JP2507192B2 - プログラマブル素子およびその製造方法 - Google Patents

プログラマブル素子およびその製造方法

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JP2507192B2 JP3015199A JP1519991A JP2507192B2 JP 2507192 B2 JP2507192 B2 JP 2507192B2 JP 3015199 A JP3015199 A JP 3015199A JP 1519991 A JP1519991 A JP 1519991A JP 2507192 B2 JP2507192 B2 JP 2507192B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気的にプログラムす
ることができるプログラマブル素子およびその製造方法
に関し、特に、半導体集積回路を構成するのに適したプ
ログラマブル素子およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】使用者の望む内容(データ)を備えたR
OM(Read Only Memory)をただちに得ることができる
という理由から、使用者がデータを購入後に電気的に書
き込むことのできるPROM(Programmable Read Only
Memory)が半導体メモリとして広く用いられている。
【0003】また、同様の理由から、使用者が内容(機
能)を購入後に電気的に書き込むことのできるPLD
(Programmable Logic Device)も、論理回路として用
いられている。
【0004】このようなPROMやPLDは、希望する
内容を外部から電気的に書き込むことができて、しかも
電源を切った後でもその記憶内容が保持されるようなプ
ログラマブル素子から構成されている。従来のプログラ
マブル素子はたとえば特開昭62−242336号公報
に示されている。
【0005】図7〜図9を参照しながら、従来のプログ
ラマブル素子について説明する。図7は従来のプログラ
マブル素子の平面的な構成を示す。図に示すように、P
型のシリコン基板1の表面の所定領域(分離領域)上
に、フィールド絶縁膜3が選択的に形成されている。シ
リコン基板1の表面において、フィールド絶縁膜3が設
けられていない領域には、下部電極2を構成するN+
拡散層が形成されている。さらに、シリコン基板1上に
は、フィールド絶縁膜3を介して、多結晶シリコン膜か
らなる上部電極5が配置されている。上部電極5は、下
部電極2と立体的に直角に交差している。下部電極2と
上部電極5とが互いに重なり合っている領域(斜線で示
された領域)がプログラム領域6を構成する。
【0006】PROMやPLDは、このようなプログラ
マブル素子が同一シリコン基板上に多数集積された半導
体装置である。
【0007】図8は、図7におけるC−C線に沿った断
面図である。図8に示すように、下部電極2の上面は、
薄いプログラム絶縁膜7で覆われており、そのプログラ
ム絶縁膜7の上に上部電極5が形成されている。
【0008】図9は、図7におけるD−D線に沿った断
面図である。図9に示すように、下部電極2の上面がプ
ログラム絶縁膜7により覆われている一方、シリコン基
板1の、下部電極2が形成されていない領域が、フィー
ルド絶縁膜3により覆われている。すなわち、シリコン
基板1の上面(主面)がプログラム絶縁膜7とフィール
ド絶縁膜3とで完全に覆われている。上部電極5は、こ
のプログラム絶縁膜7とフィールド絶縁膜3とによっ
て、シリコン基板1から電気的に分離されている。
【0009】本プログラマブル素子においては、上部電
極5と下部電極2との間にプログラム絶縁膜7の絶縁耐
圧よりも十分高い電圧を印加して、プログラム領域6の
プログラム絶縁膜7を破壊し、上部電極5と下部電極2
とを電気的に導通させることによって、プログラムすな
わち書き込みが行われる。
【0010】上記プログラマブル素子を有する半導体集
積回路においては、高温での熱処理に耐えることや下地
絶縁膜に対する密着性に優れていることなどの理由か
ら、多結晶シリコンが電極(上部電極5)や配線の材料
として、広く用いられている。なお、上記半導体集積回
路の電極は、通常、同一半導体基板に集積された各プロ
グラマブル素子の電極を接続する配線をも兼ねているの
で、以下、電極および配線を総称して「電極」と称す
る。
【0011】電極の抵抗は一般に低いほどよいので、電
極として多結晶シリコン層を用いる場合、多結晶シリコ
ン層に不純物をドープ(拡散)して、その抵抗を低下さ
せる必要がある。
【0012】このような1層の多結晶シリコン層からな
る電極の代わりに、たとえば、多結晶シリコン層と金属
シリサイド層との積層構造(ポリサイド構造)を有する
電極を用いる場合でも、プログラマブル素子とともに同
一半導体基板に集積されるMISFETのしきい値電圧
を安定化するなどの目的で、電極に不純物をドープする
ことが多い。
【0013】以下に、図12(a)〜(d)を参照しな
がら、半導体集積回路の電極へ不純物をドープする従来
の方法について説明する。
【0014】まず、図12(a)に示すように、P型シ
リコン基板101の一主面の所定領域(分離領域)に、
フィールド絶縁膜102を選択的に形成して、このフィ
ールド絶縁膜102によって、フィールド絶縁膜102
が形成されていない複数の領域を互いに電気的に分離す
る。次に、シリコン基板101上において、フィールド
絶縁膜102が形成されていない各領域上に、プログラ
ム絶縁膜103を形成する。このとき、シリコン基板1
01の素子形成領域104上に形成されたプログラム絶
縁膜103の厚さと、スクライブライン領域105上に
形成されたプログラム絶縁膜103の厚さとは、通常ほ
ぼ同じである。
【0015】次に、図12(b)に示すように、プログ
ラム絶縁膜103上およびフィールド絶縁膜102上に
全面にわたって多結晶シリコン膜106を成長させる。
さらに、図12(c)に示すように、イオン注入法によ
り、多結晶シリコン膜106中に1×1016/cm2程度
のヒ素イオンをドープする。
【0016】次に、図12(d)に示すように、フォト
エッチング法により、多結晶シリコン膜6を所望の形状
にパターニングし、上部電極107を形成する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このような従来のプロ
グラマブル素子においては、プログラムされるべき領域
すなわちプログラム領域6の面積は、上部電極5および
下部電極2のそれぞれの幅によって決定される(図7参
照)。上部電極5および下部電極2の幅は、配線抵抗低
減の観点から、あまり狭くできないため、一般に最小加
工寸法の2〜3倍程度となり、結果としてプログラム領
域6の面積をあまり狭くすることができない。実際の半
導体集積回路においては、プログラム領域6が、数千個
ないし数万個以上存在するため、全体として未書き込み
状態のプログラム領域6の静電容量が半導体集積回路の
寄生容量としてかなりの大きさになる。さらに、上述の
従来のプログラマブル素子では、下部電極2が半導体基
板1中に設けられた高濃度不純物拡散層であるため、半
導体基板1と下部電極2との間で大きな寄生容量が生じ
る。最近の半導体集積回路においては、下部電極2を構
成している高濃度不純物拡散層の層厚(PN接合の深
さ)が、通常0.3μmより薄い(浅い)ので、下部電
極2がどうしても40〜50Ω/□程度の高いシート抵
抗値を持ってしまう。
【0018】このように、従来のプログラマブル素子
は、その素子から構成される半導体集積回路の動作速度
を低下させるという欠点を有している。
【0019】また、プログラマブル素子を製造する従来
の方法によれば、イオン注入工程中に、注入されたイオ
ンにより多結晶シリコン膜106中に電荷が蓄積され、
その電荷がフィールド絶縁膜102よりも薄いプログラ
ム絶縁膜103を通じて基板101に放電する。その
際、プログラム絶縁膜103の膜厚が場所にかかわらず
ほぼ同一なので、どの領域においても同一の電流密度で
放電電流が流れる。このため、素子形成領域4において
プログラム絶縁膜103が破壊されたり、破壊に至らな
いまでも電荷の注入による絶縁耐圧の劣化が生じたりす
る。また、プログラム絶縁膜103とシリコン基板10
1との界面に、界面準位の生成が起こる。この結果とし
て、プログラム絶縁膜103を用いた素子の信頼性が低
下するという問題が生じる。
【0020】本発明は上記従来素子ならびにその製造方
法にあった問題点を解決するもので、プログラム領域の
面積の値が製造工程上の最小加工寸法により定まる限界
よりも小さく、それによってプログラム領域の寄生容量
が低減されたプログラマブル素子を提供することを目的
とする。
【0021】本発明の他の目的は、プログラム領域の面
積がリソグラフィ工程中のマスク合わせずれによって変
化しない、プログラム特性が安定したプログラマブル素
子を提供することである。
【0022】本発明のさらに他の目的は、動作速度の速
いプログラマブル素子を提供し、このプログラマブル素
子から構成される半導体集積回路の信号遅延時間を低減
することである。
【0023】本発明のさらに他の目的は、プログラマブ
ル素子を構成する薄い絶縁膜が、イオン注入により蓄積
された電荷によって破壊されたり、その特性が劣化した
りすることがないプログラマブル素子の製造方法を提供
することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明のプログラマブル
素子は、第1の導電層と、前記第1の導電層上に形成さ
れた第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成された
第2の導電層とを備えたプログラマブル素子であって、
前記第1の絶縁層は、他の領域より層厚の薄い2個の窓
領域を有しており、前記2個の窓領域は前記第1の導電
層と前記第2の導電層とが重なり合う領域と重なり合わ
ない領域間にまたがって形成されている。
【0025】また、さらに、上面に他の絶縁層が形成さ
れている基板を備えており、しかも、第1の導電層は他
の絶縁層上に形成された導電層であってもよい。
【0026】第1の導電層が多結晶シリコン層であって
もよい。第1の導電層が、多結晶シリコン層とその上に
形成された金属シリサイド層とで構成されていてもよ
い。
【0027】絶縁層が、第1の導電層の上面を覆う第1
の部分と、他の絶縁層の上面において第1の導電層が形
成されている領域以外の領域を覆う第2の部分とを有
し、絶縁層の窓領域が絶縁層の第1の部分と第2の部分
とにまたがっていてもよい。
【0028】さらに、半導体基板を備えており、しか
も、第1の導電層は半導体基板に形成された不純物拡散
層であってもよい。
【0029】絶縁層が、第1の導電層の上面を覆う第1
の部分と、半導体基板の上面において第1の導電層が形
成されている領域以外の領域を覆う第2の部分とを有
し、絶縁層の窓領域がこの絶縁層の第1の部分と第2の
部分とにまたがっており、第2の導電層が絶縁層の窓領
域を覆っていてもよい。
【0030】絶縁層が、第1の導電層の上面を覆う第1
の部分と、半導体基板の上面において第1の導電層が形
成されている領域以外の領域を覆う第2の部分とを有
し、絶縁層の窓領域がこの絶縁層の第1の部分と第2の
部分とにまたがっており、第2の導電層が絶縁層の窓領
域の一部分を覆っていてもよい。
【0031】本発明のプログラマブル素子の製造方法
は、半導体基板の一主面の分離領域にフィールド絶縁膜
を選択的に形成する工程と、半導体基板の一主面におい
て、分離領域以外の領域のうちの第1の領域上に、プロ
グラマブル素子を構成すべき第1の絶縁膜を形成する工
程と、半導体基板の一主面において、分離領域以外の領
域のうちの第2の領域上に、第1の絶縁膜よりも絶縁耐
圧の低い、保護用絶縁膜として機能する第2の絶縁膜を
形成する工程と、少なくとも第1,第2の絶縁膜の上に
導電膜を形成する工程と、イオン注入法により導電膜に
不純物をドープする工程とを有する。
【0032】他の本発明のプログラマブル素子の製造方
法は、半導体基板の一主面の分離領域にフィールド絶縁
膜を選択的に形成する工程と、半導体基板の一主面にお
いて、分離領域以外の領域のうちの第2の領域上に、第
1の絶縁膜よりも絶縁耐圧の低い、保護用絶縁膜として
機能する第2の絶縁膜を形成する工程と、半導体基板の
一主面において、分離領域以外の領域のうちの第1の領
域上に、プログラマブル素子を構成する第1の絶縁膜を
形成する工程と、少なくとも第1,第2の絶縁膜の上に
導電膜を形成する工程と、イオン注入法で導電膜に不純
物をドープする工程と有する。
【0033】さらに他の本発明のプログラマブル素子の
製造方法は、半導体基板の一主面の分離領域にフィール
ド絶縁膜を選択的に形成する工程と、半導体基板の一主
面において、分離領域以外の領域のうちの第1の領域上
に、プログラマブル素子を構成する第1の絶縁膜を形成
し、同時に、分離領域以外の前記領域のうちの第2の領
域上に、前記第1の絶縁膜よりも絶縁耐圧の低い、保護
用絶縁膜として機能する第2の絶縁膜を形成する工程
と、少なくとも第1,第2の絶縁膜の上に、導電膜を形
成する工程と、イオン注入法で導電膜に不純物をドープ
する工程とを有する。
【0034】前記第2の領域は、半導体基板のスクライ
ブライン領域内に形成されてもよい。
【0035】
【作用】本発明のプログラマブル素子によれば、絶縁層
が他の領域より層厚の薄い2個の窓領域を有し、第1,
第2の導電層がこの絶縁層を介して互いに重なり合う領
域が窓領域のそれぞれの一部分を含んでいるので、薄い
絶縁膜からなるプログラム領域の面積の値を、製造技術
上の最小加工寸法により定まる限界よりも小さくするこ
とができ、プログラム領域の寄生容量が低減される。し
たがって、本発明のプログラマブル素子を同一半導体基
板に多数集積した半導体集積回路は、信号の遅延時間が
短く、高速で動作する。
【0036】また、本発明のプログラマブル素子によれ
ば、プログラム領域の面積がマスク合わせずれによって
変化しないため、プログラム素子の特性が変動しにく
い。
【0037】さらに、本発明のプログラマブル素子の一
態様においては、下部電極を十分に厚い絶縁層により半
導体基板から分離することにより、下部電極−半導体基
板間の寄生容量は十分に低減することができる。この態
様によれば、下部電極として低抵抗材料を用いることが
できるので、下部電極のシート抵抗を高不純物濃度拡散
層のシート抵抗に比べて十分低くすることができる。
【0038】本発明のプログラマブル素子の製造方法に
よれば、イオン注入により絶縁膜上の電極用導電膜に蓄
積された電荷が、半導体基板の保護領域にのみ流れ、プ
ログラマブル素子を構成する薄い絶縁膜中を流れない。
このため、プログラマブル素子を構成する薄い絶縁膜の
破壊や特性劣化を防止することができ、信頼性の高いプ
ログラマブル素子が得られる。さらに、保護領域をスク
ライブライン領域に設けることにより、保護領域の形成
のための余分な面積を増加することなく、同様の優れた
効果を得ることができる。
【0039】
【実施例】図1は、本発明の第1の実施例であるプログ
ラマブル素子の平面図、図2は図1のA−A線に沿った
断面図である。
【0040】実際の半導体集積回路たとえばPROMお
よびPLD等においては、図1に示すようなプログラマ
ブル素子が同一半導体基板上に多数集積されているが、
ここでは単一のプログラマブル素子を代表させて説明す
る。
【0041】図1に示すように、半導体基板であるP型
シリコン基板11の所定領域(分離領域上に、フィール
ド絶縁膜13が形成されている。シリコン基板11の表
面において、フィールド絶縁膜13が形成されていない
領域には、N+型拡散層(幅、2μm)からなる下部電
極(第1の導電層)12が形成されている。下部電極1
2は、フィールド絶縁膜13によって、他の不純物拡散
層(図示せず)から電気的に分離されている。また、窓
領域14は、下部電極12と上部電極15とが重なり合
う(交差)領域と重なり合わない領域とにまたがって形
成されている。
【0042】下部電極12の上には、絶縁膜18(図1
には示されていない。図2参照)が形成されている。こ
の絶縁膜18とフィールド絶縁膜13とで、シリコン基
板11の上面が覆われている。以下、この絶縁膜18お
よびフィールト絶縁膜13を総称して「絶縁層」と称す
る。この絶縁層により、後述する上部電極15とシリコ
ン基板11とが電気的に分離される。この絶縁層は、そ
の一部(プログラマブル素子が形成される部分)に、他
の領域よりも薄い膜厚を有する2個の窓領域14を有し
ている。本実施例において、窓領域14は、絶縁層を構
成する絶縁膜18に形成されている。窓領域14が、絶
縁膜18とフィールド絶縁膜13とにまたがって形成さ
れている例については、第2の実施例として後に説明す
る。
【0043】本実施例における窓領域14の平均寸法
は、リソグラフィーの解像度およびエッチング特性によ
り定まる最小加工寸法程度(約1μm程度)にすること
ができる。本実施例における窓領域14の寸法は1μm
である。この寸法については、下部電極12の線幅に応
じて、その幅以下の適切な値を選択することができる。
また、隣接する二つの窓領域14の間隔は1μmであ
る。この間隔についても、後述する上部電極15の幅に
応じて、その幅以下の適切な値を選択することができ
る。
【0044】多結晶シリコン層(幅2μm)からなる上
部電極(第2の導電層)15が、隣接する二つの窓領域
14にまたがるように形成されている。上部電極15と
窓領域14との重なりによって形成される、斜線を施し
た領域(プログラム領域)16の幅(図1に示される領
域16の辺のうち、A−A線に平行な辺の長さ)は、最
終的には100nm程度あれば十分である。言いかえる
と、上部電極15と窓領域14とのマスク合わせずれを
考慮しても、プログラム領域16の幅は通常の最小加工
寸法の1/2〜1/3程度の値に縮小される。
【0045】そして、図2に示すように、下部電極12
の上には100nm程度の絶縁膜18が形成されており、
その一部分が10nm程度の薄い膜厚を有する窓領域14
となっている。窓領域14は、酸化膜、または酸化膜と
窒化膜との積層膜からなるプログラム絶縁膜17で構成
される。プログラム絶縁膜17の厚さは、15〜20V
程度の電圧で破壊され得る十分に薄い厚さ、たとえば約
10nm程度である。プログラム用絶縁膜17は、絶縁膜
18の窓領域14をエッチングにより除去した後におい
て、たとえばパイロ酸化法またはドライ酸化法により下
部電極12の上面を酸化する方法、あるいは、気相成長
法等によって窒化膜を下部電極12上に堆積する方法を
用いて形成される。
【0046】前述したように、絶縁膜18のうち、窓領
域14と上部電極15とが互い重なり合う領域が、プ
ログラム領域16である。このような構造によれば、プ
ログラム領域16の寸法は、上部電極15の走る方向
(図1のA−A線に垂直な方向)については最小加工寸
法程度であり、また上部電極15に垂直な方向(図1の
A−A線に平行な方向)については最小加工寸法の1/
2〜1/3程度と非常に小さくできる。このため、本実
施例のプログラマブル素子のプログラム領域16の面積
は、0.3〜0.5μm2となる。この面積は、従来のプ
ログラマブル素子のプログラマブル領域の面積(約4μ
2)の1/8〜1/13程度である。
【0047】図2からわかるように、絶縁膜18におい
て上部電極15と下部電極12とが互いに重なり合う
(対向している)部分は、比較的薄いプログラム絶縁膜
17と、それ以外の比較的厚い部分とを有している。こ
の比較的厚い部分は、プログラム絶縁膜17に比べて十
分厚い任意の厚さに形成できる。この部分を厚くするこ
とにより、上部電極15と下部電極12との間に生ずる
静電容量が低減され、このプログラム素子から構成され
る半導体集積回路の寄生容量も全体として小さくなる。
【0048】本実施例では、絶縁膜18において、上部
電極15が形成されるべき領域の両側付近にそれぞれ窓
領域14が形成されている(図1参照)。このため、上
部電極15を形成するためのリソグラフィ工程に際し
て、上部電極15の位置と窓領域14の位置との間で、
マスク合わせずれを原因とする位置ずれが生じても、2
個のプログラム領域16の合計面積は変化せず、つねに
安定なプログラム特性が得られる。より詳細に説明する
ならば、上部電極15の位置が図1において左方向へず
れると、中において左のプログラム領域16の面積が増
加するが、右側のプログラム領域16の面積はそれに応
じた量だけ減少する。このため、左右2個のプログラム
領域16の合計面積が上部電極15の位置ずれによって
変動してしまうようなことはない。
【0049】本発明の第2の実施例について、図3およ
び図4を参照しながら、説明する。図3は本発明の第2
の実施例の平面図であり、図4は図3のB−B線に沿っ
た断面図である。
【0050】図3に示すように、半導体基板であるP型
シリコン基板11の所定領域(分離領域)上に、フィー
ルド絶縁膜13が形成されている。シリコン基板11の
表面において、フィールド絶縁膜13が形成されていな
い領域には、N+型拡散層からなる下部電極12が形成
されている。下部電極12は、フィールド絶縁膜13に
より、他の不純物拡散層(図示せず)から電気的に分離
される。下部電極12の上には、厚さ100nm程度の絶
縁膜28(図3には示されていない。図4参照)が形成
されている。絶縁膜28とフィールド絶縁膜13とから
なる絶縁層は、シリコン基板11の上面を覆っている。
この絶縁層は、プログラマブル素子が形成されるべき部
分に、他の領域よりも薄い膜厚を有する二つの窓領域2
4を有している。本実施例において、窓領域24の各々
は、絶縁膜28とフィールド絶縁膜13とをまたいでい
る。言いかえると、窓領域24の各々が、図3に示す下
部電極12の対向する2辺のそれぞれをまたいでいる。
窓領域24の平均寸法を、リソグラフィーの解像度およ
びエッチング特性により定まる最小加工寸法程度にする
ことができる。本実施例において、窓領域24の寸法は
1μmである。この寸法については、上部電極15の幅
に応じて、その幅以下の適切な値を選択することができ
る。また、隣接する二つの窓領域24の間隔は1μmで
ある。この間隔についても、下部電極12の幅に応じ
て、その幅以下の適切な値を選択することができる。
【0051】絶縁膜28のうち窓領域24が形成されて
いる部分、すなわち後述するプログラム領域の厚さが1
0nmであり、この厚さは絶縁膜28の他の領域の厚さ
(100nm程度)に比べて薄い。窓領域24のうち、下
部電極12と重なり合っている部分がプログラム領域
(図3において斜線を付した領域)26を構成してい
る。窓領域24と下部電極12とによって決定されるプ
ログラム領域26の幅(プログラム領域26の辺のうち
図3のB−B線に平行な辺の長さ)は、最終的には10
0nm程度あれば十分である。窓領域24と下部電極12
とのマスク合わせずれを考慮しても、その幅は通常最小
加工寸法の1/2〜1/3程度でよい。
【0052】多結晶シリコンからなる上部電極15(幅
2μm)は、隣接する二つのプログラム領域26のそれ
ぞれを完全に覆っている。
【0053】図4に示すように、下部電極12の上面の
大部分が100nm程度の厚い絶縁膜28に覆われている
が、下部電極12の上面のうち、下部電極12と窓領域
24とが重なり合っている領域のみが、10nm程度の薄
いプログラム絶縁膜27に覆われている。このプログラ
ム絶縁膜27が絶縁層のプログラム領域26を構成す
る。
【0054】本実施例によれば、プログラム領域26の
寸法は、上部電極15に平行な方向(B−B線に平行な
方向)については最小加工寸法の1/2〜1/3程度と
非常に小さくできる。この結果、本実施例のプログラマ
ブル素子のプログラム領域26の面積は、0.3〜0.
5μm2となる。この面積は、従来のプログラマブル素
子のプログラマブル領域の面積(約4μm2)の1/8
〜1/13程度である。
【0055】プログラム領域26以外において、上部電
極15と下部電極12とが互いに重なり合う領域の絶縁
膜28の厚さについては、プログラム絶縁膜27の厚さ
に比べて十分厚くすることができるため、上部電極15
と下部電極12との間に生ずる静電容量が低減され、こ
のプログラム素子から構成される半導体集積回路の寄生
容量も全体として小さくなる。
【0056】また、本実施例では、絶縁膜28におい
て、下部電極12の両側付近に、窓領域24が形成され
ている(図3参照)。このため、窓領域24を形成する
ためのリソグラフィ工程に際して、窓領域24の位置と
下部電極12の位置との間で、マスク合わせずれを原因
とする位置ずれが生じても、2個のプログラム領域26
の合計面積が変化せず、つねに安定したプログラム特性
が得られる。より具体的に説明するならば、窓領域24
の位置が図3において上方向へずれると、図において上
側のプログラム領域26の面積が減少するものの、下側
のプログラム領域26の面積がそれに応じた量だけ増加
する。このため、窓領域24に位置ずれがあったとして
も、上下2個のプログラム領域26の合計面積が変動す
るようなことがない。
【0057】図5は本発明の第3の実施例の平面図であ
る。この実施例は本発明の効果をよりいっそう顕著に発
揮することができるものである。
【0058】図5に示すように、本実施例と前述した第
1,第2の実施例との構成上の主要な相違点は窓領域3
4の位置にあり、他については共通している。
【0059】本実施例において、窓領域34はそれぞれ
下部電極12上の絶縁膜(図6においては図示せず)と
フィールド絶縁膜13とをまたいでいる。言いかえる
と、窓領域24の各々は、図5に示す下部電極12の対
向する2辺のそれぞれの辺をまたいでいる。しかも、窓
領域34は、上部電極15の対向する2辺のそれぞれの
辺をもまたいでいる。
【0060】この構成によれば、図5において斜線を施
したプログラム領域36の形状は、下部電極12、窓領
域34および上部電極15が互いに重なり合う領域によ
り定まる。窓領域34と上部電極15との重なり部分の
幅を最小加工寸法の1/2〜1/3程度にすることがで
きるので、プログラム領域36の面積は0.1〜0.2
5μm2となる。この面積は、従来のプログラマブル素
子のプログラマブル領域の面積(約4μm2)の1/1
6〜1/40程度にまで縮小され、寄生容量の低減効果
が非常に顕著となる。
【0061】また、この構成によれば、窓領域34を形
成するためのリソグラフィ工程に際して、窓領域34の
位置と下部電極12の位置との間で、マスク合わせずれ
を原因とする位置ずれが生じても、2個のプログラム領
域36の合計面積は変化しない。また、上部電極15を
形成するためのリソグラフィ工程に際して、上部電極1
5の位置と間取り34の位置との間で、マスク合わせず
れを原因とする位置ずれが生じても、2個のプログラム
領域36の合計面積は変化しない。このため、本実施例
のプログラマブル素子によれば、第1および第2の実施
例よりも、さらに安定したプログラム特性が得られる。
【0062】第1,第2および第3の実施例であるプロ
グラマブル素子の下部電極12は、いずれもシリコン基
板11に形成された不純物拡散層であるが、以下に、下
部電極12が不純物拡散層で場合を例(第4の実施例)
にあげて説明する。図6は、本発明の第4の実施例であ
るプログラマブル素子の断面図である。本実施例の平面
的な構成は、第1の実施例(図1参照)と実質的に同じ
である。
【0063】図6に示すように、半導体基板11上に
は、十分な厚さたとえば500nm程度の厚さを有するフ
ィールド絶縁膜10が形成されている。フィールド絶縁
膜10の上には、多結晶シリコンからなる下部電極12
が形成されている。下部電極12は、一層の多結晶シリ
コン層以外に、多結晶シリコン層とその上に形成された
金属シリサイド層との積層構造(ポリサイド構造)を有
する層であってもよい。
【0064】下部電極12が、たとえば減圧気相成長法
を用いて形成された膜厚約400nm程度の多結晶シリコ
ン層である場合、その多結晶シリコン層に不純物を高濃
度にドープすることにより、下部電極12のシート抵抗
は20Ω/□程度となる。一方、下部電極12が、たと
えば減圧気相成長法を用いて形成された膜厚約200nm
程度の多結晶シリコン層と、膜厚約150nm程度のタン
グステンシリサイドとが順次積層されたポリサイド構造
を有する層である場合、下部電極12のシート抵抗は5
Ω/□程度となる。このように、いずれの場合でも、本
実施例の下部電極12のシート抵抗は、高不純物濃度拡
散層からなる従来の下部電極のシート抵抗(40〜50
Ω/□)に比して、低くなる。
【0065】下部電極12の上面の大部分は、15〜2
0V程度のプログラム電圧の印加により破壊しない十分
な厚さ、たとえば120nm程度を有する絶縁膜18によ
って覆われている。絶縁膜18のうち、下部電極12の
上面の所定領域上に位置する領域は、他の領域より膜厚
の薄い窓領域14を構成している。この窓領域14は、
酸化膜、または酸化膜と窒化膜との積層膜からなるプロ
グラム用絶縁膜17で構成されている。プログラム用絶
縁膜17の厚さは、15〜20V程度の電圧で破壊され
得る十分に薄い厚さ、たとえば約10nm程度の厚さであ
る。プログラム用絶縁膜17は、たとえばパイロ酸化
法,ドライ酸化法により下部電極(多結晶シリコン層)
12の上面を酸化する方法、あるいは、気相成長法等に
よって窒化膜を下部電極12上に堆積する方法を用いて
形成される。
【0066】絶縁膜18上には、多結晶シリコンからな
る上部電極(第2の導電層)15が形成されており、上
部電極15は絶縁膜18の窓領域14の各々の一部を覆
っている。絶縁膜18の窓領域14のうち、上部電極1
5に覆われている領域がプログラム領域16として機能
する。
【0067】本実施例のプログラマブル素子において
は、フィールド絶縁膜10の膜厚が500nm程度と十分
に厚いので、下部電極12と半導体基板11との間の寄
生容量は、本発明の第1の実施例、および従来技術のプ
ログラマブル素子の寄生容量に比較して、十分に小さく
なる。また、上述したように、下部電極12のシート抵
抗も、従来技術の下部電極2のシート抵抗に比較して低
い。特に、下部電極12がポリサイド構造を有する場
合、この抵抗低下の程度は顕著である。
【0068】これらの理由により、本実施例のプログラ
マブル素子を同一半導体基板に多数集積した半導体集積
回路は、信号の遅延時間が短いため、高速で動作するこ
とができる。
【0069】本実施例のプログラマブル素子は、第1の
実施例と同様に2個の窓領域14を有しているので、上
述の利点以外にも、第1の実施例と同様の優れた利点を
有している。
【0070】このように、本発明のプログラマブル素子
によれば、薄い絶縁膜からなるプログラム領域の面積
を、製造技術上の最小加工寸法により定まる限界よりも
小さくすることができるので、プログラム領域の寄生容
量が低減される。また、プログラム領域の面積がマスク
合わせずれによって変化しないため、プログラム素子の
特性が変動しにくい。
【0071】さらに、本発明のプログラマブル素子の一
態様においては、下部電極を十分に厚い絶縁層により半
導体基板から分離することにより、下部電極−半導体基
板間の寄生容量を十分に低減することができる。この態
様によれば、下部電極として低抵抗材料を用いることが
できるので、下部電極のシート抵抗を高不純物濃度拡散
層のシート抵抗に比べて十分低くすることができる。
【0072】なお、本発明のプログラマブル素子を構成
する各部材の寸法(膜厚)および材料、または、それら
部材の形成方法等は、必ずしも上述したものに制限され
るものではない。
【0073】プログラム絶縁膜17,27として薄い絶
縁膜を有している本発明のプログラマブル素子を製造す
るとき、上部電極15を形成するための導電膜に対して
イオンを注入する工程中に、その導電膜中に蓄積された
電荷によって、上記薄い絶縁膜が破壊されるおそれがあ
る。以下に、図10(a)〜(d)を参照しながら、上
記絶縁膜の破壊が防止されるプログラマブル素子の製造
方法を説明する。
【0074】まず、図10(a)に示すように、P型半
導体基板111の主面の所定領域(分離領域)を選択的
に酸化することにより、フィールド酸化膜112を形成
する。フィールド酸化膜形成方法として、上述の局所酸
化法以外の方法、たとえば酸化膜あるいは他の絶縁膜の
堆積およびパターニングによりフィールド酸化膜(絶縁
膜)を形成する方法を用いてもよい。
【0075】半導体基板111の主面において、フィー
ルド酸化膜112が形成されなかった複数の領域は、フ
ィールド酸化膜112によりに互いに電気的に分離され
る。半導体基板111の主面においてフィールド酸化膜
112が形成されていない複数の領域のうち、半導体基
板111の素子領域113に位置する領域(第1の領
域)には、プログラム絶縁膜114を形成する。
【0076】一方、フイールド酸化膜112が形成され
ていない領域のうち、保護領域115に位置する領域
(第2の領域)には、プログラム絶縁膜114よりも絶
縁破壊しやすい保護絶縁膜116を形成する。保護絶縁
膜116の絶縁破壊電圧をプログラム絶縁膜114の絶
縁破壊電圧よりも低くするためには、保護絶縁膜116
の厚さを、プログラム絶縁膜114よりも薄くすればよ
い。たとえば、プログラム絶縁膜114の膜厚が20nm
とするとき、保護絶縁膜116の厚さを10〜15nm程
度とすればよい。
【0077】なお、図10(a)には示されていない
が、半導体基板111においてプログラム絶縁膜114
の下部領域(第1の領域)には、不純物拡散層からなる
下部電極が形成される。この不純物拡散層の形成は、プ
ログラム絶縁膜114を形成する工程の前に行う。
【0078】保護絶縁膜116は、たとえば、半導体基
板111の第1領域上にプログラム絶縁膜113を形成
する際に保護領域115上に同時に形成された絶縁膜
(不図示)を、フォトエッチング法によりいったん選択
的に除去したのち、再度、保護領域115の上面を酸化
するなどの方法で形成することができる。
【0079】プログラム絶縁膜113を形成する工程
と、保護絶縁膜116を構成する工程とは、どちらの工
程を先に行ってもよい。また、これらの工程を同時に行
うことも可能である。半導体基板111の第1の領域と
第2の領域とを同時に酸化するとき、第1の領域の酸化
レートを第2の領域の酸化レートよりも高くなるように
すれば、プログラム絶縁膜114とそれより薄い保護絶
縁膜116とを同時に得ることができる。半導体基板1
11の第1の領域と第2の領域との間で、このように酸
化レートを異ならしめるためには、半導体基板111の
第1の領域の不純物濃度を、第2の領域の不純物濃度よ
りも高くすればよい。上述したように、半導体基板11
1の第1の領域には、下部電極となる高濃度不純物拡散
層が形成されているので、そのような高濃度不純物拡散
層を半導体基板111の第2の領域に形成しないように
すれば、半導体基板111の第1の領域の不純物濃度を
第2の領域の不純物濃度よりも高くすることが簡単に実
現できる。こうして、プログラム絶縁膜114と保護絶
縁膜116とを、一つの酸化工程でより容易に形成する
ことができる。この方法によれば、保護絶縁膜116を
形成するために、特別の工程を行う必要はないので、製
造工程数が増加しないという利点がある。
【0080】次に、図10(b)に示すように、フィー
ルド酸化膜112、プログラム絶縁膜114および保護
絶縁膜116を覆って、基板111の全面に多結晶シリ
コン膜117を形成する。
【0081】このあと、多結晶シリコン膜117に対し
て、オキシ塩化リン(POCl3)雰囲気中で熱処理を
するなどの方法で不純物をドーピングして、導電性を与
える。不純物の量は、多結晶シリコン膜117を導電性
にするのに十分なだけあればよく、さほど高い濃度を有
する状態にまでドープする必要はない。また、膜中の不
純物濃度分布についても、その均一性は他の条件に比べ
てさほど重要なことではない。
【0082】次に、図10(c)に示すように、イオン
注入法により、多結晶シリコン膜117中に1016/cm
2程度にヒ素イオンをドープする。この工程において、
ヒ素イオンの注入により、多結晶シリコン膜117中に
蓄積された電荷の大部分が、比較的薄い保護絶縁膜11
6を通じて基板111に放電される。なぜなら、基板1
11の主面の一部である保護領域115には、基板11
1の導電型と反対の導電型の不純物がドープされてい
ず、保護領域115が半導体基板111に電気的に接続
されているからである。
【0083】イオン注入工程のとき、多結晶シリコン膜
117の基板111に対する電位が、保護絶縁膜116
の絶縁破壊電圧程度に固定される。このため、保護絶縁
膜116に比して厚く、電流は絶縁破壊電圧が高いプロ
グラム絶縁膜14中をほとんど流れない。
【0084】次に、図10(d)に示すように、フォト
エッチング法により、多結晶シリコン膜117を所望の
形状に加工し、上部電極118を形成する。このとき、
図示するように保護領域115上の多結晶シリコン膜を
除去するか、あるいは多結晶シリコン膜を残すとして
も、上部電極118から分離すれば、かりに保護絶縁膜
116が破壊または劣化していても、素子の動作には全
く影響がでない。
【0085】次に、図11(a)〜(d)を参照しなが
ら、保護領域をスクライブライン領域内に設ける本発明
の他の製造方法を説明する。
【0086】まず、図11(a)に示すように、P型半
導体基板121の主面の所定領域(分離領域)を選択的
に酸化することにより、フィールド酸化膜122を形成
する。半導体基板121の主面においてフィールド酸化
膜の形成されなかった領域は、フィールド酸化膜122
により複数の領域に分離される。半導体基板121にお
いてフィールド酸化膜122が形成されていない複数の
領域のうち、半導体基板121の素子領域123内に位
置する領域(第1領域)には、通常のプログラム絶縁膜
123を形成する。
【0087】一方、半導体基板121においてフィール
ド酸化膜122が形成されていない複数の領域のうち、
半導体基板121のスクライブライン領域125内に位
置する領域(第2領域)には、プログラム絶縁膜124
よりも薄い保護絶縁膜126を形成する。半導体基板1
21のスクライブライン領域125には、特に、半導体
基板121の導電型と反対の導電型の不純物をドープし
ていない。このため、スクライブライン領域125は、
半導体基板121の内部に電気的に接続される。
【0088】次に、図11(b)に示すように、フィー
ルド酸化膜122、プログラム絶縁膜124および保護
絶縁膜126を覆って全面に多結晶シリコン膜127を
形成し、さらにこの多結晶シリコン膜127に熱拡散法
により不純物をドープし、導電性を与える。
【0089】次に、図11(c)に示すように、イオン
注入法により、多結晶シリコン膜127中に1016/cm
2程度のヒ素イオンをドープする。
【0090】次に、図11(d)に示すように、フォト
エッチング法等により多結晶シリコン膜127を所望の
形状に加工し、上部電極128を形成する。
【0091】本実施例においては、保護絶縁膜126が
半導体基板121のスクライブライン領域125上に形
成されているので、保護領域形成のために特別の領域を
半導体基板121上に設けることが不要となる。
【0092】なお、ここでは、説明の都合上、半導体基
板121のスクライブライン領域125全体を保護領域
として用いる例をあげたが、スクライブライン領域の一
部のみを保護領域として用いても十分な効果を得ること
ができる。
【0093】上記の実施例においては、半導体基板11
1,121の保護領域115、あるいはスクライブライ
ン領域125に、特に不純物をドープしていないが、こ
れらの領域に対して、半導体基板111,121の導電
型と同一導電型の不純物を高濃度にドープしてもよい。
【0094】保護絶縁膜116,126の絶縁破壊電圧
をプログラム絶縁膜114,124のそれよりも低くす
るためには、保護絶縁膜116,126の膜厚を相対的
に薄くするかわりに、その膜の材料を変えてもよい。た
とえば、保護絶縁膜116,126として酸化膜を用
い、プログラム絶縁膜114,124として酸化膜と窒
化膜との複合膜(多層膜)を用いてもよい。一般に、酸
化膜と、酸化膜と窒化膜との複合膜とを比較した場合、
両者が同程度の膜厚であれば、前者の耐圧よりも後者の
耐圧が高いからである。
【0095】本実施例では、上部電極118,128と
して多結晶シリコン層を用い、熱拡散法により多結晶シ
リコンに導電性を与えたが、上部電極118,128と
して材料自体が導電性を有する他の材料、たとえばタン
グステン,モリブデン,チタン,タンタルもしくはそれ
らのシリサイド,アルミニウム,アルミニウム合金等を
用いてもよい。また、上部電極118,128として多
結晶シリコン層を用いる場合、多結晶シリコン層を気相
的に成長させている間に、その成長しつつある多結晶シ
リコン層中に不純物を導入してもよい。また、イオン注
入法により上部電極118,128となる導電膜にドー
プされる元素(イオン)やそのドーズ量等についても、
実施例に示した種類および値に限られない。
【0096】このように、本発明のプログラマブル素子
の製造方法によれば、イオン注入により絶縁膜上の電極
用導電膜に蓄積された電荷が、半導体基板の保護領域に
のみ流れ、プログラマブル素子を構成する薄い絶縁膜を
流れない。このため、プログラマブル素子を構成する薄
い絶縁膜の破壊や特性劣化を防止することができ、信頼
性の高いプログラマブル素子が得られる。さらに、保護
領域をスクライブライン領域に設けることにより、保護
領域の形成のための余分な面積を増加することなく、同
様の優れた効果を得ることができる。
【0097】なお、このプログラマブル素子の製造方法
は、プログラマブル素子以外の素子であって、絶縁破壊
しやすい薄い絶縁膜、たとえばゲート絶縁膜を有する半
導体素子、たとえばMISFETを製造するために用い
ることもできる。
【0098】
【発明の効果】このように、本発明のプログラマブル素
子によれば、薄い絶縁膜からなるプログラム領域の面積
を、製造技術上の最小加工寸法により定まる限界よりも
小さくすることができるので、プログラム領域の寄生容
量が低減される。したがって、本発明のプログラマブル
素子を同一半導体基板に多数集積した半導体集積回路
は、信号の遅延時間が短く、高速で動作することができ
る。
【0099】また、本発明のプログラマブル素子によれ
ば、プログラム領域の面積がマスク合わせずれによって
変化しないため、プログラム素子の特性が変動しにく
い。
【0100】さらに、本発明のプログラマブル素子の一
態様においては、下部電極を十分に厚い絶縁層により半
導体基板から分離することにより、下部電極−半導体基
板間の寄生容量は十分に低減することができる。この態
様によれば、下部電極として低抵抗材料を用いることが
できるので、下部電極のシート抵抗を高不純物濃度拡散
層のシート抵抗に比べて十分低くすることができる。
【0101】本発明のプログラマブル素子の製造方法に
よれば、イオン注入により絶縁膜上の電極用導電膜に蓄
積された電荷が、半導体基板の保護領域にのみ流れ、プ
ログラマブル素子を構成する薄い絶縁膜中を流れない。
このため、プログラマブル素子を構成する薄い絶縁膜の
破壊や特性劣化を防止することができ、信頼性の高いプ
ログラマブル素子が得られる。さらに、保護領域をスク
ライブライン領域に設けることにより、保護領域の形成
のための余分な面積を増加することなく、同様の優れた
効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例であるプログラマブル素
子の平面図
【図2】図1のA−A線に沿った断面図
【図3】本発明の第2の実施例であるプログラマブル素
子の平面図
【図4】図3のB−B線に沿った断面図
【図5】本発明の第3の実施例であるプログラマブル素
子の平面図
【図6】本発明の第4の実施例であるプログラマブル素
子の断面図
【図7】従来のプログラマブル素子の一例の平面図
【図8】図7のC−C線に沿った断面図
【図9】図7のD−D線に沿った断面図
【図10】本発明の一実施例のプログラマブル素子の製
造方法の主要工程各段階における装置断面図
【図11】本発明の他の実施例のプログラマブル素子の
製造方法の主要工程各段階における装置断面図
【図12】従来のプログラマブル素子の製造方法の主要
工程各段階における装置断面図
【符号の説明】
11 シリコン基板 12 下部電極(第1の導電層) 13 フィールド絶縁膜 14 窓領域 15 上部電極(第2の導電層) 16 プログラム領域 17 プログラム絶縁膜 18 絶縁膜 24 窓領域 26 プログラム領域 27 プログラム絶縁膜 28 絶縁膜 34 窓領域 36 プログラム領域 111 半導体基板 112 フィールド酸化膜 113 素子領域 114 プログラム絶縁膜 115 保護領域 116 保護絶縁膜 117 多結晶シリコン 118 上部電極 121 半導体基板 122 フィールド酸化膜 123 素子領域 124 プログラム絶縁膜 125 スクライブライン領域 126 保護絶縁膜 127 多結晶シリコン 128 上部電極

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導電層と、前記第1の導電層上に
    形成された第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層上に形成
    された第2の導電層とを備えたプログラマブル素子であ
    って、前記第1の絶縁層は、他の領域より層厚の薄い2
    個の窓領域を有しており、前記2個の窓領域は前記第1
    の導電層と前記第2の導電層とが重なり合う領域と重な
    り合わない領域間にまたがって形成されていることを特
    徴とするプログラマブル素子。
  2. 【請求項2】 上面に第2の絶縁層が形成された基板
    と、前記第2の絶縁層上に形成された第1の導電層と、
    前記第1の導電層上に形成された第1の絶縁層と、前記
    第1の絶縁層上に形成された第2の導電層とを備えたプ
    ログラマブル素子であって、前記第1の絶縁層は、他の
    領域より層厚の薄い2個の窓領域を有しており、前記2
    個の窓領域は前記第1の導電層と前記第2の導電層とが
    重なり合う領域と重なり合わない領域間にまたがって形
    成されていることを特徴とするプログラマブル素子。
  3. 【請求項3】 第1の絶縁層が、第1の導電層の上面を
    覆う第1の部分と、前記第2の絶縁層の上面において前
    記第1の導電層が形成されている領域以外の領域を覆う
    第2の部分とを有し、前記絶縁層の前記窓領域が前記第
    1の絶縁層における前記第1の部分と前記第2の部分と
    にまたがっている請求項2に記載のプログラマブル素
    子。
  4. 【請求項4】 半導体基板と、前記半導体基板に形成さ
    れた不純物拡散層からなる第1の導電層と、前記第1の
    導電層上に形成された第1の絶縁層と、前記第1の絶縁
    層上に形成された第2の導電層とを備えたプログラマブ
    ル素子であって、前記第1の絶縁層は、他の領域より層
    厚の薄い2個の窓領域を有しており、前記第1の絶縁層
    において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とが前
    記第1の絶縁層を介して互いに重なり合う領域が前記窓
    領域のそれぞれの一部分を含んでいる請求項1に記載の
    プログラマブル素子。
  5. 【請求項5】 第1の絶縁層が、第1の導電層の上面を
    覆う第1の部分と、半導体基板の上面において前記第1
    の導電層が形成されている領域以外の領域を覆う第2の
    部分とを有し、前記第1の絶縁層の窓領域が前記第1の
    絶縁層の前記第 1の部分と前記第2の部分とにまたがっ
    ており、前記第2の導電層が前記第1の絶縁層の前記窓
    領域を覆っている請求項4に記載のプログラマブル素
    子。
  6. 【請求項6】 第1の絶縁層が、第1の導電層の上面を
    覆う第1の部分と、半導体基板の上面において前記第1
    の導電層が形成されている領域以外の領域を覆う第2の
    部分とを有し、前記第1の絶縁層の窓領域が前記第1の
    絶縁層の前記第1の部分と前記第2の部分とにまたがっ
    ており、前記第2の導電層が前記第1の絶縁層の前記窓
    領域の一部分を覆っている請求項4に記載のプログラマ
    ブル素子。
  7. 【請求項7】 半導体基板の一主面の分離領域に、選択
    的にフィールド絶縁膜を形成する工程と、前記半導体基
    板の前記一主面において、前記分離領域以外の領域のう
    ちの第1の領域上に、プログラマブル素子を構成する第
    1の絶縁膜を形成する工程と、前記半導体基板の前記一
    主面において、前記分離領域以外の前記領域のうちの第
    2の領域上に、前記第1の絶縁膜よりも絶縁耐圧の低
    い、保護用絶縁膜として機能する第2の絶縁膜を形成す
    る工程と、少なくとも前記第1の絶縁膜および前記第2
    の絶縁膜の上に、導電膜を形成する工程と、イオン注入
    法により、前記導電膜に不純物をドープする工程とを備
    えたプログラマブル素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 半導体基板の一主面の分離領域にフィー
    ルド絶縁膜を選択的に形成する工程と、前記半導体基板
    の前記一主面において、前記分離領域以外の前記領域の
    うちの第2の領域上に、前記第1の絶縁膜よりも絶縁耐
    圧の低い、保護用絶縁膜として機能する第2の絶縁膜を
    形成する工程と、前記半導体基板の前記一主面におい
    て、前記分離領域以外の領域のうちの第1の領域上に、
    プログラマブル素子を構成する第1の絶縁膜を形成する
    工程と、少なくとも前記第1の絶縁膜および前記第2の
    絶縁膜の上に、導電膜を形成する工程と、イオン注入法
    により前記導電膜に不純物をドープする工程とを備えた
    プログラマブル素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 半導体基板の一主面の分離領域にフィー
    ルド絶縁膜を選択的に形成する工程と、前記半導体基板
    の前記一主面において、前記分離領域以外の領域のうち
    の第1の領域上に、プログラマブル素子を構成する第1
    の絶縁膜を形成 し、同時に、前記分離領域以外の前記領
    域のうちの第2の領域上に、前記第1の絶縁膜よりも絶
    縁耐圧が低い、保護用絶縁膜として機能する第2の絶縁
    膜を形成する工程と、少なくとも前記第1の絶縁膜およ
    び前記第2の絶縁膜の上に、導電膜を形成する工程と、
    イオン注入法により前記導電膜に不純物をドープする工
    程とを備えたプログラマブル素子の製造方法。
  10. 【請求項10】第2の領域が半導体基板のスクライブ領
    域内に形成されてる請求項7, 8または9に記載のプ
    ログラマブル素子の製造方法。
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