JP2506403Y2 - プレキャストコンクリ―ト梁の連結部構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は主として多階建築物にお
けるプレキャストコンクリート梁の連結部構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術及びその問題点】従来、プレキャストコン
クリート梁（以下ＰＣ梁と記す）相互間の柱間部分もし
くは柱上での連結に際しては、例えば図５に示すよう
に、既設の柱１上にて互いに連結しようとするＰＣ梁２
Ａ，２Ｂを、その端面を対向させて接置し、その各ＰＣ
梁の端面より連結用の主筋３Ａ，３Ｂを互いに対向配置
に突設とておき、これを溶接４によって連結し、間詰コ
ンクリート５を現場打にて打設する方法や、図６に示す
ように連結用主筋３Ａ，３Ｂをスリーブジョイント６内
に挿入し、硬化性樹脂系の充填材を該ジョイント６内に
充填して両連結用主筋３Ａ，３Ｂを連結する方法が採用
されている。

【０００３】上述の如き従来のＰＣ梁連結部構造におい
ては、連結用主筋の連結作業に多くの手数を要するとと
もに、熟練した技術者によらなければ作業ができず、し
かも連結後の強度も信頼性が充分でないという問題があ
った。

【０００４】このような従来の問題を解決するものとし
て、従来、図７に示すように箱状をした連結金具７の両
端に、予め雄ねじを刻設した両連結用主筋３Ａ，３Ｂを
挿入し、その連結金具７内にて両主筋３Ａ，３Ｂにナッ
ト８，８を螺嵌し、締め付けて両主筋間を連結するもの
が考案されている（例えば、特公昭５４−２５５５０号
公報）。

【０００５】しかし、このような連結金具７を使用する
に際し、両主筋３Ａ，３Ｂ間が接近している場合には、
予めいずれかの主筋３Ａまたは３Ｂ側に連結金具７を装
着した状態で配筋しておく必要があり、しかも両主筋の
軸心にずれが生じていると、連結金具７への両主筋の挿
入が困難となるという問題があった。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上述の如き
従来の問題に鑑み、箱状の連結金具内にて突き合せ配置
の両主筋をナット止めするるものにおいて、その連結作
業が容易なＰＣ梁の連結部構造の提供を目的としたもの
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の如き従来の問題を
解決し、所期の目的を達成するための本考案の特徴は、
端面が互いに対向配置の一対のプレキャストコンクリー
ト梁の各対向端面から主筋の先端を突出させ、その互い
に対向した主筋を、一対の耐圧プレートと、その両耐圧
プレートの両側縁間を一体に連結した一対の連結板部と
からなる連結金具の前記両耐圧プレートにそれぞれ貫通
させ、各主筋にナットを螺嵌して前記耐 圧プレートから
抜け止めすることによって連結し、かつ、前記対向端面
間を間詰コンクリートを打設してなるプレキャストコン
クリート梁の連結部構造において、前記連結金具の両耐
圧プレートの中央に、下縁側から中央部分に向けた凹陥
部からなる主筋貫通部を設け、該主筋貫通部を下向きに
して各主筋を挿入させるとともに、該連結金具の両連結
板部の中央部分に水平方向に向けた長穴を開口させ、互
いに隣り合う複数の連結金具のそれぞれの前記長穴に一
本のボルトを挿通して、各連結金具を下向きに保持させ
たことにある。

【０００８】

【作用】本考案のＰＣ梁の連結部施工に際しては、予
め、互いに対向配置の主筋のナットを螺嵌しておくとと
もに、複数の連結金具の各長穴に一本のボルトを挿入し
ておく。そして、凹陥部からなる主筋貫通部を下向きに
し、各連結金具をそれぞれが連結しようとする主筋間に
またがらせ、ナットを内側に入れた状態で装着する。こ
のとき、連結金具は一方のボルトが長穴に挿入されてい
るため、凹陥部が下向きの状態が保持された状態で設置
される。

【０００９】然る後、ナットを締結するこにより、連結
される一対の主筋に張力が加わり、ＰＣ梁間を互いに引
き寄せる方向の力が働いた状態で連結される。これが間
詰コンクリート内に埋め込まれ、両ＰＣ梁間が一体化さ
れる。

【００１０】

【実施例】次に本考案の実施例を図１〜図４について説
明する。

【００１１】図１は、本考案に係る連結構造部分の断面
を示している。図１において、１０は柱であり、１１
Ａ，１１Ｂは柱１０上で突き合せ配置に端面を対向させ
たＰＣ梁である。両ＰＣ梁１１Ａ，１１Ｂには、その端
面から連結用の主筋１２Ａ，１２Ｂが互いに突き合せ配
置になるように突出されており、この両主筋１２Ａ，１
２Ｂ間を連結金具１３にて連結している。

【００１２】連結金具１３は、図２に示すように両端面
に一対の耐圧プレート１４Ａ，１４Ｂがあり、その両側
縁間を連結板部１５，１５にて一体的に連結して構成さ
れており、両耐圧プレート１４Ａ，１４Ｂには、下辺側
から中央部分に向けて切り欠いた形状の凹陥部２０から
なる主筋貫通部が形成されている。

【００１３】また、連結金具１３は、両連結板部１５，
１５の中央分に長手方向に向けた長穴２１，２１が開口
され、複数の連結金具１３，１３にまたがらせて一本の
ボルト２２を各長穴２１，２１……に挿通している。

【００１４】施工に際しては、図３に示すように予め複
数対の対向配置の主筋１２Ａ，１２Ｂにナット１７Ａ，
１７Ｂを螺嵌しておき、一本のボルト２２て連結された
複数の連結金具１３，１３を各々凹陥部２０，２０を下
向きにして、その中に各主筋１２Ａ，１２Ｂを挿通させ
るように装着する。

【００１５】各連結金具１３，１３は、ボルト２２によ
って回り止めされ、凹陥部２０を下向きにした状態で保
持される。

【００１６】然る後、ナット１７Ａ又は１７Ｂを螺嵌さ
せて締結することにより、両主筋１２Ａ，１２Ｂは張力
を与えられた状態で互いに連結される。

【００１７】このようにして両主筋１２Ａ，１２Ｂを連
結した後、間詰コンクリート１８を現場打施工する。

【００１８】なお上述の実施例では、柱１０上にて両Ｐ
Ｃ梁１１Ａ，１１Ｂを連結する場合を示しているが、図
４に示すように、柱１０から一体に突出したＰＣ梁１１
ＡにＰＣ梁１１Ｂを連結する場合にも同様に施工するこ
とができる。

【００１９】

【考案の効果】上述したように本考案のＰＣ梁の連結部
構造おいては、箱状の連結金具の耐圧 プレートに下向き
の凹陥部からなる主筋貫通部を備え、かつ、複数の連結
金具の連結板部の中央の長欠に一本の共通のボルトを挿
通させたことにより、配筋後の連結金具の装着作業が簡
単に行われることとなり、作業性が著しく向上すことと
なったものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の全体構造の概略を示す縦断面
図である。

【図２】本考案に使用する連結金具の一例の斜視図であ
る。

【図３】同上の使用状態を示す断面図である。

【図４】本考案の他の実施例の全体構造の概略を示す縦
断面図である。

【図５】従来技術の一例の断面図である。

【図６】従来技術の他の例の断面図である。

【図７】従来技術の更に他の例の断面図である。

【符号の説明】

１０ 柱 １１Ａ，１１Ｂ ＰＣ梁 １２Ａ，１２Ｂ 主筋 １３ 連結金具 １４Ａ，１４Ｂ 耐圧プレート １５ 連結板部 １７Ａ，１７Ｂ ナット １８ 間詰コンクリート ２０ 凹陥部 ２１ 長欠 ２２ ボルト

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 端面が互いに対向配置の一対のプレキャ
   ストコンクリート梁の各対向端面から主筋の先端を突出
   させ、その互いに対向した主筋を、一対の耐圧プレート
   と、その両耐圧プレートの両側縁間を一体に連結した一
   対の連結板部とからなる連結金具の前記両耐圧プレート
   にそれぞれ貫通させ、各主筋にナットを螺嵌して前記耐
   圧プレートから抜け止めすることによって連結し、か
   つ、前記対向端面間を間詰コンクリートを打設してなる
   プレキャストコンクリート梁の連結部構造において、前記連結金具の両耐圧プレートの中央に、下縁側から中
   央部分に向けた凹陥部からなる主筋貫通部を設け、該主
   筋貫通部を下向きにして各主筋を挿入させるとともに、
   該連結金具の両連結板部の中央部分に水平方向に向けた
   長穴を開口させ、互いに隣り合う複数の連結金具のそれ
   ぞれの前記長穴に一本のボルトを挿通して、各連結金具
   を下向きに保持させて なるプレキャストコンクリート梁
   の連結部構造。