JP2513302Y2 - 洗浄装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、主として流線形先頭部
や凹凸の多い先頭部を有する電車や航空機の洗浄に使用
される洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、流線形先頭部を有する高速車両、
例えば新幹線の先頭部は、走行時に昆虫類等が衝突して
汚染され視界が不良になるので、車両基地等でその汚れ
を落とす洗浄作業が行なわれる。この作業は車両が折り
返し出発するまでの短時間の間に柄付きモップを使用し
て洗浄薬液を塗布しホースからの散水で洗い流す手作業
で行なわれる。また、図１に示すような薬液を噴射する
柱状のノズルａ，ａ間に車両ｂを走行させ、そのあと、
図２に示すような腕により揺動する回転ブラシｃが停車
した車両の両側に沿って往復することにより流線形先頭
部ｄを洗浄し、更に図３に示すような直立の回転ブラシ
ｅにより車両の両側を洗浄する装置も販売されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記の車両基地で車両
が折り返し出発するまでの間には、車室内の清掃その他
の整備や点検が行なわれるので、車両を移動させて洗浄
作業を行なえず、上記のような手作業で洗浄作業を行な
っているが、新幹線の場合約７人で１５分を要し、その
作業も危険で汚くきつく作業希望者は少ない実情があっ
た。また、図２のような回転ブラシを有する洗浄装置
は、ブラシの衝撃でボデーに細かい傷を付ける欠点があ
り、大型で設置が容易でなく、更に回転ブラシは高価で
損耗しやすいので経費がかさむ不都合がある。このよう
な不都合を解決するために、出願人は走行台車に設けた
アームに薬液と高圧水を噴出するノズルを設け、該アー
ムを揺動させることによりノズルを車両の先頭部に沿っ
て移動させることを考えた。しかし、車両の流線形先頭
部を洗浄する場合、図４の平面図に見られるような略扇
形の領域をノズルが移動しなければならず、この場合、
従来の直角座標で動く産業用ロボットのようにＸ軸方向
に動くベースｆとこれに沿ってＹ軸方向へ動くベースｇ
とを走行台車ｈに設け、ベースｇに設けたノズルｉから
薬液と高圧水を噴射する構成とすると、幅方向にベース
ｆが突出するため側方に車両等が存在する幅狭の場所で
の洗浄作業は困難である。また、一般的な円筒座標ロボ
ットや極座標ロボットを利用しても図示のような洗浄範
囲でノズルを車両先頭部に接触しないように移動させる
には、かなり長いストロークが必要で、そのためロボッ
トのアームが側方の車両に接触する危険がある。更に、
走行台車の移動中の危険防止や収納場所の関係からノズ
ルを動かすアームは台車にコンパクトに収容できること
が望ましい。

【０００４】本考案は、幅の狭い領域で自由にノズルを
作動でき且つコンパクトにその作動部材を収容できる洗
浄装置を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案では、上記の目的
を達成するために、走行台車の上面に垂直の第１回転軸
を中心に水平に旋回する旋回腕を設け、該旋回腕の先端
上部に垂直の第２回転軸を中心に水平に旋回する旋回台
を設け、該旋回台上に第１起伏腕を起伏自在に取付け、
該第１起伏腕の先端には洗浄用ノズルを備えた第２起伏
腕を起伏自在に取付けた洗浄装置に於いて、上記第１起
伏腕を旋回腕と上下に重なる位置にまで伏するように設
けると共に第２起伏腕を走行台車の前面に沿って垂直下
方に屈曲するように設けた。

【０００６】

【作用】上記走行台車を新幹線等の洗浄物の前方に位置
させ、ノズルを洗浄物に触れない程度に接近させて薬液
及び高圧水を噴出させて洗浄を行なうが、幅方向へのノ
ズルの移動は旋回台の旋回で行なえ、上下及び前後方向
の移動は旋回台上の第１起伏腕と第２起伏腕で行なうの
で、幅の大きいベースが要らず側方に障害物のある狭い
場所でも洗浄作業を行なえる。また、第１起伏腕は旋回
腕と平行に伏し第２起伏腕は走行台車の前面に沿って垂
直下方へ屈曲するので、走行台車から大きくはみ出さな
いようにコンパクトに収容でき、走行台車の安全な移動
と狭い場所への台車の収納が可能になる。

【０００７】

【実施例】本考案の実施例を図面に基づき説明すると、
図５及び図６に於いて符号１はレール走行用の車輪２を
備えた自走式の走行台車を示し、該走行台車１のカバー
で囲まれた室内に電動機４で駆動される洗浄薬液ポンプ
５と高圧水ポンプ６、充電式の電池７、水タンク８、洗
浄薬液タンク９及び制御装置１０が搭載される。該走行
台車１の上には、旋回腕１１、旋回台１２、第１起伏腕
１３及び第２起伏腕１４が設けられ、該第２起伏腕１４
は伸縮自在に構成され、その先端に旋回自在に洗浄ノズ
ル１５が取付けられる。

【０００８】該旋回腕１１は、その一端を走行台車１の
上面に垂直の第１回転軸１６を中心に水平に旋回するよ
うに取付け、該旋回腕１１の他端の上部に垂直の第２回
転軸１７を中心に水平に旋回する旋回台１２が取付けら
れる。該旋回台１２上には水平の軸１８を中心に起伏す
る第１起伏腕１３を取付け、該第１起伏腕１３の先端に
第２起伏腕１４を起伏自在に取付けした。該第１起伏腕
１３は平行リンク１９を備え、平行リンク１９の作動制
御で第２起伏腕１４が上下に起伏するようにした。これ
ら旋回腕１１、旋回台１２、第１起伏腕１３の作動、第
２起伏腕１４の伸縮及びノズル１５の旋回は電動機によ
り行なうものとし、その作動は制御装置１０により制御
するようにした。該ノズル１５は、第２起伏腕１４の先
端の上下に揺動する第１部材２０と、この部材の先端で
水平に旋回する第２部材２２とを順次介して該第２部材
２２の先端に上下揺動自在に取付けるようにした。

【０００９】該第１起伏腕１３は平行リンク１９の作動
により図６に示すような略直立した位置から図７に示す
ような旋回腕１１と平行になる位置にまでの範囲を起伏
するように設けられ、更に該平行リンク１９の作動によ
り第２起伏腕１４を図６の水平の位置から図７の第１起
伏腕１３に直角で走行台車１の前面に沿って下方へ垂下
する位置までの範囲を起伏するように設け、洗浄作業を
行なわないときには、該第１及び第２起伏腕１３、１４
を走行台車１の上面及び前面に沿ってコンパクト畳み込
むようにした。

【００１０】新幹線の先頭部の洗浄作業を行なうとき
は、走行台車１を図５及び図６に示すように新幹線の前
方の適当な位置に停止させ、第１起伏腕１３を起立させ
第２起伏腕１４を伸ばし、ノズル１５を該先頭部に接近
させて薬液と高圧水を交代で噴射する。洗浄対象部分が
左右になると旋回腕１１を第１回転軸１６を中心に旋回
すると共に旋回台１２を第２回転軸１７を中心に旋回す
ることにより、第１、第２起伏腕１３、１４を平行に左
右へ移動させることが出来る。従って、旋回腕１１と旋
回台１２の回転の制御で、新幹線の左右に障害物があっ
てもこれに当たらぬようにノズル１５を移動させること
ができる。また、洗浄後には、該旋回腕１１を走行台車
１の後方へ向け、第２起伏腕１４を縮めると共に第１起
伏腕１３を該旋回腕１１と平行になるように倒し、更に
第２起伏腕１４を走行台車１の前面に沿って垂下させ
る。これにより、コンパクトに各腕が畳み込まれ、台車
１の移動を安全に行なえ、狭い場所に台車１を収納でき
る。

【００１１】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、走行台車
の上面の水平に旋回する旋回腕の先端上部に旋回台を設
け、該旋回台上に起伏自在の第１起伏腕に洗浄用ノズル
を備えた第２起伏腕を起伏自在に取付けた洗浄装置に於
いて、上記第１起伏腕を旋回腕と上下に重なる位置にま
で伏するように設け、第２起伏腕を走行台車の前面に沿
って垂直下方に屈曲するように設けたので、走行台車の
側方に部材が突出することがなく、第１、第２起伏腕を
コンパクトに折り畳め、左右の狭い場所で安全に洗浄作
業を行なえると共に台車の走行中の危険防止や台車を狭
い場所に収納しておける等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来例の説明図

【図２】 従来例の説明図

【図３】 従来例の説明図

【図４】 従来のロボットの作動の説明図

【図５】 本考案の実施例の側面図

【図６】 図５の平面図

【図７】 本考案の実施例の収容状態の側面図

【図８】 図７の平面図

【符号の説明】

１ 走行台車 １１ 旋回腕 １２
旋回台 １３ 第１起伏腕 １４ 第２起伏腕 １
５ 洗浄ノズル １６ 第１回転軸 １７ 第２回転軸 １
８ 軸 １９ 平行リンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 藤原 良守 東京都千代田区丸の内１丁目６番５号 東日本旅客鉄道株式会社内 (72)考案者 土屋 征志 宮城県仙台市青葉区五橋１丁目１番１号 東日本旅客鉄道株式会社 東北地域本 社内 (72)考案者 佐藤 学 宮城県仙台市青葉区五橋１丁目１番１号 東日本旅客鉄道株式会社 東北地域本 社内 (72)考案者 西山 英毅 宮城県仙台市青葉区五橋１丁目１番１号 東日本旅客鉄道株式会社 東北地域本 社内 (72)考案者 大井 邦夫 茨城県土浦市東中貫町５−１ 内田油圧 機器工業株式会社 土浦事業所内 (72)考案者 星野 清一 茨城県土浦市東中貫町５−１ 内田油圧 機器工業株式会社 土浦事業所内 (72)考案者 高村 修 茨城県土浦市東中貫町５−１ 内田油圧 機器工業株式会社 土浦事業所内 (72)考案者 米山 信夫 兵庫県西宮市田近野町６番107号 新明 和工業株式会社 開発技術本部内 (72)考案者 山下 富和 兵庫県西宮市田近野町６番107号 新明 和工業株式会社 開発技術本部内 (72)考案者 小代 禎 兵庫県西宮市田近野町６番107号 新明 和工業株式会社 開発技術本部内

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行台車の上面に垂直の第１回転軸を中
   心に水平に旋回する旋回腕を設け、該旋回腕の先端上部
   に垂直の第２回転軸を中心に水平に旋回する旋回台を設
   け、該旋回台上に第１起伏腕を起伏自在に取付け、該第
   １起伏腕の先端には洗浄用ノズルを備えた第２起伏腕を
   起伏自在に取付けた洗浄装置に於いて、上記第１起伏腕
   を旋回腕と上下に重なる位置にまで伏するように設ける
   と共に第２起伏腕を走行台車の前面に沿って垂直下方に
   屈曲するように設けたことを特徴とする洗浄装置。
2. 【請求項２】 上記第１起伏腕は平行リンクで構成さ
   れ、該第１起伏腕を上記旋回台に取付ける水平の支軸の
   回転で第２起伏腕の起伏を制御することを特徴とする請
   求項１に記載の洗浄装置。