JP2510210B2 - エンジンの燃料圧力制御装置 - Google Patents

エンジンの燃料圧力制御装置

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JP2510210B2
JP2510210B2 JP62187052A JP18705287A JP2510210B2 JP 2510210 B2 JP2510210 B2 JP 2510210B2 JP 62187052 A JP62187052 A JP 62187052A JP 18705287 A JP18705287 A JP 18705287A JP 2510210 B2 JP2510210 B2 JP 2510210B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば車両用としての燃料噴射装置付エン
ジンの燃料圧力制御装置に関するものである。
〔従来の技術〕
従来より車両に搭載される燃料噴射装置付エンジンに
おいては、エンジン停止後において燃料温度の上昇した
状態でエンジンを再始動させようとすると、この高温時
に発生した燃料蒸気の存在により、始動不良や始動困難
を生じることがある。このような高温時の燃料蒸気によ
る始動不良を改善するための燃料圧力制御装置が種々提
案されている。
例えば特開昭59−75562号公報には、エンジンの吸気
管内に燃料を噴射するインジェクタへ供給する燃料の圧
力を吸気管負圧に関係して調整する燃料圧力の調整器の
操作圧力室への操作圧力通路に、温度に応じてこの通路
を選択的に吸気管または大気へ接続する温度応動圧力切
換弁を設け、所定値以下の燃料温度では吸気管負圧を、
また所定値以上の燃料温度では大気圧を、燃料圧力調整
器の操作圧力室へ選択的に供給するようにした燃料圧力
制御装置が記載されている。
また、特開昭60−190660号公報には、プレッシャレギ
ュレータに2つのダイヤフラムを設け、2つの負圧室と
燃料室に分けると共に各々の負圧室にスプリングを設
け、通常の時は両方の負圧室に吸気管負圧を作用させ、
高温再始動時には一方の負圧室を大気に開放するように
し、このようにすることで高温再始動時の燃料の圧力を
通常時より上げるようにした燃料圧力制御装置が示され
ている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところが、実開昭59−75562号公報に示されるような
装置では、高温再始動時の燃料圧力は通常時に吸気管負
圧がほぼ大気圧状態になった時の燃料圧力とほぼ同じ程
度にしかならない。そのため燃料圧力上昇による始動性
向上の効果が小さく、従って車両が極めて過酷な運転を
した後、例えば比較的長い時間登坂した後等においてエ
ンジンを停止したような場合には、燃料が極めて高温と
なるために、そのような燃料が超高温に達している状態
で再始動しようとした場合には、上記実開昭59−77562
号公報の装置で燃料圧力を高めるようにしたとしても始
動困難になる場合が多い。
この場合、吸気管負圧に関係して燃料圧力を調整する
時に設定される燃料圧力自体を予め高くしておくこと
で、高温再始動の燃料圧力を燃料温度が上述のように超
高温状態となっている時でも始動可能になるよう高くす
ることができるが、吸気管負圧に関係して調整される燃
料圧力が高くなりすぎることにより、燃料ポンプの寿命
低下などの悪影響を引き起こす可能性がある。
また、特開昭60−190660号公報に示されるような装置
では、再始動のクランキング時における吸気管内の圧力
は大気圧状態となっているため、実開昭59−75562号公
報に示される装置と同程度にしか始動前の燃料圧力を高
めることができず、実開昭59−75562号公報と同様な問
題が生じる。
さらに、エンジン始動後では吸気管内に負圧が発生
し、この負圧がプレッシャレギュレータの一方の負圧室
に導かれるので、燃料圧力がクランキング時のものより
高くなっており、このように高い燃料圧力に調整されて
いる状態から、その後に通常の燃料圧力に戻されると、
両燃料圧力の差が大きいために、燃料圧力が大きく急変
し、インジェクタから噴射される燃料量が急変するよう
になってしまい、空燃比変動が極めて大きくなってしま
う。
従って、本発明の目的は、エンジンの始動性を向上さ
せるために、エンジン始動時の燃料温度に応じて最適な
燃料圧力ゐ調整し得るエンジンの燃料圧力制御装置を提
供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上記問題点を解決するために、本発明においては、第
8図に示すように、プレッシャレギュレータをその内部
が第1のダイヤフラムと第2のダイヤフラムとにより第
1の負圧室と第2の負圧室と燃料室とに分離される構成
とすると共に、エンジン作動時に吸気管内に発生する負
圧を蓄圧する負圧タンクと、第1の負圧室に導かれる第
1の圧力を吸気管内の圧力と大気圧とのいずれかに切り
換える第1の切換手段と、第2の負圧室に導かれる第2
の圧力を吸気管内の圧力と大気圧と負圧タンクの負圧と
のいずれかに切り換える第2の切換手段と、エンジンの
始動を検出する始動検出手段と、燃料温度、または燃料
温度に関連する温度を検出する温度検出手段と、始動時
の温度検出手段にて検出される温度が第1の所定温度以
上の時、第1の負圧室に大気圧を、第2の負圧室に負圧
タンクの負圧を導き、第1の所定温度より低い第2の所
定温度以上の時、第1の負圧室と第2の負圧室との双方
に大気圧を導き、第2の所定温度より低い時、第1の負
圧室と第2の負圧室との双方に吸気管内の圧力を導くよ
う第1の切換手段と第2の切換手段とを制御する制御手
段とを備えたエンジンの燃料圧力制御装置としている。
〔作用〕
上記構成によれば、第2の所定温度より低い始動時に
はプレッシャレギュレータの両負圧室にはともに吸気管
内の圧力が導かれ、インジェクタに供給される燃料の圧
力は吸気管内の圧力に応じた通常時の圧力に調節され
る。また第1の所定温度より低く第2の所定温度以上の
始動時には両負圧室にはともに大気圧が導かれ、インジ
ェクタに供給される燃料の圧力は大気圧に応じた、通常
時の圧力より高い高温始動時を圧力に調節される。さら
に第2の所定温度以上の始動時には第1の負圧室に大気
圧が、第2の負圧室には負圧タンクの負圧が導かれ、イ
ンジェクタに供給される燃料の圧力は高温再始動時の圧
力よりも高い超高温再始動時の圧力に調節される。
〔実施例〕
本発明の実施例について図面を参照して以下に説明す
る。
第1図は車両前部に搭載されるエンジン100及びエン
ジン100に関係する機器の構成を示している。
第1図において1は燃料タンクであり、車両後部のエ
ンジン100とは離れた位置に設けられており、該燃料タ
ンク1からはパイプ1aが導出され、パイプ1aは燃料タン
ク1近くに設けられた燃料ポンプ2の吸入側に連結され
ている。そして、燃料ポンプ2の吐出側にはパイプを介
して車両前部のエンジン100の近くに設けられた燃料フ
ィルタ3が接続されており、燃料フィルタ3からは燃料
供給パイプ10が導出され、プレッシャレギュレータ5に
接続されている。
また、このパイプ10の中間には図示の如く、エンジン
100の吸気バルブ付近に燃料を噴射供給するインジェク
タ4が設けられている。従って、燃料タンク1内に貯え
られた燃料が燃料ポンプ2によりフィルタ3を介してイ
ンジェクタ4へと供給される。また、インジェクタ4に
供給された燃料でインジェクタ4から噴射されなかった
燃料はパイプ10を介してプレッシャレギュレータ5へと
送られる。
前記プレッシャレギュレータ5内には第1及び第2の
2枚のダイヤフラム12,13が設けられ、プレッシャレギ
ュレータ5のハウジング5a内は第1のダイヤフラム12と
第2のダイヤフラム13によって上方から第1の負圧室
A、第2の負圧室B、燃料室Cに隔離されている。尚、
第1のダイヤフラム12の有効受圧面積は第2のダイヤフ
ラム13の有効受圧面積より大きく形成されている。
燃料室Cのハウジング5aには燃料室Cに燃料を導入さ
せるための燃料流入口部14をなすパイプ14aと燃料室C
から燃料を排出する燃料リターン口部15をなすパイプ15
aが設けられており、パイプ14aには前記パイプ10を介し
てインジェクタ4が接続され、パイプ15aには燃料リタ
ーンパイプ11が接続され、燃料リターンパイプ11のもう
一方の端部は燃料タンク1内に開口している。また第2
図に示すように燃料室C内には、第2のダイヤフラム13
に固定された剛体52、燃料リターン口15に固定された剛
体54によって調節弁50が構成されている。
また第1の負圧室Aおよび第2の負圧室Bの間の第1
のダイヤフラム12には伝達板51が固定されており、伝達
板51は前記剛体52と剛体でできた伝達棒53で連結されて
いる。即ち伝達板51と剛体52は一体となって可動する。
第1の負圧室A内に設けられたスプリング55は第1のダ
イヤフラム12を第2の負圧室B側に付勢しており、従っ
て、スプリング55の付勢力は伝達板51、伝達棒53、剛体
52を介して第2のダイヤフラム13に伝えられ、前記調節
弁50を閉じる方向に作用する。
第1の負圧室のハウジング5aには第1の導圧部7aをな
すパイプ7bが設けられており、このパイプ7bを介して第
1の負圧室Aは第1の切換手段をなす第1の電磁切換弁
7に接続されている。第1の電磁切換弁7は公知の三方
弁であり、コントロールユニット(制御装置)6の信号
によって第1の負圧室Aへの導圧ホースを大気あるいは
吸気管110のスロットル弁120の下流側のサージタンク11
1と連通させるものである。すなわち、第1の負圧室A
内の圧力(第1の圧力)は第1の電磁切換弁7により大
気圧とサージタンク111内の圧力とのいずれかに切り換
えられる。第3図に第1の電磁切換弁7の構成を示す。
第1の電磁切換弁7には3つの導圧孔74,75,76があり、
導圧孔74は常にプレッシャレギュレータ5の第1の負圧
室Aと連通しており、電磁コイル72の非通電時には弁71
はスプリング73により、大気に連通する導圧孔76を閉塞
する方向で付勢され、導圧孔74,75は連通する。そして
導圧孔75はサージタンク111に接続されている。またコ
イル72の通電時には弁71は図において右方へ吸引され、
導圧孔74と大気連通導圧孔76が連通し、導圧孔74と75の
間の通路は弁71で遮断される。
同様に、第1図、第2図に示すように第2の負圧室B
のハウジング5aには第2の導圧部をなすパイプ8bが設け
られており、このパイプ8bを介して第2の負圧室Bは第
2の切換手段をなす第2の電磁切換弁8に接続されてい
る。そして第2の電磁切換弁8も第1の電磁切換弁7と
同様な構造の三方弁であり、第2の電磁切換弁8のコイ
ルの非通電時には第2の負圧室Bと第1の負圧室Aと第
1の電磁切換弁7との間に導圧ホースとが連通し、コイ
ル通電時には第2の負圧室Bと負圧タンク9とが連通す
る。すなわち、第2の負圧室B内の圧力(第2の圧力)
は、第2の電磁切換弁8により第1の負圧室Aに導かれ
る圧力と負圧タンク9内の負圧とのいずれかに切り換え
られる。負圧タンク9内には逆止弁があり、サージタン
ク111に接続されている。
第4図に負圧タンク9の構造を示す。負圧タンク9に
は2つの導圧孔91,92があり、91はサージタンク111,92
は第2の電磁切換弁8に接続されている。また、負圧タ
ンク9内にはスプリング93、弁94による逆止弁が内蔵さ
れている。弁94はスプリング93によって導圧孔91と負圧
タンク9内とを遮断するように付勢されており、負圧タ
ンク9内よりもサージタンク111内の圧力の方が低くな
ると、弁94は上方に吸引され、サージタンク111と負圧
タンク9内は連通し、負圧タンク9内の圧力がサージタ
ンク111内と等しくなり、弁94が閉じる。以上のように
してサージタンク111内に発生する負圧が負圧タンク9
内に蓄圧される。
第1及び第2の電磁切換弁7,8はコントロールユニッ
ト(制御装置)6によって駆動される。コントロールユ
ニット6にはエンジンに吸入される吸入空気の吸気温度
を検出する吸気温センサ61と、エンジン水温を検出する
水温センサ62と、スロットル弁120の全閉状態でオンす
るアイドルスイッチ63と、該変機がニュートラル位置に
あるかクラッチが切られているとオンするニュートラル
スイッチ64と、スタータが作動中であるとオンするスタ
ータスイッチ65と、エンジン回転数を検出する回転数セ
ンサ66とが接続され、これらセンサ61〜66の検出信号が
コントロールユニット6に入力されるようになってい
る。
このコントロールユニット6はマイクロコンピュータ
を中心として構成されており、周知の如く演算を実行す
るセントラルプロセッシングユニット(CPU)6aと、一
時的にデータを記憶する読み書き可能なランダムアクセ
スメモリ(RAM)6bと、CPU6aで使われるプログラムやデ
ータが記憶されている読み出し専用のリードオンリーメ
モリ(ROM)6cと、各センサ61〜66からの信号を入力す
る入力ポート6dと、CPU6aで実行された演算結果に応じ
た駆動信号を出力する出力ポート6eと、CPU6a,RAM6b,RO
M6c、入力ポート6d、出力ポート6eを相互に電気的に接
続するバス6fとから構成されている。
次に、上記構成における作動をCPU6aで実行される処
理プログラムに基づいて説明する。
第5図に示すフローチャートはエンジンの温度状態を
判定するプログラムルーチンであって、このルーチンは
一定期間毎に実行される。
第5図のルーチンによれば、水温センサ62で検出され
る水温が第1の所定水温TWH(例えば110℃)以上でしか
も吸気温センサ61で検出される吸気温が第1の所定吸気
温TAH(例えば55℃)以上の時(ステップ501,503)、ス
テップ507にてエンジン温度が極めて高い状態にあると
判断されて、TE=2とされる。また、水温が第1の所定
水温TWH以上で、吸気温が第1の所定吸気温TAHより低
く、第2の所定吸気温TAL(例えば45℃)以上の時(ス
テップ501,503,504)、あるいは水温が第1の所定水温T
WHより低く、第2の所定水温TWL(例えば90℃)以上
で、吸気温が第2の所定吸気温TAL以上の時(ステップ5
01,502,504)、エンジン温度が高い状態にあると判断さ
れて、TE=1とされる。さらに、水温が第2の所定水温
TWLより低いか、吸気温が第2の所定吸気温より低い時
(ステップ502,504)、エンジン温度が通常域にあると
判断されて、TE=0とされる。そして以上の処理が終了
すると本ルーチンを終了する。なお、上記のTEの状態は
RAM6bに記憶される。
第6図に示すフローチャートは燃料圧力をエンジン1
の状態に応じて設定するためのプログラムルーチンであ
り、本ルーチンは図示しないイグニッションスイッチが
ONされると、一定時間毎に実行される。
まずステップ601では第5図に示されるプログラムル
ーチンで求められ、RAM6bに記憶されているTEが0か、
1か、2かが確かめられる。そして、TE=2のときはス
テップ602へ、TE=1のときはステップ609へ、TE=0の
ときはステップ613へ進む。
ステップ602に進むと、エンジン1が始動中であるか
が判定される。なおこの判定はスタータスイッチ65がオ
ンで、回転数センサ66で検出されるエンジン回転数が所
定回転数(500rpm)以下のとき、始動中であると判定さ
れる。始動中と判定された場合は、ステップ605で燃料
圧力を超高圧にさせるためにFP=2として本ルーチンを
終了する。
またエンジン1が始動中でなければ、ステップ603に
進んで、始動後の経過時間がT1(例えば120秒)以内か
を判定し、T1以内ならばステップ604に、T1を上回って
いるならばステップ605に進む。ステップ604では車両が
走行中であるかが判定される。なお、この判定はニュー
トラルスイッチ64がオフで、アイドルスイッチ63がオフ
であるとき、走行中と判定する。走行中と判定されれ
ば、ステップ607に進み、燃料圧力を高圧にさせるため
に、FP=1として本ルーチンを終了し、非走行中と判定
されれば、ステップ606に進み、FP=2として、本ルー
チンを終了する。
またステップ605に進んだ場合は、始動後の経過時間
がT2(例えば180秒)以内かを判定し、T2以内ならばス
テップ607に進んで前述の通り、FP=1として本ルーチ
ンを終了し、T2を上回っているならばステップ608に進
んで、燃料圧力を通常圧にさせるために、FP=0として
本ルーチンを終了する。
ところで、TE=1でステップ601からステップ609に進
んだ場合は、ステップ602と同様にして、始動中かが判
定され、始動中と判定されれば、ステップ611に進ん
で、FP=1として本ルーチンを終了する。また始動中で
ないと判定されれば、ステップ611に進んで始動後の経
過時間がT3(例えば150秒)以内かが判定され、T3以内
であればステップ611に進み、FP=1として、本ルーチ
ンを終了し、T3を上回っていれば、ステップ612に進ん
でFP=0として本ルーチンを終了する。
さらにTE=0でステップ601からステップ613に進んだ
場合は、FP=0として本ルーチンを終了する。
次に、上述の第6図に示すルーチンにより、定められ
た燃料圧力の設定(FP=0,1,2)に対する第1、第2の
電磁切換弁7,8に対する制御を説明する。
FP=0、つまり燃料圧力を通常圧にする場合は、コン
トロールユニット6は第1の電磁切換弁7と第2の電磁
切換弁8とを共に非通電とする。そのためプレッシャレ
ギュレータ5の第1の負圧室Aと第2の負圧室Bには共
に吸気管負圧が導入される。その結果、プレッシャレギ
ュレータ5はスプリング55と吸気管負圧との相互作用に
より調節弁50が作動し、インジェクタ4から噴射されず
に燃料流入口部14から燃料室C内に流入した燃料を適宜
燃料リターン口部15を通じて燃料タンク1内に戻し、通
常のように吸気管負圧に応じて燃料圧力を調整する。
そして、この時の燃料圧力は第7図の実線に示すよう
に吸気管負圧に応じたものとなる。
次に、FP=1、つまり燃料圧力を高圧にする場合は、
コントロールユニット6は第1の電磁切換弁7を通電と
し、第2の電磁切換弁8を非通電とする。そのためプレ
ッシャレギュレータ5の第1の負圧室Aと第2の負圧室
Bには共に大気圧が導入される。その結果、プレッシャ
レギュレータ5はスプリング55により調節弁50が作動
し、燃料圧力は第7図一点鎖線で示すように、吸気管負
圧によらず一定となり、通常時より圧力が高くなる。
さらに、FP=2つまり燃料圧力を超高圧にする場合
は、コントロールユニット6は第1及び第2の電磁切換
弁7及び8を共に通電とする。そのためプレッシャレギ
ュレータ5の第1の負圧室Aは大気に連通し、また第2
の負圧室Bは負圧タンク9に連通し負圧タンク9内に蓄
圧されている負圧が導入される。その結果調節弁50はス
プリング55の力と負圧タンク9の負圧とにより、燃料リ
ターン口15部を閉ざす方向に作用し、そのため燃料圧力
はFP=1のときよりも高められる(第7図破線)。ま
た、負圧は負圧タンク9から供給されるので、クランキ
ング時のような吸気管負圧がほとんど生じない場合にお
いても燃料圧力を高めることができる。
燃料圧力の設定FPの状態と第1及び第2の負圧室A,B
の状態との関係を表に示すと次のようになる。
従って、上記実施例によれば、エンジン1の温度が極
めて高温である時の始動時、つまりインジェクタ4近傍
の燃料がエンジン1の熱で超高温となっていると考えら
れる始動時においては、燃料の圧力が単に各負圧室A,B
に大気圧を導いた時よりも高い圧力に調整されるので、
始動性を向上でき、またその直後のアイドル運転時にお
いてもしばらく超高圧状態にしているので、アイドル運
転が充分に安定するようになる。
また、始動後、所定時間T1を経過した後や始動直後に
車両が走行状態となった場合、インジェクタ4に供給さ
れる燃料は燃料タンク1内の温められていない燃料が送
られてくるので、燃料圧力を高める必要はなくなるが、
一旦大気圧を両負圧室A,Bに導入して燃料圧力を高圧状
態にし、そしてその後所定時間が経過した後で吸気管負
圧を両負圧室A,Bに導入して燃料圧力を通常圧状態にし
ているので、燃料圧力の急変が抑制され、空燃比の変動
を充分に抑制できるようになる。
さらに、始動時の燃料圧力をエンジン温度状態に応じ
て3段階に調整しているので、燃料ポンプ2に過剰な負
担がかかることを充分に抑制できるようになる。
なお、上記実施例ではエンジン1の冷却水温や吸気温
に基づいて始動時の燃料温度を推定していたが、燃料温
度、特にインジェクタ4近傍の燃料温度を直接検知する
ようにしてもよい。
また上記実施例では、アイドルスイッチ63やニュート
ラルスイッチ64でエンジン1のアイドル運転時と負荷運
転時とを判別して燃料圧力が切り換えるようにしていた
が、さらにエンジン1の負荷の程度を示すパラメータ、
例えばスロットル開度、エンジン回転数、吸入空気量、
吸気管負圧、噴射基本パルス等により、燃料圧力を切り
換えるようにしてもよく、例えば、エンジン始動時の燃
料温度が超高温のときには、始動直後の所定時間内のエ
ンジン負荷が上記負荷パラメータにより低負荷と判断さ
れれば、燃料圧力を超高圧に維持させるようにしておく
ようにし、負荷が高負荷に移れば、燃料圧力を高圧、さ
らには通常圧へと切り換えていくようにしてもよい。
〔発明の効果〕
以上述べたように、本発明によれば、エンジン始動時
の燃料温度又は材料温度に関連する温度に応じて、両負
圧室に導入される圧力が、第1、第2の切換手段により
切り換えられるので、燃料圧力が3段階に切り換えられ
るようになり、燃料温度に見合った最適な燃料圧力が始
動時に確保され、従ってエンジン始動性を充分に高める
ことができる。
また、燃料温度が極めて高い時のみ、燃料圧力が超高
圧となるようにしており、燃料温度がやや高い、または
通常温度程度の時は燃料圧力を若干高めるか通常の圧力
としているので、燃料ポンプの負荷を低く抑えられるよ
うになる。
また、クラッキング時のような吸気管負圧がほとんど
発生しない時でも、負圧タンクに蓄圧した負圧をプレッ
シャレギュレータの第2の負圧室に供給しているので、
燃料圧力を超高圧にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例が適用されるエンジン、及び
エンジンに関係する機器の構成を示す全体構成図、第2
図は第1図図示のプレッシャレギュレータの断面図、第
3図は第1図図示の第1の電磁切換弁の断面図、第4図
は第1図図示の負圧タンクの断面図、第5図、第6図は
第1図図示のコントロールユニットで実行されるプログ
ラムのフローチャート、第7図は上記実施例による燃料
圧力特性を示す特性図、第8図は本発明の概略構成図で
ある。 1……燃料タンク,2……燃料ポンプ,4……インジェク
タ,5……プレッシャレギュレータ,6……制御装置,7……
第1の電磁切換弁,8……第2の電磁切換弁,9……負圧タ
ンク,12……第1のダイヤフラム,13……第2のダイヤフ
ラム,14……燃料流入口部,15……燃料リターン口部,50
……調節弁,55……スプリング,61……吸気温センサ,62
……水温センサ,63……アイドルスイッチ,64……ニュー
トラルスイッチ,65……スタータスイッチ,66……回転数
センサ,A……第1の負圧室,B……第2の負圧室,C……燃
料室。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城戸 美伸 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 半田 利宏 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−190660(JP,A) 実開 昭59−75562(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンに燃料を噴射供給するインジェク
    タと、前記インジェクタに供給される燃料を貯えた燃料
    タンクと、前記燃料タンク内の燃料を前記インジェクタ
    に供給する燃料ポンプと、前記インジェクタに供給され
    る燃料の圧力を調節するプレッシャレギュレータとを備
    えるエンジンの燃料圧力制御装置であって、 前記プレッシャレギュレータが、ハウジングと前記ハウ
    ジングの内部を第1の負圧室と第2の負圧室とに隔離す
    る第1のダイヤフラムと、前記ハウジングの内部を第2
    の負圧室と燃料室とに隔離する第2のダイヤフラムと、
    前記第1の負圧室に設けられ、前記第1のダイヤフラム
    を前記第2の負圧室側に付勢するスプリングと、前記ス
    プリングの付勢力を前記第2のダイヤフラムに伝達する
    前記第2の負圧室に設けられた伝達部材と、前記インジ
    ェクタに供給される燃料の一部を前記燃料室に導入する
    ために前記ハウジングに設けられた燃料流入口部と、前
    記燃料室に導入された燃料を前記燃料タンクに戻すため
    に前記ハウジングに設けられた燃料リターン口部と、前
    記燃料リターン口部を介して前記燃料タンクに戻される
    燃料量を調節するために前記燃料室に設けられ、前記第
    2のダイヤフラムと協動する調節弁と、前記第1の負圧
    室に第1の圧力を導くために前記ハウジングに設けられ
    た第1の導圧部と、前記第2の負圧室に第2の圧力を導
    くために前記ハウジングに設けられた第2の導圧部とを
    備えていると共に、 エンジン作動時に吸気管内に生じた負圧を蓄圧する負圧
    タンクと、 前記プレッシャレギュレータの前記第1の負圧室に導か
    れる前記第1の圧力を前記吸気管内の圧力と大気圧のい
    ずれかに切り換える第1の切換手段と、 前記プレッシャレギュレータの前記第2の負圧室に導か
    れる前記第2の圧力と前記負圧タンク内に蓄圧された負
    圧と大気圧と前記吸気管内の圧力のいずれかに切り換え
    る第2の切換手段と、 エンジンの始動を検出する始動検出手段と、 前記インジェクタに供給される燃料の温度、または燃料
    温度に関連する温度を検出する温度検出手段と、 前記始動検出手段にてエンジンの始動が検出されている
    時の前記温度検出手段にて検出される温度に基づいて、
    前記温度が第1の所定温度以上の時に前記プレッシャレ
    ギュレータの前記第1の負圧室に導かれる前記第1の圧
    力を大気圧にし、前記第2の負圧室に導かれる前記第2
    の圧力を前記負圧タンク内の負圧にし、また前記温度が
    前記第1の所定温度より低い第2の所定温度以上の時に
    前記プレッシャレギュレータの前記第1の負圧室に導か
    れる前記第1の圧力と前記第2の負圧室に導かれる前記
    第2の圧力との双方を大気圧にし、さらに前記温度が前
    記第2の所定温度より低い時に前記プレッシャレギュレ
    ータの前記第1の負圧室に導かれる前記第1の圧力と前
    記第2の負圧室に導かれる前記第2の圧力との双方を前
    記吸気管内の圧力にするよう前記第1の切換手段と前記
    第2の切換手段とを制御する制御手段と を有することを特徴とするエンジンの燃料圧力制御装
    置。
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