JP2019131477A - 徐放性動物用忌避剤およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】比較的長期間に亘って放出することができる徐放性動物用忌避剤およびその製造方法の提供。【解決手段】層状無機化合物の層間に様々な化学構造を有する化学的に安定な有機無機複合基および/または有機無機架橋構造を導入し、その層間に特定の構造を有する先天的恐怖臭を挿入した徐放性動物用忌避剤。具体的には、フェニルシリル基や、メタクリロイルオキシプロピル基で層間修飾されたマガディアイト、メタクリロキシ架橋およびフェニルシリル基で層間修飾したマガディアイトの層間に2−メチル−2−チアゾリン等を挿入した徐放性動物用忌避剤。【選択図】なし
Description
本発明は層間に有機無機複合基および/または有機無機複合架橋構造を含む層間修飾層状無機化合物と、その層間に挿入された、特定の構造を有する複素環式化合物、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選ばれる先天的に動物に恐怖を引き起こす匂を有する化合物(以後、先天的恐怖臭化合物と記す)を含む徐放性動物用忌避剤およびその製造方法に関する。
従来の先天的恐怖臭化合物を含む動物忌避剤としては、特定のいわゆるチアゾール系化合物等を含む複素環化合物を有効成分とする哺乳類動物用忌避剤が開示されている。このような先天的恐怖臭化合物は、忌避剤が単なる悪臭の場合には単に匂を動物が嫌うだけであり、動物が匂いに馴化して忌避効果が低減し、消滅していくこととは異なり、動物が馴化することがなく、繰り返し忌避剤として利用することができることが開示されている。
一方、機能性化合物の効果を長期間に亘って持続させて発現させる方法としては、層状無機化合物の層間に挿入した機能性化合物を放出する徐放剤とする方法が挙げられ、例えば、ホスト化合物として無修飾の層状無機化合物を用い、イオン化した機能性化合物をゲスト化合物として用い、ホスト化合物の層間に存在する交換性イオンとイオン化したゲスト化合物とのイオン交換により機能化合物を層間に挿入し、徐放する複合剤や層状無機化合物の層間に存在する交換性金属カチオンをアルキルアンモニウムで交換して層間を有機化(疎水化)し、層間に機能性化合物を挿入し、徐放する複合剤が知られている。
例えば、特許文献1には、2−メチル−2−チアゾリン等の特定のいわゆるチアゾール系化合物等を含む複素環化合物が、先天的に動物に恐怖を引き起こす匂を有する化合物であり、これらを有効成分として含むものは動物用忌避剤として有用であり、有害な小動物による被害を防ぐことが出来ることが記載されている。
一方、特許文献2には、ホスト化合物として層間が無修飾の層状複水酸化物を用い、これにゲスト化合物として陰イオン化されたカプサイシンを混合し、層間に存在する陰イオンである硝酸イオンとの交換により層状複水酸化物−陰イオン化カプサイシン(ホスト−ゲスト)複合剤を調製し、そこからゲスト化合物であるカプサイシンを徐放する複合剤およびその製造方法が記載されている。
また、特許文献3には、ホスト化合物として粘土鉱物モンモリロナイトの層間の交換性金属カチオンとジメチルジオクタデシルアンモニウムとのカチオン交換により層間を有機化した有機化ベントナイトを用い、ゲスト化合物として中性のシメトリンを混合した徐放性シメトリン製剤およびその製造方法が記載されている。
しかし、特許文献1には、先天的恐怖臭化合物を、例えば、農業、林業、運輸(高速道路、鉄道、航空)、通信産業などの分野において動物用忌避剤として利用するためには当該化合物の匂が持続する製剤(徐放製剤や放出制御製剤)とするのが好ましいと記載されているが、その具体的な方法については記載も示唆もない。
一方、特許文献2記載の無修飾で交換性金属カチオンを含有した層状無機化合物をホスト化合物として利用して徐放化する場合には、徐放する化合物としてイオン化されたゲスト化合物しか適用できず、非イオン性の化合物を挿入し、徐放化することができない上、層間の環境をゲスト化合物に合わせて所望の通りに設計して徐放化を制御することができないため、任意の化合物を目的に合わせて放出速度を調節して徐放化することはできない。
さらに、特許文献3記載の層間をアルキルアンモニウムにより有機化修飾した層状無機化合物をホスト化合物として利用して徐放化する場合には、その層間環境は疎水化するだけで多様性を持たせることができないため、使用用途に合わせて任意の所望のゲスト化合物と層状無機化合物との相互作用を制御することができず、層間への挿入と層間からの徐放速度が最適になるように層間環境を設計し、合成することが困難であり、徐放化できる化合物が限定される。さらに、アルキルアンモニウムによる層間修飾のため、酸性条件下などの使用環境の影響を容易に受けて層間でのカチオン交換反応が進行し、アルキルアンモニウム基の層間からの脱離が容易に進行する。このため、このような有機化修飾ホスト化合物を用いた徐放剤の使用条件が限定される上、比較的長期間の使用においては、当該有機化層状無機化合物の層間修飾構造を維持することが困難となり、徐放剤として実用的ではない。
本発明は、上記の状況を鑑み、層状無機化合物の層間に様々な化学構造を有する化学的に安定な有機無機複合基または有機無機複合架橋構造の少なくともいずれか1種を導入することにより、特定の構造を有する複素環式化合物、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選ばれる先天的恐怖臭化合物と適切に相互作用する環境を層間に設計および導入し、その先天的恐怖臭化合物を層間に挿入した後、長期間に亘って放出する徐放性動物用忌避剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、層状無機化合物の層間をシリル化剤等の有機無機複合修飾剤で修飾し、または有機無機複合架橋構造で架橋した層間修飾層状無機化合物をホスト化合物とし、その層間に、特定の構造を有する複素環式化合物、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選ばれる先天的恐怖臭化合物がゲスト化合物として挿入されたホスト−ゲスト複合剤が、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、層状無機化合物の層間に下記式(1)で表される有機無機複合基および/または下記式(2)で表される有機無機複合架橋構造を有する層間修飾層状無機化合物と、前記層間修飾層状無機化合物の層間に挿入された、下記式(3)で表される化合物またはその塩、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む徐放性動物用忌避剤である。
(式(1)において、Rは炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアラルキル基を示し、それぞれビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、エーテル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のモノもしくはジアリールアミノ基、炭素数7〜20のモノもしくはジアラルキルアミノ基、第1級、第2級、第3級もしくは第4級アンモニウム基、チオール基、イソシアヌレート基、ウレイド基、イソシアナート基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基またはハロゲン原子で置換されていても良い。MはSi、Al、TiまたはZrを示し、Zは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチルシリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のジアルキルアミノ基または層状無機化合物由来の酸素原子を示し、MがSi、TiまたはZrのいずれかの場合には、それに対応するwは3で、かつtは1〜3の整数であり、MがAlの場合には、それに対応するwは2で、かつtは1または2であり、tが2または3の場合には、Rは同一でも異なっても良い。)
(式(2)において、M1およびM2は、それぞれ独立してSi、Al、TiまたはZrを示し、RaおよびRbは、それぞれ独立して炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜20の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数7〜20のアラルキレン基を示し、Rcは炭素数1〜40から成る有機基を示し、かつヘテロ原子、直鎖構造、分岐構造、環状構造、不飽和結合および芳香族構造を含んでも良く、Rdは炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Zは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチルシリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のジアルキルアミノ基または層状無機化合物由来の酸素原子を示し、M1およびM2がSi、TiまたはZrのいずれかの場合には、それに対応するxは2で、かつnは0〜2の整数であり、M1およびM2がAlの場合には、それに対応するxは1で、かつnは0または1であり、p、qおよびrは0または1の整数で、これらのうち少なくともいずれか1つは1である。)
(式(3)において、環Aは、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3〜7員の複素環を示し、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサヒドロピリダジン、イミダゾリジン、ピペリジン、エチレンスルフィド、トリメチレンスルフィド、チオフェン、チオラン、テトラヒドロ−2H−チオピラン、チアゾリン、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン、フラン、2H−ピラン、4H−ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリンまたはオキサゾリンのいすれかであり、ReおよびRfはそれぞれ独立して水素、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、アシル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいチオール基、置換されていてもよいアミノ基またはオキソ基を示す。)
前記式(1)で表される有機無機複合基において、Rで表される官能基が適切な保護基で保護されていても良い。
また、本発明は、前記層間修飾層状無機化合物と、前記層間修飾層状無機化合物の層間に挿入する化合物と、を混合することを特徴とする徐放性動物用忌避剤の製造方法である。
本発明の層状無機化合物の層間をシリル化剤等の有機無機複合修飾剤で修飾、および/または有機無機複合架橋構造で架橋した層間修飾層状無機化合物は、層間修飾剤として様々な官能基を有するシリル化剤をはじめとする有機無機複合修飾剤やカップリング剤が入手可能であるために、層間環境(ゲスト化合物と相互作用する場や層間距離)の多様性が非常に広く、所望の先天的恐怖臭化合物の層間への挿入と徐放化に適した相互作用基、例えば、飽和または不飽和の脂肪族基等の疎水基や親水基、芳香族基や複素環構造基、水素結合生成基、配位結合生成基およびイオン結合生成基などの様々な官能基を選択して層間を設計し、導入することができ、目的に応じた所望の先天的恐怖臭化合物(ゲスト化合物)を層間に挿入し、徐放化することができる。
さらに、層状無機化合物の層間をシリル化剤等の有機無機複合修飾剤で修飾、および/または有機無機複合架橋構造で架橋した層間修飾層状無機化合物は、M、M1およびM2(M、M1およびM2はSi、Ti,ZrまたはAl)−O−Si(Siは層状無機化合物由来)結合等の共有結合を介して、ゲスト化合物と相互作用する官能基(層間修飾基および層間架橋構造)により修飾されているため、酸性やアルカリ性条件下等の様々な環境において化学的安定性が非常に高い。そのため使用環境の影響をほとんど受けることなく、実用的に十分長期間に亘り修飾基が層間に存在することができ、層間に挿入された先天的恐怖臭化合物を実用的に長期間保持し、徐放化することができる。
さらに、本発明による層間を有機無機複合基で修飾、および/または有機無機複合架橋構造により架橋された層状無機化合物は、前記の通り化学的安定性が非常に高いため、その層間に挿入された先天的恐怖臭化合物を外部環境から保護することができ、耐熱性、耐水性や耐紫外線性等を付与することができるため、耐熱性、耐水性や耐紫外線性等が低い化合物の徐放化だけでなく、当該徐放性動物忌避剤を樹脂等に混練および成形したり、水中や加湿条件下で使用したり、屋外の太陽光が当たる環境等の様々な環境下で使用することを可能とする。
また、種々の修飾基を導入することができるため、目的に合わせて層間距離を幅広く設定することができ、様々な化合物の挿入・徐放を可能とする。
さらに、層状無機化合物の層間をシリル化剤等の有機無機複合修飾剤で修飾、および/または有機無機複合架橋構造で架橋した層間修飾層状無機化合物は、M、M1およびM2(M、M1およびM2はSi、Ti,ZrまたはAl)−O−Si(Siは層状無機化合物由来)結合等の共有結合を介して、ゲスト化合物と相互作用する官能基(層間修飾基および層間架橋構造)により修飾されているため、酸性やアルカリ性条件下等の様々な環境において化学的安定性が非常に高い。そのため使用環境の影響をほとんど受けることなく、実用的に十分長期間に亘り修飾基が層間に存在することができ、層間に挿入された先天的恐怖臭化合物を実用的に長期間保持し、徐放化することができる。
さらに、本発明による層間を有機無機複合基で修飾、および/または有機無機複合架橋構造により架橋された層状無機化合物は、前記の通り化学的安定性が非常に高いため、その層間に挿入された先天的恐怖臭化合物を外部環境から保護することができ、耐熱性、耐水性や耐紫外線性等を付与することができるため、耐熱性、耐水性や耐紫外線性等が低い化合物の徐放化だけでなく、当該徐放性動物忌避剤を樹脂等に混練および成形したり、水中や加湿条件下で使用したり、屋外の太陽光が当たる環境等の様々な環境下で使用することを可能とする。
また、種々の修飾基を導入することができるため、目的に合わせて層間距離を幅広く設定することができ、様々な化合物の挿入・徐放を可能とする。
以下、本発明の層間を有機無機複合基および/または有機無機複合架橋構造で共有結合を介して修飾された層間修飾層状無機化合物の層間に挿入された、特定の構造を有する複素環化合物、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートの少なくとも1つを有効成分として含む徐放性動物用忌避剤について説明する。
本発明における層状無機化合物としては、特に限定されないが、グラファイト、層状金属カルコゲン化物、層状金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ニオブを主体とする層状ペロブスカイト化合物、チタン・ニオブ酸塩、モリブデン酸塩等)、層状金属オキシハロゲン化物、層状金属リン酸塩(例えば、層状アンチモンリン酸塩等)、層状粘土鉱物、層状ケイ酸塩(例えば、雲母、スメクタイト族(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト等)、カオリン族(カオリナイト等)、マガディアイト、ケニヤアイト、カネマイト等)および層状複水酸化物などが挙げられる。
これらの中でも入手の容易さ等から、層状ケイ酸塩、層状粘土鉱物および層状金属酸化物が好ましく用いられるが、これらは天然に産出されたものでも人工的に合成されたものでもいずれを用いてもよい。
これらの中でも入手の容易さ等から、層状ケイ酸塩、層状粘土鉱物および層状金属酸化物が好ましく用いられるが、これらは天然に産出されたものでも人工的に合成されたものでもいずれを用いてもよい。
本発明における有機無機複合基は前記式(1)で表される構造であり、有機無機複合架橋構造は前記式(2)で表される構造である。
前記式(1)および式(2)において、M、M1およびM2はそれぞれ層状無機化合物由来の酸素原子と共有結合を生成できる金属であり、その共有結合が加水分解等の分解反応を起こしにくく、入手も容易であることからSi(ケイ素)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)およびZr(ジルコニウム)のいずれかであり、様々な相互作用基および架橋性官能基を導入するために入手が容易なSiが好ましい。
前記式(1)および式(2)において、M、M1およびM2はそれぞれ層状無機化合物由来の酸素原子と共有結合を生成できる金属であり、その共有結合が加水分解等の分解反応を起こしにくく、入手も容易であることからSi(ケイ素)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)およびZr(ジルコニウム)のいずれかであり、様々な相互作用基および架橋性官能基を導入するために入手が容易なSiが好ましい。
層状無機化合物と共有結合を介して層間に導入された前記式(1)で表される有機無機複合基および前記式(2)で表される有機無機複合架橋構造において、該有機無機複合基および有機無機複合架橋構造と層状無機化合物とが複数の共有結合を介して結合していることが、層間を繋ぐ結合の化学的安定性の観点からより好ましく、MがSi、TiおよびZrの場合にはtは1または2が好ましく、nは0または1がより好ましく、Alの場合にはtは1が好ましく、nは0がより好ましく、いずれの場合もZの少なくとも1つは層状無機化合物由来の酸素原子であるものを含んでいることがより好ましい。また互いに近傍の有機無機複合基および有機無機複合架橋構造のZが加水分解・縮合してM−O−M、M1−O−M1結合、M1−O−M2結合またはM2−O−M2結合を生成しても良い。
前記式(1)で表される有機無機複合基において、前記式(3)で表される化合物またはその塩、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選択される動物忌避効果を有する有効成分(ゲスト化合物)との相互作用を適切に設計することが出来ることから、飽和または不飽和の脂肪族基、芳香族基、複素環構造基、水素結合生成基、配位結合生成基およびイオン結合生成基のいずれかを含むことが好ましい。これによって、ゲスト化合物との非共有結合性相互作用(ファンデルワールス力、π―π相互作用、疎水性相互作用、水素結合、配位結合、イオン結合等)を適切に調節して付与することができ、これらの化合物の層間への挿入を促進して保持量を増やすなど調節することができ、さらに目的に合わせて放出速度を調節して徐放化することができる。
前記非共有結合性相互作用基としては特に制限はなく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、メチレン基、プロピレン基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基等の飽和または不飽和の脂肪族基、スチリル基、フェニル基、ナフチル基、フェニレン基等の芳香族基、ピリジニル基、ピペリジニル基、ピロジニル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基等のアゾール基、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチオフェニル基、ジオキサニル基、モルホリニル基、チアジニル基、インドール基、核酸塩基等の複素環構造基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、水酸基、チオール基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボン酸メチル基、リン酸基、リン酸エチル基、スルホン酸基、スルホン酸メチル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、イソシアナート基等の水素結合および配位結合生成基、エチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基およびトリメチルアンモニウム基のイオン結合生成基等が挙げられ、入手のし易さやからメチル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ヘキシル基、デシル基、オクタデシル基、メチレン基、プロピレン基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、スチリル基、フェニル基、フェニレン基、エポキシ基、オキセタニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンジル基、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、トリメチルアンモニウム基、イソシアヌレート基、ウレイド基、イソシアナート基が好ましい。
これらの非共有結合性相互作用基は層間で架橋反応によって架橋構造を生成していても良い。
これらの非共有結合性相互作用基の中でも、前有効成分であるゲスト化合物との相互作用が効果的に生じ、層間距離を適切に構築することができることから、これらの化合物の層間への保持量が多く、適度に徐放化することがより効果的であるため、芳香族基、カルボン酸エステル構造、脂肪族基および複素環構造基を含むものがより好ましい。
これらの非共有結合性相互作用基は層間で架橋反応によって架橋構造を生成していても良い。
これらの非共有結合性相互作用基の中でも、前有効成分であるゲスト化合物との相互作用が効果的に生じ、層間距離を適切に構築することができることから、これらの化合物の層間への保持量が多く、適度に徐放化することがより効果的であるため、芳香族基、カルボン酸エステル構造、脂肪族基および複素環構造基を含むものがより好ましい。
前記式(2)で表される有機無機複合架橋構造において、前記式(3)で表される化合物またはその塩、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選択される動物忌避効果を有する有効成分(ゲスト化合物)との相互作用を適切に設計することが出来ることから、飽和または不飽和の脂肪族基、芳香族基、複素環構造基、水素結合生成基、配位結合生成基およびイオン結合生成基のいずれかを含むことが好ましい。これによって、ゲスト化合物との非共有結合性相互作用(ファンデルワールス力、π―π相互作用、疎水性相互作用、水素結合、配位結合、イオン結合等)を適切に調節して付与することができ、これらの化合物の層間への挿入を促進して保持量を増やすなど調節することができ、さらに目的に合わせて放出速度を調節して徐放化することができる。
前記有機無機複合架橋構造における非共有結合性相互作用基としては特に制限はなく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシル基、シクロへキシレン基、ビニル基、アリル基等の飽和または不飽和のアルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基およびシクロアルキレン基である脂肪族基、スチリル基、フェニル基、ナフチル基、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ベンジル基、ベンジレン基等のアリール基、アラルキル基、アリーレン基およびアラルキレン基である芳香族基、ピリジニル基、ピペリジニル基、ピロジニル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基等のアゾール基、エポキシ基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロチオフェニル基、ジオキサニル基、モルホリニル基、チアジニル基、インドール基、核酸塩基等の複素環構造基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、水酸基、チオール基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボン酸メチル基、リン酸基、リン酸エチル基、スルホン酸基、スルホン酸メチル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、イソシアナート基等の水素結合および配位結合生成基、エチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基およびトリメチルアンモニウム基のイオン結合生成基等が挙げられる。さらに架橋構造を構成する主鎖骨格内のカルボン酸エステル構造、ウレタン構造、尿素構造、アミン構造、エーテル構造、チオエーテル構造、ジスルフィド構造が挙げられる。これらの中でも、入手の容易さから有機無機複合架橋構造に含まれる構造としては、水酸基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オクタメチレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ベンジレン基、カルボン酸エステル構造、ウレタン構造、尿素構造、アミン構造、エーテル構造、チオエーテル構造およびジスルフィド構造の少なくともいずれか1つを有することが好ましい。
前記式(2)で表される有機無機複合架橋構造の中でも、様々なカップリング剤の架橋性官能基を反応させて構築することができるものが汎用的で好ましく、層間への導入の容易さから下記式(10)〜式(24)で表されるものがより好ましい。
(式(10)〜(24)において、R1は炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2およびR13はそれぞれ独立して炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数7〜20のアラルキレン基を示し、R3、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基または炭素数7〜10のアラルキレン基を示し、R8、R9、R10およびR12は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R11は炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜20の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基または炭素数6〜24のポリフェニレン基を示し、いずれのR11は硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ハロゲン原子ならびにそれを含む原子数1〜10個からなる置換基で置換されていても良く、Zは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチルシリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基または層状無機化合物由来の酸素原子を示し、Iは重合開始剤由来の基で同一でも異なってもよく、Yは酸由来の共役塩基由来の基であり、nは0〜2の整数、mおよびhは0または1の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。)
前記有機無機複合架橋構造は、層間をカップリング剤で処理してシリル化等で修飾した後、層間でその架橋性官能基を架橋反応させて構築することができるし、また、カップリング剤の架橋性官能基をあらかじめ架橋させたり、グリニヤール試薬と加水分解性金属化合物とを反応させる等により加水分解性部位を2つ以上有する有機無機複合架橋剤を調製し、これを層間に挿入して層状無機化合物由来の水酸基との修飾反応により構築することもできるが、副反応がなく、ゲル分が副生しないことから前者の層間でカップリング剤由来の架橋性官能基を反応させる方法が好ましい。
層間をシリル化等で修飾した後、層間でその架橋性官能基を反応させて架橋構造を構築する上では、層間を同一のカップリング剤で修飾した後、架橋反応させると、製造工程がより少なく、工業的により有利なことから、有機無機複合架橋構造としては、前記式(10)〜(14)および前記式(19)〜(23)がより好ましく、架橋反応が温和な条件で容易に進行し、様々な化学構造、柔軟性および剛直性を導入可能で、架橋の長さも多様性に富むことから、前記式(10)〜(14)および前記式(21)〜(23)がさらに好ましい。
層間をシリル化等で修飾した後、層間でその架橋性官能基を反応させて架橋構造を構築する上では、層間を同一のカップリング剤で修飾した後、架橋反応させると、製造工程がより少なく、工業的により有利なことから、有機無機複合架橋構造としては、前記式(10)〜(14)および前記式(19)〜(23)がより好ましく、架橋反応が温和な条件で容易に進行し、様々な化学構造、柔軟性および剛直性を導入可能で、架橋の長さも多様性に富むことから、前記式(10)〜(14)および前記式(21)〜(23)がさらに好ましい。
次に、本発明における有機無機複合基および/または有機無機複合架橋構造により層間修飾された層状無機化合物について、該化合物を製造する方法に沿って詳しく説明する。なお、特にことわりのない限り、部数は質量部、%は質量%を表す。
本発明においては、層状無機化合物に存在するナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属、ならびにマグネシウムおよびカルシウムなどのアルカリ土類金属等の金属カチオンなどの交換性陽イオンを有機オニウム塩などと反応させて得られる、層間を広げた層状無機化合物が、シリル化剤等の有機無機複合修飾剤でシリル化等を行う(シリル化の場合にはシリル化層状無機化合物の)前駆体である。
前記前駆体は、層状無機化合物の交換性陽イオンに対して、イオン交換容量として任意の割合のオニウム基で置換された化合物であり、シリル化等の反応率を高める場合にはオニウム基の割合は25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜70モル%であることがさらに好ましい。
前記前駆体は、層状無機化合物の交換性陽イオンに対して、イオン交換容量として任意の割合のオニウム基で置換された化合物であり、シリル化等の反応率を高める場合にはオニウム基の割合は25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜70モル%であることがさらに好ましい。
ここで、イオン交換容量とはイオン交換体の単位重量当たりのイオン交換量を表し、通常イオン交換体1g当たりのミリ当量(meq/g)やイオン交換体100g当たりのミリ当量(meq/100g)、およびイオン交換体1kg当たりのモル量(molc/kg)やイオン交換体1kg当たりのセンチモル量(cmolc/kg)等で表される。
例えば、ナトリウム−マガディアイトの化学式はNa2Si14O29・nH2Oであり、ここでn=0とすると、式量は903.2であり、ナトリウムは全て交換性陽イオンとみなすことができるので、この場合のイオン交換容量は2.21molc/kgと表すことができる。
例えば、ナトリウム−マガディアイトの化学式はNa2Si14O29・nH2Oであり、ここでn=0とすると、式量は903.2であり、ナトリウムは全て交換性陽イオンとみなすことができるので、この場合のイオン交換容量は2.21molc/kgと表すことができる。
交換性陽イオンとして、金属カチオンが層間に存在すると、シリル化剤等の有機無機複合修飾剤による層間修飾率(シリル化剤の場合はシリル化率)が低下するため、酸処理により金属カチオンを低減することが好ましい。
したがって、層状無機化合物の層間にオニウム基を導入する方法としては、陽イオン交換容量と当量以上のオニウム塩を反応させた後、酸を作用させる方法と、あらかじめ陽イオン交換容量の当量未満のオニウム塩を反応させるなどの方法があるが、より層間修飾率を向上させるために前者の当量以上のオニウム塩を反応させた後、酸を作用させる方法がより好ましい。
また、層状無機化合物の層間のオニウム基の量を調整導入する方法としては、オニウム塩と酸を適切な量で混合したものを層状無機化合物に反応させても良く、先に酸を適切な量(好ましくは陽イオン交換容量の当量未満)で反応させた後、オニウム塩を反応させても良い。
したがって、層状無機化合物の層間にオニウム基を導入する方法としては、陽イオン交換容量と当量以上のオニウム塩を反応させた後、酸を作用させる方法と、あらかじめ陽イオン交換容量の当量未満のオニウム塩を反応させるなどの方法があるが、より層間修飾率を向上させるために前者の当量以上のオニウム塩を反応させた後、酸を作用させる方法がより好ましい。
また、層状無機化合物の層間のオニウム基の量を調整導入する方法としては、オニウム塩と酸を適切な量で混合したものを層状無機化合物に反応させても良く、先に酸を適切な量(好ましくは陽イオン交換容量の当量未満)で反応させた後、オニウム塩を反応させても良い。
本発明において、前駆体の製造に用いるオニウム塩としては、特に限定されないが、有機オニウムが好ましく、例えば、有機アンモニウム、有機ピリジニウム、有機イミダゾリウム、有機ホスホニウム、有機オキソニウム、有機スルホニウム、有機スルホキソニウム、有機セレノニウム、有機カルボニウム、有機ジアゾニウム、有機ヨードニウム、有機ピリリニウム、有機ピロリジニウム、有機カルベニウム、有機アシリウム、有機チアゾリニウム、有機アルソニウム、有機スチボニウムおよび有機テルロニウム等の塩が挙げられ、これらの中でも、有機アンモニウム、有機ピリジニウム、有機イミダゾリウム、有機ホスホニウムおよび有機スルホニウムの塩が好ましく、これらのオニウム塩は単独または2種以上組み合わせて用いられる。
前記オニウム塩における有機基としては特に限定はないが、例えば、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数7〜22のアラルキル基、炭素数6〜22のアリール基、−(CH2−CH(CH3)O)s−H基、−(CH2−CH2−O)u−H 基が挙げられ、sおよびuは1〜20の整数であり、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、エーテル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、チオール基、イソシアナート基、ハロゲン原子、アミノ基やアルキルアミノ基等の塩基性基、カルボキシル基等の酸性基、光酸発生基、熱酸発生基、光塩基発生基、熱塩基発生基、光ラジカル発生基および熱ラジカル発生基等の官能基で置換されていても良い。
前記オニウム塩における有機基としては特に限定はないが、例えば、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数7〜22のアラルキル基、炭素数6〜22のアリール基、−(CH2−CH(CH3)O)s−H基、−(CH2−CH2−O)u−H 基が挙げられ、sおよびuは1〜20の整数であり、ビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、エーテル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、チオール基、イソシアナート基、ハロゲン原子、アミノ基やアルキルアミノ基等の塩基性基、カルボキシル基等の酸性基、光酸発生基、熱酸発生基、光塩基発生基、熱塩基発生基、光ラジカル発生基および熱ラジカル発生基等の官能基で置換されていても良い。
有機オニウム塩としては、下記式(25)で表される有機オニウム塩がさらに好ましい。
R14R15R16R17N+X- (25)
(式(25)において、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜22のアルキル基、炭素数7〜22のアラルキル基、炭素数6〜22のアリール基および−(CH2−CH(CH3)O)s−H基または−(CH2−CH2−O)u−H 基を示し、sおよびuは1〜20の整数であり、X-はハロゲン化物イオンを示す。)
R14R15R16R17N+X- (25)
(式(25)において、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して炭素数1〜22のアルキル基、炭素数7〜22のアラルキル基、炭素数6〜22のアリール基および−(CH2−CH(CH3)O)s−H基または−(CH2−CH2−O)u−H 基を示し、sおよびuは1〜20の整数であり、X-はハロゲン化物イオンを示す。)
前記式(25)で表される有機オニウム塩としては特に限定されないが、例えば、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルオクタデシルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化ドデシルアンモニウム、塩化ジメチルジポリエチレンオキシドアンモニウム、塩化ジメチルジプロピレンオキシドアンモニウム、塩化ジメチルポリエチレンオキシドポリプロピレンオキシドアンモニウム、塩化ジメチルステアリルポリエチレンオキシドアンモニウム、塩化ジメチルステアリルポリプロピレンオキシドアンモニウム、塩化メチルステアリルジポリエチレンオキシドアンモニウム、塩化メチルステアリルジポリプロピレンオキシドアンモニウム、塩化ベンジルメチルジポリエチレンオキシドアンモニウム、塩化ベンジルメチルジポリプロピレンオキシドアンモニウム、臭化1−エチルピリジニウム、塩化1−オクタデシルピリジニウム、臭化3−メチル−1−プロピルイミダゾリウム、塩化3−メチル−1−(2−ナフチル)イミダゾリウム、臭化トリフェニル(テトラデシル)ホスホニウム、塩化エチルジメチルスルホニウム、臭化トリフェニルスルホニウムなどが挙げられる。
これらの中でも、好ましくは、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化イコシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルオクタデシルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルベンシルアンモニウムおよび塩化ドデシルアンモニウムである。
これらの中でも、好ましくは、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化イコシルトリメチルアンモニウム、塩化ジメチルオクタデシルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルベンシルアンモニウムおよび塩化ドデシルアンモニウムである。
オニウム塩と反応させて、層状化合物の層間をオニウム基で修飾する方法は特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、有機オニウムと塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンなどのハロゲン化物イオン等の塩を水やメタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどの極性溶媒等の溶媒中で層状無機化合物と混合することにより、層状無機化合物中の交換性陽イオンと有機オニウムとの陽イオン交換反応により、層間をオニウム基で修飾することができる。
前記陽イオン交換反応における有機オニウム塩の量に特に限定はなく、目的に応じて任意に設定することができるが、層状無機化合物の陽イオン交換容量に対して、好ましくは20〜2000モル%(0.2〜20当量)であり、より好ましくは50〜1000モル%(0.5〜10当量)であり、さらに好ましくは100〜500モル%(1〜5当量)である。
前記陽イオン交換反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは10〜60℃であり、さらに好ましくは15〜40℃である。
前記陽イオン交換反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは10〜60℃であり、さらに好ましくは15〜40℃である。
前記陽イオン交換反応の溶媒として用いる水としては、中性、酸性、アルカリ性の何れでも良く、特に限定はないが、好ましくはイオン交換水、蒸留水、純水および超純水である。
前記陽イオン交換反応で用いる溶媒の量は、特に限定されないが、原料として用いる層状無機化合物に対して、1〜100質量倍であり、より好ましくは5〜70質量倍であり、さらに好ましくは10〜50質量倍である。
前記陽イオン交換反応で用いる溶媒の量は、特に限定されないが、原料として用いる層状無機化合物に対して、1〜100質量倍であり、より好ましくは5〜70質量倍であり、さらに好ましくは10〜50質量倍である。
前記有機オニウム基を有する前駆体におけるオニウム基の割合を調整するために、層状無機化合物に有機オニウム塩を反応させた後、さらに、酸により層状無機化合物中のオニウム基の一部を水酸基に変換させる方法が好ましい。
作用させる酸の量は、目的に応じて任意に設定することができるが、好ましくは層状無機化合物の陽イオン交換容量を100モル%とした場合、100モル%−[層間に残したい有機オニウム基の割合(モル%)]に設定し、適宜、酸の量を増減するのがより好ましい。
作用させる酸の量は、目的に応じて任意に設定することができるが、好ましくは層状無機化合物の陽イオン交換容量を100モル%とした場合、100モル%−[層間に残したい有機オニウム基の割合(モル%)]に設定し、適宜、酸の量を増減するのがより好ましい。
前記酸としては、特に限定はなく、塩酸(塩化水素)、臭酸(臭化水素)、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸およびシュウ酸など)、リン酸、硝酸、硫酸およびメタンスルホン酸等のスルホン酸類などの公知の酸が挙げられるが、これらの中でも反応性に優れる点で、塩酸(塩化水素)が好ましい。
これらの酸を用いて層間のオニウム塩と反応させることによって、層間に存在するオニウム塩の量を特定な範囲に調整すると、層間シラノール等の水酸基が生成してシリル化等の修飾反応点が増えるため好ましい。
陽イオン交換容量の当量よりも少ない量のオニウム塩を用いた場合は、層間にナトリウムなどの金属カチオンが残存するため、反応点となるシラノール等の水酸基由来のアルコシラートが強固に金属カチオンと結合して、シリル化反応等の層間修飾反応を妨げる恐れがある。
これらの酸を用いて層間のオニウム塩と反応させることによって、層間に存在するオニウム塩の量を特定な範囲に調整すると、層間シラノール等の水酸基が生成してシリル化等の修飾反応点が増えるため好ましい。
陽イオン交換容量の当量よりも少ない量のオニウム塩を用いた場合は、層間にナトリウムなどの金属カチオンが残存するため、反応点となるシラノール等の水酸基由来のアルコシラートが強固に金属カチオンと結合して、シリル化反応等の層間修飾反応を妨げる恐れがある。
前記オニウム塩の一部を水酸基に変換する際に使用する有機溶剤としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノールおよび2−ヘキサノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンおよびエチルメチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシオドなどのスルホキシド類、ヘキサンなどのアルカン類、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族類、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルムおよびジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが挙げられる。
これらの中でも、アルコール類や非プロトン性極性溶媒であるエーテル類、ニトリル類およびケトン類が好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノールおよび2−ヘキサノールなどのアルコール類がより好ましく、高沸点で高極性であることから1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールがさらに好ましい。
前記酸処理における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜160℃であり、さらに好ましくは70〜150℃である。通常は、反応溶媒として用いる有機溶剤の沸点(加熱還流下)で反応させることが好ましい。
前記陽イオン交換反応および酸処理で得られる前駆体は、単離および洗浄後に乾燥することが好ましい。単離、洗浄および乾燥する方法は、特に限定されることはなく、層状無機化合物および無機微粒子などを単離、洗浄および乾燥する公知の方法を使用することができる。
例えば、単離方法としては、反応液を静置したり、遠心分離して固液分離した後、上澄み液をデカンテーションにより除去したり、自然ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過などのろ過操作により層状無機化合物をろ取することなどが挙げられる。
加圧ろ過時の圧力は特に制限はなく、例えば、1〜5気圧の範囲であれば良い。減圧ろ過時の圧力は特に制限はなく、0〜1気圧の範囲であれば良い。
例えば、単離方法としては、反応液を静置したり、遠心分離して固液分離した後、上澄み液をデカンテーションにより除去したり、自然ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過などのろ過操作により層状無機化合物をろ取することなどが挙げられる。
加圧ろ過時の圧力は特に制限はなく、例えば、1〜5気圧の範囲であれば良い。減圧ろ過時の圧力は特に制限はなく、0〜1気圧の範囲であれば良い。
洗浄方法としては、デカンテーション後に得られた固体を水や有機溶剤などに再分散させた後、同様にしてデカンテーションや、ろ取した固体の上から水や有機溶剤を注いで固体を洗浄する方法などが挙げられる。
洗浄に用いる水は中性、酸性、アルカリ性の何れでも良く、特に限定はないが、好ましくはイオン交換水、蒸留水、純水および超純水である。
洗浄に用いる有機溶剤としては、特に限定はないが、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ヘキサンなどのアルカン類、トルエン等の芳香族類などが挙げられる。このとき、層状無機化合物と水との接触を良好にするため、適切な極性溶媒などの有機溶剤を併用することもできる。
洗浄に用いる水は中性、酸性、アルカリ性の何れでも良く、特に限定はないが、好ましくはイオン交換水、蒸留水、純水および超純水である。
洗浄に用いる有機溶剤としては、特に限定はないが、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ヘキサンなどのアルカン類、トルエン等の芳香族類などが挙げられる。このとき、層状無機化合物と水との接触を良好にするため、適切な極性溶媒などの有機溶剤を併用することもできる。
上記で得られた固体の乾燥方法としては、常温常圧で風乾することもできるし、減圧下に常温、適宜加熱または冷却しながら有機溶剤を除去することもできる。
減圧時の圧力は特に制限はなく、例えば、0〜1気圧の範囲であれば良い。また、温度も特に制限はなく、好ましくは−10〜200℃であり、より好ましくは0〜150℃であり、特に好ましくは10〜100℃である。
減圧時の圧力は特に制限はなく、例えば、0〜1気圧の範囲であれば良い。また、温度も特に制限はなく、好ましくは−10〜200℃であり、より好ましくは0〜150℃であり、特に好ましくは10〜100℃である。
前記のとおり、本発明における前駆体は、層状無機化合物の交換性陽イオンに対して任意の割合のオニウム基で置換させた化合物であればよいが、イオン交換容量で25〜75モル%の割合で、オニウム基で置換させた化合物であることが好ましい。
前駆体のオニウム塩の割合が25〜75モル%であれば、シリル化等の修飾反応点である水酸基が増えると共に、層間に空間が生じることでシリル化剤等が層間に挿入されやすくなる効果があり、シリル化率等が向上する。
前駆体のオニウム塩の割合が25〜75モル%であれば、シリル化等の修飾反応点である水酸基が増えると共に、層間に空間が生じることでシリル化剤等が層間に挿入されやすくなる効果があり、シリル化率等が向上する。
次に、前記前駆体の水酸基およびオニウム基の対アニオン(アルコキシラート)の全部または一部をシリル化剤等の有機無機複合修飾剤で層間修飾反応させて、層間に共有結合を介して有機無機複合基を有する層状無機化合物を製造する。
前記有機無機複合修飾剤は特に限定されることはなく、同一分子内に加水分解性基と機能性化合物と相互作用し得る官能基を有する有機無機複合修飾剤であればよく、例えば、シランカップリング剤を含むシリル化剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤およびジルコニウム系カップリング剤などが挙げられ、好ましくは下記式(26)で表される化合物である。
RtMDy-t (26)
(式(26)において、Rは炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、それぞれビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、エーテル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のモノもしくはジアリールアミノ基、炭素数7〜20のモノもしくはジアラルキルアミノ基、第1級、第2級、第3級もしくは第4級アンモニウム基、チオール基、イソシアヌレート基、ウレイド基、イソシアナート基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基またはハロゲン原子で置換されていても良く、MはSi、Al、TiまたはZrを示し、Dは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチルシリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のジアルキルアミノ基を示し、MはSi、Al、TiまたはZrを示し、MがSi、TiまたはZrのいずれかの場合には、それに対応するyは4で、かつtは1〜3の整数であり、MがAlの場合には、それに対応するyは3で、かつtは1または2であり、tが2または3の場合には、Rは同一でも異なっても良い。)
RtMDy-t (26)
(式(26)において、Rは炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、それぞれビニル基、エポキシ基、オキセタニル基、エーテル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、水酸基、アミノ基、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のモノもしくはジアルキルアミノ基、炭素数6〜20のモノもしくはジアリールアミノ基、炭素数7〜20のモノもしくはジアラルキルアミノ基、第1級、第2級、第3級もしくは第4級アンモニウム基、チオール基、イソシアヌレート基、ウレイド基、イソシアナート基、カルボニル基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基またはハロゲン原子で置換されていても良く、MはSi、Al、TiまたはZrを示し、Dは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチルシリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のジアルキルアミノ基を示し、MはSi、Al、TiまたはZrを示し、MがSi、TiまたはZrのいずれかの場合には、それに対応するyは4で、かつtは1〜3の整数であり、MがAlの場合には、それに対応するyは3で、かつtは1または2であり、tが2または3の場合には、Rは同一でも異なっても良い。)
前記式(26)で表される有機無機複合修飾剤において、Rで表される官能基が適切な保護基で保護されていても良い。
前記有機無機複合修飾剤の中でも種類の豊富さ、入手、取扱いおよび加水分解反応制御の容易さから、MがSiであるシリル化剤がより好ましい。
シリル化剤の中でも、加水分解性基は、塩化水素などの酸を副生しないために官能基に対して副反応をする恐れが極めて低く、反応装置の腐食を起こさず、副生した酸の廃棄処理も必要としないアルコキシシランであることが好ましく、シリル化反応性に優れるメトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基のものがより好ましく、メトキシ基およびエトキシ基のものが特に好ましい。
前記式(26)で表されるシリル化剤は特に限定されないが、アルコキシシラン類としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス−(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−8−アミノオクチルトリメトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、4−(トリメトキシシリル)酪酸、4−(トリメトキシシリル)酪酸1,1−ジメチルエチル、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、トリメトキシメチルシランおよびトリエトキシシラン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどが挙げられる。
また、アルコキシシラン類以外のシリル化剤も使用することができる。例えば、ヘキサメチルジシラザン、クロロトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、トリエチルクロロシラン、ターシャリーブチルジメチルクロロシラン、クロロトリイソプロピルシラン、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、クロロメチルトリメチルシラン、トリエチルシラン、アリルトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシシラン、トリス(N,N−ジメチルアミノ)メチルシラン、ビス(N,N−ジメチルアミノ)ジメチルシランおよび(N,N−ジメチルアミノ)トリメチルシランなどが挙げられる。
これらのシリル化剤において、加水分解性基が一分子中に複数存在する場合には、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基などの加水分解性基が単一で存在しても、複数のものが混在しても良い。
これらのシリル化剤において、加水分解性基が一分子中に複数存在する場合には、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基などの加水分解性基が単一で存在しても、複数のものが混在しても良い。
また、前記シリル化剤の代わりに同様にチタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤およびジルコニウム系カップリング剤などを使用することができる。
前記シリル化剤との反応に使用する有機溶媒は、特に限定されないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノールおよび2−ヘキサノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンおよびエチルメチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシオドなどのスルホキシド類、ヘキサンなどのアルカン類、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族類、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルムおよびジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが挙げられ、これらの中でも、アルコール類や非プロトン性極性溶媒であるエーテル類、ニトリル類およびケトン類が好ましい。
より好ましくは、非プロトン性極性溶媒または第2級もしくは第3級アルコールであり、沸点が80℃以上のものが好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。
より好ましくは、非プロトン性極性溶媒または第2級もしくは第3級アルコールであり、沸点が80℃以上のものが好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。
非プロトン性極性溶媒としては、アセトニトリルおよびプロピオニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトンおよびメチレンイソプロピルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシオドなどのスルホキシド類が挙げられる。
また、第2級もしくは第3級アルコールとしては、特に限定されないが、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールおよびフェノールなどの芳香族アルコール類などが挙げられる。
これらの中でもアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルイソプロピルケトン、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールおよび1−プロポキシ−2−プロパノールが好ましく、2−ブタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールがさらに好ましい。
これらの中でもアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルイソプロピルケトン、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールおよび1−プロポキシ−2−プロパノールが好ましく、2−ブタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールがさらに好ましい。
前記反応の有機溶媒として非プロトン性極性溶媒または第2級もしくは第3級アルコールを用いると、層状無機化合物に由来する水酸基およびアルコキシラートの副反応であるO−アルキル化反応が起こり難く、また、用いる有機溶媒の沸点が高いため、シリル化反応温度が上昇し、シリル化反応等の層間修飾反応が加速され、シリル化率等の層間修飾率が高くなると推論する。
さらに、第2級もしくは第3級アルコール類を用いると、後述するシリル化剤等の有機無機複合修飾剤の加水分解によるシラノール等の水酸基の副生やシランカップリング剤等のカップリング剤同士の縮合等の副反応が抑制されるため好ましい。これは、アルコール性水酸基による溶媒効果であると推論する。
さらに、第2級もしくは第3級アルコール類を用いると、後述するシリル化剤等の有機無機複合修飾剤の加水分解によるシラノール等の水酸基の副生やシランカップリング剤等のカップリング剤同士の縮合等の副反応が抑制されるため好ましい。これは、アルコール性水酸基による溶媒効果であると推論する。
前記反応時、反応系に水を添加することが好ましい。添加する水としては、中性、酸性およびアルカリ性の何れでも良く、特に限定はないが、好ましくはイオン交換水、蒸留水、純水および超純水である。
水の添加量は、層状無機化合物の反応点である水酸基およびオニウム基の対アニオンであるアルコキシラートの合計量、すなわちイオン交換容量に対して0.05〜4.0モル倍であることが好ましく、0.1〜3.0モル倍であることが特に好ましい。
水の添加量が0.05モル倍未満であると添加効果が少なく、4.0モル倍を超えるとシランカップリング剤等のカップリング剤同士の加水分解・縮合等の副反応が進行する恐れがある。
水の添加量は、層状無機化合物の反応点である水酸基およびオニウム基の対アニオンであるアルコキシラートの合計量、すなわちイオン交換容量に対して0.05〜4.0モル倍であることが好ましく、0.1〜3.0モル倍であることが特に好ましい。
水の添加量が0.05モル倍未満であると添加効果が少なく、4.0モル倍を超えるとシランカップリング剤等のカップリング剤同士の加水分解・縮合等の副反応が進行する恐れがある。
前記反応におけるシリル化剤等の有機無機複合修飾剤の量は、特に限定されないが、反応点である水酸基およびオニウム基の対アニオンであるアルコキシラートの合計量、すなわちイオン交換容量に対して、好ましくは0.1〜30モル倍であり、より好ましくは0.05〜20モル倍であり、さらに好ましくは1.0〜10モル倍である。
カップリング剤の使用量が0.1モル倍より少ないとシリル化反応速度が小さくなり、一方、30モル倍を超えると原料コストの面で工業的に不利である。
カップリング剤の使用量が0.1モル倍より少ないとシリル化反応速度が小さくなり、一方、30モル倍を超えると原料コストの面で工業的に不利である。
層状無機化合物の層間における反応点、すなわちイオン交換容量に対するシリル化率等の層間修飾率は、目的に応じて選択されるため、特に限定はないが、シリル化率等の層間修飾率が15モル%以上であることが好ましく、さらに、25モル%以上であることがより好ましい。
一方、シリル化率等の層間修飾率が200モル%を超えると、層状無機化合物の層間が有機無機複合修飾剤由来の成分で過剰に覆われる恐れがあり、好ましくない。
一方、シリル化率等の層間修飾率が200モル%を超えると、層状無機化合物の層間が有機無機複合修飾剤由来の成分で過剰に覆われる恐れがあり、好ましくない。
前記層間修飾反応における反応温度は、特に限定されないが、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜160℃であり、さらに好ましくは70〜150℃である。通常は、反応溶媒として使用する有機溶媒の沸点(加熱還流下)で反応させる。
前記層間修飾反応で用いる有機溶剤の量は、特に限定されないが、原料として用いる層状無機化合物に対して、1〜30質量倍であり、より好ましくは5〜25質量倍であり、さらに好ましくは10〜20質量倍である。
本発明の有機無機複合修飾剤によるシリル化反応等の層間修飾反応は、触媒を使用してもしなくても良いが、塩化水素、ギ酸、酢酸およびシュウ酸等のカルボン酸、リン酸、硝酸、硫酸およびメタンスルホン酸等のスルホン酸類などの公知の酸、ならびにアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの公知の塩基を触媒として添加することができる。
その場合、添加する触媒の量は、特に限定はないが、反応点である水酸基およびオニウム基の対アニオンであるアルコキシラートの合計量、すなわちイオン交換容量に対して0.001〜1.0モル倍であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1モル倍である。
その場合、添加する触媒の量は、特に限定はないが、反応点である水酸基およびオニウム基の対アニオンであるアルコキシラートの合計量、すなわちイオン交換容量に対して0.001〜1.0モル倍であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.1モル倍である。
前記シリル化反応等の層間修飾反応で得られる層間修飾層状無機化合物は、単離、洗浄後に乾燥することが好ましい。単離、洗浄および乾燥する方法は、特に限定されることはなく、層状無機化合物および無機微粒子を単離、洗浄および乾燥する公知の方法を使用することができ、例えば、前記前駆体における方法等を使用することができる。
次に、層間をカップリング剤で修飾した層状無機化合物に、該カップリング剤由来の架橋性官能基を反応させて層間架橋型層状無機化合物を製造する方法を説明する。
シランカップリング剤等のカップリング剤由来の架橋性官能基による架橋反応は特に限定されることはなく、付加反応、置換反応、縮合反応、イオン反応、求電子反応、求核反応、ペリ環状反応、ラジカル反応等、一般に知られている様々な化学反応を利用することができ、いわゆるクリック反応も利用することができる。アルキル基からラジカルを発生させて架橋反応させたり、ハロゲン化アルキル基などをグリニヤール試薬としてアニオン種に変換して求核反応させたり、ハロゲン化アルキル基等に対して、水酸基、アルコキシ基やアミノ基等の求核種を作用させて求核置換反応させる架橋方法等も挙げられるが、カップリング剤の入手が容易で、かつ架橋反応が比較的温和な条件で進行するため、下記式(27)〜(41)で表される反応が好ましく、層間を同一のカップリング剤で修飾した後、架橋反応させると製造工程がより少なく、工業的により有利なことから、式(27)〜(31)および式(36)〜(40)で表される架橋反応がより好ましく、架橋反応が温和な条件で容易に進行し、様々な化学構造、柔軟性および剛直性を導入可能で、架橋の長さも多様性を持たせることができることから、式(27)〜(31)および式(38)〜(40)で表される架橋反応がさらに好ましい。
シランカップリング剤等のカップリング剤由来の架橋性官能基による架橋反応は特に限定されることはなく、付加反応、置換反応、縮合反応、イオン反応、求電子反応、求核反応、ペリ環状反応、ラジカル反応等、一般に知られている様々な化学反応を利用することができ、いわゆるクリック反応も利用することができる。アルキル基からラジカルを発生させて架橋反応させたり、ハロゲン化アルキル基などをグリニヤール試薬としてアニオン種に変換して求核反応させたり、ハロゲン化アルキル基等に対して、水酸基、アルコキシ基やアミノ基等の求核種を作用させて求核置換反応させる架橋方法等も挙げられるが、カップリング剤の入手が容易で、かつ架橋反応が比較的温和な条件で進行するため、下記式(27)〜(41)で表される反応が好ましく、層間を同一のカップリング剤で修飾した後、架橋反応させると製造工程がより少なく、工業的により有利なことから、式(27)〜(31)および式(36)〜(40)で表される架橋反応がより好ましく、架橋反応が温和な条件で容易に進行し、様々な化学構造、柔軟性および剛直性を導入可能で、架橋の長さも多様性を持たせることができることから、式(27)〜(31)および式(38)〜(40)で表される架橋反応がさらに好ましい。
式(27)〜(29)および式(38)で表される架橋反応を用いた場合、架橋する官能基が同様または類似の構造を有し、反応や生成する架橋構造が比較的単純でかつR2、R4およびR13の構造に応じて比較的容易に層状無機化合物の層間距離や層間の環境(疎水性や親水性、芳香族性等)を制御することができるという特長を有する。
また、式(30)、式(31)、式(39)および式(40)で表される架橋反応を用いた場合、R2、R4およびR13の構造に応じて比較的容易に層状無機化合物の層間距離や柔軟性、層間の環境(疎水性や親水性、芳香族性、水素結合生成等)を制御することができるだけでなく、様々に入手可能なアミン類およびジアミン類を架橋構造内に導入することが出来ることから、容易かつ自由に層状無機化合物の層間距離や柔軟性、層間の環境(疎水性や親水性、芳香族性、水素結合生成、複素環構造、イオン結合、配位共有結合等)を制御することができるという特長を有する。
また、式(30)、式(31)、式(39)および式(40)で表される架橋反応を用いた場合、R2、R4およびR13の構造に応じて比較的容易に層状無機化合物の層間距離や柔軟性、層間の環境(疎水性や親水性、芳香族性、水素結合生成等)を制御することができるだけでなく、様々に入手可能なアミン類およびジアミン類を架橋構造内に導入することが出来ることから、容易かつ自由に層状無機化合物の層間距離や柔軟性、層間の環境(疎水性や親水性、芳香族性、水素結合生成、複素環構造、イオン結合、配位共有結合等)を制御することができるという特長を有する。
(式(27)〜(41)において、R1は炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2およびR13はそれぞれ独立して炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数7〜20のアラルキレン基を示し、R3、R5、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、R4は炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基または炭素数7〜10のアラルキレン基を示し、R8、R9、R10およびR12はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R11は炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜20の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基または炭素数6〜24のポリフェニレン基を示し、いずれのR11は硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ハロゲン原子ならびにそれを含む原子数1〜10個からなる置換基で置換されていても良く、Zは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチルシリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のジアルキルアミノ基または層状無機化合物由来の酸素原子を示し、Iは重合開始剤由来の基で同一でも異なってもよく、Yは酸由来の共役塩基由来の基であり、nは0〜2の整数、mおよびhは0または1の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。
また、前記式(27)〜(41)で表される架橋反応において、ケイ素原子(Si)の代わりにチタン(Ti)、アルミニウム(Al)およびジルコニウム(Zr)などからなるカップリング剤由来の架橋性官能基の架橋反応を利用することができる。
前記架橋反応において、炭素−炭素二重結合の架橋反応における架橋点は、二重結合の頭部または尾部の何れでも良く、エポキシ基およびオキセタニル基の開環架橋反応における架橋点は、環状エーテル基の酸素原子の隣接位に2つ存在する炭素原子上の何れでも良い。
前記架橋反応を促進するために、必要に応じて公知の重合開始剤である熱ラジカル発生剤、光ラジカル発生剤、熱アニオン発生剤、光カチオン発生剤、熱酸発生剤、光酸発生剤、熱塩基発生剤ならびに光塩基発生剤、塩酸、硫酸、硝酸等の公知の無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の公知の有機酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の公知の無機塩基、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の公知の有機アミン等の有機塩基、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ等の公知のアンモニウム塩および無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸等の公知の酸無水物等の公知の触媒や硬化剤、臭素やヨウ素等の酸化剤を併用することができる。
重合開始剤としては、特に限定されることはなく、重合性単量体の重合反応時に用いられる公知の重合開始剤が使用され、熱重合開始剤および/または光重合開始剤が使用されるが、層間をカップリング剤で修飾された層状無機化合物を含む架橋反応系が懸濁して紫外線等の光を通しにくい場合があることから、熱重合開始剤がより好ましい。
前記熱重合開始剤としては、種々の化合物を使用することができ、重合性基がラジカル重合性基の場合には、例えば、前記式(27)および前記式(37)の場合には、過酸化物およびアゾ系開始剤が好ましい。
過酸化物の具体例としては、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。
アゾ系開始剤の具体例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等のアゾ化合物が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
また、過酸化物と、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、酒石酸、クエン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等の還元剤とを併用したレドックス重合開始系と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
また、過酸化物と、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、酒石酸、クエン酸、ホルムアルデヒドスルホキシラートの金属塩、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、塩化第二鉄等の還元剤とを併用したレドックス重合開始系と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
熱重合開始剤の使用量は、その種類および重合条件等により選択されるが、通常は、重合性官能基100モル量に対して1〜1000モル量であり、より好ましくは5〜500モル量であり、さらに好ましくは50〜200モル量である。
光重合開始剤の具体例としては、重合性基がラジカル重合性基の場合には、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−1−(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン及び2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンおよび4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;ならびにチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル−オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
前記以外の化合物としては、ベンジル、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノンおよびカンファーキノン等が挙げられる。
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;ならびにチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イル−オキシ]−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
前記以外の化合物としては、ベンジル、エチル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン、フェナントレンキノンおよびカンファーキノン等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、その種類および重合条件等により選択されるが、重合性官能基100モル量に対して1〜1000モル量であり、より好ましくは5〜500モル量であり、さらに好ましくは50〜200モル量である。
また、重合性基がカチオン重合性基の場合には、例えば、前記式(28)、前記式(29)および前記式(38)の場合には、種々の公知のカチオン重合開始剤を使用することができ、熱カチオン重合開始剤としては、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、スルホニウム塩が好ましい。
熱カチオン重合開始剤における対アニオンとしては、例えば、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -等が挙げられる。
熱カチオン重合開始剤における対アニオンとしては、例えば、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -等が挙げられる。
前記スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素等が挙げられる。
また、上記スルホニウム塩は、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカオプトンCP−66」(商品名)および「アデカオプトンCP−77」(商品名)、三新化学工業社製「サンエイドSI−60L」(商品名)、「サンエイドSI−80L」(商品名)および「サンエイドSI−100L」(商品名)等が挙げられる。
また、上記スルホニウム塩は、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカオプトンCP−66」(商品名)および「アデカオプトンCP−77」(商品名)、三新化学工業社製「サンエイドSI−60L」(商品名)、「サンエイドSI−80L」(商品名)および「サンエイドSI−100L」(商品名)等が挙げられる。
前記ホスホニウム塩としては、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモン等が挙げられる。
前記第四級アンモニウム塩としては、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン等が挙げられる。
前記第四級アンモニウム塩としては、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、セレニウム塩、ピリジニウム塩、フェロセニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。これらのなかでも、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩が好ましい。
光カチオン重合開始剤がヨードニウム塩またはスルホニウム塩である場合、対アニオンとしては、例えば、BF4 -、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤がヨードニウム塩またはスルホニウム塩である場合、対アニオンとしては、例えば、BF4 -、AsF6 -、SbF6 -、PF6 -、B(C6F5)4 -等が挙げられる。
上記ヨードニウム塩としては、(トリクミル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、上記ヨードニウム塩は、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、GE東芝シリコーン社製「UV−9380C」(商品名)、ローディア社製「RHODOSIL PHOTOINITIATOR2074」(商品名)、和光純薬工業社製「WPI−016」(商品名)、「WPI−116」(商品名)および「WPI−113」(商品名)等が挙げられる。
また、上記ヨードニウム塩は、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、GE東芝シリコーン社製「UV−9380C」(商品名)、ローディア社製「RHODOSIL PHOTOINITIATOR2074」(商品名)、和光純薬工業社製「WPI−016」(商品名)、「WPI−116」(商品名)および「WPI−113」(商品名)等が挙げられる。
上記スルホニウム塩としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウム・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・ビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド・テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
また、スルホニウム塩は、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、ダウ・ケミカル日本社製「サイラキュアUVI−6990」(商品名)、「サイラキュアUVI−6992」(商品名)および「サイラキュアUVI−6974」、ADEKA社製「アデカオプトマーSP−150」(商品名)、「アデカオプトマーSP−152」(商品名)、「アデカオプトマーSP−170」(商品名)および「アデカオプトマーSP−172」(商品名)、和光純薬工業社製「WPAG−593」(商品名)、「WPAG−596」(商品名)、「WPAG−640」(商品名)および「WPAG−641」(商品名)等が挙げられる。
また、スルホニウム塩は、市販品を用いることもでき、具体的には、例えば、ダウ・ケミカル日本社製「サイラキュアUVI−6990」(商品名)、「サイラキュアUVI−6992」(商品名)および「サイラキュアUVI−6974」、ADEKA社製「アデカオプトマーSP−150」(商品名)、「アデカオプトマーSP−152」(商品名)、「アデカオプトマーSP−170」(商品名)および「アデカオプトマーSP−172」(商品名)、和光純薬工業社製「WPAG−593」(商品名)、「WPAG−596」(商品名)、「WPAG−640」(商品名)および「WPAG−641」(商品名)等が挙げられる。
前記ジアゾニウム塩としては、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボーレート等が挙げられる。
また、重合性基が例えばエポキシ系重合性基の場合には、種々の公知の重合開始剤を使用することができ、例えば、アミン類、チオール類、イミダゾール類等を使用することができる。アミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、1,3,4,6−テトラキス(3−アミノプロピル)グリコールウリル等が挙げられ、チオール類としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス(2−メルカプトエチル)イソシアヌレート、1,3,4,6−テトラキス(2−メルカプトエチル)グリコールウリル等が挙げられ、イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
前記式(30)および前記式(39)で表させるエポキシ基の架橋に用いることができる下記式(42)で表さるアミンは特に限定されないが、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、イコシルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、2−シクロヘキシルエチルアミン等のアルキルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、3−シクロヘキセニルアミン等の環状アルキルアミン、フェニルアミン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、2−アミノアントラセン、1−アミノピレン、3−アミノビフェニル等のアリールアミン、ベンジルアミン、2−フェニルエチル基、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、2−(7−メトキシ−1−ナフチル)エチルアミン等のアラルキルアミン等が挙げられる。
H2NR8 (42)
(式(42)において、R8は水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。)
(式(42)において、R8は水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示す。)
前記式(31)および前記式(40)で表させるエポキシ基の架橋に用いることができる下記式(43)で表されるジアミンは特に限定されないが、例えば、ジアミノメタン、尿素、チオ尿素、1,2−ジアミノエタン、1,2−ビス(メチルアミノ)エタン、N−メチルメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,4−ビス(メチルアミノ)−2−ブテン、1,6−ジアミヘキサン、1,8−ジメチルオクタン、N,N−ビス(2−アミノエチル)メチルアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、3−アミノピロリジン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,2,4−トリアミノベンゼン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノアントラキノン、1,6−ジアミノピレン、1,8−ジアミノピレン、3−(アミノメチル)ベンジルアミン、4−(アミノメチル)ベンジルアミン等が挙げられる。
R9HR11NHR10 (43)
(式(43)において、R9およびR10はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R11は炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜20の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基または炭素数6〜24のポリフェニレン基を示し、いずれのR11は硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ハロゲン原子ならびにそれを含む原子数1〜10個からなる置換基で置換されていても良い。)
(式(43)において、R9およびR10はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R11は炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜20の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアラルキレン基または炭素数6〜24のポリフェニレン基を示し、いずれのR11は硫黄原子、酸素原子、窒素原子、ハロゲン原子ならびにそれを含む原子数1〜10個からなる置換基で置換されていても良い。)
前記式(36)で表される反応の場合には、酸化剤を併用することができ、例えば塩基性条件下で臭素やヨウ素を用いる等、ジスルフィド生成反応を促進する公知の酸化剤を用いることができる。
層間での架橋反応を加熱より行う場合には、反応温度は特に制限されることはなく、適宜選択すれば良いが、例えば0〜200℃が好ましく、25〜180℃がより好ましく、40〜150℃がさらに好ましい。このとき、架橋の容易性やコストの観点から、適宜、熱重合開始剤を反応系に含有することが好ましい。
層間での架橋反応を、活性エネルギー線を照射して行うための活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線および電子線等が挙げられる。活性エネルギー線として紫外線または可視光線を使用する場合は、架橋の容易性やコストの観点から、光重合開始剤を含有することが好ましい。
紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線無電極ランプおよび紫外線発光ダイオード(UV−LED)等が挙げられる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すれば良く、反応系の厚みや照度等により異なるが、例えば、高圧水銀ランプを使用する場合、UV−A領域の照射エネルギーで例えば5〜10,000mJ/cm2が好ましい。また、UV−LEDを使用する場合、その発光ピーク波長は350〜420nmであるものが好ましく、照射エネルギーで例えば5〜10,000mJ/cm2が好ましい。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すれば良く、反応系の厚みや照度等により異なるが、例えば、高圧水銀ランプを使用する場合、UV−A領域の照射エネルギーで例えば5〜10,000mJ/cm2が好ましい。また、UV−LEDを使用する場合、その発光ピーク波長は350〜420nmであるものが好ましく、照射エネルギーで例えば5〜10,000mJ/cm2が好ましい。
活性エネルギー線として電子線を使用する場合は、光重合開始剤を含有させず、電子線により硬化させることも可能であるが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
電子線照射装置としては種々の装置が使用でき、例えばコッククロフト・ワルトン型、バンデグラーフ型および共振変圧器型の装置等が挙げられる。
電子線の吸収線量としては、例えば1〜1000kGyが好ましい。
電子線照射雰囲気の酸素濃度としては、500ppm以下が好ましく、より好ましくは300ppm以下である。
電子線照射装置としては種々の装置が使用でき、例えばコッククロフト・ワルトン型、バンデグラーフ型および共振変圧器型の装置等が挙げられる。
電子線の吸収線量としては、例えば1〜1000kGyが好ましい。
電子線照射雰囲気の酸素濃度としては、500ppm以下が好ましく、より好ましくは300ppm以下である。
層間での架橋反応を行う場合には、反応溶媒を用いることができるが、このような溶媒は特に制限されることはなく、適宜選択すれば良いが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノールおよび2−ヘキサノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンおよびエチルメチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシオドなどのスルホキシド類、ヘキサンなどのアルカン類、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族類、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルムおよびジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが挙げられ、これらの中でも、アルコール類や非プロトン性極性溶媒であるエーテル類、ニトリル類およびケトン類が好ましい。
より好ましくは、非プロトン性極性溶媒または第2級もしくは第3級アルコールであり、沸点が80℃以上のものが好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。
より好ましくは、非プロトン性極性溶媒または第2級もしくは第3級アルコールであり、沸点が80℃以上のものが好ましく、より好ましくは90℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。
非プロトン性極性溶媒としては、特に限定されないが、アセトニトリルおよびプロピオニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトンおよびメチレンイソプロピルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシオドなどのスルホキシド類が挙げられる。
また、第2級もしくは第3級アルコールとしては、特に限定されないが、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールおよびフェノールなどの芳香族アルコール類などが挙げられる。
これらの中でもアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルイソプロピルケトン、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールおよび1−プロポキシ−2−プロパノールが好ましく、2−ブタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールがさらに好ましい。
これらの中でもアセトニトリル、テトラヒドロフラン、メチルイソプロピルケトン、2−プロパノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールおよび1−プロポキシ−2−プロパノールが好ましく、2−ブタノールおよび1−メトキシ−2−プロパノールがさらに好ましい。
層間での架橋反応における反応濃度は特に制限されることはなく、適宜選択すれば良いが、例えば層間修飾層状無機化合物の質量%として、1〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。
前記式(1)で表される有機無機複合基に存在するZおよび前記式(2)で表される有機無機複合架橋構造に存在するZは、前記式(3)で表される化合物またはその塩、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選択される少なくとも1種を有効成分とするゲスト化合物との相互作用に関与することもできる。例えば、水酸基であればこれらのゲスト化合物との水素結合を生成し、挿入と徐放に関与することができるし、Zの種類、例えば、水酸基、メトキシ基等や存在量によってこれらのゲスト化合物との相互作用の制御に関与することもできる。
また、本発明の有機無機複合基および/または有機無機複合架橋構造で層間が修飾された層状無機化合物の層間は、有機無機複合基および有機無機複合架橋構造に加えて任意の官能基や修飾基が存在しても良い。例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の交換性金属カチオンが存在してもよく、アルキルアンモニウムやアルキルホスホニウム等の有機オニウム基で修飾されていてもよく、層状無機化合物由来の水酸基が存在していてもよく、該水酸基がメトキシ基等のアルコキシ基により封止・変換されていても良い。
前記の層間に存在する有機無機複合架橋構造以外の任意の官能基や修飾基を層間に導入する時期は、架橋構造を構築するためのカップリング剤による層間修飾の前でも後でも同時でも良く、また、層間に導入されたカップリング剤由来の架橋性官能基の層間架橋反応の前でも後でも良く、各種官能基、修飾基およびカップリング剤の反応性等を考慮して、任意に選択することができる。
前記有機無機複合基および/または有機無機複合架橋構造で層間が修飾された層状無機化合物に挿入され、徐放化される前記式(3)で表される化合物またはその塩、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートから選択される少なくとも1種を有効成分とするゲスト化合物としては、前記式(3)で表される化合物は、例えば、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサヒドロピリダジン、イミダゾール、イミダゾリジン、ピペリジン、エチレンスルフィド、トリメチレンスルフィド、チオフェン、チオラン、テトラヒドロ−2H−チオピラン、チアゾリン(例えば2−チアゾリン、3−チアゾリン、4−チアゾリン)、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン、フラン、2H−ピラン、4H−ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリンまたはオキサゾリン骨格を有する化合物であれば限定されることはなく、好ましくは、チアゾリン(例えば2−チアゾリン)、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン骨格を有する化合物であり、さらに好ましくは、チアゾリン(例えば2−チアゾリン)、チアゾール、チアゾリジン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジンおよびチオモルホリン骨格を有する化合物である。
前記式(3)で表される化合物としては、例えば、2,4,5−トリメチルー3−チアゾリン、チアゾール、2−メチルチアゾール、2−エチルチアゾール、2−ブロモチアゾール、4−メチルチアゾール、2−ホルミルチアゾール、2−アミノチアゾール、5−メチルチアゾール、2,4−ジメチルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾール、2,4,5−トリメチルチアゾール、2−チアゾリン、2−メチル−2−チアゾリン、2−エチル−2−チアゾリン、2−ブロモ−2−チアゾリン、2,4−ジメチル−2−チアゾリン、4−メチル−2−チアゾリン、2−メチルチオ−2−チアゾリン、2−メチル−4−エチル−2−チアゾリン、2−アミノ−2−チアゾリン、5−メチル−2−チアゾリン、4,5−ジメチル−2−チアゾリン、2,5−ジメチル−2−チアゾリン、2−メルカプト−2−チアゾリン、2−プロピル−2−チアゾリン、2−(1−メチルエチル)−2−チアゾリン、2−(1−メチルプロピル)−2−チアゾリン、チアゾリジン、2−メチルチアゾリジン、4−メチルチアゾリジン、5−メチルチアゾリジン、2,4−ジメチルチアゾリジン、2,2−ジメチルチアゾリジン、2,5−ジメチルチアゾリジン、4,5−ジメチルチアゾリジン、2,4,5−トリメチルチアゾリジン、チオモルホリン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキサゾリン、2,4,4−トリメチル−2−オキサゾリン、4,4−ジメチル−2−オキサゾリン、オキサゾール、チオフェン、チオラン(テトラヒドロチオフェン)、イミダゾール、モルホリンおよびイソブチレンスルフィドなどが挙げられる。
これらの中でも、動物忌避効果(匂いを嗅がせたときのすくみ時間が長い効果や繰り返し匂いを嗅がせてもすくみ時間の低下がなく、馴化しない効果、嗅玉の後方を活性化する効果)が高いことから、より好ましくは下記式(4)〜(9)で表される化合物であり、例えば、2,5−ジメチル−2−チアゾリン、2−メチル−2−チアゾリン、5−メチル−2−チアゾリン、2,2−ジメチルチアゾリジン、チアゾリジン、2−メチルチアゾール、4−メチルチアゾール、2,4−ジメチルチアゾール、チオモルホリン、2−エチルチアゾール、2−メチルチオ−2−チアゾリン、2−ブロモチアゾール、5−メチルチアゾリジンがさらに好ましい。
これらの中でも、動物忌避効果(匂いを嗅がせたときのすくみ時間が長い効果や繰り返し匂いを嗅がせてもすくみ時間の低下がなく、馴化しない効果、嗅玉の後方を活性化する効果)が高いことから、より好ましくは下記式(4)〜(9)で表される化合物であり、例えば、2,5−ジメチル−2−チアゾリン、2−メチル−2−チアゾリン、5−メチル−2−チアゾリン、2,2−ジメチルチアゾリジン、チアゾリジン、2−メチルチアゾール、4−メチルチアゾール、2,4−ジメチルチアゾール、チオモルホリン、2−エチルチアゾール、2−メチルチオ−2−チアゾリン、2−ブロモチアゾール、5−メチルチアゾリジンがさらに好ましい。
(式(4)〜式(9)において、Rg、RiおよびRjはそれぞれ独立して水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルチオ基を表す。)
また、前記鎖状スルフィド化合物としては、例えば、アリルメチルスルフィドなどが好ましく挙げられ、前記アルキルイソチオシアネートとしては、例えば、炭素数1〜6のアルキルイソチオシアネートが好ましく挙げられ、エチルイソチオシアネートがさらに好ましいが、これらに限定されない。
本発明に係るゲスト化合物の塩としては、製薬学的または農業上、あるいは産業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
有機無機複合基および/または有機無機複合架橋構造で層間修飾された層状無機化合物の層間に前記動物忌避効果を有する有効成分であるゲスト化合物を挿入したホスト−ゲスト複合剤を含む徐放性動物用忌避剤の製造方法に特に制限はなく、例えば溶媒の非存在下でホスト化合物とゲスト化合物とを混合する方法や、ゲスト化合物が可溶または不溶の溶媒の存在下でホスト化合物とゲスト化合物を混合する方法等が挙げられる。
ゲスト化合物が気体もしくは液体の場合には、溶媒が非存在下で混合する方法が経済的であり好ましい。一方、ゲスト化合物が高粘性の液体もしくは固体の場合には、ゲスト化合物が可溶な溶媒の存在下、ホスト化合物と混合する方法を用いるとゲスト化合物が効率的に層間に挿入するので好ましい。また、化合物が固体の場合には、その融点以上に加温して液体化させて層間修飾層状無機化合物と混合する方法は溶媒を必要とせず、効率的である。
ゲスト化合物が気体もしくは液体の場合には、溶媒が非存在下で混合する方法が経済的であり好ましい。一方、ゲスト化合物が高粘性の液体もしくは固体の場合には、ゲスト化合物が可溶な溶媒の存在下、ホスト化合物と混合する方法を用いるとゲスト化合物が効率的に層間に挿入するので好ましい。また、化合物が固体の場合には、その融点以上に加温して液体化させて層間修飾層状無機化合物と混合する方法は溶媒を必要とせず、効率的である。
ゲスト化合物とホスト化合物を混合する温度は特に制限はなく、通常は0〜200℃の範囲であればよく、10〜100℃が好ましく、15〜50℃がより好ましい。
ホスト−ゲスト複合剤(徐放剤)を製造するときに用いる溶媒は特に制限はなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノールおよび2−ヘキサノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンおよびエチルメチルケトンなどのケトン類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシオドなどのスルホキシド類、ヘキサンなどのアルカン類、ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族類、酢酸エチルなどのエステル類、クロロホルムおよびジクロロメタンなどのハロゲン系炭化水素類などが挙げられ、ゲスト化合物の溶解性やホスト化合物の層間修飾基の親水性や疎水性といった性質との兼ね合いで適切に選択すれば良い。
ホスト−ゲスト複合剤(徐放剤)を製造するときのホスト化合物である層間修飾層状無機化合物とゲスト化合物である機能性化合物の混合比は特に制限されず、目的に応じて任意に設定されるが、長期間に亘って徐放剤とする場合には、層状無機化合物の層間に挿入され得る機能性化合物の最大量以上と混合することが望ましい。例えば、層間修飾層状無機化合物100部に対し、10部の機能分性化合物を層間に挿入することができる場合には、10部以上と混合することが好ましい。
層間修飾層状無機化合物と機能性化合物を混合して得られたホスト−ゲスト複合剤はそのまま徐放剤として用いることもできるし、過剰の機能性化合物や溶媒を除去した後に徐放剤として用いることもできる。過剰な機能性化合物や溶剤は、機能性化合物が液体である場合や機能性化合物の可溶性溶媒を併用した場合は、例えば自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過等の公知のろ過操作によりろ別して除去することができる。機能性化合物が液体や昇華性のある個体の場合には風乾や加熱蒸発、減圧留去操作等により除去することもできる。機能性化合物が固体で、溶媒を併用した場合には、不要な溶媒を風乾や加熱蒸発、減圧留去操作により除去することもできる。
本発明の徐放性動物用忌避剤は、必要に応じて他の忌避剤や、防虫剤、殺虫剤、殺菌剤、防カビ剤、香料および着色料などの添加物を加えることもできる。
本発明の徐放性動物用忌避剤は、農作物、森林、家畜または人家に被害をもたらす有害動物一般に有用である。有害動物としては、例えば、ネズミ、モグラ、ウサギ、イタチ、シカ、イノシシ、サル、ネコ、クマなどの哺乳類、ハト、カラスなどの鳥類、ヘビなどの爬虫類、アリ、ムカデ、バッタ、ゴキブリなどの昆虫類が挙げられる。これらの中でも、哺乳類が好ましく、ネズミなどの齧歯類やシカ科の哺乳類がより好ましい。
本発明における徐放性動物用忌避剤の使用方法は特に制限はなく、例えば当該徐放性動物用忌避剤をそのまま徐放性動物用忌避剤として用いることもできるし、また、樹脂に混合して構造材料、コーティング剤、繊維等として用いることもでき、さらに、溶媒や重合性モノマー等に分散させて塗料として用いることもできる。
動物を忌避させる空間は、忌避させる動物の生息空間または侵入するおそれのある空間を意味し、例えば、田畑、果樹園、森林、家畜の飼育場、道路、高速道路、線路、空港、塵埃集積場、公園、庭、花壇、駐車場、建築物、家屋、厨房、洗面所、ベランダ、物置、床下、電柱、電線、通信ケーブル、金網およびフェンスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
<実施例1>フェニルシリル基で層間修飾されたマガディアイトの層間に2−メチル−2−チアゾリン(以後、2MTと記す)を挿入した徐放性動物用忌避剤の合成とその有効成分(2MT)の徐放性評価。
(1)ナトリウム−マガディアイト(以下、Na−マガディアイトと記す)の合成。
珪酸ソーダ(富士化学社製、商品名:4号珪酸ソーダ)18.34g、シリカゲル(和光純薬社製、商品名:ワコーゲルQ―63)7.28gおよび純水54.37gを混ぜ合わせた後、高圧用反応分解容器(三愛科学社製、商品名:HU−100)に封入し、170℃で30時間加熱した。生成物を吸引ろ取し、希NaOH水溶液(pH:9〜10)および純水で洗浄し、40℃で2日間乾燥することでNa−マガディアイト15.9gを得た。
原子吸光分析装置(島津製作所社製、AA−6200)および熱重量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6300)を用いてNa−マガディアイトの組成を算出した結果、Na2Si14O29・nH2Oであり、n=0として算出したイオン交換容量は2.21molc/kgであった。
また、X線回折装置(BRUKER社製、商品名:D8 ADVANCE)を用いて得られたNa−マガディアイトの底面間隔を求めた結果、1.54nmであった。
<実施例1>フェニルシリル基で層間修飾されたマガディアイトの層間に2−メチル−2−チアゾリン(以後、2MTと記す)を挿入した徐放性動物用忌避剤の合成とその有効成分(2MT)の徐放性評価。
(1)ナトリウム−マガディアイト(以下、Na−マガディアイトと記す)の合成。
珪酸ソーダ(富士化学社製、商品名:4号珪酸ソーダ)18.34g、シリカゲル(和光純薬社製、商品名:ワコーゲルQ―63)7.28gおよび純水54.37gを混ぜ合わせた後、高圧用反応分解容器(三愛科学社製、商品名:HU−100)に封入し、170℃で30時間加熱した。生成物を吸引ろ取し、希NaOH水溶液(pH:9〜10)および純水で洗浄し、40℃で2日間乾燥することでNa−マガディアイト15.9gを得た。
原子吸光分析装置(島津製作所社製、AA−6200)および熱重量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6300)を用いてNa−マガディアイトの組成を算出した結果、Na2Si14O29・nH2Oであり、n=0として算出したイオン交換容量は2.21molc/kgであった。
また、X線回折装置(BRUKER社製、商品名:D8 ADVANCE)を用いて得られたNa−マガディアイトの底面間隔を求めた結果、1.54nmであった。
(2)ドデシルトリメチルアンモニウム(以後、DTMAと記す)−マガディアイトの合成(Na−マガディアイトの塩化ドデシルトリメチルアンモニウム処理による層間アンモニウム化によるシリル化前駆体の合成)。
前記で得られたNa−マガディアイト100g、純水6500gおよび塩化ドデシルトリメチルアンモニウム175gを混合し、室温で7日間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取して、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥してDTMA−マガディアイト94gを得た。
原子吸光分析装置(島津製作所社製、AA−6200)を用いて、得られたDTMA−マガディアイト中のNa質量を測定した結果、Na含有率は0.04質量%未満で、ほとんど陽イオン交換されたことを確認した。
元素分析装置(ヤナコ分析工業社製、CHNコーダーMT−5)および熱重量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6300)を用いて得られたDTMA−マガディアイトの組成を算出した結果、DTMA1.72H0.28Si14O29・nH2Oであった。
また、前記と同様に、得られたDTMA−マガディアイトの底面間隔を求めたところ2.86nmであった。
前記で得られたNa−マガディアイト100g、純水6500gおよび塩化ドデシルトリメチルアンモニウム175gを混合し、室温で7日間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取して、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥してDTMA−マガディアイト94gを得た。
原子吸光分析装置(島津製作所社製、AA−6200)を用いて、得られたDTMA−マガディアイト中のNa質量を測定した結果、Na含有率は0.04質量%未満で、ほとんど陽イオン交換されたことを確認した。
元素分析装置(ヤナコ分析工業社製、CHNコーダーMT−5)および熱重量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6300)を用いて得られたDTMA−マガディアイトの組成を算出した結果、DTMA1.72H0.28Si14O29・nH2Oであった。
また、前記と同様に、得られたDTMA−マガディアイトの底面間隔を求めたところ2.86nmであった。
(3)DTMA−マガディアイトの塩酸処理による部分プロトン化DTMA−マガディアイト(シリル化前駆体)の合成。
前記で得られたDTMA−マガディアイト100gと0.1mol・dm-3塩酸655gを混合し、室温で1日攪拌した。その後、固体を吸引ろ取して、純水洗浄した後、60℃で乾燥して部分プロトン化DTMA−マガディアイトを得た。
前記と同様に、得られた部分プロトン化DTMA−マガディアイトの組成を算出したところDTMA1.11H0.89Si14O29・nH2Oであり、アンモニウム基の割合はイオン交換容量に対して56モル%であった。
前記と同様に、部分プロトン化DTMA−マガディアイトの底面間隔を分析した結果、明確な回折ピークが観測されなかった。これは得られた部分プロトン化DTMA−マガディアイトの層状構造の大部分が崩れているためと推測される。
前記で得られたDTMA−マガディアイト100gと0.1mol・dm-3塩酸655gを混合し、室温で1日攪拌した。その後、固体を吸引ろ取して、純水洗浄した後、60℃で乾燥して部分プロトン化DTMA−マガディアイトを得た。
前記と同様に、得られた部分プロトン化DTMA−マガディアイトの組成を算出したところDTMA1.11H0.89Si14O29・nH2Oであり、アンモニウム基の割合はイオン交換容量に対して56モル%であった。
前記と同様に、部分プロトン化DTMA−マガディアイトの底面間隔を分析した結果、明確な回折ピークが観測されなかった。これは得られた部分プロトン化DTMA−マガディアイトの層状構造の大部分が崩れているためと推測される。
(4)部分プロトン化DTMA−マガディアイトのフェニルトリメトキシシラン(以下、Ph−TRIMSと記す)処理による層間シリル化(フェニル基の導入)。
前記で得られた部分プロトン化DTMA−マガディアイト100gを100℃、約100Paで2時間減圧乾燥した後、モレキュラーシーブ3Aで乾燥した1−メトキシ−2−プロパノール(以下、PGMと記す)1850g、純水3.4g、Ph−TRIMS263g(反応点に対して7モル倍)を混合し、窒素雰囲気下で加熱還流を行いながら4日間攪拌した。その後、固体を吸引ろ取し、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥し、シリル化マガディアイト(以後、PhS−マガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に、得られたPhS−マガディアイトの組成を算出した結果、フェニルシリル(PhS)1.13DTMA0.40Me0.47Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は2.16nmであった。
前記で得られた部分プロトン化DTMA−マガディアイト100gを100℃、約100Paで2時間減圧乾燥した後、モレキュラーシーブ3Aで乾燥した1−メトキシ−2−プロパノール(以下、PGMと記す)1850g、純水3.4g、Ph−TRIMS263g(反応点に対して7モル倍)を混合し、窒素雰囲気下で加熱還流を行いながら4日間攪拌した。その後、固体を吸引ろ取し、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥し、シリル化マガディアイト(以後、PhS−マガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に、得られたPhS−マガディアイトの組成を算出した結果、フェニルシリル(PhS)1.13DTMA0.40Me0.47Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は2.16nmであった。
(5)塩化水素およびメタノールを用いたPhS−マガディアイトの残存DTMA基の除去およびメチル基の導入(シラノールの封止)。
前記で得られたPhS−マガディアイト100gを100℃、約100Paで2時間減圧乾燥した後、モレキュラーシーブ3Aで乾燥したPGM1650g、5%塩化水素メタノール溶液78.5gを混合し、窒素雰囲気下で加熱還流させながら3日間攪拌した。その後、固体を吸引ろ取し、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥させた。
得られた固体の全量をメタノール1980gと混合し、窒素雰囲気下で加熱還流させながら2日間攪拌した。その後、固体を吸引ろ取し、60℃で乾燥させ、DTMA基が除去され、マガディアイト由来のシラノールがO−メチル化されたPhS−マガディアイト(以後、PhS−マガディアイト−PPMeと記す)を得た。
前記と同様に、得られたPhS−マガディアイト−PPMeの組成を算出した結果、PhS1.13DTMA0.04Me0.83Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は1.69nmであった。
前記で得られたPhS−マガディアイト100gを100℃、約100Paで2時間減圧乾燥した後、モレキュラーシーブ3Aで乾燥したPGM1650g、5%塩化水素メタノール溶液78.5gを混合し、窒素雰囲気下で加熱還流させながら3日間攪拌した。その後、固体を吸引ろ取し、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥させた。
得られた固体の全量をメタノール1980gと混合し、窒素雰囲気下で加熱還流させながら2日間攪拌した。その後、固体を吸引ろ取し、60℃で乾燥させ、DTMA基が除去され、マガディアイト由来のシラノールがO−メチル化されたPhS−マガディアイト(以後、PhS−マガディアイト−PPMeと記す)を得た。
前記と同様に、得られたPhS−マガディアイト−PPMeの組成を算出した結果、PhS1.13DTMA0.04Me0.83Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は1.69nmであった。
(6)PhS−マガディアイト−PPMeと2MTの複合剤の調製。
前記で得られたPhS−マガディアイト−PPMe30gを2MT150gと混合し、25℃で2日間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取し、25℃で乾燥させ、PhS−マガディアイト−PPMeと2MTの複合剤(以後、PhS−マガディアイト−PPMe/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は2.11nmであった。
元素分析装置(ヤナコ分析工業社製、CHNコーダーMT−5)および熱重量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6300)を用いて得られた複合剤1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、122.6mgであった。
前記で得られたPhS−マガディアイト−PPMe30gを2MT150gと混合し、25℃で2日間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取し、25℃で乾燥させ、PhS−マガディアイト−PPMeと2MTの複合剤(以後、PhS−マガディアイト−PPMe/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は2.11nmであった。
元素分析装置(ヤナコ分析工業社製、CHNコーダーMT−5)および熱重量分析装置(日立ハイテクサイエンス社製、TG/DTA6300)を用いて得られた複合剤1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、122.6mgであった。
(7)PhS−マガディアイト−PPMe/2MT複合剤からの2MT放出試験。
前記で得られたPhS−マガディアイト−PPMe/2MT複合剤20gをオクタン1850gと混合し、25℃で撹拌した。
撹拌開始後、経時的にサンプリングを行い、サンプリング液を遠心分離し、その上澄み液中の2MTの濃度を、ガスクロマトグラフィ(アジレント・テクノロジー社製7820A、カラム:CP−Sil 5 CB)を用いて分析した。
その結果を表1および2に示す。
前記で得られたPhS−マガディアイト−PPMe/2MT複合剤20gをオクタン1850gと混合し、25℃で撹拌した。
撹拌開始後、経時的にサンプリングを行い、サンプリング液を遠心分離し、その上澄み液中の2MTの濃度を、ガスクロマトグラフィ(アジレント・テクノロジー社製7820A、カラム:CP−Sil 5 CB)を用いて分析した。
その結果を表1および2に示す。
<実施例2>メタクリロキシ架橋およびフェニルシリル基で層間修飾したマガディアイトの層間に2MTを挿入した徐放性動物用忌避剤の合成とその有効成分(2MT)の徐放性評価。
(1)DTMA−マガディアイトのメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MAC−TRIMSと記す)処理による層間シリル化(メタクリロイルオキシプロピル基の導入)。
実施例1(2)で得られたDTMA−マガディアイトを、Ph−TRIMS263g(反応点に対して7モル倍)に替えて、MAC−TRIMS39.2g(反応点に対して0.5モル倍)にした以外は実施例1(4)と同様にして層間シリル化を行うことによりシリル化マガディアイト(以後、MACPS−マガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に、得られたMACPS−マガディアイトの組成を算出した結果、メタクリロイルオキシプロピルシリル(MACPS)0.43DTMA0.56Me1.01Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は2.12nmであった。
(1)DTMA−マガディアイトのメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MAC−TRIMSと記す)処理による層間シリル化(メタクリロイルオキシプロピル基の導入)。
実施例1(2)で得られたDTMA−マガディアイトを、Ph−TRIMS263g(反応点に対して7モル倍)に替えて、MAC−TRIMS39.2g(反応点に対して0.5モル倍)にした以外は実施例1(4)と同様にして層間シリル化を行うことによりシリル化マガディアイト(以後、MACPS−マガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に、得られたMACPS−マガディアイトの組成を算出した結果、メタクリロイルオキシプロピルシリル(MACPS)0.43DTMA0.56Me1.01Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は2.12nmであった。
(2)MACPS−マガディアイトの架橋反応による層間架橋型層状無機化合物の合成
前記で得られたMACPS−マガディアイト100gおよびトルエン1450gを混合し、氷浴で冷却しながら窒素ガスを1時間バブリングして系内の酸素を除いた。その後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(以後、AIBNと記す)を7.88g加え、60℃で24時間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取し、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥し、メタクリロキシ基が架橋されたマガディアイト(以後、P−MACPS−マガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に得られたP−MACPS−マガディアイトの組成を算出した結果、架橋されたメタクリロイルオキシプロピル基(P−MACPS)0.06MACPS0.38DTMA0.56Me1.00Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は1.94nmであった。
前記で得られたMACPS−マガディアイト100gおよびトルエン1450gを混合し、氷浴で冷却しながら窒素ガスを1時間バブリングして系内の酸素を除いた。その後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(以後、AIBNと記す)を7.88g加え、60℃で24時間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取し、メタノール洗浄した後、60℃で乾燥し、メタクリロキシ基が架橋されたマガディアイト(以後、P−MACPS−マガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に得られたP−MACPS−マガディアイトの組成を算出した結果、架橋されたメタクリロイルオキシプロピル基(P−MACPS)0.06MACPS0.38DTMA0.56Me1.00Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は1.94nmであった。
(3)P−MACPS−マガディアイトのPh−TRIMS処理による層間シリル化(フェニル基の導入)。
部分プロトン化DTMA−マガディアイト100gを前記のP−MACPS−マガディアイト100gに変更にした以外は実施例1(4)と同様にして層間シリル化を行うことによりシリル化マガディアイト(以後、P−MACPS−PhS−ガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に、得られたP−MACPS−PhS−マガディアイトの組成を算出した結果、P−MACPS0.06MACPS0.38PhS0.38DTMA0.02Me1.16Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は1.95nmであった。
部分プロトン化DTMA−マガディアイト100gを前記のP−MACPS−マガディアイト100gに変更にした以外は実施例1(4)と同様にして層間シリル化を行うことによりシリル化マガディアイト(以後、P−MACPS−PhS−ガディアイトと記す)を得た。
前記と同様に、得られたP−MACPS−PhS−マガディアイトの組成を算出した結果、P−MACPS0.06MACPS0.38PhS0.38DTMA0.02Me1.16Si14O29・nH2Oであり、底面間隔は1.95nmであった。
(4)P−MACPS−PhS−マガディアイトと2MTの複合剤の調製
前記のP−MACPS−PhS−マガディアイトを実施例1(6)と同様にして2MTとの複合剤(以後、P−MACPS−PhS−マガディアイト/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は1.98nmであった。
前記と同様に、得られた複合体1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、83.4mgであった。
前記のP−MACPS−PhS−マガディアイトを実施例1(6)と同様にして2MTとの複合剤(以後、P−MACPS−PhS−マガディアイト/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は1.98nmであった。
前記と同様に、得られた複合体1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、83.4mgであった。
(5)P−MACPS−PhS−マガディアイト/2MT複合剤からの2MT放出試験。
実施例1(7)と同様にしてオクタン中の2MTの濃度を分析した。その結果を表1および2に示す。
実施例1(7)と同様にしてオクタン中の2MTの濃度を分析した。その結果を表1および2に示す。
<実施例3>メタクリロイルオキシプロピル基で層間修飾されたマガディアイトの層間に2MTを挿入した徐放性動物用忌避剤の合成とその有効成分(2MT)の徐放性評価。
(1)MACPS−マガディアイトと2MTの複合剤の合成。
実施例2(1)で得られたMACPS−マガディアイト30gを2MT150gと混合し、25℃で2日間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取し、25℃で乾燥させ、PhS−マガディアイト−PPMeと2MTの複合剤(以後、MACPS−マガディアイト/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は2.20nmであった。
前記と同様に、得られた複合剤1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、46.2mgであった。
(1)MACPS−マガディアイトと2MTの複合剤の合成。
実施例2(1)で得られたMACPS−マガディアイト30gを2MT150gと混合し、25℃で2日間撹拌した。その後、固体を吸引ろ取し、25℃で乾燥させ、PhS−マガディアイト−PPMeと2MTの複合剤(以後、MACPS−マガディアイト/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は2.20nmであった。
前記と同様に、得られた複合剤1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、46.2mgであった。
(2)MACPS−マガディアイト/2MT複合剤からの2MT放出試験。
実施例1(7)と同様にしてオクタン中の2MTの濃度を分析した。その結果を表1および2に示す。
実施例1(7)と同様にしてオクタン中の2MTの濃度を分析した。その結果を表1および2に示す。
<比較例1>DTMA基で層間修飾されたマガディアイトの層間に2MTを挿入した複合剤の合成とその2MTの徐放性評価。
(1)DTMA−マガディアイトと2MTの複合剤の合成
実施例1(2)で得られたDTMA−マガディアイトを実施例1(6)と同様にしてDTMA−マガディアイトと2MTの複合剤(以後、DTMA−マガディアイト/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は2.89nmであった。
前記と同様に、得られた複合体1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、12.0mgであった。
(1)DTMA−マガディアイトと2MTの複合剤の合成
実施例1(2)で得られたDTMA−マガディアイトを実施例1(6)と同様にしてDTMA−マガディアイトと2MTの複合剤(以後、DTMA−マガディアイト/2MT複合剤と記す)を得た。その底面間隔は2.89nmであった。
前記と同様に、得られた複合体1g中に吸着された2MT重量を算出した結果、12.0mgであった。
(2)DTMA−マガディアイト/2MT複合剤からの2MT放出試験
実施例1(7)と同様にしてオクタン中の2MTの濃度を分析した。その結果を表1および2に示す。
実施例1(7)と同様にしてオクタン中の2MTの濃度を分析した。その結果を表1および2に示す。
表1に示すように、実施例1〜3で示した本発明の有機無機複合基および有機無機複合架橋構造で層間修飾された層間修飾層状無機化合物をホスト化合物とした場合には、比較例1で示した従来のアルキルアンモニウムで層間有機化されたものに比べて、動物忌避の有効成分で先天的恐怖臭である2MTを効果的に吸着して保持することができ、実施例1では単位ホスト化合物当たりで比較例1の11.5倍の2MTを吸着することができ、実施例2では7.5倍、実施例3では4.0倍をそれぞれ吸着することができる。2MTのような有効成分であるゲスト化合物との相互作用が予測される官能基、例えば芳香族基であるフェニル基やカルボン酸エステル基であるメタクリロキシ基等、および層間距離を適切な範囲に制御できる架橋構造、例えばメタクリロキシ基が架橋した構造等を適切に設計して層間に導入することにより、所望のゲスト化合物に適した「格納庫」としてホスト化合物を容易に得ることができる。
また、ゲスト化合物の複合化後に層状無機化合物の底面間隔が拡大していることから、吸着されたゲスト化合物の多くが層間にインターカレーションされていることを示している。
また、ゲスト化合物の複合化後に層状無機化合物の底面間隔が拡大していることから、吸着されたゲスト化合物の多くが層間にインターカレーションされていることを示している。
表1の実施例1〜3および比較例1の複合剤を用いて実施した2MT放出試験において、測定したオクタン中の2MT濃度に基づき、初期のホスト−ゲスト複合剤中に吸着されていた2MTの量に対し、ホスト−ゲスト複合剤から放出されたゲスト化合物の割合を放出率として算出し、継時的に表したものを表2に示す。
表2において、実施例1〜3ではいずれも時間の経過とともに2MTの放出率が徐々に増加しており、試験溶媒であるオクタン中に動物忌避の有効成分である先天的恐怖臭が徐放されていることを示している。
さらに、実施例1〜3は放出速度が異なることから、ホスト化合物の層間修飾基を目的に合わせて適切に設計し、導入することにより、2MT等の先天的恐怖臭の放出速度を目的に応じて調節できることを示している。
一方、比較例1の従来技術では1時間後までに一部の2MTが放出された後は、2MTは層状無機化合物中に吸着されたまま放出されておらず、徐放化できていない。
表2において、実施例1〜3ではいずれも時間の経過とともに2MTの放出率が徐々に増加しており、試験溶媒であるオクタン中に動物忌避の有効成分である先天的恐怖臭が徐放されていることを示している。
さらに、実施例1〜3は放出速度が異なることから、ホスト化合物の層間修飾基を目的に合わせて適切に設計し、導入することにより、2MT等の先天的恐怖臭の放出速度を目的に応じて調節できることを示している。
一方、比較例1の従来技術では1時間後までに一部の2MTが放出された後は、2MTは層状無機化合物中に吸着されたまま放出されておらず、徐放化できていない。
このように、本発明の層間修飾層状無機化合物をホスト化合物として用いれば、特定の構造を有する先天的恐怖臭化合物を効果的に徐放化することができる上、層状無機化合物の層間に先天的恐怖臭化合物をインターカレーションしていることから、これらの動物忌避有効成分に耐熱性、耐水性および耐紫外線性等を付与することができる。このため、目的に応じて樹脂や繊維等に練り込んだり、成形したり、溶剤や重合性モノマー等と混合して塗料化し、塗布・硬化する等の様々な加工条件下で加工することができる上、高温、加湿、水中、屋外等の太陽光や風雨に曝露される等のさまざまな過酷な環境下でも長期間に亘って使用することができる。このように動物が馴化しない特定の構造を有す先天的恐怖臭と層間修飾層状無機化合物からなる徐放性動物用忌避剤は長期間に亘って動物忌避効果を発現することが可能である。
Claims (7)
- 層状無機化合物の層間に下記式(1)で表される有機無機複合基および/または下記式(2)で表される有機無機複合架橋構造を有する層間修飾層状無機化合物と、前記層間修飾層状無機化合物の層間に挿入された、下記式(3)で表される化合物またはその塩、鎖状スルフィド化合物およびアルキルイソチオシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む徐放性動物用忌避剤。
(式(2)において、M1およびM2は、それぞれ独立してSi、Al、TiまたはZrを示し、RaおよびRbは、それぞれ独立して炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキレン基、炭素数3〜20の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基または炭素数7〜20のアラルキレン基を示し、Rcは炭素数1〜40から成る有機基を示し、かつヘテロ原子、直鎖構造、分岐構造、環状構造、不飽和結合および芳香族構造を含んでも良く、Rdは炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキル基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を示し、Zは水素原子、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和アルキルオキシ基、炭素数3〜8の分岐鎖があっても良い飽和もしくは不飽和シクロアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、ジメチル
シリルオキシ基、炭素数1〜8の飽和もしくは不飽和ヘテロシクロアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のアルキルアミノ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖の飽和もしくは不飽和のジアルキルアミノ基または層状無機化合物由来の酸素原子を示し、M1およびM2がSi、TiまたはZrのいずれかの場合には、それに対応するxは2で、かつnは0〜2の整数であり、M1およびM2がAlの場合には、それに対応するxは1で、かつnは0または1であり、p、qおよびrは0または1の整数で、これらのうち少なくともいずれか1つは1である。)
(式(3)において、環Aは、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3〜7員の複素環を示し、ピロール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピロリジン、ヘキサヒドロピリダジン、イミダゾリジン、ピペリジン、エチレンスルフィド、トリメチレンスルフィド、チオフェン、チオラン、テトラヒドロ−2H−チオピラン、チアゾリン、チアゾール、チアゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チオモルホリン、チアジアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリジン、1,3−チアザン、5,6−ジヒドロ−4H−1,3−チアジン、フラン、2H−ピラン、4H−ピラン、オキサゾール、イソオキサゾール、モルホリンまたはオキサゾリンのいずれかであり、ReおよびRfはそれぞれ独立して水素、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、アシル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、置換されていてもよいチオール基、置換されていてもよいアミノ基またはオキソ基を示す。) - 前記式(1)におけるMならびに前記式(2)におけるM1およびM2がSiである請求項1または請求項2に記載の徐放性動物用忌避剤。
- 前記式(2)で表される有機無機複合架橋構造中に、カルボン酸エステル構造、ウレタン構造、尿素構造、アミン構造、エーテル構造、チオエーテル構造、ジスルフィド構造および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の徐放性動物用忌避剤。
- 前記層状無機化合物が層状ケイ酸塩、層状粘土鉱物および層状金属酸化物からなる群から選ばれる1つを含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の徐放性動物用忌避剤。
- 忌避動物が哺乳類動物である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の徐放性動物用忌避剤。
- 前記層間修飾層状無機化合物と、前記層間修飾層状無機化合物の層間に挿入する化合物と、を混合することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の徐放性動物用忌避剤の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021235516A1 (ja) * | 2020-05-21 | 2021-11-25 | 国立大学法人神戸大学 | 徐放性哺乳動物忌避組成物 |
WO2022190632A1 (ja) * | 2021-03-10 | 2022-09-15 | 株式会社カネカ | 動物忌避組成物及び動物の忌避方法 |
WO2022190633A1 (ja) * | 2021-03-10 | 2022-09-15 | 株式会社カネカ | 動物忌避装置及び動物の忌避方法 |
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