以下、図1〜12を参照して、本発明に係るサンバイザーの支持装置の、第1実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態に係るサンバイザーの支持装置10(以下、単に「支持装置10」という)は、制動部25及びカム部30を有するサンバイザーシャフト20と、サンバイザー本体5(図5参照)に固定され、サンバイザーシャフト20が挿通されるサポート部材40と、該サポート部材40に組付けられると共に、前記制動部25に圧接して、サンバイザー本体5の回動を制動する第1バネ部材50と、前記サポート部材40に組付けられると共に、前記カム部30に直接的又は間接的に圧接する第2バネ部材60とを有している。
前記サンバイザーシャフト20(以下、単に「シャフト20」という)は、所定長さで伸びる略円柱状をなし、先端側が先細テーパ状をなした軸部21を有していると共に、該軸部21に対してシャフト20の基端22側が屈曲した形状をなしている。このシャフト20の基端22側が、ブラケット23を介して、被取付部材1(図7(b),(c)参照)に回動可能に取付けられている。また、このシャフト20の基端22側に、カム部30が設けられると共に、第2バネ部材60が配置され、同シャフト20の、カム部30が設けられた位置であって、第2バネ部材60が配置された箇所よりもシャフト先端側に、制動部25が設けられると共に、第1バネ部材50が配置されるように構成されている(図5参照)。なお、この実施形態における被取付部材1は、自動車の天井壁である。但し、被取付部材としては、自動車の天井壁以外であってもよく、サンバイザーを回動可能に取付け可能であれば、特に限定はされない。
前記軸部21の軸方向所定範囲に、前記制動部25が設けられている。図1及び図2に示すように、この制動部25は、外周が円形状をなした円形状部26と、軸部21の軸方向に所定間隔をあけて平坦面状に形成された一対の平坦部27,27とを有している。円形状部26は、第1バネ部材50の後述する一対の挟持片51,52に摺接して、その摩擦力により、サンバイザー本体5の回動を制動し、サンバイザー本体5を任意の回動位置で停止させるための(フリーストップ)、制動トルクT2を発生させるようになっている(図8(c)〜図12(c)参照)。一方、図7(c)に示すように、平坦部27,27は、サンバイザー本体5が被取付部材1に近接した格納状態にあるとき、第1バネ部材50に圧接して、これらの平坦部27,27と第1バネ部材50とによって、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT4が付与されるようになっている。
また、シャフト20は、その軸方向の基端側に、シャフト20の、カム部30が設けられていない部分の外径よりも大きく形成された、略円形突部状をなしたカム部30が設けられており、該カム部30よりも、軸方向の先端側に、前記制動部25が設けられている(図1参照)。更に、シャフトのカム部30と第2バネ部材60とにより、サンバイザー本体5を所定領域で制動させずに回動させることが可能となっているが、これについては後述する。
なお、サンバイザーシャフトとしては、上記形状に限定されるものではなく、サンバイザー本体を支持可能で、制動部及びカム部を有するものであればよい。
一方、この実施形態における前記サポート部材40は、サンバイザー本体5とは別体とされており、図1及び図4に示すように、所定間隔をあけて互いに平行に配置された一対の軸受け部41,41と、該一対の軸受け部41,41どうしを連結する柱状をなした連結部43とを有している。各軸受け部41には、円形状の挿通孔41aがそれぞれ形成されており、これらの挿通孔41a,41aに、シャフト20が挿通されることで、シャフト20に対してサポート部材40が回動可能に支持される。
また、各軸受け部41には、固定孔41bがそれぞれ形成されており、該固定孔41bを利用して、ネジ止め等によってサポート部材40にサンバイザー本体5が固定される。その結果、サポート部材40を介して、シャフト20に対してサンバイザー本体5が回動可能に支持される。なお、一対の軸受け部41,41の間には、第1バネ部材50が装着されるようになっている(図5参照)。
また、図1に示すように、一方の軸受け部41には、枠状をなした第2バネ支持部45が連設されている。図4を併せて参照すると、この第2バネ支持部45は、第2バネ部材60を支持する支持壁46と、該支持壁46の両側縁部から直角に立設した一対の側壁47,47とからなり、図1、4の上方(支持壁46の対向面)及び一端部が開口した枠状となっている。
前記支持壁46には、係止孔46aが第2バネ支持部45内に連通して形成されており、この係止孔46aに、第2バネ部材60の後述する係止爪64が係止して(図4参照)、第2バネ支持部45の側方開口からの、第2バネ部材60の離脱が防止されるようになっている。
更に、一対の側壁47,47の対向する内面からは、突条に延びるリブ47a,47aがそれぞれ形成されている(図1参照)。図4に示すように、このリブ47aと支持壁46との間に、第2バネ部材60の後述する支持部61が入り込んで、第2バネ支持部45の上方開口からの、第2バネ部材60の抜け止めが図られている。
なお、この実施形態におけるサポート部材40は、サンバイザー本体5とは別体で固定されているが、サポート部材としては、サンバイザー本体5に一体成形されていてもよく、また、その形状も特に限定されるものではない。
また、図3(a)に示すように、第1バネ部材50は、金属板材を屈曲して形成されたものであって、連結部53を介して、互いにほぼ平行となるように屈曲形成された一対の挟持片51,52を有しており、該第1バネ部材50を側方から見たときに、サポート部材40の連結部43を挟持可能なクリップ形状をなしている。
前記挟持片51の連結部53側には、シャフト20の外周の円形状に対応して、丸みを帯びた円弧状部51aと、該円弧状部51aを挟んで、挟持片51の幅方向両側に設けられた平坦面状をなした一対の平坦部51b,51bとが形成されている。また、挟持片51の自由端側には、切欠き54aを介して、他方の挟持片52側に屈曲した係合爪54が形成されている。一方、挟持片52の連結部53側には、挟持片51に設けた平坦部51bに対して平行となる平坦面52aが形成されている。
そして、一対の挟持片51,52の自由端部側で、サポート部材40の連結部43を挟持して、前記係合爪54を連結部43に係合させることで、サポート部材40に第1バネ部材50が組付けられるようになっている(図5参照)。この状態では、挟持片51,52の連結部53側が一対の軸受け部41,41の間に配置されて、一対の平坦部51b,51b及び平坦面52aが、シャフト20の制動部25の外周に配置される。
なお、第1バネ部材としては、制動部に圧接して、サンバイザー本体の回動を制動可能であれば、その形状は特に限定されない。
一方、図3(b)に示すように、前記第2バネ部材60は、金属板材を屈曲してなり、サポート部材40に支持される支持部61と、前記カム部30に圧接する圧接部63とを有する、「く」の字状をなしており、更に図1や図5に示すように、支持部61及び圧接部63の板幅方向Wが、前記シャフト20の軸心Cに対して交差するように、サポート部材40に支持されるようになっている。
具体的には、この第2バネ部材60は、支持部61に対して、屈曲部62を介して所定角度(鋭角)で屈曲させて、圧接部63が形成されており、側方から見て「く」の字状をなしている。また、支持部61の先端部61aは、幅狭形状とされていると共に、圧接部63側に向けて屈曲した形状をなしている。更に、圧接部63は、支持部61に対して最も離れた頂部63aを介して、その先端部63bが、支持部61側に向けて屈曲した形状をなしている。また、支持部61には、切欠き64aを介して係止爪64が外向き(圧接部63とは反対側)に屈曲して形成されている。更に、圧接部63には、略三角形状をなした開口63cが形成されており(図7(b)参照)、それによって圧接部63を撓みやすくさせて、カム部30との圧接力が調整されている。なお、この実施形態における第2バネ部材60は、その圧接部63がカム部30に直接的に圧接するようになっているが、間接的にカム部30に圧接するようにしてもよい(これについては、後述の第3実施形態で説明する)。
また、図1に示すように、第2バネ部材60は、支持部61と圧接部63との間の開口部65を、シャフト20の軸方向の先端側に向けて、サポート部材40の第2バネ支持部45の側方開口から挿入される。そして、支持部61が第2バネ支持部45のリブ47a,47aによって、ガイドされつつ挿入され、係止爪64を係止孔46aに係止させることで、支持部61の両側縁部上方にリブ47a,47aが配置され、第2バネ支持部45に、第2バネ部材60が抜け止め状態で組付けられるようになっている(図4参照)。また、第2バネ部材60は、支持部61と圧接部63との間の開口部65が、シャフト20の先端側に向くように、支持部61がサポート部材40に支持される。
なお、この実施形態の第2バネ部材60は、略くの字状をなしているが、例えば、コ字状に屈曲されていたり、略Z字状に屈曲されていたりしてもよく(これについては後述する実施形態で説明する)、サンバイザーシャフトのカム部30に圧接可能であれば、特に限定はされない。
そして、この支持装置10は、シャフト20に設けた制動部25及びカム部30と、第1バネ部材50と、第2バネ部材60との関係で、次のような構成を採用することによって、サンバイザー本体5が制動されずに(すなわち、任意の回動位置で停止せずフリーストップしない)、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向に回動させることが可能となっている。
すなわち、図6に示すように、カム部30は、シャフト20の軸心Cに直交する断面において、シャフト20の軸心Cからカム部30の外周面までの最短距離が、サンバイザー本体5が被取付部材1から離れる方向へ回動する際の、回動方向に沿って小さくなるカム領域E1を有している。
この実施形態におけるカム領域E1は、シャフト20の軸心Cからカム始端部32までの距離Lが最も長く、サンバイザー本体5の回動方向に沿って次第に短くなり、シャフト20の軸心Cからカム終端部39までの距離L’が最も短くなっている(図6参照)。また、この実施形態のカム部30は、カム領域E1のカム終端部39から、サンバイザー本体5の回動方向に沿って、シャフト20の軸心Cからの距離が次第に長くなり、カム領域E1の延長線上における屈曲部33で屈曲し(すなわち、カム始端部32から屈曲部33に至る外周面34は平坦な形状をなしている)、更にこの屈曲部33から後述する制動領域E2の端部49に至るまで、シャフト20の軸心Cからの距離が次第に長くなる形状となっている。なお、カム部30の外周面の、カム終端部39から屈曲部33を経て、端部49に至る領域E3は、第2バネ部材60との関係で、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクを付与する部分となっているが、この制動トルクは、制動領域E2と第2バネ部材60の間で生じる制動トルクよりも小さくなっている。また、シャフト20の軸心Cから屈曲部33までの距離をL’’としたとき、L>L’’>L’となるように構成されている。
そして、このカム領域E1が、図9(b)及び図10(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63に直接的又は間接的に圧接することで、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させる、カムトルクT1を発生させるように構成されている。すなわち、図7(b)〜図12(b)に示すように、カム部30が第2バネ部材60に圧接して、同第2バネ部材60が押圧されて変形すると、カム部30には、第2バネ部材60の圧接部63から弾性反発力Fが作用する。このとき、この弾性反発力Fの向きが、シャフト20の軸心Cと同一向き(弾性反発力Fの向きが、シャフト20の軸心Cに向かう方向であることを意味する)の場合には、サンバイザー本体5を制動する制動トルクT3,T5,T6,T7が発生するが(図7(b),図8(b),図11(b),図12(b)参照)、前記弾性反発力Fの向きが、シャフト20の軸心Cよりも上向きの場合には、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させるカムトルクT1が発生する(図9(b)及び図10(b)参照)。
更に、サンバイザー本体5の自重による、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させる自重トルクをGとし、第1バネ部材50と制動部25による、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクをT2としたとき、G+T1>T2となる区間が設けられている(図9(b),(c)及び図10(b),(c)参照)。この実施形態における「G+T1>T2」となる区間は、カム部30のカム領域E1が、第2バネ部材60の圧接部63に圧接する区間となっている。
なお、サンバイザー本体5が被取付部材1から離れる方向へ回動する際の、回動方向とは、この実施形態のように、被取付部材1が車両の天井壁である場合には、天井壁に近接した状態から、同天井壁から離れる方向に回動する方向を意味している(サンバイザー本体が、車両のフロントガラスから離れる方向に回動する方向は除く)。
また、図6に示すように、この実施形態におけるカム部30には、シャフト20の軸心Cに直交する断面において、前記カム領域E1以外に、シャフト20の軸心Cからカム部30の外周面までの最短距離Lが、同カム部30の周方向に沿って一定となる制動領域E2を有している。更に、上述したように、サンバイザー本体5が被取付部材1に近接した格納状態にあるとき、第1バネ部材50が制動部25の一対の平坦部27,27に圧接することにより、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT4を付与し、前記第2バネ部材60は、前記制動領域E2に圧接されて、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT3を付与し、T3+T4>Gとなるように構成されている(図7(b),(c)参照)。
そして、図7(b),(c)に示されるサンバイザー本体5が被取付部材1に近接した格納状態においては、図7(b)に示すように、第2バネ部材60が、カム部30の制動領域E2に圧接することによる、第2バネ部材60の弾性反発力Fが、シャフト20の軸心Cと同一向きであるので、カムトルクT1は発生せず、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT3が付与されると共に、図7(c)に示すように、制動部25の平坦部27に第1バネ部材50の平坦部51bが面接触し、円形状部26が第1バネ部材50の平坦面52aに接触しているため、平坦部27と第1バネ部材50とによって、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT4が付与され、これらの制動トルクT3,T4、及び、サンバイザー本体5の自重トルクGとの関係が、T3+T4>Gとなるように構成されているので、サンバイザー本体5が格納状態に保持される。なお、この実施形態では、制動トルクT2,T3,T4,T5,T6,T7について、図中において特定方向の矢印を記載したが(図7(b),(c)、図8(b),(c)、図9(c)、図10(c)、図11(b),(c)、図12(b),(c)参照)、これは、サンバイザー本体5に特定方向への回動トルクを発生させずに、サンバイザー本体5を停止させて制動するものであることを意味する便宜的なものである。これは後述する第4実施形態における制動トルクT2’,T4’,T6’,T7’(図17(c)、図18(c)、図19(b),(c)、図20(b),(c)参照)についても同様である。
上記の図7に示すサンバイザー本体5の格納状態から、図8に示すように、サンバイザー本体5を手で持って、上記制動トルクT3,T4に抗して下方に回動させると、図8(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63が、カム部30のカム領域E1のカム始端部32に圧接されるが、この状態でも、カム部30のカム領域E1が第2バネ部材60を押圧することによる、第2バネ部材60の弾性反発力Fが、シャフト20の軸心Cと同一向きであるので、カムトルクT1は発生せず、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT5が付与されると共に、第1バネ部材50と制動部25による制動トルクT2が付与され、それらの合計が、サンバイザー本体5の自重トルクGよりも大きいため(T2+T5>G)、サンバイザー本体5はその回動位置で停止する。
そして、図8に示すサンバイザー本体5の回動位置から、サンバイザー本体5が更に下方に回動すると、図9(b)に示すように、カム部30のカム領域E1が第2バネ部材60を押圧することによる、第2バネ部材60の弾性反発力Fの向きが、シャフト20の軸心Cよりも上向きになるので、カムトルクT1が発生して、該カムトルクT1と自重トルクGとの合計が制動トルクT2よりも大きくなり(G+T1>T2)、その結果、サンバイザー本体5がその回動位置で停止せずに、被取付部材1から離れる方向に更に回動する。
また、図9に示すサンバイザー本体5の回動位置から、サンバイザー本体5が更に下方に回動すると、図10(b)に示すように、第2バネ部材60の弾性反発力Fの、シャフト20の軸心Cからの距離Hが、図9(b)の場合よりも大きくなって、カムトルクT1が増大し、該カムトルクT1と自重トルクGとの合計が制動トルクT2よりも大きいため(G+T1>T2)、サンバイザー本体5は停止せず、更に被取付部材1から離れる方向に回動する。
更に図10に示すサンバイザー本体5の回動位置から、サンバイザー本体5が更に下方に回動すると、図11(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63に、カム部30の、カム始端部32から屈曲部33に至る平坦な外周面34が、面接触するように圧接することで、カム部30によるカムトルクT1が圧接部63によって受け止められて、カムトルクT1が消失する。そして、それ以上回動させようとすると、シャフト20の軸心Cから外周面までの距離が、図6に示したカム領域E1の屈曲部33から制動領域E2の端部49に向かって次第に長くなるので、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT6が発生することになり(図11(b)参照)、第1バネ部材50による制動トルクT2(図11(c)参照)と自重トルクGとの関係で、T2+T6>Gとなる。このため、サンバイザー本体5は、シャフト20の軸心Cに直交する方向の先端面が、被取付部材1に対して斜め下方を向いた状態で停止し、そのときには、サンバイザー本体5の先端面が、乗員の頭部に向く角度を通過した位置になる。
この状態で、乗員は、サンバイザーが効果的に日よけとなる角度になるように、手で更にサンバイザー本体5を回動させることができ、例えば、図12に示すように、サンバイザー本体5が鉛直向きになるように回動させることができる。この状態では、図12(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63には、カム部30の制動領域E2が圧接するため、制動トルクT7が発生すると共に、図12(c)に示すように、制動部25の円形状部26に、第1バネ部材50の平坦部51b及び平坦面52aが接触することによる制動トルクT2が生じている。この場合、自重トルクGが発生せず、上述の制動トルクT2,T7が作用するので、サンバイザー本体5はフリーストップ状態となる。
なお、図12に示すサンバイザー本体5の回動位置から、図示しない車両のフロントガラス側に回動させた場合も、第2バネ部材60の圧接部63が、カム部30の制動領域E2に圧接して生じる制動トルクT7と、制動部25の円形状部26に、第1バネ部材50の平坦部51b及び平坦面52aが接触して生じる制動トルクT2とが付与されるので、任意の回動位置で停止させることができる。
次に、上記構造からなる支持装置10の作用効果について説明する。
まず、サポート部材40に、第1バネ部材50や第2バネ部材60を組付ける際の、手順の一例について説明する。
まず、第1バネ部材50の一対の挟持片51,52の自由端部側を広げて、サポート部材40の一対の軸受け部41,41の間に第1バネ部材50を配置すると共に、連結部43を一対の挟持片51,52の自由端部で挟み込んで、挟持片51の係合爪54を連結部43に係合させることで、サポート部材40に第1バネ部材50を組付けることができる。
その後、第2バネ部材60の開口部65を、シャフト20の軸方向の先端側に向けて、サポート部材40の第2バネ支持部45の側方開口から挿入していく。すると、支持部61が第2バネ支持部45のリブ47a,47aによってガイドされつつ挿入されていき、係止爪64を係止孔46aに係止させることで、支持部61の両側縁部上方にリブ47a,47aが配置され、サポート部材40の第2バネ支持部45に、第2バネ部材60を抜け止めした状態で組付けることができる(図4参照)。
次いで、サポート部材40の第2バネ支持部45側の、一方の軸受け部41の挿通孔41aに、シャフト20の軸部21を、その先端側から挿入していき、他方の軸受け部41の挿通孔41aに挿通させると共に、カム部30によって第2バネ部材60の圧接部63を撓ませつつ、同カム部30が一方の軸受け部41の挿通孔41aの表側周縁に当接するまで押し込む。それによって、サポート部材40の挿通孔41a,41aにシャフト20の軸部21がそれぞれ挿通されて、シャフト20にサポート部材40を回動可能に支持することができる。
そして、この実施形態においては、第2バネ部材60は、その開口部65がシャフト20の先端側に向くように、支持部61がサポート部材40に支持されるので、シャフト20をサポート部材40の挿通孔41a,41aに挿通する際に、シャフト20の先端部やカム部30を、第2バネ部材60に引っ掛かりにくくすることができ、サポート部材40に対するシャフト20の挿通作業性を向上させることができる。
なお、上述したサポート部材40に、第1バネ部材50や第2バネ部材60を組付ける際の手順は、あくまでも一例であり、異なる組付け手順であってもよい。また、第2バネ部材60の開口部65がシャフト20の基端側に向くように、第2バネ部材60がサポート部材40に支持されている場合には、第2バネ部材60の圧接部63を、その弾性付勢力に抗して支持部61に対して近接させ、その状態を維持しつつ、シャフト20をサポート部材40の挿通孔41a,41aに挿通することによって、サポート部材40にシャフト20を挿通させることができる。
また、この実施形態においては、サポート部材40は、サンバイザー本体5と別体とされており、シャフト20は、基端側にカム部30が設けられ、カム部30よりも先端側に制動部25が設けられている(図5参照)。そのため、第1バネ部材50の、一対の挟持片51,52の間に、シャフト20のカム部30を挿通させなくてよいので、シャフト20のカム部30が第1バネ部材50に引っ掛かることなく、サポート部材40にシャフト20を挿通することができ、サポート部材40に対するシャフト20の挿通作業性を、より向上させることができる。
そして、図7に示すサンバイザー本体5が被取付部材1に近接した格納状態から、サンバイザー本体5を把持して下方に回動させると、図8の状態まではカムトルクT1が発生せず、サンバイザー本体5は停止状態に保持されるが、図9に示す状態となると、カムトルクT1が発生して、自重トルクGと制動トルクT2との関係がG+T1>T2となるので、サンバイザー本体5がその回動位置で停止せずに、被取付部材1から離れる方向に更に回動する。
その後、サンバイザー本体5が、図10に示す状態まで下方に回動すると、カム部30のカム領域E1が第2バネ部材60を押圧することによる、第2バネ部材60の弾性反発力Fの、シャフト20の軸心Cからの距離H(図10(b)参照)が、図9(b)の場合における弾性反発力Fとシャフト20の軸心Cとの距離よりも大きくなって、カムトルクT1が増大し、自重トルクGと制動トルクT2との、G+T1>T2となる関係が維持されるので、サンバイザー本体5が被取付部材1から更に離れる方向に回動し、図11に示す角度までサンバイザー本体5が回動すると、図11(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63に、カム部30の平坦な外周面34が面接触するように圧接して、カムトルクT1が消失し、制動トルクT6が発生するため、第1バネ部材50による制動トルクT2(図11(c)参照)と自重トルクGとの関係で、T6+T2>Gとなり、サンバイザー本体5の回動が終了して、その回動位置で停止する。
上記のように、この支持装置10においては、図6に示すように、カム部30は、シャフト20の軸心Cに直交する断面において、シャフト20の軸心Cからカム部30の外周面までの最短距離が、サンバイザー本体5が被取付部材1から離れる方向へ回動する際の、回動方向に沿って小さくなるカム領域E1を有しており、該カム領域E1が第2バネ部材60に直接的又は間接的に圧接することで、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させる、カムトルクT1を発生させるように構成されており、サンバイザー本体5の自重による、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させる自重トルクをGとし、第1バネ部材50と制動部25による、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクをT2としたとき、G+T1>T2となる区間を設けたので、シャフト20の制動部25及びカム部30、第1バネ部材50、及び第2バネ部材60からなる少ない部品点数で、比較的簡単な構造でありながら、サンバイザー本体5を、回動途中で停止させることなく、所定位置まで垂れ下がるように回動させることができる。
そして、この支持装置10においては、例えば、サンバイザー本体5の、シャフト20の軸心Cに直交する方向の先端面が、乗員の額から目に至る範囲においては、サンバイザー本体5を制動させずに(フリーストップさせずに)垂れ下がるように回動させることができ、車両に衝撃力が作用したときに、サンバイザー本体5の先端面が、乗員の額や目に当たりにくくすることができる。
また、この実施形態においては、第2バネ部材60は、図3(b)に示すように、金属板材を屈曲してなり、サポート部材40に支持される支持部61と、前記カム部30に圧接する圧接部63とを有する、「く」の字状をなしているので、第2バネ部材60を簡単に製造することができ、支持装置10全体の製造コストを、より低減することができる。ところで、第2バネ部材60の板幅方向Wが、シャフト20の軸心Cに沿って配置されている場合には、くの字状をなした第2バネ部材60の圧接部63に、例えば、カム部30の制動領域E2の端部49が圧接しない場合がある。これに対して、この実施形態においては、第2バネ部材60の圧接部63は、図1や図5に示すように、その板幅方向Wが、シャフト20の軸心Cに対して交差するように、サポート部材40に支持されるので、図7(b)〜図12(b)に示すように、カム部30を、第2バネ部材60の圧接部63に確実に圧接させることができる。その結果、第2バネ部材60とカム部30とによるカムトルクT1を安定して発生させて、サンバイザー本体5の垂れ下がり回動を安定させて行うことができ、また、第2バネ部材60とカム部30とによる制動トルクT3,T5,T6,T7(図7(b),図8(b),図11(b),図12(b)参照)を安定して発生させることができる。
更にこの実施形態においては、図1に示すように、カム部30の外径は、シャフト20の、カム部30が設けられていない部分の外径よりも大きく形成されているので、カム部30に圧接される第2バネ部材60の弾性反発力を高めて、カムトルクT1を大きくすることができ、サンバイザー本体5の垂れ下がり回動を、より確実に行わせることができる。
また、この実施形態においては、図7に示すように、サンバイザー本体5が被取付部材1に近接した格納状態にあるとき、図7(b)に示すように、第2バネ部材60が、カム部30の制動領域E2に圧接されて、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT3が付与されると共に、図7(c)に示すように、制動部25の平坦部27に第1バネ部材50の平坦部51bが面接触し、円形状部26が第1バネ部材50の平坦面52aに接触しているため、平坦部27と第1バネ部材50とによって、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT4が付与され、T3+T4>Gとなるように構成されているので、サンバイザー本体5を格納状態でしっかりと保持することができる。
更に、この実施形態においては、図5に示すように、シャフト20は、基端側にカム部30が設けられ、カム部30よりも先端側に制動部25が設けられており、その結果、シャフト20の基端22側に第2バネ部材60が配置され、同シャフト20の、第2バネ部材60が配置された箇所よりもシャフト先端側に、第1バネ部材50が配置された構造となっている。そのため、第1バネ部材50に対して第2バネ部材60が、シャフト20の軸方向において位置ずれして配置されているため、第2バネ部材60をへたりにくくして、サンバイザー本体5の垂れ下がり回動を、長期に亘って安定して行わせることができる。
図13には、本発明に係るサンバイザーの支持装置の、第2実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るサンバイザーの支持装置10A(以下、単に「支持装置10A」という)は、第2バネ部材の構造が前記実施形態と異なっている。
すなわち、この支持装置10Aにおける第2バネ部材60Aは、支持部61と、該支持部61の基端側から、支持部61に対して所定角度で延出した延出片66と、該延出片66の先端から、支持部61に対して略平行に延びる圧接部63Aとからなり、側方から見て略Z字状に屈曲した形状をなしている。そして、圧接部63Aにカム部30が圧接するようになっている。この実施形態によれば、一枚の金属板材から第2バネ部材60Aを製造することができるので、第2バネ部材60Aを簡単に製造可能で、支持装置10Aの製造コストの低減化を図ることができる。また、「く」の字状に屈曲した第2バネ部材60よりも、弾性反発力を高めることができるため、カムトルクT1を大きくすることができ、サンバイザー本体5の垂れ下がり回動を確実に行わせることができる。
図14及び図15には、本発明に係るサンバイザーの支持装置の、第3実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るサンバイザーの支持装置10B(以下、単に「支持装置10B」という)は、第2バネ部材の構造が前記実施形態と異なっている。
すなわち、この支持装置10Bにおける第2バネ部材60Bは、金属線材を巻回してなるコイルバネとなっている。また、サポート部材40の第2バネ支持部45Bは、上方が開口した長箱状をなしており、シャフト20の軸方向に沿った壁部48,48の上方からは、スライド溝48a,48aが形成されている。第2バネ部材60Bは、第2バネ支持部45Bの底面上に載置されて、その上方にはスライド板67がスライド可能に配置されており、該スライド板67を介して、第2バネ部材60Bがカム部30に間接的に圧接するように構成されている。なお、スライド板67は長板状をなしており、その長手方向両端には、前記スライド溝48a,48aに挿入される突部67a,67aが設けられている。
この実施形態では、第2バネ部材60Bがコイルバネとなっているので、用途に応じて巻き数や外径、線径等を変更することで、カム部30に対する圧接力を調整することができ、汎用性に富むという利点が得られる。
図16〜20には、本発明に係るサンバイザーの支持装置の、第4実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るサンバイザーの支持装置10C(以下、単に「支持装置10C」という)は、カム部の構造が前記実施形態と異なっている。
図16に示すように、この支持装置10Cにおけるカム部30Cは、略山形に突出した形状をなしており、また、図17(b)に示すように、シャフト20の軸心Cに直交する断面において、シャフト20の軸心Cから外周面までの最短距離が、サンバイザー本体5が被取付部材1から離れる方向へ回動する際の、回動方向に沿って小さくなるカム領域E1を有している。より具体的には、カム部30Cの、第2バネ部材60が圧接するカム領域E1は、図17(b)に示すように、シャフト20の軸心Cからカム始端部36までの距離が最も長く、サンバイザー本体5の回動方向に沿って次第に短くなり、シャフト20の軸心Cからカム終端部37までの距離が最も短くなっている。また、図17(b)に示すように、カム部30Cの外周面の、カム終端部37から端部35に至るまでの領域は、シャフト20の軸心Cからカム部外周面までの最短距離が、カム部30Cの周方向に沿って一定とされ、更に、端部35からカム始端部36に至るまでの領域は、シャフト20の軸心Cからカム部外周面での距離が、サンバイザー本体5の回動方向に沿って次第に長くなるように形成されており、これらの領域がサンバイザー本体5の回動を制動する制動領域E2をなしている。
上記のカム部30Cのカム領域E1が、図18(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63に直接的又は間接的に圧接することで、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させる、カムトルクT1’を発生させるように構成されている。また、サンバイザー本体5の自重による、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向へと回動させる自重トルクをGとし、第1バネ部材50と制動部25による、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクをT2’としたとき、G+T1’>T2’となる区間が設けられている(図17(b),(c)参照)。この実施形態における「G+T1’>T2’」となる区間は、カム部30Cのカム領域E1が、第2バネ部材60の圧接部63に圧接する区間となっている。なお、この実施形態における「カムトルクT1’」、「制動トルクT2’」は、それぞれ本発明における「カムトルクT1」、「制動トルクT2」に含まれるものである。
そして、図17(b),(c)に示されるサンバイザー本体5が被取付部材1に近接した格納状態においては、図17(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63が、カム部30Cの制動領域E2の、カム始端部36寄りの部分に圧接され、また、それにより第2バネ部材60の弾性反発力Fが、シャフト20の軸心Cよりも下向きであるので、サンバイザー本体5が被取付部材1から離れる方向のカムトルクT1’は発生せず、サンバイザー本体5が被取付部材1へ近接する方向のカムトルクT3’が付与され、更に、図17(c)に示すように、制動部25の平坦部27に第1バネ部材50の平坦面52aが面接触すると共に、円形状部26が第1バネ部材50の平坦部51bに接触するので、第1バネ部材50と制動部25とによる制動トルクT4’が付与される。このとき、この制動トルクT4’は、前記カムトルクT3’と自重トルクGとの差の絶対値以上とされていており(T4’≧|T3’−G|)、それによってサンバイザー本体5を制動して格納状態に保持することが可能となっている。
上記のサンバイザー本体5の格納状態から、図18(b),(c)に示すように、サンバイザー本体5が下方に回動すると、図18(b)に示すように、カム部30Cのカム領域E1が第2バネ部材60を押圧することによる、第2バネ部材60の弾性反発力Fが、シャフト20の軸心Cよりも上向きであるので、カムトルクT1’が発生すると共に、このカムトルクT1’とサンバイザー本体5の自重トルクGとの合計が、第1バネ部材50と制動部25とによる制動トルクT2’よりも大きくなり(G+T1’>T2’)、その結果、サンバイザー本体5がその回動位置で停止せずに、被取付部材1から離れる方向に回動する。
更に、図19(b),(c)に示すように、サンバイザー本体5が下方に回動すると、図19(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63に、カム部30Cのカム領域E1の、カム始端部36からカム終端部37に至る外周面38が、面接触するように圧接することで、カム部30CによるカムトルクT1’が圧接部63によって受け止められて、カムトルクT1’が消失し、サンバイザー本体5の回動を制動する制動トルクT6’が作用するため、第1バネ部材50と制動部25による制動トルクT2’との関係で、T2’+T6’>Gとなって、サンバイザー本体5の垂れ下がり回動が終了して、その回動位置で停止する。
なお、図20(b),(c)に示すように、乗員は、その位置から更にサンバイザー本体5を回動させることができ、例えば鉛直向きになるように回動させることができる。この状態では、図20(b)に示すように、第2バネ部材60の圧接部63には、カム部30Cの制動領域E2が圧接するため、制動トルクT7’が発生すると共に、図20(c)に示すように、制動部25の円形状部26に、第1バネ部材50の平坦部51b及び平坦面52aに接触して、それらの摩擦力による制動トルクがT2’が生じており、また、自重トルクGが発生していないため、サンバイザー本体5はフリーストップ状態となる。
このように、この支持装置10Cにおいても、サンバイザー本体5を被取付部材1から離れる方向に回動させる際に、カム部30Cに第2バネ部材60が圧接されることによって、カムトルクT1’が発生し、また、自重トルクをGとし、第1バネ部材50と制動部25による制動トルクをT2’としたとき、G+T1’>T2’となるように構成されているので、サンバイザー本体5を回動途中で停止させることなく、所定位置まで垂れ下がるように回動させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。