JP2503644B2 - 織機における機仕掛け準備用受け台 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はワープビーム及びその経糸を挿通された部材
を支持し、かつ機仕掛け準備の一工程である経糸通しを
可能とする機仕掛け準備用受け台に関するものである。

［従来の技術］ ワープビームを織機に装着し、その経糸を織成装置側
へ通す機仕掛け作業では、織機の稼動効率向上に繋がる
前記作業の時間短縮を考慮して新しいワープビームの装
着前にその経糸を予め経糸切断検出装置のドロッパ、綜
絖枠及び筬に挿通しておく作業手順が一般的に採用され
ている。そのための手段として本願出願人は特開昭63−
243352号公報で機仕掛け準備用受け台を開示している。
この受け台は、織機における経糸の送り出し形状と略同
形状にワープビームの経糸を支持し得る位置関係をもっ
てワープビーム、同ビームの経糸を挿通された経糸切断
検出装置、綜絖枠及び筬といった経通し部材を取り外し
可能に架設支持する支持本体と、支持本体上の経通し部
材を介してワープビームの経糸を一括して引き出す経糸
引き出し機構とにより構成されている。

織機から取り外されてきた空ワープビーム及びその経
糸を通された経通し部材が支持本体に支持され、筬を通
された経糸の先端側が経糸引き出し機構に一括して接続
される。この状態で空ワープビームと経通し部材との間
で経糸が切断され、フルワープビームの経糸が経通し部
材側の旧い経糸に接続される。そして、経糸引き出し機
構を操作し、経糸の結び目が筬を通過するまでフルワー
プビームから経糸を一括して引き出す。これにより機仕
掛け準備の一工程である経糸通しが完了し、この完了に
伴ってフルワープビーム及びその経糸を通された経通し
部材が織機上における経糸送り出し形状に経糸を支持す
る状態で保管される。従って、機仕掛け準備の一工程で
ある経糸通し作業と保管との連係は極めて円滑である。
しかも、この保管形態における経糸の支持形状が経糸同
士の絡み合いのない織機上の経糸の送り出し形状と略同
一であり、経糸損傷の原因となる経通し部材と経糸との
擦れも生じない。又、経糸送り出し形状と略同形状に経
糸を支持する経通し部材が織機における装着状態に近い
ため、機械的手段による装着及び取り外しの自動化が容
易といった種々の利点がある。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、筬の多数枚の筬羽間には経糸が複数本
単位で通されるため、経糸列の幅方向に略一直線に揃っ
ている新旧経糸の結び目が複数単位で筬羽間に進入す
る。このような状態で複数の結び目が筬羽間に進入すれ
ば結び目同士が干渉し合い、他部位に比して糸密度の大
きい結び目が筬羽に強く押し付けられる。この押し付け
作用によって結び目が筬を通過する際の挿通抵抗が大き
くなり、この挿通抵抗が大き過ぎる場合には糸切れに繋
がる。又、結び目から延出する糸端が他の経糸に絡み易
く、この絡みによっても挿通抵抗が増大する。挿通抵抗
を軽減するために作業者が筬を外して揺らしたり、経糸
を少しずつ持って筬を通すことも考えられるが、経糸引
き出し機構の操作を行いながら筬を揺らしたり、あるい
は経糸を少しずつもって通すことは非常に難しい。

本発明は前述した種々の利点を備えた機仕掛け準備用
受け台における筬への経糸通しを円滑に行い得る機能を
受け台に付与することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ そのために本発明では、受け台を構成する支持本体上
の待機位置に筬を固定保持可能かつ待機位置の前後方向
へ筬を揺動可能に保持する筬揺動機構を組み付けた。

［作用］ 経糸引き出し機構によって経通し部材に経糸を引き通
す場合、新旧経糸の結び目が少なくとも筬を通過する際
に筬を揺動する。経糸列の幅方向に略一直線に揃った結
び目の密集状態は筬の揺動による経糸捌きで崩され、筬
羽間を通過する際の抵抗が小さくなる。又、結び目から
出る糸端が他の経糸に絡んでいる場合にもこの絡みが筬
の揺動作用によって解除される。これにより結び目が筬
を円滑に通過し、経糸切れが減少する。

［実施例］ 以下、本発明を具体化した一実施例を第１〜４図に基
づいて説明する。

連結バー10,11,12,13により連結された左右対称の一
対のサイドフレームからなる支持本体14前部の台座14a
上面には案内板15が止着されており、案内板15の上面に
は案内溝15aが凹設されていると共に、案内溝15aの前後
両端部には装着凹部15b,15cが形成されている。案内板1
5の後端近傍にはフック33が回動可能に取付けられてお
り、ピン34により第１図の実線位置と鎖線位置との間に
規制される。台座14aの最前端部上には支持ブラケット1
6が止着されており、支持ブラケット16の上面には載置
凹部16aが形成されている。

支持本体14後部の左右両支柱14bの上端部後面には支
持ブラケット17が止着されており、両ブラケット17間に
は軸18が回動可能に架設支持されている。一方の支持ブ
ラケット17にはラチェット23が回動可能に支持されてお
り、図示しないねじりばねにより時計回り方向へ回動付
勢されている。軸18には巻取りローラ19が止着されてお
り、同ローラ19の周面には多数本の針20が軸方向へ一列
状態で植設されている。軸18の一端側にはラチェットホ
イール21がラチェット23と噛合可能に止着されており、
その外側にはハンドル22が並設止着されている。これに
よりハンドル22は第１図の矢印方向へのみ回動操作可能
である。

支持本体14を構成する左右一方の下部水平バー14cに
はレバー26が回動可能に支持されており、レバー26の先
端部にはワープビーム制動用の制動板27が回動可能に支
持されている。レバー26の後端部と対応する下部水平バ
ー14cの後部にはガイド柱28が立設されており、ガイド
柱28には調整ハンドル29が上下に移動可能に螺合支持さ
れている。調整ハンドル29の中間部には上下一対のリン
グ30,31が適宜の間隔をおいて止着されており、レバー2
6後端部の二叉状部がリング30,31間に延出されていると
共に、上側リング30と二叉状部との間には押圧ばね32が
介在されている。

支持本体14を構成する連結バー13の左右両端部には綜
絖枠吊下用の掛止バー25が支持されている。連結バー13
に対する左右両掛止バー25の取付位置のさらに両外側に
は支持ブラケット35が締付固定されており、各支持ブラ
ケット35には支軸36が締付固定されている。支軸36は対
向側に突設されており、その軸線が同一線上に設定され
ている。両支軸36の突出端部にはレバー37が揺動可能か
つ脱落不能に支持されており、各レバー37にはステイ38
が垂下支持されている。レバー37には固定ねじ39が支軸
36に当接可能に螺着されており、固定ねじ39の締付によ
ってレバー37が支軸36に対して固定可能である。そし
て、左右両ステイ38の下端部間には筬用の保持枠24が架
設支持されている。

台座14aの上部後端上には左右一対の支持ブラケット4
8が上着されており、両ブラケット48間にはバックロー
ラ49が回動可能に架設支持されている。

織機上におけるワープビームの経糸が消費されると、
例えば特開昭63−99355号に開示されるような機仕掛け
装置により織機上の空ワープビームがその経糸を通され
た経糸切断検出装置、複数枚の綜絖枠及び筬と共に機仕
掛け準備室まで運ばれ、前記のような構成の機仕掛け準
備用受け台上へ第１図に示すように移載される。空ワー
プビーム40の左右両軸受部40aは装着凹部15b上に仮置き
された後、案内溝15aに沿って装着凹部15c上へ転動され
る。この転動配置により制動板27が押圧ばね32の作用に
より空ワープビーム40のフランジ部に圧接され、空ワー
プビーム40の回動が阻止される。そして、ワープビーム
軸40bにフック33を掛止めることにより押圧ばね32の作
用による空ワープビーム40の浮き上がりが阻止され、空
ワープビーム40が装着凹部15cから外れることはない。

一方、多数のドロッパ（図示略）を内蔵する経糸切断
検出装置41は左右両支持ブラケット16の載置凹部16a間
に架設載置されると共に、複数枚の綜絖枠42は左右一対
の掛止バー25にて掛止吊下され、さらに筬43は固定ねじ
39の締付によって第１図に示す待機位置に固定された保
持枠24上に載置保持される。空ワープビーム40の経糸T₁
の先端側には布Ｗが残されており、この布Ｗには巻取り
ローラ19上の針20が刺し込まれる。

この状態からハンドル22を回動操作すれば経糸T₁が引
っ張られ、緊張される。これにより空ワープビーム40か
ら筬43に至る経糸T₁の経路は織機上における経糸経路と
略同一になる。経糸緊張後、経糸T₁列に対してその幅方
向にテープを貼着し、この貼着部分をテープに沿って切
断する。そして、機仕掛け準備用受け台から空ワープビ
ーム40を外して代わりに第３図に示すようにフルワープ
ビーム44を搭載し、フルワープビーム44の経糸T₂と旧経
糸T₁とを１本ずつ糸継装置により結ぶ。この際、経糸T₂
の先端側もテープにより貼着されており、両経糸T₁,T₂
の貼着部分を適宜の手段で挾着支持して糸継作業が行わ
れる。

糸継完了後、前記テープを取り除き、第３図に示す鎖
線位置へ調整ハンドル29を螺合配置してフルワープビー
ム44のフランジ部に対する制動板27の圧接状態を緩め
る。そして、ハンドル22を回動操作すればフルワープビ
ーム44が制動板27の制動作用を受けつつ回動し、新旧両
経糸T₂,T₁の結び目ｔが経糸切断検出装置41のドロッパ
の挿通孔及び綜絖枠42の綜絖の挿通孔を通過してゆく。

結び目ｔが綜絖枠42を通過した後、ハンドル22の回動
操作を一旦中止し、固定ねじ39の締付を緩める。これに
より保持枠24が支軸36を中心に第１図に示す待機位置の
前後に揺動可能となる。そこで、ハンドル22を回動操作
して経糸を引き取れば結び目ｔが複数単位で筬羽間に進
入し、このときの挿通抵抗が大きければ筬43が支軸36を
中心に前方へ引き摺られる。そこで、保持枠24を適度に
揺動しながらハンドル22の回動操作を行えば結び目ｔ付
近の経糸列全体が捌かれる。経糸列の幅方向に略一直線
に揃った結び目ｔは複数単位で１つの筬羽間を通過する
が、この複数単位の結び目ｔの密集状態は筬43の揺動に
よる経糸捌きで崩される。又、結び目ｔから延出する糸
端が他の経糸に絡み付いている場合にもこの絡みは結び
目ｔに対する筬羽の相対的な前後通過によって解除され
る。従って、結び目ｔが筬43を通過する際の通過抵抗が
筬43の静止状態の場合に比して大幅に低減し、経糸切れ
が減少する。

第４図に示すように結び目ｔが筬43を挿通した後、固
定ねじ39を締付けて保持枠24を待機位置に固定する。そ
して、結び目ｔ部分を切断除去すれば糸通し作業が完了
し、このまま必要時まで保管しておくことができる。

なお、筬43の揺動期間は結び目ｔが筬43を通過する期
間に限らずハンドル22の回動操作の間中行なってもよ
く、筬43の揺動による経糸捌きで結び目ｔ以外の経糸部
分の引き通しの際の通過抵抗も低減する。

本発明は勿論前記実施例にのみ限定されるものではな
く、例えば第５図に示す実施例も可能である。

第５図の実施例では支持本体14を構成する上部水平バ
ー14dにモータ45が装着されていると共に、モータ45に
はクランク円板46が減速歯車機構（図示略）を介して作
動連結されており、クランク円板46には保持枠24が連結
ロッド47を介して作動連結されている。従って、クラン
ク円板46の回転に伴って保持枠24が支軸36を中心に揺動
し、モータ45の非作動時には減速歯車機構のロック機能
によって保持枠24の揺動が阻止される。なお、連結ロッ
ド47の一旦はクランク円板46上の長孔46aに沿って連結
位置調整可能であり、この連結位置の調整によって保持
枠24の揺動範囲を調整することができる。

又、本発明では経糸引き出し機構のハンドルの回転と
第５図の実施例のクランク円板46の回転とを連動させた
り、経糸引き出し機構側をモータで作動するようにした
実施例も可能である。

［発明の効果］ 以上詳述したように本発明は、受け台を構成する支持
本体上の待機位置に筬を固定保持移可能かつ待機位置の
前後方向へ筬を揺動可能に保持する筬揺動機構を組み付
けたので、経糸の引き出しを行いながら少なくとも結び
目が筬を通過する間では筬を揺動させることによって結
び目が筬を通過する際の通過抵抗を低減することがで
き、これにより糸切れ抑制に繋がる筬の揺動を行いつつ
経糸引き通し作業を円滑に行い得るという優れた効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図は本発明を具体化した一実施例を示し，第１
図は空ワープビーム及びその経糸を通された経通し部材
を受け台に搭載した状態を示す側面図、第２図は要部斜
視図、第３図は空ワープビームに代えてフルワープビー
ムを搭載した状態を示す側面図、第４図は糸通し完了状
態を示す側面図、第５図は別例を示す要部斜視図であ
る。 支持本体14、筬揺動機構を構成するレバー37及び固定ね
じ39並びに保持枠24。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】織機における経糸の送り出し形状と略同形
   状にワープビームの経糸を支持し得る位置関係をもって
   少なくともワープビーム、同ビームの経糸を挿通された
   綜絖枠及び筬を取り外し可能に支持する支持本体と、支
   持本体上の綜絖枠及び筬を介してワープビームの経糸を
   一括して引き出す経糸引き出し機構とにより構成した機
   仕掛け準備用受け台において、前記支持本体上の待機位
   置に筬を固定保持可能かつ待機位置の前後方向へ筬を揺
   動可能に保持する筬揺動機構を組み付けた織機における
   機仕掛け準備用受け台。