JP2513184B2 - 車両用ブレ−キ制御装置 - Google Patents

車両用ブレ−キ制御装置

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JP2513184B2
JP2513184B2 JP61158171A JP15817186A JP2513184B2 JP 2513184 B2 JP2513184 B2 JP 2513184B2 JP 61158171 A JP61158171 A JP 61158171A JP 15817186 A JP15817186 A JP 15817186A JP 2513184 B2 JP2513184 B2 JP 2513184B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車両の複数の車輪へのブレーキ力を適正に配
分制御する車両用ブレーキ制御装置に関する。
〔従来の技術〕
従来の車両用液圧ブレーキ装置は、特開昭59-137245
号などがあり、ブレーキペダルとマスタシリンダの間に
ブースタ装置を配置し、ブレーキペダルの踏力を倍力し
て、マスタシリンダに液圧を発生させ、油圧配管を介し
てホイールシリンダへ圧液を供給し、制動力を発生させ
ている。さらに、前後輪の制動力配分を適正化するため
に、プロポーショニングバルブを設けて、後輪のホイー
ルシリンダ圧を減圧制御している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
この構成では、ブースト比も固定であり、プロポーシ
ョニングバルブも前後分配のみで特性も固定されている
ため、車両積載状態、車両走行状態の変化に対し、制動
効果が安定しない。特に、旋回時には左右方向の荷重移
動も加わり、内・外輪の荷重が大きく変化する。かかる
場合に、荷重の減少した内輪に外輪と同様のブレーキ圧
力を作用させると、早期に車輪のロック傾向が増大して
しまうため、ブレーキ圧力の減圧の時期が早まり、車輪
のロック限界が低下するとともに好適な制動効果を得る
ことができない。
そこで、本発明では、少なくともアンチスキッド制御
が開始される以前の期間において、車両の旋回制動時
に、別個の調整圧力を発生する調整圧力源により左右車
両のブレーキ圧力を適正に制御することにより、車輪の
ロック限界を高めるとともに、制動効果を向上すること
が可能な車両用ブレーキ制御装置を提供することを目的
とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明による車両用ブレ
ーキ制御装置では、第1図に示すように、 車両の複数の車輪にそれぞれのブレーキ圧力を加える
複数のブレーキ系を有し、かつ前記車輪のロック傾向を
抑制するアンチスキッド制御を行うアンチスキッド制御
手段を備える車両用ブレーキ制御装置であって、 前記複数のブレーキ系とは別個の調整圧力を発生する
調整圧力源と、 前記車両の左車輪および右車輪のそれぞれのブレーキ
系に配備され、前記調整圧力源よりの調整圧力を受けて
その各車輪へのブレーキ力を別々に調圧す第1、第2の
圧力調整装置と、 前記車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、 前記アンチスキッド制御手段によって前記車両の左車
輪と右車輪の内、少なくともロック傾向が過大となった
車両のブレーキ圧力が減圧される以前の期間において、
前記旋回状態検出手段からの旋回状態信号に応じて前記
左車輪と右車輪の制動時のブレーキ圧力を、旋回内輪側
となる車輪のブレーキ圧力が旋回外輪側となる車輪のブ
レーキ圧力よりも小さくなるように、前記第1、第2の
圧力調整装置を制御する制御手段とを備えたことを特徴
とする。
〔発明の効果〕
上記構成により、車両のブレーキ操作により左、右車
輪に対応する複数のブレーキ系にブレーキ圧力が供給さ
れる。このブレーキ操作が、車両の旋回時に行われた場
合には、旋回状態検出手段によってその旋回状態信号が
制御手段に与えられる。制御手段は、少なくともアンチ
スキッド制御が開始される以前に期間において、第1,第
2の圧力調整装置を制御し、別個の調整圧力を発生する
調整圧力源により、旋回内輪側となる車輪のブレーキ圧
力が旋回外輪側となる車輪のブレーキ圧力よりも小さく
する。これにより、旋回により生じた左右車輪における
荷重移動に対応したブレーキ圧力としてブレーキ操作に
より発生するブレーキ圧力によらず、別個の調整圧力源
からの調整圧力を独立して、左右車輪にそれぞれに与え
ることができる。従って、旋回状態において、適切な調
整圧力を車輪に加えて、荷重の減少した旋回内輪側の車
輪が早期にロック傾向を示すことを確実に防止すること
が可能となる。
〔実施例〕
以下本発明を図に示す実施例について詳細に説明す
る。まず、第2図の全体構成を示すブロック図におい
て、1は車両の各車輪の速度を検出する電磁ピックアッ
プ等の車輪速度センサを備えた車輪センサ群、2はマス
ターシリンダおよび各ホイールシリンダの油圧を検出す
る油圧センサ群、3は車両の前後方向および左右方向の
加速度を検出する加速度センサ、4はステアリングの操
舵角を検出するステアリングセンサ、5はブレーキスイ
ッチ,圧力スイッチ等のスイッチ群、6は電子制御回路
(ECU)であり、車輪センサ群1、油圧センサ群2、加
速度センサ3、ステアリングセンサ4、スイッチ群5よ
りの各種信号に基づいた演算処理を行ない、ブレーキ油
圧を調整するブレーキアクチュエータ7に制御信号を加
えて制御するものである。このブレーキアクチュエータ
7は、圧力切換弁7aと車両の各車輪のブレーキ系に配設
した可変調圧器7b,7c,7d,7eを備えている。
さらに、第3図は第2図におけるブレーキアクチュエ
ータ7の油圧系を示す油圧システム図である。
ブレーキ操作手段であるブレーキペダル101はリザー
バ104に接続されたマスターシリンダ103に連結されてい
る。このブレーキペダル101を踏み込むと、前記マスタ
ーシリンダ103はその踏込力に応じたブレーキ油圧を発
生する。マスターシリンダ103は油圧を発生する部屋を
2つ有しており、それぞれの部屋には第1主管151と第
2主管153が連結されている。第1主管は第1枝管155と
第2枝管157に分岐し、また前記第2主管153を第3枝管
159と第4枝管161に分岐している。前記第1枝管155は
右前輪に配されたホイルシリンダ105に連結されてお
り、また前記第2枝管157は左前輪に配されたホイルシ
リンダ107に連結されている。また前記第3枝管159は右
後輪に配されたホイルシリンダ109に連結されており、
前記第4枝管161は左後輪に配されたホイルシリンダ117
に接続されている。なお各枝管と各ホイルシリンダにつ
いては全く同様の構成となっているので、第1枝管とホ
イルシリンダ105についてのみ説明する。電動モータ115
は油圧ポンプ117を駆動するものである。この電動モー
タ115によって駆動される油圧ポンプ117は、リザーバー
180に蓄えられた油を導入管122より吸上げ、導出管120
に吐出するものである。この導入管122にはチェック弁1
23が配され、また導出管120にはチェック弁121が配され
ている。前記油圧ポンプ117より吐出管に吐出された油
圧は、この吐出管120を通ってアキュームレータ(一定
圧力源)113に蓄えられる。このアキュームレータ113は
圧力管170に連結されており、アキュームレータ113に蓄
えられた圧力は、圧力管170を通って可変調圧器210に導
かれる。
なお、前記油圧ポンプ117の吐出側と吸込側とを結ぶ
還流管125が、前記導出管120と前記導入管122を連結す
るように配されている。この還流管125には安全弁127が
配されており、前記油圧ポンプ117からの吐出圧が所定
圧力以上になった場合にこの安全弁127が開弁する。そ
して、その所定圧力以上になった圧力が、この還流管12
5を通って、前記リザーバー180側に還流する。
また前記導出管120には圧力スイッチ119が配されてお
り、前記アキュームレータ113内に蓄えられた圧力を検
知している。そしてこのアキュームレータ113内の圧力
が所定値以下になれば、前記電動モータ115を回転させ
て油圧ポンプ117を駆動させ、また前記アキュームレー
タ113内の圧力が所定圧力以上になった場合には、前記
電動モータ115の駆動を停止するよう信号を送信するも
のである。
前記第1主管151より分岐した第1枝管155には、圧力
カット弁510及びカット弁310が配され、ホイルシリンダ
105に連通している。前記圧力管170には、圧力分岐管17
1が分岐しており、圧力切換弁500の第1ポート501に接
続している。
この圧力切換弁500は第1ポート501と第2ポート50
2、第3ポート503を有するもので、前記第2ポートと第
3ポートを連通する第1位置および前記第1ポート501
と第3ポート503を連通する第2位置に切り替わる電磁
切替弁である。前記第2ポート502は戻し管631により、
リザーバ180に連通している。前記第3ポート503はパイ
ロット圧力管610に接続されており、このパイロット圧
力管610はパイロット管600に分岐している。さらにこの
パイロット管600は前記圧力カット弁510に枝管620を介
して参照圧を導入しており、さらに前記カット弁310も
参照圧を導入している。また、前記パイロット圧力管61
0は調圧カット弁700にも参照圧を導いている。
前記圧力カット弁510の上流側と下流側は逆止弁512を
有する還流路511によって連通している。
前記第1枝管155ははパイロット管175が分岐してお
り、前記カット弁310に参照圧力を導入している。この
パイロット管175より前記第1枝管155の圧力が、あるい
は、パイロット管600よりアキュームレータ113の圧力が
前記カット弁310に導入されると、前記カット弁310は切
り替わって前記第1枝管155を遮断する。
前記可変調圧器210は第1ポート211と第2ポート212
と第3ポート213を有する。前記第1ポート212は前記圧
力管170に連結されており、また第2ポート212は戻し管
172によって前記リザーバー180に連結されている。また
前記第3ポート213は入力管173を介して変調器410に連
結されている。この入力管173は第1入力管173a、第2
入力管173bに分岐している。前記可変調圧器210は前記
第2ポート212と前記第3ポート213を連結する第1位置
と前記第1ポート211と前記第3ポート213を連結する第
2位置とに切り替わるものである。この可変調圧器210
はいわゆるスプール型弁であり、前記第1枝管155から
の分岐したパイロット管156と前記入力管173から分岐し
た第2パイロット管190からの参照圧力を比較し、その
圧力差によって、切り替わるものである。また、この可
変調圧器210は電磁力によっても切り替わるものであ
り、この電磁力に応じて前記第1ポート211と第3ポー
ト213の連通量、あるいは前記第2ポート212と第3ポー
ト213の連通量を任意な値に制御することが可能であ
る。
次に、変調器410の構成について説明する。
この変調器410は第1シリンダ450と第2シリンダ452を
有する。第1シリンダ450内には可動ピストン411と第2
調圧ピストン431とが配されている。前記可動ピストン4
11の一端側には入力室412が形成され、他端側すなわち
前記第2調圧ピストン431と対向する面には、出力室413
が形成されている。前記第2調圧ピストン431の他端側
には、第1調圧室434が形成されている。
前記入力室412には前記第1入力管173aが接続されて
おり、また前記出力室413には出力管174が接続され、ホ
イールシリンダ105に連通されている。前記第1調圧室4
34には前記第2入力管173bが接続されており、この第2
入力管173bには調圧カット弁700が配されている。この
調圧カット弁700は通常前記第2入力管173bを遮断する
ものであり、前記パイロット圧力管610からのパイロッ
ト圧を受けて、この第2入力管173bを連通するように切
り替わるものである。
また、この調圧カット弁700の上流側と下流側を結ぶ
迂回管710が、前記第2入力173bに接続されている。そ
して、この迂回管710にはチェック弁711が配されてお
り、前記可変調圧器210から前記第1調圧室434に向かう
流れのみを許容している。なお、前記可動ピストン411
と前記第2調圧ピストン431との間には圧力スプリング4
14が配されており、また前記第1調圧室434内には、前
記第2調圧ピストン431を出力室413方向に付勢する第2
圧力スプリング435が配されている。
前記第2シリンダ452内には、第1調圧ピストン432が
配されている。この第1調圧ピストン432の一端側に
は、第2調圧室437が形成されている。この第2調圧室4
37には前記第1枝管155から分岐する分岐管630により、
第1枝管155内の圧力が導入されている。また、前記第
3調圧室436は戻し管633によって、リザーバ180に連通
している。前記第1調圧ピストン432にはロッド432aが
形成されており、前記入力室412内を通って前記可動ピ
ストン411に当接している。
なお、詳細な説明は省略するが、第2枝管157にはカ
ット弁320、可変調圧器220、変調器420、圧力カット弁5
20、調圧カット弁720が配されている。また、第3枝管1
59にはカット弁330、可変調圧器230、変調器430、圧力
カット弁530、調圧カット弁730が配されており、さらに
第4枝管161にはカット弁340、可変調圧器240、変調器4
40、圧力カット弁540、調圧カット弁740がそれぞれ配さ
れている。そして、これらのカット弁、可変調圧器、変
調器、圧力カット弁、調圧カット弁は前述したカット弁
310、可変調圧器210、変調器410、圧力カット弁510、調
圧カット弁710と全く同一の構成を有するものである。
また、本実施例はいわゆるFR車に適用した場合の例を
示すものである。
次に、本実施例の作動について説明する。まず、第3
図を用いて、油圧系の基本作動を説明する。
まず、ブレーキペダル101を踏み込まないブレーキ非
操作時においては、前記圧力切替弁500は第1位置にあ
り、前記圧力カット弁510及びカット弁310は連通位置に
ある。また、可変調圧器210は第3図に示すような第1
位置にあり、前記変調器410の可動ピストン411の中立位
置を保っている。
次に、ブレーキペダル101を踏み込んで、マスターシ
リンダ103にブレーキ油圧が発生すると、そのブレーキ
油圧は第1主管151及び第1枝管155に向かって導出され
る。この第1枝管155を流れる油圧はパイロット管156を
介して可変調圧器210に導かれ、このパイロット油圧を
受けて、可変調圧器210は第1位置から第2位置に切り
替わる。すると、前記アキュームレータ113から圧力管1
70を介して、導かれた一定油圧が第1ポート211から第
3ポート213へ流れ、さらに入力管173から第1出力管17
3aを介して、調圧器410の入力室412に流入する。する
と、可動ピストン411がこの入力室412内の圧力を受け
て、出力室413側に移動し、この出力室413内の容積が減
少して圧力が上昇し、出力管174を介してホイルシリン
ダ105にその圧力が伝達される。
なお、この時、第1調圧室434は調圧カット弁700が前
記第2出力管173bを遮断しており、また逆止弁711は第
1調圧室435からの流出を防止しているため、この第1
調圧室434内の圧力は一定に保持される。よって、前記
第2調圧ピストン431はその位置を固定されたままとな
る。また、前記第1枝管151内を流れる圧力は、導管630
を介して前記第2調圧室437内にも導入されており、第
1調圧ピストン432はロッド432aを介して前記可動ピス
トン411を出力室413側に付勢している。また、前記カッ
ト弁310は前記第1枝管155を流れる圧力をパイロット管
175を介して参照圧として受けており、第1枝管155内に
圧力が導入されると第1カット弁310はこの第1枝管155
を遮断する。
なお、前記可変調圧器210はパイロット管156からの参
照圧と、第2パイロット管190からの参照圧をそれぞれ
導入している。すなわち、前記第1枝管155を流れる圧
力と、前記入力管173を流れる圧力との差圧を検知して
切り替わるものである。このとき、可変調圧器210は前
記パイロット管156からの圧力を受ける受圧面積の方が
前記第2パイロット管190から受ける受圧面積よりも大
きなものとなっている。ここでこの受圧面積の比をαと
すると、前記パイロット管156から受ける圧力よりも前
記第2パイロット管190から受ける圧力の方がα倍にな
った時に、前記可変調圧器210は第2位置から元の第1
位置に切り替わり前記入力管173を前記戻し管172に連通
させる。言い換えれば、前記第1枝管155を流れる圧力
のα倍の圧力が前記入力管173を流れることになる。
この入力管173を流れる油圧が前記第1枝管155を流れ
る油圧のα倍以上になれば、前述したように前記可変調
圧器210が第3図図示の第1位置に切り替わり、パイロ
ット管175が第3ポート213、第2ポート212を介して、
戻し管172に連通し、その結果入力室412内の圧力がこの
入力管173、戻し管172を介してリザーバー180に戻され
る。よって、この入力管173に流れる圧力、すなわち前
記入力室412に導入される圧力は、常に前記第1枝管155
を流れる油圧のα倍に押さえられることになる。
変調器410において、第1調圧ピストン432の第2調圧
室側受圧面積と、可動ピストン411の受圧面積とは等し
く設定されており、スプリング414も比較的弱く設定さ
れているため、出力室413に発生する圧力は、配管155の
マスタシリンダ圧力と配管173の圧力の和にほぼ等し
い。従って、ホイールシリンダ105の圧力は、マスター
シリンダ103からの圧力の(α+1)倍となり、倍力作
用が成される。
前記可変調圧器210に通電することによって、前記α
を可変にすることができる。すなわち、第3図におい
て、可変調圧器210に右方向に力が発生するように電流
を供給すると、可変調圧器は減圧傾向となり、入力管17
3の圧力は低く抑えられ、αは小さくなる。一方、左方
向に力が発生するように電流を供給すると、可変調圧器
210は増圧傾向となり、入力管173の圧力は高められ、α
は大きくなる。
従って、可変調圧器210へ供給する電流をECU6により
制御することにより、前述の圧力信号比αが制御され、
可変倍力制御が行なえる。よって、センサ群1〜5の信
号に基づき、前後制動力配分が適正となるようECU6は、
可変調圧器210〜240を制御するが、詳細は後述する。
本システムにおいては、急制動時の車輪ロックを防ぐ
アンチスキッド機能、発進、加速時の駆動輪のホイール
スピンを防ぐトラクション機能も備えており、以下に述
べる。
まず、運転者がブレーキペダル101を急激に踏込み、
車両を急停車する場合について述べる。
各車輪に設けた車輪速度センサがその車輪がロック傾
向になると判断すると、まず、ECUより前記圧力切替弁5
00に切替信号を送信する。この信号を受けた圧力切替弁
500は第2位置に切替わり、前記第1ポート501と第3ポ
ート503とを連通させる。すると、アキュームレータ113
内に蓄えられた圧力は、圧力管170、圧力分岐管171、第
1ポート501、第3ポート503を介して、パイロット圧力
管610、パイロット管600にそれぞれ導出される。
パイロット管600に導出された圧力は、パイロット管6
20を介して圧力カット弁510に作用し、この圧力カット
弁510を閉弁させる。また、パイロット管600に導出され
た圧力は前記カット弁310にも作用し、このカット弁310
を閉弁させる。
また、前記パイロット圧力管610に導出された圧力は
前記調圧カット弁700に作用し、前記第2入力管173bを
連通状態にさせる。そして、前記可変調圧器210にECUか
らさらに切替信号が供給され、可変調圧器210は第1位
置に切替えられる。
これにより、前記可変調圧器210の第3ポート213と第
2ポート212とが連通し、前記入力室412および第1調圧
室434の圧力がそれぞれ第1入力管173a、第2出力管173
bを介し前記戻し管172,631を介してリザーバー180に導
出される。前記可動ピストン411は入力室412側に移動
し、さらに第2調圧ピストン431は第1調圧室434側に受
けて移動する。その結果、出力室413の容積が増大し、
前記ホイルシリンダ105内の圧力が出力管174を介してこ
の出力室413内に戻されることになる。よって、そのロ
ック傾向にある車輪のホイルシリンダ圧を減少させ、そ
のロック傾向が解消されることになる。
次に、急発進時等の車輪の空転が生じた場合には、車
両のエンジントルクを減少させるとともに、駆動輪のブ
レーキ系に油圧ポンプ117、アキュームレータ113よりの
高圧を導き、その駆動輪へのブレーキ力を上記と同様に
調整し、駆動輪の空転を抑制しつつ滑らかな発進を行う
ことができる。
次に、ECU6による制動力配分制御について説明する。
車両旋回時には、遠心力による横方向加速度により、
内輪側から外輪側へ荷重移動が起こるため、左右輪のタ
イヤ荷重は大きく異なる。この時に制動を行うと、さら
に車体減速度により、後輪側から前輪側へ荷重移動が起
こるため、各車輪の荷重は静止時に比べ、大きく異なっ
た値となる。
従って、旋回制動時にはその旋回状態に応じて、内輪
側の制動力を減らし、外輪側の制動力を増やすことによ
り、車輪のロック限界を高めると同時に、制動効果を高
めるものである。
ECU6による制動力配分制御の詳細を第4図のフローチ
ャートにて説明する。
まず、ステップ1000にて4輪の各車輪速度VFL,VFR
VRL,VRR(FL−左前輪、FR−右前輪、RL−左後輪、RR−
右後輪)を入力し、ステップ1001にて車体前後方向加速
度および左右方向加速度を入力し、ステップ1002に
てマスタシリンダ油圧PM、各車輪ブレーキ油圧PFL
PFR,PRL,PRRを入力し、ステップ1003にて操舵角δを
入力する。そして、ステップ1004にて、各車輪速度およ
び車体前後加速度から車体速度VBを演算し、ステップ10
05にて、各車輪速度およびステップ1004で求めた車体速
度VBからスリップ率を求める。例えば左前輪では、 SFL=(VB−VFL)/VBである。そして、ステップ1006
にて、マスタシリンダ油圧PMから各車輪の目標ブレーキ
油圧PFL *,PFR *,PRR *,PRL *を下記のように求める。
PFL *=PFR *=CF1×PM+CF2×PM 2 …(1) PRR *=PRL *=CF1×PM−CF2×PM 2 …(2) ここで、CF1,CF2,CR1,CR2は、車両諸元、ブレーキ
諸元から定まる数値である。
そして、ステップ1007では、左右車輪の制動力配分の
補正を行う。今。車両が左旋回している場合を考える
と、内輪側である左前輪および左後輪のブレーキ油圧を
減じ、外輪側である右前輪および右後輪のブレーキ圧を
増やす。
すなわち、 P′FL *=PFL *×(1−αF) ……(3) P′RL *=PRL *×(1−αR) ……(4) P′FR *=PFR *×(1+αF) ……(5) P′RR *=PRR *×(1+αR) ……(6) と演算する。ここで、αF,αRは、左右の制動力移動
率であり、操舵角δおよび、左右方向加速度、車体速
度VBから求める。すなわち、操舵角δ、左右方向加速度
、車体速度VBから現在の旋回状態を求め、左右の荷重
移動率βF,βRを求める。そして、下記の式から左右制
動力移動率αF,αRを求める。
αF=γF×βF ……(7) αR=γR×βR ……(8) ここで、γF,γRは荷重移動に対し、どれだけ制動力
移動を行うかの比率であり、γF=γR=0では左右制動
力移動のない通常制動、γF=γR=1では、各タイヤ荷
重に応じた制動力配分による制動となる。γF,γRを大
きくすると、車輪ロック限界向上および制動距離短縮が
計れるが、外輪側の制動力が増加することにより、旋回
方向と反対方向のヨーモーメントが増加するため、アン
ダーステア傾向が強まる。そこで、このγF,γRには適
正値が存在し、γR,γRを車体速度VBの関数とし、低速
時には旋回性を優先してγF,γRを小さく、高速時には
安定性、安全性を優先してγF,γRを大きく定める。
以上より、式(7)(8)、式(3)(4)(5)
(6)の演算により、左右制動力配分補正した目標ブレ
ーキ油圧P′FL *,P′FR *,P′RL *,P′RR *を求める。
そして、ステップ1008では、ステップ1005で求めたス
リップ率の大小により、ステップ1007で求めた目標ブレ
ーキ油圧を補正し、スリップ率補正目標ブレーキ油圧P
FL **,PRL **,PRR **を求める。すなわち、ブレーキパッ
ド摩擦計数、車両重量の変動等により、実際の制動状態
が異なるため、スリップ率が大きすぎる場合は油圧を下
げる方向に、またスリップ率が小さすぎる場合は油圧を
上げる方向に、4輪の制動力配分を調整する。
ただし、左右で路面の摩擦係数が異なる場合には、上
記のスリップ率補正を行うと、摩擦係数の高い側の制動
力が摩擦係数の低い側の制動力を上廻るため、ヨーモー
メントが生じ、直進安定性を損ってしまう。そこで、操
舵角δが零付近の場合には左右のスリップ率補正を禁止
する。
その後、ステップ1009で各目標ブレーキ油圧Pi*(i
=FL,FR,RL,RR)をマスタシリンダ油圧PMと比較し、マ
スタ油圧PMより大のときステップ1010で圧力切換弁500
をOFF、その条件以外のときステップ1011で圧力切換弁5
00をONにし、次のステップ1012で入力した各車輪ブレー
キ油圧とステップ1008で求めたスリップ率補正ブレーキ
油圧の差から各車輪に設けられた可変調圧器210,220,23
0,240のソレノイドへの供給電流iFL,iFR,iRL,iRR
求め、ステップ1013にて各ソレノイドに電流を供給し、
圧力制御を行い、適正なブレーキ力配分を調整すること
ができる。
次に、本発明による第2の実施例の要部構成を第5図
に示す。本実施例は、通常の負圧ブースタを有し、電磁
弁により、後輪側のみの左右制動力配分補正を行うもの
である。
第1の実施例と共通のものは同一番号を用い、説明は
省略する。第5図において、102はブレーキペダル101の
踏力を倍力して、マスタシリンダ103へ伝える負圧ブー
スタ、800はマスタシリンダ103から前輪のホイールシリ
ンダ105,107へブレーキ油圧を供給する第1主管、801は
マスタシリンダから後輪のホイールシリンダ109,111へ
ブレーキ油圧を供給する第2主管であり、3ポート2位
置弁803に接続している。また、802はアキュームレータ
113の圧液を供給する圧力管であり、3ポート2位置弁8
03に接続している。3ポート2位置弁803は電磁弁であ
り、電流を供給しない時(OFF)には、第2主管801と導
管804を連通し、通電時(ON)には、圧力管802と導管80
4を連通する。3ポート2位置弁805は、電流値に応じて
3位置に切換わる電磁弁であり、3つのポートは導管80
4、後右輪のホイールシリンダ109に連通する枝管807、
リザーバ104に連通する導管809と接続されており、非通
電時には、導管804と枝管807のみを連通し、第1通電時
には全てのポートの連通を遮断し、さらに電流を増した
第2通電時には枝管807と導管809のみを連通する。3ポ
ート3位置弁806、枝管808も前記の3ポート3位置弁80
5、枝管807と同様である。
本実施例においては、3ポート2位置弁803、および
3ポート3位置弁805,806を駆動して、通常のプロポー
ショニングバルブ機能と、左右の制動力配分制御を行う
ものである。ECU6における制御動作を第6図のフローチ
ャートにより説明する。まずステップ1100にて後輪の車
輪速度VRL,VRR(RL−左後輪、RR−右後輪)を入力し、
ステップ1101にて車体前後加速度および左右方向加速
度を入力し、ステップ1102にてマスタシリンダ油圧
PM、後輪のブレーキ油圧PRL,PRRを入力し、ステップ11
03にて操舵角δを入力する。
そして、ステップ1104にて、車輪速度および車体前後
加速度から車体速度VBを演算する。そして、ステップ11
05にて、マスタシリンダ油圧PMとある所定圧力PO(例え
ば25kgf/cm2)とを比較しPM≦POの場合はステップ1106
にて後輪の目標ブレーキ油圧をマスタシリンダと等しく
し、ステップ1108へすすむ。一方、ステップ1105にてPM
≦POが成立しない、すなわちPM<POの場合にはステップ
1107にて後輪目標ブレーキ油圧を下式で与える。
PRL *=PRR *=PO+K×(PM−PO) ……(9) ここで、K<1であり、例えばK=0.37である。本処
理により、マスタシリンダ油圧PMが所定圧力POを超える
時は後輪油圧はマスタシリンダ油圧に等しい前輪油圧よ
り低圧となり、通常のプロポーショニングバルブ機能が
得られる。そして、ステップ1108へすすむ。ステップ11
08では、左右の制動力配分補正を、第1の実施例の第4
図フローチャートのステップ1007と同様に、後輪につい
て行い、補正目標ブレーキ油圧P′RL *,P′RR *を求め
る。
ステップ1109では、ステップ1102で入力した後輪ブレ
ーキ油圧と、ステップ1108で求めた補正目標ブレーキ油
圧の差に応じ、各電磁弁への通電状態を制御する。すな
わち、圧力補正を行う時は、まず3ポート2位置弁803
に通電し、アキュームレータ圧を3ポート3位置弁805,
806へ導く。そして、各ブレーキ油圧と補正ブレーキ油
圧の大小関係により3ポート3位置弁805,806を切換え
る。すなわち、後右輪について述べると、 PRR<P′RR *の時はiRR=0 ……(10) PRR≒P′RR *の時はiRR=i1 ……(11) PRR≧P′RR *の時はiRR=i2 ……(12) と電流を制御する。ここで、iRRは3ポート3位置弁8
05に供給する電流であり、i1,i2はある所定の電流(0
<i1<i2)である。上記処理により、PRRが低い時は、
アキュームレータ113の圧油により増圧、PRRが高い時に
は、リザーバ104へ減圧され、PRRがP′RR *にほぼ等し
い場合は圧力が保持されるため、PRRは目標油圧P′RR *
に制御される。ステップ1109にて、上記のように3ポー
ト2位置弁803の電流値iR(ON/OFF)、3ポート3位置
弁805,806の電流値iRR,iRLを算出した後に、ステップ1
110にて、各電磁弁に算出した電流値でソレノイドを駆
動し、後左右輪の圧力制御を行う。
なお、前述の第1実施例において、アンチスキッド制
御手段は、第4図のフローチャートのステップ1008に相
当し、旋回検出手段は、ステアリングセンサ4,左右方向
加速度センサ3,及び車輪センサ群1に相当し、制御手段
は、第4図のフローチャートのステップ1007に相当す
る。
〔発明の効果〕
以上述べたように本発明では、少なくともアンチスキ
ッド制御によるブレーキ圧力の減圧が開始される以前か
ら、ブレーキ操作により発生するブレーキ圧力とは独立
して、別個の調整圧力源からの調整圧力を利用して、旋
回状態に応じた最も適切な圧力を旋回内輪側と旋回外輪
側に加えて、その際に、旋回内輪側となる車輪のブレー
キ圧力が旋回外輪側となる車輪のブレーキ圧力よりも小
さく適切に制御されるので、荷重の減少した旋回内輪側
の車輪が早期にロック傾向を示すことを防止することが
可能となり、アンチスキッド制御によるブレーキ圧力の
減圧を遅らせることができる。すなわち、本発明によれ
ば、車輪のロック限界を高めることが可能になるととも
に、制動効果を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の概要構成を示す構成図、第2図は本発
明の一実施例を示す全体ブロック図、第3図は第2図中
の油圧系を示す油圧システム図、第4図は第2図のECU
の演算処理を示すフローチャート、第5図は本発明の第
2実施例の要部構成を示す構成図、第6図はその電子制
御の演算処理を示すフローチャートである。 a……ブレーキ操作圧力源,b……左車輪,c……右車輪,
f,g……ブレーキ系、h……調整圧力源、i,j……第1,第
2圧力調整装置、k……旋回検出手段、l……アンチス
キッド制御装置、m……制御手段、4……旋回検出手段
をなすステアリングセンサ,6……ECU,7……アクチュエ
ータ。
フロントページの続き (72)発明者 宇野 春彦 刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電装株 式会社内 (72)発明者 井本 雄三 刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電装株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−143169(JP,A) 特開 昭61−291261(JP,A) 特開 昭57−144158(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の複数の車輪にそれぞれのブレーキ圧
    力を加える複数のブレーキ系を有し、かつ前記車輪のロ
    ック傾向を抑制するアンチスキッド制御を行うアンチス
    キッド制御手段を備える車両用ブレーキ制御装置であっ
    て、 前記複数のブレーキ系とは別個の調整圧力を発生する調
    整圧力源と、 前記車両の左車輪および右車輪のそれぞれのブレーキ系
    に配備され、前記調整圧力源よりの調整圧力を受けてそ
    の各車輪へのブレーキ力を別々に調圧する第1,第2の圧
    力調整装置と、 前記車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、 前記アンチスキッド制御手段によって前記車両の左車輪
    と右車輪の内、少なくともロック傾向が過大となった車
    輪のブレーキ圧力が減圧される以前の期間において、前
    記旋回状態検出手段からの旋回状態信号に応じて前記左
    車輪と右車輪の制動時のブレーキ圧力を、旋回内輪側と
    なる車輪のブレーキ圧力が旋回外輪側となる車輪のブレ
    ーキ圧力よりも小さくなるように、前記第1,第2の圧力
    調整装置を制御する制御手段と を備えたこと特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項記載の車両用ブレー
    キ装置において、 前記制御手段は、前記旋回状態検出手段からの旋回状態
    信号が、大きな荷重移動の発生を示すものである場合に
    は、それよりも小さな荷重移動の発生を示すものである
    場合に比較して、前記旋回内輪側となる車輪のブレーキ
    圧力と旋回外輪側となる車輪のブレーキ圧力との圧力差
    が大きくなるように、前記第1,第2の圧力調整装置を制
    御することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項記載の車両用ブレー
    キ装置において、 前記制御手段は、前記車両の車体速度が高い場合には、
    それよりも低い場合と比較して、前記旋回内輪側となる
    車輪のブレーキ圧力と旋回外輪側となる車輪のブレーキ
    圧力との圧力差が大きくなるように、前記第1,第2の圧
    力調整装置を制御すること特徴とする車両用ブレーキ制
    御装置。
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