JP2510695Y2 - 二重床におけるコンセント取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、床基盤上に適宜間隔を隔てて多数枚の床パ
ネルを敷設してなる二重床装置において、互いに隣接す
る床パネルの側縁間にコンセントを位置変更自在に取付
けるコンセント取付装置に関する。

〔従来の技術〕

近年、オフィス等においては、その床を、コンクリー
ト床等の基盤上に適宜間隔を隔てて多数枚の床パネルを
敷設したいわゆる二重床に構成し、この二重床における
床パネル下方の空間内にコード類を這わせることによ
り、床パネルの上面にコード類が長く這う状態を一掃
し、オフィスの環境を改善することが行われている。

前記二重床においては、長尺のレールを、アジャスタ
ーにて高さ調節自在に床基盤上の適宜上方に配置し、前
記レールを挟むように床パネル同士を隣接配置するとと
もに、この隣接する床パネルの側縁間に間隙を形成して
コード類を配設するための空間を形成することにより、
前記レールの上面からコード類を床パネル上方の室内空
間に引き出すことを可能とし、且つ床パネルの敷設作
業、及び床パネル敷設後における配線作業、更には床パ
ネルの高さ調節作業等を容易化してなる。

そして、前記コード類の配設空間として形成された床
パネル間の間隙には、同時に、床パネル上の室内で使用
される各種オフィス用電気機器に電源を供給するための
コンセントが室内の適宜複数位置に固定して設けられ、
該コンセントを設けた間隙開口部には、コンセント不使
用時に該開口部を被覆するためのコンセントカバーが装
着されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、室内空間における電気機器の配置は自由であ
り、その自由度に応じて予め二重床装置を設置する際
に、適宜間隔で多数のコンセントを固定しておくことも
考慮されるが、現実問題として不経済であるとともに、
最短距離の位置にコンセントが存在するように電気機器
を配置することは不可能である。

本考案は上記の点に鑑み、二重床において、コード類
等の配線用空間、又は引き出し用開口部として、隣接す
る床パネル間に形成される間隙に、室内空間に設置した
電気機器の位置に応じて該間隙に沿って位置変更自在且
つ着脱自在で容易にコンセントを取付けることができる
コンセント取付装置を提供せんとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は前記課題を解決するために、床基盤上に上下
方向に適宜間隔を設けて複数のレールを配設し、これら
レール上に多数枚の床パネルを水平方向に適宜間隙を設
けて載置支持してなる二重床において、前記床パネルの
側板下部に突設した突条の上面段部間に架設し得る取付
板を前記間隙に沿った前後に有し、該取付板にはネジを
挿通する通孔を形成するとともに、両取付板の対向縁か
ら斜め下方へ互いに接近するように折曲して傾斜面を形
成し、前記両取付板の折曲間を底板にて連続させて一体
形成し、前記傾斜面にコンセントをその差込口を斜め上
方に向けた状態で固定してなる取付具と、前記突条の下
面間に架設状態で係止し得る長さを有し、前記取付板の
通孔と上下対応する位置に前記ネジを螺合し得る螺孔を
形成してなる定着板とよりなる二重床におけるコンセン
ト取付装置を構成した。

〔作用〕

以上の如き内容からなる本考案の二重床におけるコン
セント取付装置は、レール上に載置支持された多数枚の
床パネルのうちの隣接する床パネルの両突条の上面段部
に取付具の前後取付板を載置するとともに、該取付板の
通孔から下方へ挿通したネジを、前記両突条の下面間に
架設状態で係止させた定着板の螺孔に螺合し、前記取付
板と定着板で突条を上下から締付けた状態で固定するも
ので、この状態で傾斜面に固定したコンセントの差込口
は斜め上方を向き、電気機器に接続されたプラグを斜め
上方から容易に差し込めるようになしたものであり、ま
た前記ネジを弛めて床パネル間の間隙に沿って所望位置
へ移動させた後、再びネジを締付けて取付具を固定する
のである。

〔実施例〕

以下、図面に示した実施例に基づき本考案を更に詳細
に説明する。

第１図は二重床装置を採用してなる室空間の簡略斜視
図、第２図は前記二重床装置の要部拡大図であり、図中
１は、平面視略長矩形状の床パネル、２は、基板３の長
手方向に沿って両側にアジャスターボルト４を立設して
なる支持部材５を介して床基盤６上に支持したレールで
ある。

前記床パネル１は薄箱状の支持枠７内に、不燃性材料
からなるハニカム部材等の軽量高剛性の補強体８を内装
するとともに、該補強体８の上面に金属板製天板９を張
着して構成し、前記天板９の四周縁を下向きに折り曲げ
て側板10を形成し、該側板10の中途高さ部位を外向き折
曲してコ字形に折り返すことにより、その４周側に突条
11を形成するとともに、その上面を水平な段部12となし
ている。

前記レール２は、断面略下向コ字形に形成するととも
に、その上面中央に、配線用溝条13を長手方向に沿って
凹設し、該溝条13を挟んだ左右両長手側縁に、該レール
２を挟むようにして配設した左右床パネル１、１の側縁
を載置するとともに、前記溝条13を挟んだ左右位置に
は、床パネル１の一側辺寸法の間隔で螺孔14,14を形成
し、該螺孔14を、レール２の長手方向に沿って隣接する
床パネル1,1の側縁間の間隙15に位置させ、該螺孔14に
支持部材５のアジャスターボルト４を螺合して床基盤６
上に支持することにより、４枚の床パネル１の角部を同
時に前記アジャスターボルト４を介して床基盤６上に支
持するとともに、前記アシャスターボルト４を隣接する
床パネル1,1側縁間の間隙15から回転操作可能としてい
る。

そして、前記レール２の溝条13の長さ方向略全長にわ
たり、断面略上向きコ字形の補強部材16を固着又は嵌着
し、該補強部材16左右の遊端からＬ字形に延設形成した
位置決め片17,17が溝条12の左右上方に上向き突出し、
該位置決め片17に床パネル１の支持枠７の側板10を当接
することにより、レール２の長手方向左右に隣接する床
パネル1,1間に間隙15を形成して床パネル１側縁の突条1
1の下方に、床パネル１上方へ開口するコード等を配設
するための溝条13が位置した状態に床パネル１を位置決
め可能としている。

尚、前記補強部材16は、レール２の適所に設けたコー
ド引き出し用長孔18部分に重合する位置に、該長孔18に
連通する長孔19を設けて取付ければ実用的である。

前記の如く構成してなる二重床装置においては、多数
の床パネル１が１本のレール２の左右に支持されてお
り、各レール２を順次高さ調節することにより、多数の
床パネル１を迅速且つ正確に高さ調節しうるとともに、
床基盤５上に這わせたコード類等は、一旦レール２の長
孔18から溝条13内に配設し、該溝条13から左右に隣接す
る床パネル1,1間の間隙15を通して床パネル１上方の室
内空間へ引き出すことができ、コード処理を容易、且つ
円滑に行うことができる。また、隣接する床パネル1,1
は、位置決め片17に支持枠７の側面を当接して位置決め
し、迅速且つ正確に床パネル１を所定位置に設置するこ
とができる。

また、レール２は前記溝条13を形成したことにより、
この溝条13がリブの役割を果たしてレール２の曲げ強度
が向上することから、床パネル１に対するレール２の支
持強度をレール２を肉厚化することなく向上できる。

そして、前記の如く互いに隣接して配置された床パネ
ル１の側板10と段部12とで囲まれた間隙15には、該間隙
15の上方への開口部を被覆し、床パネル１と同一平面を
形成するための目地板20を嵌挿している。

前記目地板20は、床パネル1,1間の間隙14の幅と略同
一の幅とした表板部21の両側縁から脚部22を下設してな
る断面略下向コ字形に形成してなり、該目地板20を、そ
の脚部22を隣接する床パネル1,1の段部12上に当接した
状態で間隙15内に嵌挿することにより、該間隙15の開口
部を被覆するとともに、床パネル１と同一平面を形成す
るものである。そして、前記目地板20は合成樹脂等にて
成形するとともに、該目地板20における脚部22の下端部
には、前記両側板10,10間にガタつきなく突き合い状態
で嵌入できる弾力部23を突設している。

また、第３図〜第５図に示す如く床パネル1,1間の間
隙15の下方に位置するレール２の溝条13には、電気機器
に電源を供給するための電源コード24を配設するととも
に、該電源コード24の先端又は中間には電気機器のプラ
グ25を差し込むコンセント30を接続している。本考案
は、該コンセント30を前記間隙15に沿って位置変更自在
に固定することが可能な取付具31に関する。

前記取付具31は、取付空間を形成する前記間隙14に沿
った前後に、両側を前記隣接する床パネル1,1の段部11,
11に架設し得る幅、即ち前記側板10,10間の幅より狭く
且つ突条11,11間の間隔より広い幅の取付板32を有し、
該取付板32には該突条11,11間から下方へネジ33を挿通
し得る位置に通孔34を形成し、両取付板32,32の対向縁
から斜め下方へ互いに接近するように折曲して前記突条
11,11間の間隔と略一致した幅の傾斜面35,35を形成し、
両取付板32,32の折曲下端、つまり両傾斜面35,35の下端
をそれぞれ底板36にて連続させて、全体をスチール製の
板体で一体形成し、更に一方の前記傾斜面35にコンセン
ト本体37を、その差込口38を前記両傾斜面35,35と底板3
6で囲まれたプラグ25の収容空間39内に臨ませてビス止
め等の適宜手段にて固定するようになしたもので、そし
て前記突条11,11の下面間に架設状態で係止させて脱落
不能に差し込み挿入した定着板40の螺孔41に前記取付板
32の通孔34に挿通したネジ33を螺合して固定するもので
ある。ここで、前記コンセント30を固定した傾斜面35の
角度は、前記プラグ25を斜め上方から容易に差し込める
と同時に該プラグ25が前記収容空間39から大きく突出し
て床パネル１の天板９より上方に位置することがないよ
うに最適に設定するものとする。

尚、第３図に示す実施例においては、前記取付板32に
両側に通孔34を形成するとともに、該通孔34と上下に対
応した定着板40に螺孔41をに二ヶ所設けたが、第４図に
示す如く取付板32と定着板40のそれぞれ中央部に通孔34
と螺孔41を一ヶ所設けることも可能で、この場合ネジ33
を回転させる際に、それに応じて前記定着板40が回転し
て突条11,11の下面から外れることがないように、該定
着板40の長辺の長さを前記支持枠7,7の立上り片42,42間
の間隔若しくは補強部材16の位置に取付ける場合には両
位置決め片17,17間の間隔よりやや長く設定するととも
に、長さ方向両端を平面視略平行四辺形となるように切
欠43し、更に該両端の前記突条11下面に係止する部分を
下方へ僅かに折曲させている。

また、前記電源コード24は、床基盤６上、又は該床基
盤６からレール２に設けた長孔18を経てレール２の溝条
13内に案内するのである。

しかして、本考案のコンセント取付具31は、前記目地
板20を取り除いた後、前記取付板32と定着板40を締付け
ているネジ33を弛めることにより、隣接する床パネル1,
1間の間隙15に沿って移動可能となり、所望位置まで移
動させた状態で、再び前記ネジ33を締付けることでその
位置に固定するのである。また、移動距離が長い場合に
は、前記ネジ33を完全に抜き去り、該取付具31及び定着
板40を間隙15から取り出し、そして所望位置の間隙15に
前述のようにして固定するのである。

また、前記取付具31の固定位置の間隙15の開口部に
は、前記目地部20と同様の断面形状を有する短いコンセ
ントカバー50を、前記目地板20と同様に着脱自在に取付
けている。

前記コンセントカバー50は、間隙15と略同一幅で、且
つ前記取付具31を被覆しうる形状とした表板部51の両側
縁に脚部52を下設して断面略下向コ字形に形成するとと
もに、前記脚部52における長手方向の両側下端に前記同
様に弾力部53を形成し、更に電気機器に接続されたコー
ド26を挿通するための開口54を前記表板部51の一側両脚
部52,52間に形成している。該開口54は、プラグ25を既
にコンセント30の差込口38に接続している場合には該プ
ラグ25から延びたコード26を挿通するが、該プラグ25を
コンセント30に接続する際には、前記取付具31の上方を
閉塞した状態にあるコンセントカバー50を間隙15から引
き出すための把手の働きをするのである。

〔考案の効果〕

以上にしてなる本考案の二重床におけるコンセント取
付装置によれば、隣接する床パネルの間隙に取付具を上
方から挿入し、床パネルの両突条の上面段部に取付具の
前後取付板を載置するとともに、該取付板の通孔から下
方へ挿通したネジを、前記両突条の下面間に架設状態で
係止させた定着板の螺孔に螺合するだけで、前記取付板
と定着板で突条を上下から確実に締付けた状態で容易に
固定することができるとともに、この状態で傾斜面に固
定したコンセントの差込口は斜め上方を向くので、電気
機器に接続されたプラグを斜め上方から差し込んで容易
に接続することができ、更に前記ネジを弛めて、コンセ
ントを床パネル間の間隙に沿って移動させた後、再びネ
ジを締付けて取付具を固定するだけで、コンセントを所
望位置に極めて容易に移動させることができるととも
に、前記ネジを完全に定着板から抜き去ることにより、
取付具及び定着板を取り外すことができ、必要な位置に
のみ付け替えることができるので、予め多数のコンセン
トを床面に固定しておく必要がなく、そのためコスト低
減を図ることができるとともに、電気機器に対して最短
距離に設置することが可能となるのである。しかも、床
パネルを載置支持するために設けられるレールを利用
し、そのレール上に取付板を取付けるための取付空間と
しての間隙を設けることによって、例えばコンセント用
取付空間を形成するダクト本体等を特別に設けるものに
比して、部材の兼用化による部材点数の削減化を図るこ
とができ、その分床パネル及びコンセントの取付け作業
効率の向上を図ることができる。更に、コンセントの取
付部をパネルの側板下部に突設した突条を利用すること
によって、特別なコンセントの取付部を設けるものに比
して構造の簡素化を図ることができ、その分コスト低減
を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は二重床装置を採用してなる室空間の説明用斜視
図、第２図は前記二重床装置における要部分解斜視図、
第３図は本考案のコンセント取付具の実施例を示す要部
斜視図、第４図は他の実施例を示す要部斜視図、第５図
は取付具を隣接する床パネル間の間隙に固定した状態の
縦断面図、第６図は第５図のX-X線縦断面図である。 1:床パネル、2:レール、3:基板、4:アジャスターボル
ト、5:支持部材、6:床基盤、7:支持枠、8:補強体、9:天
板、10:側板、11:突条、12:段部、13:溝条、14:螺孔、1
5:間隙、16:補強部材、17:位置決め片、18:長孔、19:長
孔、20:目地板、21:表板部、22:脚部、23:弾力部、24:
電源コード、25:プラグ、26:コード、30:コンセント、3
1:取付具、32:取付板、33:ネジ、34:通孔、35:傾斜面、
36:底板、37:コンセント本体、38:差込口、39:収容空
間、40:定着板、41:螺孔、42:立上り片、43:切欠、50:
コンセントカバー、51:表板部、52:脚部、53:弾力部、5
4:開口。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】床基盤上に上下方向に適宜間隔を設けて複
   数のレールを配設し、これらレール上に多数枚の床パネ
   ルを水平方向に適宜間隙を設けて載置支持してなる二重
   床において、前記床パネルの側板下部に突設した突条の
   上面段部間に架設し得る取付板を前記間隙に沿った前後
   に有し、該取付板にはネジを挿通する通孔を形成すると
   ともに、両取付板の対向縁から斜め下方へ互いに接近す
   るように折曲して傾斜面を形成し、前記両取付板の折曲
   下端間を底板にて連続させて一体形成し、前記傾斜面に
   コンセントをその差込口を斜め上方に向けた状態で固定
   してなる取付具と、前記突条の下面間に架設状態で係止
   し得る長さを有し、前記取付板の通孔と上下対応する位
   置に前記ネジを螺合し得る螺孔を形成してなる定着板
   と、よりなることを特徴とする二重床におけるコンセン
   ト取付装置。