JP2514516B2 - 半田付け可能な導電性ペ―スト - Google Patents

半田付け可能な導電性ペ―スト

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    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
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  • Conductive Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅粉末を含有する良好
な導電性を有する導電性ペーストに関し、より詳しく
は、絶縁基体上にスクリーン印刷などで導電回路を形成
し、回路の塗膜を加熱硬化させた後、該塗膜上にフラッ
クスを塗布して直接に半田付けをすることができる導電
性ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】銀ペーストの比抵抗は、10-4Ω・cm級
と良好な導電性を有するので、電子機器の印刷回路用材
料として従来から広く使用されてきた。しかし、銀粉末
は高価であり、コストに占める割合も大きく、且つ銀ペ
ーストで形成された導電回路に湿潤雰囲気中で直流電圧
を印加すると、銀マイグレーションを起し回路を短絡す
る事故が発生する。このため、銀ペーストに代替し得る
安価な銅ペーストの出現が強く要望される。
【0003】この銅ペーストが具備すべき点は、銀ペ
ーストと同等な導電性を有すること、スクリーン印
刷、凹版印刷が容易であること、絶縁基体上への塗膜
の密着性がよいこと、細線回路が形成できること、
塗膜上への半田付け性と半田付け強度がすぐれているこ
と、半田コート回路の導電性が長期にわたって維持で
きること、などである。
【0004】このような情況の下、本願発明者らは、特
願昭61−75302号(特開昭62−230869
号)および特願昭61−75303号(特開昭62−2
30870号)、特願昭63−167229号(特開平
2−16172号)、特願平1−139572号(特開
平3−6254号)などにおいて、半田付け可能な導電
塗料(導電性ペースト)を提案した。
【0005】これらの導電性ペーストは、金属銅粉、フ
ェノール樹脂、分散剤としての飽和樹脂酸又は不飽和樹
脂酸の金属塩、金属キレート形成剤の所要量からなるも
のであり、上記要望点〜を十分に満足する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、地球
環境問題である特定フロンによるオゾン層の破壊問題か
ら、従来半田付け後のフラックスの洗浄に使用していた
フロンを使用しない方向に進んでいる。しかしながら、
前記従来の各導電性ペーストにおいては、半田付け時に
活性度の高いハロゲンを有するフラックス(MIL−F
−14256で規定するRA級)を使用する必要が有
り、このフラックスを使用して半田付けした場合、ハロ
ゲンの絶縁体への悪影響を避けるため、フラックスの残
渣をフロンで洗浄しなければならない。
【0007】そこで、本発明の課題は、半田付け後のフ
ラックスの洗浄を必要としない活性度の低いノンハロゲ
ンフラックス(同RMA級)を使用しても、上記要望点
〜を十分に満足し得るようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る導電性ペーストにあっては、金属銅粉
A85〜95重量%と、レゾール型フェノール樹脂B1
5〜5重量%と、その両者A、Bの合計100重量部に
対し、分散剤として、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸若しく
はそれらの金属塩又は飽和脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸
を末端に有するチタンカップリング剤0.5〜8重量部
と、金属キレート形成材1〜50重量部と、半田付け促
進剤としてのトコフェロール0.1〜1.5重量部とか
ら成る構成を採用したのである。
【0009】上記金属銅粉の配合量が85重量%未満で
は、半田付け性が悪くなり、逆に95重量%を超えると
きは、金属銅粉が十分にバインドされず、得られる塗膜
も脆くなり、所望の半田付け強度が得られず、導電性が
低下すると共にスクリーン印刷性も悪くなる。
【0010】金属銅粉は、樹枝状、平均粒子径:2〜3
0μm、かさ密度:1.5〜3.5g/cc、比表面積
(cm2 /g)と水素還元減量(%)との比(cm2 /g)
/(%):11000以上とするとよい。平均粒子径:
2μm未満では酸化され易く、得られる塗膜の導電性が
低下し、半田付け性が悪くなりがちだからである。とく
に高い半田付け性を要求する場合には、上記比は150
00以上とする。
【0011】レゾール型フェノール樹脂が5重量%未満
では、金属銅粉が十分にバインドされず、得られる塗膜
も脆くなり、導電性が低下すると共にスクリーン印刷性
が悪くなる。逆に15重量%を超えるときは、半田付け
性が好ましいものとならない。
【0012】上記金属銅粉及びフェノール樹脂のそれぞ
れの重量%から、両者の重量比は、金属銅粉:樹脂=8
5〜95:15〜5となるが、この比率と体積固有抵抗
率との関係は金属銅粉のかさ密度により左右され、一般
的に図1の如き関係を持っている。このため、この関係
に基づいて、その重量比は適宜に選定する。
【0013】上記レゾール型フェノール樹脂Bは、それ
が有する2−1置換体、2、4−2置換体、2、4、6
−3置換体、メチロール基、ジメチレンエーテル、フェ
ニル基の赤外分光法による赤外線透過率をl、m、n、
a、b、cとするとき、各透過率の間に下記(イ)、
(ロ)、(ハ)、(ニ)の関係が成り立つものとすると
よい。
【0014】(イ)l/n= 0.8〜1.2 (ロ)m/n= 0.8〜1.2 (ハ)b/a= 0.8〜1.2 (ニ)c/a= 1.2〜1.5 その化学量、2−1置換体量をλ、2、4−2置換体量
をμ、2、4、6−3置換体量をν、メチロール基量を
α、ジメチレンエーテル量をβ、フェニル基量をγとす
ると、前記構成のl/n、m/nが大きいということ
は、λ/ν、μ/νが小さいということになる。すなわ
ち、2−1置換体量λ、2、4−2置換体量μ、に比し
て、2、4、6−3置換体量νが多いということを意味
する。
【0015】また、前記構成のb/a、c/aが大きい
ということは、β/α、γ/αが小さいということにな
る。すなわち、ジメチレンエーテル量β、フェニル基量
γに比して、メチロール基量αが多いということを意味
する。
【0016】一般に2、4、6−3置換体量νが大きく
なると、レゾール型フェノール樹脂の架橋密度が大きく
なるため、前記λ/ν、μ/νが小さい方が、すなわ
ち、l/n、m/nが大きい方が塗膜の導電性は良くな
る。しかし、逆に塗膜が硬く、脆くなる傾向を示し、物
理的特性が悪くなる。また、β/αが小さいと塗膜の半
田付け性が悪くなり、γ/αが大きいと塗膜の導電性が
悪くなる。
【0017】従って、得られる導電性ペーストにおい
て、塗膜の硬さを適切にし、良好な導電性と半田付け性
とを兼備するレゾール型フェノール樹脂としては、前記
構成に示すl/n、m/n、b/aがそれぞれ0.8〜
1.2、c/aが1.2〜1.5とするのが好ましい。
【0018】飽和脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸又はそれ
らの金属塩とは、飽和脂肪酸にあっては、炭素数16〜
20のパルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸など、
不飽和脂肪酸にあっては炭素数16〜18のゾーマリン
酸、オレイン酸、リノレン酸などで、それらの金属塩に
あってはカリウム、銅、アルミニウム、ナトリウム、亜
鉛などの金属との塩である。また、チタンカップリング
剤はこれらの脂肪酸を骨格に有するものである。
【0019】これらの分散剤の使用は、金属銅粉とレゾ
ール型フェノール樹脂との配合において、金属銅粉の樹
脂中への微細分散を促進し、導電性の良好な塗膜を形成
するので好ましい。
【0020】分散剤の配合量が、0.5重量部未満で
は、金属銅粉の微細分散性が期待できず、逆に8重量部
を超えるときは、塗膜の導電性を低下させ、塗膜と基板
との密着性の低下をまねくので好ましくない。好ましく
は1〜3重量部である。
【0021】金属キレート形成剤には、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレ
ンテトラアミン、などの脂肪族アミンから選ばれる少な
くとも一種を使用する。
【0022】添加する金属キレート形成剤は、金属銅粉
の酸化を防止し、導電性の維持に寄与すると共に、半田
付け性をより向上させる。
【0023】金属キレート形成剤の配合量が、1重量未
満では導電性が低下し、且つ半田付け性も好ましいもの
とならない。逆に50重量部を超えるときは、塗料自体
の粘度が下がり過ぎて印刷性に支障をきたすので好まし
くない。
【0024】トコフェロールは、本願発明者らが知見し
た半田付け促進剤であり、天然、合成いずれでもよい。
この促進剤は金属銅粉に被着又は付着すれば、金属銅粉
の酸化を防止して防錆剤の役目を果すとともに、半田付
け時の銅くわれ(銅粉の半田中への拡散)を抑制し、良
好な半田付け性を得るのに寄与する。
【0025】そのトコフェロールの配合量が0.1重量
部未満では、防錆性及び半田付け性が低下する。逆に
1.5重量部を越えると、導電性が低下するとともに、
基材との密着性が低下する。
【0026】本発明に係る導電性ペーストには、粘度調
節をするために、通常の有機溶剤を適宜使用することが
できる。例えば、ブチルカルビトール、ブチルカルビト
ールアセテート、ブチルセロソルブ、メチルイソブチル
ケトン、トルエン、キシレンなどの公知の溶剤である。
【0027】
【実施例】以下、実施例、参考例、比較例にもとづいて
本発明を更に詳細に説明する。
【0028】粒径5〜10μmの樹枝状金属銅粉、赤外
線透過率比、l/n=1.03、m/n=1.02、b
/a=0.96、c/a=1.31のレゾール型フェノ
ール樹脂、オレイン酸カリウム、トリエタノールアミ
ン、α−トコフェロールをそれぞれ表1に示す割合で配
合(重量部)し、溶剤として若干のブチルカルビトール
を加えて、20分間三軸ロールで混練し、実施例1〜
3、参考例1,2、比較例1〜3の導電性ペーストをそ
れぞれ調整した。これをスクリーン印刷法によりガラス
・エポキシ樹脂基板上に、巾0.4mm、厚さ30±5μ
m、長さ520mmのS形導電回路を形成し、130〜1
80℃×10〜60分間加熱して塗膜を硬化させた。
【0029】なお、実施例の金属銅粉は、平均粒径:8
μm、かさ密度:2.0g/cc、比表面積:4500
cm2 /g、水素還元減量:0.26%のものとした。
【0030】つぎに、各導電回路基板を、RMA級のノ
ンハロゲンフラックス槽及び有機酸系(RA級)のフラ
ックス槽に浸漬し、次いで240℃の溶融半田槽に浸漬
して半田付けした。その各導電回路の諸特性を調べた結
果を表1下欄に示す。
【0031】
【表1】
【0032】ここに、塗膜の導電性は、加熱硬化された
塗膜の体積固有抵抗を測定した値である。塗膜の密着性
は、JIS K5400(1990)の基盤目試験方法
に準じて、塗膜上に互に直交する縦横11本づつの平行線
を1mmの間隔で引いて、1cm2 中に100個のます目が
できるように碁盤目状の切り傷を付け、その上からセロ
ハンテープで塗膜を引きはがしたときに、絶縁基板上に
残る塗膜の碁盤目個数を求めたものである。
【0033】半田付け性は、塗膜上に半田付けされた状
態を低倍率の実体顕微鏡によって観察し、下記の基準に
よって評価した。 ○印:表面平滑で全面に半田が付着しているもの △印:部分的に塗膜が露出しているもの ×印:部分的にしか半田が付着していないもの。
【0034】印刷性は、粘度調整して得られた導電性ペ
ーストを用いてスクリーン印刷法により導電回路を形成
するに際して、その印刷の容易性を観察し、下記の基準
により評価した。 ○印:導電回路の形成が良好なもの △印:導電回路の形成が稍々困難なもの ×印:導電回路の形成が困難なもの。
【0035】半田付け強度は、ガラス・エポキシ樹脂基
板(例えば、G10)上に直径3mmφのランドで、厚さ
が25〜30μmの塗膜を形成させ、130〜180℃
×10〜60分間加熱して塗膜を硬化させた後、そのラ
ンド上にリード線(0.8mmφの錫メッキ軟銅線)を垂
直に半田付け(635Snの共晶半田を使用)をし、前
記基板を固定して50mm/分の引張速度でリード線を垂
直に引張り、その強度を求めたものである。
【0036】なお、参考例1,2は、上記特願平1−1
39572号(特開平3−6254号)の要旨の構成に
基づくものである。
【0037】その結果からわかるように、実施例1〜3
及び参考例1,2は、特定の配合材料が適切に組合わさ
れているので、塗膜の導電性、塗膜の密着性、半田付け
強度、印刷性、などの諸特性が良好であるが、半田付け
性は、参考例1、2は活性度の高い有機酸系のフラック
スでは良好な半田付け性が得られるが、活性度の低いR
MAタイプのフラックスでは、良好なはんだ付け性は得
られない。これに反し、トコフェロールを加えた実施例
1〜3では、活性度の低いRMAタイプのフラックスに
おいても、良好な半田付け性が得られている。
【0038】次に、比較例についてみると、比較例1は
金属銅粉が少ないため、半田付け性において導電回路の
部分的にしか半田が付着しないので好ましくない。比較
例2は、金属銅粉が多く、金属銅粉が十分にバインドさ
れないため、塗膜の導電性が不安定であって、得られる
塗膜も脆く、又スクリーン印刷性が稍困難で好ましくな
い。比較例3はトコフェロールが多く、塗膜の密着性が
悪い。
【0039】実施例は導電回路の形成についてである
が、本発明の導電性ペーストは電子機器部品、回路の電
極、スルーホール接着剤、電磁、静電しゃへい層などの
種々のペーストとして使用し得る。
【0040】
【発明の効果】本発明は以上のように構成し、活性度の
低いフラックスを使用した場合においても、良好な半田
付け性を得られると共に、良好な導電性を得るようにし
たので、従来のように、回路などの塗膜に活性化処理を
施して、無電解メッキするか、又は、電気メッキを行な
う必要がなく、印刷回路の形成工程等が大幅に短縮さ
れ、経済的メリットが多大である。
【0041】また、従来活性度の高いフラックスを使用
した場合、半田付け後にフロン等の洗浄溶剤で、フラッ
クスの残渣を洗浄する必要があったが、本発明の導電性
ペーストにおいては、活性度の低いRMAタイプのフラ
ックスで十分な半田付けが可能なため、フラックスの残
渣をフロン等の洗浄溶剤で洗浄する必要がなくなり、地
球環境問題においても有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅粉/樹脂バインダーの比率に対するそのペー
ストの体積固有抵抗率特性図
【符号の説明】
1 かさ密度2.0〜2.2g/ccにおける特性曲線 2 かさ密度1.5〜1.7g/ccにおける特性曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−34597(JP,A) 特公 平2−48185(JP,B2) 特公 平2−48186(JP,B2) 特公 平2−48187(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属銅粉A85〜95重量%と、レゾー
    ル型フェノール樹脂B15〜5重量%と、その両者A、
    Bの合計100重量部に対し、分散剤として、飽和脂肪
    酸、不飽和脂肪酸若しくはそれらの金属塩又は飽和脂肪
    酸若しくは不飽和脂肪酸を末端に有するチタンカップリ
    ング剤0.5〜8重量部と、金属キレート形成材1〜5
    0重量部と、半田付け促進剤としてのトコフェロール
    0.1〜1.5重量部とから成る半田付け可能な導電性
    ペースト。
  2. 【請求項2】 上記レゾール型フェノール樹脂Bは、そ
    れが有する2−1置換体、2、4−2置換体、2、4、
    6−3置換体、メチロール基、ジメチレンエーテル、フ
    ェニル基の赤外分光法による赤外線透過率をl、m、
    n、a、b、cとするとき、各透過率の間に下記
    (イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の関係が成り立つもの
    としたことを特徴とする請求項1記載の半田付け可能な
    導電性ペースト。 (イ)l/n= 0.8〜1.2 (ロ)m/n= 0.8〜1.2 (ハ)b/a= 0.8〜1.2 (ニ)c/a= 1.2〜1.5
  3. 【請求項3】 上記金属銅粉Aは、形状が樹枝状、平均
    粒子径が2〜30μm、かさ密度が1.5〜3.5g/
    cc、比表面積(cm2 /g)と水素還元減量(%)と
    の比(cm2 /g)/(%)が11000以上であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の半田付け可能な導電
    性ペースト。
  4. 【請求項4】 上記金属銅粉Aに上記トコフェロールを
    被着又は付着させたことを特徴とする請求項1、2又は
    3記載の半田付け可能な導電性ペースト。
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