JP2514875B2 - プラスチック成形用ペレット及びその製造法 - Google Patents
プラスチック成形用ペレット及びその製造法Info
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- JP2514875B2 JP2514875B2 JP3265422A JP26542291A JP2514875B2 JP 2514875 B2 JP2514875 B2 JP 2514875B2 JP 3265422 A JP3265422 A JP 3265422A JP 26542291 A JP26542291 A JP 26542291A JP 2514875 B2 JP2514875 B2 JP 2514875B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラスチック押出成形機
や射出成形機に供給するプラスチック成形用ペレット及
びその製造法に関する。
や射出成形機に供給するプラスチック成形用ペレット及
びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のプラスチック成形に供す
るペレットの製造法は、マトリックスとして、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ABS、ポリフェニレンスルフ
イド、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレ
フタレ−トなどの熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて
充填剤、顔料、金属粉末、フェライト粉末、強化繊維な
どを配合して樹脂の溶融または軟化状態に混練し、押出
成形して円柱状に造粒していた。
るペレットの製造法は、マトリックスとして、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ABS、ポリフェニレンスルフ
イド、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレ
フタレ−トなどの熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて
充填剤、顔料、金属粉末、フェライト粉末、強化繊維な
どを配合して樹脂の溶融または軟化状態に混練し、押出
成形して円柱状に造粒していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のペレットの製造
法では、特に強化繊維としてセルロ−ス繊維を使用する
場合、充分な強化目的が達せられなかった。その理由と
して、セルロ−ス繊維の引張り弾性率はガラス繊維のそ
れに匹敵することから軽量の強化繊維として期待されて
いるにも拘らず、実際にセルロ−ス繊維を含有させて得
られたペレットを使用したプラスチック成形物は衝撃強
度、曲げ強度、熱変形温度など強化繊維によって改善さ
れるべき特性が一向に改善されず、増量材としてしか機
能し得ないのが実態である。
法では、特に強化繊維としてセルロ−ス繊維を使用する
場合、充分な強化目的が達せられなかった。その理由と
して、セルロ−ス繊維の引張り弾性率はガラス繊維のそ
れに匹敵することから軽量の強化繊維として期待されて
いるにも拘らず、実際にセルロ−ス繊維を含有させて得
られたペレットを使用したプラスチック成形物は衝撃強
度、曲げ強度、熱変形温度など強化繊維によって改善さ
れるべき特性が一向に改善されず、増量材としてしか機
能し得ないのが実態である。
【0004】強化繊維として、セルロ−スを主成分とし
た繊維を使用する場合、特にペレット製造時のセルロ−
スの挙動を充分考察することが肝要である。セルロ−ス
は典型的な親水性高分子で、水分の吸脱湿が大きく、吸
脱湿の状態によってその特性が変化するものである。即
ち、吸湿によって膨潤して柔らかくなり、しなやかで変
形し易くなる反面、脱湿によって角質化して堅くなり、
脆く変形し難くなる。
た繊維を使用する場合、特にペレット製造時のセルロ−
スの挙動を充分考察することが肝要である。セルロ−ス
は典型的な親水性高分子で、水分の吸脱湿が大きく、吸
脱湿の状態によってその特性が変化するものである。即
ち、吸湿によって膨潤して柔らかくなり、しなやかで変
形し易くなる反面、脱湿によって角質化して堅くなり、
脆く変形し難くなる。
【0005】実際に使用する強化繊維原料は、古紙、木
粉、麻、コットンパルプ、木材パルプなどの植物繊維で
ある。それを解繊後、または直接、100 ℃前後、或いは
それ以上の溶融または軟化状態のマトリックスとしての
熱可塑性樹脂中で、強い剪断力をかけながら均一に混練
する。この条件下でセルロ−スを主成分とする植物繊維
は殆ど水分を失い、絶乾状態となるため角質化して堅く
脆くなる。従って、この絶乾状態で強い剪断力をかけて
混練すると、均一に分散するまでに繊維は粉砕されてし
まい、繊維状をとどめない。
粉、麻、コットンパルプ、木材パルプなどの植物繊維で
ある。それを解繊後、または直接、100 ℃前後、或いは
それ以上の溶融または軟化状態のマトリックスとしての
熱可塑性樹脂中で、強い剪断力をかけながら均一に混練
する。この条件下でセルロ−スを主成分とする植物繊維
は殆ど水分を失い、絶乾状態となるため角質化して堅く
脆くなる。従って、この絶乾状態で強い剪断力をかけて
混練すると、均一に分散するまでに繊維は粉砕されてし
まい、繊維状をとどめない。
【0006】この傾向は溶融温度または軟化温度の高い
マトリックスとしての熱可塑性樹脂を用いるほど顕著で
あり、その樹脂との混練中に劣化して粉末化するにとど
まらず、熱劣化がさらに進行し、炭化に至るほどに影響
を受けることがある。このような現象は、従来技術によ
る各種試料の詳細な観察により、この事実を発見したの
である。図3は従来技術によって得られた成形品(市販
品)の破断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMとい
う)で 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形状を示した
写真である。この写真を見ると繊維状の形態を見出すこ
とは困難で、繊維の破片およびそれが埋没していたと思
われるマトリックスの空孔しか認めない。この事実よ
り、従来の技術では強化繊維として用いた筈のセルロ−
ス繊維が本来の繊維としての特性を失い、粉末化して単
なる増量材としてしか機能しなくなった実態が理解でき
るのである。
マトリックスとしての熱可塑性樹脂を用いるほど顕著で
あり、その樹脂との混練中に劣化して粉末化するにとど
まらず、熱劣化がさらに進行し、炭化に至るほどに影響
を受けることがある。このような現象は、従来技術によ
る各種試料の詳細な観察により、この事実を発見したの
である。図3は従来技術によって得られた成形品(市販
品)の破断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMとい
う)で 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形状を示した
写真である。この写真を見ると繊維状の形態を見出すこ
とは困難で、繊維の破片およびそれが埋没していたと思
われるマトリックスの空孔しか認めない。この事実よ
り、従来の技術では強化繊維として用いた筈のセルロ−
ス繊維が本来の繊維としての特性を失い、粉末化して単
なる増量材としてしか機能しなくなった実態が理解でき
るのである。
【0007】本発明者等は、さらにこの粉末化の経過を
詳細に調査した結果、従来技術である樹脂の溶融または
軟化状態の如何なる条件下でも、セルロ−ス繊維の粉末
化を防止することは極めて困難である、という結論に達
した。従って、繊維状態を維持したペレットを造るに
は、出来るだけセルロ−ス繊維が乾燥して堅く脆くなら
ない様に留意すべきである、という前提に於いて鋭意実
験を重ね、試行錯誤の結果、ペレットの製造条件を見い
だしたものである。
詳細に調査した結果、従来技術である樹脂の溶融または
軟化状態の如何なる条件下でも、セルロ−ス繊維の粉末
化を防止することは極めて困難である、という結論に達
した。従って、繊維状態を維持したペレットを造るに
は、出来るだけセルロ−ス繊維が乾燥して堅く脆くなら
ない様に留意すべきである、という前提に於いて鋭意実
験を重ね、試行錯誤の結果、ペレットの製造条件を見い
だしたものである。
【0008】一般に、金属、プラスチックなどは常温で
もある程度大きな外力を加えることにより流動、変形を
起こさせることができる。この現象は微細組織の滑り、
ズレに関係があるとされている。またセルロ−ス繊維が
水分を吸着すると柔らかく変形し易くなることも、経験
的に知っている。これらの事実に基づいて『セルロ−ス
繊維自身、最適の可塑剤と謂われる水をうまく利用する
ことによって、マトリックスとなる樹脂だけに依存しな
くとも、プラスチック成形用として供するペレットを得
ることが出来る。』という仮説をたて、セルロ−ス繊維
の劣化を避け得る水分の存在下でペレット化の可能性を
実験的に追跡して強化繊維としてのセルロ−ス繊維を含
有したペレットとその製造法を完成したものである。
もある程度大きな外力を加えることにより流動、変形を
起こさせることができる。この現象は微細組織の滑り、
ズレに関係があるとされている。またセルロ−ス繊維が
水分を吸着すると柔らかく変形し易くなることも、経験
的に知っている。これらの事実に基づいて『セルロ−ス
繊維自身、最適の可塑剤と謂われる水をうまく利用する
ことによって、マトリックスとなる樹脂だけに依存しな
くとも、プラスチック成形用として供するペレットを得
ることが出来る。』という仮説をたて、セルロ−ス繊維
の劣化を避け得る水分の存在下でペレット化の可能性を
実験的に追跡して強化繊維としてのセルロ−ス繊維を含
有したペレットとその製造法を完成したものである。
【0009】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、セルロ−ス繊維が軽量の
強化繊維としてその目的を遺憾なく発揮し得るようにす
るとともにペレット製造時の不良品の再生や原料組成の
変更等の要望に対しペレットの水再分散によって容易に
対処できるようにした成形用ペレット及びその製造法を
提供することにある。
で、その目的とするところは、セルロ−ス繊維が軽量の
強化繊維としてその目的を遺憾なく発揮し得るようにす
るとともにペレット製造時の不良品の再生や原料組成の
変更等の要望に対しペレットの水再分散によって容易に
対処できるようにした成形用ペレット及びその製造法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラスチッ
ク成形用ペレットは、マトリックスとして使用する熱可
塑性樹脂に、強化繊維としてセルロース繊維を含有して
なるペレットを得るとともに、該ペレットは水中の離解
処理でセルロース繊維が個々の繊維状に分離可能で、か
つ前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂等のペレット構成
成分に再分散可能に造粒したものである。また、上記プ
ラスチック成形用ペレットのマトリックスは、300℃
以下の温度で成形加工できる熱可塑性樹脂が使用され
る。さらに、マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、
ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリル・スチレ
ン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリエ
チレン・テレフタレート、ポリブチレン・テレフタレー
トの中から選ばれる少なくとも一種からなる。本発明に
係るプラスチック成形用ペレットの製造法は、マトリッ
クスとして使用する熱可塑性樹脂に、水分率が5〜40
%であるセルロース繊維を強化繊維として含有する組成
物を混練するか、または前記熱可塑性樹脂に、セルロー
ス繊維の前記水分率の下限値5%を切らない水の存在下
で該セルロース繊維を強化繊維として含有する組成物を
混合して得た混合物をそのセルロース繊維の前記水分率
5〜40%の範囲で造粒するようにしたものである。
ク成形用ペレットは、マトリックスとして使用する熱可
塑性樹脂に、強化繊維としてセルロース繊維を含有して
なるペレットを得るとともに、該ペレットは水中の離解
処理でセルロース繊維が個々の繊維状に分離可能で、か
つ前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂等のペレット構成
成分に再分散可能に造粒したものである。また、上記プ
ラスチック成形用ペレットのマトリックスは、300℃
以下の温度で成形加工できる熱可塑性樹脂が使用され
る。さらに、マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、
ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリル・スチレ
ン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリエ
チレン・テレフタレート、ポリブチレン・テレフタレー
トの中から選ばれる少なくとも一種からなる。本発明に
係るプラスチック成形用ペレットの製造法は、マトリッ
クスとして使用する熱可塑性樹脂に、水分率が5〜40
%であるセルロース繊維を強化繊維として含有する組成
物を混練するか、または前記熱可塑性樹脂に、セルロー
ス繊維の前記水分率の下限値5%を切らない水の存在下
で該セルロース繊維を強化繊維として含有する組成物を
混合して得た混合物をそのセルロース繊維の前記水分率
5〜40%の範囲で造粒するようにしたものである。
【0011】本発明に係るプラスチック成形用ペレット
の製造法において、マトリックスとして使用する熱可塑
性樹脂に、セルロース繊維を強化繊維として含有する組
成物中のセルロース繊維の水分率の範囲を5〜40%と
したのは、セルロース繊維のもつ特性を活かし強化繊維
としての機能を十分発揮させ、かつペレットの再生や原
料組成、形状の変更等がペレットの水再分散によって容
易にできるようにするためである。上記組成物中のセル
ロース繊維の水分率が、5%以下の場合は原料組成物の
可塑性が末だ不十分でペレットとして造粒できず、また
40%以上の場合では原料組成物の流動性が過大とな
り、ペレットとして造粒するに必要な力がかからず、ペ
レットにならない。この原料組成物の可塑化のための適
正水分は、必要最小限度が理想であるが、樹脂対セルロ
ースの割合のうち樹脂分の占める割合が小さいほどセル
ロース繊維の水分率が少なくなり、また樹脂対セルロー
ス割合のうち樹脂分の占める割合が大きくなるほどセル
ロース繊維の水分率が多くなり、セルロース繊維の水分
率は5〜40%の範囲で移行する傾向がある。所詮、こ
の可塑化のために必要であった水分も、このペレットを
使用してプラスチック成形をする工程ではトラブルの原
因となるので、ペレットになったあとで完全に脱水乾燥
する必要がある。従って過剰な水分はペレット乾燥機の
余分な負担となり好ましいものではない。なお、「水分
率」は林業関係で用いられる「含水率」(JIS Z−
2102)と区別され、前者が湿量基準であるのに対し
て後者は乾量基準である。本発明では前者の「水分率」
という用語を使用した。したがって、「水分率が5〜4
0%であるセルロース繊維」とはセルロース繊維の元重
量100に対し、その5〜40%が水であることを示
す。また「前記熱可塑性樹脂に、セルロース繊維の前記
水分率の下限値5%を切らない水の存在下で該セルロー
ス繊維を強化繊維として含有する組成物を混合して得た
混合物をそのセルロース繊維の前記水分率5〜40%の
範囲で造粒する」とは「そのセルロース繊維の前記水分
率5〜40%の範囲で造粒」とあるように、造粒操作中
でも設定値(水分率が5〜40%)の下限の5%を切ら
ないことを意味する。
の製造法において、マトリックスとして使用する熱可塑
性樹脂に、セルロース繊維を強化繊維として含有する組
成物中のセルロース繊維の水分率の範囲を5〜40%と
したのは、セルロース繊維のもつ特性を活かし強化繊維
としての機能を十分発揮させ、かつペレットの再生や原
料組成、形状の変更等がペレットの水再分散によって容
易にできるようにするためである。上記組成物中のセル
ロース繊維の水分率が、5%以下の場合は原料組成物の
可塑性が末だ不十分でペレットとして造粒できず、また
40%以上の場合では原料組成物の流動性が過大とな
り、ペレットとして造粒するに必要な力がかからず、ペ
レットにならない。この原料組成物の可塑化のための適
正水分は、必要最小限度が理想であるが、樹脂対セルロ
ースの割合のうち樹脂分の占める割合が小さいほどセル
ロース繊維の水分率が少なくなり、また樹脂対セルロー
ス割合のうち樹脂分の占める割合が大きくなるほどセル
ロース繊維の水分率が多くなり、セルロース繊維の水分
率は5〜40%の範囲で移行する傾向がある。所詮、こ
の可塑化のために必要であった水分も、このペレットを
使用してプラスチック成形をする工程ではトラブルの原
因となるので、ペレットになったあとで完全に脱水乾燥
する必要がある。従って過剰な水分はペレット乾燥機の
余分な負担となり好ましいものではない。なお、「水分
率」は林業関係で用いられる「含水率」(JIS Z−
2102)と区別され、前者が湿量基準であるのに対し
て後者は乾量基準である。本発明では前者の「水分率」
という用語を使用した。したがって、「水分率が5〜4
0%であるセルロース繊維」とはセルロース繊維の元重
量100に対し、その5〜40%が水であることを示
す。また「前記熱可塑性樹脂に、セルロース繊維の前記
水分率の下限値5%を切らない水の存在下で該セルロー
ス繊維を強化繊維として含有する組成物を混合して得た
混合物をそのセルロース繊維の前記水分率5〜40%の
範囲で造粒する」とは「そのセルロース繊維の前記水分
率5〜40%の範囲で造粒」とあるように、造粒操作中
でも設定値(水分率が5〜40%)の下限の5%を切ら
ないことを意味する。
【0012】この様なセルロ−ス繊維の特性を活かした
ペレットを形成する為に必要なセルロ−ス繊維の水分率
を原料組成物に与える全工程は、使用する原料の状態に
より、a)水懸濁液として配合した原料を均一に攪判、
混合した後で搾水、脱水して水分調整してコンパウンド
を得る、b)予め目的とする必要水分を計量して、その
水分による可塑化を利用して充分混練してコンパウンド
を得る、という方法がある。a)は比較的解繊し難い難
離解性古紙を仕込む場合に有利であり、b)は解繊し易
い、また、既に繊維状のセルロ−ス原料を仕込む場合に
有利である。セルロ−ス繊維の特性を活かしたペレット
を形成する為に、セルロ−ス繊維に必要な水分量の計量
は例えば原料組成物を構成する各成分の吸水率を予め実
測しておき、脱水後の残留水分総量より、セルロ−ス繊
維以外の各成分の吸水水分量を差引き、算出する。但
し、一般にセルロ−ス繊維以外の成分の吸水率は無視で
きる程度に少ない場合が多く、原料組成物そのものの水
分をセルロ−ス繊維の水分とみなし得ることもある。
ペレットを形成する為に必要なセルロ−ス繊維の水分率
を原料組成物に与える全工程は、使用する原料の状態に
より、a)水懸濁液として配合した原料を均一に攪判、
混合した後で搾水、脱水して水分調整してコンパウンド
を得る、b)予め目的とする必要水分を計量して、その
水分による可塑化を利用して充分混練してコンパウンド
を得る、という方法がある。a)は比較的解繊し難い難
離解性古紙を仕込む場合に有利であり、b)は解繊し易
い、また、既に繊維状のセルロ−ス原料を仕込む場合に
有利である。セルロ−ス繊維の特性を活かしたペレット
を形成する為に、セルロ−ス繊維に必要な水分量の計量
は例えば原料組成物を構成する各成分の吸水率を予め実
測しておき、脱水後の残留水分総量より、セルロ−ス繊
維以外の各成分の吸水水分量を差引き、算出する。但
し、一般にセルロ−ス繊維以外の成分の吸水率は無視で
きる程度に少ない場合が多く、原料組成物そのものの水
分をセルロ−ス繊維の水分とみなし得ることもある。
【0013】
【作用】セルロ−ス繊維は、ラメラ、フィブリル、ミセ
ル、セルロ−ス分子と、その構成単位は細かく分割され
る。結晶構造をとるミセルを貫いて非晶領域に亘るセル
ロ−ス分子は、そのミセル間隙と謂われる非晶領域では
OH基が直接水素結合し得る程に接近していない部分が
多く、吸湿状態で水分子が近づくと、水がセルロ−スの
橋架けをして安定化する。しかし、ある程度以上に水分
子が介在して多分子層を形成すると、その水素原子の反
発が平衡を破るためセルロ−ス分子間の結合は弱くな
る。即ち水がセルロ−ス分子の回転の自由度を与える結
果、セルロ−ス繊維は柔軟性を生じ変形し易くなる。こ
の自由度は、ミセル間隙のみ限定されるものではなく、
フィブリル間隙、ラメラ間隙、さらに繊維間隙で隣接す
るセルロ−ス分子間で生じている。この状態でペレット
形状の容積内に外力によって圧入されるときは、ズレ、
変形を伴いつつ、最密充填される。この場合、セルロ−
ス繊維の水分率が適当であれば繊維間の水膜の張力が成
形能力を与える凝集力を生み、その繊維表面を構成する
微細組織は大きな表面積によって、この水膜の張力をさ
らに増大させる。多すぎると逆に、繊維間隙でこの水膜
のまわりに余分な水が遊離水として取り巻き、その結
果、繊維間の凝集力は弱まり、遂には流動するに至る。
ル、セルロ−ス分子と、その構成単位は細かく分割され
る。結晶構造をとるミセルを貫いて非晶領域に亘るセル
ロ−ス分子は、そのミセル間隙と謂われる非晶領域では
OH基が直接水素結合し得る程に接近していない部分が
多く、吸湿状態で水分子が近づくと、水がセルロ−スの
橋架けをして安定化する。しかし、ある程度以上に水分
子が介在して多分子層を形成すると、その水素原子の反
発が平衡を破るためセルロ−ス分子間の結合は弱くな
る。即ち水がセルロ−ス分子の回転の自由度を与える結
果、セルロ−ス繊維は柔軟性を生じ変形し易くなる。こ
の自由度は、ミセル間隙のみ限定されるものではなく、
フィブリル間隙、ラメラ間隙、さらに繊維間隙で隣接す
るセルロ−ス分子間で生じている。この状態でペレット
形状の容積内に外力によって圧入されるときは、ズレ、
変形を伴いつつ、最密充填される。この場合、セルロ−
ス繊維の水分率が適当であれば繊維間の水膜の張力が成
形能力を与える凝集力を生み、その繊維表面を構成する
微細組織は大きな表面積によって、この水膜の張力をさ
らに増大させる。多すぎると逆に、繊維間隙でこの水膜
のまわりに余分な水が遊離水として取り巻き、その結
果、繊維間の凝集力は弱まり、遂には流動するに至る。
【0014】このように単繊維としては吸湿に応じて柔
軟性を増し、変形し易くなるに伴って、繊維間でも水を
介して塑性流動が起ると考えられる。これを段階的にみ
ると、未だ水量が少量のところでは各繊維は互いに勝手
な位置をとっている。水量が多くなると、繊維表面は水
膜で覆われるようになる。水量がある量を越えると、僅
かな外力で繊維は配向するようになり、この吸収された
水膜の張力は適当に配向した繊維を互いに牽引してい
る。外力が増加して水膜の持つ張力以上になると繊維は
お互いに滑るようになり、外力を除いても繊維は水膜の
張力によって新しい位置に保たれるため、もとの位置へ
戻り得ない。実験的に、後続する成形加工に適用できる
範囲の原料組成物では、このペレット化に最適なセルロ
−ス繊維の水分率は 5〜40%であることを確認した。こ
れより少ない範囲では繊維相互に牽引し合える凝集力を
生むに充分な水膜が得られず、塑性流動の配向や滑りは
起こらない。逆にこれより多い範囲では余分な遊離水を
隔てて繊維が隣接し合うようになり、外力を加えても懸
濁物の単なる流動に過ぎず、塑性流動による安定的変形
は起らない。以上の水分条件内でペレット化したもの
は、混練などの強い剪断力がかかった場合でも、繊維の
損傷は認められず、粉末化することはなかった。
軟性を増し、変形し易くなるに伴って、繊維間でも水を
介して塑性流動が起ると考えられる。これを段階的にみ
ると、未だ水量が少量のところでは各繊維は互いに勝手
な位置をとっている。水量が多くなると、繊維表面は水
膜で覆われるようになる。水量がある量を越えると、僅
かな外力で繊維は配向するようになり、この吸収された
水膜の張力は適当に配向した繊維を互いに牽引してい
る。外力が増加して水膜の持つ張力以上になると繊維は
お互いに滑るようになり、外力を除いても繊維は水膜の
張力によって新しい位置に保たれるため、もとの位置へ
戻り得ない。実験的に、後続する成形加工に適用できる
範囲の原料組成物では、このペレット化に最適なセルロ
−ス繊維の水分率は 5〜40%であることを確認した。こ
れより少ない範囲では繊維相互に牽引し合える凝集力を
生むに充分な水膜が得られず、塑性流動の配向や滑りは
起こらない。逆にこれより多い範囲では余分な遊離水を
隔てて繊維が隣接し合うようになり、外力を加えても懸
濁物の単なる流動に過ぎず、塑性流動による安定的変形
は起らない。以上の水分条件内でペレット化したもの
は、混練などの強い剪断力がかかった場合でも、繊維の
損傷は認められず、粉末化することはなかった。
【0015】
【実施例】(a) 水懸濁液として調整した実施例 (a-1) 製紙用パルパ−中に、SWP(三井石油化学
(株)製のポリエチレン系合成パルプ)60部およびNU
KP(針葉樹クラフトパルプ)40部、これを 100部と
し、それに対してCaCO3 20重量%、カ−ボンブラッ
ク0.5 重量%を夫々仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液
になるように水を加えて攪拌、均一に混合した。充分混
合したこの原料組成物を傾斜エキストラクタ−、スクリ
ュ−プレスを併用して脱水し、NUKPの水分率20%と
した。この原料組成物を不二パウダル(株)製の造粒機
デスク・ペレッタ− F−60N型 5mm 穴径のデスク
・ダイを用いて、直径5mm 円筒状のペレットに造粒し
た。このようにして製造したペレットを使用してプラス
チック射出成形機で成形して、物性テストに供した。
(株)製のポリエチレン系合成パルプ)60部およびNU
KP(針葉樹クラフトパルプ)40部、これを 100部と
し、それに対してCaCO3 20重量%、カ−ボンブラッ
ク0.5 重量%を夫々仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液
になるように水を加えて攪拌、均一に混合した。充分混
合したこの原料組成物を傾斜エキストラクタ−、スクリ
ュ−プレスを併用して脱水し、NUKPの水分率20%と
した。この原料組成物を不二パウダル(株)製の造粒機
デスク・ペレッタ− F−60N型 5mm 穴径のデスク
・ダイを用いて、直径5mm 円筒状のペレットに造粒し
た。このようにして製造したペレットを使用してプラス
チック射出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0016】(a-2) 前記製紙用パルパ−中に、PP屑
(宇部日東化成(株)発生のポリプロピレン糸屑)40
部、上記SWP20部、およびクラフト古紙(セメント袋
空袋)40部、これを100 部とし、それに対してCaCO
3 10重量%、タルク10重量%、カ−ボンブラック0.5 重
量%を仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液になるように
水を加えて古紙繊維が完全に離解するまで充分攪拌、均
一に混合した。この原料液を傾斜エキストラクタ−、ス
クリュ−プレスを併用して脱水し、クラフト古紙繊維の
水分率15%とした。この原料コンパウンドを上記同様の
デスクペレッタ−で 5mm径のペレットに造粒した。この
ようにして製造したペレットを使用してプラスチック射
出成形機で成形して、物性テストに供した。
(宇部日東化成(株)発生のポリプロピレン糸屑)40
部、上記SWP20部、およびクラフト古紙(セメント袋
空袋)40部、これを100 部とし、それに対してCaCO
3 10重量%、タルク10重量%、カ−ボンブラック0.5 重
量%を仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液になるように
水を加えて古紙繊維が完全に離解するまで充分攪拌、均
一に混合した。この原料液を傾斜エキストラクタ−、ス
クリュ−プレスを併用して脱水し、クラフト古紙繊維の
水分率15%とした。この原料コンパウンドを上記同様の
デスクペレッタ−で 5mm径のペレットに造粒した。この
ようにして製造したペレットを使用してプラスチック射
出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0017】(b) 混練して調成した実施例 (b-1) (株)森山製作所製MS式加圧型ニ−ダ−DS55
−100 型に、PP屑(日栄工業(株)発生ポリプロピレ
ン不織布廃棄物をロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)
50部およびメカニカルウッドファイバ−50部、これを10
0 部とし、それに対してタルク20重量%、さらにこれら
の混合物中、メカニカルウッドファイバ−の水分率が30
%になるように計量した水を夫々仕込み、充分混練し
た。混練中この原料組成物は発熱して規定の水量を蒸発
させて失うことのないようにニ−ダ−内の温度をコント
ロ−ルしながら混練した。均一に混練した原料組成物
は、そのまま上記のデスクペレッタ−で 5mm径のペレッ
トに造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
−100 型に、PP屑(日栄工業(株)発生ポリプロピレ
ン不織布廃棄物をロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)
50部およびメカニカルウッドファイバ−50部、これを10
0 部とし、それに対してタルク20重量%、さらにこれら
の混合物中、メカニカルウッドファイバ−の水分率が30
%になるように計量した水を夫々仕込み、充分混練し
た。混練中この原料組成物は発熱して規定の水量を蒸発
させて失うことのないようにニ−ダ−内の温度をコント
ロ−ルしながら混練した。均一に混練した原料組成物
は、そのまま上記のデスクペレッタ−で 5mm径のペレッ
トに造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
【0018】(b-2) 前記のニ−ダ−にPEフイルム屑
(ミルクカ−トン古紙の再生時に発生したポリエチレン
フイルムをロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)20部、
PP屑(上記ポリプロピレン糸屑)50部、麻屑(麻袋廃
棄物をロ−タリ−カッタ−で解繊したもの)30部、これ
を 100部とし、それに対してCaCO3 30重量%、弁柄
1.5重量%、カ−ボンブラック 1.5重量%、さらにこれ
らの混合物中、麻屑繊維の水分率が20%になるように計
量した水を、夫々仕込み、以下前記同様に、温度をコン
トロ−ルしながら充分混練し、均一に混練した原料組成
物を造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
(ミルクカ−トン古紙の再生時に発生したポリエチレン
フイルムをロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)20部、
PP屑(上記ポリプロピレン糸屑)50部、麻屑(麻袋廃
棄物をロ−タリ−カッタ−で解繊したもの)30部、これ
を 100部とし、それに対してCaCO3 30重量%、弁柄
1.5重量%、カ−ボンブラック 1.5重量%、さらにこれ
らの混合物中、麻屑繊維の水分率が20%になるように計
量した水を、夫々仕込み、以下前記同様に、温度をコン
トロ−ルしながら充分混練し、均一に混練した原料組成
物を造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
【0019】(c) ペレットの再分散処理の実施例 (c-1) 一旦、(b-1) によって得られた 5mm径のペレッ
トから、小型射出成形機に供試すべく 3mm径のペレット
に作り変えるために、5mm 径のペレットを上記パルパ−
中で 6%水懸濁液濃度になるように仕込み、充分攪拌、
離解した。この離解物を上記同様に、脱水してセルロ−
ス繊維の水分率20%とし、造粒機のデスク・ダイを穴径
3mm のものに取替えて造粒した。このようにして作り変
えられたペレットを使用してプラスチック射出成形機で
成形して、物性テストに供した。
トから、小型射出成形機に供試すべく 3mm径のペレット
に作り変えるために、5mm 径のペレットを上記パルパ−
中で 6%水懸濁液濃度になるように仕込み、充分攪拌、
離解した。この離解物を上記同様に、脱水してセルロ−
ス繊維の水分率20%とし、造粒機のデスク・ダイを穴径
3mm のものに取替えて造粒した。このようにして作り変
えられたペレットを使用してプラスチック射出成形機で
成形して、物性テストに供した。
【0020】(c-2) 一旦、(a-1) によって得られた 5
mm径のペレットから、さらに着色成形品を得るために、
ペレット重量に対して0.5 重量%の青色有機顔料(御国
色素(株)製のSP BlueHB)を添加し、(b-1) で用いた
ニ−ダ−中でセルロ−ス繊維の水分率が30%になるよう
に計量した水を加えて上記同様に混練、造粒した。この
ようにして着色されたペレットを使用してプラスチック
射出成形機で成形して、物性テストに供した。
mm径のペレットから、さらに着色成形品を得るために、
ペレット重量に対して0.5 重量%の青色有機顔料(御国
色素(株)製のSP BlueHB)を添加し、(b-1) で用いた
ニ−ダ−中でセルロ−ス繊維の水分率が30%になるよう
に計量した水を加えて上記同様に混練、造粒した。この
ようにして着色されたペレットを使用してプラスチック
射出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0021】以上の各実施例に於いて得たペレット中、
セルロ−ス繊維の水分率はいずれも初期の規定の水分率
より 5%以内の減少に止まり、セルロ−ス繊維の劣化の
影響には無視し得るものであった。
セルロ−ス繊維の水分率はいずれも初期の規定の水分率
より 5%以内の減少に止まり、セルロ−ス繊維の劣化の
影響には無視し得るものであった。
【0022】(d) 比較例 (d-1) 上記 (a-1)と同一配合の乾燥原料を定法に準じ
て、マトリックスとしての樹脂の溶融、軟化状態で混練
して得た原料組成物を造粒した。このようにして製造し
たペレットを使用してプラスチック射出成形機で成形し
て、物性テストに供した。
て、マトリックスとしての樹脂の溶融、軟化状態で混練
して得た原料組成物を造粒した。このようにして製造し
たペレットを使用してプラスチック射出成形機で成形し
て、物性テストに供した。
【0023】(d-2) 上記(b-1)と同一配合の乾燥原料
を(d-1)と同様にして供試した。
を(d-1)と同様にして供試した。
【0024】(e) ペレットの再分散処理の比較例 (e-1) 一旦(d-2) によって得られた 5mm径のペレットか
ら、(c-1) 同様の目的で水再分散を試みたが、全く分散
不可能で、所期の目的は達成できなかった。
ら、(c-1) 同様の目的で水再分散を試みたが、全く分散
不可能で、所期の目的は達成できなかった。
【0025】(e-2) 一旦(d-1) によって得られた 5mm径
のペレットから、(c-2) 同様の目的で水再分散を試みた
が、全く分散不可能で、所期の目的が達成できなかっ
た。
のペレットから、(c-2) 同様の目的で水再分散を試みた
が、全く分散不可能で、所期の目的が達成できなかっ
た。
【0026】上記各実施例および比較例で得たペレット
を使用してプラスチック成形物試料の物性を表1に示し
た。
を使用してプラスチック成形物試料の物性を表1に示し
た。
【表1】
【0027】本件の発明の効果を顕微鏡的に確認するた
め、図1及び図2に成形品の破断面をSEMで 100倍に
拡大したセルロ−ス繊維の形状を写真で示した。図1は
実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成形した
成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示した写真
で、図2は比較例(d-1) により得られたペレットを用い
て成形した成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示
した写真である。これらの写真を観察すると、図2の比
較例(d-1) により得られたペレットを用いて成形した成
形品は繊維状繊維を認めることが出来ないが、図1の本
発明の実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成
形した成形品は強化繊維の原繊維の存在を明瞭に確認す
ることが出来る。その結果、表1から判るように、実施
例の成形物試料はいずれも比較例のそれに比べ、曲げ強
さ、曲げ弾性率、衝撃強度の機械的特性が向上し、セル
ロ−ス繊維が強化繊維として十分寄与していることが判
明した。
め、図1及び図2に成形品の破断面をSEMで 100倍に
拡大したセルロ−ス繊維の形状を写真で示した。図1は
実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成形した
成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示した写真
で、図2は比較例(d-1) により得られたペレットを用い
て成形した成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示
した写真である。これらの写真を観察すると、図2の比
較例(d-1) により得られたペレットを用いて成形した成
形品は繊維状繊維を認めることが出来ないが、図1の本
発明の実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成
形した成形品は強化繊維の原繊維の存在を明瞭に確認す
ることが出来る。その結果、表1から判るように、実施
例の成形物試料はいずれも比較例のそれに比べ、曲げ強
さ、曲げ弾性率、衝撃強度の機械的特性が向上し、セル
ロ−ス繊維が強化繊維として十分寄与していることが判
明した。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記の説明から判るように、セ
ルロース繊維の物性を活かした軽量の強化繊維入りのペ
レットとして使用することができ、この種のプラスチッ
ク成形分野における利用は極めて大きいものである。ま
た、本発明のペレットは、水中にて前記セルロース繊維
と熱可塑性樹脂等のペレット構成成分に再分散できるの
で、ペレット成形時の成形不良品の再生や原料組成・形
状の変更等が生じようとも該ペレットを水再分散によっ
て容易に変更等ができるという利点がある。従来技術で
は全くペレットの水再分散は不可能なので、止む得ず再
び熱劣化の危険を侵して、加熱軟化または溶融して混練
しなおさなければならないといったことから完全に解放
される。さらに、本発明では溶融温度または軟化温度の
比較的高いマトリックスとしての熱可塑性樹脂を使用し
た場合でも、セルロース繊維の熱劣化を成形加工時の最
小限度に上め得るので、その加工時の温度が300℃以
下で成形されるマトリックスとしての樹脂を選ぶ場合で
あれば適用でき、セルロース繊維による強化が期待でき
るのである。
ルロース繊維の物性を活かした軽量の強化繊維入りのペ
レットとして使用することができ、この種のプラスチッ
ク成形分野における利用は極めて大きいものである。ま
た、本発明のペレットは、水中にて前記セルロース繊維
と熱可塑性樹脂等のペレット構成成分に再分散できるの
で、ペレット成形時の成形不良品の再生や原料組成・形
状の変更等が生じようとも該ペレットを水再分散によっ
て容易に変更等ができるという利点がある。従来技術で
は全くペレットの水再分散は不可能なので、止む得ず再
び熱劣化の危険を侵して、加熱軟化または溶融して混練
しなおさなければならないといったことから完全に解放
される。さらに、本発明では溶融温度または軟化温度の
比較的高いマトリックスとしての熱可塑性樹脂を使用し
た場合でも、セルロース繊維の熱劣化を成形加工時の最
小限度に上め得るので、その加工時の温度が300℃以
下で成形されるマトリックスとしての樹脂を選ぶ場合で
あれば適用でき、セルロース繊維による強化が期待でき
るのである。
【図1】実施例(a-1) により得られたペレットを用いて
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
【図2】比較例(d-1) により得られたペレットを用いて
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
【図3】従来技術によって得られた成形品(市販品)の
破断面をSEMで 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形
状を示した写真である。
破断面をSEMで 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形
状を示した写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:06 B29K 105:06
Claims (4)
- 【請求項1】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂に、強化繊維としてセルロース繊維を含有してなるペ
レットを得るとともに、該ペレットは水中の離解処理で
セルロース繊維が個々の繊維状に分離可能で、かつ前記
セルロース繊維と熱可塑注樹脂等のペレット構成成分に
再分散可能に造粒したことを特徴とするプラスチック成
形用ペレット。 - 【請求項2】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂は、300 ℃以下の温度で成形加工できる樹脂を使用す
ることを特徴とする請求項1記載のプラスチック成形用
ペレット。 - 【請求項3】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタ−
ル、ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリル・スチ
レン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリ
エチレン・テレフタレ−ト、ポリブチレン・テレフタレ
−トの中から選ばれる少なくとも一種からなることを特
徴とする請求項1または2記載のプラスチック成形用ペ
レット。 - 【請求項4】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂に、水分率が5〜40%であるセルロース繊維を強化
繊維として含有する組成物を混練するか、または前記熱
可塑性樹脂に、セルロース繊維の前記水分率の下限値5
%を切らない水の存在下で該セルロース繊維を強化繊維
として含有する組成物を混合して得た混合物をそのセル
ロース繊維の前記水分率5〜40%の範囲で造粒するこ
とを特徴とするプラスチック成形用ペレットの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3265422A JP2514875B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-09-18 | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-165288 | 1991-06-11 | ||
JP16528891 | 1991-06-11 | ||
JP3265422A JP2514875B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-09-18 | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0550427A JPH0550427A (ja) | 1993-03-02 |
JP2514875B2 true JP2514875B2 (ja) | 1996-07-10 |
Family
ID=26490079
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3265422A Expired - Lifetime JP2514875B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-09-18 | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2514875B2 (ja) |
Families Citing this family (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09183121A (ja) * | 1995-12-28 | 1997-07-15 | Sangyo Gijutsu Kenkyusho:Kk | ペット樹脂をバインダーとするセルロース粉ペレット及び該セルロース粉ペレットの造粒方法 |
US6270883B1 (en) * | 1998-10-09 | 2001-08-07 | The United States Of America As Represented By The Secretary Of Agriculture | Composites containing cellulosic pulp fibers and methods of making and using the same |
JP4509329B2 (ja) * | 2000-08-07 | 2010-07-21 | 紀伊産業株式会社 | 大理石模様の化粧品容器用樹脂成形品 |
JP4509330B2 (ja) * | 2000-08-07 | 2010-07-21 | 紀伊産業株式会社 | 大理石模様の化粧品容器用樹脂成形品 |
JP4781582B2 (ja) * | 2001-09-28 | 2011-09-28 | ダイセル化学工業株式会社 | 強化繊維成形体 |
JP4846405B2 (ja) * | 2006-03-27 | 2011-12-28 | 北越紀州製紙株式会社 | 紙配合熱可塑性樹脂組成物の製造方法 |
EP3441425B9 (en) | 2016-12-05 | 2021-07-21 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose aluminum dispersed polyethylene resin composite, pellet and molded body using same, and method for manufacturing same |
KR20200043992A (ko) | 2017-08-23 | 2020-04-28 | 후루카와 덴키 고교 가부시키가이샤 | 셀룰로오스 섬유 분산 폴리에틸렌 수지 복합재, 이를 이용한 성형체 및 펠릿, 이들의 제조 방법, 그리고 셀룰로오스 섬유 부착 폴리에틸렌 박막편의 리사이클 방법 |
CN111094430A (zh) | 2017-08-23 | 2020-05-01 | 古河电气工业株式会社 | 分散有纤维素纤维的聚烯烃树脂复合材料 |
US11390724B2 (en) | 2017-08-23 | 2022-07-19 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber dispersion polyethylene resin composite material, formed body and pellet using same, production method therefor, and recycling method for cellulose-fiber adhesion polyethylene thin film piece |
CN111065679A (zh) | 2017-08-23 | 2020-04-24 | 古河电气工业株式会社 | 分散有纤维素纤维的聚烯烃树脂复合材料、使用了该复合材料的粒料和成型体、以及分散有纤维素纤维的聚烯烃树脂复合材料的制造方法 |
JP6979933B2 (ja) * | 2017-08-29 | 2021-12-15 | 旭化成株式会社 | セルロース充填樹脂組成物の製造方法 |
JP6486429B2 (ja) * | 2017-08-29 | 2019-03-20 | 旭化成株式会社 | セルロース充填樹脂組成物の製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60171050A (ja) * | 1984-02-16 | 1985-09-04 | シンエ株式会社 | 製紙スラツジを原料とする中間生成物の製造方法 |
-
1991
- 1991-09-18 JP JP3265422A patent/JP2514875B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60171050A (ja) * | 1984-02-16 | 1985-09-04 | シンエ株式会社 | 製紙スラツジを原料とする中間生成物の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0550427A (ja) | 1993-03-02 |
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---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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