JP2024059184A - 変性スチレン系エラストマーの製造方法 - Google Patents

変性スチレン系エラストマーの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2024059184A
JP2024059184A JP2022166704A JP2022166704A JP2024059184A JP 2024059184 A JP2024059184 A JP 2024059184A JP 2022166704 A JP2022166704 A JP 2022166704A JP 2022166704 A JP2022166704 A JP 2022166704A JP 2024059184 A JP2024059184 A JP 2024059184A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
based elastomer
styrene
modified styrene
amine compounds
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022166704A
Other languages
English (en)
Inventor
和彦 森
茂 栗本
麗 佐竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Resonac Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd, Resonac Corp filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2022166704A priority Critical patent/JP2024059184A/ja
Publication of JP2024059184A publication Critical patent/JP2024059184A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Graft Or Block Polymers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】新規な変性スチレン系エラストマーの製造方法を提供すること。【解決手段】本開示の一態様は、スチレン系エラストマー及び無水マレイン酸を溶剤に溶解した混合液に、窒素雰囲気下でラジカル発生剤を添加し、スチレン系エラストマーに無水マレイン酸を反応させて、無水コハク酸基を有する第一の変性スチレン系エラストマーを合成する第一の工程と、上記第一の変性スチレン系エラストマーが有するアミン化合物無水コハク酸基に、アミン化合物を反応させて、N-置換スクシンイミド基を有する第二の変性スチレン系エラストマーを合成する第二の工程と、を備える、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマーの製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本開示は、変性スチレン系エラストマーの製造方法に関する。
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体、その水素添加物等から構成されるスチレン系エラストマーは、様々な用途に用いられている。接着性、親和性等の特性を付与するために、スチレン系エラストマーを無水マレイン酸等で変性することが知られている(例えば、特許文献1、2等参照)。
特開昭62-79252号公報 特開2013-028761号公報
本開示は、新規な変性スチレン系エラストマーの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様は、以下のN-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマーの製造方法に関する。
[1]スチレン系エラストマー及び無水マレイン酸を溶剤に溶解した混合液に、窒素雰囲気下でラジカル発生剤を添加し、前記スチレン系エラストマーに前記無水マレイン酸を反応させて、下記式(1)で表される基を有する第一の変性スチレン系エラストマーを合成する第一の工程と、

前記第一の変性スチレン系エラストマーが有する前記式(1)で表される基に、アミン化合物を反応させて、下記式(2)で表される基を有する第二の変性スチレン系エラストマーを合成する第二の工程と、を備える、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマーの製造方法。

(式中、Xは前記アミン化合物の残基を示し、*は結合部を示す。)
[2]前記アミン化合物が、水酸基を有するアミン化合物、カルボキシ基を有するアミン化合物、チオール基を有するアミン化合物、スルホ基を有するアミン化合物、リン酸基を有するアミン化合物、ビニル基を有するアミン化合物、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物、ニトリル基を有するアミン化合物、及び環状エーテル基を有するアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]に記載の方法。
[3]前記ラジカル発生剤が、有機過酸化物又はアゾ化合物である、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記溶剤が、トルエン、キシレン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記第一の工程において、前記スチレン系エラストマーに前記無水マレイン酸を60~100℃で反応させる、上記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記第二の工程において、前記式(1)で表される基にアミン化合物を10~50℃で反応させる、上記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
本開示によれば、新規な変性スチレン系エラストマーの製造方法を提供することができる。
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されない。本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書において、「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。「固形分」とは、樹脂組成物において、揮発する物質(水、溶剤等)を除いた不揮発分を指す。すなわち、「固形分」とは、後述する樹脂組成物の乾燥において揮発せずに残る溶剤以外の成分を指し、室温(25℃)で液状、水飴状又はワックス状の成分も含む。
[変性スチレン系エラストマー]
本実施形態に係る変性スチレン系エラストマーに製造方法は、スチレン系エラストマー及び無水マレイン酸を溶剤に溶解した混合液に、窒素雰囲気下でラジカル発生剤を添加し、スチレン系エラストマーに無水マレイン酸を反応させて、下記式(1)で表される基(以下、「無水コハク酸基」という場合もある。)を有する第一の変性スチレン系エラストマーを合成する第一の工程と、上記第一の変性スチレン系エラストマーが有する下記式(1)で表される基に、アミン化合物を反応させて、下記式(2)で表される基(以下、「N-置換スクシンイミド基」という場合もある。)を有する第二の変性スチレン系エラストマーを合成する第二の工程と、を備える。
式中、Xは前記アミン化合物の残基を示し、*は結合部を示す。なお、残基とは、アミン化合物から結合に供されたアミノ基を除いた部分の構造をいう。
第一の工程では、スチレン系エラストマー及び無水マレイン酸を溶剤に溶解した混合液に、窒素雰囲気下でラジカル発生剤を添加して、スチレン系エラストマーに無水マレイン酸を反応させることで、第一の変性スチレン系エラストマーを合成する。
反応温度は、60~100℃、65~95℃、又は70~90℃であってよい。これにより、スチレン系エラストマー及び無水マレイン酸を170℃以上の高温で溶融混練して、スチレン系エラストマーに無水マレイン酸を反応させる従来の方法に比べて、温和な条件で第一の変性スチレン系エラストマーを得ることができる。反応後は、副反応を抑制する観点から、未反応の無水マレイン酸を抽出により除去してもよい。
無水マレイン酸の添加量により、式(1)で表される基の変性率を調整することができる。第一の変性スチレン系エラストマーにおける式(1)で表される基の変性率は、例えば、0.1~10.0質量%、0.5~8.0質量%、又は1.0~6.0質量%であってよい。
スチレン系エラストマーは、スチレン系化合物に由来する構造単位と、共役ジエン化合物に由来する構造単位とを有する共重合体であってよい。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、及びp-tert-ブチルスチレンが挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α-メチルスチレン、及び4-メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、1,3-ペンタジエン(ピペリレン)、1-フェニル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、及び4,5-ジエチル-1,3-オクタジエンが挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましい。
スチレン系エラストマーは、共役ジエン化合物に由来する構造単位の少なくとも一部が水添された水添スチレン系エラストマーであってもよい。水添スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。SEBSの市販品としては、例えば、旭化成株式会社製のタフテック(登録商標)Hシリーズ、株式会社クラレ製のセプトン(登録商標)シリーズ、クレイトンポリマージャパン株式会社製のクレイトン(登録商標)Gポリマーシリーズ等が挙げられる。
ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2-ブタノンパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエイト、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、及びtert-ブチルヒドロパーオキシドが挙げられる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)、及び1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)が挙げられる。
溶剤としては、例えば、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、メシチレン、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、及び酢酸エチルが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、溶解性の観点から、トルエン、キシレン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。
(第二の工程)
第二の工程は、第一の変性スチレン系エラストマーが有する酸無水物基(無水コハク酸基)に、アミン化合物を反応させて、上記式(2)で表される基を有する第二の変性スチレン系エラストマーを合成する工程である。第一の変性スチレン系エラストマーが有する無水コハク酸基1当量に対して、1当量のアミン化合物を反応させることが好ましい。反応温度は、10~50℃、15~45℃、又は20~40℃であってよい。無水コハク酸基と、アミン化合物が有するアミノ基とが反応してアミック酸構造を形成した後、脱水環化反応により、イミド結合が形成される。脱水環化反応の温度は、100~140℃、100~130℃、又は100~120℃であってよい。
第二の工程では、第一の工程で合成した第一の変性スチレン系エラストマーを単離することなく、第一の変性スチレン系エラストマーを含む反応液にアミン化合物を添加し、第一の変性スチレン系エラストマーが有する無水コハク酸基に、アミン化合物を反応させてもよい。第一の工程及び第二の工程を同じ系内で行うワンポット法により、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマースチレン系エラストマーを得ることができる。
アミン化合物は、アミノ基を1つ有していれば特に限定されない。アミン化合物としては、例えば、水酸基を有するアミン化合物、カルボキシ基を有するアミン化合物、チオール基を有するアミン化合物、スルホ基を有するアミン化合物、リン酸基を有するアミン化合物、ビニル基を有するアミン化合物、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物、ニトリル基を有するアミン化合物、及び環状エーテル基を有するアミン化合物が挙げられる。
水酸基を有するアミン化合物としては、例えば、ヒドロキシエチルアミン等のアルコール性水酸基を有するアミン;及びチラミン、ドーパミン等のフェノール性水酸基を有するアミンが挙げられる。
本実施形態に係る変性スチレン系エラストマーの製造方法では、温和な条件でN-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマースチレン系エラストマーを得ることができる。本実施形態に係る変性スチレン系エラストマーは、N-置換スクシンイミド基を有することで、空気中の水分等により加水分解され難いため、安定性に優れている。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る変性スチレン系エラストマーと、他の成分(例えば、熱硬化性樹脂、硬化促進剤、フィラー、難燃剤等)とを混合して、樹脂組成物を作製することができる。本実施形態に係る変性スチレン系エラストマーは、熱硬化性樹脂に対する反応性を有しており、該樹脂組成物の硬化物は、耐熱性、強度等に優れている。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、マレイミド樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、及びユリア樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン骨格含有型エポキシ樹脂、2官能ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及びジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂が挙げられる。
(硬化促進剤)
硬化促進剤としては、例えば、潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール化合物、BFアミン錯体、リン系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤を配合する場合、樹脂組成物の保存安定性、半硬化の樹脂組成物の取扱性、及び硬化物のはんだ耐熱性の観点から、イミダゾール化合物及びリン系硬化促進剤が好ましい。
(フィラー)
フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マイカ、ベリリア、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、炭酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、焼成クレー、タルク、ホウ酸アルミニウム、及び炭化ケイ素が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
フィラーの形状及び粒径についても特に制限はない。フィラーの粒径は、例えば、0.01~20μmであっても、0.1~10μmであってもよい。ここで、粒径とは、平均粒子径を指し、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、体積50%に相当する点の粒子径のことである。平均粒径はレーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
フィラーの分散性、有機成分との密着性を向上させる等の目的で、必要に応じ、カップリング剤を併用できる。カップリング剤としては特に限定されず、例えば、各種のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等を用いることができる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、カップリング剤の使用量も特に限定されず、例えば、使用するフィラー100質量部に対して0.1~5質量部としてもよいし、0.5~3質量部としてもよい。この範囲であれば、諸特性の低下が少なく、フィラーの使用による特長を効果的に発揮し易くなる。
カップリング剤を用いる場合、樹脂組成物中にフィラーを配合した後、カップリング剤を添加する、いわゆるインテグラルブレンド処理方式であってもよいが、予めフィラーにカップリング剤を、乾式又は湿式で表面処理したフィラーを使用する方式が好ましい。この方法を用いることで、より効果的に上記フィラーの特長を発現できる。
(難燃剤)
難燃剤としては特に限定されないが、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、金属水酸化物等が好適に用いられる。臭素系難燃剤としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化添加型難燃剤、不飽和二重結合基含有の臭素化反応型難燃剤等が挙げられる。リン系難燃剤としては、例えば、芳香族系リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
樹脂組成物は、必要に応じて、溶剤を用いて希釈してもよい。溶剤は特に限定されないが、製膜時の揮発性等を沸点から考慮して決めることができる。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等の比較的低沸点の溶剤が挙げられる。溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、上記した各成分を均一に分散及び混合することによって得ることができ、その調製手段、条件等は特に限定されない。例えば、所定配合量の各種成分をミキサー等によって十分に均一に撹拌及び混合した後、ミキシングロール、押出機、ニーダー、ロール、エクストルーダー等を用いて混練し、更に得られた混練物を冷却及び粉砕する方法が挙げられる。なお、混練形式についても特に限定されない。
[樹脂フィルム]
本実施形態に係る樹脂組成物を用いて、樹脂フィルムを作製することができる。なお、樹脂フィルムとは未硬化又は半硬化のフィルム状の樹脂組成物を指す。
樹脂フィルムの作製方法は限定されないが、例えば、樹脂組成物を支持基材上に塗布して形成された樹脂層を乾燥することで得られる。具体的には、上記樹脂組成物をキスコーター、ロールコーター、コンマコーター等を用いて支持基材上に塗布した後、加熱乾燥炉中等で、例えば70~250℃、好ましくは70~200℃の温度で、1~30分間、好ましくは3~15分間乾燥してもよい。これにより、樹脂組成物が半硬化した状態の樹脂フィルムを得ることができる。
半硬化した状態の樹脂フィルムを、加熱炉で更に、例えば、170~250℃、好ましくは185~230℃の温度で、60~150分間加熱させることによって樹脂フィルムを熱硬化させることができる。
本実施形態に係る樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、1~200μmであることが好ましく、2~180μmであることがより好ましく、3~150μmであることが更に好ましい。樹脂フィルムの厚さを上記の範囲とすることにより、本実施形態に係る樹脂フィルムを用いて得られるプリント配線板の薄型化と良好な高周波特性を両立し易い。
支持基材は特に限定されないが、ガラス、金属箔及びPETフィルムからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。樹脂フィルムが支持基材を備えることにより、保管性及びプリント配線板の製造に用いる際の取扱性が良好となる傾向にある。すなわち、本実施形態に係る樹脂フィルムは、本実施形態に係る樹脂組成物を含む樹脂層及び支持基材を備える、樹脂層付き支持体の形態をとることができ、使用される際には支持基材から剥離してもよい。
[プリプレグ]
本実施形態に係る樹脂組成物を用いてプリプレグを作製することができる。本実施形態に係る樹脂組成物を補強基材である繊維基材に塗工し、塗工された樹脂組成物を乾燥させてプリプレグを得ることができる。また、プリプレグは、繊維基材を本実施形態に係る樹脂組成物に含浸した後、含浸された樹脂組成物を乾燥させて得てもよい。具体的には、樹脂組成物が付着した繊維基材を、乾燥炉中で通常、80~200℃の温度で、1~30分間加熱乾燥することで、樹脂組成物が半硬化したプリプレグを得られる。良好な成形性の観点からは、繊維基材に対する樹脂組成物の付着量は、乾燥後のプリプレグ中の樹脂含有率として30~90質量%となるように塗工又は含浸することが好ましい。
プリプレグの補強基材としては限定されないが、シート状繊維基材が好ましい。シート状繊維基材としては、例えば、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Qガラス等の無機繊維;ポリイミド、ポリエステル、テトラフルオロエチレン等の有機繊維が挙げられる。シート状繊維基材として、織布、不織布、チョップドストランドマット等の形状を有するものが使用できる。
[積層板]
本実施形態によれば、上述の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、導体層とを有する積層板を提供することができる。例えば、上記樹脂フィルム又は上記プリプレグを用い、金属張積層板を製造することができる。
金属張積層板の製造方法は限定されないが、例えば、本実施形態に係る樹脂フィルム又はプリプレグを1枚又は複数枚重ね、少なくとも一つの面に導体層となる金属箔を配置し、例えば、170~250℃、好ましくは185~230℃の温度及び0.5~5.0MPaの圧力で60~150分間加熱及び加圧することにより、絶縁層となる樹脂層又はプリプレグの少なくとも一つの面に金属箔を備える金属張積層板が得られる。加熱及び加圧は、例えば、真空度は10kPa以下、好ましくは5kPa以下の条件で実施でき、効率を高める観点からは真空中で行うことが好ましい。加熱及び加圧は、開始から30分間~成形終了時間まで実施することが好ましい。
[多層プリント配線板]
本実施形態によれば、上述の樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と、回路層とを備える多層プリント配線板を提供することができる。回路層の数の上限値は特に限定されず、3層~20層であってもよい。多層プリント配線板は、例えば、上記樹脂フィルム、プリプレグ又は金属張積層板を用いて製造することもできる。
多層プリント配線板の製造方法としては特に限定されないが、例えば、まず、回路形成加工されたコア基板の片面又は両面に、樹脂フィルムを配置するか、あるいは複数枚のコア基板の間に樹脂フィルムを配置し、加圧及び加熱ラミネート成形、又は加圧及び加熱プレス成形を行って各層を接着した後、レーザー穴開け加工、ドリル穴開け加工、金属めっき加工、金属エッチング等による回路形成加工を行うことで、多層プリント配線板を製造することができる。樹脂フィルムが支持基材を有している場合、支持基材は、コア基板上又はコア基板間に樹脂フィルムを配置する前に剥離しておくか、あるいは、樹脂層をコア基板に張り付けた後に剥離することができる。
以上、本開示の好適な実施形態を説明したが、これらは本開示の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
以下、本開示を実施例に基づいて更に詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
(第一の工程)
冷却管、窒素導入管、熱電対、及び攪拌機を備えた2Lのフラスコに、キシレン950g、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(旭化成株式会社製、商品名「タフテックH1041」)100g、及び無水マレイン酸(富士フイルム和光純薬株式会社)8gを投入し、80℃で0.5時間攪拌した後、0.5cm/Lの流量で窒素バブリングを1.0時間行った。次いで、過酸化ベンゾイル(富士フイルム和光純薬株式会社)3gを添加し、80℃で窒素バブリングをしながら6.0時間攪拌し、反応を行った。反応液から未反応の無水マレイン酸をイソプロピルアルコールにより3回抽出して除去した後、濃縮した。濃縮物を70℃で真空乾燥し、無水コハク酸基を有する変性スチレン系エラストマー(M-1)を得た。(M-1)の無水マレイン酸の変性率は、1.6質量%であった。
(第二の工程)
2Lフラスコに、(M-1)150g、トルエン1200g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)133gを投入し、80℃で1.0時間攪拌した。次いで、フラスコ内を30℃に降温し、トルエン9.9g及びPGME9.9gに2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(富士フイルム和光純薬株式会社製)2.2gを溶解した溶液を滴下し、1.0時間攪拌した。その後、フラスコ内の温度を還流温度(約110℃)まで昇温し、窒素を循環させながら3.0時間脱水環化反応を行い、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマー(D-1)の溶液を得た。
(D-1)のFT-IRスペクトルを測定し、1780cm-1付近の無水コハク酸基に由来するピークが消失し、1700cm-1付近にイミド基に由来するピークを有することを確認した。
[実施例2]
(第一の工程)
無水マレイン酸の量を17gに変更し、過酸化ベンゾイルの量を6.5gに変更した以外は実施例1と同様に第一の工程を行い、無水コハク酸基を有する変性スチレン系エラストマー(M-2)を得た。(M-2)の無水マレイン酸の変性率は、3.3質量%であった。
(第二の工程)
2Lフラスコに、(M-2)150g、トルエン1200g、及びPGME133gを投入し、80℃で1.0時間攪拌した。次いで、フラスコ内を30℃に降温し、トルエン13.5g及びPGME13.5gにエタノールアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)を3.0g溶解させた溶液を滴下し、1.0時間攪拌した。その後、フラスコ内の温度を還流温度(約110℃)まで昇温し、窒素を循環させながら3.0時間脱水環化反応を行い、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマー(D-2)の溶液を得た。
(D-2)のFT-IRスペクトルを測定し、1780cm-1付近の無水コハク酸基に由来するピークが消失し、1700cm-1付近にイミド基に由来するピークを有することを確認した。
[実施例3]
(第二の工程)
2Lフラスコに、(M-1)150g、トルエン1200g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)133gを投入し、トルエン14.9g及びPGME14.9gにチラミン(富士フイルム和光純薬株式会社製)3.3gを溶解した溶液を滴下した以外は、実施例1と同様の第二の工程を行い、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマー(D-3)の溶液を得た。
(D-3)のFT-IRスペクトルを測定し、1780cm-1付近の無水コハク酸基に由来するピークが消失し、1700cm-1付近にイミド基に由来するピークを有することを確認した。
[実施例4]
(第一の工程)
冷却管、窒素導入管、熱電対、及び攪拌機を備えた2Lのフラスコに、キシレン950g、「タフテックH1041」100g、及び無水マレイン酸17gを投入し、80℃で0.5時間攪拌した後、0.5cm/Lの流量で窒素バブリングを1.0時間行った。次いで、過酸化ベンゾイル6.5gを添加し、80℃で窒素バブリングをしながら6.0時間攪拌し、反応液を得た。反応液は、無水コハク酸基を有する変性スチレン系エラストマー(M-3)を含んでいた。(M-3)の無水マレイン酸の変性率は、3.3質量%であった。
(第二の工程)
(M-3)を含む反応液に、PGME105gを投入し、80℃で1.0時間攪拌した。次いで、フラスコ内を30℃に降温し、トルエン9.5g及びPGME9.5gにエタノールアミンを2.1g溶解させた溶液を滴下し、1.0時間攪拌した。その後、フラスコ内の温度を還流温度(約110℃)まで昇温し、窒素を循環させながら3.0時間脱水環化反応を行い、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマー(D-4)の溶液を得た。
(D-4)のFT-IRスペクトルを測定し、1780cm-1付近の無水コハク酸基に由来するピークが消失し、1700cm-1付近にイミド基に由来するピークを有することを確認した。

Claims (6)

  1. スチレン系エラストマー及び無水マレイン酸を溶剤に溶解した混合液に、窒素雰囲気下でラジカル発生剤を添加し、前記スチレン系エラストマーに前記無水マレイン酸を反応させて、下記式(1)で表される基を有する第一の変性スチレン系エラストマーを合成する第一の工程と、

    前記第一の変性スチレン系エラストマーが有する前記式(1)で表される基に、アミン化合物を反応させて、下記式(2)で表される基を有する第二の変性スチレン系エラストマーを合成する第二の工程と、を備える、N-置換スクシンイミド基を有する変性スチレン系エラストマーの製造方法。

    (式中、Xは前記アミン化合物の残基を示し、*は結合部を示す。)
  2. 前記アミン化合物が、水酸基を有するアミン化合物、カルボキシ基を有するアミン化合物、チオール基を有するアミン化合物、スルホ基を有するアミン化合物、リン酸基を有するアミン化合物、ビニル基を有するアミン化合物、(メタ)アクリロイル基を有するアミン化合物、ニトリル基を有するアミン化合物、及び環状エーテル基を有するアミン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ラジカル発生剤が、有機過酸化物又はアゾ化合物である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記溶剤が、トルエン、キシレン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記第一の工程において、前記スチレン系エラストマーに前記無水マレイン酸を60~100℃で反応させる、請求項1又は2に記載の方法。
  6. 前記第二の工程において、前記式(1)で表される基にアミン化合物を10~50℃で反応させる、請求項1又は2に記載の方法。
JP2022166704A 2022-10-18 2022-10-18 変性スチレン系エラストマーの製造方法 Pending JP2024059184A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022166704A JP2024059184A (ja) 2022-10-18 2022-10-18 変性スチレン系エラストマーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022166704A JP2024059184A (ja) 2022-10-18 2022-10-18 変性スチレン系エラストマーの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024059184A true JP2024059184A (ja) 2024-05-01

Family

ID=90828215

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022166704A Pending JP2024059184A (ja) 2022-10-18 2022-10-18 変性スチレン系エラストマーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024059184A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101776560B1 (ko) 수지 조성물, 프리프레그, 금속박 피복 적층판, 수지 복합 시트, 및 프린트 배선판
TWI814832B (zh) 樹脂組成物、預浸體、覆金屬箔疊層板、樹脂片及印刷配線板
US9872382B2 (en) Low dielectric composite material and laminate and printed circuit board thereof
TWI589686B (zh) Low-dielectric phosphorus-containing flame retardant resin composition and its preparation method and application
JP7151834B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、積層板、プリント配線板及び高速通信対応モジュール
CN111635626B (zh) 树脂组合物、半固化片、层压片、半固化片的制备方法、层压片的制备方法及其应用
CN111285980B (zh) 无卤素低介电树脂组合物,使用其所制得的预浸渍片、金属箔积层板及印刷电路板
JP6854505B2 (ja) 樹脂組成物、それを用いた熱硬化性フィルム
JP6089615B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板及びプリント配線板
JP4872160B2 (ja) 誘電特性に優れる樹脂組成物並びにこれを用いて作製されるワニス、ワニスの製造方法、プリプレグ及び金属張積層板
TW202108679A (zh) 樹脂組成物、預浸體、附樹脂之薄膜、附樹脂之金屬箔、覆金屬積層板及配線板
JP2014503029A (ja) 電気積層板、高密度相互接続および相互接続基材応用に有用な高性能熱硬化性樹脂
JP6946578B2 (ja) 樹脂組成物およびその製造方法
JP2024059184A (ja) 変性スチレン系エラストマーの製造方法
WO2024038847A1 (ja) 変性スチレン系エラストマー
JP5712488B2 (ja) 絶縁性樹脂フィルム及びそれを用いた積層板、配線板
JP2018021156A (ja) 樹脂組成物、並びにこれを用いた硬化成形物、接着シート、並びに基板
WO2024038845A1 (ja) 樹脂組成物
WO2024135629A1 (ja) 変性スチレン系エラストマー及び変性スチレン系エラストマーの製造方法
JP2012077107A (ja) 熱硬化性組成物の製造方法並びに熱硬化性組成物を用いた熱硬化性複合シート及び金属張積層板
TW202417567A (zh) 樹脂組成物
WO2024038846A1 (ja) 変性スチレン系エラストマー
TW202417528A (zh) 改質苯乙烯系彈性體
WO2024038848A1 (ja) マレイミド変性スチレン系エラストマー及びマレイミド変性スチレン系エラストマーの製造方法
TW202415684A (zh) 順丁烯二醯亞胺改質苯乙烯系彈性體及順丁烯二醯亞胺改質苯乙烯系彈性體之製造方法