JP2511674B2 - 片面溶接用裏当材 - Google Patents
片面溶接用裏当材Info
- Publication number
- JP2511674B2 JP2511674B2 JP62163795A JP16379587A JP2511674B2 JP 2511674 B2 JP2511674 B2 JP 2511674B2 JP 62163795 A JP62163795 A JP 62163795A JP 16379587 A JP16379587 A JP 16379587A JP 2511674 B2 JP2511674 B2 JP 2511674B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solid
- welding
- flux
- solid flux
- backing material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K35/00—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
- B23K35/02—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by mechanical features, e.g. shape
- B23K35/0255—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by mechanical features, e.g. shape for use in welding
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Nonmetallic Welding Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〈発明の目的〉 産業上の利用分野 本発明は片面溶接用裏当材に係り、詳しくは、片面ア
ーク溶接において、良好な裏ビード形状を形成する片面
溶接用裏当材に係る。
ーク溶接において、良好な裏ビード形状を形成する片面
溶接用裏当材に係る。
従来の技術 造船、橋梁等の溶接に広く利用されている片面溶接に
は、健全な裏波ビードの形成を目的として、裏当材が使
用される。
は、健全な裏波ビードの形成を目的として、裏当材が使
用される。
この裏当材の一つとして、例えば、特公昭57-22680号
公報に示されるように、可撓性のある可撓性テープ、例
えば、アルミ箔や、無機質のガラス繊維のテープ上にタ
イル状の固形フラックスを連続的に並べて貼付し、テー
プごとに開先面に貼り付ける形式のものが提案されてい
る。また、他の一つとして、無機質のガラス繊維をテー
プ状にした裏当材が提案されている。
公報に示されるように、可撓性のある可撓性テープ、例
えば、アルミ箔や、無機質のガラス繊維のテープ上にタ
イル状の固形フラックスを連続的に並べて貼付し、テー
プごとに開先面に貼り付ける形式のものが提案されてい
る。また、他の一つとして、無機質のガラス繊維をテー
プ状にした裏当材が提案されている。
しかし、これら裏当材を使用した場合に、種々の欠点
が指摘されている。
が指摘されている。
すなわち、前者は柔軟性が乏しいため、鋼材表面への
密着性が悪く、曲面部あるいは目違い部のある開先への
適用が難かしい。
密着性が悪く、曲面部あるいは目違い部のある開先への
適用が難かしい。
後者は、鋼材表面への密着性は前者より優れるが、ガ
ラス繊維中のB2O3が裏ビード部の溶接割れを誘発する。
ラス繊維中のB2O3が裏ビード部の溶接割れを誘発する。
このため、健全な裏波ビードを具える良好な溶接部を
得るためには、上記のように可撓性テープ上にタイル状
の固形フラックスを並べて裏当材とし、固形フラックス
間のつなぎ目を適正に処理して、曲面部などに合せて使
用しているのが現状である。
得るためには、上記のように可撓性テープ上にタイル状
の固形フラックスを並べて裏当材とし、固形フラックス
間のつなぎ目を適正に処理して、曲面部などに合せて使
用しているのが現状である。
しかし、つなぎ目を工夫して処理しても、開先部に完
全に追従させることはきわめて難かしく、溶接欠陥が発
生することが多い。
全に追従させることはきわめて難かしく、溶接欠陥が発
生することが多い。
また、隣接フラックス間でその寸法差がある場合、固
形フラックスが隣接して並べられているところで僅かで
も寸法差があると、そのところに、アンダーカットや裏
波ビードの変形等の溶接欠陥が発生し、タイル状の固形
フラックスの成分によっては、溶接部にポックマークや
スパッタが発生し、良好な裏波ビードが得られない。し
かしながら、並べる固形フラックスの間で寸法差をなく
すことは、きわめてむづかしく、使用態様によっては、
どうしても寸法差が生じる。
形フラックスが隣接して並べられているところで僅かで
も寸法差があると、そのところに、アンダーカットや裏
波ビードの変形等の溶接欠陥が発生し、タイル状の固形
フラックスの成分によっては、溶接部にポックマークや
スパッタが発生し、良好な裏波ビードが得られない。し
かしながら、並べる固形フラックスの間で寸法差をなく
すことは、きわめてむづかしく、使用態様によっては、
どうしても寸法差が生じる。
発明が解決しようとする問題点 本発明はこれらの問題点の解決を目的とし、具体的に
は、良好な裏波ビードを得て、なおかつ耐割れ性の良好
な溶接欠陥のない溶接部を得ることを目的とし、各固形
フラックスの間で許容できる寸法差を求めるとともに、
各固形フラックスの成分を、SiO2、Al2O3ならびにLi2O
のみから構成し、ガラス質のスラグの発生をさけ、その
上、吸湿性をおさえて、スラグの剥離性を改善し、溶接
部の水素量を減少させることができる片面溶接用裏当材
を提案する。
は、良好な裏波ビードを得て、なおかつ耐割れ性の良好
な溶接欠陥のない溶接部を得ることを目的とし、各固形
フラックスの間で許容できる寸法差を求めるとともに、
各固形フラックスの成分を、SiO2、Al2O3ならびにLi2O
のみから構成し、ガラス質のスラグの発生をさけ、その
上、吸湿性をおさえて、スラグの剥離性を改善し、溶接
部の水素量を減少させることができる片面溶接用裏当材
を提案する。
〈発明の構成〉 問題点を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明に係る裏当材は、鋼材の裏面に接着
する可撓性テープ上に、複数個のタイル状の固形フラッ
クスが、各端面を互いに接触させるよう、連続的に並べ
貼付され、これら固形フラックスには、溶接開先の裏面
に対応する面にスラグポケットが設けられる片面溶接用
裏当材において、各固形フラックスは、圧縮成型ならび
に焼結を経て乾式製法で製造され、しかも、その組成
が、SiO2:45〜65重量%、Al2O3:30〜45重量%およびLi2
O:0.8〜6.5重量%のみから成る一方、隣接するタイル状
固形フラックス間において、固形フラックスの底面から
表面までのフラックス高さ、固形フラックスの表面から
スラグポケットの底部までのスラグポケット深さについ
ての各寸法差を5%以内にするとともに、スラグポケッ
トの幅の寸法差を15%以内にするよう、各固形フラック
ス構成することを特徴とする。
する可撓性テープ上に、複数個のタイル状の固形フラッ
クスが、各端面を互いに接触させるよう、連続的に並べ
貼付され、これら固形フラックスには、溶接開先の裏面
に対応する面にスラグポケットが設けられる片面溶接用
裏当材において、各固形フラックスは、圧縮成型ならび
に焼結を経て乾式製法で製造され、しかも、その組成
が、SiO2:45〜65重量%、Al2O3:30〜45重量%およびLi2
O:0.8〜6.5重量%のみから成る一方、隣接するタイル状
固形フラックス間において、固形フラックスの底面から
表面までのフラックス高さ、固形フラックスの表面から
スラグポケットの底部までのスラグポケット深さについ
ての各寸法差を5%以内にするとともに、スラグポケッ
トの幅の寸法差を15%以内にするよう、各固形フラック
ス構成することを特徴とする。
なお、ここで、固形フラックスの寸法とは、第2図に
示す通り、固形フラックス2の裏面からの表面までのフ
ラックス高さh、スラグポケットの幅W、フラックス表
面からスラグポケットの底部までの深さdを示す。
示す通り、固形フラックス2の裏面からの表面までのフ
ラックス高さh、スラグポケットの幅W、フラックス表
面からスラグポケットの底部までの深さdを示す。
更に、隣接固形フラックス間においてh、Wならびに
dの各寸法の寸法差について具体的に示すと、(1)式
であらわせられる。
dの各寸法の寸法差について具体的に示すと、(1)式
であらわせられる。
但し、(ι+1)番目の固形フラックスの寸法> ι番目の固形フラックスの寸法 以下、図面によって、これら手段たる構成ならびにそ
の作用を説明すると、次の通りである。
の作用を説明すると、次の通りである。
なお、第1図は本発明の一つの実施例に係る片面溶接
用裏当材の斜視図である。
用裏当材の斜視図である。
第2図は本発明に係る固形フラックスにおいて各種の
寸法のとり方を示す説明図である。
寸法のとり方を示す説明図である。
まず、第1図に示すように、タイル状の固形フラック
ス2、……、2i、……2ι+4、……を、各端面が接触
するよう、連続的に並べて貼付して成る片面溶接用裏当
材において、良好な裏波ビードのため、まず、各固形フ
ラックスは、良好な裏波ビードを得る上から、次の通り
の組成から構成する。
ス2、……、2i、……2ι+4、……を、各端面が接触
するよう、連続的に並べて貼付して成る片面溶接用裏当
材において、良好な裏波ビードのため、まず、各固形フ
ラックスは、良好な裏波ビードを得る上から、次の通り
の組成から構成する。
すなわち、各固形フラックスは溶融メタルとぬれ性が
少ないこと、生成するスラグにより良好なビード形成層
が作り出させることが必要である。
少ないこと、生成するスラグにより良好なビード形成層
が作り出させることが必要である。
この面から、固形フラックスの適正成分範囲を決める
ことが必要である。
ことが必要である。
また、曲面部を溶接するときのように、溶接すべき部
位によって、溶接用裏当材にはある程度の可撓性が要求
される。このため、固形フラックスは小さなチップ状に
構成して、この固形フラックスを連続的に並べて可撓性
を持たすが、小さい固形フラックスの間で寸法精度が高
く、隣接固形フラックス材の間で寸法差がないことを要
求される。
位によって、溶接用裏当材にはある程度の可撓性が要求
される。このため、固形フラックスは小さなチップ状に
構成して、この固形フラックスを連続的に並べて可撓性
を持たすが、小さい固形フラックスの間で寸法精度が高
く、隣接固形フラックス材の間で寸法差がないことを要
求される。
しかし、あまり厳格な寸法精度が各固形フラックスに
要求するのは好ましくない。すなわち、金型コストが大
巾に上昇し、更に、成型そのものがきわめてむづかしく
なる。このため、不良率が大きくなり、固形フラックス
の製造のときに大きな問題になる。
要求するのは好ましくない。すなわち、金型コストが大
巾に上昇し、更に、成型そのものがきわめてむづかしく
なる。このため、不良率が大きくなり、固形フラックス
の製造のときに大きな問題になる。
以上のところから、本発明においては、各固定フラッ
クスの適正成分範囲としては、SiO2、Al2O3ならびにLi2
Oのみから構成する。換言すると、主成分の一つとし
て、従来例のようにMgOを配合せずに、Li2Oを配合し、
これによって吸湿性の改善、スラグ剥離性の改善などを
行なって、溶接部の知割れ性を向上させる。
クスの適正成分範囲としては、SiO2、Al2O3ならびにLi2
Oのみから構成する。換言すると、主成分の一つとし
て、従来例のようにMgOを配合せずに、Li2Oを配合し、
これによって吸湿性の改善、スラグ剥離性の改善などを
行なって、溶接部の知割れ性を向上させる。
そこで、溶接用裏当材を構成する固形フラックスにつ
いての成分の限定理由について説明する。
いての成分の限定理由について説明する。
SiO2:45〜65重量%(以下、単に%という。)、SiO24
5%未満では、固形フラックスの融点、正確には、軟化
温度範囲が低くなる。
5%未満では、固形フラックスの融点、正確には、軟化
温度範囲が低くなる。
このため、固形フラックスの軟化によって、寸法が変
動し、裏ビードが不揃いになって溶接欠陥が発生し易く
なる。
動し、裏ビードが不揃いになって溶接欠陥が発生し易く
なる。
一方、65%をこえると、固形フラックスの融点が上昇
し、良好な裏ビードが得られない。更に、アークの安定
性が低下するため、ビット等の溶接欠陥が発生し易い。
し、良好な裏ビードが得られない。更に、アークの安定
性が低下するため、ビット等の溶接欠陥が発生し易い。
Al2O3:30〜45% Al2O3は、溶接時に発生するスラグの粘性に影響を与
え、適正範囲内であれば、裏波ビード形状は整えられ
る。
え、適正範囲内であれば、裏波ビード形状は整えられ
る。
すなわち、Al2O3が30%未満の場合には、生成するス
ラグの粘性が十分でなく、Al2O3の添加効果が発揮され
ない。
ラグの粘性が十分でなく、Al2O3の添加効果が発揮され
ない。
また、45%を越えると、スラグ粘性が大巾に増大し、
ガス抜けが悪く、溶接欠陥の発生やビード表面が荒くな
って好ましくない。
ガス抜けが悪く、溶接欠陥の発生やビード表面が荒くな
って好ましくない。
Li2O:0.8〜6.5% 本発明においては、従来例のように、MgOを配合せず
に、Li2Oのみを配合し、このLi2Oが最も重要な化合物で
ある。
に、Li2Oのみを配合し、このLi2Oが最も重要な化合物で
ある。
すなわち、MgOを配合せずにLi2Oを主成分として配合
すると、Li2OはSiO2ならびにAl2O3の2成分の中にあっ
て、固形フラックスの結晶の安定化をはかる。
すると、Li2OはSiO2ならびにAl2O3の2成分の中にあっ
て、固形フラックスの結晶の安定化をはかる。
Li2Oが0.8%未満では、その効果が発揮できない。す
なわち、Li2Oを添加しないと、溶接時に生成するスラグ
はガラス質になり、ビード外観に凹凸が発生してきわめ
て不安定になり、溶接作業も不安定になる。また、Li2O
を添加すると溶接性が安定してくるが、その添加量が0.
8%未満では、固形フラックスの製造時に組織バランス
がとりにくく、固形フラックスの材質特性、つまり融点
や空隙率などで均一性が確保しにくい。このために、固
形フラックスは、溶接熱により部分的にガラス質となり
易く、溶接ビード表面への焼付きおよび溶接ビードの荒
れを発生させる。
なわち、Li2Oを添加しないと、溶接時に生成するスラグ
はガラス質になり、ビード外観に凹凸が発生してきわめ
て不安定になり、溶接作業も不安定になる。また、Li2O
を添加すると溶接性が安定してくるが、その添加量が0.
8%未満では、固形フラックスの製造時に組織バランス
がとりにくく、固形フラックスの材質特性、つまり融点
や空隙率などで均一性が確保しにくい。このために、固
形フラックスは、溶接熱により部分的にガラス質となり
易く、溶接ビード表面への焼付きおよび溶接ビードの荒
れを発生させる。
しかし、6.5%以上になると融点が過度に低くなる。
このため、高入熱溶接時にスラグの発生が多く、アンダ
カット及びマイナスビード等の発生を招く。
このため、高入熱溶接時にスラグの発生が多く、アンダ
カット及びマイナスビード等の発生を招く。
上記のように、Li2Oが固形フラックスの結晶の安定化
をはかるとともに、溶接時には、溶接ビード外観を良好
に保ち、溶接作業の安定化をはかれるが、その理由の一
つは次の通りと思われる。
をはかるとともに、溶接時には、溶接ビード外観を良好
に保ち、溶接作業の安定化をはかれるが、その理由の一
つは次の通りと思われる。
Li2Oは、若干量の添加で吸湿性を抑さえ、これによっ
て、スラグ剥離性を改善し、溶接部の拡散性水素量の減
少をもたらし、溶接部の耐割れ性を向上させる。この吸
湿性改善効果は顕著である。この理由は、Liが他のアル
カリ金属(つまり、Na、Kなど)に較べると、原子半径
や原子量(比重)も小さく、H2O分子乃至そのOH基との
化学的親和力が小さいからである。要するに、このとこ
ろがLiより原子量が大きい他のアルカリ金属(Na、K
等)やアルカリ土類金属(Ca、Mg等)の金属酸化物に対
してLi2Oがもつ大きな優位なところであり、この優位性
を利用するために、本発明では、アルカリ金属酸化物の
うちで、Li2Oを配合する。
て、スラグ剥離性を改善し、溶接部の拡散性水素量の減
少をもたらし、溶接部の耐割れ性を向上させる。この吸
湿性改善効果は顕著である。この理由は、Liが他のアル
カリ金属(つまり、Na、Kなど)に較べると、原子半径
や原子量(比重)も小さく、H2O分子乃至そのOH基との
化学的親和力が小さいからである。要するに、このとこ
ろがLiより原子量が大きい他のアルカリ金属(Na、K
等)やアルカリ土類金属(Ca、Mg等)の金属酸化物に対
してLi2Oがもつ大きな優位なところであり、この優位性
を利用するために、本発明では、アルカリ金属酸化物の
うちで、Li2Oを配合する。
以上の通り、SiO2、Al2O3ならびにLi2Oからなる固形
フラックスを並べて成る溶接用裏当材は、溶接施工時に
溶接線上に合せて配置する。この溶接線は直線だけでは
なく、曲線も多く、溶接用裏当材は可撓性が必要であ
る。
フラックスを並べて成る溶接用裏当材は、溶接施工時に
溶接線上に合せて配置する。この溶接線は直線だけでは
なく、曲線も多く、溶接用裏当材は可撓性が必要であ
る。
従って、溶接用裏当材は、2cm〜3cm程度の小さなチッ
プ状の固形フラックスを連続して貼付して構成する。
プ状の固形フラックスを連続して貼付して構成する。
しかしながら、連続して並べられる各チップ状の固形
フラックスの間で寸法精度が悪く、寸法面でバラツキが
あると、溶接ビード上にアンダカットやブローホール、
スラグ巻込みが発生する。これに反し、これらの溶接欠
陥を阻止できる程度まで寸法精度を高めるのには、乾式
製法をとって高価な金型を用いる必要があるほか、不良
率もきわめて高い。
フラックスの間で寸法精度が悪く、寸法面でバラツキが
あると、溶接ビード上にアンダカットやブローホール、
スラグ巻込みが発生する。これに反し、これらの溶接欠
陥を阻止できる程度まで寸法精度を高めるのには、乾式
製法をとって高価な金型を用いる必要があるほか、不良
率もきわめて高い。
この点について、本発明に係る裏当材の各固形フラッ
クスは、上記の通り、SiO2ならびにAl2O3の間にLi2Oを
介在させ、これら成分のみから成るほかに、隣接固形フ
ラックスの間で、フラックス高さ、hやスラグポケット
の深さdを5%以内におさえ、スラグポケットの幅Wを
15%におさえ、この許容限度内に保つ。
クスは、上記の通り、SiO2ならびにAl2O3の間にLi2Oを
介在させ、これら成分のみから成るほかに、隣接固形フ
ラックスの間で、フラックス高さ、hやスラグポケット
の深さdを5%以内におさえ、スラグポケットの幅Wを
15%におさえ、この許容限度内に保つ。
なお、この許容限度内であると、各固形フラックスは
容易かつ経済的に製造でき、金型精度が高く高価なもの
を必ずしも用いる必要がない。
容易かつ経済的に製造でき、金型精度が高く高価なもの
を必ずしも用いる必要がない。
すなわち、固形フラックスは乾式製法か湿式製法で製
造される。前者の乾式製法は寸法精度は良く、成型時の
圧下が高く、これにともなって金型の作成コストが高く
なるが、水分を除去でき、それによって溶接性能が損な
われることがない。
造される。前者の乾式製法は寸法精度は良く、成型時の
圧下が高く、これにともなって金型の作成コストが高く
なるが、水分を除去でき、それによって溶接性能が損な
われることがない。
これに対し、後者の湿式製法は水ガラス等のバインダ
ーを用いるため、必ずしも、金型の強度は高くなくても
よいことから、金型コストが安くつくが、製造される固
形フラックスの寸法精度が劣る。
ーを用いるため、必ずしも、金型の強度は高くなくても
よいことから、金型コストが安くつくが、製造される固
形フラックスの寸法精度が劣る。
しかし、本発明では、ビード段差に影響を与えるのは
スラグポケットの深さdや幅Wや、固形フラックスの高
さhが重要であり、このhやdを5%以内にとどめ、W
を15%以内にとどめる。この程度の寸法誤差が隣接固形
フラックス間で許容されると、乾式製法であってもそれ
ほどの寸法精度が求められず、コストが上昇することな
く、ビード表面に段差に形成されることなく、当然、ア
ンダカットも発生しないことに着目したのである。
スラグポケットの深さdや幅Wや、固形フラックスの高
さhが重要であり、このhやdを5%以内にとどめ、W
を15%以内にとどめる。この程度の寸法誤差が隣接固形
フラックス間で許容されると、乾式製法であってもそれ
ほどの寸法精度が求められず、コストが上昇することな
く、ビード表面に段差に形成されることなく、当然、ア
ンダカットも発生しないことに着目したのである。
このような寸法精度であっても、製造する固形フラッ
クスによって、溶接欠陥のない安定した溶接ビードが得
られる。
クスによって、溶接欠陥のない安定した溶接ビードが得
られる。
なお、スラグポケットの幅Wでは寸法誤差を15%以下
に規制し、更に、hならびにdを5%以下に規制するの
は、後記の実施例2に示す通りであり、その理由は次の
通りである。
に規制し、更に、hならびにdを5%以下に規制するの
は、後記の実施例2に示す通りであり、その理由は次の
通りである。
種々のスラグポケットWで試験した。ビード外観等の
溶接部の品質に対して影響するのは、隣接固形フラック
ス間におけるh、dならびにWの各寸法であり、これら
のうち、hならびにdは5%以下であるが、Wは15%ま
で許容できる。ただし、この範囲を越えると裏波ビード
の変形やオーバラップ等のが生じ易くなる。このような
範囲であると、製造時の過剰な品質管理によるコスト増
大、例えば、金型の過剰な修理・交換等を排除すること
ができる。
溶接部の品質に対して影響するのは、隣接固形フラック
ス間におけるh、dならびにWの各寸法であり、これら
のうち、hならびにdは5%以下であるが、Wは15%ま
で許容できる。ただし、この範囲を越えると裏波ビード
の変形やオーバラップ等のが生じ易くなる。このような
範囲であると、製造時の過剰な品質管理によるコスト増
大、例えば、金型の過剰な修理・交換等を排除すること
ができる。
また、第1図ならびに第2図に示すように、固形フラ
ックス2の可撓性テープ1の貼付側面4を角落して傾斜
面として構成すると、溶接する鋼板への固形フラックス
1の貼付けが容易かつ確実に行なえる。
ックス2の可撓性テープ1の貼付側面4を角落して傾斜
面として構成すると、溶接する鋼板への固形フラックス
1の貼付けが容易かつ確実に行なえる。
以下、実施例によって更に説明する。
(実施例1) 各主成分として第1表に示す組成の固形フラックス7
種類を使用し、これら固形フラックス毎につくった裏当
材を用いて、溶接テストを実施した。
種類を使用し、これら固形フラックス毎につくった裏当
材を用いて、溶接テストを実施した。
各固形フラックスは、原料は配合後、圧縮成形、焼成
を行なって乾式製法で製造し、寸法を調べた後、アルミ
ニウム箔の粘着テープに並べた貼付し、7種の固形フラ
ックスごとに裏当材を開先面に貼り付けて溶接を行なっ
た。この時の溶接作業性、溶接ビード形状、欠陥を調査
した。その結果を第1表に示す。
を行なって乾式製法で製造し、寸法を調べた後、アルミ
ニウム箔の粘着テープに並べた貼付し、7種の固形フラ
ックスごとに裏当材を開先面に貼り付けて溶接を行なっ
た。この時の溶接作業性、溶接ビード形状、欠陥を調査
した。その結果を第1表に示す。
なお、溶接条件は次の通りである。
[溶接条件] 溶接ワイヤ :JIS Z 3313、YFW-24相当のフラックス
入りワイヤ シールドガス :CO2100%、25l/分 溶 接 電 流:250A DC・RP 溶 接 電 圧:28V 溶 接 速 度:30cpm 開 先 角 度:50′ ルートギャップ:5mm [実験結果] 実験No.1〜No.4:実験No.1では組織安定化のためのLi2
Oがなく、溶接作業性が不安定でスラグがガラス質とな
り、エッジ部不安定で外観は凹凸が発生しているが、Li
2Oを添加するにつれ溶接が安定し、ビード形状が良好と
なっている。しかし、実験No.4のように、Li2Oを添加し
すぎると、融点が過度に低くなるため、スラグ発生が多
くなり、マイナスビードが生じている。
入りワイヤ シールドガス :CO2100%、25l/分 溶 接 電 流:250A DC・RP 溶 接 電 圧:28V 溶 接 速 度:30cpm 開 先 角 度:50′ ルートギャップ:5mm [実験結果] 実験No.1〜No.4:実験No.1では組織安定化のためのLi2
Oがなく、溶接作業性が不安定でスラグがガラス質とな
り、エッジ部不安定で外観は凹凸が発生しているが、Li
2Oを添加するにつれ溶接が安定し、ビード形状が良好と
なっている。しかし、実験No.4のように、Li2Oを添加し
すぎると、融点が過度に低くなるため、スラグ発生が多
くなり、マイナスビードが生じている。
実験No.5〜No.7:SiO2とAl2O3の適正量を調べた。その
結果、SiO2が本発明の範囲外にある実験No.5およびNo.6
では、ビード表面エッジが不安定となり、Al2O3におい
ても、多い場合には融点が高いため、なじみ性が悪く、
ビード表面に凹凸が発生している(実験No.5参照)。な
お、実験No.7は他の成分を含むが、Al2O3とSiO2の範囲
が適正であるため、良好なビードが得られた。
結果、SiO2が本発明の範囲外にある実験No.5およびNo.6
では、ビード表面エッジが不安定となり、Al2O3におい
ても、多い場合には融点が高いため、なじみ性が悪く、
ビード表面に凹凸が発生している(実験No.5参照)。な
お、実験No.7は他の成分を含むが、Al2O3とSiO2の範囲
が適正であるため、良好なビードが得られた。
(実施例2) 固形フラックスの寸法による影響を調べた結果を第2
表に示す。固形フラックスは実験No.2の組成を使用し、
第2図に示す形状のものを使用した。
表に示す。固形フラックスは実験No.2の組成を使用し、
第2図に示す形状のものを使用した。
なお、溶接条件は実施例1と同様であって、表中の数
字は前記(1)式によって求めた各部の寸法差%であ
る。
字は前記(1)式によって求めた各部の寸法差%であ
る。
すなわち、可撓性テープ1の接着部に、これらの固形
フラックス2を、第1図のように、接着し、この裏当材
を用いて溶接を行なった結果、実験No.8〜No.13に示す
ように、スラグポケット3の幅Wが15%をこえ、固形フ
ラックスの高さhならびにスラグポケット3の深さdの
うち、一つでも5%をこえると、ビード形状および溶接
の欠陥が発生する。
フラックス2を、第1図のように、接着し、この裏当材
を用いて溶接を行なった結果、実験No.8〜No.13に示す
ように、スラグポケット3の幅Wが15%をこえ、固形フ
ラックスの高さhならびにスラグポケット3の深さdの
うち、一つでも5%をこえると、ビード形状および溶接
の欠陥が発生する。
〈発明の効果〉 以上説明したように、本発明に係る裏当材は、可撓性
テープ上に並べて貼付される各固形フラックスは、Si
O2:45〜65%、Al2O3:30〜45%およびLi2O:0.8〜6.5%の
みから成って、隣接する固形フラックスのうちで、上記
(1)式で示す各寸法h、d、Wの各特性を配慮して、
上記の通り、許容される一定の寸法差内において各固形
フラックスを構成する。
テープ上に並べて貼付される各固形フラックスは、Si
O2:45〜65%、Al2O3:30〜45%およびLi2O:0.8〜6.5%の
みから成って、隣接する固形フラックスのうちで、上記
(1)式で示す各寸法h、d、Wの各特性を配慮して、
上記の通り、許容される一定の寸法差内において各固形
フラックスを構成する。
この片面溶接用裏当材を用いると、アンダカットやブ
ローホール等の溶接欠陥のなく、形状が均一かつ良好な
裏ビードが得られ、スラグ剥離性も良好で、溶接性も安
定する。
ローホール等の溶接欠陥のなく、形状が均一かつ良好な
裏ビードが得られ、スラグ剥離性も良好で、溶接性も安
定する。
従って、溶接能率向上のため、片面溶接化を容易に行
なうことができる。
なうことができる。
第1図は本発明の一つの実施例に係る片面溶接用裏当材
の斜視図、第2図は本発明における各固形フラックスの
形状を示す斜視図である。 符号1……可撓性テープ 2……固形フラックス 3……スラグポケット 4……貼付側面
の斜視図、第2図は本発明における各固形フラックスの
形状を示す斜視図である。 符号1……可撓性テープ 2……固形フラックス 3……スラグポケット 4……貼付側面
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−195794(JP,A) 特開 昭61−206590(JP,A) 特開 昭59−61594(JP,A) 特公 昭57−22680(JP,B2)
Claims (1)
- 【請求項1】鋼材の裏面に接着する可撓性テープ上に、
複数個のタイル状の固形フラックスが、各端面を互いに
接触させるよう、連続的に並べ貼付され、これら固形フ
ラックスには、溶接開先の裏面に対応する面にスラグポ
ケットが設けられる片面溶接用裏当材において、 各固形フラックスは、圧縮成型ならびに焼結を経て乾式
製法で製造され、しかも、その組成が、SiO2:45〜65重
量%、Al2O3:30〜45重量%およびLi2O:0.8〜6.5重量%
のみから成る一方、隣接するタイル状固形フラックス間
において、固形フラックスの底面から表面までのフラッ
クス高さ、固形フラックスの表面から前記スラグポケッ
トの底部までのスラグポケット深さについての各寸法差
を5%以内にするとともに、前記スラグポケットの幅の
寸法差を15%以内にするよう、各固形フラックス構成す
ることを特徴とする片面溶接用裏当材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62163795A JP2511674B2 (ja) | 1987-06-30 | 1987-06-30 | 片面溶接用裏当材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62163795A JP2511674B2 (ja) | 1987-06-30 | 1987-06-30 | 片面溶接用裏当材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS645698A JPS645698A (en) | 1989-01-10 |
JP2511674B2 true JP2511674B2 (ja) | 1996-07-03 |
Family
ID=15780845
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62163795A Expired - Fee Related JP2511674B2 (ja) | 1987-06-30 | 1987-06-30 | 片面溶接用裏当材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2511674B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5722680A (en) * | 1980-07-13 | 1982-02-05 | Furointo Sangyo Kk | Storage of food product |
JPS5961594A (ja) * | 1982-09-29 | 1984-04-07 | Nippon Steel Corp | 片面溶接用裏当材 |
JPS61195794A (ja) * | 1985-02-25 | 1986-08-30 | Kobe Steel Ltd | 片面溶接用裏当材 |
JPS61206590A (ja) * | 1985-03-08 | 1986-09-12 | Kobe Steel Ltd | 片面溶接用裏当材 |
-
1987
- 1987-06-30 JP JP62163795A patent/JP2511674B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS645698A (en) | 1989-01-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101156279B1 (ko) | 9% Ni 강 서브머지드 아크 용접 재료 및 용접 방법 | |
JPH0669633B2 (ja) | ガスシールドアーク溶接用フラックス入リワイヤ | |
JP2511674B2 (ja) | 片面溶接用裏当材 | |
JP2672243B2 (ja) | 片面サブマージアーク溶接用フラックス及びそれを使用した溶接方法 | |
JP3114958B2 (ja) | 厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法 | |
JP3256113B2 (ja) | レール自動溶接用裏当材およびその使用方法 | |
JP3889897B2 (ja) | 溶接作業性および裏波ビード外観に優れた2電極立向エレクトロガスア−ク溶接方法 | |
JP2000141082A (ja) | 片面サブマージアーク溶接用裏フラックス | |
JP3443755B2 (ja) | 片面溶接用裏当材 | |
CN1704378A (zh) | 电弧熔透焊陶质衬垫材料及其制作方法 | |
JPH11267883A (ja) | 大入熱用570MPa耐候性鋼の片面サブマージアーク溶接用ボンドフラックスおよび片面サブマージアーク溶接方法 | |
JP3092843B2 (ja) | 二層管遠心力鋳造用フラックス | |
JPH0852572A (ja) | ガスシールドアーク溶接方法 | |
JP3177638B2 (ja) | サブマージアーク溶接用溶融型フラックス | |
JP2978350B2 (ja) | 多電極片面サブマージアーク溶接法 | |
JP3788757B2 (ja) | サブマージアーク溶接用ボンドフラックス | |
JPH08290271A (ja) | 片面サブマージアーク溶接方法 | |
JPS5877790A (ja) | 潜孤溶接用焼結型フラツクス | |
JP3836071B2 (ja) | 単電極片面サブマージアーク溶接方法 | |
JPH0327891A (ja) | 大入熱サブマージアーク溶接用焼成型フラックス | |
JPS6352794A (ja) | サブマ−ジア−ク溶接用焼成型フラツクス | |
CN104339101A (zh) | 单面埋弧焊用焊剂 | |
US3866284A (en) | One-side welding process | |
JP2582615B2 (ja) | 片面溶接用裏当材 | |
JPH05111791A (ja) | 低水素系被覆アーク溶接棒 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |