JP2510189B2 - 車体塗装方法 - Google Patents

車体塗装方法

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祥夫 上田
高司 新宮
貴 遠山
章 山下
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、車体塗装方法に関するものである。さらに
詳しく述べると本発明は樹脂製部品を有する車体の塗装
方法に関するものである。
(従来の技術) 従来、自動車用外板としては、鋼板が用いられていた
が、外観の高品質化と燃費向上のための車体の軽量化な
らびに車体の形状改良による空気抵抗の低減などに関す
る要望により、最近自動車用外板としてのFRP(繊維強
化プラスチックス)に代表されるフィラー混合樹脂やポ
リマーアロイなどの樹脂系材料が多く用いられるように
なってきており、例えば第1図に示すように、バンパー
ないしはバンパーフェイシア1、フェンダー2、ドア3
およびサイド シル モール4等の部品が樹脂系材料に
転換されている(特開昭57−194,074号)。
さて、このような樹脂製部品を用いる場合の車体の塗
装方法としては、従来、第3a図に示すように樹脂製部品
と鋼板製車体本体とを別々に塗装した後に車体本体に樹
脂製部品を組付ける方法と、第3b図に示すように、鋼板
製車体本体に電着塗装を、また樹脂製部品にプライマー
塗装をそれぞれ施した後に車体本体に樹脂製部品を組み
付け、その後、一般的な鋼板用塗料による車体塗装(中
塗、上塗塗装)を同一ラインにて行なう方法とがとられ
ていた。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、第3a図に示すような従来の塗装方法に
おいては、樹脂製部品と鋼板製車体本体とを別々に塗装
するために、塗料や焼付条件が異なるものとなることか
ら車体本体と樹脂製部品との塗装の色合せ、特にメタリ
ック色の塗装の場合における色合せが困難となり、また
塗装品質に差が生じ、さらには塗装コストが上昇すると
いう問題点があった。また、第3b図に示すような従来の
塗装方法においては、中塗、上塗塗装に一般的な鋼板用
塗料を用いるために、焼付温度が通常130〜150℃と高温
となることから焼付時に樹脂製部品が変形を起こす虞れ
があり、また特にフィラー混入樹脂製部品については焼
付時における樹脂マトリックスとフィラーとの熱膨張率
の差により塗装面が荒れたものとなり、さらには樹脂製
部品のプライマー塗料と鋼板用塗料との密着性が悪く塗
膜強度が低いという問題点があった。このように第3a図
および第3b図に示される従来の車体塗装法によっては、
鋼材製車体本体と樹脂製部品の双方に満足のゆく塗膜を
与えることのできないものであった。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、このような従来の問題点に着目してなされ
たもので、予め別ラインでプライマー塗装および樹脂・
鋼板共用中塗塗料による中塗塗装を行なった樹脂製部品
を電着塗装を行なった車体本体に取付け、その後、樹脂
・鋼板共用中塗塗料による中塗塗装および樹脂・鋼板共
用上塗塗料による上塗塗装を同一ラインにて行なうこと
により、上記問題点を解決しようとするものである。
(作用) しかして、本発明の車体塗装方法によると、樹脂製部
品と鋼板製車体本体とが同時に同一条件下にて同じ上塗
塗料を用いて塗装が行なわれるために、これらの間の色
調の違いは起こらず、また樹脂マトリックスとフィラー
との熱膨張率の差により表面が荒れやすい樹脂製部品の
みに、プライマー塗装、2度の中塗塗装および上塗塗装
の4コートを施し、一方このような配慮の必要がない鋼
板製車体本体には、電着塗装、中塗塗装および上塗塗装
の3コートを施すために、外観仕上り性も十分な性状を
有して一致しかつ経済的である。さらに、中塗塗装およ
び上塗塗装に用いられる塗料として、樹脂・鋼板共用の
塗料を適用するために、樹脂製部品および鋼板製車体本
体のいずれにおいても完成塗膜の密着性が良好なのとな
り、またこれらの樹脂・鋼板共用塗料の焼付温度が比較
的低温であるゆえに焼付時における樹脂製部品の熱変形
を生じない。
(実施例) 以下、本発明を図面に基づきより詳細に説明する。第
2図は本発明の車体塗装方法の工程を示す図面である。
本発明の車体塗装方法は、例えば第1図に示すようなバ
ンパーないしはバンパーフェイシア1、フェンダー2、
ドア3およびサイドシルモール4などの外装部品がフィ
ラー混入樹脂などの樹脂系材料により構成される自動車
に対して、これらの樹脂製部品と鋼板製車両本体5を同
色に塗装しようとする場合に好適に用いられるものであ
る。第2図に示すように本発明の車体塗装方法において
は、鋼板製車体本体は一般的な車体塗装におけると同様
にまず脱脂、化成処理、水洗等の前処理工程を経た後、
下塗工程として電着塗装を施される。一方、樹脂製部品
は、所定形状に成形された後、車体本体とは異なるライ
ンにおいて、脱脂、洗浄等の前処理工程を経た後プライ
マー塗装され、さらに樹脂・鋼板共用中塗塗料による中
塗塗装を施される。次に中塗塗装を施された樹脂製部品
は、電着塗装を施された鋼板製車体本体に取付けられ
る。続いて樹脂製部品と車体本体とに、同一ラインにて
前記樹脂・鋼板共用中塗塗料による中塗塗装を施し、さ
らに樹脂・鋼板共用上塗塗料による上塗塗装を施すこと
により車体塗装を完了し、自動車車体は組立て行程へと
運ばれる。
なお本発明の車体塗装方法においては、樹脂製部品の
用いられるプライマーを、第2図に示すように電着塗装
後に車体本体に塗装し、その後中塗塗装を行なうことも
可能である。この際、用いるプライマーは、車体本体に
はチッピングプライマーとして作用し、一方、樹脂製部
品には塗膜の密着性確保と樹脂製部品に対する衝撃力を
緩和させる効果がある。
本発明の車体塗装方法において用いられるプライマー
としては、焼付工程を必要とせず、いわゆるウェット・
オン・ウェットで中塗塗装にかけられるものが望まし
く、例えばオレフィン樹脂ワニス系のソフレックス6100
UN−3(関西ペイント(株)製)、プラグロス1100UN−
102(日本油脂(株)製)等が好ましく使用される。ま
た、樹脂・鋼板共用中塗塗料および樹脂・鋼板共用上塗
塗料としては、いずれも比較的低温、好ましくは70〜90
℃の温度で、短時間、好ましくは10〜60分程度の処理時
間で焼付可能なものが望ましく、また樹脂系および鋼板
系のいずれに対しても良好な密着性を有することが必要
とされ、特に広い温度範囲で樹脂製部品の膨張収縮に追
随できる柔軟性を有することが必要とされる具体的に
は、樹脂・鋼板共用中塗塗料としては、例えばポリウレ
タン系のKPX30−II(関西ペイント(株)製)、プラグ
ロス4600(日本油脂(株)製)等がまた樹脂・鋼板共用
上塗塗料としては、例えばポリウレタン系のユニコート
X−100(関西ペイント(株)製)、プラグロス8600
(日本油脂(株)製)等が好ましく使用される。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
繊維強化ナイロン(ミネラルナイロンCM6011RM12、東
レ(株)製)およびウレタンR−RIM(フィラー=RU901
P、旭硝子(株)製/ウレタン=I−160L、日本ポリウ
レタン(株)製)を用いたフィラー混入樹脂製試験片に
対してまずプライマー塗装および樹脂・鋼板共用中塗塗
料での中塗塗装を施し、一方鋼板製試験片には電着塗装
およびチッピングプライマー塗装を施した後、双方の試
験片が同一ラインにおいて同時に樹脂・鋼板共用塗料で
の中塗塗装および上塗塗装を実施した。なお用いられた
各塗料および焼付条件は第1表に示される通りである。
得られた試験片に対して色一致性、外観仕上り性および
コストを検討した。結果を第2表に示す。
比較例1 樹脂製試験片に対するオフラインにおける中塗塗装お
よび鋼板製試験片に対するチッピングプライマー塗装を
行なわない以外は、実施例1と同様にして塗装を行なっ
た。用いられた各塗料および焼付条件は第1表に示され
る通りである。得られた試験片に関して色一致性、外観
仕上り性、耐チッピング性およびコストを検討した。結
果を第2表に示す。
比較例2 鋼板製試験片に対して、樹脂・鋼板共用中塗塗料によ
る中塗塗装に先だち、鋼板用中塗塗料による中塗塗装を
施した以外は実施例1と同様にして塗装を行なった。用
いられた各塗料および焼付条件は第1表に示される通り
である。得られた試験片に関して色一致性、外観仕上り
性、耐チッピング性およびコストを検討した。結果を第
2表に示す。
比較例3 実施例1と同じ材質よりなるフィラー混入樹脂製試験
片に対して第1表に示す樹脂用塗料を用いて、プライマ
ー塗装および上塗塗装を第1表に示す焼付条件にて実施
した。一方鋼板製試験片に対しては、樹脂製試験片とは
別のラインにおいて、第1表に示す鋼板用塗料を用いて
電着塗装、チッピングプライマー塗装、中塗塗装および
上塗塗装を第1表に示す焼付条件にて実施した。得られ
た試験片に対して色一致性、外観仕上り性およびコスト
を検討した。結果を第2表に示す。
比較例4 実施例1と同じ材質よりなるフィラー混入樹脂製試験
片に対してまずプライマー塗装を施し、一方鋼板製試験
片には電着塗装およびチッピングプライマー塗装を施し
た後、双方の試験片を同一ラインにおいて同時に鋼板用
塗料での中塗塗装および上塗塗装を実施した。なお用い
られた各塗料および焼付条件は第1表に示される通りで
ある。得られた試験片に対して色一致性、外観仕上り性
およびコストを検討した。結果を第2表に示す。
なお、色一致性、外観仕上り性、コスト比較は以下に
示すようにして測定された。
色一致性 JIS Z 8730−80(色差表示方法)に準じて、標準
板と試験片との色差をL系により求めた。
外観仕上り性 目視 試験片の塗面を螢光灯または拡散昼光のもとで、目視
により標準板と比較し、塗面の流れ、オレンジピール等
の有無を調べた。なお判定は以下によった。
○…良好、△…標準、×…不良 ICM(Image Clarity Meter) ICMにおいて、試料片の反射光を入射光と60゜の角度
をもって設置された0.5mm幅の光学くしに透過させ、光
学くしの明部の透過光最大値Mと暗部の最小値から写像
性C(%)値を求めた。
耐チッピング性 SAE J600に準拠したグラベロメーターを用いて規定
のショット材を試験片に吹き付け、塗面のはく離状況を
調べた。なお判定は標準板との比較により以下に等級分
けした。
○…良好、△…標準、×…不良 コスト比較 塗装に要した費用を算出し、単位面積当りの価格を比
較した。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明は、鋼板製の車体本体と前
記車体本体に組み付けられる樹脂製部品とを同色に塗装
する自動車の車体塗装方法において、予め別のラインで
プライマー塗装および樹脂・鋼板共用中塗塗料による中
塗塗装を行なった樹脂製部品を、電着塗装を行なった車
体本体に取付け、その後、樹脂・鋼板共用中塗塗料によ
る中塗塗装および樹脂・鋼板共用上塗塗料による上塗塗
装を同一ラインにて行なうことを特徴とするものである
から、車体本体と樹脂製部品とを別々に塗装していた場
合と比較して車体本体と樹脂製部品との塗装の色合せが
極めて容易となり、また表面の荒れやすい樹脂製部品に
は4コートが施されていることから外観仕上がりが良好
で3コートが施された鋼板製車両本体の外観仕上りとよ
く一致し、かつ4コートは樹脂製部品にのみ施されるた
めに経済的でもあり、さらに樹脂・鋼板共用中塗および
上塗塗料を用いるために完成塗膜が、車体本体および樹
脂製部品のいずれにも密着性良く形成され、かつ樹脂製
部品の塗装焼付時の熱変形もない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、自動車における各外装部品を示す斜視図、第
2図は本発明の車体塗装方法の工程図であり、また第3a
〜b図は従来の車体塗装方法の工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新宮 高司 横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車 株式会社内 (72)発明者 遠山 貴 横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車 株式会社内 (72)発明者 山下 章 平塚市天沼10番1号 日産車体株式会社 内 (72)発明者 羽田野 渡 平塚市天沼10番1号 日産車体株式会社 内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板製の車体本体と前記車体本体に組み付
    けられる樹脂製部品とを同色に塗装する自動車の車体塗
    装方法において、予め別ラインでプライマー塗装および
    樹脂・鋼板共用中塗塗料による中塗塗装を行なった樹脂
    製部品を、電着塗装を行なった車体本体に取付け、その
    後、樹脂・鋼板共用中塗塗料による中塗塗装および樹脂
    ・鋼板共用上塗塗料による上塗塗装を同一ラインにて行
    なうことを特徴とする車体塗装方法。
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