JP2024071574A - ゴム発泡体、及びゴム発泡体の製造方法 - Google Patents

ゴム発泡体、及びゴム発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性が良好で高断熱性を有するゴム発泡体を提供する。【解決手段】アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、を含むゴム発泡体1である。アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとの合計を100質量部とした場合に、アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、50質量部以上90質量部以下であり、比重が、0.05以上0.15以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、ゴム発泡体、及びゴム発泡体の製造方法に関する。
円筒形のゴム成形体として、例えば、特許文献1,2のホースが開示されている。
特許文献1では、次のゴム組成物を用いたホースが開示されている。ゴム組成物は、ゴム成分と、塩素系難燃剤とを含み、ゴム成分100質量部中に、クロロプレンゴムを70質量部未満含み、ゴム成分100質量部に対して、塩素系難燃剤が5質量部以上配合されている。
特許文献2では、次のゴム組成物を用いたホースが開示されている。ゴム組成物は、ゴム成分として、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエンゴムを含み、ゴム成分100質量部中に、クロロプレンゴムを60質量部~80質量部含み、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5質量部~25質量部配合してなる。
ところで、ホースの周りを円筒状のゴム発泡体で囲んで、ゴム発泡体を断熱に用いることが行われている。例えば、産業用ロボット等に使用されるホースの周りに、いわゆるホースヒーターとしてゴム発泡体が用いられている。
断熱用の発泡体として、例えば、特許文献3に、CR(クロロプレンゴム)、PVC(ポリ塩化ビニル)を用いたものが開示されている。
特開2017-2173号公報 特開2013-129684号公報 特開2016-74883号公報
しかし、従来の断熱用の発泡体は、耐久性が必ずしも十分とは言えず、断熱性も必ずしも十分とは言えず、これらの物性について改良が望まれていた。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、耐久性が良好で高断熱性を有するゴム発泡体を提供することを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、を含むゴム発泡体であって、
前記アクリロニトリル-ブタジエンゴムと前記ポリ塩化ビニルとの合計を100質量部とした場合に、前記アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、50質量部以上90質量部以下であり、
比重が、0.05以上0.15以下である、ゴム発泡体。
本開示のゴム発泡体は、耐久性が良好で高断熱性を有する。
ゴム発泡体の一例を模式的に示す斜視図である。 耐摩耗性試験後のゴム発泡体を示す写真である。
ここで、本開示の望ましい例を示す。
〔2〕ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む、〔1〕に記載のゴム発泡体。
この構成とすると、ゴム発泡体の難燃性が高くなる。
〔3〕円筒形である、〔1〕又は〔2〕に記載のゴム発泡体。
形状を円筒形とすることで、ホースヒーターとして有用である。
〔4〕アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、アゾジカルボン酸アミドの粒子と、を含有する混合物を原料とするゴム発泡体の製造方法であって、
前記アゾジカルボン酸アミドの粒子として、メジアン径が異なる2種以上の粒子を用い、
前記2種以上の粒子の各粒子のメジアン径は、互いに1μm以上15μm以下異なり、
前記2種以上の粒子のいずれの粒子のメジアン径も、5μm以上40μm以下である、ゴム発泡体の製造方法。
この製造方法では、耐久性が良好で高断熱性を有するゴム発泡体が提供される。
以下、本開示を詳しく説明する。なお、"x~y"という範囲を示す表記は、特に断りが無い限り、当該範囲にxとyが入るものとする。
1.ゴム発泡体1
ゴム発泡体1は、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)と、ポリ塩化ビニル(PVC)と、を含む。アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとの合計を100質量部とした場合に、アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、ゴム発泡体1の低い熱伝導性を維持しつつ、優れた耐摩耗性を発揮させるという観点から、50質量部以上90質量部以下である。
(1)比重
ゴム発泡体1の比重は、ゴム発泡体1を高耐久性及び高断熱性にする観点から、0.05以上0.15以下であり、0.07以上0.13以下が好ましく、0.08以上0.10以下がより好ましい。なお、ゴム発泡体1の比重とは、JIS K7112のA法「水中置換法」によって、23℃の温度条件下において測定される値を意味する。
(2)アクリロニトリル-ブタジエンゴム
アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)は、公知のものを適宜選択して使用すれば、特に制限されるものではない。アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)に含まれるアクリロニトリル量(AN含量)は特に限定されない。アクリロニトリル量(AN含量)は、例えば、23質量%以上43質量%以下が好ましく、28質量%以上38質量%以下がより好ましい。
アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)のJIS K6300に準拠して測定した100℃のムーニー粘度ML(1+4)は、特に限定されない。このムーニー粘度ML(1+4)は、軽比重化やスポンジの形状保持の観点から、30以上70以下が好ましく、40以上60以下がより好ましい。
(3)難燃剤
ゴム発泡体1は、難燃剤を含有することが好ましい。難燃剤としては、任意の難燃剤を用いることができる。難燃剤の種類は特に限定されないが、発泡体の引張弾性率等の特性を低下させることなく少ない配合量で高い難燃効果を発揮させる観点から、ハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤を組み合わせて使用することが好ましい。
ハロゲン系難燃剤としては、塩素化合物、臭素化合物が例示され、これらの2種以上を併用してもよい。
塩素化合物としては、塩素化パラフィン、パークロロペンタシクロデカンを好適に例示できる。
臭素化合物としては、テトラブロモビスフェノールA、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリスチレンを好適に例示できる。
アンチモン系難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン等を例示することができる。
ハロゲン系難燃剤とアンチモン系難燃剤を組み合わせて使用する場合において、ハロゲン系難燃剤の含有量(添加量)は、ゴム成分100質量部(アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとの合計を100質量部)に対して、高い耐久性を維持しつつ、十分な難燃性を付与する観点から30質量部以上80質量部以下が好ましく、45質量部以上65質量部以下がより好ましい。
アンチモン系難燃剤の含有量(添加量)は、ゴム成分100質量部(アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとの合計を100質量部)に対して、高い耐久性を維持しつつ、十分な難燃性を付与する観点から5質量部以上30質量部以下が好ましく、10質量部以上20質量部以下がより好ましい。
(4)充填剤
ゴム発泡体1は、充填剤を含有してもよい。充填剤としては、任意の充填剤を用いることができる。充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸、酸化チタン、ベントナイト、カーボンブラック、雲母、ガラス繊維、木粉等の無機充填材を挙げることができる。充填剤の量は、加工性、製品の寸法安定性、製品の強度等の観点から、ゴム成分100質量部に対して40質量部以上140質量部以下が好ましい。
(5)その他の成分
その他の成分として、軟化剤、架橋剤、発泡剤等を挙げることができる。
軟化剤は、ラウリン酸、リシノール酸、バルチミン酸、綿実油、大豆油、ヒマシ油、パーム油等の植物系オイル、あるいはパラフィン系、ナフテン系、アロマ系等の鉱物系オイルの何れでもよい。軟化剤の量は、混錬性、製品の強度等の観点からゴム成分100重量部に対して30~110重量部が好ましい。
充填剤と軟化剤の添加量の合計は、ゴム成分100重量部に対して70重量部から250重量部が好ましい。また、充填剤と軟化剤の配合割合は、65:35~50:40が好ましい。充填剤と軟化剤を添加する合計量及び割合を、上記範囲とすることで、相溶性が高まりゴム練り等の成形性に優れる。
架橋剤は、硫黄、有機過酸化物が用いられる。硫黄は硫黄架橋の場合に用いられ、有機過酸化物は過酸化物架橋に用いられる。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。架橋剤の量は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。架橋剤と共に架橋促進剤や架橋助剤を併用するのが好ましい。
架橋促進剤としては、ベンゾチアジルジスルフィド、2-メルトカプトベンゾチアゾール、ジペンタメチレンチラウムテトラスルフィド、テトラメチルチラウムジスルフィド、酸化亜鉛等を挙げることができる。
架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等を挙げることができる。
発泡剤は、有機系発泡剤、及び無機系発泡剤から選ばれた1種以上を用いることができる。
有機系発泡剤は、特に限定されないが、アゾ系化合物が好適に例示される。アゾ系化合物としては、特に限定されないが、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン等の1種以上が好適に例示される。
無機系発泡剤は、特に限定されない。無機系発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸水素アンモニウム等の炭酸水素塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の炭酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウム等の亜硝酸塩、例えば、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素塩、例えば、アジド類、その他公知の無機系発泡剤が用いられる。
発泡剤の量は、ゴム成分100質量部に対して5質量部以上100質量部以下が好ましい。
また、発泡剤と共に発泡助剤を併用するのが好ましい。発泡助剤としては、尿素系化合物、有機系化合物、無機塩等が挙げられる。
さらに、その他の成分として加工助剤、着色剤、老化防止剤等を添加してもよい。加工助剤としては、ステアリン酸、パルチミン酸等を挙げることができる。
(6)ゴム発泡体1の形状
ゴム発泡体1の形状は、特に限定されない。ゴム発泡体1の形状は、用途に応じて適宜変更できる。ゴム発泡体1の形状として、例えば円筒形を好適に採用できる(図1参照)。円筒形のゴム発泡体1は、断熱チューブとして使用できる。なお、断熱チューブは、産業用ロボット等用の可撓性チューブ、可撓性ホースの断熱に用いられる。
(7)実施形態のゴム発泡体1の作用効果
ゴム発泡体1は、アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、を所定割合で含むから、耐久性が良好である。このゴム発泡体1は、EPDMスポンジよりも表面が滑りやすいため、耐摩耗性に優れている。
ゴム発泡体1は、熱伝導率の低いアクリロニトリル-ブタジエンゴムと、熱伝導率が低いポリ塩化ビニルと、を含むから、高断熱性を有する。なお、ポリマー単体の熱伝導率は、アクリロニトリル-ブタジエンゴムが0.25W/m・Kであり、ポリ塩化ビニルが0.13W/m・Kであり、EPDMが0.36W/m・Kである。
しかも、本実施形態のゴム発泡体1は、比重が、0.05以上0.15以下であり、熱伝導率が特に低い。
2.ゴム発泡体1の製造方法
(1)ゴム発泡体1の製造方法
ゴム発泡体1の製造方法では、アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、アゾジカルボン酸アミドの粒子と、を含有する混合物を原料とする。アゾジカルボン酸アミドの粒子として、メジアン径が異なる2種以上の粒子を用いる。2種以上の粒子の各粒子のメジアン径は、互いに1μm以上15μm以下異なる。2種以上の粒子のいずれの粒子のメジアン径も、5μm以上40μm以下である。
このようにメジアン径が異なる2種以上のアゾジカルボン酸アミドの粒子を用いると、耐久性が良好で高断熱性を有するゴム発泡体1が得られる推測理由を説明する。
この製造方法では、まず、小さいメジアン径を有する粒子が発泡しながら、加硫が適度に進むと考えられる。この際、発泡体は、ガスを保持している。その後、小さいメジアン径を有する粒子の発泡が終わりかけたところで、大きいメジアン径を有する粒子が発泡することで、ゴム発泡体1の比重が低くなると考えられる。
メジアン径が異なる2種以上の粒子のうちで、最もメジアン径が小さい粒子を第1粒子とし、最もメジアン径が大きい粒子を第2粒子とした場合に、第1粒子:第2粒子の質量比は、発泡中のゴムの加硫を遅くすることで、発泡と加硫のバランスを良くし、ガス抜けを抑制してゴム発泡体の比重を低くするという観点から、95:5~20:80であることが好ましく、92:8~25:75であることが更に好ましく、60:40~25:75であることが更に好ましい。
なお、メジアン径が異なる粒子が2種の場合には、メジアン径が小さい粒子が第1粒子となり、メジアン径が大きい粒子が第2粒子となる。
アゾジカルボン酸アミドの粒子の合計量は、発泡と加硫のバランスを良くし、ガス抜けを抑制してゴム発泡体の比重を低くするという観点から、ゴム成分100質量部(アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとの合計を100質量部)に対して5質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上50質量部以下がより好ましい。
ゴム発泡体の好適な製造方法の一例を示す。まず、ゴム成分、相溶化剤、充填剤等をバンバリーミキサー、ニーダー等で一次混練する。その際、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤については含めない。一次混練の条件は、温度50℃~180℃、混練時間3分~30分が好ましい。その後、得られた一次混練物に、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、発泡剤、発泡助剤等を加えて二次混練する。二次混練の条件は、温度20℃~80℃、混練時間3分~30分が好ましい。得られた二次混練物は、カレンダー成形機、押出成形機等によって所望の形状にされる。その後、架橋・発泡金型に収容し、一次架橋・発泡と二次架橋・発泡を順に行い、ゴム発泡体を得る。一次架橋・発泡は、100℃~160℃、3分間~20分間が好ましい。二次架橋・発泡は、160℃~220℃、5分間~20分間が好ましい。
(2)実施形態のゴム発泡体1の製造方法の作用効果
実施形態のゴム発泡体1の製造方法では、メジアン径が異なる2種以上のアゾジカルボン酸アミドの粒子が、アクリロニトリル-ブタジエンゴム及びポリ塩化ビニルを含んだゴム成分中で、ゴム発泡体1の密度を下げるように発泡する。従って、この製造方法では、材料固有の性質としての熱伝導率が低いアクリロニトリル-ブタジエンゴム、及び、材料固有の性質としての熱伝導率が低いポリ塩化ビニルを含み、しかも比重も低く、その結果、熱伝導率が特に低いゴム発泡体1を製造できる。また、この製造方法では、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、及び、ポリ塩化ビニル、を含んで、表面が滑りやすく、耐摩耗性に優れたゴム発泡体1を製造できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
1.ゴム発泡体の作製(実施例1~8、及び比較例1~3)
表1に示す配合にて、各種ゴム発泡体を作製した。この際、実施例1~8、及び比較例1~3には、共通して表3の原材料を配合した。
表2には、表1に記載した原料の品名、及びメーカー名を示す。
表1において「DPT」は「N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン」を意味する。
Figure 2024071574000002
Figure 2024071574000003
Figure 2024071574000004
一次混練は、ニーダーを用いて温度160℃、混練時間5分で行い、二次混練は、ロールを用いて温度50℃、混練時間10分で行った。
一次架橋・発泡は、内容積57cmの金型に二次混練物70gを収容し、130℃で10分で行った。
また二次架橋・発泡は、一次架橋・発泡と同じ金型を用いて、200℃で5分行った。
2.評価方法
(1)比重
JIS K7112のA法「水中置換法」によって、23℃の温度条件下において測定した。
(2)熱伝導率
熱伝導率は、JIS-A1412-2に準拠して測定される値である。熱伝導率は、京都電子工業株式会社製 迅速熱伝導率計(QTM-500)を用いてプローブ法により測定した。
(3)難燃性
難燃性は、20mm垂直燃焼試験(IEC60695-11-10 B法、ASTM D3801)に準拠して測定した。試験片をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動によりV-0,V-1,V-2,Notの判定を行った。
各判定基準が以下の場合に燃焼性分類を「V-0」と判定した。

各試験片の燃焼時間:10秒以下
5本の合計燃焼時間:50秒以下
各試験片の燃焼+グローイング時間:30秒以下
クランプまでの燃焼:なし
滴下物による綿着火:なし
(4)耐摩耗性
耐摩耗性の試験方法(摩耗試験方法)は、次の方法で行った。2000回擦り、表面に摩耗がない場合を「良」とし、摩耗が有る場合を「不可」とした。
・試験装置名:学振形摩擦試験機
・試験方法:JIS K 6404-4 ゴム引布及びプラスチック引布試験方法 第4部:耐久試験 8.3 学振形摩擦試験
・荷重(摩擦子の重さ):200g
・摩擦速度:30回/分
・摩擦距離:100mm
・摩擦子に綿布を巻いた。
(5)総合判定
以下のように判定した。
「良」:以下の3項目を全て満たす。
「不可」:以下の3項目のうちで、いずれか1項目以上を満たさない。
<項目>
〔1〕熱伝導率:0.043W/m・K以下
〔2〕難燃性:V-0相当
〔3〕耐摩耗性の試験結果:良
3.結果
結果を表4に記載する。
Figure 2024071574000005
(1)実施例1~8の各要件の充足状況
実施例1~8のゴム発泡体は、下記要件(a)~(d)を全て満たしている。
・要件(a):アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、を含むゴム発泡体である。
・要件(b):アクリロニトリル-ブタジエンゴムと前記ポリ塩化ビニルとの合計を100質量部とした場合に、前記アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、50質量部以上90質量部以下である。
・要件(c):比重が、0.05以上0.15以下である。
・要件(d):メジアン径が異なる2種のアゾジカルボン酸アミドの粒子を用いている。
(2)比較例1~3の各要件の充足状況
これに対して、比較例1~3のゴム発泡体は、以下の要件を満たしていない。
比較例1では、要件(a)(b)(c)(d)を満たしてない。
比較例2では、要件(a)(b)(d)を満たしてない。
比較例3では、要件(c)(d)を満たしてない。
(3)実施例1~8の結果及び考察
実施例1~8のゴム発泡体は、総合判定の結果が良好であった。実施例1~8のゴム発泡体は、熱伝導率が0.043W/m・K以下と低く、難燃性がV-0相当であり、且つ、耐摩耗性が優れていた。
なお、図2に、実施例2と比較例1の耐摩耗性の試験後の様子を示す。図2の右側の実施例2では表面に摩耗がなく、左側の比較例1では表面に摩耗があった。
(4)比較例1~3の結果及び考察
比較例1のゴム発泡体は、ゴム成分としてEPDMを用いており、比重が高い。比較例1のゴム発泡体は、熱伝導率が高く、且つ、耐摩耗性が不良であった。
比較例2のゴム発泡体は、ゴム成分としてNBRのみを用いている。比較例2のゴム発泡体は、耐摩耗性が不良であった。
比較例3のゴム発泡体は、ゴム成分としてNBR及びPVCを用いている。しかし、比較例3のゴム発泡体は、メジアン径が異なる2種以上のアゾジカルボン酸アミドの粒子を用いて作製されておらず、比重が高い。比較例3のゴム発泡体は、熱伝導率が0.059W/m・Kと高かった。
以上の結果から、実施例1~8のように、メジアン径が異なる2種のアゾジカルボン酸アミドの粒子を用いて、アクリロニトリル-ブタジエンゴムとポリ塩化ビニルとを含み、かつ、アクリロニトリル-ブタジエンゴムを50質量部以上90質量部以下としたゴム発泡体を製造すると、ゴム発泡体の比重が低くなることが確認された。実施例1~8のゴム発泡体は、熱伝導率が低いとともに、難燃性が高く、耐摩耗性も高いことが確認された。
4.実施例の効果
以上の実施例によれば、熱伝導率が低く、しかも、難燃性が高く、耐摩耗性が高いゴム発泡体を提供することができる。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
1 …ゴム発泡体

Claims (4)

  1. アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、を含むゴム発泡体であって、
    前記アクリロニトリル-ブタジエンゴムと前記ポリ塩化ビニルとの合計を100質量部とした場合に、前記アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、50質量部以上90質量部以下であり、
    比重が、0.05以上0.15以下である、ゴム発泡体。
  2. ハロゲン系難燃剤及びアンチモン系難燃剤からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載のゴム発泡体。
  3. 円筒形である、請求項1又は請求項2に記載のゴム発泡体。
  4. アクリロニトリル-ブタジエンゴムと、ポリ塩化ビニルと、アゾジカルボン酸アミドの粒子と、を含有する混合物を原料とするゴム発泡体の製造方法であって、
    前記アゾジカルボン酸アミドの粒子として、メジアン径が異なる2種以上の粒子を用い、
    前記2種以上の粒子の各粒子のメジアン径は、互いに1μm以上15μm以下異なり、
    前記2種以上の粒子のいずれの粒子のメジアン径も、5μm以上40μm以下である、ゴム発泡体の製造方法。
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