JP2024060114A - 動物忌避装置及び動物の忌避方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】チアゾリン類化合物を有効成分として含む動物忌避剤の活性を損なうことなく、長期間に亘って動物忌避剤を放散することが可能な動物忌避装置及び該動物忌避装置を用いた動物の忌避方法の提供。【解決手段】外界と接する側に膜状部材を配し、特定のチアゾリン類化合物から選択される少なくとも1種の動物忌避剤と、架橋型ポリマーと、を含有する動物忌避組成物の硬化物を収容する容器を備え、前記容器における、前記膜状部材と前記硬化物の空間の容積が、前記容器の容積に対し5%以上90%以下である動物忌避装置。【選択図】図1

Description

本発明は、動物忌避装置及び動物の忌避方法に関する。
従来より、野生動物は、様々な産業において多大な損害をもたらすことが知られている。野生動物の中でも、ネズミは、野菜、大豆、稲等への食害、穀物倉庫での食害、若木、樹皮等の食害、伝染病の媒介等によって、農業、林業、畜産業等に深刻な被害を与え続けている。例えば、農林水産省の疫学調査によれば、豚コレラ発生の要因としてネズミが農場間又は野生動物からのウイルスの媒介に関与していることが挙げられており、豚コレラの伝染への予防策が喫緊の課題となっている。
また、ネズミはレストラン等の商業施設において食中毒を媒介し、電線を齧って停電及び機械類の故障を発生させる点でも大きな問題を引き起こし、一次産業に限らず深刻な被害をもたらしている。しかし、ネズミを含む野生動物に対する有効な忌避技術については、現在までのところ十分なものが開発されていない。現在市販されているネズミ忌避剤としては、ワサビの匂い、ハーブの匂い等を効果物質としているが、いずれも忌避効果が弱く、匂いを繰り返し嗅いだ後に馴化してしまうという問題点がある。
近年、従来の忌避剤の問題点を克服するために、チアゾリン類化合物に基づく、強力かつ馴化しない新たな忌避剤の開発が進められている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。動物の嗅覚には、進化の過程で種にとって危険であると認識された対象(例えば、小動物及び草食動物にとっての捕食者)に由来する匂いを受容する特別な嗅覚システムが備わっている。前記チアゾリン類化合物は、この特別な嗅覚システムに受容される匂い分子であり、ネズミ、モグラ、ウサギ、シカ等の小動物、及び草食動物に対して極めて強力な忌避効果を示す上に、繰り返し嗅がせても馴化が全く起こらないという優れた性質を有している(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2011/096575号パンフレット
Kobayakawa,K.,et al.,Nature,2007,450(7169):503-508.
前記チアゾリン類化合物は馴化が全く起こらないという優れた性質を有しており、強力かつ馴化しない新たな忌避剤として高い期待が寄せられている。しかし、前記チアゾリン類化合物は、下記反応式に示すように、加水分解して失活する。
また、前記チアゾリン類化合物である4E2MT(4-エチル-2-メチルチアゾリン)は、加水分解による開環反応後、下記構造式に示す2量体を形成し、不活性な化合物に変性してしまう。
したがって、前記チアゾリン類化合物は、樹木等への直接塗布等の方法によると空気中の水分で容易に分解してしまい、忌避効果の持続性が低下するという課題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、チアゾリン類化合物を有効成分として含む動物忌避剤の活性を損なうことなく、長期間に亘って動物忌避剤を放散することが可能な動物忌避装置及び該動物忌避装置を用いる動物の忌避方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 外界と接する側に膜状部材を配し、下記一般式(I)から(VI)で示される化合物から選択される少なくとも1種の動物忌避剤と、架橋型ポリマーと、を含有する動物忌避組成物の硬化物を収容する容器を備え、
前記容器における、前記膜状部材と前記硬化物の空間の容積が、前記容器の容積に対し5%以上90%以下であることを特徴とする動物忌避装置である。
Figure 2024060114000004
ただし、前記一般式(I)から(VI)中、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
<2> 前記容器における25℃での水蒸気透過度が50(g/m・24時間)以下である、前記<1>に記載の動物忌避装置である。
<3> 前記膜状部材における25℃での水蒸気透過度が150(g/m・24時間)以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の動物忌避装置である。
<4> 前記硬化物における25℃での水蒸気透過度が100(g/m・24時間)以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の動物忌避装置である。
<5> 前記一般式(I)で示される化合物が、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、及び2,4-ジメチルチアゾールから選択されるいずれかの化合物であり、
前記一般式(II)又は(III)で示される化合物が、2-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリン、及び2,2-ジメチルチアゾリジンから選択されるいずれかの化合物であり、
前記一般式(IV)で示される化合物が、チオモルホリンであり、
前記一般式(V)で示される化合物が、2,5-ジメチル-2-チアゾリン及び5-メチル-2-チアゾリンから選択されるいずれかの化合物である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の動物忌避装置である。
<6> 前記架橋型ポリマーが、(メタ)アクリル系重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリサルファイト、シロキサン架橋型有機重合体、フッ素含有重合体、ゴム系重合体、及びエポキシ樹脂から選択される少なくとも1種である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の動物忌避装置である。
<7> 前記架橋型ポリマーが25℃で液体である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の動物忌避装置である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の動物忌避装置を、動物を忌避させる空間に配置する工程を含むことを特徴とする動物の忌避方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、
チアゾリン類化合物を有効成分として含む動物忌避剤の活性を損なうことなく、長期間に亘って動物忌避剤を放散することが可能な動物忌避装置及び該動物忌避装置を用いた動物の忌避方法を提供することができる。
図1は、本発明の動物忌避装置の一例を示す概略図である。
(動物忌避装置)
本発明の動物忌避装置は、容器を備え、更に必要に応じてその他の部材を備える。
<容器>
前記容器は、内部に収容空間を有する器を意味し、本発明においては、外界と接する側に膜状部材を配し、動物忌避剤と、架橋型ポリマーと、を含有する動物忌避組成物の硬化物を内部に収容する。
前記容器としては、その形状、構造、大きさ(容積)、外壁の平均厚み、材質などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記容器の形状としては、例えば、多面体形状、円柱形状、角錐形状、円錐形状、球体形状、楕円球体形状、紡錘形状、不定形状、又はそれらの組み合わせなどが挙げられる。
前記容器の構造としては、例えば、単層構造又は2層以上の多層構造であってもよい。
前記容器の大きさ(容積)としては、例えば、0.1mL以上、0.5mL以上、1mL以上、5mL以上、10mL以上、15mL以上、20mL以上、30mL以上、50mL以上、100mL以上、200mL以上、300mL以上、400mL以上、500mL以上、1L以上、2L以上、3L以上、4L以上、5L以上、若しくは10L以上、及び/又は10L以下、5L以下、4L以下、3L以下、2L以下、1L以下、500mL以下、400mL以下、300mL以下、200mL以下、100mL以下、50mL以下、30mL以下、20mL以下、15mL以下、10mL以下、5mL以下、1mL以下、0.5mL以下、若しくは0.1mL以下であってもよい。
前記容器の外壁の平均厚みとしては、例えば、100μm以上、200μm以上、500μm以上、1000μm以上、2000μm以上、5000μm以上、10000μm以上、及び/又は10000μm以下、5000μm以下、2000μm以下、1000μm以下、500μm以下、200μm以下、若しくは100μm以下であってよい。
前記容器の材質としては、全体又は一部がポリマー、ガラス、金属、木材などから構成されていることが好ましく、これらの中でも、成形性及び重量の点から、ポリマーが特に好ましい。
前記ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリビニル系ポリマー、ビニリデン系ポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン系ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィン系ポリマーは、アルケンをモノマーとして合成される高分子化合物である。前記ポリオレフィン系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-スチレン共重合体などが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸系モノマー、又はメタクリル酸系モノマーの重合体である。前記アクリル酸系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミドなどが挙げられる。前記メタクリル酸系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリルアミドなどが挙げられる。
前記ウレタン系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール及びポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン、ポリオール、ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンが含まれる。
前記ポリ塩化ビニル系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
前記ポリエステル系ポリマーには、ポリカルボン酸、ポリオール、又はこれらのエステル化合物などの重縮合反応により合成されるポリエステルなどが包含される。前記ポリカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記ポリエステル系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
前記ポリビニル系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記ビニリデン系ポリマーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記ポリスチレン系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレンなどが挙げられる。
前記ポリマーの中でも、水蒸気透過性が低い点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。
-膜状部材-
膜状部材は、容器の外界に接する開放部に設けられる。前記開放部は容器に一つ以上設けられ、その形状及び大きさは適宜調整することができる。
前記膜状部材としては、その形状、大きさ(平均厚み)、構造、材質などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記膜状部材の形状としては、例えば、膜(フィルム)状、シート状、板状、ラップ状などが挙げられる。
前記膜状部材の大きさ(平均厚み)としては、0.1μm以上、1μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、50μm以上、100μm以上、500μm以上、1000μm以上、及び/又は1000μm以下、500μm以下、100μm以下、50μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、1μm以下、若しくは0.1μm以下であってよい。
前記膜状部材の材質としては、全体又は一部がポリマーから構成されていることが好ましい。
前記ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリビニル系ポリマー、ビニリデン系ポリマー、エポキシ樹脂、ポリスチレン系ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィン系ポリマーは、アルケンをモノマーとして合成される高分子化合物である。前記ポリオレフィン系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-スチレン共重合体などが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーは、アクリル酸系モノマー、又はメタクリル酸系モノマーの重合体である。前記アクリル酸系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミドなどが挙げられる。前記メタクリル酸系モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリルアミドなどが挙げられる。
前記ウレタン系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール及びポリイソシアネートを反応させて得られるポリウレタン、ポリオール、ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を反応させて得られるポリウレタンが含まれる。
前記ポリ塩化ビニル系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
前記ポリエステル系ポリマーには、ポリカルボン酸、ポリオール、又はこれらのエステル化合物などの重縮合反応により合成されるポリエステルなどが包含される。前記ポリカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。前記ポリエステル系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
前記ポリビニル系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記ビニリデン系ポリマーは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記ポリスチレン系ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレンなどが挙げられる。
前記膜状部材の材質の中でも、水蒸気透過性が低い点から、ポリエチレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニリデンが好ましい。
<その他の部材>
その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、容器における膜状部材と硬化物の空間(空隙部)に揮発した動物忌避剤を採取するサンプリング部、容器内の状態(温度、湿度、圧力等)を把握する各種センサーなどが挙げられる。
本発明においては、前記容器における、前記膜状部材と前記硬化物の空間(空隙部)の容積が、前記容器の容積に対する割合(以下、「空隙率」と称する)は、5%以上であり、10%以上、30%以上、50%以上、若しくは70%以上、及び/又は90%以下であり、70%以下、50%以下、30%以下、10%以下、若しくは5%以下であってもよい。
前記空隙率が5%以上90%以下であると、空気中に放散するのに十分な動物忌避剤の絶対量が得られるという利点がある。
前記空隙率が5%未満であると、大気中へ放散するのに十分な動物忌避剤の絶対量が得られにくくなり、また、膜状部材と動物忌避組成物の硬化物の距離が近くなり雨水等により動物忌避剤が分解する影響が生じるおそれがある。一方、前記空隙率が90%を超えると、初期の動物忌避剤の忌避効果は得られるものの、動物忌避剤の絶対量が少ないことから動物忌避剤の徐放性が不十分になることがある。
ここで、前記空隙率は、容器の空隙容量は規格により決まっているので、この容器の空隙容量を100%とする。動物忌避組成物は比重が決まっているので、充填した動物忌避組成物の重量から充填した動物忌避組成物の体積を算出し、この動物忌避組成物の体積を100%から引くことによって求めることができる。
本発明の一態様において、前記容器における25℃での水蒸気透過度は、0(g/m・24時間)以上、0.1(g/m・24時間)以上、1(g/m・24時間)以上、5(g/m・24時間)以上、10(g/m・24時間)以上、30(g/m・24時間)以上、若しくは50(g/m・24時間)以上、及び/又は50(g/m・24時間)以下、30(g/m・24時間)以下、10(g/m・24時間)以下、5(g/m・24時間)以下、1(g/m・24時間)以下、0.1(g/m・24時間)以下、若しくは0(g/m・24時間)以下であってもよい。
前記容器の水蒸気透過度が50(g/m・24時間)以下であると、容器内に水分が侵入することを防止できるので、硬化物中の動物忌避剤の加水分解を防止でき、忌避効果の持続性を向上させることができる。
本発明の一態様において、前記膜状部材における25℃での水蒸気透過度は、0.1(g/m・24時間)以上、1(g/m・24時間)以上、5(g/m・24時間)以上、10(g/m・24時間)以上、30(g/m・24時間)以上、50(g/m・24時間)以上、100(g/m・24時間)以上、若しくは150(g/m・24時間)以上、及び/又は150(g/m・24時間)以下、100(g/m・24時間)以下、50(g/m・24時間)以下、30(g/m・24時間)以下、10(g/m・24時間)以下、5(g/m・24時間)以下、1(g/m・24時間)以下、若しくは0.1(g/m・24時間)以下であってもよい。
前記膜状部材の水蒸気透過度が150(g/m・24時間)以下であると、容器内に水分が侵入することを防止できるので、硬化物中の動物忌避剤の加水分解を防止でき、忌避効果の持続性を向上させることができる。
本発明の一態様において、動物忌避組成物を硬化させた硬化物における25℃での水蒸気透過度は、0.1(g/m・24時間)以上、1(g/m・24時間)以上、5(g/m・24時間)以上、10(g/m・24時間)以上、30(g/m・24時間)以上、50(g/m・24時間)以上、若しくは100(g/m・24時間)以上、及び/又は100(g/m・24時間)以下、50(g/m・24時間)以下、30(g/m・24時間)以下、10(g/m・24時間)以下、5(g/m・24時間)以下、1(g/m・24時間)以下、若しくは0.1(g/m・24時間)以下であってもよい。
動物忌避組成物を硬化させた硬化物の水蒸気透過度が100(g/m・24時間)以下であると、動物忌避組成物を硬化させた硬化物の水蒸気透過性が低いので、前記硬化物中に含まれる動物忌避剤と空気中の水分との接触を抑制でき、チアゾリン類化合物を有効成分として含む動物忌避剤の活性を損なうことなく、長期間に亘って動物忌避剤を放散することが可能となる。
前記容器、前記膜状部材、及び動物忌避組成物を硬化させた硬化物の水蒸気透過度は、JIS Z0208:1976(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))に基づいて測定することができる。
ここで、図1は、本発明の動物忌避装置の一例を示す概略図である。この図1の動物忌避装置10は、容器1の空隙部3の頭頂部に膜状部材2を貼合して、周辺をビニールテープで固定しており、動物忌避組成物の硬化物4を内部に収容している。
本発明の動物忌避装置によると、容器及び膜状部材の水蒸気透過度が低いこと、及び容器が適正な空隙率を有しているので、揮発した動物忌避剤を一定濃度に保持でき、膜状部材を通して徐々に放散させて忌避効果の持続性を図ることができる。
以下、本発明の動物忌避装置に収容される動物忌避組成物について詳細に説明する。
前記動物忌避組成物は、動物忌避剤と、架橋型ポリマーと、を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
<動物忌避剤>
本明細書において、「動物忌避剤」が適用可能である「動物」の種類については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、農作物、森林、家畜又は人家に被害をもたらす有害動物全般が挙げられる。前記動物としては、例えば、ネズミ、モグラ、ウサギ、イタチ、シカ、イノシシ、サル、ネコ、クマなどが挙げられる。
本明細書において「ネズミ」は、ネズミ目に属する動物であれば特に限定されない。前記ネズミ目には、ヤマアラシ亜目、ネズミ亜目、リス亜目などが含まれる。前記「ネズミ」としては、例えば、クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミ、アカネズミ、ハタネズミ、タケネズミ、リス、ヤマアラシ、デグー、ヌートリアなどが挙げられる。
本明細書において「シカ」は、シカ科に属する動物である。前記「シカ」としては、例えば、エゾシカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、ヤクジカ等のニホンジカ、キョンなどが挙げられる。
前記動物忌避剤は、チアゾリン類化合物を有効成分として含む。本明細書において「チアゾリン類化合物」は、チアゾリン環若しくはチアゾリジン環を有する化合物、又はチオモルホリン環を有する化合物を意味する。前記チアゾリン類化合物は、限定しないが、例えば、揮発性を有し、動物の嗅覚によって知覚され得る化合物、更にその結果、動物に対して忌避行動を誘発し得る化合物が好ましい。前記チアゾリン類化合物は、小動物や草食動物にとっての捕食者の尿に含まれる物質等を模した効果を有し、それ故、例えば、ネズミ、モグラ、ウサギ、シカ等の小動物又は草食動物に対して強力な忌避効果を示す。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤は、以下の一般式(1)で示される複素環式化合物、鎖状スルフィド化合物及びアルキルイソチオシアネートから選択される少なくとも1種を有効成分として含有する。なお、前記一般式(1)で示される複素環式化合物には、その塩も含まれる。
Figure 2024060114000005
ただし、前記一般式(1)中、環Aは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~7員の複素環を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、アシル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいチオール基、又は置換されていてもよいアミノ基又はオキソ基を示す。
上記一般式(1)の環Aは、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選択される少なくとも1個(好ましくは1~3個、より好ましくは1又は2個)のヘテロ原子を含む3~7員の複素環を示す。環Aは、窒素原子及び/又は硫黄原子を含む3~7員の複素環が好ましい。環Aは、窒素原子及び硫黄原子を含む3~7員の複素環が更に好ましい。環Aの員数は、3~6が好ましく、5又は6が更に好ましい。
前記複素環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサヒドロピリダジン、イミダゾール、イミダゾリジン、ピペリジン、エチレンスルフィド、トリメチレンスルフィド、チオフェン、チオラン、テトラヒドロ-2H-チオピラン、チアゾリン(例えば、2-チアゾリン、3-チアゾリン、4-チアゾリン)、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3-チアザン、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン、フラン、2H-ピラン、4H-ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリン、オキサゾリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、チアゾリン(例えば、2-チアゾリン)、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3-チアザン、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジンが好ましく、チアゾリン(例えば、2-チアゾリン)、チアゾール、チアゾリジン、1,3-チアザン、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン、チオモルホリンがより好ましい。
前記「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記「アルキル基」なる用語(基又は基の一部として用いられる場合)は指定された数の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。前記アルキル基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。前記炭素数1~6のアルキル基は1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味する。
前記炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基又は1-エチル-2-メチルプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記アルキル基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲノ基などが挙げられる。前記ハロゲノ基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などが挙げられる。前記炭素数1~6のハロアルキル基は、1~5個のハロゲノ基で置換された炭素数1~6のアルキル基を意味し、ハロゲノ基が2個以上である場合の各ハロゲノ基の種類は、同一又は異なっていてもよい。
前記炭素数1~6のハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、2-フルオロエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、1,2-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル基、1-フルオロプロピル基、1,1-ジフルオロプロピル基、2,2-ジフルオロプロピル基、3-フルオロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4-フルオロブチル基、4,4,4-トリフルオロブチル基、5-フルオロペンチル基、5,5,5-トリフルオロペンチル基、6-フルオロヘキシル基、6,6,6-トリフルオロヘキシル基などが挙げられる。
前記「アルコキシ基」なる用語(基又は基の一部として用いられる場合)は、指定された数の炭素原子を有する、-O(アルキル)基を示す。前記アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~6のアルコキシ基が挙げられる。
前記炭素数1~6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、1-メチルプロポキシ基、2-メチルプロポキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、1-メチルブトキシ基、2-メチルブトキシ基、3-メチルブトキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、1-エチルプロポキシ基、ヘキシルオキシ基、1-メチルペンチルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基、4-メチルペンチルオキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、3,3-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、1-エチルブトキシ基、2-エチルブトキシ基、1-エチル-2-メチルプロポキシ基などが挙げられる。
前記アルコキシ基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲノ基などが挙げられる。前記ハロゲノ基としては、上記アルキル基の置換基と同じ基が挙げられる。炭素数1~6のハロアルコキシ基は、1~5個のハロゲノ基で置換された炭素数1~6のアルコキシ基を意味し、ハロゲノ基が2個以上である場合の各ハロゲノ基の種類は、同一又は異なっていてもよい。
前記炭素数1~6のハロアルコキシ基としては、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、1-フルオロエトキシ基、2-フルオロエトキシ基、2-クロロエトキシ基、2-ブロモエトキシ基、1,1-ジフルオロエトキシ基、1,2-ジフルオロエトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ基、1,1,2,2,2-ペンタフルオロエトキシ基、1-フルオロプロポキシ基、1,1-ジフルオロプロポキシ基、2,2-ジフルオロプロポキシ基、3-フルオロプロポキシ基、3,3,3-トリフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロポキシ基、4-フルオロブトキシ基、4,4,4-トリフルオロブトキシ基、5-フルオロペンチルオキシ基、5,5,5-トリフルオロペンチルオキシ基、6-フルオロヘキシルオキシ基、6,6,6-トリフルオロヘキシルオキシ基などが挙げられる。
前記「アシル基」としては、例えば、ホルミル基、炭素数1~6のアルキル-カルボニル基などが挙げられる。前記炭素数1~6のアルキル-カルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基などが挙げられる。
前記「カルボキシル基」なる用語(基又は基の一部として用いられる場合)は、-COOH基を示す。前記カルボキシル基はエステル化されていてもよい。エステル化されていてもよいカルボキシル基の具体例としては、カルボキシル基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。前記炭素数1~6のアルコキシカルボニル基の炭素数1~6のアルコキシ部分は、置換されていてもよいアルコキシ基における炭素数1~6のアルコキシ基と同意義である。
前記「チオール基」なる用語(基又は基の一部として用いられる場合)は、-SH基を示す。前記チオール基は置換されていてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基などが挙げられ、炭素数1~6のアルキル基は、置換されていてもよいアルキル基における炭素数1~6のアルキル基と同意義である。前記置換されていてもよいチオール基の具体例としては、チオール基、炭素数1~6のアルキルチオ基などが挙げられる。前記炭素数1~6のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などが挙げられる。
前記「アミノ基」なる用語(基又は基の一部として用いられる場合)は、-NH基を示す。前記アミノ基は1又は2個の置換基で置換されていてもよく、前記置換基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基、-COR(ただし、式中、Rは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。)などが挙げられ、前記炭素数1~6のアルキル基は、置換されていてもよいアルキル基における炭素数1~6のアルキル基と同意義である。置換されていてもよいアミノ基の具体例としては、アミノ基、炭素数1~6のアルキルアミノ基、ジ(炭素数1~6のアルキル)アミノ基、-NRCOR(ただし、式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。)などが挙げられる。前記炭素数1~6のアルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、1-メチルエチルアミノ基などが挙げられる。前記ジ(炭素数1~6のアルキル)アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、N-エチル-N-メチルアミノ基、ビス(1-メチルエチル)アミノ基などが挙げられる。
前記「オキソ」なる用語(基又は基の一部として用いられる場合)は、=O基を示す。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる好適な複素環式化合物としては、例えば、チアゾール、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、2-ホルミルチアゾール、2-アミノチアゾール、5-メチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾール、4,5-ジメチルチアゾール、2-チアゾリン、2-メチル-2-チアゾリン、2-エチル-2-チアゾリン、2-ブロモ-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、2-メチル-4-エチル-2-チアゾリン、2-アミノ-2-チアゾリン、5-メチル-2-チアゾリン、4,5-ジメチル-2-チアゾリン、2,5-ジメチル-2-チアゾリン、2-メルカプト-2-チアゾリン、2-プロピル-2-チアゾリン、2-(1-メチルエチル)-2-チアゾリン、2-(1-メチルプロピル)-2-チアゾリン、チアゾリジン、2-メチルチアゾリジン、4-メチルチアゾリジン、5-メチルチアゾリジン、2,4-ジメチルチアゾリジン、2,2-ジメチルチアゾリジン、2,5-ジメチルチアゾリジン、4,5-ジメチルチアゾリジン、2,4,5-トリメチルチアゾリジン、1,3-チアザン、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン、2-メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾリン、2-イソプロピル-2-オキサゾリン、2-プロピル-2-オキサゾリン、2,4,4-トリメチル-2-オキサゾリン、4,4-ジメチル-2-オキサゾリン、オキサゾール、チオフェン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、イミダゾール、チオモルホリン、モルホリン、イソブチレンスルフィドなどが挙げられる。
前記動物忌避剤の有効成分として用いられるチアゾリン類化合物としては、以下の一般式(I)~(VIII)で示される化合物から選択される化合物が挙げられる。これらの中でも、以下の一般式(I)~(VI)で示される化合物から選択される化合物が好ましい。なお、前記一般式(I)~(VIII)で示される化合物には、その塩も含まれる。
Figure 2024060114000006
ここで、前記一般式(I)~(VIII)中、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~6のアルキル-カルボニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、チオール基、炭素数1~6のアルキルチオ基、アミノ基、炭素数1~6のアルキルアミノ基、ジ(炭素数1~6のアルキル)アミノ基、-NRCOR又はオキソ基を示す。
及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す。但し、上記一般式(I)においてR及びRはオキソ基ではなく、上記一般式(II)、一般式(VII)及び一般式(V)においてRはオキソ基ではなく、上記一般式(III)においてRとRが一緒になってオキソ基を形成してもよい。
上記一般式(I)~(VIII)で示される化合物の更に好ましい例としては、式中、R、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルキルチオ基を示す化合物又はその塩が挙げられる。
前記複素環式化合物の別の好ましい態様としては、上記一般式(I)~(VIII)で表される複素環式化合物のうち、2位及び/又は4位、又は、2位及び/又は5位が置換されたチアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、チオフェン、チオモルホリンなどが挙げられる。このような複素環式化合物は試薬として一般的に知られた物質が含まれ、市販のものを利用でき、また公知の方法により得ることができる。
上記一般式(I)、(II)、(III)、(VII)、又は(VIII)で示される化合物の好ましい例としては、式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~6のアルキル-カルボニル基、カルボキシル基、炭素数1~6のアルコキシカルボニル基、チオール基、炭素数1~6のアルキルチオ基、アミノ基、炭素数1~6のアルキルアミノ基、ジ(炭素数1~6のアルキル)アミノ基、-NRCOR又はオキソ基を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。ただし、上記一般式(I)においてR及びRはオキソ基ではなく、上記一般式(II)及び上記一般式(VII)においてRはオキソ基ではなく、上記一般式(III)においてRとRが一緒になってオキソ基を形成してもよい。
上記一般式(I)、(II)、(III)、(VII)、又は(VIII)で示される化合物の更に好ましい例としては、式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルキルチオ基を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
上記一般式(I)~(III)で示される化合物の特に好ましい例としては、式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルキルチオ基を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
上記一般式(I)~(III)において、Rが水素原子、ハロゲン原子(例えば、臭素原子)、炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)又は炭素数1~6のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)を示し、Rが水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示し、Rが水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩がより好ましい。
上記一般式(I)~(III)において、R、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を示す化合物若しくはその塩が更に好ましい。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる複素環式化合物の他の好ましい態様としては、上記一般式(I)又は(II)において、式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ホルミル基、炭素数1~6のアルキル-カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基、炭素数1~6のハロアルキル基、炭素数1~6のアルキルアミノ基、ジ(炭素数1~6のアルキル)アミノ基、炭素数1~6のアルキルチオ基又は-NRCORを示す。また、上記一般式(II)の化合物においては、Rはオキソ基を示してもよく、R及びRのいずれかが水素原子である場合は他方は水素原子ではなく、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる複素環式化合物の別の好ましい態様としては、上記一般式(I)~(VI)において、式中、Rは水素原子、ハロゲン原子(例えば、臭素原子)、炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)又は炭素数1~6のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基)を示す。Rは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す。Rは水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
上記一般式(I)~(VI)において、R、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)である化合物若しくはその塩が更に好ましい。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる複素環式化合物の別の好ましい態様としては、上記一般式(I)又は(II)において、式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基)を示し、R及びRのいずれかが水素原子である場合は他方は水素原子ではない化合物又はその塩が挙げられる。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる複素環式化合物の別の好ましい態様としては、上記一般式(III)において、式中、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる複素環式化合物の別の好ましい態様としては、上記一般式(V)において、式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
上記一般式(V)において、R及びRのいずれかが水素原子である場合は他方は水素原子ではない化合物又はその塩が更に好ましい。
本発明の動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の有効成分として用いられる複素環式化合物の別の好ましい態様としては、上記一般式(VI)において、式中、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基(例えば、メチル基)を示す化合物若しくはその塩が挙げられる。
上記一般式(I)で示される化合物としては、例えば、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、2,4-ジメチルチアゾールなどが好適に挙げられる。
上記一般式(II)で示される化合物としては、例えば、2-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリンなどが好適に挙げられる。
上記一般式(III)で示される化合物としては、例えば、チアゾリジン、2-メチルチアゾリジン、2,2-ジメチルチアゾリジン、4-メチルチアゾリジン、2,4-ジメチルチアゾリジンなどが好適に挙げられる。
上記一般式(IV)で示される化合物としては、例えば、チオモルホリンなどが好適に挙げられる。
上記一般式(V)で示される化合物としては、例えば、2,5-ジメチル-2-チアゾリン、5-メチル-2-チアゾリンなどが好適に挙げられる。
上記一般式(VI)で示される化合物としては、例えば、5-メチルチアゾリジンなどが好適に挙げられる。
上記一般式(VII)で示される化合物としては、例えば、5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン、2-メチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジン又は2,4-ジメチル-5,6-ジヒドロ-4H-1,3-チアジンなどが好適に挙げられる。
上記一般式(VIII)で示される化合物としては、例えば、1,3-チアザン、2-メチル-テトラヒドロ-1,3-チアジン、2,4-ジメチル-テトラヒドロ-1,3-チアジンなどが好適に挙げられる。
前記動物忌避剤に含まれる忌避活性を有する化合物は、上記複素環式化合物に限定されず、環を形成せず鎖状構造を有する化合物(以下、「鎖状化合物」と称することもある)であってもよい。前記鎖状化合物は、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む。前記鎖状化合物としては、例えば、鎖状スルフィド化合物又はアルキルイソチオシアネートなどが挙げられる。前記鎖状スルフィド化合物としては、例えば、アリルメチルスルフィドなどが挙げられる。前記アルキルイソチオシアネートとしては、例えば、エチルイソチオシアネート等の炭素数1~6のアルキルイソチオシアネートなどが挙げられる。
前記動物忌避剤を構成する化合物の塩としては、製薬学的又は農業上、若しくは産業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩などが挙げられる。
本発明に用いられる動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤には、上記に加えて忌避活性を有する更なる化合物を付加的に含んでもよい。そのような付加的に含まれてもよい化合物には、限定しないが、例えば、ネズミ忌避剤として従来から使用されている薄荷(はっか)、樟脳(しょうのう)などが挙げられる。
本発明に用いられる動物忌避組成物に含まれる動物忌避剤の含有量は、1×10-6質量%以上、1×10-5質量%以上、1×10-4質量%以上、1×10-3質量%以上、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、若しくは50質量%以上、及び/又は50質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0.1質量%以下、0.01質量%以下、1×10-3質量%以下、1×10-4質量%以下、1×10-5質量%以下、若しくは1×10-6質量%以下であってもよい。
<架橋型ポリマー>
架橋型ポリマーとしては、架橋反応することができるポリマーであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル系重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリサルファイト、シロキサン架橋型有機重合体、フッ素含有重合体、ゴム系重合体、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、柔軟性、耐久性、湿分バリア性、及び忌避剤成分放散性の観点から、(メタ)アクリル系重合体、シロキサン架橋型有機重合体が好ましい。
前記架橋型ポリマーは25℃で液体であることが、取り扱い性の点から好ましい。
<<シロキサン架橋型有機重合体>>
シロキサン架橋型有機重合体は、2以上のオキシアルキレン重合体及び(メタ)アクリル系重合体の少なくともいずれかがシロキサン結合で架橋されているポリマーである。
-オキシアルキレン重合体がシロキサン結合で架橋されている場合-
シロキサン架橋型有機重合体のオキシアルキレン重合体がシロキサン結合で架橋されている場合、シロキサン架橋型有機重合体は少なくとも2種類のオキシアルキレン重合体(以下、「第一のオキシアルキレン重合体」、「第二のオキシアルキレン重合体」と表記する)が架橋されていてもよい。
なお、以下の説明において「活性水素基」は、シロキサン架橋型有機重合体を構成するオキシアルキレン重合体におけるシロキサン結合の位置を特定するものとする。
第一のオキシアルキレン重合体は、活性水素基を少なくとも2個有するオキシアルキレン重合体であり、第二のオキシアルキレン重合体は、活性水素基を1個有するオキシアルキレン重合体であってもよい。
第一のオキシアルキレン重合体の数平均分子量は活性水素基当りで4,000以上が好ましく、4,000より低い場合は加水分解性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の硬化物の伸びが低くなるおそれがある。数平均分子量は5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましい。
これに対し、第二のオキシアルキレン重合体の数平均分子量は、第一のオキシアルキレン重合体のGPC(ゲルパーミュエーシヨンクロマトグラフィー)ピークトップ分子量の0.6倍以下が好ましく、0.6倍より大きい場合には減粘効果が小さくなるという問題がある。ピークトップ分子量は、0.5倍以下であることがより好ましく、0.4倍以下であることが特に好ましい。一方、第二のオキシアルキレン重合体の数平均分子量が低すぎると活性水素基を加水分解性ケイ素基に変換する際にケイ素化合物が多量に必要になってコストアップにつながるため、第二のオキシアルキレン重合体の数平均分子量は2,000以上が現実的で好ましい。
第一及び/又は第二のオキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレン構造の構成単位であるオキシアルキレン基が炭素数1~6のオキシアルキレン基であるのが好ましい。第一及び/又は第二のオキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレン構造の構成単位がオキシプロピレン基であるオキシアルキレン重合体を用いるのが他の樹脂との相溶性、速硬化性及び透明性の点で特に好ましい。
また、第一及び/又は第二のオキシアルキレン重合体は、オキシアルキレン重合体の数平均分子量が1,000以上30,000以下であることが好ましく、5,000以上20,000以下であることがより好ましい。
また、第二のオキシアルキレン重合体の粘度は、第一と第二のオキシアルキレン重合体が共存する重合体の粘度の3/4以下が好ましい。第二のオキシアルキレン重合体の粘度が第一と第二のオキシアルキレン重合体が共存する重合体の粘度の3/4より大きい場合には減粘効果が小さいと考えられる。
また、第二のオキシアルキレン重合体は、第一のオキシアルキレン重合体100質量部に対して300質量部以下共存させることが好ましく、200質量部以下がより好ましく、100質量部以下が特に好ましい。しかし、あまりに少なすぎると、期待される減粘効果が得られなくなるので、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が特に好ましく、20質量部以上が最も好ましい。
第二のオキシアルキレン重合体が第一のオキシアルキレン重合体100質量部に対して300質量部より大きい場合には、最終的に得られる加水分解性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体の硬化性が著しく悪くなり、場合によっては硬化しない虞がある。
一実施形態では、オキシアルキレン重合体のポリオキシアルキレン構造の構成単位であるオキシアルキレン基は炭素数1~6のオキシアルキレン基であり、オキシアルキレン重合体の数平均分子量が1,000~30,000であってもよい。
オキシアルキレン重合体としては市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、MSポリマーS203H(株式会社カネカ製)、MSポリマーS303H(株式会社カネカ製)、MSポリマー15A(株式会社カネカ製)、サイリルSAT030(株式会社カネカ製)、サイリルSAT200(株式会社カネカ製)、サイリルSAX400(株式会社カネカ製)、エクセスターS2410(旭硝子株式会社製)、エクセスターS2420(旭硝子株式会社製)、エクセスターS3430(旭硝子株式会社製)などが挙げられる。
-(メタ)アクリル系重合体がシロキサン結合で架橋されている場合-
以下の説明において「架橋性シリル基」又は「加水分解性ケイ素基」は、シロキサン架橋型有機重合体を構成する(メタ)アクリル系重合体におけるシロキサン結合の位置を特定するものとする。
シロキサン架橋型有機重合体の(メタ)アクリル系重合体がシロキサン結合で架橋されている場合、シロキサン架橋型有機重合体は、少なくとも1個の架橋性シリル基(又は加水分解性ケイ素基)を末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部と、分岐していてもよい炭素数8以上の1価又は2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基を有し、第1級アミノ基を少なくとも1個有するジアミン化合物(B)0.1~100質量部と、分岐していてもよい炭素数8以上の1価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、並びに、架橋性シリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有するジアミン化合物(C)0.1~100質量部を含有する。
また、シロキサン架橋型有機重合体は、低汚染性をより向上させる観点から、更に、光重合開始剤(D)を含有してもよい。
以下に、シロキサン架橋型有機重合体に含有する(メタ)アクリル系重合体(A)、ジアミン化合物(B)及びジアミン化合物(C)並びに所望により含有する光重合開始剤(D)について詳述する。
-(メタ)アクリル系重合体(A)-
上記(メタ)アクリル系重合体(A)は、末端に以下に示す架橋性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖にアクリル酸アルキルエステル単量体単位及び/又はメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む重合体である。
ここで、架橋性シリル基とは、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基、加水分解性ケイ素基、又はシラノール基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こす基のことであり、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
上記一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基又は(RSiO-で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R又はRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここで、Rは炭素数1~20の1価の炭化水素基であり、3個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基又は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は3を、bは0、1又は2をそれぞれ示す。
また、t個の下記一般式(3)で表される基におけるbは異なっていてもよい。tは0~19の整数を示す。ただし、a+t×b≧1を満足するものとする。
上記Yで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。これらの中でも、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基及びアルケニルオキシ基であることが好ましく、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという理由からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
架橋性シリル基の中で、下記一般式(4)で表される架橋性シリル基が、入手容易の点から好ましい。下記一般式(4)中、R、Y、aは上述のR、Y、aと同義である。
上記一般式(2)におけるR及びRの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;Rがメチル基やフェニル基等である(RSiO-で示されるトリオルガノシロキシ基;などが挙げられる。R、R、Rとしてはメチル基が特に好ましい。
一方、上記(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖を形成するアクリル酸アルキルエステル単量体単位としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第3ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、セチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビフェニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、グリシジルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、トリフルオロメチルメチルアクリレート、2-トリフルオロメチルエチルアクリレート、2-パーフルオロエチルエチルアクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロエチルアクリレート、パーフルオロメチルアクリレート、ジパーフルオロメチルメチルアクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチルアクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、2-パーフルオロデシルエチルアクリレート、2-パーフルオロヘキサデシルエチルアクリレート等のアクリル酸エステル又はこれに対応するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位及び/又はメタクリル酸アルキルエステル単量体単位を含むものであれば特に限定されないが、入手性及び得られる硬化物の耐候性や低温での柔軟性がよいという理由から、これらの単量体単位が50質量%を超えるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
更に、上記(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖は、アクリル酸アルキルエステル単量体単位及び/又はメタクリル酸アルキルエステル単量体単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含有する単量体単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含有する単量体単位;ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレート等は、湿分硬化性及び内部硬化性の点で共重合効果を期待することができる。
その他に、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系重合体(A)の単量体組成は、用途、目的等により適宜選択される。
例えば、単量体のアルキルエステル部分のアルキル鎖が長い場合には、ガラス転移温度が低くなり、硬化物の物性は軟らかいゴム状弾性体となる。逆に、短い場合には、ガラス転移温度が高くなり、硬化物の物性も硬くなる。一方、硬化後の物性は、重合体の平均分子量にも大きく依存する。
したがって、上記(メタ)アクリル系重合体(A)の単量体組成は、分子量を考慮しつつ、所望の粘度、硬化後の物性等に応じて、適宜選択すればよい。
上記(メタ)アクリル系重合体(A)の平均分子量は、特に限定されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算での数平均分子量が500~100,000であるものが、重合時の難易度、相溶性、取扱い粘度の点で好ましい。中でも、数平均分子量1,000~50,000のものが強度と粘度とのバランスの点で好ましく、数平均分子量2,000~30,000のものが作業性等の取扱いの容易さ、及び接着性等の点から、より好ましい。
上記(メタ)アクリル系重合体(A)は、単独で又は2種以上を混合して用いられる。
このような(メタ)アクリル系重合体(A)としては、公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、株式会社カネカ製のカネカテレケリックポリアクリレートSA100S、SA110S、SA120S、SA310S、XMAP系樹脂(株式会社カネカ製、RC110C)、XMAP系樹脂(株式会社カネカ製、MM100C)、などが挙げられる。
-ジアミン化合物(B)-
シロキサン架橋型有機重合体に含有されるジアミン化合物(B)は、分岐していてもよい炭素数8以上の1価又は2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基を有し、第1級アミノ基を少なくとも1個有する化合物である。
ここで、上記ジアミン化合物(B)としては、例えば、後述するジアミン化合物(C)の生成に用いられる下記式(5)で表されるジアミン化合物等や下記式(6)で表されるジアミン化合物等が挙げられる。
-NH-R-NH ・・・(5)
NH-R-NH ・・・(6)
上記式(5)中、Rは分岐していてもよい炭素数8以上が好ましく、炭素数12~21がより好ましく、炭素数14~18の1価の脂肪族又は脂環式炭化水素基が特に好ましい。
ここで、1価の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、アルケニル基等が例示される。より具体的には、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)等のアルキル基;オレイル基、リルイル基、リルニル基等のアルケニル基などが好適に例示される。
また、1価の脂環式炭化水素基としては、具体的には、単環式シクロアルキル基や多環脂環式シクロアルキル基が例示される。より具体的には、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル基等の単環式シクロアルキル基;イソボルニル基、トリシクロデシル、テトラシクロドデシル、アダマンチル等の多環脂環式シクロアルキル基;これらの脂環式単価水素基の一部の水素原子を、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、2-メチルプロピル基、1-メチルプロピル基、t-ブチル基等の炭素数1~4の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上又は1個以上で置換した基;などが例示される。
これらのうち、Rとしては、ステアリル基、オレイル基であるのが入手し易く、得られる硬化物の耐汚染性が優れるという理由から好ましい。
一方、上記式(5)中、Rは酸素原子を含んでいてもよく、分岐していてもよい炭素数2~18、好ましくは2~8、より好ましくは2~4の2価の炭化水素基を表す。
ここで、2価の炭化水素基としては、具体的には、アルキレン基等が例示される。より具体的には、エチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、1,4-ブチレン基などが好適に例示される。
これらのうち、プロピレン基であることが入手し易いという理由から好ましい。
また、上記式(6)中、Rは分岐していてもよい炭素数8以上、好ましくは炭素数8~20、より好ましくは10~14の2価の脂肪族又は脂環式炭化水素基を表す。
ここで、2価の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、アルキレン基などが例示される。より具体的には、入手し易く、得られる硬化物の耐汚染性が優れるという理由から、ウンデカン基、ドデカン基などが好適に例示される。
上記ジアミン化合物(B)は、例えば、上記式(5)又は(6)で表される化合物のうち、1種類からなるものでもよく、数種類を含有するものであってもよい。
本発明においては、上記ジアミン化合物(B)の含有量は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上100質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がより好ましく、2質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
上記ジアミン化合物(B)の含有量がこの範囲であると、得られるシロキサン架橋型有機重合体の硬化後の表面タックがなくなる。これは、シロキサン架橋型有機重合体が大気にさらされると、硬化物表面にブリードアウトしてくる上記ジアミン化合物(B)と空気中の炭酸ガスとが反応することで結晶性のカルバミン酸が生成し、このカルバミン酸の結晶が保護膜として働くためであると考えられる。
また、本発明においては、このようなジアミン化合物(B)として、硬化牛脂プロピレ
ンジアミン(商品名:アスファゾール#10、日油株式会社製)、牛脂プロピレンジアミン(商品名:アスファゾール#20、日油株式会社製)、オレイルプロピレンジアミン(商品名:アミンDOB、日油株式会社製)等の市販品を用いることができる。
-ジアミン化合物(C)-
シロキサン架橋型有機重合体に含有されるジアミン化合物(C)は、分岐していてもよい炭素数8以上の1価の脂肪族又は脂環式炭化水素基、並びに、架橋性シリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
本発明においては、上記ジアミン化合物(C)の含有量は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.1質量部以上100質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がより好ましく、2質量部以上5質量部以下が特に好ましい。
上記ジアミン化合物(C)の含有量がこの範囲であると、得られるシロキサン架橋型有機重合体は、施工初期から長期にわたって低汚染性を維持することができる。これは、上記ジアミン化合物(B)と同様、シロキサン架橋型有機重合体が大気にさらされると、上記ジアミン化合物(C)は、硬化物表面にブリードアウトして空気中の炭酸ガスと反応することで結晶性のカルバミン酸を生成するとともに、上記ジアミン化合物(C)中の架橋性シリル基が上記(メタ)アクリル系重合体(A)の架橋性シリル基と結合すること、及び/又は、上記ジアミン化合物(C)中の(メタ)アクリロイル基が上記(メタ)アクリル系重合体(A)とラジカル的な反応により結合することにより、結晶性の保護膜が硬化物表面に固定化されることで、経年での表面劣化による剥落や雨水による流出が防止されるためであると考えられる。
本発明においては、上記ジアミン化合物(C)は、下記式(5)で表されるジアミン化合物(c11)、エポキシシラン(c12)、及び、(メタ)アクリロイル基含有化合物(c13)の反応生成物(C1)であるのが好ましい。
-NH-R-NH ・・・(5)
ジアミン化合物(C)については、国際公開第2010/150361号パンフレットなどを参酌して決定してもよい。
-光重合開始剤(D)-
シロキサン架橋型有機重合体に所望により含有される光重合開始剤(D)は、光によってモノマーを重合させうるものであれば特に限定されない。
光重合開始剤(D)としては、光ラジカル開始剤と光アニオン開始剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。
光重合開始剤(D)としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
具体的には、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、3-ペンチルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4-メトキシアセトフェン、3-ブロモアセトフェノン、4-アリルアセトフェノン、p-ジアセチルベンゼン、3-メトキシベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4′-ジメトキシベンゾフェノン、4-クロロ-4′-ベンジルベンゾフェノン、3-クロロキサントーン、3,9-ジクロロキサントーン、3-クロロ-8-ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2-クロロチオキサントーン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
これらの開始剤は、1種単独で用いてもよく、他の化合物と組み合わせてもよい。具体的には、ジエタノールメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨードニウムクロリド等のヨードニウム塩と組み合わせたもの、メチレンブルー等の色素及びアミンと組み合わせたものが挙げられる。
なお、上記光重合開始剤を使用する場合、必要により、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、パラターシャリーブチルカテコール等の重合禁止剤類を添加することもできる。
これらのうち、光硬化性と得られる硬化物への着色が小さい点から、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad651、IGM RESINS B.V社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(Omnirad127、IGM RESINS B.V社製)、α-ヒドロキシアセトフェノン(Omnirad1173)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(OmniradTPO H、IGM RESINS B.V社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad819、IGM RESINS B.V社製)がより好ましい。
本発明においては、上記光重合開始剤(D)を含有する場合の含有割合は、上記(メタ)アクリル系重合体(A)100質量部に対して0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、得られる硬化物の耐汚染性が良好な点及び経済性の点から、0.1質量部以上3質量部以下がより好ましい。
一実施形態では、(メタ)アクリル系重合体は主鎖にアクリル酸アルキルエステル単量体単位としてブチルアクリレートを含み、数平均分子量が2,000~30,000であってもよい。(メタ)アクリル系重合体の具体例として、数平均分子量が14,000、アクリル成分がブチルアクリレート、シリル基末端(官能基2つ)のXMAP系樹脂(SA120S、株式会社カネカ製)、XMAP系樹脂(SA110S、株式会社カネカ製)XMAP系樹脂(株式会社カネカ製、RC110C、数平均分子量(Mn)14,000、アクリロイル末端)、XMAP系樹脂(株式会社カネカ製、MM100C)などが挙げられる。
-シロキサン結合で架橋されている場合-
前記シロキサン架橋型有機重合体における2以上のオキシアルキレン重合体及び(メタ)アクリル系重合体がシロキサン結合で架橋されている場合、オキシアルキレン重合体と(メタ)アクリル系重合体との比率は、両者が相分離しない範囲で混合して使用することができる。オキシアルキレン重合体の比率が大きいと水蒸気透過度が増加し、忌避剤の加水分解が促進されるため、(メタ)アクリル系重合体が多い組成が好ましい。
<<(メタ)アクリル系重合体>>
(メタ)アクリル系重合体を構成する(メタ)アクリル系モノマーとしては、特に限定されないが、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、複数を共重合させてもよい。
<<フッ素含有重合体>>
フッ素含有重合体を構成するフッ素含有モノマーとしては、例えば、フッ化ビニリデン等のフルオロオレフィン系モノマー、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート等の含フッ素アクリル系モノマー、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート等の含フッ素メタクリル系モノマーなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、複数を共重合させてもよい。
<<ゴム系重合体>>
ゴム系重合体としては、例えば、ジエン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、オルガノシロキサン系ゴム重合体、オレフィン化合物を重合したポリオレフィン系ゴム類、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル類、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテル類などが挙げられる。
<<エポキシ樹脂>>
エポキシ樹脂としては、例えば、エピクロルヒドリン-ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン-ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、p-オキシ安息香酸グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、m-アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン等のごとき多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂、石油樹脂等のごとき不飽和重合体のエポキシ化物等が例示されるが、これらに限定されるものではなく一般に使用されているエポキシ樹脂が使用されうる。エポキシ基を少なくとも分子中に2個含有するものが、硬化に際し反応性が高く、また硬化物が3次元的網目をつくりやすい等の点から好ましい。更に好ましいものとしてはビスフェノールA型エポキシ樹脂類又はノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤を併用できる。使用し得るエポキシ樹脂用硬化剤としては、特に制限はなく一般に使用されているエポキシ樹脂用硬化剤を使用できる。具体的には、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルァミン、N-アミノエチルピペリジン、m-キシリレンジアミン、m-フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、アミン末端ポリエーテル等の1級、2級アミン類;2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリプロピルアミンのような3級アミン類、及び、これら3級アミン類の塩類;ポリアミド樹脂類;イミダゾール類;ジシアンジアミド類;三弗化硼素錯化合物類、無水フタル酸、へキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデシニル無水琥珀酸、無水ピロメリット酸、無水クロレン酸等のような無水カルボン酸類;アルコール類;フェノール類;カルボン酸類;アルミニウム又はジルコニウムのジケトン錯化合物等の化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。また、硬化剤も単独でも2種以上併用してもよい。エポキシ樹脂の硬化剤を使用する場合、その使用量はエポキシ樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上300質量部以下の範囲が好ましい。
前記架橋型ポリマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、動物忌避組成物の全量に対して、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、若しくは50質量%以上、及び/又は50質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、若しくは0.1質量%以下であってもよい。
<その他の成分>
本発明の動物忌避組成物は、その他の成分として、例えば、防虫剤、殺虫剤、殺菌剤、防カビ剤、香料、着色剤、及び/又は、製薬、農薬若しくは食品などの分野において製剤化に通常用いられる添加剤などが含まれてもよい。前記添加剤としては、例えば、担体、界面活性剤、有機溶剤、可塑剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などが挙げられる。
前記担体としては、例えば、シリカゲル、ケイ酸、カオリン、活性炭、ベントナイト、珪藻土、タルク、クレー、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の無機物担体;シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレーン、ポルフィリン、フタロシアニン、サレン、又はこれらの誘導体、木粉、大豆粉、小麦粉、でんぷん等の有機物担体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、モノアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられる。これらの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン塩などが挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、ノニルフェニルエーテル又は高級アルコールの酸化エチレン付加物に代表される、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、カルボベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型;イミダゾリン型の両性界面活性剤などが挙げられる。
前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール;エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの重合物であるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール;メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ジエチレングリコール、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、プロピルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、グリセリン又はその誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<動物忌避組成物の製造方法>
本発明の動物忌避組成物を製造する方法は、特に限定されず、例えば、前記動物忌避剤、前記架橋型ポリマー、及び前記その他の成分を、ロール、ニーダ―、押出し機、万能撹拌機等により混合し、製造することができる。
得られた動物忌避組成物は硬化されて硬化物となる。
硬化方法としては、架橋型ポリマーの種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、常温硬化、加熱硬化、又は活性エネルギー線照射による硬化などが挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の動物忌避組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。
(動物の忌避方法)
本発明の動物の忌避方法は、本発明の動物忌避装置を、動物を忌避させる空間に配置する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記動物の忌避方法によると、動物を忌避させる空間に動物忌避装置に含まれる動物忌避剤が徐放し、長期間に亘って動物を忌避させ、動物を忌避させる空間内への動物の侵入を防止することができる。
本明細書において、「動物を忌避させる空間」とは、忌避させる動物の生息空間又は侵入する恐れのある空間を意味し、対象物が存在する空間、動物が生息する空間、動物の縄張りなどが該当する。
前記「動物を忌避させる空間」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、田畑、果樹園、ビニールハウス、森林、家畜の飼育場、道路、高速道路、線路、空港、ゴルフ場、塵埃集積場、公園、庭、庭園、花壇、駐車場、建築物、家屋、工場、倉庫、店舗、商業施設、レストラン、厨房、洗面所、ベランダ、物置、床下、屋根裏、仕切り板、ネット、金網、フェンス、電柱、電線、通信ケーブル、掲示板などが挙げられる。
本発明の動物忌避装置は、屋内及び屋外のいずれに配置してもよい。前記動物忌避装置は、特に限定しないが、例えば、1時間以上、2時間以上、3時間以上、6時間以上、半日間以上、1日間以上、2日間以上、3日間以上、1週間以上、2週間以上、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、1年以上、2年以上、3年以上、5年以上、若しくは10年以上、及び/又は10年以下、5年以下、3年以下、2年以下、1年以下、6か月以下、5か月以下、4か月以下、3か月以下、2か月以下、1か月以下、2週間以下、1週間以下、3日間以下、2日間以下、1日間以下、半日間以下、6時間以下、3時間以下、2時間以下、若しくは1時間以下の期間、使用することができる。
本発明の動物忌避装置によって忌避の対象となる動物は、特に限定しない。例えば、農作物、森林、家畜又は人家に被害をもたらす有害動物が対象となる。前記有害動物としては、例えば、ネズミ、モグラ、ウサギ、イタチ、シカ、イノシシ、サル、ネコ、クマ等の動物;ハト、カラス等の鳥類;ヘビ等の爬虫類;アリ、ムカデ、バッタ、ゴキブリ等の昆虫類などが挙げられる。
本発明の動物忌避装置は、動物忌避剤が有効な濃度で放散されるように使用することができる。本明細書において「有効な濃度」とは、動物忌避剤が対象とする動物を忌避させることが可能となる、匂い分子の空気中の濃度である。前記有効な濃度は、使用する忌避剤の種類及び忌避させる対象となる動物の組合せによって異なるが、例えば、0.01ppm以上、0.1ppm以上、0.2ppm以上、0.3ppm以上、0.4ppm以上、0.5ppm以上、1ppm以上、5ppm以上、若しくは10ppm以上、及び/又は10ppm以下、5ppm以下、1ppm以下、0.5ppm以下、0.4ppm以下、0.3ppm以下、0.2ppm以下、0.1ppm以下、若しくは0.01ppm以下であり得る。例えば、5ppm以上10ppm以下である。匂い分子の空気中の濃度は、使用条件下で直接測定することもできるが、測定が困難な屋外等の場合には密閉空間中で測定された値を参照値として使用することもできる。
前記配置位置は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、屋外であれば、風向きを考慮して、動物を忌避させる空間の風上に塗布してもよい。また、地中、地面、又は地面よりも高い位置に塗布してもよい。本発明の動物の忌避方法によれば、例えば、1時間以上、2時間以上、3時間以上、6時間以上、半日間以上、1日間以上、2日間以上、3日間以上、1週間以上、2週間以上、1か月以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、1年以上、2年以上、3年以上、5年以上、又は10年以上に亘って、動物を忌避させることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(比較例1)
<動物忌避組成物の調製及び硬化>
200mLのディポカップに、架橋型ポリマー「SA120S」を100質量部、動物忌避剤「4E2MT」を40質量部、硬化触媒「VA」を3質量部、及び硬化触媒「DEAPA」を0.5質量部添加し、薬さじにてよく混合後、脱泡を行い、動物忌避組成物を調製した。
得られた動物忌避組成物をポリスチレン製の30mL容量(直径Φ33mm×高さ65mm、外壁の平均厚み1000μm)の容器(試薬瓶)に、空隙率が95%になるように充填後、23℃×55%R.H.条件下7日間養生して、動物忌避組成物を硬化させた。
<動物忌避装置の作製>
その後、図1に示すように、容器の空隙部の頭頂部に8μm厚みのポリ塩化ビニルフィルムを貼合して、周辺をビニールテープで固定して、動物忌避組成物の硬化物を含む比較例1の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置をリンゴ園に設置し、ネズミに対する忌避効果を1年間に亘って評価した。結果を表2に示した。その結果、設置初期においては、ネズミに対する忌避効果が認められたものの、1年間経過時には忌避効果が失われていた。
(比較例2)
<動物忌避組成物の調製及び硬化、動物忌避装置の作製>
比較例1において、動物忌避剤「4E2MT」を動物忌避剤「2MT」に変更し、容器材質をポリスチレンからPET(ポリエチレンテレフタレート)に変更し、フィルム材質をポリ塩化ビニルから11μm厚みのポリ塩化ビニリデンに変更し、動物忌避組成物の充填量を変えて空隙率を3%に調整した以外は、比較例1と同様にして、動物忌避組成物の硬化物を含む比較例2の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、比較例2の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。その結果、比較例2の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期及び1年間経過後のいずれにおいても、ネズミに対する十分な忌避効果は認められなかった。
(比較例3)
<動物忌避組成物の調製及び硬化、動物忌避装置の作製>
比較例1において、容器材質をポリスチレンからPET(ポリエチレンテレフタレート)に変更し、フィルム材質をポリ塩化ビニルから11μm厚みのポリ塩化ビニリデンに変更した以外は、比較例1と同様にして、動物忌避組成物の硬化物を含む比較例3の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、比較例3の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。その結果、比較例3の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期及び1年間経過後のいずれにおいても、ネズミに対する十分な忌避効果は認められなかった。
(実施例1)
<動物忌避組成物の調製及び硬化、動物忌避装置の作製>
比較例2において、動物忌避組成物の充填量を変えて空隙率を50%に調整した以外は、比較例2と同様にして、動物忌避組成物の硬化物を含む実施例1の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、実施例1の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。実施例1の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期においてネズミに対する忌避効果が認められただけでなく、前記装置設置から1年間経過後にもネズミに対する忌避効果を確認できた。比較例2及び3と実施例1を比較すると、使用している容器や膜状部材が同一であるにも関わらず、忌避効果の持続性に大きな差が認められる。このことから、忌避効果を長期間に亘って持続させるためには、容器や膜状部材の性能だけでなく、容器における膜状部材と硬化物との空間の容積である空隙率が本発明の範囲にあることが重要であると分かる。
(実施例2)
<動物忌避組成物の調製及び硬化、動物忌避装置の作製>
実施例1において、容器材質をPETからポリプロピレンに変更し、フィルム材質をポリ塩化ビニリデンから10μm厚のポリエチレンに変更し、動物忌避組成物の充填量を変えて空隙率を40%に調整した以外は、実施例1と同様にして、動物忌避組成物の硬化物を含む実施例2の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、実施例2の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。実施例2の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期においてネズミに対する忌避効果が認められただけでなく、前記装置設置から1年間経過後にもネズミに対する忌避効果を確認できた。
(実施例3)
<動物忌避組成物の調製及び硬化、動物忌避装置の作製>
実施例1において、容器材質をPETからガラスに変更し、フィルム材質をポリ塩化ビニリデンから10μm厚のポリエチレン/ポリプロピレン共重合体に変更し、動物忌避組成物の充填量を変えて空隙率を30%に調整した以外は、実施例1と同様にして、動物忌避組成物の硬化物を含む実施例3の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、実施例3の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。実施例3の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期においてネズミに対する忌避効果が認められただけでなく、前記装置設置から1年間経過後にもネズミに対する忌避効果を確認できた。
(実施例4)
<動物忌避組成物の調製及び硬化、動物忌避装置の作製>
実施例1において、動物忌避剤「4E2MT」を動物忌避剤「2MT」に変更し、容器材質をPETからポリエチレンに変更し、動物忌避組成物の充填量を変えて空隙率を20%に調整した以外は、実施例1と同様にして、動物忌避組成物の硬化物を含む実施例4の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、実施例4の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。実施例4の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期においてネズミに対する忌避効果が認められただけでなく、前記装置設置から1年間経過後にもネズミに対する忌避効果を確認できた。
(実施例5)
<動物忌避組成物の調製及び硬化>
200mLのディポカップに、架橋型ポリマー「RC110C」を100質量部、動物忌避剤「2MT」を40質量部、光ラジカル開始剤として「Omnirad1173」を0.2質量部、及び「Omnirad819」を0.1質量部添加し、薬さじにてよく混合後、脱泡を行い、動物忌避組成物を調製した。
得られた動物忌避組成物をポリスチレン製の30mL容量(直径Φ33mm×高さ65mm、外壁の平均厚み1000μm)の容器(試薬瓶)に、空隙率が80%になるように充填後、高圧水銀ランプにより積算光量3,000mJ/cmのUV光を照射して硬化させた。
<動物忌避装置の作製>
その後、図1に示すように、容器の空隙部の頭頂部に11μm厚みのポリ塩化ビニリデンフィルムを貼合して、周辺をビニールテープで固定して、動物忌避組成物の硬化物を含む実施例5の動物忌避装置を作製し、忌避効果を確認した。
<忌避効果の結果>
比較例1の<忌避効果の結果>と同様の方法にて、実施例5の動物忌避組成物の忌避効果を評価した。結果を表2に示した。実施例5の動物忌避組成物の硬化物を含む動物忌避装置では、設置初期においてネズミに対する忌避効果が認められただけでなく、前記装置設置から1年間経過後にもネズミに対する忌避効果を確認できた。
次に、比較例1~3及び実施例1~5における動物忌避組成物の組成、硬化条件、容器、及び膜状部材について表1に示した。また、評価結果について表2に示した。
Figure 2024060114000010
表1中の各成分の内容については、以下のとおりである。表1中の各成分の数字は質量部である。
-架橋型ポリマー-
・シキサン架橋型(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル系重合体で構成されるXMAP系樹脂(株式会社カネカ製、SA120S、数平均分子量(Mn)14,000、D末端)
・ラジカル架橋型(メタ)アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル系重合体で構成されるXMAP系樹脂(株式会社カネカ製、RC110C、数平均分子量(Mn)14,000、アクリロイル末端)
-動物忌避剤-
・2MT(2-メチル-2-チアゾリン、東京化成工業株式会社製)
・4E2MT(4-エチル-2-メチルチアゾリン、東京化成工業株式会社製)
-硬化触媒(酸/アミン併用系触媒)-
・VA(ネオデカン酸、八洲薬品株式会社製)
・DEAPA(3-ジエチルアミノプロピルアミン、光栄化学工業株式会社製)
-光ラジカル開始剤-
・Omnirad1173(α-ヒドロキシアセトフェノン、BASFジャパン株式会社製)
・Omnirad819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル、BASFジャパン株式会社製)
Figure 2024060114000011
表2中の曝露時の忌避効果の評価基準は以下の通りである。
[忌避効果の評価基準]
〇:良好
×:不良
表2中の硬化物、容器、及び膜状部材の水蒸気透過度は、JIS Z0208:1976(防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法))で測定した値である。
-容器の材質及びフィルムの材質の略号の説明-
*PS:ポリスチレン
*PET:ポリエチレンテレフタレート
*PP:ポリプロピレン
*PE:ポリエチレン(LDPE)
*PVC:ポリ塩化ビニル
*PVDC:ポリ塩化ビニリデン
*PE/PP共重合体:ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体
1 容器
2 膜状部材
3 空隙部(空気)
4 硬化物
10 動物忌避装置

Claims (8)

  1. 外界と接する側に膜状部材を配し、下記一般式(I)から(VI)で示される化合物から選択される少なくとも1種の動物忌避剤と、架橋型ポリマーと、を含有する動物忌避組成物の硬化物を収容する容器を備え、
    前記容器における、前記膜状部材と前記硬化物の空間の容積が、前記容器の容積に対し5%以上90%以下であることを特徴とする動物忌避装置。
    Figure 2024060114000012
    ただし、前記一般式(I)から(VI)中、R、R、及びRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~5のアルキルチオ基を示す。
  2. 前記容器における25℃での水蒸気透過度が50(g/m・24時間)以下である、請求項1に記載の動物忌避装置。
  3. 前記膜状部材における25℃での水蒸気透過度が150(g/m・24時間)以下である、請求項1から2のいずれかに記載の動物忌避装置。
  4. 前記硬化物における25℃での水蒸気透過度が100(g/m・24時間)以下である、請求項1から3のいずれかに記載の動物忌避装置。
  5. 前記一般式(I)で示される化合物が、2-メチルチアゾール、2-エチルチアゾール、2-ブロモチアゾール、4-メチルチアゾール、及び2,4-ジメチルチアゾールから選択されるいずれかの化合物であり、
    前記一般式(II)又は(III)で示される化合物が、2-メチル-2-チアゾリン、2-メチルチオ-2-チアゾリン、4-メチル-2-チアゾリン、2,4-ジメチル-2-チアゾリン、及び2,2-ジメチルチアゾリジンから選択されるいずれかの化合物であり、
    前記一般式(IV)で示される化合物が、チオモルホリンであり、
    前記一般式(V)で示される化合物が、2,5-ジメチル-2-チアゾリン及び5-メチル-2-チアゾリンから選択されるいずれかの化合物である、請求項1から4のいずれかに記載の動物忌避装置。
  6. 前記架橋型ポリマーが、(メタ)アクリル系重合体、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリサルファイト、シロキサン架橋型有機重合体、フッ素含有重合体、ゴム系重合体、及びエポキシ樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項1から5のいずれかに記載の動物忌避装置。
  7. 前記架橋型ポリマーが25℃で液体である、請求項1から6のいずれかに記載の動物忌避装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の動物忌避装置を、動物を忌避させる空間に配置する工程を含むことを特徴とする動物の忌避方法。

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