JP2024057589A - 耐震補強構造体およびその製造方法 - Google Patents

耐震補強構造体およびその製造方法 Download PDF

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智▲徳▼ 大谷
Tomonori Otani
陸人 奥野
Rikuto Okuno
鉄雄 村田
Tetsuo Murata
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Abstract

【課題】エネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させることができる耐震補強構造体を提供する。【解決手段】一方側端部2aが補強対象構造物50の一方の連結対象部53aに連結される外鋼管2と、一方側が外鋼管2の管内に挿入され、外鋼管2から他方側に突出した他方側端部3bが補強対象構造物50の他方の連結対象部53bに連結される軸材3と、外鋼管2の管内で軸材3の厚さ方向Zの両側にそれぞれ配設された中板材4とを備え、それぞれの中板材4と外鋼管2の他方側端部どうしを接合し、それぞれの中板材4と軸材3の一方側端部どうしを接合した構成にする。さらに、中板材4と外鋼管2と他方側の接合部と、中板材4と軸材3との一方側の接合部との間の所定範囲において、軸材3に、軸材3の一方側端部3aおよび他方側端部3bの幅寸法よりも幅を狭めた幅狭部3nを設けた構造にする。【選択図】図3

Description

本発明は、耐震補強構造体に関し、さらに詳しくは、地震により補強対象構造物から伝達されるエネルギーを繰り返して吸収するエネルギー吸収性能を長期間にわたって維持する繰り返し性能を向上させることができる設計自由度の高い耐震補強構造体に関するものである。
補強対象構造物の耐震補強として、補強対象構造物の2ヶ所の連結対象部の間に延設されるブレースなどの耐震補強構造体が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の座屈拘束ブレースは、補強対象構造物の2ヶ所の連結対象部の離間距離と概ね同じ長さの1本の軸材と、その軸材が挿通された鋼管と、鋼管と軸材とのすき間に充填された充填材とを備えている。そして、補強対象構造物の一方の連結対象部に軸材の一方側端部を連結し、補強対象構造物の他方の連結対象部に軸材の他方側端部を連結した構造になっている。
この座屈拘束ブレースでは、地震によって補強対象構造物から伝達されるエネルギーを吸収する変形可能な部材長さは、2ヶ所の連結対象部の間に延在する軸材の長さとなる。この座屈拘束ブレースの構造では、補強対象構造物から伝達されるエネルギーを吸収する変形可能な部材長さを、2ヶ所の連結対象部の離間距離よりも長く確保することはできないため、設計の自由度が比較的低い。
特開2021-80629号公報
本発明の目的は、地震により補強対象構造物から伝達されるエネルギーを繰り返して吸収するエネルギー吸収性能を長期間にわたって維持する繰り返し性能を向上させることができる設計自由度の高い耐震補強構造体を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明の耐震補強構造体は、補強対象構造物の2ヶ所の連結対象部の間に延設される耐震補強構造体において、前記耐震補強構造体の長手方向に延在して一方側端部が前記補強対象構造物の一方の前記連結対象部に直接または間接的に連結される筒形状の外鋼管と、前記長手方向に延在して一方側が前記外鋼管の管内に挿入されていて、前記外鋼管から他方側に突出した他方側端部が前記補強対象構造物の他方の前記連結対象部に連結される軸材と、前記外鋼管に挿入されている前記軸材の挿入領域の厚さ方向の両側にそれぞれ配設されて、前記軸材の外面とその外面に対向する前記外鋼管の内面との間に介在して前記長手方向に延在する中板材とを備え、それぞれの前記中板材の他方側端部と前記外鋼管の他方側端部とが接合され、それぞれの前記中板材の一方側端部と前記軸材の一方側端部とが接合されていて、前記中板材の他方側端部および前記外鋼管の他方側端部の接合部と、前記中板材の一方側端部および前記軸材の一方側端部の接合部との間の前記長手方向の所定範囲において、前記軸材には、前記軸材の一方側端部および他方側端部の幅寸法よりも幅を狭めた幅狭部が設けられていることを特徴とする。
本発明の耐震補強構造体の製造方法は、上記の耐震補強構造体の製造方法であって、前記幅狭部を有する前記軸材の前記厚さ方向の両側にそれぞれ前記中板材を配設し、それぞれの前記中板材の一方側端部と前記軸材の一方側端部とを接合した後に、その接合した前記軸材および前記中板材の一方側を前記外鋼管の管内に他方側から挿入し、前記軸材の他方側端部を前記外鋼管の他方側に突出させた状態で、それぞれの前記中板材の他方側端部と前記外鋼管の他方側端部とを接合することを特徴とする。
本発明の耐震補強構造体では、それぞれの中板材の他方側端部と外鋼管の他方側端部とを接合し、それぞれの中板材の一方側端部と軸材の一方側端部とを接合した構造にしていることで、外鋼管と中板材と軸材とが長手方向に往復する(折り返した)蛇腹状に連結された構造となる。これにより、地震によって補強対象構造物から耐震補強構造体に伝達されるエネルギーを吸収する耐震補強構造体の変形可能な部材長さを、耐震補強構造体が連結される補強対象構造物の2ヶ所の連結対象部の離間距離よりも長くすることが可能になる。そのため、設計者は耐震補強構造体に要求される耐震補強性能に応じて、耐震補強構造体の変形可能な部材長さや耐震補強構造体の剛性をより自由に設計することが可能になる。さらに、中板材の他方側端部および外鋼管の他方側端部の接合部と、中板材の一方側端部および軸材の一方側端部の接合部との間の長手方向の所定範囲において、軸材に、軸材の一方側端部および他方側端部の幅寸法よりも幅を狭めた幅狭部を設けている。この軸材に設けている幅狭部は、幅狭部よりも幅が広い軸材の一方側端部や他方側端部よりも応力度が相対的に高くなる。軸材にあえて応力度が相対的に高い幅狭部を設けることで、地震により補強対象構造物から耐震補強構造体に伝達される応力が軸材の幅狭部に集中し易くなり、軸材の幅狭部が変形することで補強対象構造物から伝達されるエネルギーを効果的に吸収できる。さらに、軸材に幅狭部を設けることで、地震により補強対象構造物から伝達される応力を軸材の幅狭部へ伝達する中板材の他方側端部と外鋼管の他方側端部との接合部や、中板材の一方側端部と軸材の一方側端部との接合部に応力が集中し難く、軸材の幅狭部に応力が集中し易い構造になる。そのため、補強対象構造物から伝達されるエネルギーを吸収する軸材の幅狭部が降伏する以前に、軸材の幅狭部に応力を伝達する前述した接合部が破損するリスクを低減できる。
それ故、地震により補強対象構造物から伝達されるエネルギーを繰り返して吸収するエネルギー吸収性能を長期間にわたって維持する耐震補強構造体の繰り返し性能を向上させることができる。
本発明の耐震補強構造体の製造方法では、軸材の厚さ方向の両側にそれぞれ中板材を配設し、それぞれの中板材の一方側端部と軸材の一方側端部とを接合した後に、その接合した軸材および中板材の一方側を外鋼管の管内に他方側から挿入する。そして、その後に、軸材の他方側端部を外鋼管の他方側に突出させた状態で、それぞれの中板材の他方側端部と外鋼管の他方側端部とを接合することで、耐震補強構造体を少ない作業工数で容易に効率よく製造できる。
本発明の耐震補強構造体を補強対象構造物の2点間に延設した状態を側面視で例示する説明図である。 補強対象構造物に取付けていない状態の耐震補強構造体を平面視で例示する説明図である。 図2のA-A断面矢視図である。 図2のB-B断面矢視図である。 図3のC-C断面矢視図である。 図3のD-D断面矢視図である。 図4のE-E断面矢視図である。 図4のF-F断面矢視図である。 図4のG-G断面矢視図である。 本発明に係る別の実施形態の耐震補強構造体を側面視で例示する説明図である。 図10のH-H断面矢視図である。 図10の耐震補強構造体の断面図である。 図10の耐震補強構造体に対して圧縮する方向の応力が作用した状態を断面視で例示する説明図である。 図10の耐震補強構造体に対して引張る方向の応力が作用した状態を断面視で例示する説明図である。 本発明に係るさらに別の実施形態の耐震補強構造体を断面視で例示する説明図である。 本発明に係るさらに別の実施形態の耐震補強構造体を断面視で例示する説明図である。 図16のI矢視図である。
以下、本発明の耐震補強構造体を図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に例示する本発明の耐震補強構造体1は、耐震補強の対象となる補強対象構造物50の耐震性を向上させるものであり、補強対象構造物50の2ヶ所の連結対象部53a、53bの間に延設される。図1では、一対の柱51と一対の梁52で構成された補強対象構造物50に耐震補強構造体1を適用した場合を例示している。一対の柱51と一対の梁52とで囲まれる矩形の空間において対向する位置の角部に2ヶ所の連結対象部53a、53bとして、一対のガセットプレートが配設されている。耐震補強構造体1は、一方側の端部が一方の連結対象部53aに連結され、他方側の端部が他方の連結対象部53bに連結されることで、2ヶ所の連結対象部53a、53bの間に延設される。
以下では、図1の紙面の右下側の連結対象部53aに連結される耐震補強構造体1の端部を一方側の端部とし、紙面の左上側の連結対象部53bに連結される耐震補強構造体1の端部を他方側の端部として説明する。地震時には、補強対象構造物50(柱51および梁52)に作用する応力を連結対象部53a、53bから耐震補強構造体1に伝達させて、その応力を耐震補強構造体1によって吸収することで、補強対象構造物50にかかる負荷を低減する。
図2は、補強対象構造物50に取付けていない状態の耐震補強構造体1を平面視で例示している。本願図中(図2~図9)に示すX方向は耐震補強構造体1の長手方向(以下、長手方向X)、Y方向は耐震補強構造体1の幅方向(以下、幅方向Y)、Z方向は耐震補強構造体1の厚さ方向(以下、厚さ方向Z)を示している。図2~図6では、紙面の下側を耐震補強構造体1の一方側とし、紙面の上側を耐震補強構造体1の他方側としている。
図2~図4に例示するように、本発明の耐震補強構造体1は、筒形状の外鋼管2と、軸材3と、2枚の中板材4とを備えている。この実施形態の耐震補強構造体1は、さらに、連結材5、第一バンドプレート6、第二バンドプレート7、エンドプレート8、リング形エンドプレート9、リブスペーサ10および首折れ補強プレート11を備えている。
外鋼管2は、鉄鋼などの金属で形成された筒形状の部材である。この実施形態では、断面形状が四角形状である角筒状の外鋼管2を用いている。この角筒状の外鋼管2は、例えば、角鋼管で構成できる。この角筒状の外鋼管2は、例えば、4枚の金属板を溶接で接合して形成することもできる。外鋼管2は金属製の筒形状の部材であればよく、他にも例えば、断面形状が四角形以外の多角筒形状の外鋼管2や円筒形状の外鋼管2などを用いることもできる。外鋼管2は、長手方向Xに延在して一方側端部2aが補強対象構造物50の一方の連結対象部53aに直接または間接的に連結される。この実施形態では、外鋼管2の一方側端部2aに連結材5が接合されていて、連結材5が一方の連結対象部53aに連結される構成になっている。連結材5は、例えば、H形鋼や鋼板などで構成される。
図2に例示するように、この実施形態では、連結材5の他方側が外鋼管2の一方側端部2aに挿入され、連結材5の一方側端部が外鋼管2の一方側に突出した状態で、外鋼管2の一方側端部2aと連結材5とが溶接で接合されている。連結材5の一方側端部には、連結対象部53aとの連結に使用するボルトが挿入可能なボルト穴が複数形成されている。
連結材5の構造や、外鋼管2と連結材5との接合構造は、この実施形態の構成に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。この実施形態では、連結材5を介して外鋼管2の一方側端部2aを、一方の連結対象部53aに間接的に連結する場合を例示しているが、外鋼管2の一方側端部2aを一方の連結対象部53aに直接接合可能な構造にすることもできる。
外鋼管2の長手方向Xの寸法や、幅方向Yの寸法、厚さ方向Zの寸法、外鋼管2を形成する鋼板の厚さなどはそれぞれ、補強対象構造物50のサイズや構造、耐震補強構造体1に要求されるエネルギー吸収性能などに応じて適宜決定できる。外鋼管2の長手方向Xの寸法は、例えば、2ヶ所の連結対象部53a、53bの離間距離の例えば、75%~90%の長さに設定される。外鋼管2の幅方向Yの外寸と厚さ方向Zの外寸は、例えば、100mm~500mm程度に設定される。外鋼管2を形成する鋼板の厚さは、例えば、10mm~25mm程度に設定される。
軸材3は、H形鋼や角鋼管、溝形鋼などで構成される。他にも例えば、断面形状が四角形以外の多角筒形状の軸材3や円筒形状の軸材3を用いることもできる。軸材3は、長手方向Xに延在して一方側が外鋼管2の管内に挿入されていて、外鋼管2から他方側に突出した他方側端部3bが他方の連結対象部53bに連結される。この実施形態では、軸材3がH形鋼で構成され、H形鋼のウェブが長手方向Xおよび厚さ方向Zに延在し、一対のフランジが長手方向Xおよび幅方向Yに延在する向きで配置されている。軸材3の他方側端部3bには、連結対象部53bとの連結に使用するボルトが挿入可能なボルト穴が複数形成されていて、軸材3の他方側端部3bが他方の連結対象部53bに連結される構成になっている。
図3および図5に例示するように、軸材3の一方側端部3aは、外鋼管2の中途位置に配置されている。外鋼管2の長手方向Xの寸法に対して、外鋼管2の他方側の例えば、60%~90%程度の位置まで軸材3の一方側が挿入された状態になっている。
軸材3の長手方向Xの寸法や、幅方向Yの寸法、厚さ方向Zの寸法、軸材3を形成する鋼板の厚さなどはそれぞれ、補強対象構造物50のサイズや構造、耐震補強構造体1に要求されるエネルギー吸収性能などに応じて適宜決定できる。軸材3の長手方向Xの寸法は、2ヶ所の連結対象部53a、53bの離間距離の例えば、75%~90%程度の長さに設定される。軸材3の厚さ方向Zの外寸は、例えば、180mm~480mm程度である。軸材3を形成する鋼板の厚さは、例えば、15mm~40mm程度である。
中板材4は、鉄鋼などの金属で形成された板状の部材であり、例えば、鋼板などで構成される。図3や図7~図9に例示するように、外鋼管2に挿入されている軸材3の挿入領域の厚さ方向Zの両側にそれぞれ中板材4が配設されている。中板材4は、軸材3の外面とその外面に対向する外鋼管2の内面との間に介在して長手方向Xに延在している。中板材4は、軸材3の外面に当接している。中板材4と外鋼管2の内面との間には、微小なすき間が設けられている。前述した微小なすき間の大きさは、例えば、1mm以上10mm以下、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2mm以下の範囲内に設定するとよい。それぞれの中板材4は、軸材3の一方側端部3aから外鋼管2の他方側端部2bまで延在している。
図3に例示するように、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとが溶接で接合され、それぞれの中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとが溶接で接合されている。図中では、それぞれの溶接部20を黒塗りで示している。即ち、外鋼管2の他方側端部2bに中板材4の他方側端部4bが接合され、中板材4の一方側端部4aに軸材3の一方側端部3aが接合されていることで、外鋼管2と中板材4と軸材3とが長手方向Xに往復する(折り返した)蛇腹状に連結された構造になっている。
より詳しくは、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bに開先(溝)を形成して、その開先を溶接することで、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bとを接合している。また、中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aに開先を形成して、その開先を溶接することで、中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとを接合している。
図3および図5に例示するように、この耐震補強構造体1では、大きな特徴として、中板材4の他方側端部4bおよび外鋼管2の他方側端部2bの接合部と、中板材4の一方側端部4aおよび軸材3の一方側端部3aの接合部との間の長手方向Xの所定範囲において、軸材3には、軸材3の一方側端部3aおよび他方側端部3bの幅寸法W1よりも幅を狭めた幅狭部3nが設けられている。軸材3の一方側端部3aは、幅狭部3nよりも幅寸法が広い幅広部3wになっている。軸材3の他方側の外鋼管2の他方側端部2b付近に挿入されている部分から外鋼管2の他方側に突出している他方側端部3bまでも、幅狭部3nよりも幅寸法が広い幅広部3wになっている。
この実施形態では、軸材3を構成するH形鋼の一対のフランジの一部を切削して、フランジの幅を狭める加工を行うことで、幅狭部3nを形成している。軸材3の幅広部3wと幅狭部3nとの境界部分は滑らかな曲線状に加工されていて、幅広部3wと幅狭部3nとの境界部分に応力が集中し難い構造になっている。
軸材3の幅狭部3nの幅寸法W2は、幅広部3wの幅寸法W1の例えば、0.3倍以上0.9倍以下、より好ましくは0.4倍以上0.8倍以下、さらに好ましくは0.5倍以上0.7倍以下の範囲内に設定する。軸材3の幅広部3wの幅寸法W1は、例えば、150mm~200mm程度に設定し、軸材3の幅狭部3nの幅寸法W2は、例えば、100mm~150mm程度に設定する。
図6に例示するように、この実施形態では、中板材4は、厚さ方向Zから見て、中板材4が重なる範囲の軸材3と同じ形状に加工されている。即ち、中板材4は、軸材3の幅広部3wに重なる範囲は軸材3の幅広部3wと同一の幅寸法W1を有する相対的に幅が広い幅広部4wになっていて、軸材3の幅狭部3nに重なる範囲は軸材3の幅狭部3nと同一の幅寸法W2を有する相対的に幅が狭い幅狭部4nになっている。この実施形態では、中板材4を構成する鋼板の一部を切削する加工を行うことで、幅狭部4nを形成している。中板材4の幅広部4wと幅狭部4nとの境界部分は滑らかな曲線状に加工されていて、幅広部4wと幅狭部4nとの境界部分に応力が集中し難い構造になっている。
第一バンドプレート6は、鉄鋼などの金属で形成された板状の部材であり、鋼板などで構成される。図4および図8に例示するように、第一バンドプレート6は、外鋼管2の管内で、軸材3の一方側端部3aの幅方向Yの両側にそれぞれ配設されて、軸材3の一方側端部3aの幅方向Yの外面とその外面に対向する外鋼管2の内面との間に介在している。それぞれの第一バンドプレート6は、軸材3と、軸材3の厚さ方向Zの両側に配設されているそれぞれの中板材4に溶接で接合されている。それぞれの第一バンドプレート6は外鋼管2には接合されていない。第一バンドプレート6と軸材3および中板材4を溶接している溶接部20も外鋼管2には接合されていない。第一バンドプレート6の外面と外鋼管2の内面との間には微小なすき間が設けられている。前述した微小なすき間の大きさは、例えば、1mm以上10mm以下、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2mm以下の範囲内に設定するとよい。
エンドプレート8は、鉄鋼などの金属で形成された板状の部材であり、例えば、鋼板などで構成される。エンドプレート8は、外鋼管2の管内における、軸材3の一方側端部3a、中板材4の一方側端部4a、および第一バンドプレート6の一方側端部の一方側に配設されている。エンドプレート8は、幅方向Yおよび厚さ方向Zに延在している。エンドプレート8の幅方向Yの寸法は、外鋼管2の幅方向Yの内寸と略同一に設定されていて、エンドプレート8の厚さ方向Zの寸法は、外鋼管2の厚さ方向Zの内寸と略同一に設定されている。エンドプレート8の外周面と外鋼管2の内面との間には微小なすき間が設けられている。前述した微小なすき間の大きさは、例えば、1mm以上10mm以下、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2mm以下の範囲内に設定するとよい。エンドプレート8は、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部4aとを接合する溶接部20によって、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部4aとに接合されている。即ち、軸材3の一方側端部3aと、中板材4の一方側端部4aと、エンドプレート8とを溶接で接合した構造になっている。
第二バンドプレート7は、鉄鋼などの金属で形成された板状の部材であり、鋼板などで構成される。図4および図7に例示するように、第二バンドプレート7は、外鋼管2の他方側端部2bの管内で、軸材3の幅方向Yの両側にそれぞれ配設されて、軸材3の幅方向Yの外面とその外面に対向する外鋼管2の内面との間に介在している。それぞれの第二バンドプレート7は、軸材3の厚さ方向Zの両側に配設されているそれぞれの中板材4に溶接で接合されている。それぞれの第二バンドプレート7は外鋼管2には接合されていない。第二バンドプレート7と中板材4を溶接している溶接部20も外鋼管2には接合されていない。第二バンドプレート7の外面と外鋼管2の内面との間には微小なすき間が設けられている。前述した微小なすき間の大きさは、例えば、1mm以上10mm以下、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2mm以下の範囲内に設定するとよい。
リング形エンドプレート9は、鉄鋼などの金属で形成されたリング形状の板状部材であり、鋼板などで形成される。リング形エンドプレート9の中央には、軸材3が挿通する挿通孔が形成されている。リング形エンドプレート9は、軸材3に外嵌めされた状態で、外鋼管2の他方側端部2b、中板材4の他方側端部4b、および第二バンドプレート7の他方側端部に配設されている。リング形エンドプレート9は、幅方向Yおよび厚さ方向Zに延在している。リング形エンドプレート9の幅方向Yの外寸は、外鋼管2の幅方向Yの外寸と略同一に設定されていて、リング形エンドプレート9の厚さ方向Zの外寸は、外鋼管2の厚さ方向Zの外寸と略同一に設定されている。リング形エンドプレート9は、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bとを接合する溶接部20によって、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bとに接合されている。即ち、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bとリング形エンドプレート9とを溶接で接合した構造になっている。
リブスペーサ10は、鉄鋼などの金属で形成された板状の部材であり、鋼板などで構成される。図4および図9に例示するように、リブスペーサ10は、外鋼管2の管内に配設されていて、外鋼管2に対して軸材3の幅狭部3nとそれぞれの中板材4の幅狭部3nに重なっている部分(幅狭部4n)とを拘束する。この実施形態のリブスペーサ10は、外鋼管2に対して軸材3の幅狭部3nとそれぞれの中板材4の幅狭部4nとを拘束している。図4に例示するように、この実施形態では、外鋼管2の管内の長手方向Xにおける第一バンドプレート6と第二バンドプレート7との間の領域に、互いに間隔をあけて複数のリブスペーサ10を配設している。リブスペーサ10どうしの長手方向Xの離間距離は例えば、200mm~400mm程度に設定するとよい。
図9に例示するように、リブスペーサ10は、幅方向Yおよび厚さ方向Zに延在している。長手方向Xから見て、外鋼管2の内面と、軸材3および中板材4との間に存在するすき間を塞ぐように、外鋼管2の内面と、軸材3および中板材4との間にリブスペーサ10が嵌め込まれた状態になっている。長手方向Xから見て、軸材3および中板材4の幅方向Yの両側にリブスペーサ10が配設されていて、それぞれのリブスペーサ10は軸材3に溶接によって接合されている。リブスペーサ10の外周面と外鋼管2の内面との間には微小なすき間が設けられている。前述した微小なすき間の大きさは、例えば、1mm以上10mm以下、好ましくは1mm以上5mm以下、より好ましくは1mm以上2mm以下の範囲に設定するとよい。
首折れ補強プレート11は、鉄鋼などの金属で形成された板状の部材であり、鋼板などで構成される。図3および図7に例示するように、首折れ補強プレート11は軸材3の首折れを抑制する補強部材であり、軸材3に接合されている。首折れ補強プレート11は、外鋼管2の他方側端部2bを長手方向Xに跨ぐように長手方向Xに延在している。図7に例示するように、この実施形態では、長手方向Xから見て、軸材3を構成するH形鋼の一対のフランジの間に介在するように首折れ補強プレート11が配設されていて、首折れ補強プレート11は一対のフランジに溶接で接合されている。H形鋼の一対のフランジの両端部にそれぞれ首折れ補強プレート11が配設されている。
この耐震補強構造体1では、地震により補強対象構造物50から耐震補強構造体1に伝達されるエネルギーを、主に軸材3と中板材4とが変形することで吸収する。そのため、軸材3と中板材4は、エネルギーを吸収するダンパーとして機能するように、建築構造用の低降伏点鋼材(例えば、LY100やLY225等)や、建築構造用鋼材(例えば、SN400BやSN490B等)で形成することが好ましい。その他の構成部材である外鋼管2、連結材5、第一バンドプレート6、第二バンドプレート7、エンドプレート8、リング形エンドプレート9、リブスペーサ10、および首折れ補強プレート11は、建築構造用の圧延鋼材(例えば、SN400BやSN490B、SM490A等)で形成することが好ましい。軸材3と中板材4は、その他の構成部材に比して降伏点が比較的低い鋼材で形成するとよい。溶接部20を形成する溶接材料は、耐震補強構造体1を構成する各部材と同質の金属材料を使用するとよい。
次に、この耐震補強構造体1の製造方法の一例を説明する。
幅狭部3nを有する軸材3と、幅狭部4nを有する中板材4をそれぞれ作製する。この実施形態では、軸材3を構成するH形鋼の一対のフランジを切削加工して幅狭部3nを形成する。また、中板材4を構成する鋼板を切削加工して幅狭部4nを形成する。軸材3には首折れ補強プレート11を配設し、軸材3に首折れ補強プレート11を溶接で接合する。外鋼管2の一方側端部2aには連結材5を溶接で接合する。
次いで、幅狭部3nを有する軸材3の厚さ方向Zの両側にそれぞれ中板材4を配設し、軸材3の一方側端部3aとそれぞれの中板材4の一方側端部4aの位置を合わせた状態で、軸材3と中板材4の一方側にエンドプレート8を配設する。そして、それぞれの中板材4の一方側端部4aと、軸材3の一方側端部3aと、エンドプレート8とを溶接で接合する。より詳しくは、軸材3の一方側端部3aとそれぞれの中板材4の一方側端部4aに開先を形成して、その開先を溶接することで、それぞれの中板材4の一方側端部4aと、軸材3の一方側端部3aと、エンドプレート8の他方側端面とを接合する。
さらに、軸材3の一方側端部3aの幅方向Yの両側にそれぞれ第一バンドプレート6を配設する。そして、それぞれの第一バンドプレート6を、軸材3と、軸材3の厚さ方向Zの両側に配設されているそれぞれの中板材4に溶接で接合する。また、軸材3の長手方向Xの中途位置における幅方向Yの両側にそれぞれ第二バンドプレート7を配設する。それぞれの第二バンドプレート7を、軸材3の厚さ方向Zの両側に配設しているそれぞれの中板材4に溶接で接合する。さらに、外鋼管2の管内の長手方向Xにおける第一バンドプレート6と第二バンドプレート7との間の領域に、互いに間隔をあけて複数のリブスペーサ10を配設する。そして、それぞれのリブスペーサ10を軸材3に溶接によって接合する。以上の工程により、軸材3、中板材4、第一バンドプレート6、第二バンドプレート7、エンドプレート8、リブスペーサ10、および首折れ補強プレート11が一体化されたユニットを作製する。
次いで、そのユニットの外周面に潤滑剤(グリース)を塗布する。より具体的には、厚さ方向Zの外面となるそれぞれの中板材4および溶接部20の外面と、幅方向Yの外面となる第一バンドプレート6、第二バンドプレート7、リブスペーサ10および溶接部20の外面とにそれぞれ潤滑剤を塗布する。
その後、そのユニットの軸材3、中板材4の一方側を外鋼管2の管内に他方側から挿入し、軸材3の他方側端部3bは外鋼管2の他方側に突出させた状態にする。軸材3および中板材4の一方側と、第一バンドプレート6、エンドプレート8、リブスペーサ10、および第二バンドプレート7は、外鋼管2の管内に配置した状態にする。首折れ補強プレート11は、一方側が外鋼管2の管内に配置され、他方側が外鋼管2の他方側へ突出した状態にする。
次いで、軸材3の他方側からリング形エンドプレート9を軸材3に外嵌して、リング形エンドプレート9を中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bの他方側端面に当接させた状態にする。そして、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとリング形エンドプレート9とを溶接で接合する。より詳しくは、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bに開先を形成して、その開先を溶接することで、それぞれの中板材4の他方側端部4bと、外鋼管2の他方側端部2bと、リング形エンドプレート9の一方側端面とを接合する。以上の工程により、耐震補強構造体1の製造が完了する。
上記説明した耐震補強構造体1の製造方法は、一例であり、上記とは異なる手順や方法で耐震補強構造体1を製造することもできる。例えば、上記説明では、外鋼管2として、角鋼管を使用して、外鋼管2に予め溶接で一体化したユニットを挿入する場合を例示したが、例えば、ユニットの外側に複枚の金属板を配設して、その複枚の金属板どうしを溶接で接合することで、ユニットの外側に外鋼管2を形成することもできる。
補強対象構造物50に対して耐震補強構造体1を設置する際には、補強対象構造物50の一方の連結対象部53aに連結材5をボルト等の固定具を用いて固定し、補強対象構造物50の他方の連結対象部53bに軸材3の他方側端部3bをボルト等の固定具を用いて固定する。これにより、補強対象構造物50の2ヶ所の連結対象部53a、53bの間に耐震補強構造体1が延設された状態となる。
地震が発生した際には、補強対象構造物50に伝達されたエネルギーが、補強対象構造物50の一方の連結対象部53aから連結材5を介して外鋼管2の一方側端部2a側に伝達されるとともに、補強対象構造物50の他方の連結対象部53bから軸材3の他方側端部3bに伝達される。これにより、耐震補強構造体1に長手方向Xの応力(軸力)が作用する。
耐震補強構造体1は、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部4bとを接合し、それぞれの中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとを接合した構造にしていることで、外鋼管2と中板材4と軸材3とが長手方向Xに往復する(折り返した)蛇腹状に連結された構造になっている。そのため、折り返した部分(溶接部20)を境にして、厚さ方向Zに隣り合う部材に圧縮力と引張力とが交互に作用した状態になる。
例えば、外鋼管2と軸材3とに圧縮力が作用しているときには中板材4に引張力が作用した状態になり、外鋼管2と軸材3とに引張力が作用しているときには中板材4に圧縮力が作用した状態になる。外鋼管2、中板材4および軸材3にそれぞれ作用する応力(圧縮力や引張力)は、外鋼管2、中板材4および軸材3がそれぞれ変形することで吸収される。地震によって補強対象構造物50から伝達されるエネルギーを耐震補強構造体1によって吸収することで、補強対象構造物50にかかる負荷が低減される。
このように、本発明の耐震補強構造体1では、外鋼管2と中板材4と軸材3とが長手方向Xに往復する蛇腹状に連結された構造にしていることで、地震によって補強対象構造物50から耐震補強構造体1に伝達されるエネルギーを吸収する耐震補強構造体1の変形可能な部材長さを、耐震補強構造体1が連結される補強対象構造物50の2ヶ所の連結対象部53a、53bの離間距離よりも長く確保できる。そのため、補強対象構造物50の2ヶ所の連結対象部53a、53bを1本の軸材で連結する従来のブレースよりも、設計者は耐震補強構造体1に要求される耐震補強性能に応じて、耐震補強構造体1の変形可能な部材長さや耐震補強構造体1の剛性をより自由に設計することが可能になる。
また、この耐震補強構造体1では、外鋼管2によって軸材3と中板材4のそれぞれの幅方向Yと厚さ方向Zの変位を拘束する構造にしていることで、軸材3と中板材4とが座屈することを抑制することができる。これにより、軸材3と中板材4と外鋼管2とを長手方向Xにバランスよく伸縮させることができ、耐震補強構造体1が座屈し難くなるので、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させるには非常に有利な構成になっている。
さらに、本発明の耐震補強構造体1の大きな特徴として、中板材4の他方側端部4bおよび外鋼管2の他方側端部2bの接合部(溶接部20)と、中板材4の一方側端部4aおよび軸材3の一方側端部3aの接合部(溶接部20)との間の長手方向Xの所定範囲において、軸材3に、軸材3の一方側端部3aおよび他方側端部3bの幅寸法W1よりも幅を狭めた幅狭部3nを設けている。この軸材3に設けている幅狭部3nは、幅狭部3nよりも幅が広い幅広部3wである軸材3の一方側端部3aや他方側端部3bよりも応力度が相対的に高くなる。
本発明では、軸材3にあえて応力度が相対的に高い幅狭部3nを設けることで、地震により補強対象構造物50から耐震補強構造体1に伝達される応力が軸材3の幅狭部3nに集中し易くなり、軸材3の幅狭部3nが変形することで補強対象構造物50から伝達されるエネルギーを効果的に吸収できる。さらに、軸材3に幅狭部3nを設けることで、地震により補強対象構造物50から伝達される応力を軸材3の幅狭部3nへ伝達する中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとの接合部や、中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとの接合部に応力が集中し難く、軸材3の幅狭部3nに応力が集中し易い構造になる。そのため、補強対象構造物50から伝達されるエネルギーを吸収する軸材3の幅狭部3nが降伏する以前に、軸材3の幅狭部3nに応力を伝達する前述した接合部が破損するリスクを低減できる。それ故、地震により補強対象構造物50から伝達されるエネルギーを繰り返して吸収するエネルギー吸収性能を長期間にわたって維持する耐震補強構造体の繰り返し性能を向上させることができる。
この耐震補強構造体1では、軸材3の幅狭部3nが降伏点に達した場合にも、外鋼管2、中板材4および軸材3が蛇腹状に連結された状態が維持されるので、軸材3の幅狭部3nが降伏点に達した後でも、軸材3が完全に破断しない限り、ある程度のエネルギー吸収性能を維持できる。それ故、耐震補強構造体1は前述した繰り返し性能が非常に優れている。
さらに、例えば、軸材3に幅狭部3nを設けずに、中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとの接合部や、中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとの接合部が先に破損する構造にした場合には、耐震補強構造体1に外傷が生じて、地震中に耐震補強構造体1の外側の空間に破損した部材などが落下する恐れがある。それに対して、この軸材3に幅狭部3nを設けている耐震補強構造体1では、仮に軸材3の幅狭部3nが降伏した場合にも、外鋼管2の内側で軸材3の幅狭部3nが降伏して変形するだけであり、地震中に耐震補強構造体1に外傷が生じるリスクが大幅に低くなる。それ故、耐震補強構造体1は安全性の観点でも非常に優れている。
軸材3の幅狭部3nの幅寸法W2は、幅広部3wの幅寸法W1の例えば、0.3倍以上0.9倍以下、より好ましくは0.4倍以上0.8倍以下、さらに好ましくは0.5倍以上0.7倍以下の範囲内に設定するとよい。前述した条件に設定することで、軸材3の幅狭部3nによるエネルギー吸収性能を高く確保しつつ、軸材3の幅狭部3nに応力が集中し易い構造となる。それ故、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるには有利になる。
上記で例示した耐震補強構造体1の製造方法のように、軸材3の厚さ方向Zの両側にそれぞれ中板材4を配設し、それぞれの中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとを接合した後に、その接合した軸材3および中板材4の一方側を外鋼管2の管内に他方側から挿入する。そして、その後に、軸材3の他方側端部3bを外鋼管2の他方側に突出させた状態で、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとを接合すると、複数枚の金属板を接合して外鋼管2を形成する場合よりも、耐震補強構造体1を少ない作業工数で容易に効率よく製造できる。また、この接合した状態の軸材3および中板材4を、外鋼管2に挿入する方法では、製作現場で外鋼管2の長手方向Xの長さや外鋼管2に対する軸材3および中板材4の挿入位置を調整することで、耐震補強構造体1の長手方向Xの長さを、製作現場で比較的簡易に変更、調整できる。それ故、当業者にとって非常に有用である。
軸材3および中板材4を外鋼管2に挿入する前に、軸材3および中板材4を接合した状態のユニットの外周面に潤滑剤を塗布しておくと、外鋼管2の内面とユニットの外面との摩擦を低減できるので、外鋼管2に前述したユニットを円滑に挿入し易くなり、製造効率が向上する。さらに、製造後の耐震補強構造体1では、潤滑剤によって外鋼管2の内面とその内面に対向する中板材4などの部材との摩擦が低減することで、両者の間に生じる摩擦により、互いに意図しない応力が伝達し合うことを抑制できる。それ故、潤滑剤を塗布することで、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能や繰り返し性能を向上させるにも有利になる。
軸材3をH形鋼で構成し、幅狭部3nをH形鋼のそれぞれのフランジの幅を狭めた構造にすると、幅狭部3nを有する軸材3を非常に簡易に作製できる。なお、軸材3を例えば、角鋼管や溝形鋼で構成する場合には、幅広部3wを構成する相対的に幅の広い部材と幅狭部3nを構成する相対的に幅の狭い部材とを溶接などで継ぎ合わせることで、幅狭部3nを有する軸材3を作製することが可能である。
この実施形態では、軸材3の幅狭部3nに重なっている中板材4の所定範囲に、中板材4の一方側端部4aおよび他方側端部4bの幅寸法よりも幅を狭めた幅狭部4nを設けている。このように、中板材4にあえて応力度が相対的に高い幅狭部4nを設けると、地震により補強対象構造物50から耐震補強構造体1に伝達される応力が、軸材3の幅狭部3nだけでなく中板材4の幅狭部4nにも集中し易くなり、軸材3の幅狭部3nと中板材4の幅狭部4nとが変形することで、補強対象構造物50から伝達されるエネルギーをより効果的に吸収できる。
さらに、軸材3の幅狭部3nと中板材4の幅狭部4nに応力が集中し易い構造にすることで、地震により補強対象構造物50から伝達される応力を軸材3の幅狭部3nと中板材4の幅狭部4nへ伝達する中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとの接合部や、中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとの接合部に応力がより集中し難く、軸材3の幅狭部3nと中板材4の幅狭部4nに応力がより集中し易い構造になる。そのため、補強対象構造物50から伝達されるエネルギーを吸収する軸材3の幅狭部3nや中板材4の幅狭部4nが降伏する以前に、前述した接合部が破損するリスクを低減できる。それ故、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるにはより有利になる。また、中板材4に幅狭部4nを設けている耐震補強構造体1では、仮に中板材4の幅狭部4nが降伏した場合にも、外鋼管2の内側で中板材4の幅狭部4nが降伏して変形するだけであり、地震中に耐震補強構造体1に外傷が生じるリスクがより低くなる。
この耐震補強構造体1では、軸材3の幅狭部3nの応力度と中板材4の幅狭部4nの応力度の差が小さいほど、地震により補強対象構造物50から耐震補強構造体1に伝達される応力が、軸材3の幅狭部3nと中板材4の幅狭部4nとにバランスよく分散するので、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるには有利になる。そのため、軸材3の幅狭部3nの幅寸法W2と中板材4の幅狭部4nの幅寸法W2は、軸材3と中板材4の材質に応じて、軸材3の幅狭部3nの応力度と中板材4の幅狭部4nの応力度との差が小さくなる寸法条件にすることが好ましい。
中板材4の幅狭部4nの幅寸法W2は、軸材3の幅狭部3nの幅寸法W2の例えば、0.75倍以上1.25倍以下、より好ましくは0.9倍以上1.1倍以下の範囲内に設定するとよい。さらに好ましくは、中板材4の幅狭部4nの幅寸法W2と、軸材3の幅狭部3nの幅寸法W2を、同一の寸法に設定するとよい。前述した寸法条件に設定することで、軸材3の幅狭部3nの応力度と中板材4の幅狭部4nの応力度との差を小さくするには有利になり、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能や繰り返し性能を向上させるには有利になる。
特に、中板材4の長手方向Xの全長にわたって中板材4の幅寸法を、中板材4が重なる部分の軸材3の幅寸法と同一にすると、地震により耐震補強構造体1に伝達される応力が、軸材3の幅狭部3nと中板材4の幅狭部4nにバランスよく分散しやすくなる。さらに、軸材3と中板材4とを均一に伸縮させるには有利になるので、耐震補強構造体1が座屈し難くなる。それ故、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能や繰り返し性能を向上させるにはより有利になる。
軸材3の一方側端部3aの幅方向Yの両側にそれぞれ第一バンドプレート6を設けた構成にすると、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部4aとをより安定した状態で固定できる。さらに、一対の第一バンドプレート6によって、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部4aのそれぞれの幅方向Yの変位を拘束していることで、軸材3および中板材4の座屈を抑制するにもより有利になる。さらに、一対の第一バンドプレート6を、軸材3とそれぞれの中板材4に接合していることで、第一バンドプレート6を介して、軸材3と中板材4との間で応力がより伝達し易くなる。また、第一バンドプレート6を設けることで、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部4aとの接合部(溶接部20)に応力が集中し難くなる。それ故、第一バンドプレート6を設けることで、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させるには有利になる。
軸材3の他方側端部3bの幅方向Yの両側にそれぞれ第二バンドプレート7を設けた構成にすると、軸材3の他方側端部3bと中板材4の他方側端部4bとをより安定した状態で固定できる。さらに、一対の第二バンドプレート7によって、軸材3の他方側端部3bと中板材4の他方側端部4bのそれぞれの幅方向Yの変位を拘束していることで、軸材3および中板材4の座屈を抑制するにもより有利になる。それ故、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるには有利になる。
外鋼管2に対して軸材3の幅狭部3nとそれぞれの中板材4の幅狭部3nに重なっている部分(幅狭部4n)とを拘束するリブスペーサ10を設けた構成にすると、リブスペーサ10によって、軸材3と中板材4の座屈を抑制するにはより有利になる。それ故、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるには有利になる。リブスペーサ10の配置数は特に限定されないが、複数のリブスペーサ10を長手方向Xに互いに間隔をあけて配設すると、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるにはより有利になる。
軸材3の一方側端部3a、中板材4の一方側端部4a、および第一バンドプレート6の一方側端部の一方側にエンドプレート8を設けた構成にすると、軸材3の一方側端部3a、中板材4の一方側端部4a、および第一バンドプレート6の一方側端部をより安定した状態で固定できる。エンドプレート8を、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部4aとに接合していることで、エンドプレート8を介して、軸材3と中板材4との間で応力がより伝達し易くなる。また、エンドプレート8を設けることで、軸材3の一方側端部3aと中板材4の一方側端部3aとの接合部(溶接部20)に応力が集中し難くなる。それ故、エンドプレート8を設けることで、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させるには有利になる。
外鋼管2の他方側端部2b、中板材4の他方側端部4b、および第二バンドプレート7の他方側端部の他方側にリング形エンドプレート9を設けると、外鋼管2の他方側端部2b、中板材4の他方側端部4b、および第二バンドプレート7の他方側端部をより安定した状態で固定できる。リング形エンドプレート9を、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bとに接合していることで、リング形エンドプレート9を介して、外鋼管2と中板材4との間で応力がより伝達し易くなる。また、リング形エンドプレート9を設けることで、外鋼管2の他方側端部2bと中板材4の他方側端部4bとの接合部(溶接部20)に応力が集中し難くなる。それ故、リング形エンドプレート9を設けることで、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させるには有利になる。
軸材3に首折れ補強プレート11を設けると、リング形エンドプレート9付近で軸材3が首折れ(座屈)することを首折れ補強プレート11によって抑制することができる。それ故、首折れ補強プレート11を設けることで、耐震補強構造体1の繰り返し性能を向上させるには有利になる。
図10~図14に本発明に係る別の実施形態の耐震補強構造体1を例示する。
図10に例示するように、この実施形態の耐震補強構造体1では、図1~図9に例示した実施形態の耐震補強構造体1に対して、さらに、圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13が設けられている。また、引張用ストッパー13の構成要素として、軸材3のウェブに長孔3hが形成されていて、一対の第一バンドプレート6にもそれぞれ長孔6hが形成されている。その他の構成は、図1~図9に例示した実施形態の耐震補強構造体1と同じである。図10、図11、図13、図14では、紙面の下側を耐震補強構造体1の一方側とし、紙面の上側を耐震補強構造体1の他方側としている。
図10および図11に例示するように、この実施形態の耐震補強構造体1は、外鋼管2に対する軸材3および中板材4の一方側への相対的な変位量を予め設定された制限変位量までに制限する圧縮用ストッパー12を有している。この実施形態の圧縮用ストッパー12は外鋼管2に対して固定されている。具体的には、この実施形態の圧縮用ストッパー12は一枚の板状部材で構成されている。そして、外鋼管2が2本の鋼管で構成されていて、2本の鋼管の間に圧縮用ストッパー12が介在した構造になっている。外鋼管2を構成する他方側の鋼管の一方側端部が圧縮用ストッパー12の他方側面に溶接で接合され、一方側の鋼管の他方側端部が圧縮用ストッパー12の一方側面に溶接で接合されている。軸材3、中板材4、第一バンドプレート6、第二バンドプレート7、およびエンドプレート8は、他方側の鋼管の管内に配置されている。
図11に例示するように、耐震補強構造体1に応力(圧縮力や引張力)が作用していない状態では、圧縮用ストッパー12は、エンドプレート8の一方側端部よりも一方側に所定距離D1離間した位置に配置されている。耐震補強構造体1にエンドプレート8が設けられていない場合には、圧縮用ストッパー12は、軸材3の一方側端部3aおよび中板材4の一方側端部4aよりも一方側に所定距離D1離間した位置に配置される。
この実施形態の耐震補強構造体1は、さらに、外鋼管2に対する軸材3の他方側への相対的な変位量を予め設定された制限変位量までに制限する引張用ストッパー13を有している。この実施形態の引張用ストッパー13は、外鋼管2に対して固定されている。具体的には、この実施形態の引張用ストッパー13は、1本の棒状部材で構成されている。図10~図12に例示するように、軸材3のウェブには幅方向Yに貫通して長手方向Xに延在する長孔3hが形成されていて、一対の第一バンドプレート6には幅方向Yに貫通して長手方向Xに延在する長孔6hが形成されている。軸材3のウェブに形成されている長孔3hと、一対の第一バンドプレート6に形成されている長孔6hは同一の寸法である。引張用ストッパー13は、外鋼管2と長孔3h、6hを幅方向Yに貫通していて、引張用ストッパー13の両側の端部はそれぞれ外鋼管2に溶接で接合されている。
図11に例示するように、耐震補強構造体1に応力が作用していない状態では、長孔3h、6hの一方側端部は、引張用ストッパー13から一方側に所定距離D2離間した位置に配置されている。この実施形態では、長孔3h、6hの一方側端部をエンドプレート8の他方側端面の位置に設定している。長孔3h、6hの他方側端部は、引張用ストッパー13から他方側に所定距離D3離間した位置に配置されている。長孔3h、6hの幅は、引張用ストッパー13の太さと略同一の寸法に設定されている。圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13は、例えば、炭素鋼や建築構造用の圧延鋼材などで形成するとよい。
この実施形態の耐震補強構造体1を製造する場合には、圧縮用ストッパー12の他方側面に、外鋼管2を構成する他方側の鋼管の一方側端部を溶接で接合し、圧縮用ストッパー12の一方側面に、外鋼管2を構成する一方側の鋼管の他方側端部を溶接で接合する。他方側の鋼管には、引張用ストッパー13を貫通させる貫通孔を形成する。また、先に例示した実施形態と同様に、軸材3、中板材4、第一バンドプレート6、第二バンドプレート7、エンドプレート8、リブスペーサ10、および首折れ補強プレート11が一体化されたユニットを作製する。この実施形態では、さらに、軸材3のウェブに長孔3hを形成しておき、第一バンドプレート6に長孔6hを形成しておく。
次いで、前述したユニットの外周面に潤滑剤(グリース)を塗布し、ユニットの一方側を、外鋼管2の他方側から外鋼管2の管内に挿入する。軸材3の他方側端部3bと首折れ補強プレート11の他方側は外鋼管2の他方側へ突出した状態にする。その後、軸材3の他方側からリング形エンドプレート9を軸材3に外嵌して、リング形エンドプレート9を中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bの他方側端面に当接させた状態にする。そして、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部2bとリング形エンドプレート9とを溶接で接合する。
また、引張用ストッパー13を外鋼管2の外側から、外鋼管2に形成しておいた貫通孔と軸材3のウェブに形成しておいた長孔3hと第一バンドプレート6に形成しておいた長孔6hとに挿入して、引張用ストッパー13が外鋼管2と長孔3h、6hを幅方向Yに挿通した状態にする。そして、引張用ストッパー13の幅方向Yの両側の端部をそれぞれ外鋼管2に溶接で接合して、引張用ストッパー13を外鋼管2に対して固定する。以上の工程により、この実施形態の耐震補強構造体1の製造が完了する。
上記説明した耐震補強構造体1の製造方法は、一例であり、上記とは異なる手順や方法で耐震補強構造体1を製造することもできる。例えば、ユニットの外側に複枚の金属板を配設して、その複枚の金属板どうしを溶接で接合することで、ユニットの外側に外鋼管2を形成する場合には、外鋼管2を形成する金属板どうしを接合する前に、軸材3のウェブに設けた長孔3hと第一バンドプレート6に設けた長孔6hに引張用ストッパー13を挿入しておいてもよい。
補強対象構造物50に対する耐震補強構造体1の設置方法は、先に例示した実施形態と同じである。地震が発生した際には、補強対象構造物50に伝達されたエネルギーが、補強対象構造物50の一方の連結対象部53aから連結材5を介して外鋼管2の一方側端部2a側に伝達されるとともに、補強対象構造物50の他方の連結対象部53bから軸材3の他方側端部3bに伝達される。これにより、耐震補強構造体1に長手方向Xの応力(軸力)が作用する。
耐震補強構造体1は、それぞれの中板材4の他方側端部4bと外鋼管2の他方側端部4bとを接合し、それぞれの中板材4の一方側端部4aと軸材3の一方側端部3aとを接合した構造にしていることで、外鋼管2と中板材4と軸材3とが長手方向Xに往復する(折り返した)蛇腹状に連結された構造になっている。そのため、折り返した部分(溶接部20)を境にして、厚さ方向Zに隣り合う部材に圧縮力と引張力とが交互に作用した状態になる。
図13に例示する白抜きの矢印のように、耐震補強構造体1に対して圧縮する方向に応力が作用しているときには、外鋼管2と軸材3とに圧縮力が作用し、中板材4に引張力が作用した状態になることで、外鋼管2と軸材3と中板材4とがそれぞれ長手方向Xに伸縮する。また、外鋼管2には他方側へ応力が作用し、軸材3には一方側へ応力が作用するため、外鋼管2に対して軸材3および中板材4は、相対的に一方側へ変位する。
エンドプレート8(エンドプレート8を設けていない場合には軸材3および中板材4の一方側の溶接部20)が圧縮用ストッパー12に到達する以前には、軸材3と外鋼管2とに作用した応力はそれぞれ溶接部20を介して中板材4に伝達されて分散されるが、外鋼管2に対して軸材3および中板材4が一方側に相対的に変位可能な状態である。そのため、軸材3に作用する圧縮力が、軸材3から中板材4に同じ大きさの引張力として反転して伝わる状態である。それ故、軸材3と中板材4が同時に降伏状態にある場合は、引張降伏材すなわち中板材4の変形が、圧縮降伏材すなわち軸材3の変形より大きくなる現象が発生する。
耐震補強構造体1に対して一定以上の圧縮力が作用して、外鋼管2に対して軸材3および中板材4が予め設定された制限変位量(所定距離D1)一方側へ相対的に変位すると、エンドプレート8が圧縮用ストッパー12に当接して、外鋼管2に対する軸材3および中板材4の一方側への相対的な変位が規制された状態になる。この状態になると、中板材4が一方側へ相対的に変位しないことで、中板材4の引張塑性変形が進展できなくなり、かわりに軸材3の圧縮塑性変形が進展する状態になる。そのため、エンドプレート8が圧縮ストッパー12に到達する以前よりも、軸材3と中板材4の変形量がバランスよく分散した状態になり、軸材3と中板材4の長手方向Xの伸縮量の差異がより小さくなる。
図14に例示する白抜きの矢印のように、耐震補強構造体1に対して引っ張る方向に応力が作用しているときには、外鋼管2と軸材3とに引張力が作用し、中板材4に圧縮力が作用した状態になることで、外鋼管2と軸材3と中板材4とがそれぞれ長手方向Xに伸縮する。また、外鋼管2には一方側へ応力が作用し、軸材3には他方側へ応力が作用するため、外鋼管2に対して軸材3および中板材4は、相対的に他方側へ変位する。
引張用ストッパー13が長孔3hの一方側端部に到達する以前には、軸材3と外鋼管2とに作用した応力はそれぞれ溶接部20を介して中板材4に伝達されて分散されるが、外鋼管2に対して軸材3が他方側に相対的に変位可能な状態である。そのため、軸材3に作用する引張力が、軸材3から中板材4に同じ大きさの圧縮力として反転して伝わる状態である。それ故、軸材3と中板材4が同時に降伏状態にある場合は、引張降伏材すなわち軸材3の変形が、圧縮降伏材すなわち中板材4の変形より大きくなる現象が発生する。
耐震補強構造体1に対して一定以上の引張力が作用して、外鋼管2に対して軸材3および中板材4が予め設定された制限変位量(所定距離D2)他方側へ相対的に変位すると、引張用ストッパー13が長孔3hの一方側端部に当接して、外鋼管2に対する軸材3の他方側への相対的な変位が規制された状態になる。この状態になると、軸材3が一方側へ相対的に変位しないことで、軸材3の引張塑性変形が進展できなくなり、かわりに中板材4の圧縮塑性変形が進展する状態になる。そのため、引張用ストッパー13が長孔3hの一方側端部に到達する以前よりも、軸材3と中板材4の変形量がバランスよく分散した状態になり、軸材3と中板材4の長手方向Xの伸縮量の差異がより小さくなる。
上述したように、耐震補強構造体1に圧縮用ストッパー12を設けると、耐震補強構造体1に対して一定以上の圧縮力が作用した場合に、圧縮用ストッパー12によって、外鋼管2に対する軸材3および中板材4の一方側への相対的な変位が規制された状態になることで、軸材3と中板材4の変形量がバランスよく分散する。それ故、中板材4に過大な変形が集中するリスクが低くなり、軸材3と中板材4の塑性変形量が均等化することで、エネルギー吸収効率が向上する。そのため、耐震補強構造体1に圧縮用ストッパー12を設けると、軸材3と中板材4のエネルギー吸収性能を効果的に発揮するにはより有利になり、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させるにはより一層有利になる。
図11に例示するように、耐震補強構造体1に応力が作用していない状態での、圧縮用ストッパー12と、エンドプレート8との間に設ける所定距離D1(圧縮時の制限変位量)は、補強対象構造物50の一方側の連結対象部53aから他方側の連結対象部53bまでの距離や、補強対象構造物50のサイズ、耐震補強構造体1に要求されるエネルギー吸収性能、耐震補強構造体1を構成する各部材の寸法などに応じて適宜決定できる。前述した所定距離D1は、例えば、耐震補強構造体1に応力が作用していない状態での耐震補強構造体1の長手方向Xの長さ寸法の例えば、耐震補強構造体1に求められる限界変形の0.25倍以上0.9倍以下、より好ましくは0.4倍以上0.8倍以下、さらに好ましくは0.5倍以上0.75倍以下の長さに設定するとよい。所定距離D1を前述した数値範囲に設定すると、軸材3と中板材4とがそれぞれ伸縮できる空間を十分に確保しつつ、圧縮用ストッパー12による作用効果を効果的に得るには有利になる。
耐震補強構造体1に引張用ストッパー13を設けると、耐震補強構造体1に対して一定以上の引張力が作用した場合に、引張用ストッパー13によって、外鋼管2に対する軸材3の他方側への相対的な変位が規制された状態になることで、軸材3と中板材4の変形量がバランスよく分散する。それ故、軸材3に過大な変形が集中するリスクが低くなり、軸材3と中板材4の塑性変形量が均等化することで、エネルギー吸収効率が向上する。そのため、耐震補強構造体1に引張用ストッパー13を設けると、軸材3と中板材4のエネルギー吸収性能を効果的に発揮するにはより有利になり、耐震補強構造体1のエネルギー吸収性能と繰り返し性能を向上させるにはより一層有利になる。
図11に例示するように、耐震補強構造体1に応力が作用していない状態での、長孔3hの一方側端部と引張用ストッパー13との間に設ける所定距離D2(引張時の制限変化量)は、補強対象構造物50の一方側の連結対象部53aから他方側の連結対処部53bまでの距離や、補強対象構造物50のサイズ、耐震補強構造体1に要求されるエネルギー吸収性能、耐震補強構造体1を構成する各部材の寸法などに応じて適宜決定できる。前述した所定距離D2は、例えば、耐震補強構造体1に応力が作用していない状態での耐震補強構造体1の長手方向Xの長さ寸法の例えば、耐震補強構造体1に求められる限界変形の0.25倍以上0.9倍以下、より好ましくは0.4倍以上0.8倍以下、さらに好ましくは0.5倍以上0.75倍以下の長さに設定するとよい。所定距離D2を前述した数値範囲に設定すると、軸材3と中板材4とがそれぞれ伸縮できる空間を十分に確保しつつ、引張用ストッパー13による作用効果を効果的に得るには有利になる。
耐震補強構造体1に応力が作用していない状態での、長孔3hの他方側の端部と引張用ストッパー13との間に設ける所定距離D3は、耐震補強構造体1に一定以上の圧縮力が作用して、エンドプレート8と圧縮用ストッパー12とが当接した状態になった場合にも、長孔3hの他方側の端部と引張用ストッパー13との間に例えば、耐震補強構造体1に求められる限界変形の0.25倍以上0.9倍以下、より好ましくは0.4倍以上0.8倍以下、さらに好ましくは0.5倍以上0.75倍以下のすき間があいた状態になる距離に設定するとよい。所定距離D3は所定距離D2以上に設定することが好ましい。軸材3の強度を考慮すると、軸材3のウェブに設ける長孔3hはできる限り小さくすることが好ましいため、所定距離D3は、外鋼管2に対する軸材3および中板材4の一方側への相対的な変位を阻害しない最小限の寸法に設定することが好ましい。
この実施形態では、外鋼管2に設ける長孔2hと第一バンドプレート6に設ける長孔6hの一方側端部をエンドプレート8の他方側端面の位置に設定している。このような構成にすると、図14に例示するように、耐震補強構造体1に対して一定以上の引張力が作用して、引張用ストッパー13が長孔3h、6hの一方側端部に当接した状態になったときに、引張用ストッパー13がエンドプレート8の他方側端面に当接して支持された状態になる。これにより、長孔3h、6hの一方側端部をエンドプレート8の他方側端面よりも他方側に配置する場合に比して、引張用ストッパー13によって軸材3や第一バンドプレート6にかかる負荷を低減できる。
なお、耐震補強構造体1の長手方向Xにおける、引張用ストッパー13や長孔3h、6hを設ける位置は、図10~図14に例示した実施形態に限定されず、他にも様々な構成にすることができる。例えば、引張用ストッパー13を第一バンドプレート6よりも他方側に設けることもできる。その場合には、第一バンドプレート6には長孔6hを設けずに、軸材3にだけ長孔3hを設ければよい。
圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13は、例えば、図15に例示するような構成にすることもできる。圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13がそれぞれ有する機能と作用効果は、図10~図14に例示した実施形態と同じである。図15では、紙面の下側を耐震補強構造体1の一方側とし、紙面の上側を耐震補強構造体1の他方側としている。
図15に例示するように、この実施形態の圧縮用ストッパー12は、棒状部材で構成されていて、棒状部材の両側の端部にナットを螺合可能なネジ溝が設けられている。この圧縮用ストッパー12は、外鋼管2を厚さ方向Zに貫通していて、圧縮用ストッパー12の両側の端部はナットによって外鋼管2に固定されている。耐震補強構造体1に応力が作用していない状態では、圧縮用ストッパー12は、軸材3および中板材4の一方側端部よりも一方側に所定距離D1離間した位置に配置されている。圧縮用ストッパー12をこの実施形態のような構成にすると、外鋼管2を1本の鋼管で構成することができるので、圧縮用ストッパー12を有する耐震補強構造体1をより簡易に製造できる。
このように、圧縮用ストッパー12は、外鋼管2に対して固定されていて、外鋼管2に対する軸材3および中板材4の一方側への相対的な変位量を予め設定された制限変位量までに制限する機能を有していればよく、上記で例示した実施形態の他にも様々な構造にすることができる。例えば、圧縮用ストッパー12として、棒状部材や板状部材、凸部などを外鋼管2の内側面に接合した構成にすることもできる。外鋼管2に対する圧縮用ストッパー12の接合方法は、溶接やナットに限らず、例えば、接着剤やその他の固定具などを用いて接合することもできる。
図15に例示するように、この実施形態では、引張用ストッパー13として、耐震補強構造体1に複数本の棒状部材を設けている。軸材3のウェブの複数箇所に長孔3hを形成していて、それぞれの長孔3hに引張用ストッパー13を挿通させている。それぞれの引張用ストッパー13の両側の端部はそれぞれ外鋼管2に溶接で接合されている。耐震補強構造体1に応力が作用していない状態では、長孔3hの一方側端部は、引張用ストッパー13から他方側に所定距離D2離間した位置に配置されている。
このように、引張用ストッパー13は、外鋼管2に対して固定されていて、外鋼管2に対する軸材3の他方側への相対的な変位量を予め設定された制限変位量までに制限する機能を有していればよく、上記で例示した実施形態の他にも様々な構造にすることができる。例えば、引張用ストッパー13として、棒状部材に代えて板状部材や凸部を設けることもできる。外鋼管2に対する引張用ストッパー13の接合方法は、溶接に限らず、例えば、接着剤やナット等の固定具などを用いて接合することもできる。
圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13は、例えば、図16および図17に例示するような構成にすることもできる。この実施形態では、圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13を同一の部材で構成している。圧縮用ストッパー12および引張用ストッパー13としての機能と作用効果は、図10~図14に例示した実施形態と同じである。図16および図17では、紙面の下側を耐震補強構造体1の一方側とし、紙面の上側を耐震補強構造体1の他方側としている。
図16および図17に例示するように、この実施形態では、圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13を構成する部材として、エンドプレート8の両側の側部にそれぞれ幅方向Yに突出する突出部材(12、13)が設けられている。この実施形態では、エンドプレート8の側部にネジ穴が形成されていて、そのネジ穴に突出部材(12、13)の端部に設けられているネジ部を螺合させることで、エンドプレート8に対して突出部材(12、13)を接合できる構成になっている。なお、エンドプレート8と突出部材(12、13)との接合方法は、前述した構成に限らず、例えば、溶接や接着剤などのその他の方法で接合することもできる。また、エンドプレート8と突出部材(12、13)は必ずしも別々の部材である必要はなく、例えば、エンドプレート8と突出部材(12、13)を一体物で構成することもできる。
この実施形態では、外鋼管2に、幅方向Yに貫通して長手方向Xに延在する長孔2hが形成されている。この実施形態ではさらに、外鋼管2の両側の側面にそれぞれ補強板14が溶接で接合されていて、それぞれの補強板14にも外鋼管2の長孔2hと同一の寸法の長孔14hが形成されている。そして、外鋼管2の長孔2hと補強板14の長孔14hに突出部材(12、13)が挿通している。図17では、外鋼管2と補強板14との溶接部分を斜線で示している。なお、補強板14と外鋼管2とを接合する方法は溶接に限らず、接着剤などのその他の方法で接合することもできる。補強板14は任意に設けることができる。
図16および図17に例示するように、耐震補強構造体1に応力(圧縮力や引張力)が作用していない状態では、突出部材(12、13)は、長孔2h、14hの一方側端部よりも他方側に所定距離D1離間した位置に配置され、長孔2h、14hの他方側端部よりも一方側に所定距離D2離間した位置に配置されている。所定距離D1と所定距離D2の条件や好ましい数値範囲は、先の実施形態で説明した条件や数値範囲と同じである。
この実施形態の耐震補強構造体1では、耐震補強構造体1に対して一定以上の圧縮力が作用して、外鋼管2に対して軸材3および中板材4が予め設定された制限変位量(所定距離D1)一方側へ相対的に変位すると、突出部材(12、13)が長孔2h、14hの一方側端部に当接して、外鋼管2に対する軸材3および中板材4の一方側への相対的な変位が規制された状態になる。耐震補強構造体1に対して一定以上の引張力が作用して、外鋼管2に対して軸材3および中板材4が予め設定された制限変位量(所定距離D2)他方側へ相対的に変位すると、突出部材(12、13)が長孔2h、14hの他方側端部に当接して、外鋼管2に対する軸材3の他方側への相対的な変位が規制された状態になる。
この実施形態のように耐震補強構造体1が、圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13の機能を兼ね備えた突出部材(12、13)を有する構成にすると、圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13を有する耐震補強構造体1をより簡素に構成でき、より簡易に製造できる。この実施形態のように、圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13は、外鋼管2に対して固定されていない構成にすることも可能である。
なお、図10~図14に例示した実施形態と、図15に例示した実施形態と、図16および図17に例示した実施形態では、それぞれ耐震補強構造体1が圧縮用ストッパー12と引張用ストッパー13を両方有する場合を例示したが、例えば、耐震補強構造体1が圧縮用ストッパー12または引張用ストッパー13のいずれか一方のみを有する構成にすることもできる。
なお、図1では、紙面の右下側の連結対象部に耐震補強構造体1の一方側の端部を連結し、紙面の左上側の連結対象部に耐震補強構造体1の他方側の端部を連結している場合を例示しているが、耐震補強構造体1は逆向きに設置することもできる。即ち、紙面の左上側の連結対象部を一方の連結対象部53aとし、紙面の右下側の連結対象部を他方側の連結対象部53bとして、紙面の右下側の連結対象部53bに耐震補強構造体1の他方側の端部を連結し、紙面の左上側の連結対象部53aに耐震補強構造体1の一方側の端部を連結することもできる。
また、本発明の耐震補強構造体1は、柱51と梁52で構成される補強対象構造物50に限らず、その他の種々の補強対象構造物50に採用できる。具体的には、例えば、耐震補強構造体1は、一方側の端部を橋脚に連結し、他方側の端部を橋桁に連結して、橋脚と橋桁との間に延設することで、橋の耐震性能を向上させる耐震補強構造体1として適用することもできる。この場合にも、耐震補強構造体1の他方側の端部を橋脚(連結対象部53b)に連結し、一方側の端部を橋桁(連結対象部53a)に連結する構成にすることもできる。
1 耐震補強構造体
2 外鋼管
2a (外鋼管の)一方側端部
2b (外鋼管の)他方側端部
2h 長孔
3 軸材
3a (軸材の)一方側端部
3b (軸材の)他方側端部
3w (軸材の)幅広部
3n (軸材の)幅狭部
3h 長孔
4 中板材
4a (中板材の)一方側端部
4b (中板材の)他方側端部
4w (中板材の)幅広部
4n (中板材の)幅狭部
5 連結材
6 第一バンドプレート
6h 長孔
7 第二バンドプレート
8 エンドプレート
9 リング形エンドプレート
10 リブスペーサ
11 首折れ補強プレート
12 圧縮用ストッパー
13 引張用ストッパー
14 補強板
14h 長孔
20 溶接部
50 補強対象構造物
51 柱
52 梁
53a、53b 連結対象部

Claims (9)

  1. 補強対象構造物の2ヶ所の連結対象部の間に延設される耐震補強構造体において、
    前記耐震補強構造体の長手方向に延在して一方側端部が前記補強対象構造物の一方の前記連結対象部に直接または間接的に連結される筒形状の外鋼管と、
    前記長手方向に延在して一方側が前記外鋼管の管内に挿入されていて、前記外鋼管から他方側に突出した他方側端部が前記補強対象構造物の他方の前記連結対象部に連結される軸材と、
    前記外鋼管に挿入されている前記軸材の挿入領域の厚さ方向の両側にそれぞれ配設されて、前記軸材の外面とその外面に対向する前記外鋼管の内面との間に介在して前記長手方向に延在する中板材とを備え、
    それぞれの前記中板材の他方側端部と前記外鋼管の他方側端部とが接合され、それぞれの前記中板材の一方側端部と前記軸材の一方側端部とが接合されていて、
    前記中板材の他方側端部および前記外鋼管の他方側端部の接合部と、前記中板材の一方側端部および前記軸材の一方側端部の接合部との間の前記長手方向の所定範囲において、前記軸材には、前記軸材の一方側端部および他方側端部の幅寸法よりも幅を狭めた幅狭部が設けられていることを特徴とする耐震補強構造体。
  2. 前記軸材がH形鋼で構成されていて、前記幅狭部は前記H形鋼のそれぞれのフランジの幅を狭めた構造である請求項1に記載の耐震補強構造体。
  3. 前記軸材の前記幅狭部に重なっている前記中板材の所定範囲に、前記中板材の一方側端部および他方側端部の幅寸法よりも幅を狭めた幅狭部が設けられている請求項1または2に記載の耐震補強構造体。
  4. 前記外鋼管の管内で、前記軸材の一方側端部の幅方向の両側にそれぞれ配設されて、前記軸材の一方側端部の幅方向の外面とその外面に対向する前記外鋼管の内面との間に介在する板状の第一バンドプレートを有し、それぞれの前記第一バンドプレートが、前記軸材と、前記軸材の厚さ方向の両側に配設されているそれぞれの前記中板材に接合されている請求項1または2に記載の耐震補強構造体。
  5. 前記外鋼管の他方側端部の管内で、前記軸材の幅方向の両側にそれぞれ配設されて、前記軸材の幅方向の外面とその外面に対向する前記外鋼管の内面との間に介在する板状の第二バンドプレートを有し、それぞれの前記第二バンドプレートが、前記軸材の厚さ方向の両側に配設されているそれぞれの前記中板材に接合されている請求項1または2に記載の耐震補強構造体。
  6. 前記外鋼管の管内に配設されていて、前記外鋼管に対して前記軸材の前記幅狭部とそれぞれの前記中板材の前記幅狭部に重なっている部分とを拘束するリブスペーサを有する請求項1または2に記載の耐震補強構造体。
  7. 前記外鋼管に対する前記軸材および前記中板材の前記一方側への相対的な変位量を予め設定された制限変位量までに制限する圧縮用ストッパーを有する請求項1または2に記載の耐震補強構造体。
  8. 前記外鋼管に対する前記軸材の前記他方側への相対的な変位量を予め設定された制限変位量までに制限する引張用ストッパーを有する請求項1または2に記載の耐震補強構造体。
  9. 請求項1に記載の耐震補強構造体の製造方法であって、
    前記幅狭部を有する前記軸材の前記厚さ方向の両側にそれぞれ前記中板材を配設し、それぞれの前記中板材の一方側端部と前記軸材の一方側端部とを接合した後に、その接合した前記軸材および前記中板材の一方側を前記外鋼管の管内に他方側から挿入し、前記軸材の他方側端部を前記外鋼管の他方側に突出させた状態で、それぞれの前記中板材の他方側端部と前記外鋼管の他方側端部とを接合することを特徴とする耐震補強構造体の製造方法。
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