のテンシ
ョンが比較的均一であり、且つ小規模な装置で比較的多
量な糸弛みを取り上げることができるテンション装置を
提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】回転自在に軸支した編糸
プールローラの外周に近接して、編糸プールローラの外
周を周回するガイドローラを設け、該ガイドローラに係
止してその部分で折り返されるように案内された編糸の
上記折り返し部分の前後を前記編糸プールローラに巻き
付ける方向に上記ガイドローラを付勢するスプリングを
設けるとともに、上記ガイドローラに供給される編糸を
その一端で押さえる糸押さえレバーを旋回可能に設け、
該糸押さえレバーの他端には上記ガイドローラから編立
側に送出される編糸を案内する糸ガイドを設けた。

【０００６】

【作用】キャリッジ走行時、編立側に引張される糸のテ
ンションにより糸ガイドは引き下げられ、糸押さえは跳
ね上げられるので、ボビン側より糸が引き込まれ、ガイ
ドローラ及び編糸プールローラにより案内され、上記糸
ガイドを経て編立側に送られる。この時、ガイドローラ
に掛かる糸のテンションによりスプリングが弾性変形
し、ガイドローラはスプリングの付勢力と糸のテンショ
ンが釣合った位置に変位している。そして、キャリッジ
反転時、編立側での引張が解除されると、糸ガイドは糸
押さえレバーの自重により跳ね上げられ、糸押さえは下
方に旋回揺動してボビン側より引き込まれる糸を押さ
え、その供給を停止すると共にスプリングの付勢力によ
りガイドローラが編糸プールローラの外周部に沿って周
回しつつ該編糸プールローラに順次糸を巻き取っていく
ので、糸弛みは生じず、糸のテンションはテンションス
プリングの付勢力により補われ、均一に保持される。

【０００７】

【実施例】本考案装置の実施の一例について図１乃至図
３と共に次に説明する。

【０００８】本考案テンション装置１０は、支持部材１
１に支持されている。支持部材１１にローラシャフト１
２を貫設し、該ローラシャフト１２に外周部にＵ字溝を
設けた編糸プールローラ１３を回転自在に軸支する。編
糸プールローラ１３の外周縁に接近して編糸プールロー
ラ１３の外周を周回できるようガイドローラ１４をガイ
ドローラ支持部材１５により設ける。ガイドローラ１４
はガイドローラ支持部材１５の先端に回転自在に支持さ
れ、ガイドローラ支持部材１５はその基部のテンション
スプリング１６を介してローラシャフト１２に固定され
ている。ローラシャフト１２には、さらに円盤状のカバ
ー１７を固定している。

【０００９】ガイドローラ１４の外周部にはＵ字溝を設
けてある。ガイドローラ１４及び編糸プールローラ１３
の主断面は同一仮想平面上にあり、テンションスプリン
グ１６の弾発力は、ガイドローラ１４が編糸プールロー
ラ１３の外周部に沿って前記仮想平面上で反時計回り回
転する方向に作用するものとする。

【００１０】そして支持部材１１にシャフト１８を貫設
し、該シャフト１８に糸押さえ１９を揺動自在に固定す
る。糸押さえ１９は、先端に導糸部２０を設けたガイド
バー２１をネジ止めし他端には糸２２をニップするゴム
製のニップ部材２３を接合する。尚、前記シャフト１８
を嵌入する軸承部２４は糸押さえ１９の重心よりガイド
バー２１がネジ止めされている側に偏移して設けられて
おり、糸押さえ１９の自重によりガイドバー２１側が跳
ね上げられニップ部材２３側は下行して、支持部材１１
の端部を折り曲げてなる押さえ板２５との間で糸２２を
ニップ出来るようにしている。また、支持部材１１に軸
状のストッパ２６を貫設し、糸２２の張力によりガイド
バー２１が引き下げられる際、ニップ部材２３が糸２２
に近接した位置で留まっているようにする。

【００１１】上述の如く構成されたテンション装置１０
は、図示しない部材により編機の上部に固定される。

【００１２】上記実施例においては、ガイドローラ１４
をテンションスプリング１６と一体の支持部材１５で支
持しているが、ローラシャフト１２に支持されたアーム
によりガイドローラ１４を支持し、該アームを適宜スプ
リングで付勢するようにしても良いことは勿論である。

【００１３】また弛み糸の最大吸収量を変えるには編糸
プールローラ１３の径を適宜変更することにより行なう
ことが可能である。

【００１４】次に実施の一例に基づいて作用を説明す
る。

【００１５】図３において、図示しないボビンより繰り
出される糸２２は、導糸孔２７を通りニップ部材２３と
押さえ板２５との間隙３０を通過し、ガイドローラ１４
及び編糸プールローラ１３のＵ字溝により案内され、ガ
イドバー２１の先端部の導糸部２０を通り編立側２８に
導かれている。

【００１６】編機において、キャリッジ走行時には、図
３に示すように糸２２のテンションによりガイドバー２
１は引き下げられ、糸押さえ１９はその端部を跳ね上げ
られるのでボビン側２９より糸２２は導糸孔２７を経て
引き込まれ、間隙３０を通りガイドローラ１４及び編糸
プールローラ１３により案内され、導糸部２０を通り、
編立側２８に送られている。この時、糸２２のテンショ
ンによりガイドローラ１４は時計回りに周回しテンショ
ンスプリング１６の弾発力と糸２２のテンションが釣合
った位置に変位している。

【００１７】そして、キャリッジの反転時に糸２２のテ
ンションが少なくなると、図１に示すようにガイドバー
２１は跳ね上がり、糸押さえ１９は自重により反時計針
方向に旋回し、ニップ部材２３と押さえ板２５とで糸２
２を挾み係止し、ボビン側２９からの糸２２の引き込み
を停止すると共に、テンションスプリング１６の弾発力
によりガイドローラ１４が反時計方向に周回し、糸２２
のテンションを補償しながら編糸プールローラ１３に糸
２２を巻き付け、余剰の糸を吸収する。

【００１８】更にキャリッジが進行し、糸２２が編立て
られるにつれて、図３に示すように引き込まれる糸２２
のテンションによりガイドバー２１は引き下げられ、ニ
ップ部材２３と押さえ板２５とにより押さえられていた
糸２２は解除され、ボビン側２９より糸２２が引き込ま
れると同時に、編糸プールローラ１３に巻き付けられて
いた糸２２は、糸２２のテンションによりテンションス
プリング１６が弾性変形し、ガイドローラ１４が編糸プ
ールローラ１３に沿って時計回りに周回するに連れて解
き解かれ、糸２２のテンションとテンションスプリング
１６の弾発力が釣り合った位置でガイドローラ１４は留
まり、該ガイドローラ１４及び編糸プールローラ１３は
回転して糸２２をボビン側２９より編立側２８へと案内
する。

【００１９】

【考案の効果】本考案の編機における糸のテンション装
置は、上述の通り、回転自在に軸支した編糸プールロー
ラの外周に近接して、編糸プールローラの外周を周回す
るガイドローラを設け、該ガイドローラに係止してその
部分で折り返されるように案内された編糸の上記折り返
し部分の前後を前記編糸プールローラに巻き付ける方向
に上記ガイドローラを付勢するスプリングを設けるとと
もに、上記ガイドローラに供給される編糸をその一端で
押さえる糸押さえレバーを旋回可能に設け、該糸押さえ
レバーの他端には上記ガイドローラから編立側に送出さ
れる編糸を案内する糸ガイドを設けたので、キャリッジ
反転時に生ずる余剰糸を吸収して糸弛みを防止すると共
に、糸のテンションを補償して均一化でき、編目の揃っ
た編地を得ることが出来、且つ、編糸プールローラの外
周を周回するガイドローラにより糸を編糸プールローラ
に巻き付けて取り上げるようにしているため直線的に糸
を取り上げる場合に比べ小規模な装置で比較的多量な糸
弛みを吸収することが出来る。

【００２０】また、糸のテンションが減少すると糸押さ
えレバーの作動で糸の供給が停止されるので、編立側で
生じる糸弛みのみを取り上げることができ、糸の供給が
スムーズである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案テンション装置のキャリッジ反転時にお
ける状態を示す側面図である。

【図２】本考案テンション装置の平面図である。

【図３】本考案テンション装置のキャリッジ走行時にお
ける状態を示す側面図である。

【図４】従来のテンション装置の概略を示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１３ 編糸プールローラ １４ ガイドローラ １５ ガイドローラ支持部材 １６ スプリング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転自在に軸支した編糸プールローラの
   外周に近接して、編糸プールローラの外周を周回するガ
   イドローラを設け、該ガイドローラに係止してその部分
   で折り返されるように案内された編糸の上記折り返し部
   分の前後を前記編糸プールローラに巻き付ける方向に上
   記ガイドローラを付勢するスプリングを設けるととも
   に、上記ガイドローラに供給される編糸をその一端で押
   さえる糸押さえレバーを旋回可能に設け、該糸押さえレ
   バーの他端には上記ガイドローラから編立側に送出され
   る編糸を案内する糸ガイドを設けてなる編機における糸
   のテンション装置。