JP2513519Y2 - 液体容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、紙を主体とする容器であって、常温で比較
的長期間の保存が可能な液体容器に関するものである。

［従来の技術］ 従来、この種の液体容器は例えば第４図に示すよう
に、その素材シートが外面側から順にポリエチレン（P
E）、紙（Ｐ）、アルミニウム箔（Al）、ポリエチレン
テレフタレート（PET）、ポリエチレン（PE）からなる
５層構造か、又は前記紙（Ｐ）とアルミニウム箔（Al）
との間に更にポリエチレン（PE）を設けた６層構造にな
っている。

このような液体容器において、トップシール部ａは前
記シートの内面側のポリエチレン（PE）層を利用し、重
なり合ったそのポリエチレン（PE）層を熱融着すること
により密封され、かつその密封部は内側に折り込んで直
線状に一体に熱融着されている。

［考案が解決しようとする課題］ 前記のような液体容器の密封部を開口するには、トッ
プシール部を半分開くと共に、前記密封部を両側から挟
み付けるようにして熱融着を剥離させながら開口部ｂを
ほぼ菱形に開くが、この時第５図に示すように熱融着さ
れているポリエチレン（PE）層間で剥離するのではな
く、それより内側のアルミニウム箔（Al）層と、ポリエ
チレンテレフタレート（PET）層間で剥離するか、又は
アルミニウム箔（Al）層と紙（Ｐ）層間で剥離すること
が多い。このような層間剥離が生じる場合には、開口時
にかなり強い力を必要とし、特に数多く開口する作業者
にとっては負担が大きくて作業性の問題点となってい
る。

この問題点を解決するには、トップシール部の開口強
度を弱くすれば良いが、容器の密封性の低下及び流通時
での開口事故等が生じる虞があって必ずしも好ましくは
ない。従って、トップシール部は完全密封の点から強度
を強くし、開封手段としては別に口栓を取り付けて対処
するようにしているが、この場合には口栓及び口栓を取
り付けるための装置が必要となりコスト高となって不都
合である。

本考案は、上記のような従来の事態に鑑みなされたも
ので、口栓は用いず手による開口は楽に出来、流通時の
開口事故を防止し、かつ高い密封性を確保出来るように
した液体容器を提供することを技術的課題としたもので
ある。

［課題を解決するための手段］ 前記の技術的課題を解決するための手段として、本考
案は、紙及びアルミニウムを含む多層構造のシートで形
成され、トップシール部が熱融着される液体容器におい
て、前記トップシール部の最内層に熱融着層のポリエチ
レンと中間層のポリ塩化ビニリデンと熱融着層のポリエ
チレンよりなる三層構成のフィルムを熱融着し、この熱
融着層と隣接層の剥離強度を前記多層構造のシート間の
剥離強度よりも弱くすることにより、熱融着層とこれに
接する隣接層との層間で剥離させることを要旨とするも
のである。

［作用］ 開封時には、最内層の多層フィルムの層間で剥離し、
多層フィルムの熱融着層が破断するので、シートの層間
で剥離することなく開口させることが出来、また流通時
に加わる衝撃や振動等の外力程度では開口しないので開
口事故を未然に防止出来、更に開口時には熱融着層同士
が融着しているから従来と同様に高い密封性が得られ
る。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。

第１図は、本考案に係る液体容器の素材シートの層構
造を示すもので、外面側から順にポリエチレン（PE）層
１、紙（Ｐ）層２、ポリエチレン（PE）層３、アルミニ
ウム箔（Al）層４、ポリエチレンテレフタレート（PE
T）層５、そして最内層６により構成されている。前記
最内層６は第２図に示すように、ポリエチレンよりも剥
離強度の弱い材質、例えばポリ塩化ビニリデン（PVDC）
等からなる中間層6bを、ポリエチレン（PE）からなる表
面層6a、熱融着層6cで挟んだ三層構造にしてある。

液体容器は上記構成の素材シートにより形成される
が、この場合前記最内層６のポリエチレン（PE）からな
る熱融着層6c同士を熱融着して口を閉じることになるの
で、従来と同様に高い密封性が得られる。また、流通時
トップシール部に衝撃や振動等の外力が加わったとして
も、前記閉口部は内側に折り込まれ、前記素材シートの
最外層であるポリエチレン（PE）層１同士の熱融着によ
り直線状に一体にシールされているので、開口するよう
な事故が発生することはない。

一方、この液体容器の開封時において開口させると、
第３図に示すように熱融着されているポリエチレン（P
E）の熱融着層6c同士間では剥離せずに、前記剥離強度
の弱い熱融着層と隣接層の間で剥離するためかなり弱い
力で楽に開口させることが出来る。

尚、最内層６は前記実施例のものに限らず、例えば高
密度ポリエチレン層を中間層として、その両側を低密度
ポリエチレン層で挟んだ三層構造のもので実施すること
が可能であり、要するに中間層と熱融着層との剥離強度
が熱融着層同士の剥離強度より弱い材質であれば良い。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案によれば、紙及びアルミ
ニウム箔を含む多層構造のシートで形成され、そのトッ
プシール部が熱融着される液体容器において、前記シー
トの熱融着される最内層は、熱融着層同士の剥離強度よ
り弱い隣接層を有する多層フィルムより形成されたの
で、開封時には前記剥離強度の弱い熱融着層と隣接層の
間で剥離が生じて弱い力で楽に開口させることが出来、
その開口作業性を著しく向上させる効果を奏する。ま
た、その隣接層と熱融着層の間は流通時に加わる衝撃や
振動等の外力程度では開口しないので開口事故を未然に
防止することが出来、更に開口時に融着しているのは熱
融着層同士であるから従来と同様に高い密封性が得られ
る等の優れた効果も得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す液体容器の素材シート
層構造を示す説明図、第２図はその最内層の構造を示す
断面図、第３図は開封時の剥離状態を示す説明図、第４
図は従来の液体容器を示す一部破断の斜視図、第５図は
その容器開封時の剥離状態を示す説明図である。 １…ポリエチレン層、２…紙層 ３…ポリエチレン層、４…アルミニウム箔層 ５…ポリエチレンテレフタレート層 ６…最内層、6a…表面層 6b…中間層、6c…熱融着層

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】紙及びアルミニウムを含む多層構造のシー
   トで形成され、トップシール部が熱融着される液体容器
   において、前記トップシール部の最内層に熱融着層のポ
   リエチレンと中間層のポリ塩化ビニリデンと熱融着層の
   ポリエチレンよりなる三層構成のフィルムを熱融着し、
   この熱融着層と隣接層の剥離強度を前記多層構造のシー
   ト間の剥離強度よりも弱くすることにより、熱融着層と
   これに接する隣接層との層間で剥離させることを特徴と
   する液体容器。