JP2514875B2 - プラスチック成形用ペレット及びその製造法 - Google Patents

プラスチック成形用ペレット及びその製造法

Info

Publication number
JP2514875B2
JP2514875B2 JP3265422A JP26542291A JP2514875B2 JP 2514875 B2 JP2514875 B2 JP 2514875B2 JP 3265422 A JP3265422 A JP 3265422A JP 26542291 A JP26542291 A JP 26542291A JP 2514875 B2 JP2514875 B2 JP 2514875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pellets
water
fibers
cellulose
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3265422A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0550427A (ja
Inventor
寿也 大沢
克己 小野塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokuetsu Paper Mills Ltd
Original Assignee
Hokuetsu Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokuetsu Paper Mills Ltd filed Critical Hokuetsu Paper Mills Ltd
Priority to JP3265422A priority Critical patent/JP2514875B2/ja
Publication of JPH0550427A publication Critical patent/JPH0550427A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2514875B2 publication Critical patent/JP2514875B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラスチック押出成形機
や射出成形機に供給するプラスチック成形用ペレット及
びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のプラスチック成形に供す
るペレットの製造法は、マトリックスとして、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ABS、ポリフェニレンスルフ
イド、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレ
フタレ−トなどの熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて
充填剤、顔料、金属粉末、フェライト粉末、強化繊維な
どを配合して樹脂の溶融または軟化状態に混練し、押出
成形して円柱状に造粒していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のペレットの製造
法では、特に強化繊維としてセルロ−ス繊維を使用する
場合、充分な強化目的が達せられなかった。その理由と
して、セルロ−ス繊維の引張り弾性率はガラス繊維のそ
れに匹敵することから軽量の強化繊維として期待されて
いるにも拘らず、実際にセルロ−ス繊維を含有させて得
られたペレットを使用したプラスチック成形物は衝撃強
度、曲げ強度、熱変形温度など強化繊維によって改善さ
れるべき特性が一向に改善されず、増量材としてしか機
能し得ないのが実態である。
【0004】強化繊維として、セルロ−スを主成分とし
た繊維を使用する場合、特にペレット製造時のセルロ−
スの挙動を充分考察することが肝要である。セルロ−ス
は典型的な親水性高分子で、水分の吸脱湿が大きく、吸
脱湿の状態によってその特性が変化するものである。即
ち、吸湿によって膨潤して柔らかくなり、しなやかで変
形し易くなる反面、脱湿によって角質化して堅くなり、
脆く変形し難くなる。
【0005】実際に使用する強化繊維原料は、古紙、木
粉、麻、コットンパルプ、木材パルプなどの植物繊維で
ある。それを解繊後、または直接、100 ℃前後、或いは
それ以上の溶融または軟化状態のマトリックスとしての
熱可塑性樹脂中で、強い剪断力をかけながら均一に混練
する。この条件下でセルロ−スを主成分とする植物繊維
は殆ど水分を失い、絶乾状態となるため角質化して堅く
脆くなる。従って、この絶乾状態で強い剪断力をかけて
混練すると、均一に分散するまでに繊維は粉砕されてし
まい、繊維状をとどめない。
【0006】この傾向は溶融温度または軟化温度の高い
マトリックスとしての熱可塑性樹脂を用いるほど顕著で
あり、その樹脂との混練中に劣化して粉末化するにとど
まらず、熱劣化がさらに進行し、炭化に至るほどに影響
を受けることがある。このような現象は、従来技術によ
る各種試料の詳細な観察により、この事実を発見したの
である。図3は従来技術によって得られた成形品(市販
品)の破断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMとい
う)で 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形状を示した
写真である。この写真を見ると繊維状の形態を見出すこ
とは困難で、繊維の破片およびそれが埋没していたと思
われるマトリックスの空孔しか認めない。この事実よ
り、従来の技術では強化繊維として用いた筈のセルロ−
ス繊維が本来の繊維としての特性を失い、粉末化して単
なる増量材としてしか機能しなくなった実態が理解でき
るのである。
【0007】本発明者等は、さらにこの粉末化の経過を
詳細に調査した結果、従来技術である樹脂の溶融または
軟化状態の如何なる条件下でも、セルロ−ス繊維の粉末
化を防止することは極めて困難である、という結論に達
した。従って、繊維状態を維持したペレットを造るに
は、出来るだけセルロ−ス繊維が乾燥して堅く脆くなら
ない様に留意すべきである、という前提に於いて鋭意実
験を重ね、試行錯誤の結果、ペレットの製造条件を見い
だしたものである。
【0008】一般に、金属、プラスチックなどは常温で
もある程度大きな外力を加えることにより流動、変形を
起こさせることができる。この現象は微細組織の滑り、
ズレに関係があるとされている。またセルロ−ス繊維が
水分を吸着すると柔らかく変形し易くなることも、経験
的に知っている。これらの事実に基づいて『セルロ−ス
繊維自身、最適の可塑剤と謂われる水をうまく利用する
ことによって、マトリックスとなる樹脂だけに依存しな
くとも、プラスチック成形用として供するペレットを得
ることが出来る。』という仮説をたて、セルロ−ス繊維
の劣化を避け得る水分の存在下でペレット化の可能性を
実験的に追跡して強化繊維としてのセルロ−ス繊維を含
有したペレットとその製造法を完成したものである。
【0009】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、セルロ−ス繊維が軽量の
強化繊維としてその目的を遺憾なく発揮し得るようにす
るとともにペレット製造時の不良品の再生や原料組成の
変更等の要望に対しペレットの水再分散によって容易に
対処できるようにした成形用ペレット及びその製造法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラスチッ
ク成形用ペレットは、マトリックスとして使用する熱可
塑性樹脂に、強化繊維としてセルロース繊維を含有して
なるペレットを得るとともに、該ペレットは水中の離解
処理でセルロース繊維が個々の繊維状に分離可能で、か
つ前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂等のペレット構成
成分に再分散可能に造粒したものである。また、上記プ
ラスチック成形用ペレットのマトリックスは、300℃
以下の温度で成形加工できる熱可塑性樹脂が使用され
る。さらに、マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、
ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリル・スチレ
ン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリエ
チレン・テレフタレート、ポリブチレン・テレフタレー
トの中から選ばれる少なくとも一種からなる。本発明に
係るプラスチック成形用ペレットの製造法は、マトリッ
クスとして使用する熱可塑性樹脂に、水分率が5〜40
%であるセルロース繊維を強化繊維として含有する組成
物を混練するか、または前記熱可塑性樹脂に、セルロー
ス繊維の前記水分率の下限値5%を切らない水の存在下
で該セルロース繊維を強化繊維として含有する組成物を
混合して得た混合物をそのセルロース繊維の前記水分率
5〜40%の範囲で造粒するようにしたものである。
【0011】本発明に係るプラスチック成形用ペレット
の製造法において、マトリックスとして使用する熱可塑
性樹脂に、セルロース繊維を強化繊維として含有する組
成物中のセルロース繊維の水分率の範囲を5〜40%と
したのは、セルロース繊維のもつ特性を活かし強化繊維
としての機能を十分発揮させ、かつペレットの再生や原
料組成、形状の変更等がペレットの水再分散によって容
易にできるようにするためである。上記組成物中のセル
ロース繊維の水分率が、5%以下の場合は原料組成物の
可塑性が末だ不十分でペレットとして造粒できず、また
40%以上の場合では原料組成物の流動性が過大とな
り、ペレットとして造粒するに必要な力がかからず、ペ
レットにならない。この原料組成物の可塑化のための適
正水分は、必要最小限度が理想であるが、樹脂対セルロ
ースの割合のうち樹脂分の占める割合が小さいほどセル
ロース繊維の水分率が少なくなり、また樹脂対セルロー
ス割合のうち樹脂分の占める割合が大きくなるほどセル
ロース繊維の水分率が多くなり、セルロース繊維の水分
率は5〜40%の範囲で移行する傾向がある。所詮、こ
の可塑化のために必要であった水分も、このペレットを
使用してプラスチック成形をする工程ではトラブルの原
因となるので、ペレットになったあとで完全に脱水乾燥
する必要がある。従って過剰な水分はペレット乾燥機の
余分な負担となり好ましいものではない。なお、「水分
率」は林業関係で用いられる「含水率」(JIS Z−
2102)と区別され、前者が湿量基準であるのに対し
て後者は乾量基準である。本発明では前者の「水分率」
という用語を使用した。したがって、「水分率が5〜4
0%であるセルロース繊維」とはセルロース繊維の元重
量100に対し、その5〜40%が水であることを示
す。また「前記熱可塑性樹脂に、セルロース繊維の前記
水分率の下限値5%を切らない水の存在下で該セルロー
ス繊維を強化繊維として含有する組成物を混合して得た
混合物をそのセルロース繊維の前記水分率5〜40%
範囲で造粒する」とは「そのセルロース繊維の前記水分
5〜40%の範囲で造粒」とあるように、造粒操作中
でも設定値(水分率が5〜40%)の下限の5%を切ら
ないことを意味する。
【0012】この様なセルロ−ス繊維の特性を活かした
ペレットを形成する為に必要なセルロ−ス繊維の水分率
を原料組成物に与える全工程は、使用する原料の状態に
より、a)水懸濁液として配合した原料を均一に攪判、
混合した後で搾水、脱水して水分調整してコンパウンド
を得る、b)予め目的とする必要水分を計量して、その
水分による可塑化を利用して充分混練してコンパウンド
を得る、という方法がある。a)は比較的解繊し難い難
離解性古紙を仕込む場合に有利であり、b)は解繊し易
い、また、既に繊維状のセルロ−ス原料を仕込む場合に
有利である。セルロ−ス繊維の特性を活かしたペレット
を形成する為に、セルロ−ス繊維に必要な水分量の計量
は例えば原料組成物を構成する各成分の吸水率を予め実
測しておき、脱水後の残留水分総量より、セルロ−ス繊
維以外の各成分の吸水水分量を差引き、算出する。但
し、一般にセルロ−ス繊維以外の成分の吸水率は無視で
きる程度に少ない場合が多く、原料組成物そのものの水
分をセルロ−ス繊維の水分とみなし得ることもある。
【0013】
【作用】セルロ−ス繊維は、ラメラ、フィブリル、ミセ
ル、セルロ−ス分子と、その構成単位は細かく分割され
る。結晶構造をとるミセルを貫いて非晶領域に亘るセル
ロ−ス分子は、そのミセル間隙と謂われる非晶領域では
OH基が直接水素結合し得る程に接近していない部分が
多く、吸湿状態で水分子が近づくと、水がセルロ−スの
橋架けをして安定化する。しかし、ある程度以上に水分
子が介在して多分子層を形成すると、その水素原子の反
発が平衡を破るためセルロ−ス分子間の結合は弱くな
る。即ち水がセルロ−ス分子の回転の自由度を与える結
果、セルロ−ス繊維は柔軟性を生じ変形し易くなる。こ
の自由度は、ミセル間隙のみ限定されるものではなく、
フィブリル間隙、ラメラ間隙、さらに繊維間隙で隣接す
るセルロ−ス分子間で生じている。この状態でペレット
形状の容積内に外力によって圧入されるときは、ズレ、
変形を伴いつつ、最密充填される。この場合、セルロ−
ス繊維の水分率が適当であれば繊維間の水膜の張力が成
形能力を与える凝集力を生み、その繊維表面を構成する
微細組織は大きな表面積によって、この水膜の張力をさ
らに増大させる。多すぎると逆に、繊維間隙でこの水膜
のまわりに余分な水が遊離水として取り巻き、その結
果、繊維間の凝集力は弱まり、遂には流動するに至る。
【0014】このように単繊維としては吸湿に応じて柔
軟性を増し、変形し易くなるに伴って、繊維間でも水を
介して塑性流動が起ると考えられる。これを段階的にみ
ると、未だ水量が少量のところでは各繊維は互いに勝手
な位置をとっている。水量が多くなると、繊維表面は水
膜で覆われるようになる。水量がある量を越えると、僅
かな外力で繊維は配向するようになり、この吸収された
水膜の張力は適当に配向した繊維を互いに牽引してい
る。外力が増加して水膜の持つ張力以上になると繊維は
お互いに滑るようになり、外力を除いても繊維は水膜の
張力によって新しい位置に保たれるため、もとの位置へ
戻り得ない。実験的に、後続する成形加工に適用できる
範囲の原料組成物では、このペレット化に最適なセルロ
−ス繊維の水分率は 5〜40%であることを確認した。こ
れより少ない範囲では繊維相互に牽引し合える凝集力を
生むに充分な水膜が得られず、塑性流動の配向や滑りは
起こらない。逆にこれより多い範囲では余分な遊離水を
隔てて繊維が隣接し合うようになり、外力を加えても懸
濁物の単なる流動に過ぎず、塑性流動による安定的変形
は起らない。以上の水分条件内でペレット化したもの
は、混練などの強い剪断力がかかった場合でも、繊維の
損傷は認められず、粉末化することはなかった。
【0015】
【実施例】(a) 水懸濁液として調整した実施例 (a-1) 製紙用パルパ−中に、SWP(三井石油化学
(株)製のポリエチレン系合成パルプ)60部およびNU
KP(針葉樹クラフトパルプ)40部、これを 100部と
し、それに対してCaCO3 20重量%、カ−ボンブラッ
ク0.5 重量%を夫々仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液
になるように水を加えて攪拌、均一に混合した。充分混
合したこの原料組成物を傾斜エキストラクタ−、スクリ
ュ−プレスを併用して脱水し、NUKPの水分率20%と
した。この原料組成物を不二パウダル(株)製の造粒機
デスク・ペレッタ− F−60N型 5mm 穴径のデスク
・ダイを用いて、直径5mm 円筒状のペレットに造粒し
た。このようにして製造したペレットを使用してプラス
チック射出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0016】(a-2) 前記製紙用パルパ−中に、PP屑
(宇部日東化成(株)発生のポリプロピレン糸屑)40
部、上記SWP20部、およびクラフト古紙(セメント袋
空袋)40部、これを100 部とし、それに対してCaCO
3 10重量%、タルク10重量%、カ−ボンブラック0.5 重
量%を仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液になるように
水を加えて古紙繊維が完全に離解するまで充分攪拌、均
一に混合した。この原料液を傾斜エキストラクタ−、ス
クリュ−プレスを併用して脱水し、クラフト古紙繊維の
水分率15%とした。この原料コンパウンドを上記同様の
デスクペレッタ−で 5mm径のペレットに造粒した。この
ようにして製造したペレットを使用してプラスチック射
出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0017】(b) 混練して調成した実施例 (b-1) (株)森山製作所製MS式加圧型ニ−ダ−DS55
−100 型に、PP屑(日栄工業(株)発生ポリプロピレ
ン不織布廃棄物をロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)
50部およびメカニカルウッドファイバ−50部、これを10
0 部とし、それに対してタルク20重量%、さらにこれら
の混合物中、メカニカルウッドファイバ−の水分率が30
%になるように計量した水を夫々仕込み、充分混練し
た。混練中この原料組成物は発熱して規定の水量を蒸発
させて失うことのないようにニ−ダ−内の温度をコント
ロ−ルしながら混練した。均一に混練した原料組成物
は、そのまま上記のデスクペレッタ−で 5mm径のペレッ
トに造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
【0018】(b-2) 前記のニ−ダ−にPEフイルム屑
(ミルクカ−トン古紙の再生時に発生したポリエチレン
フイルムをロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)20部、
PP屑(上記ポリプロピレン糸屑)50部、麻屑(麻袋廃
棄物をロ−タリ−カッタ−で解繊したもの)30部、これ
を 100部とし、それに対してCaCO3 30重量%、弁柄
1.5重量%、カ−ボンブラック 1.5重量%、さらにこれ
らの混合物中、麻屑繊維の水分率が20%になるように計
量した水を、夫々仕込み、以下前記同様に、温度をコン
トロ−ルしながら充分混練し、均一に混練した原料組成
物を造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
【0019】(c) ペレットの再分散処理の実施例 (c-1) 一旦、(b-1) によって得られた 5mm径のペレッ
トから、小型射出成形機に供試すべく 3mm径のペレット
に作り変えるために、5mm 径のペレットを上記パルパ−
中で 6%水懸濁液濃度になるように仕込み、充分攪拌、
離解した。この離解物を上記同様に、脱水してセルロ−
ス繊維の水分率20%とし、造粒機のデスク・ダイを穴径
3mm のものに取替えて造粒した。このようにして作り変
えられたペレットを使用してプラスチック射出成形機で
成形して、物性テストに供した。
【0020】(c-2) 一旦、(a-1) によって得られた 5
mm径のペレットから、さらに着色成形品を得るために、
ペレット重量に対して0.5 重量%の青色有機顔料(御国
色素(株)製のSP BlueHB)を添加し、(b-1) で用いた
ニ−ダ−中でセルロ−ス繊維の水分率が30%になるよう
に計量した水を加えて上記同様に混練、造粒した。この
ようにして着色されたペレットを使用してプラスチック
射出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0021】以上の各実施例に於いて得たペレット中、
セルロ−ス繊維の水分率はいずれも初期の規定の水分率
より 5%以内の減少に止まり、セルロ−ス繊維の劣化の
影響には無視し得るものであった。
【0022】(d) 比較例 (d-1) 上記 (a-1)と同一配合の乾燥原料を定法に準じ
て、マトリックスとしての樹脂の溶融、軟化状態で混練
して得た原料組成物を造粒した。このようにして製造し
たペレットを使用してプラスチック射出成形機で成形し
て、物性テストに供した。
【0023】(d-2) 上記(b-1)と同一配合の乾燥原料
を(d-1)と同様にして供試した。
【0024】(e) ペレットの再分散処理の比較例 (e-1) 一旦(d-2) によって得られた 5mm径のペレットか
ら、(c-1) 同様の目的で水再分散を試みたが、全く分散
不可能で、所期の目的は達成できなかった。
【0025】(e-2) 一旦(d-1) によって得られた 5mm径
のペレットから、(c-2) 同様の目的で水再分散を試みた
が、全く分散不可能で、所期の目的が達成できなかっ
た。
【0026】上記各実施例および比較例で得たペレット
を使用してプラスチック成形物試料の物性を表1に示し
た。
【表1】
【0027】本件の発明の効果を顕微鏡的に確認するた
め、図1及び図2に成形品の破断面をSEMで 100倍に
拡大したセルロ−ス繊維の形状を写真で示した。図1は
実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成形した
成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示した写真
で、図2は比較例(d-1) により得られたペレットを用い
て成形した成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示
した写真である。これらの写真を観察すると、図2の比
較例(d-1) により得られたペレットを用いて成形した成
形品は繊維状繊維を認めることが出来ないが、図1の本
発明の実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成
形した成形品は強化繊維の原繊維の存在を明瞭に確認す
ることが出来る。その結果、表1から判るように、実施
例の成形物試料はいずれも比較例のそれに比べ、曲げ強
さ、曲げ弾性率、衝撃強度の機械的特性が向上し、セル
ロ−ス繊維が強化繊維として十分寄与していることが判
明した。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記の説明から判るように、セ
ルロース繊維の物性を活かした軽量の強化繊維入りのペ
レットとして使用することができ、この種のプラスチッ
ク成形分野における利用は極めて大きいものである。ま
た、本発明のペレットは、水中にて前記セルロース繊維
と熱可塑性樹脂等のペレット構成成分に再分散できるの
で、ペレット成形時の成形不良品の再生や原料組成・形
状の変更等が生じようとも該ペレットを水再分散によっ
て容易に変更等ができるという利点がある。従来技術で
は全くペレットの水再分散は不可能なので、止む得ず再
び熱劣化の危険を侵して、加熱軟化または溶融して混練
しなおさなければならないといったことから完全に解放
される。さらに、本発明では溶融温度または軟化温度の
比較的高いマトリックスとしての熱可塑性樹脂を使用し
た場合でも、セルロース繊維の熱劣化を成形加工時の最
小限度に上め得るので、その加工時の温度が300℃以
下で成形されるマトリックスとしての樹脂を選ぶ場合で
あれば適用でき、セルロース繊維による強化が期待でき
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例(a-1) により得られたペレットを用いて
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
【図2】比較例(d-1) により得られたペレットを用いて
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
【図3】従来技術によって得られた成形品(市販品)の
破断面をSEMで 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形
状を示した写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:06 B29K 105:06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
    脂に、強化繊維としてセルロース繊維を含有してなるペ
    レットを得るとともに、該ペレットは水中の離解処理で
    セルロース繊維が個々の繊維状に分離可能で、かつ前記
    セルロース繊維と熱可塑注樹脂等のペレット構成成分に
    再分散可能に造粒したことを特徴とするプラスチック成
    形用ペレット。
  2. 【請求項2】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
    脂は、300 ℃以下の温度で成形加工できる樹脂を使用す
    ることを特徴とする請求項1記載のプラスチック成形用
    ペレット。
  3. 【請求項3】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
    脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタ−
    ル、ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリル・スチ
    レン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリ
    エチレン・テレフタレ−ト、ポリブチレン・テレフタレ
    −トの中から選ばれる少なくとも一種からなることを特
    徴とする請求項1または2記載のプラスチック成形用ペ
    レット。
  4. 【請求項4】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
    脂に、水分率が5〜40%であるセルロース繊維を強化
    繊維として含有する組成物を混練するか、または前記熱
    可塑性樹脂に、セルロース繊維の前記水分率の下限値5
    を切らない水の存在下で該セルロース繊維を強化繊維
    として含有する組成物を混合して得た混合物をそのセル
    ロース繊維の前記水分率5〜40%の範囲で造粒するこ
    とを特徴とするプラスチック成形用ペレットの製造法。
JP3265422A 1991-06-11 1991-09-18 プラスチック成形用ペレット及びその製造法 Expired - Lifetime JP2514875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3265422A JP2514875B2 (ja) 1991-06-11 1991-09-18 プラスチック成形用ペレット及びその製造法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-165288 1991-06-11
JP16528891 1991-06-11
JP3265422A JP2514875B2 (ja) 1991-06-11 1991-09-18 プラスチック成形用ペレット及びその製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0550427A JPH0550427A (ja) 1993-03-02
JP2514875B2 true JP2514875B2 (ja) 1996-07-10

Family

ID=26490079

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3265422A Expired - Lifetime JP2514875B2 (ja) 1991-06-11 1991-09-18 プラスチック成形用ペレット及びその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2514875B2 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09183121A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Sangyo Gijutsu Kenkyusho:Kk ペット樹脂をバインダーとするセルロース粉ペレット及び該セルロース粉ペレットの造粒方法
US6270883B1 (en) * 1998-10-09 2001-08-07 The United States Of America As Represented By The Secretary Of Agriculture Composites containing cellulosic pulp fibers and methods of making and using the same
JP4509329B2 (ja) * 2000-08-07 2010-07-21 紀伊産業株式会社 大理石模様の化粧品容器用樹脂成形品
JP4509330B2 (ja) * 2000-08-07 2010-07-21 紀伊産業株式会社 大理石模様の化粧品容器用樹脂成形品
JP4781582B2 (ja) * 2001-09-28 2011-09-28 ダイセル化学工業株式会社 強化繊維成形体
JP4846405B2 (ja) * 2006-03-27 2011-12-28 北越紀州製紙株式会社 紙配合熱可塑性樹脂組成物の製造方法
EP3441425B9 (en) 2016-12-05 2021-07-21 Furukawa Electric Co., Ltd. Cellulose aluminum dispersed polyethylene resin composite, pellet and molded body using same, and method for manufacturing same
KR20200043992A (ko) 2017-08-23 2020-04-28 후루카와 덴키 고교 가부시키가이샤 셀룰로오스 섬유 분산 폴리에틸렌 수지 복합재, 이를 이용한 성형체 및 펠릿, 이들의 제조 방법, 그리고 셀룰로오스 섬유 부착 폴리에틸렌 박막편의 리사이클 방법
CN111094430A (zh) 2017-08-23 2020-05-01 古河电气工业株式会社 分散有纤维素纤维的聚烯烃树脂复合材料
US11390724B2 (en) 2017-08-23 2022-07-19 Furukawa Electric Co., Ltd. Cellulose-fiber dispersion polyethylene resin composite material, formed body and pellet using same, production method therefor, and recycling method for cellulose-fiber adhesion polyethylene thin film piece
CN111065679A (zh) 2017-08-23 2020-04-24 古河电气工业株式会社 分散有纤维素纤维的聚烯烃树脂复合材料、使用了该复合材料的粒料和成型体、以及分散有纤维素纤维的聚烯烃树脂复合材料的制造方法
JP6979933B2 (ja) * 2017-08-29 2021-12-15 旭化成株式会社 セルロース充填樹脂組成物の製造方法
JP6486429B2 (ja) * 2017-08-29 2019-03-20 旭化成株式会社 セルロース充填樹脂組成物の製造方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60171050A (ja) * 1984-02-16 1985-09-04 シンエ株式会社 製紙スラツジを原料とする中間生成物の製造方法

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60171050A (ja) * 1984-02-16 1985-09-04 シンエ株式会社 製紙スラツジを原料とする中間生成物の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0550427A (ja) 1993-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2514875B2 (ja) プラスチック成形用ペレット及びその製造法
JP6787137B2 (ja) 微細セルロース繊維含有樹脂組成物及びその製造方法
US4708623A (en) Apparatus for producing organic filler-blended resin compositions
KR20010075598A (ko) 셀룰로스 펄프 섬유 함유 복합재료, 및 이의 제조방법과사용방법
WO2007107527A1 (de) Faserverstärkter thermoplast
JP4371373B2 (ja) 木質系成形体の製造方法および木質系成形体
WO2002042382A1 (fr) Matiere de charge granulaire inorganique, procede permettant de produire cette matiere de charge et compositions de resine contenant cette charge
Ludvik et al. Cellulose fiber/bentonite clay/biodegradable thermoplastic composites
JPH0673231A (ja) プラスチック改質材及びその製造法
JP6787136B2 (ja) 微細セルロース繊維含有樹脂組成物及びその製造方法
JP2017145392A (ja) セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材、それを用いた成形体及びペレット、並びに、セルロース繊維付着ポリエチレン薄膜片のリサイクル方法
DE112006003304T5 (de) Verfahren zur Anwendung von Ultraschalloszillation und Harzzusammensetzung
EP3950805A1 (en) Cellulose fiber composite recycled resin and production method therefor
JP4732185B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂複合材料の製造方法
CN107880287A (zh) 一种植物纤维原料的塑化方法
JP5708657B2 (ja) マトリックス混練用植物繊維複合材料の製造方法
JP3345760B2 (ja) 生分解性複合材料からなる成形物の製造法
DE102008063232A1 (de) Verfahren zur Herstellung eines verarbeitungsfähigen und eigenschaftsspezifizierten Kunststoffmaterials aus Abfallkunststoff
JP3007880B1 (ja) 成形用組成物の製造方法およびそれに用いる古紙ペレット
CN117642455A (zh) 微纤维纤维素固态物、微纤维纤维素固态物的制造方法
JP4705215B2 (ja) 成形加工用の紙含有樹脂組成物
Bledzki et al. Influence of separation and processing systems on morphology and mechanical properties of hemp and wood fibre reinforced polypropylene composites
WO2023074842A1 (ja) パルプ繊維含有樹脂ペレットの製造方法および成形体の製造方法
JP4640537B2 (ja) 樹脂配合用古紙材料とその製造方法
JPH079479A (ja) 樹脂結合繊維成型体の射出成形法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19960123