JP2024069833A - シート状部材の巻取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シート状部材の巻取装置において、コイルバネの端部を簡易に組付けられるようにすることを目的とする。【解決手段】シート状部材の巻取装置は、第1回転支持部材43と、スライド部材60と、コイルバネ50とを備える。コイルバネ50は、フック54を有する。コイルバネ50の端部が取付けられる第1回転支持部材43及びスライド部材60の少なくとも一方は、溝71が形成されたフック支持部70を有する。溝71は、フック54をコイルバネ50の軸方向に沿って挿入可能な端部開口77が設けられた挿入部76と、フック54を保持する保持部78とを有する。挿入部76と保持部78とは、コイルバネ50の軸方向に沿って互いに離れた位置であってコイル部51の周方向に沿って互いに離れた位置に設けられており、溝71のうち挿入部76と保持部78との間の部分は、フック54が端部開口77から保持部78までスライド可能に連続している。【選択図】図6
Description
この開示は、シート状部材の巻取装置に関する。
特許文献1は、シートを巻き取る方向に巻取り軸をコイルスプリングによって回転付勢する車両用シート巻取り装置を開示している。係る車両用シート巻取り装置のコイルスプリングにおいて、コイル部よりも端部の脚部は、コイル部からコイルスプリングの長手方向外側に延び、さらに、コイル部の中心に向けて折り返されて、その先端はコイル部の中心軸あたりにまで延びた形状に形成されている。コイル部に対して両側の脚部は、コイルスプリングの長手方向に沿って延びるように固定軸及び支持部材にそれぞれ設けられたスプリング保持部に組付けられる。この際、固定軸又は支持部材の長手方向に対して垂直な向きに形成されている連結孔に脚部を差し込んで取り付けている。
特許文献1に記載の車両用シート巻取り装置において、固定軸や支持部材の連結孔はスプリング保持部の長手方向に対して垂直な向きに形成されているため、脚部をスプリング保持部の連結孔に差し込む際は、脚部の先端をスプリング保持部の外周より外側に撓ませなければならないため、組付けが困難である。
そこで、本開示は、シート状部材の巻取装置において、コイルバネの端部を簡易に組付けられるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、シート状部材の巻取装置は、シート状部材と、前記シート状部材の一端が取付けられた中空状の巻取シャフトと、前記巻取シャフトの一端を相対回転可能に支持する第1支持部を有する第1回転支持部材と、前記巻取シャフトの他端を相対回転可能に支持する第2支持部を有する第2回転支持部材とを含み、前記シート状部材を収納可能なケースと、前記巻取シャフトの内部に配置され、前記巻取シャフトと相対回転不能かつ前記巻取シャフトの長手方向に沿ってスライド可能に係合するスライド部材と、前記巻取シャフトの内部に配置され、前記長手方向に沿って伸縮可能なコイル部と、前記コイル部の一端部に連続し、前記第1支持部に取付けられている第1取付部と、前記コイル部の他端部に連続し、前記スライド部材に形成された支持部に取付けられている第2取付部とを含み、前記巻取シャフトを前記シート状部材の巻取方向へ付勢しているコイルバネと、を備え、前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくとも一方は、前記コイル部の軸方向に沿って観察されたときに、前記コイル部よりも内側を前記軸方向と交差する方向に延びるフックを有し、前記第1支持部及び前記支持部の少なくとも一方は、前記フックを保持する溝が形成されたフック支持部を有し、前記溝は、前記フックを前記軸方向に沿って挿入可能な挿入部と、前記フックを保持する保持部とを有し、前記挿入部と前記保持部とは、前記軸方向に沿って互いに離れた位置であって前記コイル部の周方向に沿って互いに離れた位置に設けられており、前記溝のうち前記挿入部と前記保持部との間の部分は、前記フックが前記挿入部から前記保持部までスライド可能に連続している、シート状部材の巻取装置である。
このシート状部材の巻取装置によると、コイルバネの端部を簡易に組付けられる。
以下、実施形態に係るシート状部材の巻取装置について説明する。巻取装置は、車両におけるシート状部材を巻取る装置である。
<適用例>
巻取装置の適用例について説明する。図1は巻取装置が車両10に適用された状態を示す説明図である。本実施形態では、巻取装置が、トノカバー装置20である例が説明される。トノカバー装置20は、後方に荷室11が設けられた車両10に設けられる。荷室11は、シート(seat)16の背もたれ部分17の後方に広がっている。シート16は、例えば、前から2列目又は3列目のリアシートである。荷室11は、フロア12上における背もたれ部分17の後方で、両側壁13間に位置する。側壁13には、ウインドウ13wが設けられる。荷室11の上方にはルーフ14が設けられている。荷室11の後方は開口しており、当該開口はバックドア15によって開閉される。
巻取装置の適用例について説明する。図1は巻取装置が車両10に適用された状態を示す説明図である。本実施形態では、巻取装置が、トノカバー装置20である例が説明される。トノカバー装置20は、後方に荷室11が設けられた車両10に設けられる。荷室11は、シート(seat)16の背もたれ部分17の後方に広がっている。シート16は、例えば、前から2列目又は3列目のリアシートである。荷室11は、フロア12上における背もたれ部分17の後方で、両側壁13間に位置する。側壁13には、ウインドウ13wが設けられる。荷室11の上方にはルーフ14が設けられている。荷室11の後方は開口しており、当該開口はバックドア15によって開閉される。
トノカバー装置20は、上記のような荷室11に組込まれる。トノカバー装置20は、荷室11のフロア12上に載置された物品を上方から覆う位置に配置される。例えば、トノカバー装置20は、フロア12の上方に離れた位置であって、ウインドウ13wよりも下方位置において、水平方向に延在するように配置される。
図1に示す例では、両側壁13のそれぞれが、受凹部18と引出側受凹部19とを備える。受凹部18は、背もたれ部分17の上部後方位置に設けられる。引出側受凹部19は、受凹部18に対して後方に離れた位置に設けられる。受凹部18と引出側受凹部19とは、上方及び車幅方向中央側が開口する凹形状に形成されている。
トノカバー装置20の巻取支持装置30が車幅方向に沿って延在した状態で、巻取支持装置30の両端部のそれぞれが一対の受凹部18に保持される。巻取支持装置30からトノカバー22が引出され、当該トノカバー22のシート状部分23の先端部に設けられたステイ28の両端部のそれぞれが一対の引出側受凹部19に保持される。これにより、トノカバー22が巻取支持装置30から後方に引出され、荷室11を上方から覆った状態に保たれる。巻取支持装置30は、荷室11を上方から覆うトノカバー22を巻取ることができる。トノカバー22が巻取支持装置30によって巻取られることで、荷室11内に上下に連続して広がる収納空間が形成される。
巻取支持装置30の巻取対象となるシート状部材は、巻取シャフト32に巻取ることができるように変形でき、かつ、平面的に広がることができる薄い部材である。本実施形態では、トノカバー22の一部又は全部がシート状部材である。巻取支持装置30の巻取対象がトノカバー22であることは必須ではない。例えば、巻取支持装置は、車両におけるサイドウインドウ又はリアウインドウを覆うシェードを巻取る装置であってもよい。この場合、巻取支持装置は、サイドウインドウの下縁若しくは横縁、又は、リアウインドウの下縁に沿って配置されてもよい。つまり、巻取装置は、シェードを巻取る装置であってもよい。
<全体構成>
トノカバー装置20の全体構成について説明する。図2及び図3はトノカバー装置20を示す斜視図である。図2ではトノカバー22が展開した状態が示され、図3ではトノカバー22が収納された状態が示される。図4はトノカバー装置20を示す分解斜視図である。図5は図3のV-V線断面図である。
トノカバー装置20の全体構成について説明する。図2及び図3はトノカバー装置20を示す斜視図である。図2ではトノカバー22が展開した状態が示され、図3ではトノカバー22が収納された状態が示される。図4はトノカバー装置20を示す分解斜視図である。図5は図3のV-V線断面図である。
トノカバー装置20は、トノカバー22と、巻取支持装置30とを備える。トノカバー22は荷室11を覆う部材である。巻取支持装置30は、トノカバー22を引出し可能に巻取る装置である。
トノカバー22は、平面状に展開可能でかつ巻取りのための変形が可能なシート状部分23を含む。シート状部分23は、樹脂シート又は糸を編んだ布等によって形成された柔軟シートによって構成されている。このシート状部分23が巻取支持装置30によって巻取られるシート状部材に該当する部分である。
シート状部分23の基端部が巻取支持装置30に連結されている。シート状部分23の先端部に、車幅方向に沿うように、ステイ28が固定されている。ステイ28の両端部は、シート状部分23から車幅方向外側にはみ出ている。ステイ28の両端部が上記引出側受凹部19に嵌め込まれて保持される。
トノカバー22は、シート状部分23よりも剛性が高い板状部分24を含む。板状部分24は、ステイ28よりも引出側に設けられている。板状部分24は、例えば、柔軟シートに樹脂板、金属板又は木製板を重ねた構成によって実現される。
ステイ28の両端部が一対の引出側受凹部19に保持された状態では、シート状部分23は、巻取支持装置30とステイ28との間で前後方向に引っ張られることによって、水平状態に展開した状態に保たれる。板状部分24は、自身の剛性によって、ステイ28から車両10の後方に向けて水平状態に延在する状態に保たれる。ステイ28の両端部が一対の引出側受凹部19に保持され、シート状部分23が巻取支持装置30から引出された状態が、展開基準状態である。上記板状部分24は省略されてもよく、シート状部分23の引出しは利用者が板状部分24又はステイ28を手で掴むことによってなされる。
巻取支持装置30は、巻取シャフト32と、ケース40と、コイルバネ50と、スライド部材60とを備える。巻取シャフト32は、ケース40によって回転可能に支持されていると共に、コイルバネ50及びスライド部材60等によって巻取方向に付勢されている。
巻取シャフト32は、中空状の長尺部材であり、例えば、金属等で形成された円筒状の部材を含む。シート状部分23の基端部がその長手方向に沿って巻取シャフト32の外周面に取付けられている。このため、巻取シャフト32がシート状部分23を巻き取る方向に回転すると、シート状部分23が巻取シャフト32に巻取られる。
ケース40は、ケース本体41と、第1回転支持部材43と、第2回転支持部材46とを含み、シート状部分23を収納可能に構成されている。
ケース本体41は、巻取シャフト32及び当該巻取シャフト32に巻取られたシート状部分23を収納可能な筒状に形成されている。ケース本体41には、シート状部分23の引出し及び巻取を可能にするシート状部分用開口42がケース本体41の長手方向に沿って形成されている。かかるケース本体41は、例えば、アルミニウム等の金属、又は、樹脂によって形成される。
第1回転支持部材43は、ケース本体41の一端に取付けられている。第1回転支持部材43は、巻取シャフト32の一端を相対回転可能に支持する。第1回転支持部材43は、支持本体44と、第1支持部45とを有する。支持本体44は、ケース本体41の一端側開口に嵌め込まれるようにして、当該ケース本体41の一端の一定位置に取付けられている。例えば、支持本体44が、ケース本体41の一端側開口に嵌め込まれた状態で、ネジSがケース本体41に螺合締結されてその先端部が支持本体44の固定孔に嵌め込まれることで、支持本体44がケース本体41の一端に抜止め状態で固定される。第1支持部45は、支持本体44のうちケース本体41の長手方向中央を向く面に突設される。第1支持部45は、ケース本体41の長手方向に沿って当該ケース本体41の長手方向中央に向って突出する円柱状に形成されている。第1回転支持部材43は、例えば、樹脂による金型成形部品である。
第2回転支持部材46は、ケース本体41の他端に取付けられている。第2回転支持部材46は、巻取シャフト32の他端を相対回転可能に支持する。第2回転支持部材46は、支持本体47と、第2支持部48とを有する。支持本体47は、ケース本体41の他端側開口に嵌め込まれるようにして、当該ケース本体41の他端の一定位置に取付けられている。例えば、支持本体47が、ケース本体41の他端側開口に嵌め込まれた状態で、ネジSがケース本体41に螺合締結されてその先端部が支持本体47の固定孔に嵌め込まれることで、支持本体47がケース本体41の他端に抜止め状態で固定される。第2支持部48は、支持本体47のうちケース本体41の長手方向中央を向く面に突設される。第2支持部48は、ケース本体41の長手方向に沿って当該ケース本体41の長手方向中央に向って突出する円錐状に形成されている。第2回転支持部材46は、例えば、樹脂による金型成形部品である。
巻取シャフト32がケース本体41内に配置された状態で、ケース本体41の一端側で、第1回転支持部材43によって巻取シャフト32の一端が回転可能に支持される。また、同状態で、ケース本体41の他端側で、第2回転支持部材46によって巻取シャフト32の他端が回転可能に支持される。これにより、巻取シャフト32がケース本体41内で回転可能に支持される。第1回転支持部材43及び第2回転支持部材46について見ると、第1回転支持部材43及び第2回転支持部材46は、ケース本体41に相対回転不能に取付けられており、巻取シャフト32の回転時に回転しない。
なお、本実施形態では、トノカバー装置20は、ホルダ80と、ホルダ付勢部材82とを備える。
ホルダ80は、樹脂等で形成された部材であり、ケース40の端部に外装可能に構成されている。より具体的には、ホルダ80は、一端が開口すると共に他端が閉塞された筒状の部材である。ホルダ80は、ケース40の端部の外周面を覆った状態で、当該ケース40の端部に当該ケース40の長手方向に沿って移動可能に取付けられている。
ケース40の外向き端面とホルダ80内の奥側の閉鎖端との間にホルダ付勢部材82が配置される。ホルダ付勢部材82は、例えば、コイルバネである。ホルダ付勢部材82が圧縮状態から元の形状に戻ろうとする弾性力によって、ホルダ80がケース40の長手方向外側に向けて付勢される。
巻取支持装置30の両端のホルダ80が一対の受凹部18に支持された状態では、ホルダ付勢部材82が圧縮されている。この場合、ホルダ付勢部材82の弾性力によってホルダ80の外向き面が受凹部18を押付ける。これにより、受凹部18内における巻取支持装置30のがたつきが抑制される。
ホルダ80及びホルダ付勢部材82は、ケース40の両端に設けられてもよいし、一方の端部のみに設けられてもよいし、省略されてもよい。
<巻取シャフトを巻取方向に付勢するための構成について>
図1から図5に加えて、図6をさらに参照しつつ、巻取シャフト32を巻取方向に付勢するための構成について説明する。図6は、第1回転支持部材43、スライド部材60及びコイルバネ50を示す分解平面図である。
図1から図5に加えて、図6をさらに参照しつつ、巻取シャフト32を巻取方向に付勢するための構成について説明する。図6は、第1回転支持部材43、スライド部材60及びコイルバネ50を示す分解平面図である。
図4に示すように、巻取シャフト32は、中空のシャフト本体33を有している。シャフト本体33の内部に、コイルバネ50及びスライド部材60が配置される。また、シャフト本体33の内部には、その長手方向全体に亘って嵌合溝34が形成されている。嵌合溝34は、巻取シャフト32とスライド部材60とを相対回転不能とするために設けられる。
コイルバネ50は、巻取シャフト32をシート状部分23の巻取方向へ付勢している。コイルバネ50は、自身の軸方向に沿って伸縮可能であり、一方向にねじれ変形することで力を蓄えてねじれ変形を戻す方向に付勢することができる。コイルバネ50は、コイル部51と第1取付部52と第2取付部53とを含む。コイル部51の軸方向は巻取シャフト32の長手方向に沿っている。コイル部51は、巻取シャフト32の内部に配置され、巻取シャフト32の長手方向に沿って伸縮可能である。第1取付部52は、コイル部51の一端部に連続している。第1取付部52は、第1回転支持部材43の第1支持部45に取付けられている。第2取付部53は、コイル部51の他端部に連続している。第2取付部53は、スライド部材60の支持部63に取付けられている。なお、図4及び図5において、軸方向に延びるコイル部51の中間部は一部省略されて仮想線で示されているが、仮想線で示されるコイル部51の中間部もコイル形状を有する。図6以降の各図においても同様でもある。
図6に示すように、スライド部材60は、巻取シャフト32と相対回転不能にかつ巻取シャフト32の長手方向に沿ってスライド可能に巻取シャフト32と係合している。スライド部材60は、ケース本体41に対して巻取シャフト32が回転する際、巻取シャフト32と共に回転する。スライド部材60は、コイルバネ50の伸縮に伴い、巻取シャフト32内を巻取シャフト32の長手方向に沿ってスライドする。スライド部材60は、樹脂又は金属によって形成された部材であり、回転止部61と、支持部63とを有する。
回転止部61は、巻取シャフト32内に配置可能な柱状部分である。回転止部61の外周に嵌合溝34に嵌ることができる回転止突部62が形成されている。回転止突部62は、回転止部61の外周において嵌合溝34に対応して当該嵌合溝34と同じ位置かつ同じ数が形成されている。回転止突部62は、嵌合溝34と同じ形状、ここでは、三角形状が続く細長い突部に形成されている。
各回転止突部62が各嵌合溝34に嵌った状態で、スライド部材60が巻取シャフト32内を回転止された状態でスライドすることができる。なお、回転止突部62及び嵌合溝34は少なくとも1つあればよい。シャフト本体内にその長手方向に沿った突部が形成され、スライド部材側に当該突部が嵌る嵌合溝が形成されてもよい。
本実施形態では、複数(例えば、10個から30個)の嵌合溝34が、巻取シャフト32の周方向に沿って互いに間隔をあけて形成されている。当該複数の嵌合溝34がある場合でも、第1支持部45及び第2支持部48に対する巻取シャフト32の回転を円滑にするため、本実施形態では、巻取シャフト32の一端及び他端にそれぞれ軸受部材36を設けている。軸受部材36は、樹脂等で形成された筒状の部材である。軸受部材36は省略されてもよい。
第1支持部45及び第2支持部48は、それぞれ軸受部材36内に回転可能に挿入されている。つまり、第1支持部45と巻取シャフト32の端部開口との間、及び、第2支持部48と巻取シャフト32の端部開口との間にそれぞれ軸受部材36が介在している。第1支持部45及び第2支持部48に対して軸受部材36が回転することによって、巻取シャフト32がケース40に対して回転することができる。
支持部63は、回転止部61に対して第1支持部45側に突出している。支持部63は、回転止部61よりも細い。
第1取付部52が第1支持部45に取付けられていることで、コイルバネ50の一端が第1支持部45に回転止状態で取付けられている。第2取付部53が支持部63に取付けられていることで、コイルバネ50の他端がスライド部材60に回転止状態で取付けられている。従って、コイルバネ50が巻取シャフト32内に配置された状態では、コイルバネ50の両端が第1支持部45及び支持部63に回転止状態で取付けられている。第1支持部45は、ケース本体41に対して回転せずに、巻取シャフト32を回転可能に支持する。支持部63は、巻取シャフト32に対して回転せずに、ケース本体41に対して回転する。従って、巻取シャフト32がケース本体41に対して回転する際、第1取付部52がケース本体41と共に回転止された状態で、第2取付部53が巻取シャフト32と共にケース本体41に対して回転することによって、コイル部51がねじれ変形する。当該ねじれ変形によって、コイル部51は、巻取シャフト32を巻取方向に付勢すると共に巻取シャフト32の長手方向に伸縮する。
より具体的には、ねじれ変形しているコイル部51には、ねじれ変形を解消しようとする復元力が生じる。当該復元力が巻取シャフト32の軸回りのトルクとして、スライド部材60及び巻取シャフト32に作用する。また、巻取シャフト32及びコイルバネ50は、巻取シャフト32が引出方向に回転するときに、コイル部51のねじれ変形が大きくなるように設定されているため、コイル部51はねじれ変形の解消のために巻取シャフト32を巻取方向に回転しようとする。これらより、上記トルクが、巻取シャフト32を巻取方向に付勢する。また、コイル部51がねじれ変形することによって、コイル部51の巻数が変化する。コイル部51は、巻数が増えるようにねじれ変形したときに軸方向に伸長し、巻数が減るようにねじれ変形したときに軸方向に短縮する。
ここで、収納基準状態を、ステイ28がシート状部分用開口42の周りでケース本体41に接触するまでシート状部分23が巻取シャフト32に巻取られた状態とする。この状態で、巻取シャフト32と第1支持部45との間でコイル部51がねじれ変形しており、当該ねじれ変形を解消しようとする復元力によって、コイル部51が巻取シャフト32をシート状部分23の巻取方向に付勢していることが好ましい。つまり、巻取シャフト32がシート状部分23を巻取った状態において、巻取シャフト32は巻取方向に付勢されるように、コイル部51は事前にねじれ変形した状態となっていることが好ましい。
本実施形態では、巻取シャフト32の回転の向きと、コイル部51のねじれ変形の向きとの関係は以下のように設定されている。すなわち、巻取シャフト32が引出方向に回転する際、コイル部51は巻数が増えるようにねじれ変形して軸方向に伸長する。また、巻取シャフト32が巻取方向に回転する際、コイル部51は、巻数が減るようにねじれ変形して軸方向に短縮する。従って、収納基準状態において、巻取シャフト32が巻取方向に付勢されるように、コイル部51は自然状態よりも巻数が増えるように事前にねじれ変形した状態となっていることが好ましい。
第1取付部52及び第2取付部53の少なくとも一方は、フックを有する。第1支持部45及び支持部63の少なくとも一方(フックを有する取付部に対応する方)は、フック支持部70を有する。本実施形態では、第1取付部52及び第2取付部53の両方がフックを有し、第1支持部45及び支持部63の両方がフック支持部70を有する。つまり、フック及びフック支持部70による取付け態様が、第1取付部52と第1支持部45との第1の組と、第2取付部53と第2支持部48との第2の組との両方に採用されている。フック及びフック支持部70による取付け態様が、第1の組と第2の組のうち第1の組のみに採用されていてもよいし、第2の組のみに採用されていてもよい。フック及びフック支持部70による取付け態様が採用されない方の組は、例えば、フックを固定孔に差し込むように取付けられていてもよい。
<フック及びフック支持部について>
フック及びフック支持部70について、図1から図6に加えて、図7から図10をさらに参照しつつ、より具体的に説明する。図7から図10は、フック54がフック支持部70に組付けられる様子を示す説明図である。図7から図9は同じ方向に沿う斜視図である。図10は、図6のX-X線に沿った位置の断面図である。なお、図7から図10ではスライド部材60のフック支持部70の例が示されている。第1回転支持部材43のフック支持部70についても、矛盾が生じない限り、スライド部材60のフック支持部70と同様の構成を採用することができる。
フック及びフック支持部70について、図1から図6に加えて、図7から図10をさらに参照しつつ、より具体的に説明する。図7から図10は、フック54がフック支持部70に組付けられる様子を示す説明図である。図7から図9は同じ方向に沿う斜視図である。図10は、図6のX-X線に沿った位置の断面図である。なお、図7から図10ではスライド部材60のフック支持部70の例が示されている。第1回転支持部材43のフック支持部70についても、矛盾が生じない限り、スライド部材60のフック支持部70と同様の構成を採用することができる。
図10に示すように、フック54は、コイル部51の軸方向に沿って観察されたときに、コイル部51よりも内側を軸方向と交差する方向に延びる。フック54は、コイル部51の端部に連続してもよいし、コイル部51の端部から軸方向に延びる連結部を介してコイル部51とつながっていてもよい。本実施形態では、フック54は、コイル部51の端部に連続している。図10に示す例では、フック54は、コイル部51の端部からコイル部51の径方向中心に向けて延びる。フック54の先端は、コイル部51の外周よりもコイル部51の中心に近い。ここでは、フック54の先端は、コイル部51のほぼ中心に位置する。
本実施形態では、フック支持部70は、コイル部51の軸方向に延びる円柱状に形成されている。フック支持部70の外周には、フック54を保持する溝71が形成されている。溝71の底72はフック支持部70の外周よりも内側にあり、溝71の底72とは反対側の上部開口73がフック支持部70の外周に開口している。溝71の凹む向き(上部開口73から底72に向かう向き)は、コイル部51の内側におけるコイル部51に対するフック54の延びる向きに対応する。ここでは、フック54がコイル部51の端部からコイル部51の径方向中心に向けて延びるため、溝71は、フック支持部70の外周から径方向中心に向けて凹む。
溝71は、挿入部76と保持部78とを有する。挿入部76には、端部開口77が設けられている。端部開口77は、フック54を軸方向に沿って挿入可能な開口である。つまり、溝71は、フック支持部70の先端面まで延びており、当該先端面に端部開口77を形成している。保持部78は、フック54を保持する部分である。トノカバー装置20として組付けられた状態で、フック54は基本的に保持部78に位置する。挿入部76と保持部78とは、軸方向に沿って互いに離れた位置であってコイル部51の周方向に沿って互いに離れた位置に設けられている。溝71のうち挿入部76と保持部78との間の部分は、フック54が端部開口77から保持部78までスライド可能に連続している。
本実施形態では、溝71は、第1溝74と第2溝75とを含む。第1溝74は、端部開口77から軸方向に平行に延びる。第2溝75は、第1溝74のうち端部開口77とは反対側の端部から保持部78まで周方向に沿って延びる。図7に示すように、フック54は、コイル部51の軸方向に沿う矢符A1の向きに移動して、端部開口77から第1溝74に挿入される。第1溝74に挿入されたフック54は、そのまま、矢符A1の向きに移動して、第1溝74に沿ってスライドする。これにより、フック54は、第1溝74の端部開口77とは反対側の端部に達する。この後、図8に示すように、フック54は、コイル部51の周方向に沿う矢符A2の向きに移動して、第2溝75に挿入されると共に第2溝75に沿ってスライドする。これにより、図9に示すように、フック54は、第2溝75のうち第1溝74とは反対側の端部に達し、保持部78に保持された状態となる。
図10に示すように、フック54は、コイル部51の端部から湾曲しつつ、コイル部51の径方向中心に向かう。フック54の先端はコイル部51の径方向に沿って延びる。フック54の基端部はコイル部51の接線方向に延びる状態から径方向に延びる状態に向けて湾曲している。フック54の基端部の湾曲に合わせて、第1溝74の一方の側壁74aにおいて、溝71の底72からの高さ寸法が、他方の側壁74bの高さ寸法よりも低くなっている。
図10の実線に示すように、第1溝74にフック54が位置する状態で、第2溝75は、第1溝74に対してフック54の基端部の湾曲部が位置する側に形成される。この状態で、コイルバネ50は、矢符A2の向きに回転することによって、フック54が第2溝75に沿ってスライドして、保持部78に保持される。図10の仮想線に示すように、フック54が保持部78に保持された状態で、第2溝75の終端に位置する終端壁部75aがフック54及びコイル部51に挟まれた状態となる。
コイル部51の端部に連続するフック54が保持部78に位置する状態で、フック支持部70のうち保持部78よりも挿入部76側の部分はコイル部51の内部に位置する。本実施形態では、端部開口77から溝71に挿入されたフック54が溝71に沿って保持部78に向けて矢符A1の向きにスライドすると、フック支持部70が先端からコイル部51に挿入されていく。つまり、第1溝74のうちフック54が通過した部分のフック支持部70がコイル部51に挿入される。
上記したように、コイル部51には、巻取シャフト32を巻取方向へ付勢するために周方向に沿う復元力が生じている。当該コイル部51の復元力によって、フック54は、周方向において挿入部76から保持部78に向けて付勢されている。本実施形態では、収納基準状態、展開基準状態及びその間のいずれの状態でも、コイルバネ50は巻取シャフト32を巻取方向に付勢しており、コイル部51は巻数が増えるようにねじれ変形した状態となっている。従って、コイル部51は、巻数が減る方向に復元しようとする。図10の矢符A2の向きは、コイル部51が矢符A2の向きにねじれた場合に、コイル部51の巻数が減る向きである。収納基準状態、展開基準状態及びその間のいずれの状態でも、コイル部51は、矢符A2の向きとは逆向きにねじれ変形した状態とされる。従って、フック54には、コイル部51の復元力によって、矢符A2の向きのトルクが生じており、当該トルクがフック54を第2溝75の終端壁部75aに向けて付勢している。このため、フック54は保持部78に位置する状態で、第1溝74に向けて第2溝75に沿ってスライドすることが抑制される。
図6に示すように、第1支持部45の第2溝75と、支持部63の第2溝75とは、第1溝74に対して互いに逆向きに設定されている。具体的には、図6に示す例において、第1支持部45における第2溝75は第1溝74から紙面上側に延び、支持部63のフック支持部70における第2溝75は第1溝74から紙面下側に延びる。これにより、コイル部51の両側のフック54が、それぞれコイル部51の復元力によって、周方向において保持部78から抜ける向きとは逆向きに付勢されている。また、コイルバネ50の両端のフック54を第1支持部45の第2溝75と支持部63の第2溝75とにそれぞれ保持させた状態で、第1回転支持部材43とスライド部材60とを互いに逆向きに相対回転させることによって、コイル部51に収納基準状態におけるねじれ変形を簡易に付与することができる。図10を用いて説明すると、図10の仮想線のフック54の状態でスライド部材60を矢符A2の向きとは逆の向きに回転させることで、終端壁部75aからフック54に矢符A2の向きとは逆の向きのトルクがかかり、当該トルクによってコイル部51に収納基準状態におけるねじれ変形を付与することができる。
収納基準状態又は展開基準状態のように、ステイ28の移動が規制されている状態では、巻取方向の付勢力がステイ28に支持されて、巻取シャフト32及びスライド部材60の回転が規制される。このとき、フック54が矢符A2の向きのトルクを受けて、スライド部材60の終端壁部75aを矢符A2の向きに押しても、終端壁部75aがこれを支持し、スライド部材60は回転しない。ステイ28の移動の規制が解除されることによって、巻取シャフト32及びスライド部材60の回転の規制も解除される。このとき、フック54が矢符A2の向きのトルクを受けて、スライド部材60の終端壁部75aを押すことで、スライド部材60と巻取シャフト32とが巻取方向に回転する。
保持部78は、係合突起79を有する。係合突起79は、フック54と周方向に係合してフック54の保持状態を維持する。係合突起79は第2溝75の側壁から第2溝75に向けて突出する。係合突起79が設けられた部分における第2溝75の幅寸法が、その前後の第2溝75の幅寸法及びフック54の直径よりも小さくされている。フック54が第2溝75に沿ってスライドする際、係合突起79と接触する。この際、フック54及びフック支持部70のうち少なくとも一方が弾性変形することによって、フック54が係合突起79を通過して保持部78に収まることができる。フック54が係合突起79を通過した後、弾性変形していた部分が復元する。これにより、保持部78に収まるフック54が第2溝75を第1溝74に向けてスライドしようとすると、係合突起79と接触することによって、スライドが規制される。これにより、保持部78に収まった状態に維持される。
係合突起79は、第2溝75の終端壁部75aと離れて設けられている。ここでは係合突起79は、第1溝74の側壁74aをなしている部分の端部から第2溝75に突出するように設けられる。係合突起79よりも終端壁部75a側の空間が、保持部78におけるフック54の収容空間である。当該収容空間は、フック54よりも小さくなっていてもよく、フック54が収容空間に圧入されていてもよい。この場合、フック54と保持部78との間の摩擦力が大きくなり、収容空間内においてフック54ががたつきにくくなると共に、溝71の上部開口73から抜けにくくなる。
係合突起79のうち周方向において第1溝74側の部分は、傾斜面とされている。当該傾斜面は、コイル部51の軸方向と直交する平面に対して傾斜している。傾斜面が設けられることによって、係合突起79が設けられた部分における第2溝75の幅寸法が、第1溝74側から第2溝75側に向けて徐々に大きくなっている。当該傾斜面がフック54を保持部78に向けて案内可能なガイド面とされている。
なお、コイルバネ50にはゴムチューブ66が外装されている。ゴムチューブ66がコイルバネ50と巻取シャフト32との間に介在することで、コイルバネ50と巻取シャフト32との接触によるがたつき音の発生が抑制される。ゴムチューブ66は、巻取シャフト32及びスライド部材60と共に回転するように設けられてもよいし、第1回転支持部材43と共に巻取シャフト32に対して回転不能に設けられていてもよい。
図6に示すように、支持部63において、フック支持部70と回転止部61との間には、フック支持部70よりも大径で、かつ、回転止部61よりも小径の連結部分が設けられる。当該連結部分は、一定の直径で連続する部分を有する。当該連結部分の直径は、コイルバネ50の外径と同程度とされてもよい。当該連結部分に、ゴムチューブ66の端部が被せられてもよい。同様に、第1支持部45において、フック支持部70と第1支持部45の本体(軸受部材36に覆われる部分)との間には、フック支持部70よりも大径で、かつ、第1支持部45の本体よりも小径の連結部分が設けられる。第1支持部45における連結部分は、フック支持部70から第1支持部45の本体に向けて徐々に拡径している。第1支持部45における連結部分のうち第1支持部45の本体側の部分は、支持部63の連結部分よりも大径とされる。
<効果等>
以上のように構成されたトノカバー装置20によると、コイルバネ50のフック54は、フック支持部70の溝71に対して挿入部76の端部開口77から軸方向に沿って挿入され、さらに保持部78まで溝71に沿ってスライドすることによってフック支持部70に組付けられる。これにより、フック54をフック支持部70より外側に撓ませる作業を省略可能となり、コイルバネ50の端部が簡易に組付けられる。
以上のように構成されたトノカバー装置20によると、コイルバネ50のフック54は、フック支持部70の溝71に対して挿入部76の端部開口77から軸方向に沿って挿入され、さらに保持部78まで溝71に沿ってスライドすることによってフック支持部70に組付けられる。これにより、フック54をフック支持部70より外側に撓ませる作業を省略可能となり、コイルバネ50の端部が簡易に組付けられる。
また、フック54は、コイル部51の復元力によって、周方向において挿入部76から保持部78に向けて付勢されている。これにより、保持部78から挿入部76に向けてフック54が溝71に沿って移動することが、巻取シャフト32を付勢するための復元力を用いて抑制され、保持部78におけるフック54の位置が一定に保たれやすい。
また、保持部78は、フック54と周方向に係合してフック54の保持状態を維持する係合突起79を有する。これにより、保持部78から挿入部76に向けてフック54が溝71に沿って移動することが、係合突起79によって抑制され、保持部78におけるフック54の位置が一定に保たれやすい。係合突起79はフック54と周方向に係合するため、フック54を有するコイルバネ50と係合突起79を有する第1支持部45又は支持部63とは相対回転によって係合できる。このため、係合突起79が設けられる場合でも、コイルバネ50の端部を簡易に組付けられる。また、フック54が係合突起79を越えた感触を作業者が得ることによって、コイルバネ50の端部の組付完了を把握しやすくなる。
さらに、係合突起79は、コイルバネ50に復元力が生じていない状態でも、フック54が保持部78から挿入部76に向けて溝71に沿って移動することを規制できる。これにより、トノカバー装置20の組付作業時に、コイルバネ50に復元力が生じていない状態でも、コイルバネ50とスライド部材60及び第1回転支持部材43とを一体的に扱いやすくなり、トノカバー装置20の組付作業が容易となる。具体的には、トノカバー装置20の組付作業において、スライド部材60の保持部78に第2取付部53のフック54が組付けられた状態で、スライド部材60及びコイルバネ50が巻取シャフト32の端部開口77から巻取シャフト32内へ挿入される。このとき、コイルバネ50に復元力が生じた状態で、スライド部材60を巻取シャフト32内へ挿入するには、コイルバネ50をねじった状態で作業する必要があり、面倒である。一方、コイルバネ50に復元力が生じていない状態で、スライド部材60が巻取シャフト32内へ挿入される場合、フック54が保持部78から挿入部76に向けて溝71に沿って移動することを復元力によって規制することが困難である。このような場合でも、フック54が保持部78から挿入部76に向けて溝71に沿って移動することを係合突起79によって規制できることによって、巻取シャフト32へのスライド部材60及びコイルバネ50の挿入が容易となる。
また、溝71は、端部開口77からコイルバネ50の軸方向に平行に延びる第1溝74と、第1溝74のうち端部開口77とは反対側の端部から保持部78まで周方向に沿って延びる第2溝75とを含む。これにより、コイルバネ50のフック54は、挿入部76の端部開口77から軸方向に沿って挿入され、さらに第1溝74に沿ってコイルバネ50の軸方向にスライドした後、第2溝75に沿って周方向にスライドすることによって組付けられる。この際、コイルバネ50が軸方向に伸縮するときにフック54からフック支持部70に軸方向に沿ってかかる力を、第2溝75の壁がしっかり受けることができることによって、フック54が保持部78から抜けにくくなる。
また、フック54はコイル部51の端部に連続し、フック支持部70のうち保持部78よりも挿入部76側の部分はコイル部51の内部に位置する。これにより、フック54が溝71に沿ってスライドする際、及び、保持部78に保持されている際のそれぞれにおいて、フック54が溝71の上部開口73から抜けようとした際、フック支持部70の先端側の部分がコイル部51と干渉することによって、当該抜けが抑制される。
ここで、上記特許文献1のように、コイルバネの脚部先端を径方向外側に撓ませるように変形させて組付ける場合、コイル部の端部と脚部先端との間に、軸方向に延びる連結部が介在している方が、脚部先端を径方向外側に撓ませるように変形させやすい。これに対して、本開示のようにフック54を挿入部76の端部開口77から溝71に沿ってスライドして組付ける場合、フック54をコイル部51の端部と連続させることで、フック54が溝71に沿ってスライドする際、フック54が溝71の上部開口73から抜けようとしても、フック支持部70の先端がコイル部51と干渉することによって、当該抜けが抑制され、スライドが容易となる。さらに、第2溝75に係合突起79が設けられる場合、フック54が係合突起79を越える際に係合突起79から力を受ける。この場合でも、フック54とコイル部51との間に軸方向に延びる連結部がない分、フック54を含む取付部が係合突起79から受けた力で意図しない方向に変形しにくい。
さらに、上記特許文献1のように、連結孔にコイルバネの脚部が差し込まれることによってコイルバネ50の端部が組付けられる構成の場合、脚部と連結孔との間に隙間があると、コイルバネ50の作動中に脚部が連結孔から抜ける方向に浮き上がる恐れがある。脚部が連結孔から抜けると、脚部と巻取シャフト32内面とが接触して異音が発生する恐れがある。このような事態を防ぐため、脚部と連結孔との隙間がないように、脚部及び連結孔の大きさが互いに強干渉するように設計されると、脚部を連結孔に差し込む際、ペンチ等で強く押し込む必要が生じ、組付作業が困難となる。これに対して、本開示では、フック支持部70のうち保持部78よりも挿入部側の部分がコイル部51の内部に位置することによって、フック54が溝71の上部開口73から抜けることが抑制される。このため、フック54をペンチ等で孔に押し込む作業を省略でき、コイルバネ50の端部の組付作業が容易となる。
<付記>
図11は、フック支持部70の変形例を示す斜視図である。
図11は、フック支持部70の変形例を示す斜視図である。
これまで、フック支持部70の溝71が第1溝74及び第2溝75を有するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。図11に示す例のように、フック支持部170の溝171は、フック支持部170の外周を螺旋状に延在するように形成されてもよい。この場合、作業者は、フック支持部170を、軸方向に沿ってコイル部51に差し込みつつ軸回りに回転させることによって、フック54を挿入部76から保持部78まで移動させることができる。つまり、作業者は、図11の矢符A3の向きにコイルバネ50及びフック支持部170を螺旋状に相対回転させることによって、フック54を挿入部76から保持部78まで移動させることができる。
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
本明細書及び図面は、下記の各態様を開示する。
第1の態様は、シート状部材と、前記シート状部材の一端が取付けられた中空状の巻取シャフトと、前記巻取シャフトの一端を相対回転可能に支持する第1支持部を有する第1回転支持部材と、前記巻取シャフトの他端を相対回転可能に支持する第2支持部を有する第2回転支持部材とを含み、前記シート状部材を収納可能なケースと、前記巻取シャフトの内部に配置され、前記巻取シャフトと相対回転不能かつ前記巻取シャフトの長手方向に沿ってスライド可能に係合するスライド部材と、前記巻取シャフトの内部に配置され、前記長手方向に沿って伸縮可能なコイル部と、前記コイル部の一端部に連続し、前記第1支持部に取付けられている第1取付部と、前記コイル部の他端部に連続し、前記スライド部材に形成された支持部に取付けられている第2取付部とを含み、前記巻取シャフトを前記シート状部材の巻取方向へ付勢しているコイルバネと、を備え、前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくとも一方は、前記コイル部の軸方向に沿って観察されたときに、前記コイル部よりも内側を前記軸方向と交差する方向に延びるフックを有し、前記第1支持部及び前記支持部の少なくとも一方は、前記フックを保持する溝が形成されたフック支持部を有し、前記溝は、前記フックを前記軸方向に沿って挿入可能な挿入部と、前記フックを保持する保持部とを有し、前記挿入部と前記保持部とは、前記軸方向に沿って互いに離れた位置であって前記コイル部の周方向に沿って互いに離れた位置に設けられており、前記溝のうち前記挿入部と前記保持部との間の部分は、前記フックが前記挿入部から前記保持部までスライド可能に連続している、シート状部材の巻取装置である。
この巻取装置によると、コイルバネのフックは、フック支持部の溝に対して挿入部の開口から軸方向に沿って挿入され、さらに保持部まで溝に沿ってスライドすることによってフック支持部に組付けられる。これにより、フックをフック支持部より外側に撓ませる作業を省略可能となり、コイルバネの端部が簡易に組付けられる。
第2の態様は、第1の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記コイル部には、前記巻取シャフトを前記シート状部材の巻取方向へ付勢するために前記周方向に沿う復元力が生じており、前記フックは、前記復元力によって、前記周方向において前記挿入部から前記保持部に向けて付勢されている。
これにより、保持部から挿入部に向けてフックが溝に沿って移動することが、巻取シャフトを付勢するための復元力を用いて抑制され、保持部におけるフックの位置が一定に保たれやすい。
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記保持部は、前記フックと前記周方向に係合して前記フックの保持状態を維持する係合突起を有する。
これにより、保持部から挿入部に向けてフックが溝に沿って移動することが、係合突起によって抑制され、保持部におけるフックの位置が一定に保たれやすい。係合突起はフックと周方向に係合するため、コイルバネと第1支持部又は支持部とは相対回転によって係合できる。このため、係合突起が設けられる場合でも、コイルバネの端部を簡易に組付けられる。また、フックが係合突起を越えた感触を作業者が得ることによって、コイルバネの端部の組付完了を理解しやすくなる。
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記溝は、前記挿入部から前記軸方向に平行に延びる第1溝と、前記第1溝のうち前記挿入部とは反対側の端部から前記保持部まで前記周方向に沿って延びる第2溝とを含む。
これにより、コイルバネのフックは、挿入部の開口から軸方向に沿って挿入され、さらに第1溝に沿って軸方向にスライドした後、第2溝に沿って周方向にスライドすることによって組付けられる。この際、コイルバネが軸方向に伸縮する際、軸方向に沿ってフックからフック支持部にかかる力を、第2溝の壁がしっかり受けることができることによって、フックが保持部から抜けにくくなる。
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記フックは前記コイル部の端部に連続し、前記フック支持部のうち前記保持部よりも前記挿入部側の部分は前記コイル部の内部に位置する。
これにより、フックが溝に沿ってスライドする際、及び、保持部に保持されている際のそれぞれにおいて、フックが溝の上部開口から抜けようとした際、フック支持部の先端がコイル部と干渉することによって、当該抜けが抑制される。
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 車両
20 トノカバー装置(巻取装置)
22 トノカバー(シート状部材)
23 シート状部分
32 巻取シャフト
40 ケース
43 第1回転支持部材
45 第1支持部
46 第2回転支持部材
48 第2支持部
50 コイルバネ
51 コイル部
52 第1取付部
53 第2取付部
54 フック
60 スライド部材
63 支持部
70、170 フック支持部
71、171 溝
74 第1溝
75 第2溝
76 挿入部
77 端部開口
78 保持部
79 係合突起
20 トノカバー装置(巻取装置)
22 トノカバー(シート状部材)
23 シート状部分
32 巻取シャフト
40 ケース
43 第1回転支持部材
45 第1支持部
46 第2回転支持部材
48 第2支持部
50 コイルバネ
51 コイル部
52 第1取付部
53 第2取付部
54 フック
60 スライド部材
63 支持部
70、170 フック支持部
71、171 溝
74 第1溝
75 第2溝
76 挿入部
77 端部開口
78 保持部
79 係合突起
Claims (5)
- シート状部材と、
前記シート状部材の一端が取付けられた中空状の巻取シャフトと、
前記巻取シャフトの一端を相対回転可能に支持する第1支持部を有する第1回転支持部材と、前記巻取シャフトの他端を相対回転可能に支持する第2支持部を有する第2回転支持部材とを含み、前記シート状部材を収納可能なケースと、
前記巻取シャフトの内部に配置され、前記巻取シャフトと相対回転不能かつ前記巻取シャフトの長手方向に沿ってスライド可能に係合するスライド部材と、
前記巻取シャフトの内部に配置され、前記長手方向に沿って伸縮可能なコイル部と、前記コイル部の一端部に連続し、前記第1支持部に取付けられている第1取付部と、前記コイル部の他端部に連続し、前記スライド部材に形成された支持部に取付けられている第2取付部とを含み、前記巻取シャフトを前記シート状部材の巻取方向へ付勢しているコイルバネと、
を備え、
前記第1取付部及び前記第2取付部の少なくとも一方は、前記コイル部の軸方向に沿って観察されたときに、前記コイル部よりも内側を前記軸方向と交差する方向に延びるフックを有し、
前記第1支持部及び前記支持部の少なくとも一方は、前記フックを保持する溝が形成されたフック支持部を有し、
前記溝は、前記フックを前記軸方向に沿って挿入可能な挿入部と、前記フックを保持する保持部とを有し、
前記挿入部と前記保持部とは、前記軸方向に沿って互いに離れた位置であって前記コイル部の周方向に沿って互いに離れた位置に設けられており、
前記溝のうち前記挿入部と前記保持部との間の部分は、前記フックが前記挿入部から前記保持部までスライド可能に連続している、シート状部材の巻取装置。 - 請求項1に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記コイル部には、前記巻取シャフトを前記シート状部材の巻取方向へ付勢するために前記周方向に沿う復元力が生じており、
前記フックは、前記復元力によって、前記周方向において前記挿入部から前記保持部に向けて付勢されている、シート状部材の巻取装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記保持部は、前記フックと前記周方向に係合して前記フックの保持状態を維持する係合突起を有する、シート状部材の巻取装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記溝は、前記挿入部から前記軸方向に平行に延びる第1溝と、前記第1溝のうち前記挿入部とは反対側の端部から前記保持部まで前記周方向に沿って延びる第2溝とを含む、シート状部材の巻取装置。 - 請求項1又は請求項2に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記フックは前記コイル部の端部に連続し、
前記フック支持部のうち前記保持部よりも前記挿入部側の部分は前記コイル部の内部に位置する、シート状部材の巻取装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022180065A JP2024069833A (ja) | 2022-11-10 | 2022-11-10 | シート状部材の巻取装置 |
PCT/JP2023/040542 WO2024101448A1 (ja) | 2022-11-10 | 2023-11-10 | シート状部材の巻取装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022180065A JP2024069833A (ja) | 2022-11-10 | 2022-11-10 | シート状部材の巻取装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024069833A true JP2024069833A (ja) | 2024-05-22 |
Family
ID=91032579
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022180065A Pending JP2024069833A (ja) | 2022-11-10 | 2022-11-10 | シート状部材の巻取装置 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024069833A (ja) |
WO (1) | WO2024101448A1 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5776304B2 (ja) * | 2011-04-22 | 2015-09-09 | アイシン精機株式会社 | 車両用シート巻取り装置 |
JP6368665B2 (ja) * | 2015-02-27 | 2018-08-01 | 日本発條株式会社 | シート巻取装置 |
-
2022
- 2022-11-10 JP JP2022180065A patent/JP2024069833A/ja active Pending
-
2023
- 2023-11-10 WO PCT/JP2023/040542 patent/WO2024101448A1/ja unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2024101448A1 (ja) | 2024-05-16 |
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