JP2024063968A - 昇降台車 - Google Patents
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Abstract
【課題】取り扱いが容易な昇降台車を提供する。
【解決手段】昇降台車は、ベースフレーム1と、手押しフレーム2と、Xリンク機構3と、昇降フレーム4と、スライドテーブル5と、を備えている。Xリンク機構3は、X状に配置された一対のリンク部材30を備えると共に、当該一対のリンク部材30の交差部よりも上方に、当該一対のリンク部材30の伸縮動作の中心軸31を備えている。一対のリンク部材30の前方に位置する下端30LFがベースフレーム1にピン接合され、後方に位置する下端30LRが水平スライド可能にベースフレーム1に連結されている。一対のリンク部材30の上端30Uのうちの一方30UFが昇降フレーム4にピン接合され、他方30URが水平スライド可能に昇降フレーム4に連結されている。
【選択図】図1
【解決手段】昇降台車は、ベースフレーム1と、手押しフレーム2と、Xリンク機構3と、昇降フレーム4と、スライドテーブル5と、を備えている。Xリンク機構3は、X状に配置された一対のリンク部材30を備えると共に、当該一対のリンク部材30の交差部よりも上方に、当該一対のリンク部材30の伸縮動作の中心軸31を備えている。一対のリンク部材30の前方に位置する下端30LFがベースフレーム1にピン接合され、後方に位置する下端30LRが水平スライド可能にベースフレーム1に連結されている。一対のリンク部材30の上端30Uのうちの一方30UFが昇降フレーム4にピン接合され、他方30URが水平スライド可能に昇降フレーム4に連結されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、積載物を昇降させることの可能な昇降台車に関するものである。
昇降台車は、車輪を有しており、荷物を移動させるのに便利である。また、昇降台車は、載せられた荷物を昇降させることも可能であり、荷物を台や棚などに移載する際に便利である。下記特許文献1は、昇降台車を開示している。特許文献1は、車輪が取り付けられた水平な昇降テーブルと、昇降テーブルの後端に取り付けられた手押しフレームとを備えている。手押しフレームの下端には補助車輪が取り付けられている。昇降テーブルは、手押しフレームに対して昇降可能である。昇降テーブルが手押しフレームに対して最下位置にあるとき、作業者が手押しフレームを押すと昇降台車は前方に移動する。作業者が手押しフレームを引けば昇降台車は後方に移動する。昇降テーブルはXリンク機構を有しており、このXリンク機構によって手押しフレームに対して昇降テーブルを昇降させることができる。
Xリンク機構の高さを伸長させて昇降テーブルを垂直に持ち上げているときには、接地しているXリンク機構によって持ち上げられた昇降テーブルの車輪は床面から離れるため、昇降台車を移動することはできない。しかし、昇降テーブルは、接地しているXリンク機構に対してわずかに前方にスライド可能である。このわずかな前方スライドによって、昇降テーブルの前輪を車両の荷台に載せることが可能である。その後、Xリンク機構を収縮させて昇降テーブルの内部に格納して、荷台上の昇降テーブルの車輪と手押しフレーム下端の補助車輪を用いて昇降台車を荷台の奥に移動させる。昇降テーブルの後輪も荷台に載せたら、昇降テーブルに対して手押しフレームを持ち上げて、昇降台車全体を更に奥に移動させて昇降台車全体を荷台に載せる。
特許文献1に開示された昇降台車を車両の荷台へ載せるには、車体と昇降中の昇降テーブルとがぶつからないように、昇降台車と荷台との間にある程度の距離が必要である(リアバンパの張り出し分の距離など)。昇降テーブルの昇降中にはXリンク機構が接地しているため、昇降中に昇降テーブルの位置を調整し直すことは難しく、昇降台車と車両との位置合わせが難しい。また、昇降テーブルの前輪を荷台に載せるための上述した前方へのスライドストロークは短く、前輪を荷台に載せにくい。また、前輪を荷台に載せてXリンク機構を畳んだ後の昇降テーブル及び手押しフレームの前方移動も不安定になり易い。さらに、Xリンク機構の伸縮動作は、手動で操作するか電動ドライバなどを用いて操作するが、作業性の面で改善の余地がある。なお、ここでは、車両の荷台への搭載を例に説明しているが、台や棚への移載でも同様の課題がある。
本発明の目的は、取り扱いが容易な昇降台車を提供することにある。
本発明に係る昇降台車は、ベースフレームと、手押しフレームと、Xリンク機構と、昇降フレームと、スライドテーブルと、を備えている。Xリンク機構は、X状に配置された一対のリンク部材を備えると共に、当該一対のリンク部材の交差部よりも上方に、当該一対のリンク部材の伸縮動作の中心軸を備えている。一対のリンク部材の前方に位置する下端がベースフレームにピン接合され、後方に位置する下端が水平スライド可能にベースフレームに連結されている。一対のリンク部材の上端のうちの一方が昇降フレームにピン接合され、他方が水平スライド可能に昇降フレームに連結されている。
本発明に係る昇降台車によれば、積載物の昇降及び移載や昇降台車の荷台への搭載の作業を容易にかつ確実に行うことができる。
図面を参照しつつ、実施形態に係る昇降台車について説明する。本実施形態の昇降台車は、図1に示されるように、主要構成要素として、ベースフレーム1、手押しフレーム2、Xリンク機構3、昇降フレーム4、及び、スライドテーブル5を備えている。これらの主要構成要素やそれらの付随構成要素は、アルミ合金製のパイプをフレーム状に接続することで構築されている。昇降台車は作業者によって移動されるが、作業者が手押しフレーム2の上端に設けられた水平バー20を持って昇降台車を押すことで、昇降台車を前方に移動できる。作業者が水平バー20持って昇降台車を引くことで、昇降台車を後方に移動できる。この前後移動方向の定義に基づいて、昇降台車の前後を規定する。即ち、図1中において、右下方部が昇降台車の前部であり、左上方部が後部である。なお、図1中には、スライドテーブル5の内部ロッド51、天板52及びローラレール53は示されていない(図2参照)。
ベースフレーム1は、長方形の水平なフレーム部材であり、その底部の四隅に車輪10を備えている。四つの車輪10のうち、前部に配された二つが前輪10であり、後部に配された二つが後輪10である。後輪10は、その水平回転軸に加えて、垂直回転軸も有している。垂直回転軸回りに回転可能な後輪10によって、昇降台車の移動時の方向転換等の取り回しが容易になっている。後輪10には水平軸回りの回転を規制するロックも設けられている。ベースフレーム1は、その左右のサイドロッド1Sの内方に、前後方向に延在するガイドロッド11がそれぞれ設けられている。各ガイドロッド11は、ベースフレーム1の前ロッド1Fと後ロッド1Rとの間に架け渡されている。
手押しフレーム2は、ベースフレーム1の後端に固定され取り付けられており、垂直に立設されている。手押しフレーム2の上端には、作業者によって保持される上述した水平バー20が架け渡されている。また、手押しフレーム2の上部には、より詳しくは、水平バー20よりもやや下方には、水平な回転ロッド21が回動可能に取り付けられている。回転ロッド21の右端には、回転ロッド21を回転操作するためのクランクハンドル21aが設けられている。回転ロッド21については、昇降フレーム4の昇降機構の一部として後述する。なお、本実施形態の手押しフレーム2は、後方にその高さのほぼ半分の高さを有する一対の垂直ロッド22も備えている。一対の垂直ロッド22の上端からは、それぞれ、互いに相手に向けて水平にサブ水平ロッド22aが延出されている。垂直ロッド22は手押しフレーム2の本体と結合されており、手押しフレーム2のベースフレーム1への取り付け強度を向上している。垂直ロッド22を含む手押しフレーム2とベースフレーム1との間には、接続強度向上のためのブレースが更に設けられてもよい。サブ水平ロッド22aは、昇降台車を車両の荷台等に移載するときに作業者によって保持されるハンドルとして機能する。
ベースフレーム1には、昇降フレーム4を昇降させるためのXリンク機構3も取り付けられている。Xリンク機構3は、昇降フレーム4の昇降機構の一部である。本実施形態では、一対のXリンク機構3が設けられている。各Xリンク機構3の下端30Lはベースフレーム1に取り付けられ、上端30Uが昇降フレーム4に取り付けられる。各Xリンク機構3は、前後方向に平行な垂直面内で上下に伸縮動作可能である。Xリンク機構3の伸長動作によって昇降フレーム4は上昇され、収縮動作によって昇降フレーム4は下降される。各Xリンク機構3は、X状に配置された一対のリンク部材30を備えると共に、この一対のリンク部材30の交差部よりも上方に、当該一対のリンク部材30の伸縮動作の中心軸31を備えている。本実施形態では、中心軸31は一対のXリンク機構3で共用されている。
一対のリンク部材30の下端30Lのうち前方に位置する下端30LFは、ベースフレーム1にピン接合されている。より詳しくは、下端30LFは、ベースフレーム1の前ロッド1Fにピン接合されている。ピン接合により、リンク部材30は、ピン接合点を中心として揺動可能である。一方、下端30Lのうち後方に位置する下端30LRは、ベースフレーム1に対して水平スライド可能に当該ベースフレーム1に連結されている。より詳しくは、下端30LRは、一対のガイドロッド11間に架け渡された前後方向に水平スライド可能なスライドロッド12にピン接合されている。
Xリンク機構3の中心軸31は、水平ロッド31により形成されており、一対のリンク部材30の交差点よりも常に上方に位置する。より具体的には、各リンク部材30から垂直に、かつ、前後方向を含む平面に平行にブラケット31aが上方側に向けて突設されており、ブラケット31aの先端が中心軸31にピン接合されている。中心軸31を一対のリンク部材30の交差点よりも上方に位置させることによる利点については、図7を参照しつつ、追って詳しく説明する。
昇降フレーム4は、車輪は有していないがベースフレーム1とほぼ同じ構成を有している。昇降フレーム4も、長方形の水平なフレーム部材であり、その左右のサイドロッド4Sの内方に、前後方向に延在するガイドロッド40がそれぞれ設けられている。各ガイドロッド40は、昇降フレーム4の前ロッド4Fと後ロッド4Rとの間に架け渡されている。各サイドロッド4Sの外側面には、昇降フレーム4に対して水平にスライド可能にスライドテーブル5を保持するスライドレール41が取り付けられている。スライドレール41は、インナメンバ、中間メンバ及びアウタメンバからなるいわゆる3メンバー・スライド・タイプのリニアガイドレールである。スライドレール41のインナメンバがサイドロッド4Sに固定され、アウタメンバがスライドテーブル5のサイドフレーム5Sに固定される。
本実施形態の一対のリンク部材30の上端30Uのうち前方に位置する上端30UFは、昇降フレーム4にピン接合されている。より詳しくは、上端30UFは、昇降フレーム4の前ロッド4Fにピン接合されている。一方、上端30Uのうち後方に位置する上端30URは、昇降フレーム4に対して水平スライド可能に当該昇降フレーム4に連結されている。より詳しくは、上端30URは、一対のガイドロッド40間に架け渡された前後方向にスライド可能なスライドロッド42にピン接合されている。
図1及び図2に示されるように、スライドテーブル5は、箱状のフレーム部材であり、上述した一対のスライドレール41を介して、昇降フレーム4に対して水平スライド可能に当該昇降フレーム4に取り付けられている。スライドレール41は、長い伸長ストロークを確保できる3メンバー・スライド・タイプのリニアガイドレールである。このため、スライドテーブル5は、その後ロッド5Rが昇降フレーム4の前ロッド4Fに一致する位置(あるいは、それよりもやや前方位置)まで前後方向にスライド可能である(図4参照)。スライドテーブル5も、ベースフレーム1のように、その底部の四隅に車輪50を備えている。四つの車輪50のうち、前部に配された二つが前輪50であり、後部に配された二つが後輪50である。スライドテーブル5の最上位フレームは、図2に示されるように、前後方向に延びる一対の内部ロッド51を備えている。各内部ロッド51は、スライドテーブル5の前フレーム5Fと後ロッド5Rとの間に架け渡されている。
スライドテーブル5の上面の右側及び左側には、荷物を載せるための一対の天板52が取り付けられている。本実施形態の天板52は、長方形のアクリル樹脂板である。天板52の四辺がスライドテーブル5の前フレーム5F、後ロッド5R、内部ロッド51及びサイドフレーム5Sにそれぞれ固定されている。一対の天板52の間には、スライドテーブル5上に載置された荷物を前方に払い出すための払い出し機構が設けられている。払い出し機構は、後部を持ち上げ可能な一対のローラレール53と、ローラレール53の後部を持ち上げるためのレバー54とを備えている。図2、図3A及び図3Bに示されるように、各ローラレール53には、水平回転軸を有する複数のローラが、前後方向に並べて回転可能に取り付けられている。ローラレール53は、前後方向に延在され、その前端は、前フレーム5Fの上ロッドにピン接合されている。従って、ローラレール53は、ピン接合点を中心として前後方向に平行な垂直面内で揺動可能である。
レバー54は、図3A及び図3Bに示されるように、側面視でクランク形状を有しており、その中央部が後ロッド5Rにピン接合されている。従って、レバー54は、ピン接合点を中心として前後方向に平行な垂直面内で揺動可能である。なお、図示されていないが、スライドテーブル5は、ローラレール53の後端を下方から支持するストッパを有している。レバー54の後部は、作業者によって操作されるハンドル54aとして後方に延出されている。ハンドル54aよりも前の部分は、一対のローラレール53に合わせて二股にされている。ハンドル54aの前端は、前後方向に直角な水平方向に延びる係止ロッド54bに固定されている。係止ロッド54bは、スライドテーブル5の後述するスライドロック機構の係止部として機能する。係止ロッド54bは二股部分の基端であり、その両端から側面視L形のアーム54cが前方に延出されている。アーム54cの先端がローラレール53の底部と当接可能である。
作業者がハンドル54aを下方に押すと、レバー54が揺動して、アーム54cの先端によってローラレール53の後部が上方に持ち上げられる(図3B参照)。スライドテーブル5上に載置された荷物は、自重によって一対のローラレール53上を前方へと滑り落ちる。この結果、荷物は、スライドテーブル5から前方に払い出される。作業者がハンドル54aを押すのを止めれば、レバー54はローラレール53の自重によって揺動されて初期状態に戻る。一対のローラレール53の後部も自重で下降し、上述したストッパで受け止められる。
昇降フレーム4とスライドテーブル5との間には、作業者が昇降フレーム4に対してスライドテーブル5をスライドさせるためのスライド機構が設けられている。図4に示されるように、スライド機構は、上述したスライドレール41に加えて、下レール43、上レール55、ローラ60、及び、操作ロッド61を備えている。下レール43は、L型アングル材であり、昇降フレーム4の前ロッド4Fと後ロッド4Rとの間に架け渡されて前後方向に延在されている。下レール43は、一対のサイドロッド4Sのちょうど真ん中に位置している。下レール43のL型アングル材の水平板が、前ロッド4F及び後ロッド4Rの上面に固定されている。本実施形態では、下レール43のL型アングル材の垂直板は水平板に対して左側に位置している。
上レール55も、L型アングル材であり、スライドテーブル5の前フレーム5Fと後ロッド5Rとの間に架け渡されて前後方向に延在されている。上レール55は、一対のローラレール53のちょうど真ん中に位置している。上レール55のL型アングル材の水平板が、前フレーム5Fの上ロッド及び後ロッド5Rの上面に固定されている。本実施形態では、上レール55のL型アングル材の垂直板は水平板に対して右側に位置している。なお、図4中には、上レール55の水平板は示されているが、ローラ60及び操作ロッド61を見易くするために、上レール55の垂直板は図示されていない(二点鎖線でその外形のみが示されている)。また、図4では、スライドテーブル5も二点鎖線で示されている。
下レール43と上レール55との間には、これらの両者とその外周部で同時に接触するローラ60が配されている。ローラ60の回転軸は前後方向に直角な水平方向であり、ローラ60は回転可能に操作ロッド61の先端に取り付けられている。操作ロッド61は、下レール43及び上レール55によって形成される断面矩形の空間内に収納されている。操作ロッド61をその軸方向に沿って、即ち、前後方向に移動させることで、ローラ60の位置を移動させることができる。図4に示されるように、操作ロッド61の操作ストロークLに対して、スライドテーブル5はスライドストローク2Lで前方にスライドされる。従って、少ない操作ストロークでスライドテーブル5を大きくスライドさせることができる。これについて、図5を参照して説明する。
図5に示されるように、ローラ60は、下レール43及び上レール55とその外周部で同時に接触している。操作ロッド61のストローク操作前の接触点をそれぞれ点A及びBで図5上段中に示す。中心点Oがローラ60の回転中心である。この状態から、作業者によって操作ロッド61が操作ストロークLで前方に押し出されると、操作ロッド61の先端に取り付けられたローラ60の中心点Oは、図5下段に示されるように、操作ストロークLだけ前方に移動する。このとき、ローラ60は、下レール43と接触しているため下レール43に接触しつつ回転する。ローラ60が回転した後の点A及びBの位置が図5下段中に示されている。また、ローラ60が回転した後のローラ60と下レール43及び上レール55との接触点もそれぞれ点A’及びB’で図5下段中に示されている。
ローラ60は、下レール43に対して円弧AA’の分だけ回転する。円弧AA’の長さは操作ストロークLに等しい(太実線参照)。ここで、ローラ60は上レール55とも接触しているため、上レール55は、まず、ローラ60の移動と共に操作ストロークLの分だけ前方にスライドされる。さらに、このスライドと並行して、上レール55は、回転するローラ60の回転によっても前方に押し出される。即ち、上レール55は、円弧BB’の分だけローラ60の回転によって前方にストロークされる。円弧BB’の長さは円弧AA’の長さ、即ち、操作ストロークLに等しい(太点線参照)。従って、上レール55は、下レール43に対してL+L=2Lだけ前方にストロークされる。即ち、スライドテーブル5は昇降フレーム4に対してスライドストローク2Lで前方にスライドされる。
また、図4に示されるように、操作ロッド61の後部61rは、上方に跳ね上げられて折り畳み可能に構成されている。具体的には、後部61rの前端面の上部にヒンジが形成されており、このヒンジによって折り畳み可能になっている。折り畳まれた後部61rを揺動させて後方に伸ばすと、図4下段に示されるように操作ロッド61は一直線になる。後部61rの先端には、作業者が操作ロッド61を押したり引いたりしやすいようにノブ61aが形成されている。ノブ61aは、後部61rを後方に伸ばしたときは上方に向けて突出し、後部61rを折り畳んだときには下方に向けて突出する。
操作ロッド61を一杯まで引いてスライドテーブル5を最後方位置にして後部61rを折り畳むと、ノブ61aは、図4上段に示されるように、スライドテーブル5のレバー54の係止ロッド54bと係止する。この状態では、スライドテーブル5のスライドが、操作ロッド61の後部61r(ノブ61a)とレバー54の係止ロッド54bとでロックされる。即ち、後部61r(ノブ61a)と係止ロッド54bとが、スライドテーブル5のスライドロック機構として機能する。
また、操作ロッド61の後部61rを折り畳めるので、手押しフレーム2を操作して昇降台車を移動させる際には、操作ロッド61の後方への突出を回避できる。このため、操作ロッド61が昇降台車の操作性を阻害することがない。また、このような昇降台車の移動後に、スライドテーブル5を前方にスライドさせたい場合は、スライド操作のために折り畳まれた後部61rを起こすだけでスライドテーブル5のスライドロックは自ずと解除されるので、操作性が非常にいい。また、スライドテーブル5のスライド位置を後方に戻した場合も、後部61rを折り畳むだけでスライドテーブル5のスライドが自ずとロックされるので、操作性が非常にいい。
さらに、ベースフレーム1と昇降フレーム4との間には、手押しフレーム2を介して、ベースフレーム1に対して昇降フレーム4を昇降させる昇降機構が設けられている。昇降機構によれば、ベースフレーム1に対して昇降フレーム4を昇降させる事もできる(図8参照)。また、車の荷台等に積載されたスライドテーブル5に対してベースフレーム1を昇降させることもできる(図9参照)。図6に示されるように、昇降機構は、Xリンク機構3に加えて、上述した回転ロッド21と、ベースフレーム1に取り付けられた滑車13と、これらの回転ロッド21及び滑車13の間に張られた昇降ストリング21cとを備えている。本実施形態では、一対の昇降機構が対称に設けられている。
回転ロッド21は、前後方向に対して直角な水平方向に延在されており、第一及び第二ワンウェイクラッチ21bを介して手押しフレーム2の上部に回転可能に取り付けられている。第一及び第二ワンウェイクラッチ21bは、手押しフレーム2の垂直材にそれぞれ固定されており、回転ロッド21の両端近傍を回転可能にそれぞれ保持している。回転ロッド21の右端には、作業者によって回転操作可能なクランクハンドル21aが設けられている。第一及び第二ワンウェイクラッチ21bについては、特に区別する必要がない場合は単にワンウェイクラッチ21bと呼ぶ。
本実施形態のワンウェイクラッチ21bは、内部ギアと共に粘性オイルが封入されており、ロータリーダンパーとしても機能する。例えば、ワンウェイクラッチ21bとしては、SUS株式会社製の「ロータリーダンパー付ワンウェイクラッチ」GFW-492を用いることができる。ワンウェイクラッチ21bは、正逆回転の一方の回転を規制可能であり、当該規制を設定解除可能なスイッチも有している。即ち、ワンウェイクラッチ21bは、例えば、スイッチにより「解除」に設定されるとワンウェイクラッチとしては機能せず、スイッチにより「設定」に設定されるとワンウェイクラッチとして機能する。
本実施形態の第一及び第二ワンウェイクラッチ21bは、回転ロッド21の互いに逆方向の回転を規制可能に手押しフレーム2に固定されている。即ち、第一ワンウェイクラッチ21bが回転ロッド21の正回転を規制可能な場合、第二ワンウェイクラッチ21bは回転ロッド21の逆回転を規制可能である。また、第一ワンウェイクラッチ21bが右側に配され、かつ、第二ワンウェイクラッチ21bが左側に配されてもよいし、その逆でもよい。本実施形態では、第一ワンウェイクラッチ21bは、ベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を狭める回転ロッド21の回転を規制可能である。反対に、かつ、第二ワンウェイクラッチ21bは、ベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を広げる回転ロッド21の回転を規制可能である。第一及び第二ワンウェイクラッチ21bの両方で規制すると、ベースフレーム1に対しする昇降フレーム4の昇降をロックできる。
各ワンウェイクラッチ21bのほぼ真下のやや内側寄りに、滑車13が設けられている。滑車13は、ベースフレーム1の後部、より詳しくは、ガイドロッド11の後端部近傍に回転可能に取り付けられている。そして、図1及び図6に示されるように、各滑車13と回転ロッド21との間に昇降ストリング21cが張られている。本実施形態の昇降ストリング21cは、ナイロン組紐である。昇降ストリング21cの一端は回転ロッド21に固定されており、図6中右回りに巻回された後に前方に導出されて下方の滑車13に向けて延ばされている。昇降ストリング21cは、図6中左回りに滑車13に半周巻回されてから、上方の回転ロッド21に向けて延ばされている。昇降ストリング21cは、図6中右回りに巻回された後に、その他端が回転ロッド21に固定されている。この回転ロッド21と滑車13との間の一対の経路のうちの一方において、昇降ストリング21cの一箇所が、昇降フレーム4に設けられた固定部45に固定されている。
従って、各昇降ストリング21cの両端は、同方向に回転ロッド21上に巻回された一対の巻回部を形成する。クランクハンドル21aによって回転ロッド21を回転させると、一対の巻回部の一方からは昇降ストリング21cが繰り出され、他方の巻回部に昇降ストリング21cが巻き取られる。これに伴い、固定部45の位置が上下に移動される。この結果、昇降フレーム4がベースフレーム1に対して昇降される。例えばスライドテーブル5上の荷物を棚に移載する場合を説明する。ベースフレーム1が接地している際に、第一ワンウェイクラッチ21bをベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を狭める回転ロッド21の回転を規制するよう設定する。第二ワンウェイクラッチ21bはベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を広げる回転ロッド21の回転を規制しないように設定する。この状態から、回転ロッド21を回転させることで、最下位置の昇降フレーム4を上昇させることができ、その際には、昇降フレーム4(スライドテーブル5)の不意の下降が規制される。また、昇降フレーム4の上昇時には、その上昇が後述する補助装置7によって補助されるので、回転ロッド21を回す力が軽減される。なお、このとき、Xリンク機構3は、その高さを伸ばす伸長動作を行う。また、ワンウェイクラッチ21bはオイル粘性を利用したロータリーダンパーとしても機能するので、クランクハンドル21aによる回転ロッド21の回転操作は節度感のあるものとなる。
もう一例として、荷物を棚から下ろす場合を説明する。ベースフレーム1が接地している際に、まず、昇降フレーム4(スライドテーブル5)を最上位置にして第一及び第二ワンウェイクラッチ21bの両方で規制動作を行うように設定する。これにより、昇降フレーム4の昇降がロックされる。人力でスライドテーブル5に荷物を移載する。少なくとも、第一ワンウェイクラッチ21bによるベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を狭める回転ロッド21の回転の規制を解除する。第二ワンウェイクラッチ21bは規制又は解除のどちらに設定されてもよい。この状態から、回転ロッド21を回転させることで、昇降フレーム4を最下位置へと下降させることができる。このとき、昇降フレーム4の落下するような急激な下降は、後述する補助装置7によって緩衝される。なお、このとき、Xリンク機構3は、その高さを縮める収縮動作を行う。
次に、Xリンク機構3の伸縮動作(伸長動作及び収縮動作)に伴うベースフレーム1に対する昇降フレーム4(スライドテーブル5)の移動軌跡について、図7を参照しつつ説明する。なお、図7は、ベースフレーム1、Xリンク機構3の一対のリンク部材30及び昇降フレーム4によるリンク機構を模式的に示している。図7では、ベースフレーム1の位置を基準にして、状態1、状態2及び状態3が重ねて示されている。また、図7中には、各部材の参照符号の後にどの状態であるかが丸括弧付きで示されている。
本実施形態では、<A>昇降フレーム4の前ロッド4FとXリンク機構3のリンク部材30とがピン接合されている。<b>このリンク部材30は、Xリンク機構3の中心軸(水平ロッド)31を介してもう一方のリンク部材30とピン接合され、<C>この一方のリンク部材30はベースフレーム1の前ロッド1Fとピン接合されている。従って、Xリンク機構3の伸縮動作に伴うベースフレーム1に対する昇降フレーム4の前後方向の位置は、前ロッド4Fの位置で決まる。
上記条件<b>に伴い、<B>一対のリンク部材30の伸縮動作の中心軸31が、ブラケット31aによって一対のリンク部材30の交差部よりも上方に配置されている。このため、本実施形態では、上記<A>~<C>の条件を設定することで、図7に示されるように、Xリンク機構3の伸長動作時に昇降フレーム4(の前ロッド4F)をベースフレーム1に対して前方にせり出させる軌跡を形成させやすくなる。Xリンク機構3の伸長動作としては、接地されたベースフレーム1に対して昇降フレーム4を上昇させる場合が想定される。図7では、状態1、状態2、状態3の順に、昇降フレーム4がベースフレーム1に対して上昇されている。
このような昇降機構では、リンク部材30の下端30Lと中心軸31(又は交差点)との距離に対して、中心軸31(又は交差点)とリンク部材30の上端30Uとの距離を大きく変えたXリンク機構を用いることは難しい。また、Xリンク機構3を収縮させた状態では、平面視においてベースフレーム1と昇降フレーム4(及び、最後方位置のスライドテーブル5)とはほぼ重なるようでないと、昇降装置は使いにくくなってしまう。しかし、上記<A>~<C>の条件を設定することで、上述した距離をほぼ等しくし、かつ、平面視でベースフレーム1と昇降フレーム4とが重なるようにしつつも、図7に示されるような、昇降フレーム4をせり出させるような軌跡を実現できる。このような軌跡は、昇降台車を車両の荷台に移載するような場合に非常に有効である(これについては、図8及び図9を用いて後述する)。
図7に示されるように、ベースフレーム1の前ロッド1Fを基準にして中心軸31は前方へと移動する円弧を描くので、この移動は昇降フレーム4を前方にせり出させるには有利に働く。しかし、昇降フレーム4の前ロッド4Fは中心軸31を基準にして後方へと移動する円弧を描く。これらの円弧の複合動作により最終的な前ロッド4Fの軌跡が決まるが、ここで、ベースフレーム1にピン接合されたリンク部材30のブラケット31aの根元の前方移動量よりも、ブラケット31aの先端即ち中心軸31の前方移動量は大きくなる。これと同時に、昇降フレーム4にピン接合されたリンク部材30のブラケット31aの根元は、その先端即ち中心軸31よりもより前方へと移動される。このため、一対のリンク部材30の伸縮動作の中心軸31を一対のリンク部材30の交差部よりも上方に配置することで、昇降フレーム4(の前ロッド4F)をベースフレーム1に対して前方にせり出させる軌跡を形成させやすくなる。
なお、ブラケット31aを設けずに中心軸31をリンク部材30上に設けると、リンク部材30の強度及び剛性が低下してしまう。従って、中心軸31を一対のリンク部材30の交差点よりも上方に位置させることで、リンク部材30、即ち、Xリンク機構3の強度及び剛性の低下を回避することもできる。
なお、本実施形態では上述した条件<A>が設定された。言い換えれば、一対のリンク部材30の上端30Uのうち前方に位置する上端30UFが昇降フレーム4(前ロッド4F)にピン接合されると共に、後方に位置する上端30URが昇降フレーム4に対して水平スライド可能に当該昇降フレーム4に連結された。しかし、条件<A>に代えて、<A’>昇降フレーム4の後ロッド4RとXリンク機構3のリンク部材30とがピン接合されてもよい。言い換えれば、一対のリンク部材30の上端30Uのうち後方に位置する上端30URが昇降フレーム4(後ロッド4R)にピン接合されると共に、前方に位置する上端30URが昇降フレーム4に対して水平スライド可能に当該昇降フレーム4に連結されてもよい。この場合は、Xリンク機構3の伸縮動作に伴うベースフレーム1に対する昇降フレーム4の前後方向の位置は、後ロッド4Rの位置で決まる。
この場合、Xリンク機構3の伸長動作に伴って、後ロッド4Rは前ロッド1Fを中心とする円弧を描くので、昇降フレーム4は前方にせり出される。このとき、中心軸31が一対のリンク部材30の交差点よりも上方に位置されているので、リンク部材30、即ち、Xリンク機構の強度及び剛性の低下を回避することもできる。なお、このとき、もう一方のリンク部材30は、その両端がベースフレーム1及び昇降フレーム4にスライド接合されることになる。このため、Xリンク機構3の状態が不安定になりやすいので、上述した条件<A>の方がXリンク機構3の状態を安定させやすい。
上述した補助装置7について説明する。補助装置7は、以下の(1)の場合に、回転ロッド21をクランクハンドル21aで回転させる際の操作力を軽減する。(1)高さ位置が固定された(例えば、接地された)ベースフレーム1に対してXリンク機構3の高さを伸ばす伸長動作を行う場合。また、補助装置7は、以下の(2)の場合に、Xリンク機構3の伸長動作を緩衝する。(2)高さ位置が固定された(例えば、接地された)ベースフレーム1に対してXリンク機構3の収縮動作を行う場合。即ち、(2)の場合は、補助装置7は、高さ位置が固定されたベースフレーム1に対して昇降フレーム4が落下するように下降するのを抑止する。
例えば、補助装置7としては、遠藤工業株式会社製の「からくりシリーズ四角バランサー」BS7Nを用いることができる。補助装置7は、渦巻バネとボビンが内蔵されており、ボビンにはワイヤ70が巻回されている。本実施形態のワイヤ70は、ナイロンロープであるが、金属撚線でもよく、その先端は補助装置7の本体箱から外部に導出されている。ボビンに巻回されたワイヤ70は本体箱から更に引き出すことができ、この際には、渦巻きバネによってワイヤ70をボビンに巻き戻すような力が作用する。補助装置7は、この力を調整可能な調整機構を備えている。
図1及び図6に示されるように、補助装置7は、ワイヤ70を後方に導出可能なように、ベースフレーム1の前ロッド1Fに固定されている。後方に引き出されたワイヤ70は、Xリンク機構3のリンク部材30の後方の下端30LRに取り付けられた滑車12aに半周巻回されてから前方へと戻されて、ベースフレーム1の前ロッド1Fにその先端が固定されている。滑車12aは、一対の下端30LRがピン接合されているスライドロッド12の下面に回転可能に取り付けられている。また、前ロッド1Fの下面には、固定金具14が固定されており、ワイヤ70の先端はこの固定金具14に固定されている。
上記(1)の場合のXリンク機構3の伸長動作では、ワイヤ70が巻き取られることになる。この巻取りは渦巻きバネによって補助されるため、Xリンク機構3の伸長動作のためのクランクハンドル21aを回転させる操作力が軽減される。一方、上記(2)の場合のXリンク機構3の収縮動作では、ワイヤ70が引き出されることになる。この引き出しは渦巻きバネに抵抗して行なわれるため、Xリンク機構3の収縮動作は緩衝される。より具体的には、高さ位置が固定されたベースフレーム1に対して昇降フレーム4を下降させる際に、昇降フレーム4が落下するように下降するのが抑止される。
次に、昇降台車を車両Vの荷台に移載する際の手順について、図8及び図9を参照して説明する。車両Vのバックドアは上方に開かれる。図8及び図9にはバックドアは描かれていないが、開かれている。荷台の床面Pは平坦であるが、昇降台車や車両Vが接地している路面からは高さがある。また、車両Vのリアバンパは、床面Pの後端よりも後方に突出することになる。まず、昇降台車を車両Vの後部につける。このとき、スライドテーブル5は最後方位置に位置されており、スライドテーブル5の前端ができるだけリアバンパに近づくようにする。
次に、既に説明したように、クランクハンドル21aを回転させてXリンク機構3に伸長動作をさせて、接地されたベースフレーム1に対して昇降フレーム4を上昇させる。図7に示されるように、昇降フレーム4及びスライドテーブル5は、前方にせり出すような軌跡を描くため、昇降フレーム4及びスライドテーブル5の前端は、リアバンパに接触することなく、荷台の床面Pの後端に近づけられる。この後、操作ロッド61を操作して、スライドテーブル5を前方に移動して床面P上に移動させる。このとき、昇降フレーム4及びスライドテーブル5が十分に床面Pの後端に近づけられているため、スライドテーブル5の後輪50も楽に床面P上に移動することができる。また、操作ロッド61のストロークに対してスライドテーブル5は2倍スライドされるので、スライドテーブル5を楽に床面P上に移動できる。この状態が、図8に示された状態である。なお、図8には、スライドレール41が図示されていないが、昇降フレーム4とスライドテーブル5とはスライドレール41で連結されている。
図8に示された状態から、ベースフレーム1も荷台に載せるために、高さ位置が荷台に固定された昇降フレーム4及びスライドテーブル5に対して、ベースフレーム1を上昇させる。まず、第一ワンウェイクラッチ21bをベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を狭める回転ロッド21の回転を規制しないよう設定する。第二ワンウェイクラッチ21bはベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を広げる回転ロッド21の回転を規制するように設定する。このように設定することで、持ち上げられたベースフレーム1が勝手に下降することが防止されるので、クランクハンドル21aの回転操作によってベースフレーム1を簡単に上昇させることができる。
このとき、スライドテーブル5上に荷物が十分に載せられていれば、ベースフレーム1を上昇中に昇降台車が後方に傾いてしまうことはない。しかし、荷物の重量が少なかったり、スライドテーブル5上に何も載せられていなかったりすると、昇降台車は後方に傾きやすくなる。そこで、本実施形態では、図1、図8及び図9に示されるように、スライドテーブル5の前フレーム5Fを構成するパイプの内部に、重り56が収納されている。また、上述した補助装置7も、上述した後方への傾きが起きにくいように、ベースフレーム1の後部でなく前部に取り付けられている。
接地しているベースフレーム1に対して昇降フレーム4を昇降させるだけであれば、ベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を広げる回転ロッド21の回転を規制可能な第二ワンウェイクラッチ21bは必ずしも設けなければならないものではない。しかし、本実施形態の昇降台車では、第一ワンウェイクラッチ21bに加えて第二ワンウェイクラッチ21bも設けることで、このようなベースフレーム1の上昇も楽に行える。ベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を広げる回転ロッド21の回転を規制可能な第二ワンウェイクラッチ21bがなければ、ベースフレーム1の上昇中に作業者の手がクランクハンドル21aから少しでも離れれば、ベースフレーム1は落下してしまう。
ベースフレーム1を持ち上げきった状態が図9に示されており、ベースフレーム1の車輪10は荷台の床面Pの高さに位置している。図9の状態から、ベースフレーム1を前方に移動させれば、ベースフレーム1の車輪10は床面P上で円滑に転がり、昇降台車全体の荷台への移載が終了する。このとき、スライドテーブル5に対してベースフレーム1及び手押しフレーム2は前方にスライドする。最後に操作ロッド61の後部61rを折り畳めば、スライドテーブル5のスライドがロックされる。昇降台車を床面P上で更に奥に移動させることもできる。また、荷台への移載が終了した状態では、昇降フレーム4及びスライドテーブル5はベースフレーム1上に下げられた車載に適した重心の低い状態となる。ベースフレーム1の後輪10をロックすることもできる。ベースフレーム1の上昇時や前方へのスライド時には、作業者は手押しフレーム2のサブ水平ロッド22aを掴んでベースフレーム1の上昇を補助したりベースフレーム1を前方に押したりすることができる。
本実施形態の昇降台車は、上述したような、ベースフレーム1と、手押しフレーム2と、Xリンク機構3と、昇降フレーム4と、スライドテーブル5と、を備えている。Xリンク機構3は、X状に配置された一対のリンク部材30を備えると共に、当該一対のリンク部材30の交差部よりも上方に、当該一対のリンク部材30の伸縮動作の中心軸(水平ロッド)31を備えている。一対のリンク部材30の下端30Lのうち前方に位置する下端30LFがベースフレーム1にピン接合されると共に、後方に位置する下端30LRがベースフレーム1に対して水平スライド可能に当該ベースフレーム1に連結されている。一対のリンク部材30の上端30Uのうちの一方(本実施形態では前方の上端30UF)が昇降フレーム4にピン接合されると共に、他方(本実施形態では後方の上端30UR)が昇降フレーム4に対して水平スライド可能に当該昇降フレーム4に連結されている。このため、ベースフレーム1に対して昇降フレーム4を前方にせり出すように上昇させることができる。この結果、昇降フレーム4にスライド可能に取り付けられたスライドテーブル5上の積載物を車両の荷台などに移載させやすく、取り扱いが容易な昇降台車を提供することができる。
ここで、本実施形態の昇降台車のスライド機構は、昇降フレーム4に固定された前後方向に延在する下レール43と、スライドテーブル5に固定された前後方向に延在する上レール55と、ローラ60と、前後方向に延在する操作ロッド61と、を備えている。ローラ60は、操作ロッド61の先端に回転可能に取り付けられており、下レール43及び上レール55に同時に接触している。このため、操作ロッド61を前後方向にストロークさせると、昇降フレーム4に対してスライドテーブル5をそのストロークの二倍の距離スライドさせることができる。従って、スライドテーブル5をスライドさせやすく、昇降台車の使い勝手が向上する。
また、操作ロッド61の後部61rが上方に揺動されて折り畳み可能に構成されている。スライドテーブル5は、その最後方位置に位置しているときに折り畳まれた操作ロッド61の後部61rと係止する係止部(係止ロッド)54bを備えている。このため、スライドテーブル5を最後方位置に位置させたときに後部61rを折り畳むだけで、スライドテーブル5のスライドをロックすることができる。従って、スライドテーブル5の意図しないスライドを防止でき、昇降台車の使い勝手が向上する。
さらに、本実施形態の昇降台車は、昇降フレーム4を昇降させる昇降ストリング21cをさらに備えている。手押しフレーム2は、その上部に、回転操作可能なクランクハンドル21aをその一端に有する、前後方向に対して直角な水平方向に延在された回転ロッド21を備えている。ベースフレーム1は、その後部に、滑車13を備えている。昇降ストリング21cは、その一箇所が昇降フレーム4に設けられた固定部45に固定され、かつ、回転ロッド21に巻回されると共に滑車13にも巻回されている。回転ロッド21の回転に伴って固定部45のベースフレーム1に対する垂直位置を変更可能である。従って、手押しフレーム2の上部に設けられたクランクハンドル21aで回転ロッド21を回転させることで昇降フレーム4を簡単に昇降させることができ、昇降台車の使い勝手が向上する。
ここで、昇降台車は、回転ロッド21の回転方向を規制可能な一対の第一及び第二ワンウェイクラッチ21bを更に備えている。第一ワンウェイクラッチ21bは、ベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を狭める回転ロッド21の回転を規制可能で、かつ、当該規制を設定解除可能なスイッチを有している。一方、第二ワンウェイクラッチ21bは、ベースフレーム1と昇降フレーム4との間の距離を広げる回転ロッド21の回転を規制可能で、かつ、当該規制を設定解除可能なスイッチを有している。第一ワンウェイクラッチによって、高さ位置が固定されたベースフレーム1に対して昇降フレーム4(及びスライドテーブル5)を上昇させるときに、昇降フレーム4(及びスライドテーブル5)が意図せずに下降(落下)してしまうのを防止できる。反対に、第二ワンウェイクラッチによって、高さ位置が固定された昇降フレーム4(及びスライドテーブル5)に対してベースフレーム1を上昇させることが可能になる。このため、昇降台車を車両Vの荷台に容易に移載することも可能になる。また、その際には、ベースフレーム1が意図せずに下降(落下)してしまうのも防止できる。
本実施形態では、スライドテーブル5の前端に重り56が設けられている。このため、上述したように、車両Vの荷台等に高さ位置が固定された昇降フレーム4(及びスライドテーブル5)に対してベースフレーム1を上昇させる際には、前方の荷台の床面P等にスライドされているスライドテーブル5側に重心を移動することができる。この重心移動によって、昇降フレーム4(及びスライドテーブル5)に対してベースフレーム1を上昇させる際に、昇降台車がベースフレーム1側に傾くのを抑止できる。
ここで、本実施形態の昇降台車は、上述した補助装置7が、前記ベースフレームの前部に設けられている。補助装置7は、上述した(1)の場合に回転ロッド21をクランクハンドル21aで回転させる際の操作力を軽減すると共に、上述した(2)の場合にXリンク機構3の伸長動作を緩衝する。このため、補助装置7によってベースフレーム1の重心が前方寄りになるので、昇降フレーム4(及びスライドテーブル5)に対してベースフレーム1を上昇させる際に、昇降台車をベースフレーム1側に傾けようとする力の作用を軽減することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。なお、上記実施形態におけるベースフレーム1や昇降フレーム4などの昇降台車の主要構成要素は枠状部材であり「~フレーム」と読んだが、板状部材として形成されてもよい。単なる板状部材であってもその外周部は枠を形成する。即ち「~フレーム」と呼ばれる構成要素は板状である場合も含む。
1 ベースフレーム
10 (ベースフレーム1の車輪)
13 滑車
2 手押しフレーム
21 回転ロッド
21a クランクハンドル
21b 第一及び第二ワンウェイクラッチ
21c 昇降ストリング
3 Xリンク機構
30 リンク部材
30L (リンク部材30の)下端
30LF 前側の下端
30LR 後側の下端
30U (リンク部材30の)上端
30UF 前側の上端
30UR 後側の上端
31 中心軸(水平ロッド)
4 昇降フレーム
43 下レール
45 固定部
5 スライドテーブル
50 (スライドテーブル5の車輪)
54b 係止部(係止ロッド)
55 上レール
60 ローラ
61 操作ロッド
61r (操作ロッド61の)後部
7 補助装置
10 (ベースフレーム1の車輪)
13 滑車
2 手押しフレーム
21 回転ロッド
21a クランクハンドル
21b 第一及び第二ワンウェイクラッチ
21c 昇降ストリング
3 Xリンク機構
30 リンク部材
30L (リンク部材30の)下端
30LF 前側の下端
30LR 後側の下端
30U (リンク部材30の)上端
30UF 前側の上端
30UR 後側の上端
31 中心軸(水平ロッド)
4 昇降フレーム
43 下レール
45 固定部
5 スライドテーブル
50 (スライドテーブル5の車輪)
54b 係止部(係止ロッド)
55 上レール
60 ローラ
61 操作ロッド
61r (操作ロッド61の)後部
7 補助装置
Claims (7)
- 昇降台車であって、
前輪及び後輪を備える水平なベースフレームと、
前記ベースフレームの後端に取り付けられ、作業者によって操作される手押しフレームと、
前記ベースフレームに下端が取り付けられ、前記ベースフレームの前後方向に平行な垂直面内で上下に伸縮動作可能なXリンク機構と、
前記Xリンク機構の上端に取り付けられ、前記Xリンク機構の伸長動作に伴って上方に移動され、かつ、前記Xリンク機構の収縮動作に伴って下方に移動される昇降フレームと、
前記昇降フレームに水平スライド可能に取り付けられた、前輪及び後輪を備えたスライドテーブルと、を備えており、
前記Xリンク機構が、X状に配置された一対のリンク部材を備えると共に、当該一対のリンク部材の交差部よりも上方に、当該一対のリンク部材の前記伸縮動作の中心軸を備えており、
前記一対のリンク部材の下端のうち前方に位置する下端が前記ベースフレームにピン接合されると共に、後方に位置する下端が前記ベースフレームに対して水平スライド可能に当該ベースフレームに連結されており、
前記一対のリンク部材の上端のうちの一方が前記昇降フレームにピン接合されると共に、他方が前記昇降フレームに対して水平スライド可能に当該昇降フレームに連結されている、昇降台車。 - 前記昇降フレームに対して前記スライドテーブルを水平スライドさせるスライド機構を更に備えており、
前記スライド機構が、
前記昇降フレームに固定された、前後方向に延在する下レールと、
前記スライドテーブルに固定された、前記前後方向に延在する上レールと、
前記下レール及び前記上レールに同時に接触するローラと、
前記ローラが回転可能に先端に取り付けられた、前記前後方向に延在された操作ロッドと、を備えている、請求項1に記載の昇降台車。 - 前記操作ロッドの後部が上方に揺動されて折り畳み可能に構成されており、
前記スライドテーブルが、その最後方位置に位置しているときに折り畳まれた前記操作ロッドの前記後部と係止する係止部を備えている、請求項2に記載の昇降台車。 - 前記昇降フレームを昇降させる昇降ストリングをさらに備えており、
前記手押しフレームが、その上部に、回転操作可能なクランクハンドルをその一端に有する、前記前後方向に対して直角な水平方向に延在された回転ロッドを備えており、
前記ベースフレームが、その後部に、滑車を備えており、
前記昇降ストリングは、その一箇所が前記昇降フレームに設けられた固定部に固定され、かつ、前記回転ロッドに巻回されると共に前記滑車にも巻回されており、前記回転ロッドの回転に伴って前記固定部の前記ベースフレームに対する垂直位置を変更可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の昇降台車。 - 前記回転ロッドの回転方向を規制可能な一対の第一及び第二ワンウェイクラッチを更に備えており、
前記第一ワンウェイクラッチが、前記ベースフレームと前記昇降フレームとの間の距離を狭める前記回転ロッドの回転を規制可能で、かつ、当該規制を設定解除可能なスイッチを有しており、
前記第二ワンウェイクラッチが、前記ベースフレームと前記昇降フレームとの間の距離を広げる前記回転ロッドの回転を規制可能で、かつ、当該規制を設定解除可能なスイッチを有している、請求項4に記載の昇降台車。 - 前記スライドテーブルの前端に重りが設けられている、前記ベースフレームの前部に設けられている、請求項5に記載の昇降台車。
- 高さ位置が固定された前記ベースフレームに対して前記Xリンク機構の高さを伸ばす伸長動作を行う場合に前記回転ロッドを前記クランクハンドルで回転させる際の操作力を軽減すると共に、高さ位置が固定された前記ベースフレームに対して前記Xリンク機構の前記収縮動作を行う場合に当該伸長動作を緩衝する補助装置が、前記ベースフレームの前部に設けられている、請求項6に記載の昇降台車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022172188A JP2024063968A (ja) | 2022-10-27 | 2022-10-27 | 昇降台車 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022172188A JP2024063968A (ja) | 2022-10-27 | 2022-10-27 | 昇降台車 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=91034203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022172188A Pending JP2024063968A (ja) | 2022-10-27 | 2022-10-27 | 昇降台車 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2024063968A (ja) |
-
2022
- 2022-10-27 JP JP2022172188A patent/JP2024063968A/ja active Pending
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