JP2515540Y2 - ニップル型管継手 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ニップル型管継手に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来のニップル型管継手は、一般に、図
５に示すように、内周面ｂにプラスチックライニング層
ｅが接着にて被覆されると共に全体が短寸に切断された
鋼管から成るニップル本体ｃを備え、そのニップル本体
ｃの両端部外周面には雄ネジ部ａ，ａが形成され、か
つ、その中間に円筒壁部ｆを有するものであった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上述のような
従来のニップル型管継手では、ライニング層ｅがニップ
ル本体ｃの内周面ｂから剥離して、軸心ｘ方向に抜けて
外れる危険性が高いという欠点があり、さらに、ニップ
ル本体ｃの中間の円筒壁部ｆにはレンチを掛合する部位
がないため施工が難しいという欠点があった。

【０００４】そこで、本考案は、上述の欠点を解消し、
ニップル本体からライニング層が抜けて外れること無
く、しかも、レンチを掛合しやすく、施工が容易とされ
たニップル型管継手を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本考案に係るニップル型管継手は、金属製ニップ
ル本体と、その内面のプラスチックライニング層と、を
有するニップル型管継手に於て、上記ライニング層の射
出成形圧力による上記ニップル本体の塑性変形にて、該
ニップル本体の中間に膨出状に形成された膨出壁部によ
って、内外面側に夫々、プラスチック抜け止め用凹溝部
とレンチ掛合部を形成したものである。

【０００６】

【作用】ニップル本体のレンチ掛合部にレンチを掛合さ
せることにより、施工が容易となる。また、プラスチッ
クライニング層はニップル本体の膨出壁部の内面側の凹
溝部を埋めることとなり、これにより該ライニング層が
ニップル本体から外れないように抜け止めされる。

【０００７】

【実施例】以下、実施例を示す図面に基づき本考案を詳
説する。

【０００８】図１は、本考案に係るニップル型管継手の
一実施例を示し、このニップル型管継手１は、金属製ニ
ップル本体２と、その内面３のプラスチックライニング
層４と、を有する。

【０００９】ニップル本体２は、上記ライニング層４の
射出成形圧力による該ニップル本体２の塑性変形にて、
該ニップル本体２の軸心Ｌ方向の中間に膨出状に形成さ
れた膨出壁部８を有している。そして、この膨出壁部８
によって、該膨出壁部８の内外面側に夫々、プラスチッ
ク抜け止め用凹溝部６とレンチ掛合部５…が形成されて
いる。また、ニップル本体２の両端部の外周面には、雄
ネジ部７，７が形成されている。

【００１０】膨出壁部８は、図２に示すように、軸心Ｌ
方向から見て正六角形状とされている。つまり、上記レ
ンチ掛合部５…は、相互に平行な３対の面───即ち６
面───とされる。

【００１１】なお、この膨出壁部８を正六角形状とせ
ず、レンチ掛合部５…を平行な１対の面───即ち２面
───のみとするも良く、また、平行な２対の面───
即ち４面───としても良い。

【００１２】次に、（図１にもどって）プラスチックラ
イニング層４は、ニップル本体２の凹溝部６を埋めてお
り、これにより該ライニング層４の中間の外周に抜け止
め用凸部11が形成されている。さらに、該ライニング層
４は、所定径寸法の滑らかな内周面９を有し、かつ、該
ライニング層４の軸心Ｌ方向両端部には、ニップル本体
２の軸心Ｌ方向の端面と内面３との間の角部を被覆する
折返し小鍔部10, 10が形成されている。

【００１３】しかして、本考案のニップル型管継手１
は、図３に示す金型12にて形成されたものである。

【００１４】この金型12は、２段成型構造とされ、軸心
Ｌを中心軸として配設される円柱状の中子13と、所定の
間隔をもって軸心Ｌ方向に２個配設されると共に、該中
子13を挿通するための孔部15を有し、かつ、該孔部15の
開口部の内の相互に対向する側を拡径して雌ネジ部14が
形成されたキャップ16, 16と、該中子13及び該キャップ
16, 16を包囲状に支持する上金型17ａ及び下金型17ｂ
と、を備えている。

【００１５】中子13は、軸心Ｌに沿って中間部近傍に伸
びると共に、その中間部近傍から径方向に伸びて、中子
の外周面に開口するゲート19と連通するプラスチック導
入孔18を有している。

【００１６】以下、本考案のニップル型管継手１を製造
工程順に説明する。

【００１７】先ず、図３に示すように、所定長さ寸法に
切断され、かつ、両端部の外周面に雄ネジ部７，７が形
成された金属管20の該雄ネジ部７，７を、上記２個のキ
ャップ16, 16の夫々の雌ネジ部14, 14に螺着して、該キ
ャップ16, 16と中子13と上金型17ａ及び下金型17ｂとを
所定の配置に組み合わせる。

【００１８】このセットした状態では、金属管20の中間
の壁部の外周面と上下金型17ａ，17ｂとキャップ16, 16
の対向する端面21, 21とに包囲された円筒状の膨出壁部
形成用隙間Ｓ1 が形成され、かつ、中子13の外周面と金
属管20の内周面及びその両端面とキャップ16, 16の雌ネ
ジ部14, 14の奥方の面とに包囲されたライニング層形成
用隙間Ｓ2 が形成される。また、この隙間Ｓ2 は上記ゲ
ート19及びプラスチック導入孔18は連通する。

【００１９】次に、図４に示すように、上記ライニング
層形成用隙間Ｓ2 内に、溶融したプラスチック材料Ｐ
を、中子13のプラスチック導入孔18及びゲート19を通し
て所定の射出成形圧力にて注入する。

【００２０】そして、この射出成形圧力により上記金属
管20の中間の壁部が塑性変形して膨出壁部８が形成さ
れ、かつ、その膨出壁部８の外周面にレンチ掛合部５…
及び凹溝６が形成される。

【００２１】なお、上記所定の射出成形圧力は、塑性変
形させるのに十分な圧力に設定され、好ましくは500 kg
f/cm² 〜2000kgf/cm² とする。

【００２２】また、上記プラスチック材料Ｐとしては、
塩化ビニル又はポリエチレンとするのが望ましく、その
他のプラスチックとするも自由である。

【００２３】上述のようにして、膨出壁部８及びレンチ
掛合部５…を形成後、プラスチック材料Ｐを個化させ
て、金型12を取り外せば、本考案のニップル型管継手が
完成する。

【００２４】なお、本考案は上記実施例以外にも要旨を
逸脱しない範囲内で設計変更自由であり、例えばプラス
チックライニング層４の軸心Ｌ方向の両端部に小鍔部1
0, 10を形成せず、ニップル本体２の軸心Ｌ方向の両端
面とプラスチックライニング層４の軸心Ｌ方向の両端面
とを同一連続面状とするも望ましい。

【００２５】また、図示省略するが、製造工程として
は、上記以外にも、雄ネジ部７，７を形成する前の金属
管20に、上記金型12にてライニング層４とレンチ掛合部
５を形成し、その後、雄ネジ部７，７を形成するように
しても良い。この場合は、金型12のキャップ16の雌ネジ
部14を、滑らかな円筒内周面状とする。

【００２６】

【考案の効果】本考案は、上述の如く構成されるので、
次に記載する効果を奏する。

【００２７】ニップル本体２の膨出壁部８にレンチ掛合
部５が形成されているため、レンチ等の工具にて容易に
施工出来る。また、膨出壁部８の内面側の凹溝部６をプ
ラスチックライニング層４が埋めることとなり、該ライ
ニング層４は軸心Ｌ方向に外れないように抜け止めされ
る。

【００２８】さらに、プラスチックライニング層４の射
出成形と同時にニップル本体２を塑性変形させて膨出壁
部８を形成出来るため、製造工数を低減出来、製造能率
が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るニップル型管継手の一実施例を示
す断面図である。

【図２】正面図である。

【図３】製造工程を説明する断面図である。

【図４】製造工程を説明する断面図である。

【図５】従来例を示す断面図である。

【符号の説明】

２ ニップル本体 ３ 内面 ４ ライニング層 ５ レンチ掛合部 ６ 凹溝部 ８ 膨出壁部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 三宅 隆雄 滋賀県栗太郡栗東町野尻75 積水化学工 業株式会社滋賀栗東工場内 (72)考案者 上田 茂雄 滋賀県栗太郡栗東町野尻75 積水化学工 業株式会社滋賀栗東工場内

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属製ニップル本体２と、その内面３の
   プラスチックライニング層４と、を有するニップル型管
   継手に於て、上記ライニング層４の射出成形圧力による
   上記ニップル本体２の塑性変形にて、該ニップル本体２
   の中間に膨出状に形成された膨出壁部８によって、内外
   面側に夫々、プラスチック抜け止め用凹溝部６とレンチ
   掛合部５…を形成したことを特徴とするニップル型管継
   手。