JP2508541B2 - 透光性アルミナ原料粉の製造方法 - Google Patents

透光性アルミナ原料粉の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は透光性アルミナ(Al2O3)原料粉の製造方法
に係り、特に、均一な粒成長による、高純度で且つ緻密
な、透光性に優れたアルミナ焼結体を得ることができる
透光性アルミナ原料粉の製造方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、透光性アルミナにみられるような緻密なアルミ
ナ焼結体は、高純度な原料粉を成形して得た成形体を焼
結過程において粒成長を抑制して焼結することにより製
造されている。この粒成長の抑制には、MgOの微量添加
が不可欠であり、その添加方法としては Al2O3粉末に所定量のMgO粉末を加え、ボールミル或
いは他の機械的操作により混合する。
Al2O3粉末を溶媒に加えてスラリーとし、この溶液
に可溶性のMg塩を添加して混合する。(又は逆にMg溶解
液にAl2O3粉末を添加混合する。) アルミニウムアルコキシドとマグネシウムアルコキ
シドを共通の溶媒に溶解し混合する。
等が考えられている。
,の方法でMgOを混合した後は、Al2O3粉末は、通
常、濾過、乾燥、仮焼等の工程を経て原料粉末とされて
いた。の方法で混合を行なった場合には、両アルコキ
シド混合液を加水分解後、濾過、乾燥、仮焼等の工程に
供していた。
ところでアルミナ焼結体は、気孔が著しく少なく極め
て緻密に焼結されると透光性を示す。このような透光性
を示す緻密なアルミナ焼結体を得ようとする場合、その
緻密性は用いる原料粉に影響を受ける。原料粉としては
高純度で且つMgOが微量添加されたAl2O3原料粉末である
ことが好ましい。このような原料粉を用いることによ
り、高純度で粒界や粒子内に気孔又は空孔を含まず、ま
た、粒界に不純物の析出もない高特性の焼結体が得ら
れ、このような焼結体であれば著しく優れた透光性を示
す。
[発明が解決しようとする問題点] このような状況のもとで、従来、前記〜のような
高純度なアルミナにMgOを添加する方法が考えられてき
たのであるが、これらの方法はそれぞれ次のような欠点
を有していた。
の方法は、機械的、長時間の粉末同志の混合である
ために不純物の混入の問題があるほか、MgOの分布も不
均一となる。の方法も機械的な混合であるため、やは
りある程度のMgOの不均一な分布は免れない。の方法
は、,の方法に比べ比較的MgOの分布の均一性は良
いものの、アルコキシドは比較的高価であり、2種のア
ルコキシドを用いることはコスト高となり、工業的に不
利である。
また、アルコキシドは水分に敏感であるため、取り扱
いが難しく、特にマグネシウムアルコキシドは加水分解
が速く、操作上厳密な注意を怠った場合にはすぐに加水
分解反応を起こして溶媒に不溶となるため、均一混合が
困難となるという欠点もある。しかも、代表的なマグネ
シウムアルコキシドであるマグネシウムメトキシドは、
溶媒に対する溶解性が低く、溶液中に固体として析出す
る場合もあり、取り扱い難いという問題もある。
このように、従来の方法では、透光性アルミナ焼結体
の原料粉末として十分に満足し得る原料粉が得られず、
その改善が強く望まれていた。
[問題点を解決するための手段] 上記従来の問題点を解決すべく、本発明者らは、鋭意
研究を重ねた結果、アルミニウムアルコキシドを含む有
機溶媒溶液に、特定量の金属マグネシウムを混合するこ
とにより、透光性アルミナ焼結体の原料粉末として、極
めて優れた特性を有する原料粉が得られることを見出
し、本発明を完成させた。
本発明は、アルミニウムアルコキシドの有機溶媒溶液
に、該溶液中のアルミナに対するマグネシア換算で0.1
〜10重量%の金属マグネシウムを加えた後、加水分解
し、得られる加水分解生成物を加水分解液から分離し、
乾燥及び仮焼することを特徴とする透光性アルミナ原料
粉の製造方法を要旨とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
アルミニウムアルコキシドとしては、アルミニウムイ
ソプロポキシドが挙げられる。その他、アルミニウムエ
トキシド、アルミニウムターシャリーブトキシド等のア
ルミニウムアルコキシドも採用可能である。
このようなアルミニウムアルコキシドを溶解させる有
機溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノー
ル、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等
のアルコールと、ベンゼン、トルエン、キシレン等との
混合溶媒等が挙げられる。特に、本発明においては、溶
解性等の面からイソプロピルアルコールとベンゼンとの
混合溶媒が好ましく、その混合割合はイソプロピルアル
コール:ベンゼン=1:10〜1:200(重量比)程度とする
のが好ましい。
このような有機溶媒に溶解させるアルミニウムアルコ
キシドの量については、用いる溶媒の種類等によっても
左右され、特に制限はないが、通常は溶媒1に対し30
0〜400gのアルミニウムアルコキシドを溶解させる。
溶解方法としては特に制限はないが、ベンゼン等の溶
媒にアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムア
ルコキシドを混合溶解し、これにイソプロピルアルコー
ル等を添加混合するのが好ましい。
次いで、このようにして得られたアルミニウムアルコ
キシドの有機溶媒溶液に、溶液中のアルミニウムアルコ
キシドのアルミナ換算量に対するマグネシア換算量で、
0.1〜10重量%の金属マグネシウムを添加して加熱溶解
した後、加水分解する。
この場合、金属マグネシウムの溶解には、塩化第二水
銀、塩化マグネシウム或いは四塩化炭素等の触媒を必要
とするが、本発明においては、不純物として残存するこ
とのない四塩化炭素を触媒として用いることが好まし
い。
加水分解は、得られた溶液中に水を直接追加すること
により行うことができる。その他、加圧容器から吹き出
す水蒸気流に接触させる方法も採用可能である。
加水分解生成物は、遠心分離、濾過或いは減圧蒸留等
により加水分解液から分離し、乾燥を行った後に、仮焼
することにより原料粉末を得ることができる。この場
合、仮焼は1150℃以上の温度で行なうのが好ましいが、
必要以上に高い温度で仮焼すると、微粉末が粒成長する
ため注意を要する。仮焼は1150〜1300℃程度で行なうの
が好適である。
このような本発明の方法により得られる粉末は、高純
度であり、かつマグネシア成分が均一に分布した高特性
微粒子である。
[作用] 本発明の方法においては、反応過程における接触相手
が水だけであり、機械的操作による不純物の混入がない
ため高純度化が可能である。また、液相中で反応が進行
し、金属マグネシウムが完全に溶解するために、マグネ
シア成分が極めて均一に分布した粉末が得られる。
[実施例] 以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する
が、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。
実施例1 アルミニウムイソプロポキシド740.18gをベンゼン1.5
中に投入し、マグネチックスターラーを用いて完全に
溶解するまで撹拌した。この溶液にイソプロピルアルコ
ール100mlを加えた後、Al2O3に対するMgO換算で0.1重量
%となるよう金属マグネシウム0.11gと触媒として四塩
化炭素5mlを加え、75℃で一昼夜還流しながら反応させ
た。得られた溶液に蒸留水100mlを少量ずつ滴下して加
水分解したところ沈殿物が生成した。この加水分解生成
物である沈殿物を減圧蒸留装置により加水分解液から分
離した後、100℃で一昼夜乾燥して粉末を得た。得られ
た粉末は室温下では水酸化物であるため、1250℃で2時
間仮焼してアルミナ原料粉末とした。
この原料粉末を電子顕微鏡によりその粒径を測定した
ところ、粒径500Å〜600Åの均一な微粒子であり、又、
化学分析を行った結果、不純物が0.1重量%以下の極め
て高純度な物質であることが判明した。
この粉末を成形して得られた成形体を1600℃で焼成
し、アルミナ焼結体試料を製造した。この試料面を表面
分析した結果、MgOが均一に分散していることが確認さ
れた。またこの原料粉末を用いて1.5t/cm2にて円板状に
加圧成形し、1800℃で8時間真空炉内で焼成して得られ
た焼結体は、0.75mmの厚さで92%の全透過率を示した。
この結果から、本発明で得られる原料粉末によれば、
極めて優れた透光性を有するアルミナ焼結体を製造する
ことができることが明らかである。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明の透光性アルミナ原料粉
の製造方法は、アルミニウムアルコキシドと金属マグネ
シウムを原料とし、両者の混合溶液を加水分解し、更に
加熱処理するものであって、均一径かつ高純度でしかも
MgOが均一に分布した高特性微粒子を極めて容易に低コ
ストで製造することができる。
従って、このような本発明で得られるアルミナ粉を透
光性アルミナ焼結体の原料として使用することにより、
透光度が著しく改善された透光性アルミナ焼結体を得る
ことが可能とされる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムアルコキシドの有機溶媒溶液
    に、該溶液中のアルミナに対するマグネシア換算で0.1
    〜10重量%の金属マグネシウムを加えた後、加水分解
    し、得られる加水分解生成物を加水分解液から分離し、
    乾燥及び仮焼することを特徴とする透光性アルミナ原料
    粉の製造方法。
  2. 【請求項2】アルミニウムアルコキシドがアルミニウム
    イソプロポキシドであることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】有機溶媒がアルコールを含有することを特
    徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の方
    法。
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