JPH0550427A - プラスチツク成形用ペレツト及びその製造法 - Google Patents
プラスチツク成形用ペレツト及びその製造法Info
- Publication number
- JPH0550427A JPH0550427A JP26542291A JP26542291A JPH0550427A JP H0550427 A JPH0550427 A JP H0550427A JP 26542291 A JP26542291 A JP 26542291A JP 26542291 A JP26542291 A JP 26542291A JP H0550427 A JPH0550427 A JP H0550427A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water
- fiber
- pellet
- pellets
- cellulose
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Abstract
(57)【要約】
【目的】 セルロ−ス繊維が軽量の強化繊維としてその
目的を遺憾なく発揮し得るようにするとともにペレット
製造時の不良品の再生や原料組成の変更等の要望に対し
ペレットの水再分散によって容易に対処できるようにす
る。 【構成】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂
に、強化繊維としてセルロ−ス繊維を含有し、かつ水中
の離解処理で再分散可能に造粒したプラスチック成形用
ペレット。
目的を遺憾なく発揮し得るようにするとともにペレット
製造時の不良品の再生や原料組成の変更等の要望に対し
ペレットの水再分散によって容易に対処できるようにす
る。 【構成】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂
に、強化繊維としてセルロ−ス繊維を含有し、かつ水中
の離解処理で再分散可能に造粒したプラスチック成形用
ペレット。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラスチック押出成形機
や射出成形機に供給するプラスチック成形用ペレット及
びその製造法に関する。
や射出成形機に供給するプラスチック成形用ペレット及
びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のプラスチック成形に供す
るペレットの製造法は、マトリックスとして、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ABS、ポリフェニレンスルフ
イド、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレ
フタレ−トなどの熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて
充填剤、顔料、金属粉末、フェライト粉末、強化繊維な
どを配合して樹脂の溶融または軟化状態に混練し、押出
成形して円柱状に造粒していた。
るペレットの製造法は、マトリックスとして、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ABS、ポリフェニレンスルフ
イド、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンテレ
フタレ−トなどの熱可塑性樹脂を使用し、必要に応じて
充填剤、顔料、金属粉末、フェライト粉末、強化繊維な
どを配合して樹脂の溶融または軟化状態に混練し、押出
成形して円柱状に造粒していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のペレットの製造
法では、特に強化繊維としてセルロ−ス繊維を使用する
場合、充分な強化目的が達せられなかった。その理由と
して、セルロ−ス繊維の引張り弾性率はガラス繊維のそ
れに匹敵することから軽量の強化繊維として期待されて
いるにも拘らず、実際にセルロ−ス繊維を含有させて得
られたペレットを使用したプラスチック成形物は衝撃強
度、曲げ強度、熱変形温度など強化繊維によって改善さ
れるべき特性が一向に改善されず、増量材としてしか機
能し得ないのが実態である。
法では、特に強化繊維としてセルロ−ス繊維を使用する
場合、充分な強化目的が達せられなかった。その理由と
して、セルロ−ス繊維の引張り弾性率はガラス繊維のそ
れに匹敵することから軽量の強化繊維として期待されて
いるにも拘らず、実際にセルロ−ス繊維を含有させて得
られたペレットを使用したプラスチック成形物は衝撃強
度、曲げ強度、熱変形温度など強化繊維によって改善さ
れるべき特性が一向に改善されず、増量材としてしか機
能し得ないのが実態である。
【0004】強化繊維として、セルロ−スを主成分とし
た繊維を使用する場合、特にペレット製造時のセルロ−
スの挙動を充分考察することが肝要である。セルロ−ス
は典型的な親水性高分子で、水分の吸脱湿が大きく、吸
脱湿の状態によってその特性が変化するものである。即
ち、吸湿によって膨潤して柔らかくなり、しなやかで変
形し易くなる反面、脱湿によって角質化して堅くなり、
脆く変形し難くなる。
た繊維を使用する場合、特にペレット製造時のセルロ−
スの挙動を充分考察することが肝要である。セルロ−ス
は典型的な親水性高分子で、水分の吸脱湿が大きく、吸
脱湿の状態によってその特性が変化するものである。即
ち、吸湿によって膨潤して柔らかくなり、しなやかで変
形し易くなる反面、脱湿によって角質化して堅くなり、
脆く変形し難くなる。
【0005】実際に使用する強化繊維原料は、古紙、木
粉、麻、コットンパルプ、木材パルプなどの植物繊維で
ある。それを解繊後、または直接、100 ℃前後、或いは
それ以上の溶融または軟化状態のマトリックスとしての
熱可塑性樹脂中で、強い剪断力をかけながら均一に混練
する。この条件下でセルロ−スを主成分とする植物繊維
は殆ど水分を失い、絶乾状態となるため角質化して堅く
脆くなる。従って、この絶乾状態で強い剪断力をかけて
混練すると、均一に分散するまでに繊維は粉砕されてし
まい、繊維状をとどめない。
粉、麻、コットンパルプ、木材パルプなどの植物繊維で
ある。それを解繊後、または直接、100 ℃前後、或いは
それ以上の溶融または軟化状態のマトリックスとしての
熱可塑性樹脂中で、強い剪断力をかけながら均一に混練
する。この条件下でセルロ−スを主成分とする植物繊維
は殆ど水分を失い、絶乾状態となるため角質化して堅く
脆くなる。従って、この絶乾状態で強い剪断力をかけて
混練すると、均一に分散するまでに繊維は粉砕されてし
まい、繊維状をとどめない。
【0006】この傾向は溶融温度または軟化温度の高い
マトリックスとしての熱可塑性樹脂を用いるほど顕著で
あり、その樹脂との混練中に劣化して粉末化するにとど
まらず、熱劣化がさらに進行し、炭化に至るほどに影響
を受けることがある。このような現象は、従来技術によ
る各種試料の詳細な観察により、この事実を発見したの
である。図3は従来技術によって得られた成形品(市販
品)の破断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMとい
う)で 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形状を示した
写真である。この写真を見ると繊維状の形態を見出すこ
とは困難で、繊維の破片およびそれが埋没していたと思
われるマトリックスの空孔しか認めない。この事実よ
り、従来の技術では強化繊維として用いた筈のセルロ−
ス繊維が本来の繊維としての特性を失い、粉末化して単
なる増量材としてしか機能しなくなった実態が理解でき
るのである。
マトリックスとしての熱可塑性樹脂を用いるほど顕著で
あり、その樹脂との混練中に劣化して粉末化するにとど
まらず、熱劣化がさらに進行し、炭化に至るほどに影響
を受けることがある。このような現象は、従来技術によ
る各種試料の詳細な観察により、この事実を発見したの
である。図3は従来技術によって得られた成形品(市販
品)の破断面を走査型電子顕微鏡(以下、SEMとい
う)で 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形状を示した
写真である。この写真を見ると繊維状の形態を見出すこ
とは困難で、繊維の破片およびそれが埋没していたと思
われるマトリックスの空孔しか認めない。この事実よ
り、従来の技術では強化繊維として用いた筈のセルロ−
ス繊維が本来の繊維としての特性を失い、粉末化して単
なる増量材としてしか機能しなくなった実態が理解でき
るのである。
【0007】本発明者等は、さらにこの粉末化の経過を
詳細に調査した結果、従来技術である樹脂の溶融または
軟化状態の如何なる条件下でも、セルロ−ス繊維の粉末
化を防止することは極めて困難である、という結論に達
した。従って、繊維状態を維持したペレットを造るに
は、出来るだけセルロ−ス繊維が乾燥して堅く脆くなら
ない様に留意すべきである、という前提に於いて鋭意実
験を重ね、試行錯誤の結果、ペレットの製造条件を見い
だしたものである。
詳細に調査した結果、従来技術である樹脂の溶融または
軟化状態の如何なる条件下でも、セルロ−ス繊維の粉末
化を防止することは極めて困難である、という結論に達
した。従って、繊維状態を維持したペレットを造るに
は、出来るだけセルロ−ス繊維が乾燥して堅く脆くなら
ない様に留意すべきである、という前提に於いて鋭意実
験を重ね、試行錯誤の結果、ペレットの製造条件を見い
だしたものである。
【0008】一般に、金属、プラスチックなどは常温で
もある程度大きな外力を加えることにより流動、変形を
起こさせることができる。この現象は微細組織の滑り、
ズレに関係があるとされている。またセルロ−ス繊維が
水分を吸着すると柔らかく変形し易くなることも、経験
的に知っている。これらの事実に基づいて『セルロ−ス
繊維自身、最適の可塑剤と謂われる水をうまく利用する
ことによって、マトリックスとなる樹脂だけに依存しな
くとも、プラスチック成形用として供するペレットを得
ることが出来る。』という仮説をたて、セルロ−ス繊維
の劣化を避け得る水分の存在下でペレット化の可能性を
実験的に追跡して強化繊維としてのセルロ−ス繊維を含
有したペレットとその製造法を完成したものである。
もある程度大きな外力を加えることにより流動、変形を
起こさせることができる。この現象は微細組織の滑り、
ズレに関係があるとされている。またセルロ−ス繊維が
水分を吸着すると柔らかく変形し易くなることも、経験
的に知っている。これらの事実に基づいて『セルロ−ス
繊維自身、最適の可塑剤と謂われる水をうまく利用する
ことによって、マトリックスとなる樹脂だけに依存しな
くとも、プラスチック成形用として供するペレットを得
ることが出来る。』という仮説をたて、セルロ−ス繊維
の劣化を避け得る水分の存在下でペレット化の可能性を
実験的に追跡して強化繊維としてのセルロ−ス繊維を含
有したペレットとその製造法を完成したものである。
【0009】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、セルロ−ス繊維が軽量の
強化繊維としてその目的を遺憾なく発揮し得るようにす
るとともにペレット製造時の不良品の再生や原料組成の
変更等の要望に対しペレットの水再分散によって容易に
対処できるようにした成形用ペレット及びその製造法を
提供することにある。
で、その目的とするところは、セルロ−ス繊維が軽量の
強化繊維としてその目的を遺憾なく発揮し得るようにす
るとともにペレット製造時の不良品の再生や原料組成の
変更等の要望に対しペレットの水再分散によって容易に
対処できるようにした成形用ペレット及びその製造法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラスチッ
ク成形用ペレットは、マトリックスとして使用する熱可
塑性樹脂に、強化繊維としてセルロ−ス繊維を含有し、
かつ水中の離解処理で再分散可能に造粒したものであ
る。また、上記プラスチック成形用ペレットのマトリッ
クスは、300 ℃以下の温度で成形加工できる熱可塑性樹
脂が使用される。さらに、マトリックスとして使用する
熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アセタ−ル、ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリ
ル・スチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン、ポリエチレン・テレフタレ−ト、ポリブチレン・テ
レフタレ−トの中から選ばれる少なくとも一種からな
る。本発明に係るプラスチック成形用ペレットの製造法
は、マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂に、水分
率が 5〜40%であるセルロ−ス繊維を強化繊維として含
有する組成物を混練、またはそのセルロ−ス繊維の水分
率の下限を切らない水の存在下で混合して得た混合物を
そのセルロ−ス繊維の水分率の範囲で造粒するようにし
たものである。
ク成形用ペレットは、マトリックスとして使用する熱可
塑性樹脂に、強化繊維としてセルロ−ス繊維を含有し、
かつ水中の離解処理で再分散可能に造粒したものであ
る。また、上記プラスチック成形用ペレットのマトリッ
クスは、300 ℃以下の温度で成形加工できる熱可塑性樹
脂が使用される。さらに、マトリックスとして使用する
熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
アセタ−ル、ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリ
ル・スチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン、ポリエチレン・テレフタレ−ト、ポリブチレン・テ
レフタレ−トの中から選ばれる少なくとも一種からな
る。本発明に係るプラスチック成形用ペレットの製造法
は、マトリックスとして使用する熱可塑性樹脂に、水分
率が 5〜40%であるセルロ−ス繊維を強化繊維として含
有する組成物を混練、またはそのセルロ−ス繊維の水分
率の下限を切らない水の存在下で混合して得た混合物を
そのセルロ−ス繊維の水分率の範囲で造粒するようにし
たものである。
【0011】本発明に係るプラスチック成形用ペレット
の製造法において、マトリックスとして使用する熱可塑
性樹脂に、セルロ−ス繊維を強化繊維として含有する組
成物中のセルロ−ス繊維の水分率の範囲を 5〜40%とし
たのは、セルロ−ス繊維のもつ特性を活かし強化繊維と
しての機能を十分発揮させ、かつペレットの再生や原料
組成、形状の変更等がペレットの水再分散によって容易
にできるようにするためである。上記組成物中のセルロ
−ス繊維の水分率が、5 %以下の場合は原料組成物の可
塑性が未だ不十分でペレットとして造粒できず、また40
%以上の場合では原料組成物の流動性が過大となり、ペ
レットとして造粒するに必要な力がかからず、ペレット
にならない。この原料組成物の可塑化のための適正水分
は、必要最小限度が理想であるが、樹脂対セルロ−スの
割合のうち樹脂分の占める割合が小さいほどセルロ−ス
繊維の水分率が少なくなり、また樹脂対セルロ−ス割合
のうち樹脂分の占める割合が大きくなるほどセルロ−ス
繊維の水分率が多くなり、セルロ−ス繊維の水分率は 5
〜40%の範囲で移行する傾向がある。所詮、この可塑化
のために必要であった水分も、このペレットを使用して
プラスチック成形をする工程ではトラブルの原因となる
ので、ペレットになったあとで完全に脱水乾燥する必要
がある。従って過剰な水分はペレット乾燥機の余分な負
担となり好ましいものではない。
の製造法において、マトリックスとして使用する熱可塑
性樹脂に、セルロ−ス繊維を強化繊維として含有する組
成物中のセルロ−ス繊維の水分率の範囲を 5〜40%とし
たのは、セルロ−ス繊維のもつ特性を活かし強化繊維と
しての機能を十分発揮させ、かつペレットの再生や原料
組成、形状の変更等がペレットの水再分散によって容易
にできるようにするためである。上記組成物中のセルロ
−ス繊維の水分率が、5 %以下の場合は原料組成物の可
塑性が未だ不十分でペレットとして造粒できず、また40
%以上の場合では原料組成物の流動性が過大となり、ペ
レットとして造粒するに必要な力がかからず、ペレット
にならない。この原料組成物の可塑化のための適正水分
は、必要最小限度が理想であるが、樹脂対セルロ−スの
割合のうち樹脂分の占める割合が小さいほどセルロ−ス
繊維の水分率が少なくなり、また樹脂対セルロ−ス割合
のうち樹脂分の占める割合が大きくなるほどセルロ−ス
繊維の水分率が多くなり、セルロ−ス繊維の水分率は 5
〜40%の範囲で移行する傾向がある。所詮、この可塑化
のために必要であった水分も、このペレットを使用して
プラスチック成形をする工程ではトラブルの原因となる
ので、ペレットになったあとで完全に脱水乾燥する必要
がある。従って過剰な水分はペレット乾燥機の余分な負
担となり好ましいものではない。
【0012】この様なセルロ−ス繊維の特性を活かした
ペレットを形成する為に必要なセルロ−ス繊維の水分率
を原料組成物に与える全工程は、使用する原料の状態に
より、a)水懸濁液として配合した原料を均一に攪判、
混合した後で搾水、脱水して水分調整してコンパウンド
を得る、b)予め目的とする必要水分を計量して、その
水分による可塑化を利用して充分混練してコンパウンド
を得る、という方法がある。a)は比較的解繊し難い難
離解性古紙を仕込む場合に有利であり、b)は解繊し易
い、また、既に繊維状のセルロ−ス原料を仕込む場合に
有利である。セルロ−ス繊維の特性を活かしたペレット
を形成する為に、セルロ−ス繊維に必要な水分量の計量
は例えば原料組成物を構成する各成分の吸水率を予め実
測しておき、脱水後の残留水分総量より、セルロ−ス繊
維以外の各成分の吸水水分量を差引き、算出する。但
し、一般にセルロ−ス繊維以外の成分の吸水率は無視で
きる程度に少ない場合が多く、原料組成物そのものの水
分をセルロ−ス繊維の水分とみなし得ることもある。
ペレットを形成する為に必要なセルロ−ス繊維の水分率
を原料組成物に与える全工程は、使用する原料の状態に
より、a)水懸濁液として配合した原料を均一に攪判、
混合した後で搾水、脱水して水分調整してコンパウンド
を得る、b)予め目的とする必要水分を計量して、その
水分による可塑化を利用して充分混練してコンパウンド
を得る、という方法がある。a)は比較的解繊し難い難
離解性古紙を仕込む場合に有利であり、b)は解繊し易
い、また、既に繊維状のセルロ−ス原料を仕込む場合に
有利である。セルロ−ス繊維の特性を活かしたペレット
を形成する為に、セルロ−ス繊維に必要な水分量の計量
は例えば原料組成物を構成する各成分の吸水率を予め実
測しておき、脱水後の残留水分総量より、セルロ−ス繊
維以外の各成分の吸水水分量を差引き、算出する。但
し、一般にセルロ−ス繊維以外の成分の吸水率は無視で
きる程度に少ない場合が多く、原料組成物そのものの水
分をセルロ−ス繊維の水分とみなし得ることもある。
【0013】
【作用】セルロ−ス繊維は、ラメラ、フィブリル、ミセ
ル、セルロ−ス分子と、その構成単位は細かく分割され
る。結晶構造をとるミセルを貫いて非晶領域に亘るセル
ロ−ス分子は、そのミセル間隙と謂われる非晶領域では
OH基が直接水素結合し得る程に接近していない部分が
多く、吸湿状態で水分子が近づくと、水がセルロ−スの
橋架けをして安定化する。しかし、ある程度以上に水分
子が介在して多分子層を形成すると、その水素原子の反
発が平衡を破るためセルロ−ス分子間の結合は弱くな
る。即ち水がセルロ−ス分子の回転の自由度を与える結
果、セルロ−ス繊維は柔軟性を生じ変形し易くなる。こ
の自由度は、ミセル間隙のみ限定されるものではなく、
フィブリル間隙、ラメラ間隙、さらに繊維間隙で隣接す
るセルロ−ス分子間で生じている。この状態でペレット
形状の容積内に外力によって圧入されるときは、ズレ、
変形を伴いつつ、最密充填される。この場合、セルロ−
ス繊維の水分率が適当であれば繊維間の水膜の張力が成
形能力を与える凝集力を生み、その繊維表面を構成する
微細組織は大きな表面積によって、この水膜の張力をさ
らに増大させる。多すぎると逆に、繊維間隙でこの水膜
のまわりに余分な水が遊離水として取り巻き、その結
果、繊維間の凝集力は弱まり、遂には流動するに至る。
ル、セルロ−ス分子と、その構成単位は細かく分割され
る。結晶構造をとるミセルを貫いて非晶領域に亘るセル
ロ−ス分子は、そのミセル間隙と謂われる非晶領域では
OH基が直接水素結合し得る程に接近していない部分が
多く、吸湿状態で水分子が近づくと、水がセルロ−スの
橋架けをして安定化する。しかし、ある程度以上に水分
子が介在して多分子層を形成すると、その水素原子の反
発が平衡を破るためセルロ−ス分子間の結合は弱くな
る。即ち水がセルロ−ス分子の回転の自由度を与える結
果、セルロ−ス繊維は柔軟性を生じ変形し易くなる。こ
の自由度は、ミセル間隙のみ限定されるものではなく、
フィブリル間隙、ラメラ間隙、さらに繊維間隙で隣接す
るセルロ−ス分子間で生じている。この状態でペレット
形状の容積内に外力によって圧入されるときは、ズレ、
変形を伴いつつ、最密充填される。この場合、セルロ−
ス繊維の水分率が適当であれば繊維間の水膜の張力が成
形能力を与える凝集力を生み、その繊維表面を構成する
微細組織は大きな表面積によって、この水膜の張力をさ
らに増大させる。多すぎると逆に、繊維間隙でこの水膜
のまわりに余分な水が遊離水として取り巻き、その結
果、繊維間の凝集力は弱まり、遂には流動するに至る。
【0014】このように単繊維としては吸湿に応じて柔
軟性を増し、変形し易くなるに伴って、繊維間でも水を
介して塑性流動が起ると考えられる。これを段階的にみ
ると、未だ水量が少量のところでは各繊維は互いに勝手
な位置をとっている。水量が多くなると、繊維表面は水
膜で覆われるようになる。水量がある量を越えると、僅
かな外力で繊維は配向するようになり、この吸収された
水膜の張力は適当に配向した繊維を互いに牽引してい
る。外力が増加して水膜の持つ張力以上になると繊維は
お互いに滑るようになり、外力を除いても繊維は水膜の
張力によって新しい位置に保たれるため、もとの位置へ
戻り得ない。実験的に、後続する成形加工に適用できる
範囲の原料組成物では、このペレット化に最適なセルロ
−ス繊維の水分率は 5〜40%であることを確認した。こ
れより少ない範囲では繊維相互に牽引し合える凝集力を
生むに充分な水膜が得られず、塑性流動の配向や滑りは
起こらない。逆にこれより多い範囲では余分な遊離水を
隔てて繊維が隣接し合うようになり、外力を加えても懸
濁物の単なる流動に過ぎず、塑性流動による安定的変形
は起らない。以上の水分条件内でペレット化したもの
は、混練などの強い剪断力がかかった場合でも、繊維の
損傷は認められず、粉末化することはなかった。
軟性を増し、変形し易くなるに伴って、繊維間でも水を
介して塑性流動が起ると考えられる。これを段階的にみ
ると、未だ水量が少量のところでは各繊維は互いに勝手
な位置をとっている。水量が多くなると、繊維表面は水
膜で覆われるようになる。水量がある量を越えると、僅
かな外力で繊維は配向するようになり、この吸収された
水膜の張力は適当に配向した繊維を互いに牽引してい
る。外力が増加して水膜の持つ張力以上になると繊維は
お互いに滑るようになり、外力を除いても繊維は水膜の
張力によって新しい位置に保たれるため、もとの位置へ
戻り得ない。実験的に、後続する成形加工に適用できる
範囲の原料組成物では、このペレット化に最適なセルロ
−ス繊維の水分率は 5〜40%であることを確認した。こ
れより少ない範囲では繊維相互に牽引し合える凝集力を
生むに充分な水膜が得られず、塑性流動の配向や滑りは
起こらない。逆にこれより多い範囲では余分な遊離水を
隔てて繊維が隣接し合うようになり、外力を加えても懸
濁物の単なる流動に過ぎず、塑性流動による安定的変形
は起らない。以上の水分条件内でペレット化したもの
は、混練などの強い剪断力がかかった場合でも、繊維の
損傷は認められず、粉末化することはなかった。
【0015】
(a) 水懸濁液として調整した実施例 (a-1) 製紙用パルパ−中に、SWP(三井石油化学
(株)製のポリエチレン系合成パルプ)60部およびNU
KP(針葉樹クラフトパルプ)40部、これを 100部と
し、それに対してCaCO3 20重量%、カ−ボンブラッ
ク0.5 重量%を夫々仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液
になるように水を加えて攪拌、均一に混合した。充分混
合したこの原料組成物を傾斜エキストラクタ−、スクリ
ュ−プレスを併用して脱水し、NUKPの水分率20%と
した。この原料組成物を不二パウダル(株)製の造粒機
デスク・ペレッタ− F−60N型 5mm 穴径のデスク
・ダイを用いて、直径5mm 円筒状のペレットに造粒し
た。このようにして製造したペレットを使用してプラス
チック射出成形機で成形して、物性テストに供した。
(株)製のポリエチレン系合成パルプ)60部およびNU
KP(針葉樹クラフトパルプ)40部、これを 100部と
し、それに対してCaCO3 20重量%、カ−ボンブラッ
ク0.5 重量%を夫々仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液
になるように水を加えて攪拌、均一に混合した。充分混
合したこの原料組成物を傾斜エキストラクタ−、スクリ
ュ−プレスを併用して脱水し、NUKPの水分率20%と
した。この原料組成物を不二パウダル(株)製の造粒機
デスク・ペレッタ− F−60N型 5mm 穴径のデスク
・ダイを用いて、直径5mm 円筒状のペレットに造粒し
た。このようにして製造したペレットを使用してプラス
チック射出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0016】(a-2) 前記製紙用パルパ−中に、PP屑
(宇部日東化成(株)発生のポリプロピレン糸屑)40
部、上記SWP20部、およびクラフト古紙(セメント袋
空袋)40部、これを100 部とし、それに対してCaCO
3 10重量%、タルク10重量%、カ−ボンブラック0.5 重
量%を仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液になるように
水を加えて古紙繊維が完全に離解するまで充分攪拌、均
一に混合した。この原料液を傾斜エキストラクタ−、ス
クリュ−プレスを併用して脱水し、クラフト古紙繊維の
水分率15%とした。この原料コンパウンドを上記同様の
デスクペレッタ−で 5mm径のペレットに造粒した。この
ようにして製造したペレットを使用してプラスチック射
出成形機で成形して、物性テストに供した。
(宇部日東化成(株)発生のポリプロピレン糸屑)40
部、上記SWP20部、およびクラフト古紙(セメント袋
空袋)40部、これを100 部とし、それに対してCaCO
3 10重量%、タルク10重量%、カ−ボンブラック0.5 重
量%を仕込み、全体が 6重量%の水懸濁液になるように
水を加えて古紙繊維が完全に離解するまで充分攪拌、均
一に混合した。この原料液を傾斜エキストラクタ−、ス
クリュ−プレスを併用して脱水し、クラフト古紙繊維の
水分率15%とした。この原料コンパウンドを上記同様の
デスクペレッタ−で 5mm径のペレットに造粒した。この
ようにして製造したペレットを使用してプラスチック射
出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0017】(b) 混練して調成した実施例 (b-1) (株)森山製作所製MS式加圧型ニ−ダ−DS55
−100 型に、PP屑(日栄工業(株)発生ポリプロピレ
ン不織布廃棄物をロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)
50部およびメカニカルウッドファイバ−50部、これを10
0 部とし、それに対してタルク20重量%、さらにこれら
の混合物中、メカニカルウッドファイバ−の水分率が30
%になるように計量した水を夫々仕込み、充分混練し
た。混練中この原料組成物は発熱して規定の水量を蒸発
させて失うことのないようにニ−ダ−内の温度をコント
ロ−ルしながら混練した。均一に混練した原料組成物
は、そのまま上記のデスクペレッタ−で 5mm径のペレッ
トに造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
−100 型に、PP屑(日栄工業(株)発生ポリプロピレ
ン不織布廃棄物をロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)
50部およびメカニカルウッドファイバ−50部、これを10
0 部とし、それに対してタルク20重量%、さらにこれら
の混合物中、メカニカルウッドファイバ−の水分率が30
%になるように計量した水を夫々仕込み、充分混練し
た。混練中この原料組成物は発熱して規定の水量を蒸発
させて失うことのないようにニ−ダ−内の温度をコント
ロ−ルしながら混練した。均一に混練した原料組成物
は、そのまま上記のデスクペレッタ−で 5mm径のペレッ
トに造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
【0018】(b-2) 前記のニ−ダ−にPEフイルム屑
(ミルクカ−トン古紙の再生時に発生したポリエチレン
フイルムをロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)20部、
PP屑(上記ポリプロピレン糸屑)50部、麻屑(麻袋廃
棄物をロ−タリ−カッタ−で解繊したもの)30部、これ
を 100部とし、それに対してCaCO3 30重量%、弁柄
1.5重量%、カ−ボンブラック 1.5重量%、さらにこれ
らの混合物中、麻屑繊維の水分率が20%になるように計
量した水を、夫々仕込み、以下前記同様に、温度をコン
トロ−ルしながら充分混練し、均一に混練した原料組成
物を造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
(ミルクカ−トン古紙の再生時に発生したポリエチレン
フイルムをロ−タリ−カッタ−で粉砕したもの)20部、
PP屑(上記ポリプロピレン糸屑)50部、麻屑(麻袋廃
棄物をロ−タリ−カッタ−で解繊したもの)30部、これ
を 100部とし、それに対してCaCO3 30重量%、弁柄
1.5重量%、カ−ボンブラック 1.5重量%、さらにこれ
らの混合物中、麻屑繊維の水分率が20%になるように計
量した水を、夫々仕込み、以下前記同様に、温度をコン
トロ−ルしながら充分混練し、均一に混練した原料組成
物を造粒した。このようにして製造したペレットを使用
してプラスチック射出成形機で成形して、物性テストに
供した。
【0019】(c) ペレットの再分散処理の実施例 (c-1) 一旦、(b-1) によって得られた 5mm径のペレッ
トから、小型射出成形機に供試すべく 3mm径のペレット
に作り変えるために、5mm 径のペレットを上記パルパ−
中で 6%水懸濁液濃度になるように仕込み、充分攪拌、
離解した。この離解物を上記同様に、脱水してセルロ−
ス繊維の水分率20%とし、造粒機のデスク・ダイを穴径
3mm のものに取替えて造粒した。このようにして作り変
えられたペレットを使用してプラスチック射出成形機で
成形して、物性テストに供した。
トから、小型射出成形機に供試すべく 3mm径のペレット
に作り変えるために、5mm 径のペレットを上記パルパ−
中で 6%水懸濁液濃度になるように仕込み、充分攪拌、
離解した。この離解物を上記同様に、脱水してセルロ−
ス繊維の水分率20%とし、造粒機のデスク・ダイを穴径
3mm のものに取替えて造粒した。このようにして作り変
えられたペレットを使用してプラスチック射出成形機で
成形して、物性テストに供した。
【0020】(c-2) 一旦、(a-1) によって得られた 5
mm径のペレットから、さらに着色成形品を得るために、
ペレット重量に対して0.5 重量%の青色有機顔料(御国
色素(株)製のSP BlueHB)を添加し、(b-1) で用いた
ニ−ダ−中でセルロ−ス繊維の水分率が30%になるよう
に計量した水を加えて上記同様に混練、造粒した。この
ようにして着色されたペレットを使用してプラスチック
射出成形機で成形して、物性テストに供した。
mm径のペレットから、さらに着色成形品を得るために、
ペレット重量に対して0.5 重量%の青色有機顔料(御国
色素(株)製のSP BlueHB)を添加し、(b-1) で用いた
ニ−ダ−中でセルロ−ス繊維の水分率が30%になるよう
に計量した水を加えて上記同様に混練、造粒した。この
ようにして着色されたペレットを使用してプラスチック
射出成形機で成形して、物性テストに供した。
【0021】以上の各実施例に於いて得たペレット中、
セルロ−ス繊維の水分率はいずれも初期の規定の水分率
より 5%以内の減少に止まり、セルロ−ス繊維の劣化の
影響には無視し得るものであった。
セルロ−ス繊維の水分率はいずれも初期の規定の水分率
より 5%以内の減少に止まり、セルロ−ス繊維の劣化の
影響には無視し得るものであった。
【0022】(d) 比較例 (d-1) 上記 (a-1)と同一配合の乾燥原料を定法に準じ
て、マトリックスとしての樹脂の溶融、軟化状態で混練
して得た原料組成物を造粒した。このようにして製造し
たペレットを使用してプラスチック射出成形機で成形し
て、物性テストに供した。
て、マトリックスとしての樹脂の溶融、軟化状態で混練
して得た原料組成物を造粒した。このようにして製造し
たペレットを使用してプラスチック射出成形機で成形し
て、物性テストに供した。
【0023】(d-2) 上記(b-1)と同一配合の乾燥原料
を(d-1)と同様にして供試した。
を(d-1)と同様にして供試した。
【0024】(e) ペレットの再分散処理の比較例 (e-1) 一旦(d-2) によって得られた 5mm径のペレットか
ら、(c-1) 同様の目的で水再分散を試みたが、全く分散
不可能で、所期の目的は達成できなかった。
ら、(c-1) 同様の目的で水再分散を試みたが、全く分散
不可能で、所期の目的は達成できなかった。
【0025】(e-2) 一旦(d-1) によって得られた 5mm径
のペレットから、(c-2) 同様の目的で水再分散を試みた
が、全く分散不可能で、所期の目的が達成できなかっ
た。
のペレットから、(c-2) 同様の目的で水再分散を試みた
が、全く分散不可能で、所期の目的が達成できなかっ
た。
【0026】上記各実施例および比較例で得たペレット
を使用してプラスチック成形物試料の物性を表1に示し
た。
を使用してプラスチック成形物試料の物性を表1に示し
た。
【表1】
【0027】本件の発明の効果を顕微鏡的に確認するた
め、図1及び図2に成形品の破断面をSEMで 100倍に
拡大したセルロ−ス繊維の形状を写真で示した。図1は
実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成形した
成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示した写真
で、図2は比較例(d-1) により得られたペレットを用い
て成形した成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示
した写真である。これらの写真を観察すると、図2の比
較例(d-1) により得られたペレットを用いて成形した成
形品は繊維状繊維を認めることが出来ないが、図1の本
発明の実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成
形した成形品は強化繊維の原繊維の存在を明瞭に確認す
ることが出来る。その結果、表1から判るように、実施
例の成形物試料はいずれも比較例のそれに比べ、曲げ強
さ、曲げ弾性率、衝撃強度の機械的特性が向上し、セル
ロ−ス繊維が強化繊維として十分寄与していることが判
明した。
め、図1及び図2に成形品の破断面をSEMで 100倍に
拡大したセルロ−ス繊維の形状を写真で示した。図1は
実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成形した
成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示した写真
で、図2は比較例(d-1) により得られたペレットを用い
て成形した成形品の破断面のセルロ−ス繊維の形状を示
した写真である。これらの写真を観察すると、図2の比
較例(d-1) により得られたペレットを用いて成形した成
形品は繊維状繊維を認めることが出来ないが、図1の本
発明の実施例(a-1) により得られたペレットを用いて成
形した成形品は強化繊維の原繊維の存在を明瞭に確認す
ることが出来る。その結果、表1から判るように、実施
例の成形物試料はいずれも比較例のそれに比べ、曲げ強
さ、曲げ弾性率、衝撃強度の機械的特性が向上し、セル
ロ−ス繊維が強化繊維として十分寄与していることが判
明した。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記の説明から判るように、セ
ルロ−ス繊維の物性を活かした軽量の強化繊維入りのペ
レットとして使用することができ、この種のプラスチッ
ク成形分野における利用は極めて大きいものである。ま
た、本発明のペレットは、水中にて再分散できるので、
ペレット成形時の成形不良品の再生や原料組成・形状の
変更等が生じようとも該ペレットを水再分散によって容
易に変更等ができるという利点がある。従来技術では全
くペレットの水再分散は不可能なので、止む得ず再び熱
劣化の危険を侵して、加熱軟化または溶融して混練しな
おさなければならないといったことから完全に解放され
る。さらに、本発明では溶融温度または軟化温度の比較
的高いマトリックスとしての熱可塑性樹脂を使用した場
合でも、セルロ−ス繊維の熱劣化を成形加工時の最小限
度に止め得るので、その加工時の温度が 300℃以下で成
形されるマトリックスとしての樹脂を選ぶ場合であれば
適用でき、セルロ−ス繊維による強化が期待できるので
ある。
ルロ−ス繊維の物性を活かした軽量の強化繊維入りのペ
レットとして使用することができ、この種のプラスチッ
ク成形分野における利用は極めて大きいものである。ま
た、本発明のペレットは、水中にて再分散できるので、
ペレット成形時の成形不良品の再生や原料組成・形状の
変更等が生じようとも該ペレットを水再分散によって容
易に変更等ができるという利点がある。従来技術では全
くペレットの水再分散は不可能なので、止む得ず再び熱
劣化の危険を侵して、加熱軟化または溶融して混練しな
おさなければならないといったことから完全に解放され
る。さらに、本発明では溶融温度または軟化温度の比較
的高いマトリックスとしての熱可塑性樹脂を使用した場
合でも、セルロ−ス繊維の熱劣化を成形加工時の最小限
度に止め得るので、その加工時の温度が 300℃以下で成
形されるマトリックスとしての樹脂を選ぶ場合であれば
適用でき、セルロ−ス繊維による強化が期待できるので
ある。
【図1】実施例(a-1) により得られたペレットを用いて
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
【図2】比較例(d-1) により得られたペレットを用いて
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
成形した成形品の破断面をSEMで 100倍に拡大したセ
ルロ−ス繊維の形状を示した写真である。
【図3】従来技術によって得られた成形品(市販品)の
破断面をSEMで 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形
状を示した写真である。
破断面をSEMで 100倍に拡大したセルロ−ス繊維の形
状を示した写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:06
Claims (4)
- 【請求項1】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂に、強化繊維としてセルロ−ス繊維を含有し、かつ水
中の離解処理で再分散可能に造粒したことを特徴とする
プラスチック成形用ペレット。 - 【請求項2】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂は、300 ℃以下の温度で成形加工できる樹脂を使用す
ることを特徴とする請求項1記載のプラスチック成形用
ペレット。 - 【請求項3】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタ−
ル、ポリスチレン、ナイロン、アクリロニトリル・スチ
レン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ポリ
エチレン・テレフタレ−ト、ポリブチレン・テレフタレ
−トの中から選ばれる少なくとも一種からなることを特
徴とする請求項1または2記載のプラスチック成形用ペ
レット。 - 【請求項4】 マトリックスとして使用する熱可塑性樹
脂に、水分率が 5〜40%であるセルロ−ス繊維を強化繊
維として含有する組成物を混練、またはそのセルロ−ス
繊維の水分率の下限を切らない水の存在下で混合して得
た混合物をそのセルロ−ス繊維の水分率の範囲で造粒す
ることを特徴とするプラスチック成形用ペレットの製造
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3265422A JP2514875B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-09-18 | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-165288 | 1991-06-11 | ||
JP16528891 | 1991-06-11 | ||
JP3265422A JP2514875B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-09-18 | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0550427A true JPH0550427A (ja) | 1993-03-02 |
JP2514875B2 JP2514875B2 (ja) | 1996-07-10 |
Family
ID=26490079
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3265422A Expired - Lifetime JP2514875B2 (ja) | 1991-06-11 | 1991-09-18 | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2514875B2 (ja) |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0781806A3 (en) * | 1995-12-28 | 1997-08-13 | INDUSTRIAL TECHNICAL R&D LABORATORY INC. | Cellulose powder pellets with a polyethylene terephthalate resin as a binder and method for manufacturing the same |
JP2002052564A (ja) * | 2000-08-07 | 2002-02-19 | Key Tranding Co Ltd | 樹脂成形品 |
JP2002052563A (ja) * | 2000-08-07 | 2002-02-19 | Key Tranding Co Ltd | 樹脂成形品 |
JP2002527536A (ja) * | 1998-10-09 | 2002-08-27 | レヨニヤー,インク. | セルロースパルプ繊維を含む複合材およびその作成ならびに使用の方法 |
JP2003105100A (ja) * | 2001-09-28 | 2003-04-09 | Daicel Chem Ind Ltd | 強化繊維成形体 |
JP2007260941A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Hokuetsu Paper Mills Ltd | 紙配合熱可塑性樹脂組成物の製造方法及びそれに用いる紙ペレット |
WO2019039569A1 (ja) * | 2017-08-23 | 2019-02-28 | 古河電気工業株式会社 | セルロース繊維分散ポリオレフィン樹脂複合材、これを用いたペレット及び成形体、並びにセルロース繊維分散ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法 |
JP2019043978A (ja) * | 2017-08-29 | 2019-03-22 | 旭化成株式会社 | セルロース充填樹脂組成物の製造方法 |
JP2019044165A (ja) * | 2017-08-29 | 2019-03-22 | 旭化成株式会社 | セルロース充填樹脂組成物の製造方法 |
US11390723B2 (en) | 2016-12-05 | 2022-07-19 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-aluminum-dispersing polyethylene resin composite material, pellet and formed body using same, and production method therefor |
US11390724B2 (en) | 2017-08-23 | 2022-07-19 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber dispersion polyethylene resin composite material, formed body and pellet using same, production method therefor, and recycling method for cellulose-fiber adhesion polyethylene thin film piece |
US11466145B2 (en) | 2017-08-23 | 2022-10-11 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber-dispersing polyolefin resin composite material |
US11667763B2 (en) | 2017-08-23 | 2023-06-06 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber dispersion polyethylene resin composite material, formed body and pellet using same, production method therefor, and recycling method for cellulose-fiber adhesion polyethylene thin film piece |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60171050A (ja) * | 1984-02-16 | 1985-09-04 | シンエ株式会社 | 製紙スラツジを原料とする中間生成物の製造方法 |
-
1991
- 1991-09-18 JP JP3265422A patent/JP2514875B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60171050A (ja) * | 1984-02-16 | 1985-09-04 | シンエ株式会社 | 製紙スラツジを原料とする中間生成物の製造方法 |
Cited By (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0781806A3 (en) * | 1995-12-28 | 1997-08-13 | INDUSTRIAL TECHNICAL R&D LABORATORY INC. | Cellulose powder pellets with a polyethylene terephthalate resin as a binder and method for manufacturing the same |
JP2002527536A (ja) * | 1998-10-09 | 2002-08-27 | レヨニヤー,インク. | セルロースパルプ繊維を含む複合材およびその作成ならびに使用の方法 |
JP2002052564A (ja) * | 2000-08-07 | 2002-02-19 | Key Tranding Co Ltd | 樹脂成形品 |
JP2002052563A (ja) * | 2000-08-07 | 2002-02-19 | Key Tranding Co Ltd | 樹脂成形品 |
JP4509330B2 (ja) * | 2000-08-07 | 2010-07-21 | 紀伊産業株式会社 | 大理石模様の化粧品容器用樹脂成形品 |
JP4509329B2 (ja) * | 2000-08-07 | 2010-07-21 | 紀伊産業株式会社 | 大理石模様の化粧品容器用樹脂成形品 |
JP2003105100A (ja) * | 2001-09-28 | 2003-04-09 | Daicel Chem Ind Ltd | 強化繊維成形体 |
JP2007260941A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Hokuetsu Paper Mills Ltd | 紙配合熱可塑性樹脂組成物の製造方法及びそれに用いる紙ペレット |
US11390723B2 (en) | 2016-12-05 | 2022-07-19 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-aluminum-dispersing polyethylene resin composite material, pellet and formed body using same, and production method therefor |
WO2019039569A1 (ja) * | 2017-08-23 | 2019-02-28 | 古河電気工業株式会社 | セルロース繊維分散ポリオレフィン樹脂複合材、これを用いたペレット及び成形体、並びにセルロース繊維分散ポリオレフィン樹脂複合材の製造方法 |
US11390724B2 (en) | 2017-08-23 | 2022-07-19 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber dispersion polyethylene resin composite material, formed body and pellet using same, production method therefor, and recycling method for cellulose-fiber adhesion polyethylene thin film piece |
US11466145B2 (en) | 2017-08-23 | 2022-10-11 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber-dispersing polyolefin resin composite material |
US11597826B2 (en) | 2017-08-23 | 2023-03-07 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber-dispersing polyolefin resin composite material, pellet and formed body using same, and production method for cellulose-fiber-dispersing polyolefin resin composite material |
US11667763B2 (en) | 2017-08-23 | 2023-06-06 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Cellulose-fiber dispersion polyethylene resin composite material, formed body and pellet using same, production method therefor, and recycling method for cellulose-fiber adhesion polyethylene thin film piece |
JP2019044165A (ja) * | 2017-08-29 | 2019-03-22 | 旭化成株式会社 | セルロース充填樹脂組成物の製造方法 |
JP2019043978A (ja) * | 2017-08-29 | 2019-03-22 | 旭化成株式会社 | セルロース充填樹脂組成物の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2514875B2 (ja) | 1996-07-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2514875B2 (ja) | プラスチック成形用ペレット及びその製造法 | |
JP6787137B2 (ja) | 微細セルロース繊維含有樹脂組成物及びその製造方法 | |
DE3027149C2 (de) | Füllstoffe enthaltende Gemische thermoplastischer Harze und ihre Verwendung zur Formkörperherstellung | |
WO2002042382A1 (fr) | Matiere de charge granulaire inorganique, procede permettant de produire cette matiere de charge et compositions de resine contenant cette charge | |
EP1999194A1 (de) | Faserverstärkter thermoplast | |
CN100455621C (zh) | 导电母粒、导电聚合物单丝及其制备方法和用途 | |
JP6733076B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 | |
DE112006003304T5 (de) | Verfahren zur Anwendung von Ultraschalloszillation und Harzzusammensetzung | |
DE2412538A1 (de) | Verfahren zur herstellung von warmformbaren platten | |
JPH0673231A (ja) | プラスチック改質材及びその製造法 | |
Ludvik et al. | Cellulose fiber/bentonite clay/biodegradable thermoplastic composites | |
JP2017145392A (ja) | セルロース繊維分散ポリエチレン樹脂複合材、それを用いた成形体及びペレット、並びに、セルロース繊維付着ポリエチレン薄膜片のリサイクル方法 | |
CN106893273A (zh) | 一种用作购物袋的碳酸钙高填充生物降解塑料薄膜材料及其制备方法 | |
EP3277751A1 (en) | Composite material comprising at least one thermoplastic resin and granular shive from hemp and / or flax | |
JPH01158074A (ja) | 複合樹脂の製造方法 | |
Ren et al. | Newspaper fiber-reinforced polypropylene composite | |
JP2007223113A (ja) | 生分解性ポリエステル樹脂複合材料の製造方法 | |
CN112358712A (zh) | 一种甘蔗渣纤维/pha完全可降解复合材料及其制备方法 | |
CN107880287A (zh) | 一种植物纤维原料的塑化方法 | |
DE102008063232A1 (de) | Verfahren zur Herstellung eines verarbeitungsfähigen und eigenschaftsspezifizierten Kunststoffmaterials aus Abfallkunststoff | |
JP3345760B2 (ja) | 生分解性複合材料からなる成形物の製造法 | |
WO2012070616A1 (ja) | マトリックス混練用植物繊維複合材料の製造方法 | |
JPWO2020138496A1 (ja) | リグノセルロースファイバーの製造方法、リグノセルロースファイバーおよび複合材 | |
KR100427728B1 (ko) | 신규한첨가농축제 | |
JP4705215B2 (ja) | 成形加工用の紙含有樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 19960123 |