JP2516813Y2 - 足場等の部材連結装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、建築時に仮設される足
場等において、鉛直に立設される支柱に水平な横ステー
を連結するのに利用される部材連結装置に関する。

【０００２】

【従来技術とその課題】従来より、図８に示すように足
場の支柱１と横ステー２とを連結する装置として、円管
状の支柱本体１ａに円形のフランジ部材３を溶接する一
方、管状のステー本体２ａに略コ字状に曲げ加工した金
属板からなる接続部４をその中央板部４ａで当て付けて
溶接し、この接続部４の上下板部４ｂ，４ｃ間にフラン
ジ部材３を挿嵌し、接続部４の上下板部４ｂ，４ｃに設
けた係合孔５，５とフランジ部材３に設けた係合孔６に
上方から楔７を挿入して連結するものがある。なお、図
中の８は接続部４の上板部４ｂの下面側に配置したスペ
ーサーである。

【０００３】しかしながら、前記従来の連結装置では、
部材の運搬や保管において、支柱１を横にして床面等に
置いた際に転がり易い上に積み重ね状態でばらけ易く、
非常に安定性が悪く、しかも嵩張って大きなスペースを
とるという問題があり、また横ステー２の取扱い中に楔
７が接続部４から抜落し易く、連結作業に支承をきたす
と共に、両端の楔７，７を上方へ引き出した状態に保持
しながら接続部４の上下板部４ｂ，４ｃ間にフランジ部
材３を挿嵌させることから、煩雑で且つ困難な操作を必
要とし作業性が悪いという難点があった。

【０００４】本考案は、上述の状況に鑑み、足場等の部
材連結装置として、運搬や保管において横にした支柱の
安定性がよく嵩の低い安定した段積み状態とでき、しか
も横ステーの取扱い中に楔が抜落する恐れがなく、連結
操作の作業性に優れる上、がた付きがなく強固な連結状
態となし得る足場等の部材連結装置を提供することを目
的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案の請求項１に係る部材連結装置は、円管状の
支柱本体１１にフランジ部材１２が固着された支柱１０
と、上記フランジ部材１２を嵌入させる水平開口部１４
を有する接続部１５が両端に固着された横ステー１３
と、上記フランジ部材１２及びこれに跨嵌した上記接続
部１２の両者の係合孔１６，１７にわたって挿入される
棒片状の楔１８とからなり、上記フランジ部材１２が平
面視で略多角形に形成されると共に、この多角形の角部
１２ａに上記係合孔１６が設けられ、且つこの多角形の
辺部１２ｂをなす外周直線部に凹部２０を有してなる構
成を採用したものである。

【０００６】

【０００７】また本考案の請求項２は、楔１８の下端部
に抜け止め突起１９を有し、フランジ部材１２の各係合
孔１６に上記抜け止め突起１９を通過させる凹部１６ａ
が連設されてなる構成を採用するものである。

【０００８】

【作用】請求項１によれば、支柱１０のフランジ部材１
２が平面視で略角形であることから、この支柱１０を横
にして床面等に置いた際に該フランジ部材１２の辺部１
２ａで接地して転がることがなく、積み重ねても最下段
が安定しているために崩れにくい状態となる。しかも、
該フランジ部材１２に設けられる係合孔１６が上記の多
角形の角部１２ａに位置するから、上記の横にして接地
させた状態でフランジ部材１２の上下幅及び左右幅が小
さく、それだけ積み置きの嵩が低くなる上、係合孔１６
の位置では支柱本体１１の半径方向に充分な肉部の幅を
とれるので、連結部におけるフランジ部材１２の強度を
充分に確保できる。

【０００９】また請求項１によれば、フランジ部材１２
の正多角形の辺部１２ｂをなす外周直線部に凹部２０を
有しているため、支柱１０を横にして積み重ねる際、上
位の支柱の支柱１０の支柱本体１１を下位の支柱１０の
上記凹部２０に嵌合して上下に段積みでき、しかも左右
に隣接する支柱１０，１０も支柱本体１１が互いのフラ
ンジ部材１２の凹部２０に嵌合し合うことになり、段積
み状態が極めて安定したものとなる。なお、フランジ部
材１２の多角形としては、平行な対辺を有する偶数多角
形、特に正四角形及び正八角形が好適である。

【００１０】また請求項２によれば、楔１８は、接続部
１５に抜け止め突起１９により係合孔１７から抜出不能
に保持されているため、横ステー１３の取扱い中に抜落
する恐れがないと共に、抜け止め突起１９を上記係合孔
１７に係止した上方引出し状態で後傾させ、そのまま該
横ステー１３を水平に保持して接続部１５の水平開口部
１４にフランジ部材１２を嵌入させることができ、この
嵌入後に楔１８を引き起こすだけでフランジ部材１２の
係合孔１６に挿入できる。しかも、フランジ部材１２の
係合孔１６の一側縁に楔１８の抜け止め突起１９を通過
させる凹部１６ａを有するから、該係合孔１６と楔１８
の左右幅をほぼ等しく設定しても当該係合孔１６に楔１
８を支承なく挿入でき、もって両者１６，１８の係合部
分での左右方向の間隙を極力少なくして、横ステー１３
の水平面内での回転を阻止し、がた付きのない強固な連
結状態を実現できる。

【００１１】

【実施例】図１において、１０は金属製円管よりなる支
柱本体１１に複数のフランジ部材１２が所要間隔で溶接
固着された支柱、１３は管状のステー本体２１の両端に
箱枠をなす接続部１５が溶接固着された横ステーであ
り、予め所要間隔をおいて鉛直に立設された多数本の支
柱１０…と水平方向に架設する多数本の横ステー１３…
とを楔１８…を介して連結することにより、必要な強
度、構造、大きさを有する仮設足場等の構造物に組み立
てられる。

【００１２】図３及び図５に示すように、支柱１０の各
フランジ部材１２は、各角部１２ａをアール状とした略
正四角形の外形で中央に円孔２２を有する金属板より構
成され、該円孔２２に支柱本体１１を挿通して、この挿
通部の周囲を溶接することにより該支柱本体１１に水平
状態に固着されている。しかして該フランジ部材１２に
は、円孔２２より各角部１２ａに向かう放射状に配置す
る切欠により、該円孔２２の半径方向に長い略長方形の
４個の係合孔１６が形成されると共に、各係合孔１６の
片側縁（いずれも図３の時計回り方向の前方側の側縁）
に凹部１６ａが連接され、また外縁における略正方形の
各辺部１２ｂの中間部に支柱本体１０の外形円と同径円
弧の円弧状凹部２０を備えている。

【００１３】横ステー１３の各接続部１５は、所定形状
に打ち抜かれた一枚の金属板を曲げ加工して突き合わせ
部で溶接することにより、図４に示すような上下幅が左
右幅より大きい箱枠に形成されている。この箱枠は、図
２〜図６に示すように、水平開口部１４を挟む上下の前
端壁１５ａ，１５ｂと、左右両側壁１５ｃ，１５ｄと、
前記の突き合わせ溶接された部分よりなる上下両壁１５
ｅ，１５ｆとを備え、且つ左右両側壁１５ｃ，１５ｄの
後部が弧状に膨らんで両側壁１５ｃ，１５ｄによって円
弧状膨出側壁部１５ｇ，１５ｈを形成し、これにより後
面が完全開放して円弧状の後端開口２３を構成すると共
に、上面前方側の開口したＴ字形の中央線部分で係合孔
１７を構成する一方、左右両側壁１５ｃ，１５ｄに水平
開口部１４より連続して切れ込む凹入部１４ａ，１４ｂ
を有し、また前後幅の小さい下壁１５ｆを後部寄りに位
置させて下面が広く開口している。しかして、水平開口
部１４は、その上下開口端壁、即ち前面壁部１５ａ，１
５ｂ間の開口幅が広く、この前面側よりテーパー部を経
て左右両側の低位に続いており、これにより前面の上下
幅が凹入部１４ａ，１４ｂの上下幅よりも大に設定され
ると共に、支柱１０のフランジ部材１２における最大突
出幅つまり角部１２ａにおける半径方向幅に比較して、
右側の凹入部１４ａの水平長さが長く、且つ左側の凹入
部１４ｂの水平長さが短く設定されている。また係合孔
１７の左右幅はフランジ部材１２の係合孔１６の左右幅
とほぼ等しく設定されている。

【００１４】図２〜図６に示すように、楔１８は、上部
側の前後幅が下部側より広い楔形で、且つ左右幅が係合
孔１６，１７の左右幅よりも摺動に要する間隙分だけ僅
かに大きい横断面矩形の金属棒片からなり、上端部に後
方へ突出する抜け止め突片２４を有すると共に、下端部
の左側面に円形の抜け止め突起１９を備えており、且つ
横ステー中央側に面する後側縁１８ａに弧状の凹陥部２
５が形成されている。しかして、この楔１８は、前記の
金属板より曲げ加工して接続部１５の箱枠を形成する際
に、予め該接続部１５の係合孔１７となる位置に嵌め合
わせておくことにより、該接続部１５に、抜け止め突片
２４及び抜け止め突起１９と係合孔１７との係嵌によっ
て抜出不能且つ上下移動可能に保持される。

【００１５】横ステー１３のステー本体２１は、金属製
丸パイプからなり、その各端部２１ａを接続部１５の後
端開口２３に挿嵌し、この嵌挿部分で該接続部１５の左
右壁１５ｃ，１５ｄに溶接ｗによって固着されている。
なお、該横ステー１３における両端の接続部１５，１５
は、水平開口部１４の長い凹入部１４ａがステー本体２
１の軸線を境として互いに逆側を向くように配置され
る。従って、両端の接続部１５，１５には全く同一の箱
枠を使用できる。

【００１６】上記構成の連結装置により仮設足場等の構
造物を組み立てるには、先ず横ステー１３を水平に保持
し、その両側の楔１８，１８を上方へ引き出し後方へ傾
倒させ、この状態で水平に保持した横ステー１３を、予
め横ステー１３の全長に相当する距離をおいて鉛直に立
設された一対の支柱１０，１０のフランジ部材１２，１
２間に、各接続部１５の水平開口部１４の長い凹入部１
４ａが対応する各フランジ部材１２と対向する形で、そ
の軸線が両フランジ部材１２，１２を結ぶ直線と交叉す
る状態に配置させ、この水平状態のまま旋回させること
により、両接続部１５，１５を両フランジ部材１２，１
２の角部１２ａ部分に上記凹入部１４ａ側から同時もし
くは順次に跨嵌させる。このとき、楔１８は引出し状態
にあるためにフランジ部材１２と干渉することはない。

【００１７】しかして上記の跨嵌により、各フランジ部
材１２の挿嵌方向前方側の辺部１２ｂと、接続部１５の
短い凹入部１４ｂの端縁つまり左側壁１５ｃとが当接
し、横ステー１３のより以上の旋回が不能となり、両者
１２，１５は係合孔１６，１７が鉛直線上に並ぶように
位置決めされる。そして、この位置決め状態で各楔１８
を引き起こして係合孔１６に挿入して打ち込めば、接続
部１５が支柱１０側へ引き付けられ、その前面が支柱本
体１１の側面に強く圧接し、図２，図３及び図５，図６
の如く支柱１０，１０と横ステー１３とが強固に連結さ
れる。なお、この楔１８の挿入においては、その下端部
に設けられた抜け止め突起１８ｂは係合孔１６の凹部１
６ａを通過することになる。

【００１８】この連結状態においては、横ステー１３に
外部から作用する鉛直面内での回転力は、上下に長い接
続部１５の上下前端壁１５ａ，１５ｂが上下全長にわた
り支柱本体１１の側面に圧接して規制される。また水平
面内での回転力は、楔１８と両係合孔１６，１７とが左
右方向についてもほぼ密接し、この係合部分での当接、
並びにフランジ部材１２の辺部１２ｂと接続部１５の短
い凹入部１４ｂの端縁との当接、の２ヵ所の当接により
規制される。特に本実施例では接続部１５が箱枠構造で
大きな剛性を有しているため、連結部は剛体的に保持さ
れることになり、がた付きのない極めて安定した状態と
なる。

【００１９】なお、仮設足場等では、横ステー１３上に
渡した板体に作業者や各種の器材が乗り、それらの重量
が常に下向きにかかることになるが、本実施例において
は、ステー本体２１の端部２１ａが箱枠をなす接続部１
５に挿嵌された状態で溶接されているため、溶接不良や
過度の負荷により万一溶接部の破壊を生じても、他の横
ステー１３により支柱１０，１０の間隔が一定に保たれ
るから、ステー本体２０と接続部１５が上下に外れるこ
とはなく、よって転落事故等は回避され極めて安全であ
る。

【００２０】上記の横ステー１３を取り外すには、楔１
８をフランジ１２の係合孔１６から抜出して元の引出し
状態に戻し、該横ステー１３を取付時とは逆方向に旋回
させればよく、これによって接続部１５が支柱１０のフ
ランジ部材１２から簡単に離脱する。

【００２１】しかして、支柱１０を車両等で運搬したり
倉庫や建設現場の資材置場に保管する場合、横にした支
柱１０は正四角形をなすフランジ部材１１２の辺部１２
ｂで接地するために転がることがなく、しかも図７に示
すように、積み重ねる際に上位の支柱の支柱１０の支柱
本体１１を下位の支柱１０の上記凹部２０に嵌合して上
下に段積みでき、この段積み状態では左右に隣接する支
柱１０，１０も支柱本体１１が互いのフランジ部材１２
の凹部２０に嵌合し合うため、非常に安定して崩れにく
く且つ全体の嵩が低い形になる。

【００２２】なお、本考案においては、支柱１０のフラ
ンジ部材１２の外形を略正八角形としてもよいし、その
辺部１２ｂに設ける凹部２０は例示した円弧状以外の種
々の形状に設定できる。また本考案では、接続部１５の
構造、水平開口部１４の形状、ステー本体２１の断面形
状、接続部１５とステー本体２１の連結構造等の細部構
成については、実施例以外に種々設計変更可能である。

【００２３】

【考案の効果】請求項１に係る足場等の連結装置によれ
ば、支柱のフランジ部材が平面視で略多角形であること
から、該支柱を横にして置いても転がらず、運搬や保管
において嵩が低く崩れにくい安定状態に積み重ねでき、
しかもフランジ部材に設けられる係合孔が上記の多角形
の角部に位置するから、上記の横にして接地させた状態
でフランジ部材の上下幅及び左右幅が小さく、それだけ
積み置きの嵩が低くなる上、係合孔の位置では支柱本体
の半径方向に充分な肉部の幅をとれるので、支柱と横ス
テーとの連結部におけるフランジ部材側の強度を充分に
確保できる。

【００２４】また請求項１に係る足場等の連結装置よれ
ば、支柱の運搬や保管において、横にした支柱のフラン
ジ部材の凹部に上位の支柱の支柱本体を嵌合して積み重
ねでき、上下支柱間のずれを生じる恐れのない極めて安
定した段積み状態とできるという利点がある。

【００２５】また請求項２によれば、楔が横ステーの接
続部に抜出不能に保持されて抜落する恐れがないと共
に、横ステーを水平に保持して支柱に連結する際、該楔
を予め後傾した引出し状態として、そのまま接続部の水
平開口部にフランジ部材を嵌入させることができ、この
嵌入後に楔を引き起こすだけでフランジ部材の係合孔に
挿入でき、また逆の手順により接続部とフランジ部材を
離脱できるから、連結及び取外し操作が極めて容易であ
り、加えてフランジ部材の係合孔の一側縁に楔の抜け止
め突起を通過させる凹部を有するから、該係合孔と楔の
係合部分での左右方向の間隙を極力少なくして、がた付
きのない強固な連結状態を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例に係る連結装置を適用した
足場の正面図。

【図２】 図１の仮想線円II内の拡大図。

【図３】 図１のIII −III 線の断面矢視図。

【図４】 同実施例における横ステーの正面図。

【図５】 図２のV −V 線の断面矢視図。

【図６】 図３のVI−VI線の断面矢視図。

【図７】 同実施例における支柱の段積み状態を示す縦
断正面図。

【図８】 従来の連結装置を示す一部破断正面図。

【符号の説明】

１０ 支柱 １１ 支柱本体 １２ フランジ部材 １２ａ 角部 １２ｂ 辺部 １３ 横ステー １４ 水平開口部 １５ 接続部 １６ 係合孔 １６ａ 凹部 １７ 係合孔 １８ 楔 １９ 抜け止め突起 ２０ 円弧状凹部（フランジ部材の外周直線部の凹
部）

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円管状の支柱本体にフランジ部材が固着
   された支柱と、上記フランジ部材を嵌入させる水平開口
   部を有する接続部が両端に固着された横ステーと、上記
   フランジ部材及びこれに跨嵌した上記接続部の両者の係
   合孔にわたって挿入される棒片状の楔とからなり、上記
   フランジ部材が平面視で略多角形に形成されると共に、
   この多角形の角部に上記係合孔が設けられ、且つこの多
   角形の辺部をなす外周直線部に凹部を有してなる足場等
   の部材連結装置。
2. 【請求項２】 楔の下端部に抜け止め突起を有し、フラ
   ンジ部材の各係合孔に上記抜け止め突起を通過させる凹
   部が連設されてなる請求項１記載の足場等の部材連結装
   置。