JP2512341B2 - 油圧エレベ―タの試験装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、油圧エレベータの定期検査のための装置
に係り、特に主にロープに緩みが生じたときのスラック
ケーブル式非常止め動作の試験装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 第２図は東京都昇降機安全協議会の制作による「油圧
エレベータの定期検査」P116に掲載のスラックケーブル
式非常止めの試験装置及び間接式油圧エレベータの全体
構成の概略を示す縦断面図、第３図は上記試験装置の平
常状態における要部の構成を示す正面図、第４図は同じ
く検査時の動作状態における正面図である。第２図〜第
４図において、（１）は昇降路、（２）は昇降路底面、
（３）はポータブルの油圧ジャッキ、（４）はこの油圧
ジャッキ（３）の油圧の高低により昇降するプランジ
ャ、（５）はプランジャ（４）の頂部とかご下枠（７）
との間に設けられ、かご（６）を所定位置に支持するた
めの支持金具、（８）はかご（６）を懸吊する主ロー
プ、（９）は綱止梁で、第３図に示すようにリンク（1
2）を介してかご下枠（７）に固定されたピン（10）を
支点とするアーム（11）に結合されている。

また、この綱止梁（９）の一端には主ロープ（８）の
端部が固定され、他端はガイドレール（13）に沿って摺
動するくわえ金（14）に回動自在に結合し、アーム（1
1）の端部にはコロ（15）が回動自在に結合されてい
る。（16）は油圧シリンダ、（17）は油圧シリンダ（1
6）の油圧の高低に応じて昇降するプランジャ、（18）
はプランジャ（17）の先端部に軸支され、主ロープ
（８）を張架する滑車、（19）は主ロープ（８）の端部
が固定されたつり合い錘である。

上記のように構成された非常止め動作の試験装置にお
いて、まず油圧シリンダ（16）の手動操作によってかご
（６）を最下階まで降下させ、この位置より試験装置の
高さ、すなわち最大ストロークにしたプランジャ（４）
の頂部に保持金具（５）の長さを加えた寸法より高い位
置までかご下枠（４）の底面を上昇させる。

次いで、手動操作によりかご（６）を徐々に降下さ
せ、作業者によって支えられている保持金具（５）の頂
面にかご下枠（７）が当接したら、かご（６）を一旦停
止させる。さらに、かご（６）を僅かに降下させると、
第３図に示す通常状態より主ロープ（８）に緩みが生じ
て、第４図に示すように綱止梁（９）が矢印の方向に傾
き、リンク（12）を介してピン（10）を支点としてアー
ム（11）を時計方向に回動させる。

アーム（11）が時計方向に回動すると、アーム（11）
の左端部に回動自在に設けられたころ（15）はガイドレ
ール（13）に圧接され、かご（６）の自重による下降を
制止する。次いで、油圧ジャッキ（３）のプランジャ
（４）を徐々に下降させ、かご下枠（７）の底面と保持
金具（５）の頂面とが離隔しても、ころ（14）のガイド
レール（13）に対する圧接によって制止されたかご
（６）が静止状態を保持していれば、主ロープ（８）の
緩みによる非常止め動作が確実に行なわれていることを
試験することができる。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のような従来の非常止め動作の試験装置では、試
験時に作業者によりプランジャ（４）の頂面上に保持金
具（５）を垂直に支え、他の作業者によってシリンダ
（16）の手動操作を行うので、作業者を２名要すること
になる。また、保持金具（５）を支えている作業者の過
誤により、保持金具（５）の支持が垂直でないと、作業
者の頭上にかご（６）が落下するような事故が生じる可
能性がある。さらに、かご（６）を下降させてかご下枠
（７）を保持金具（５）に当接させる際、油圧ジャッキ
（３）に対して動的荷重が加わるので、この衝撃に耐え
るためには試験時に必要とする支持能力の数倍の定格容
量の油圧ジャッキ（３）を用いることになるので、持運
びが容易でなく、かつ高価な油圧ジャッキ（３）を試験
装置の部材とせざるを得ないなどの問題があった。

この発明は上記のような課題を解決するためになされ
たもので、１名の作業者によって確実に試験を行うこと
ができるとともに、危険性がなく、かつ比較的低価格、
低容量の油圧ジャッキで構成した油圧エレベータの試験
装置を得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る油圧エレベータの試験装置は、昇降路
底面上に定置する支持台と、支持台の上部に固定され上
部に軸方向に長い長穴を有し内部に油圧ジャッキを収納
した取付板と、取付板の上部に固定された筒状の案内金
と、軸に直交する穴を有し案内金に遊嵌された保持金具
と、保持金具の穴及び取付板の長穴に挿入して保持金具
の位置を定める軸とを備えたものである。

［作 用］ この発明においては、試験装置の上端面、すなわち保
持金具の頂面とかご下枠の底面とかごの下降により当接
したとき、当接の瞬間における動的荷重（衝動）及びこ
れ以後のかご側荷重は取付板及びこれに遊嵌している軸
に負荷される。次いで、固定板内に収納されている油圧
ジャッキのプランジャを上昇させて保持金具を押し上げ
ると、上記のかご側荷重は油圧ジャッキに移されて負荷
される。

［実施例］ 第１図はこの発明の一実施例の正面図である。図にお
いて、（２）は昇降路底面、（３）は取付板（21）内に
Ｕボルト（22）、ナット（23）及び固定板（24）により
固定された油圧ジャッキ、（４）は油圧ジャッキ（３）
のプランジャ、（５）は下端部に軸の直交方向に穴が穿
設された保持金具で、案内筒（25）に遊嵌されている。
（26）は保持金具（25）を支持するため、取付板（21）
に設けた長穴（27）と保持金具（25）に穿設された上記
穴に嵌入された軸で、先端部にはピン（26b）に軸支さ
れた折曲部材（26a）を備えている。（28）は一端が軸
（26）の頭部に、他端が取付板（21）にそれぞれ結合さ
れた鎖である。

（７）はかご下枠で、このかご下枠（７）には第３図
及び第４図に示した綱止梁（９）やアーム（11）など、
図示を省略した同一構成の部材が設けられており、ま
た、第２図に示した綱止梁（９）の一端に固定した主ロ
ープ（８）より滑車（18）を経て、プランジャ（17）、
シリンダ（16）及びつり合い錘（19）に至る構成も備え
ているが、これらは第２図に示した通りなので、説明を
省略する。（29）は昇降路底面（２）に定置された支持
台で、その上端部には取付板（21）が固定されている。
（30）は試験装置を移動するときに用いる取手である。

次に、以上の構成に基づき、第１図〜第４図を参照し
てこの発明の作用を説明する。従来と同様に、まず、シ
リンダ（16）を手動運転に切替え、かご（６）を一旦最
下階ま降下させ、この位置より試験装置の高さに対応し
て上昇（例えば1.5m程度）させ、試験装置をかご（６）
の直下の昇降路底面（２）に定置する。

次に、軸（26）を長穴（27）及び保持金具（５）の穴
に挿入し、折曲部材（26a）を回動して鎖線で示すよう
に下方へ折曲げ、軸（26）を固定して保持金具（５）を
取付ける。ついで、シリンダ（16）を手動操作してかご
下枠（７）の底面と保持金具（５）の頂面（5a）とが当
接するまでかご（６）を降下させる。

そして、油圧ジャッキ（３）を操作してプランジャ
（４）が保持金具（５）の底面（5b）に当接するまで上
昇させ、この位置より軸（25）が長穴（27）の移動可能
範囲でさらにプランジャ（４）を僅かに上昇させると、
かご（６）側の重量が油圧ジャッキ（３）に負荷される
ので、この位置で軸（25）を抜取り、抜取った軸（25）
は鎖（28）により釣り下げておく。

さらに、油圧ジャッキ（３）を操作してかご（６）を
僅かに降下させ、上述の従来例と全く同様に、第３図に
示す通常状態より主ロープ（８）に緩みが生じ、第４図
のように綱止梁（９）が傾く動作によるアーム（11）や
ころ（14）などの変位によって、かご（６）の下降を制
止する非常止めの試験を行なう。

［発明の効果］ 以上のように、この発明によれば、昇降路底面上に定
置して上部に油圧ジャッキを収納する取付板を固定する
支持台と、取付板の上部に保持金具を遊嵌する案内金と
を一体構造にしたので、試験装置を昇降路底面上に自立
させることができ、このため１人の作業者によるシリン
ダの手動運転でかごを昇降させて試験を行うことができ
る。また、油圧ジャッキのプランジャが動的荷重を受け
ることがないため、比較的小容量の油圧ジャッキでかご
の自重を支持することができるので、試験時の工数を低
減とするとともに、かごの落下による事故の発生のおそ
れがなく、かつ小容量の油圧ジャッキの使用によりコス
トを低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の正面図、第２図は従来の
間接式エレベータの非常止め試験装置の全体構成を示す
概略図、第３図及び第４図は非常止め機構の詳細を示す
正面図で、第３図は平常状態を示す図、第４図は動作時
の状態を示す図である。 図において、（２）は昇降路底面、（３）は油圧ジャッ
キ、（５）は保持金具、（６）はかご、（21）は取付
板、（25）は案内金、（26）は軸、（27）は長穴、（2
9）は支持台である。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】かごの直下の昇降路底面上に定置する支持
   台と、この支持台の上部に固定され上部に軸方向へ長く
   形成された長穴を有し内部に油圧ジャッキを収納した取
   付板と、この取付板の上部に固定された筒状の案内金
   と、下端部に軸と直交する穴を有し上記案内金に遊嵌さ
   れた保持金具と、この保持金具の穴及び上記取付板の長
   穴に挿入して上記保持金具の位置を定める軸とを備えた
   ことを特徴とする油圧エレベータの試験装置。