JP2024046615A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子の凝集を抑えることで、フィルム表面の微細な凹凸形成の精密制御が可能な、ポリエステルフィルムを提供することにある。【解決手段】一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記粒子(a1)が、アルミナ粒子であり、前記粒子(a2)が、前記粒子(a1)以外の粒子であり、前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を全て満足する、ポリエステルフィルムである。(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。【選択図】なし

Description

本発明は、積層セラミックコンデンサーの製造工程において使用される工程用離型フィルムの支持体に好適なポリエステルフィルムに関する。
近年、自動車の電装化やスマートフォンの高機能化等に伴い、積層セラミックコンデンサー(Multi-Layered-Ceramic-Capacitor;MLCC)の小型化及び高容量化が進んでいる。
積層セラミックコンデンサーは、次のようにして製造される。
まず、離型フィルム上に、セラミック成分及びバインダー樹脂を含むセラミックスラリーを塗工し、乾燥することでセラミックグリーンシート(誘電体シート)を作製し、これに電極をスクリーン印刷法等により印刷して内部電極とし、乾燥した後に印刷済のセラミックグリーンシートを離型フィルムから剥離し、このようなグリーンシートを多数積層させる。積層させたグリーンシートをプレスして一体化させた後、個々のチップに切断する。
その後、焼成炉で内部電極及び誘電体層を焼結させ、積層セラミックコンデンサーが製造される。
積層セラミックコンデンサーの小型及び高容量化に際して、セラミックグリーンシートの薄膜化が進んでいる。セラミックグリーンシートの薄膜化が0.5μm(乾燥後の厚み)以下と更に進行するとキャリアフィルムとしての離型フィルムの表面に微小な突起があれば、これに起因して、セラミックグリーンシートにピンホール等が発生する。このため当該離型フィルムには、更に高度な表面平滑性が求められている。
従来、この種の離型フィルムの支持体として、特許文献1には、第1の面と第2の面とを有する基材と、前記基材の前記第1の面側に設けられた平滑化層と、前記平滑化層の前記基材と反対の面側に設けられた剥離剤層とを有し、前記平滑化層は、重量平均分子量が950以下の熱硬化性化合物を含む平滑化層形成用組成物を加熱して硬化させることにより形成されており、前記剥離剤層の外表面の算術平均粗さRaが8nm以下であり、かつ、前記剥離剤層の外表面の最大突起高さRpが50nm以下であることを特徴とするセラミックグリーンシート製造用剥離フィルムが開示されている。
また、特許文献2には、表面の平滑性に優れ、特にフィルム表面の微細な欠点が少ない離型用ポリエステルフィルムとして、深さ0.5μm以上の窪み欠点数が5個/m以下であり、少なくとも片面の表面の中心線平均粗さSRaが15~35nm、十点平均粗さSRzが1000nm以下である離型用ポリエステルフィルムが開示されている。
また、特許文献3には、ポリエステルフィルムを巻き取ってなるポリエステルフィルムロールであって、前記ポリエステルフィルムに存在するスラック欠点が、100mあたり5個未満である、ポリエステルフィルムが開示されている。
特開2014-177093号公報 特開2013-7054号公報 特開2018-90803号公報
しかしながら、本発明者の検討結果より、ポリエステルフィルム製造工程において、溶融押出工程のポリエステル原料中の粒子が凝集する場合があることがわかった。特に有機粒子を用いた場合、粒子の凝集傾向が顕著に見られ、溶融押出工程前のポリエステル原料中の粒子の分散状態を維持しないことがわかった。粒子が凝集した場合には、粗大突起が発生し、ハジキやピンホールなどの欠陥の発生に繋がる可能性が高く、支持体においては粒子の凝集を抑制する必要がある。
また、従来、フィルムの表面設計においては、使用する粒子の種類や平均粒径、含有量等を調整することで、フィルム表面の微細な凹凸形成を制御していたが、セラミックグリーンシートの薄膜化に伴い、更に精密な凹凸制御が要求されている。
そこで、本発明の目的は、粒子の凝集を抑えることで、フィルム表面の微細な凹凸形成の精密制御が可能な、ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の[1]~[18]を提供するものである。
[1]一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記粒子(a1)が、アルミナ粒子であり、前記粒子(a2)が、前記粒子(a1)以外の粒子であり、前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足する、ポリエステルフィルム。
(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
[2]一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足し、前記粒子(a1)及び(a2)のpH7におけるゼータ電位が、以下の(3)又は(4)の要件を満足する、ポリエステルフィルム。
(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
(3)前記粒子(a1)が正の値であり、前記粒子(a2)が負の値であること。
(4)前記粒子(a1)が負の値であり、前記粒子(a2)が正の値であること。
[3]前記粒子(a1)の平均粒径が、前記粒子(a2)の平均粒径よりも小さい、上記[1]又は[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]前記粒子(a1)がアルミナ粒子である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[5]前記粒子(a1)の平均粒径が0.01~1μmである、上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[6]前記粒子(a2)の平均粒径が、0.05~1μmである、上記[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[7]前記粒子(a2)が、有機粒子又はシリカ粒子のいずれかである、上記[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[8]前記粒子(a1)及び前記粒子(a2)の合計含有量が、含有させる層に対して、質量割合で1000~10000ppmである、上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[9]前記粒子(a1)の含有量が、含有させる層に対して、質量割合で100~5000ppmである、上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[10]前記粒子(a2)の含有量が、含有させる層に対して、質量割合で100~8000ppmである、上記[1]~[9]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[11]前記表面(A)の最大山高さ(Sp)と算術平均高さ(Sa)の比(Sp/Sa)が、25以下である、上記[1]~[10]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[12]少なくとも2層からなる、上記[1]~[11]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[13]3層構成からなる、上記[1]~[12]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[14]前記3層構成の中間層が、実質的に粒子を含有しない、上記[13]に記載のポリエステルフィルム。
[15]前記表面(A)の反対側の面に、表面層Cを有する、上記[1]~[14]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[16]少なくとも片面に離型層を有する、上記[1]~[15]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[17]前記離型層が、硬化型シリコーン樹脂を含有する、上記[16]に記載のポリエステルフィルム。
[18]積層セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、上記[1]~[17]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[19]自動車セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、上記[1]~[17]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
本発明によれば、粒子の凝集を抑えることで、フィルム表面の微細な凹凸形成の精密制御が可能な、ポリエステルフィルムを提供することができる。
また、本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)が、上記の(1)及び(2)を満足することから、例えば、セラミックグリーンシートの支持体として用いることで、ピンホールなどの欠陥の発生を抑制し、セラミックグリーンシートの薄膜化が可能となる利点を有する。
[ポリエステルフィルム]
本発明のポリエステルフィルム(以下「本フィルム」とも称する。)は、一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記粒子(a1)が、アルミナ粒子であり、前記粒子(a2)が、前記粒子(a1)以外の粒子であり、前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足するフィルムである(以下、「態様A」と記載することがある。)。
(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
ここで、「表面(A)が粒子を含む」とは、ポリエステルフィルムが単層フィルムの場合は、当該ポリエステルフィルムに粒子を含むことを意味し、積層(多層)フィルムの場合は、少なくとも、表面(A)側を構成する表層に粒子を含むことを意味する。
本発明者は、表面(A)を構成するポリエステル原料中に特定の平均粒径のアルミナ粒子を併用させることにより、溶融押出工程におけるポリエステル原料中の他の粒子の(再)凝集を抑制できることを見出した。
また、表面(A)を構成するポリエステル原料中の他の粒子に関しては、その種類に関係なく、併用するアルミナ粒子によって(再)凝集を抑制する効果があり、その結果、ポリエステルフィルム表面に従来よりも更に微細な凹凸形状を形成できることを見出した。
そのため、本発明は、表面(A)を構成するポリエステル原料中に、アルミナ粒子を分散剤として併用するという、フィルム表面の微細な凹凸形状を精密制御する、新たな要素技術に関するものであって、当該要素技術を用いることにより、特別な工夫を施した粒子を含むポリエステル原料を用いる必要がなくなるという優れた利点を有する。
また、近年、積層セラミックコンデンサーの小型化及び高容量化に際して、セラミックグリーンシートの薄膜化が進んでおり、支持体においては、セラミックグリーンシートを積層する面側の表面平滑性を高くすることが求められている。その一方で、表面平滑性を保ちつつ、滑り性や加工性を付与するために、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側は、積層する面側よりも粗く設計されることがある。
本発明は、上述の通り、アルミナ粒子と併用して用いられる他の粒子の種類に関係なく(再)凝集を抑制できることから、当該他の粒子の選択によって、表面平滑性を高くすることも、適度に粗くすることも可能でありながら、それでいて、従来よりも微細な凹凸形状を形成できるという利点も有する。
以上のように、本発明は、ポリエステルフィルム表面の凹凸形状の制御において、従来から用いられていたアルミナ粒子の有する「分散性向上」という、異質な作用効果に着目し、新たな要素技術として組み合わせることで、より精密な凹凸制御を可能にするものである。特に、積層セラミックコンデンサーの製造において、厚み(乾燥後)が0.5μm以下のセラミックグリーンシート成形が必要となる場面においても、対応可能な、微細でありながら、それでいて精密な凹凸形状を有するフィルムを提案するものである。
なお、本発明において、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)とは、例えば、積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として用いる際に、セラミックグリーンシートを積層する面側であってもよく、積層する面とは反対面側であってもよい。
前記表面(A)が、セラミックグリーンシートを積層する面側である場合、フィルム表面の粗大突起を低減させることで、セラミックグリーンシート形成時に、ハジキやピンホールなどの欠陥の発生を抑制することができる。一方、前記表面(A)が、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側であった場合には、フィルム表面の粗大突起を低減させることで、セラミックグリーンシート成形後、ロール状に巻き取った状態でも、上記反対面側の凹凸転写がなく、ピンホールなどの欠陥の発生を抑制することができる。
すなわち、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)が、上記(1)及び(2)を満たすことにより、積層セラミックコンデンサーの小型及び高容量化に際しても、積層セラミックコンデンサーを好適な状態で製造することができる。
また、前述の粒子(a1)として、アルミナ粒子を用いることで、他の粒子(粒子(a1)以外の粒子)の分散性が高くなる点について、さらに詳細に検討したところ、一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、粒子(a1)及び(a2)のpH7におけるゼータ電位が、以下の(3)又は(4)を満足することが好ましく、粒子(a2)の分散性の向上に大きく影響することがわかった。
(3)前記粒子(a1)が正の値であり、前記粒子(a2)が負の値であること。
(4)前記粒子(a1)が負の値であり、前記粒子(a2)が正の値であること。
すなわち、pH7において、粒子(a1)と粒子(a2)の電荷が異なることで、粒子(a1)と粒子(a2)は電気的に引き付け合い、例えば、粒子(a2)の周囲に粒子(a1)が位置するような形態をとることができる。このような、粒子(a2)に粒子(a1)が電気的に位置した粒子(以下「複合粒子」と記載することがある。)は、外側に同じ電荷をもつ粒子(a1)が存在するために、複合粒子同士が互いに反発し、該複合粒子は凝集せずに分散性が高く維持されるものと考えられる。
このような複合粒子においては、外側に位置する粒子(a1)の平均粒径が、内側の粒子(a2)の平均粒径よりも小さいことが好ましい。すなわち、相対的に大きな粒子(a2)の周囲に、相対的に小さな粒子(a1)が覆うように位置する構造となり、複合粒子同士は電気的に反発するため、粒子(a2)の凝集が起こらず、分散性がより向上しやすくなると考えられる。
また、上記のような複合粒子が形成される場合には、粒子(a1)がアルミナではなくても同様の現象が起こり、上記(1)及び(2)の要件を満足することで、本発明の効果を奏すると考えられる。
すなわち、一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足し、前記粒子(a1)及び(a2)のpH7におけるゼータ電位が、以下の(3)又は(4)の要件を満足する、ポリエステルフィルムも本発明の範囲である(以下、「態様B」と記載することがある。)。
(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
(3)前記粒子(a1)が正の値であり、前記粒子(a2)が負の値であること。
(4)前記粒子(a1)が負の値であり、前記粒子(a2)が正の値であること。
なお、態様Bにおいて、粒子(a1)がアルミナである場合には、粒子(a1)のゼータ電位は正の値をとるため、粒子(a2)はゼータ電位が負の値をとるものが選択される。ゼータ電位が負の値をとる粒子としては、有機粒子又はシリカ粒子が好適に挙げられる。
(表面特性)
本発明において、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)が、以下の(1)及び(2)を満足することを特徴とする。
(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
(1)算術平均高さ(Sa)
本発明において、前記表面(A)の算術平均高さ(Sa)は、1~15nmであることを要する。
表面(A)の算術平均高さ(Sa)が15nmより大きくなると、フィルム表面の凹凸によって、ピンホール等の欠陥が生じやすくなり、セラミックグリーンシートの薄膜化に対応できない。一方で、算術平均高さ(Sa)が1nmより小さくなると、フィルム表面が極端に平坦化しすぎて、フィルムの滑り性が低下し、加工性が損なわれる。
本発明において、前記表面(A)の算術平均高さ(Sa)は、加工性の向上並びにセラミックグリーンシートの薄膜化対応の観点から、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合には、1~10nmが好ましく、より好ましくは1.4~5nm、更に好ましくは1.7~4nm、よりさらに好ましくは2~3nmであり、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合には、3~15nmが好ましく、より好ましくは4~14.5nm、更に好ましくは5~14nm、よりさらに好ましくは6~13.5nmである。
算術平均高さ(Sa)とは、面粗さパラメーター(ISO 25178)の一つであり、二次元のRaを三次元に拡張したもので、表面形状曲面と平均面で囲まれた部分の体積を測定面積で割ったものであり、以下の式(1)から求められる。
表面をXY面,高さ方向をZ軸とした時、A:定義された領域(画像全体とする)、Z(x,y):画像点(x,y)の高さ0の面からの高さとすると、以下の式(1)のように表される。
(2)最大山高さ(Sp)
本発明において、前記表面(A)の最大山高さ(Sp)は、150nm以下であることを要する。
表面(A)の最大山高さ(Sp)が150nmより大きくなると、フィルム表面の凹凸によってピンホール等の欠陥が生じやすくなり、セラミックグリーンシートの薄膜化に対応できない。
本発明において、前記表面(A)の最大山高さ(Sp)は、セラミックグリーンシート薄膜化対応及びフィルムの取り扱い性の観点から、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合には、5~100nmが好ましく、より好ましくは15~80nm、更に好ましくは10~65nm、よりさらに好ましくは30~50nmであり、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合には、50~145nmが好ましく、より好ましくは80~142nm、さらに好ましくは100~140nmである。
最大山高さ(Sp)とは、面粗さパラメーター(ISO 25178)の一つであり、表面の平均面からの高さの最大値を表し、以下の式(2)のように表される。
また、本発明において、前記表面(A)の算術平均高さ(Sa)と最大山高さ(Sp)との関係、より具体的には最大山高さ(Sp)と算術平均高さ(Sa)の比(Sp/Sa)は25以下が好ましく、24以下がより好ましく、23以下が更に好ましく、20以下がより更に好ましい。
算術平均高さ(Sa)と最大山高さ(Sp)との関係Sp/Saが25以下であることにより、算術平均高さ(Sa)を低い状態で、最大山高さ(Sp)を低い状態のバランスで調整でき、セラミックグリーンシートを薄膜化し易い。
また、算術平均高さ(Sa)と最大山高さ(Sp)との関係Sp/Saの下限については特に限定されないが、低Saかつ低Spのバランスで調整する観点から、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、7以上がさらに好ましく、8以上がよりさらに好ましい。
本発明において、前記表面(A)の表面特性は、例えば、フィルム表面(A)に含まれる粒子の種類、具体的には例えば、組成、平均粒径、粒度分布、硬度、含有させるポリエステルとの親和性等を鑑み、含有量を調節することによって調整することができる。また、含有させるポリエステルの種類、例えば、組成、粘度、分子量、熱特性、共重合成分の有無等を鑑み、粒子の種類や含有量を調節することも、表面特性の調整に有用である。粒子を2種類以上併用する場合は、使用する粒子やポリエステルの種類を鑑み、含有割合を調整することが好ましい。
積層ポリエステルフィルムである場合には、表面(a)側の層の厚みを調節したり、隣接する層(隣接層)に粒子を適宜含有させたりすることによっても表面(A)の表面特性を調整することができる。隣接層に含有させる粒子の種類や含有量については、上記の思想に基づき設定すればよい。
また、ポリエステルフィルム製造時において、表面(A)のポリエステル原料の吐出量を制御したりすることで、調整することができる。フィルムが配向(延伸)フィルムである場合には、延伸倍率(二軸延伸の場合は縦横の延伸倍率)、延伸温度、熱処理温度と処理時間(二軸延伸の場合は特に横延伸後の熱処理温度と処理時間)等の制御も効果的である。
<ポリエステルフィルム(態様A)>
本発明の態様Aのポリエステルフィルムは、一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記粒子(a1)がアルミナ粒子であり、前記粒子(a2)が前記粒子(a1)以外の粒子であることを特徴とする。
前記粒子(a1)及び前記粒子(a2)を併用することにより、フィルムの滑り性及び表面平滑性を両立することができる。より具体的には、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)に微細な凹凸が形成されていることにより、算術平均高さ(Sa)は小さく、それでいて、従来よりも更に最大山高さ(Sp)も小さくすることが可能となる。
(粒子(a1))
本発明の態様Aに用いる粒子(a1)は、アルミナ粒子であり、好ましくは平均粒径0.01~1μmのアルミナ粒子である。粒子(a1)の平均粒径は、より好ましくは0.02~0.8μm、さらに好ましくは0.03~0.5μm、よりさらに好ましくは0.035~0.3μm、特に好ましくは0.04~0.1μmである。粒子(a1)の平均粒径が上記下限値以上であると、アルミナ粒子の有する分散性向上効果が十分に発揮され、粒子の凝集を抑えることが容易となる。一方、粒子(a1)の平均粒径が上記上限値以下であると、微細な凹凸表面形状を形成することが容易となる。
なお、粒子(a1)の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)を平均粒径とすることができる。
粒子(a1)の形状に関しては、特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよいが、表面(A)の表面特性の観点から、球状であることが好ましい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はなく、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
粒子(a1)の含有量は、含有させる層に対して、質量割合で、100~5000ppmであることが好ましい。粒子(a1)の含有量が、前記範囲であれば、粒子(a1)の有する分散性向上効果が十分となり、粒子の凝集が抑えられ、フィルム表面に微細な凹凸が形成された結果、表面(A)が上記(1)及び(2)を満足しやすくなる。
本発明において、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合には、表面平滑性を向上させる観点から、粒子含有量は比較的少なく、アルミナ粒子の分散度合いを考慮すると、粒子(a1)の含有量は質量割合で150~3000ppmがより好ましく、180~1000ppmが更に好ましく、200~800ppmがよりさらに好ましく、250~500ppmが特に好ましい。
また、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合には、滑り性を向上させる観点から、積層する面側に比べて粒子含有量は多く、粒子(a1)の分散度合いを考慮すると、粒子(a1)の含有量は質量割合で500~5000ppmがより好ましく、1000~4500ppmが更に好ましく、2000~4000ppmがより更に好ましい。
アルミナ粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば熱分解法、すなわち無水塩化アルミニウムを原料として火焔加水分解させる方法、或いはアンモニウム明礬熱分解法、すなわち水酸化アルミニウムを原料として硫酸と反応させて硫酸アルミニウムとした後、硫酸アンモニウムと反応させてアンモニウム明礬として焼成する方法等を挙げることができる。
(粒子(a2))
態様Aにおいて、本発明に用いる粒子(a2)は、粒子(a1)以外の粒子である。粒子(a2)としては、易滑性を付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、例えばシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン及び酸化チタン等の無機粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン-アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子等の架橋高分子並びにシュウ酸カルシウム及びイオン交換樹脂等の有機粒子を挙げることができる。これらの中では、ポリエステル原料との親和性、あるいは粒子の単分散性制御の観点から、有機粒子又はシリカ粒子のいずれかが好ましい。
粒子(a2)の形状に関しても、特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。
また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、粒子(a2)の平均粒径は、0.05~1μmが好ましく、より好ましくは0.07~0.8μm、更に好ましくは0.08~0.8μm、よりさらに好ましくは0.1~0.5μmである。粒子(a2)の平均粒径が、前記範囲を満足することにより、表面平滑性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与することで加工性をも担保することができる。
更に、粒子(a1)の平均粒径と、粒子(a2)の平均粒径との関係は、粒子(a1)の平均粒径が、粒子(a2)の平均粒径よりも小さいことが好ましい。係る関係とすることで、アルミナ粒子による他の粒子の(再)凝集を抑制しやすくなる。
なお、粒子(a2)の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)を平均粒径とすることができる。
粒子(a2)の含有量は、含有させる層に対して、質量割合で、100~8000ppmであることが好ましい。粒子(a2)の含有量が、前記範囲であれば、粒子(a1)による粒子の凝集が抑えられ、フィルム表面に微細な凹凸が形成された結果、表面(A)が上記(1)及び(2)を満足しやすくなる。
本発明において、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合には、表面平滑性を向上させる観点から、粒子含有量は比較的少ない方が好ましく、凝集抑制効果も考慮すると、粒子(a2)の含有量は質量割合で250~3000ppmがより好ましく、500~2500ppmがさらに好ましく、700~2000ppmがより更に好ましい。また、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合には、滑り性を向上させる観点から、積層する面側に比べて粒子含有量は多い方が好ましく、凝集抑制効果も考慮すると、粒子(a2)の含有量は質量割合で1000~8000ppmがより好ましく、1500~7000ppmがさらに好ましく、2000~6000ppmがよりさらに好ましく、2500~5500ppmが特に好ましく、3000~5000ppmが殊に好ましい。
更に、粒子(a1)の含有量と、粒子(a2)の含有量との関係は、粒子(a2)の含有量が、粒子(a1)の含有量以上であることが好ましい。係る関係とすることで、粒子(a2)等の他の粒子によって表面(A)の粗さを調整しながら、粒子(a1)による他の粒子の(再)凝集抑制効果が十分に発揮される。
また、粒子(a1)及び粒子(a2)の合計含有量は、含有させる層に対して、質量割合で、300~10000ppmであることが好ましい。合計含有量が、前記範囲であれば、フィルム表面に微細な凹凸が形成され、表面(A)が上記(1)及び(2)を満足しやすくなる。
本発明において、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合には、表面平滑性を向上させる観点から、粒子含有量は比較的少ない方が好ましく、合計含有量は質量割合で400~3000ppmがより好ましく、1000~2500ppmが更に好ましい。
また、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合には、滑り性を向上させる観点から、積層する面側に比べて粒子含有量は多い方が好ましく、合計含有量は質量割合で3000~10000ppmがより好ましく、4000~9500ppmが更に好ましく、5000~9000ppmがより更に好ましい。
(その他の粒子)
本フィルムに含有させる「その他の粒子」とは、粒子(a1)及び粒子(a2)以外の粒子を意味し、その他の粒子の種類は、易滑性を付与可能な粒子であれば、特に限定されず、例えば粒子(a2)に例示されている粒子や、アルミナ粒子を挙げることができる。
なお、その他の粒子は、表面(A)に含有されていてもよく、表面(A)以外に含有されていてもよい。
その他の粒子の形状、硬度、比重、色等についても特に制限はなく、これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、その他の粒子の平均粒径、含有量についても特に制限はないが、好ましい形態は、後述の通りである。
<ポリエステルフィルム(態様B)>
本発明の態様Bのポリエステルフィルムは、一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足し、前記粒子(a1)及び(a2)のpH7におけるゼータ電位が、以下の(3)又は(4)の要件を満足する、ポリエステルフィルムである。
(1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
(2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
(3)前記粒子(a1)が正の値であり、前記粒子(a2)が負の値であること。
(4)前記粒子(a1)が負の値であり、前記粒子(a2)が正の値であること。
態様Bのポリエステルフィルムにおいては、粒子(a1)及び粒子(a2)のpH7におけるゼータ電位の一方が正であり、他方が負であることが好ましい。このような態様とすることで、上記したような粒子(a1)と粒子(a2)が電気的に結びつきやすく、例えば粒子(a2)の周囲に粒子(a1)が位置する形で結びつき、複合粒子を形成する。該複合粒子の外側表面は互いに同電荷であることから反発し、凝集が抑制される。
なお、上記態様Aにおける粒子(a1)であるアルミナは、pH7におけるゼータ電位は正の値を示し、粒子(a2)である有機粒子及びシリカはpH7におけるゼータ電位は負の値を示す。
態様Bでは、粒子(a1)及び粒子(a2)が、上記(3)の要件又は(4)の要件を満足するものであれば、特に限定されず、したがって粒子(a1)はアルミナには限定されない。一方、アルミナは粒子(a1)として最も好ましい態様の一つであり、効果の点で最も好ましい。
なお、ゼータ電位は、電気泳動光散乱法により測定することができる。
pH7におけるゼータ電位が正の値である粒子としては、例えば、アルミナ、カチオン変性シリカや、3フッ化イッテルビウム、フッ化イットリウム、フッ化ランタン、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化イッテルビウム等の希土類化合物等が挙げられ、これらのうちアルミナが好ましい。pH7におけるゼータ電位が負の値である粒子としては、例えば、シリカ、酸化チタン、セリア、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化タングステン等の金属酸化物、シリカ-酸化ジルコニウム、シリカ-酸化チタン、シリカ-酸化チタン-酸化バリウム、シリカ-酸化チタン-酸化ジルコニウム、ホウ珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス等の複合酸化物等の無機粒子、カルボキシ基、スルホン酸基を有する有機粒子等が挙げられ、有機粒子、シリカが好ましい。
粒子(a1)及び粒子(a2)のpH7におけるゼータ電位は、粒子そのものが有するゼータ電位であってもよいが、表面処理剤等により粒子表面を改質することによって調整することもできる。表面処理剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、κ-メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル-トリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピル-トリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピル-トリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤等が挙げられ、所望のゼータ電位となるように処理剤の種類や処理量を適宜調整すればよい。
表面処理剤の表面処理量は、通常、粒子100質量部に対して、1~30質量部であり、3~15質量部が好ましい。
表面処理剤による処理方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が採用できる。例えば、粒子と表面処理剤とを適当な溶媒中でボールミル等を用いて分散混合し、エバポレーターや風乾で乾燥した後、50~150℃に加熱する方法、粒子と表面処理剤とをアルコール等の溶剤中で数時間程度加熱還留する方法、粒子表面に表面処理剤をグラフト重合させる方法等が挙げられる。
態様Bにおける粒子(a1)、粒子(a2)の平均粒径、形状、含有量等の好ましい範囲は、態様Aにおけるのと同様である。
すなわち、粒子(a1)の平均粒径は0.01~1μmであることが好ましく、より好ましくは0.02~0.8μm、さらに好ましくは0.03~0.5μm、よりさらに好ましくは0.035~0.3μm、特に好ましくは0.04~0.1μmである。粒子(a1)の平均粒径が上記下限値以上であると、粒子(a1)の有する分散性向上効果が十分に発揮され、粒子の凝集を抑えることが容易となる。一方、粒子(a1)の平均粒径が上記上限値以下であると、微細な凹凸表面形状を形成することが容易となる。
また、粒子(a1)の形状に関しては、特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよいが、表面(A)の表面特性の観点から、球状であることが好ましい。
また、粒子(a2)の平均粒径は、0.05~1μmが好ましく、より好ましくは0.07~0.8μm、更に好ましくは0.08~0.8μm、よりさらに好ましくは0.1~0.5μmである。粒子(a2)の平均粒径が、前記範囲を満足することにより、表面平滑性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与することで加工性をも担保することができる。
また、粒子(a1)、粒子(a2)の硬度、比重、色等についても特に制限はなく、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
本フィルム中に粒子(粒子(a1)、粒子(a2)及びその他の粒子)を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルフィルムが積層構成であれば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化又はエステル交換反応終了後、添加するのが好ましい。
(ポリエステル)
本発明において、ポリエステルとは、ポリエステルフィルムの原料となるポリエステルのことをいい、主鎖に連続してエステル結合を有する高分子化合物をいう。本発明においてポリエステルは、ホモポリエステルであってもよく、共重合ポリエステルであってもよく、具体的には、ジカルボン酸成分とジオール成分とを重縮合反応させることによって得られるポリエステルを挙げることができる。
なお、本発明においては、ジカルボン酸成分を100モル%としたとき、芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸を50モル%よりも多く含有するポリエステルを使用することが好ましい。
前記ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸及び4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、例えばアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸及びこれらのエステル誘導体等の脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。
前記ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート及びスピログリコール等を挙げることができる。
上記ポリエステルがホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。第三成分とは、ポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分となる化合物と、ジオール成分の主成分となる化合物以外の成分であり、ポリエチレンテレフタレートではテレフタル酸及びエチレングリコール以外の成分である。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸等の一種又は二種以上を挙げることができる。
共重合ポリエステルのグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール等の一種又は二種以上を挙げることができる。
また、上記ポリエステルとしては、80モル%以上、好ましくは90モル%以上が、エチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレートや、エチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレート等が好ましい。
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールからジエチレングリコールが副生する。本明細書においては、このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称する。エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生量は、重縮合の様式等によっても異なるが、エチレングリコールのうち5モル%以下程度である。本発明においては、5モル%以下のジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールとした上で、前記副生ジエチレングリコールもエチレングリコールに包含されるものとし、共重合成分とは区別される。
一方、ジエチレングリコールの含有量によっては、より具体的にはジエチレングリコールが5モル%を超えて含有されている場合には、ジエチレングリコールは副生ジエチレングリコールとしてではなく、共重合成分として扱う。
≪ポリエステル重縮合触媒≫
上記ポリエステルを重縮合する際の重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。これらの中では、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかが好ましく、とりわけ、チタン化合物を用いて得られるポリエステルを使用することが好ましい。
したがって、本フィルムは、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましく、本フィルムは、チタン化合物を含むことがより好ましい。
前記チタン化合物を使用することで、フィルム中に当該チタン化合物に由来する金属含有凝集体、いわゆる粗大異物の個数を低減化することができ、高い表面平滑性、とりわけ、少なくとも片面の最大山高さ(Sp)が小さい本フィルムを得ることができる。
本フィルムの最外層(「表面層」ともいう、例えば離型層が積層される表面層)を構成するポリエステルは、その重縮合触媒としてチタン化合物を使用することが好ましい。
当該最外層中に当該チタン化合物に由来するチタン元素含有量が質量割合で1ppm以上40ppm以下であることが好ましく、2ppm以上35ppm以下であることがより好ましい。
上記範囲内であれば、ポリエステルの製造効率を低下させることなく、触媒起因の異物を低減化することができる。
また、ポリエステルフィルムが積層構成の場合、生産性の観点から、後述の中間層を構成するポリエステルは、その重縮合触媒としてチタン化合物を使用しないことが好ましい。
また、同様の観点から、本フィルムの最外層中のアンチモン化合物の含有量は100ppm以下であることが好ましい。
≪ポリエステルの極限粘度(IV)≫
本フィルムを構成するポリエステルの極限粘度(IV)は、0.50dL/g以上であることが好ましく、0.55dL/g以上であることがより好ましく、0.60dL/g以上であることが更に好ましい。
本発明において、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとして、極限粘度(IV)が0.50dL/g以上のポリエステルを使用することで、ポリエステルを混練中のせん断応力が増大し、ポリエステル樹脂中の粒子が高分散し易く、ポリエステルフィルムの一方の表面(A)の表面特性を、上記の範囲にし易くすることができる。また、ポリエステルの極限粘度(IV)の上限は、粒子の流動性の観点から、1.00dL/g以下が好ましく、0.85dL/g以下がより好ましく、0.75dL/g以下が更に好ましい。
なお、「本フィルムを構成するポリエステルの極限粘度(IV)」とは、極限粘度(IV)が異なる2種以上のポリエステルを使用する場合には、これら混合樹脂の極限粘度(IV)を意味するものとする。
(ポリエステルフィルムの構成)
本発明において、ポリエステルフィルムは、単層のポリエステルフィルムでもよく、2以上の層を有する積層構成のポリエステルフィルムでもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムは、一方の表面(A)の表面特性を上記範囲に制御し易い観点や、積層セラミックコンデンサーの製造工程において使用される工程用離型フィルムの支持体として好適に使用する観点から、少なくとも2層からなるポリエステルフィルムが好ましく、3層構成からなるポリエステルフィルムがより好ましい。
なお、本フィルムは、一方のみが表面(A)であっても、両方が表面(A)であってもよい。両方が表面(A)である場合には、表面(A)に含まれる粒子や表面特性が条件を満たしていればよく、互いに同一であっても同一でなくてもよい。
より詳細には、本発明において、本フィルムが2以上の層を有する積層構成の場合、中間層Bと表面層A及び表面層Cから構成されるA/B/C構成又は中間層Bと表面層Aから構成されるA/B/A構成の3層構成が好ましく、A/B/C構成の3層構成がより好ましい。
ここで、表面層Aは、本発明におけるポリエステルフィルムの一方の表面(A)を形成する表面層である。本フィルムは、上述の通り、両方の面が表面(A)を形成する表面層Aであってもよいし、一方の面が表面(A)を形成する表面層Aで、他方の面が後述する表面層Cであってもよいが、他方の面が表面層Cである構成が好ましい。すなわち、本フィルムは、表面(A)の反対側の面に、表面層Cを有することが好ましい。
上記中間層Bは、最も厚みの厚い主層として機能させることが好ましく、コストダウンするために、粒子を実質的に含まないことが好ましい。
中間層Bに用いられる粒子としては、上述の「その他の粒子」と同様の物が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
なお、「実質的に含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、粒子の含有量(粒子濃度)が質量割合で200ppm以下、より好ましくは150ppm以下のことを指す。
本発明において、本フィルムの中間層Bは、再生ポリエステル原料を含有してもよく、係る場合には、50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上含有することが更に好ましく、100質量%であることがより更に好ましい。中間層Bが再生ポリエステル原料を上記範囲で含有することにより、例えばCO排出量を削減することができ、環境への負荷低減に寄与することができる。
また、表面層A及び表面層Cそれぞれにおいて、チタン化合物を触媒として重縮合されたポリエステルを使用することで触媒起因の異物を低減化することができ、高い表面平滑性を具備させることができる。
≪好ましい態様1≫
本フィルムの好ましい態様1は、本発明のポリエステルフィルムの表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合に関する。係る場合、一方の表面(A)を形成する表面層A、中間層B、他方の面を形成する表面層CのA/B/Cからなる3層構成において、表面層Aが表面平滑性を保ちつつ、滑り性や加工性を付与するために粗く設計される層(粗面側)であり、表面層Cは表面平滑性が高くなるように設計される層(平坦側)となる。ここで、表面層Cの算術平均高さ(Sa)及び最大山高さ(Sp)については、特に制限はないが、平滑性を高くする観点から、算術平均高さ(Sa)は0.2~10nmの範囲であることが好ましく、0.3~7nmの範囲であることがより好ましく、0.4~5nmの範囲であることがさらに好ましい。また、最大山高さ(Sp)は5~100nmの範囲であることが好ましく、15~75nmの範囲であることがより好ましく、20~60nmの範囲であることがさらに好ましい。
好ましい態様1においては、表面層Aは、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかを含み、表面層Aにおけるアンチモン化合物の含有量が質量割合で200ppm以下であることが好ましい。この際、表面層Aはアンチモン化合物を含有しなくてもよい。すなわち、表面層Aにおけるアンチモン化合物の含有量の下限値は、0ppmであるとよい。
好ましい態様1においては、表面層Cを構成するポリエステルの極限粘度(IV)は、0.5dL/g以上であることが好ましく、0.55dL/g以上であることがより好ましく、0.6dL/g以上であることが更に好ましい。また、表面層Cを構成するポリエステルの極限粘度(IV)の上限は、粒子の流動性の観点から、1dL/g以下が好ましく、0.85dL/g以下がより好ましく、0.75dL/g以下が更に好ましい。
好ましい態様1においては、表面層Cは、粒子を含有してもよく、又は粒子を実質的に含有しなくてもよい。粒子の種類としては、特に制限はなく、例えば粒子(a2)に例示されている粒子や、アルミナ粒子を挙げることができる。
粒子を含有する場合には、粒子の含有量は、表面平滑性の観点から、質量割合で1000ppm以下が好ましく、900ppm以下がより好ましく、800ppm以下が更に好ましい。
≪好ましい態様2≫
本フィルムの好ましい態様2は、本発明のポリエステルフィルムの表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合に関する。係る場合、一方の表面(A)を形成する表面層A、中間層B、他方の面を形成する表面層CのA/B/Cからなる3層構成において、表面層Aは表面平滑性が高くなるように設計される層(平坦側)であり、表面層Cは表面平滑性を保ちつつ、滑り性や加工性を付与するために粗く設計される層(粗面側)となる。
好ましい態様2においては、表面層Cが少なくとも1つの無機粒子を含有することが好ましく、フィルムの滑り性を付与する観点から、当該無機粒子の平均粒径は0.1~1.5μmが好ましく、0.3~1.2μmがより好ましく、0.5~1μmが更に好ましい。
無機粒子の種類としては、特に制限はなく、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン及び酸化チタン等の無機粒子が挙げられる。
また、粒子は、粒度分布が狭い略均一な平均粒径を有する(いわゆる単分散性を有する)粒子であることが特に好ましい。
粒度分布が狭い略均一な平均粒径を有する粒子としては、該粒子の粒度分布において、累積個数が10%となる粒子径をD10、累積個数が50%となる粒子径をD50、累積個数が90%となる粒子径をD90としたときに、(D90-D10)/D50が0.4以下となる粒子が好ましく、0.2以下となる粒子が特に好ましい。
係る関係式(D90-D10)/D50は、D50を基準とした粒子径のバラツキを示すものであり、(D90-D10)/D50が0.4以下の粒子は、D90とD10との差が小さいシャープな粒度分布を有するものであり、本フィルムに対して、優れた取り扱い性を維持しながら、極めて高い平滑性を付与することがでる。
前記粒子の粒度分布は、レーザー回折式測定装置によって測定される。より具体的には、粒子にフェノール/テトラクロロエタン=2/3の混合溶剤を添加した固形分0.03g/mLの分散液を調製し、当該分散液について、マイクロトラックベル社製「MT3300EXII」を用いてレーザー回折散乱法により、累積個数が10%となる粒子径D10、累積個数が50%となる粒子径D50及び累積個数が90%となる粒子径D90を測定し、(D90-D10)/D50を算出する。
好ましい態様2においては、表面層Cは、本フィルムの取り扱い性を向上させる観点から、平均粒径の異なる2種類以上の粒子を含むことが好ましい。
係る場合には、平均粒径の異なる2種類以上の粒子の平均粒径の差の最大値は、凹凸によるピンホール発生を抑制する観点から、1.5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましい。なお、下限値は、0.1μm以上が好ましい。平均粒径の差が0.1μm以上であることで、ポリエステルフィルム表面の滑り性を向上し易く、本フィルムの取り扱い性を向上し易くできる。
好ましい態様2においては、表面層Cに含まれる粒子の含有量は、表面平滑性を保ちつつ、滑り性や加工性を付与する観点から、質量割合で3000~8000ppmが好ましく、4000~7500ppmがより好ましく、5000~7000ppmがさらに好ましい。
(ポリエステルフィルムの製造方法)
以下、本フィルムの製造方法の一例を示す。
まず、公知の方法により、原料、例えばポリエステルチップを押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上に加熱し、溶融ポリマーをダイから押し出し、回転冷却ドラム上でポリマーのガラス転移点以下の温度となるように冷却固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得るようにすればよい。
次に、当該未配向シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。この際、延伸温度は、通常25~120℃、好ましくは35~100℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは2.8~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3~7倍、好ましくは4倍以上であり、より好ましくは4.5~5倍である。
そして、引き続き180~220℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱固定処理を行い、二軸配向フィルムとしての本フィルムを得ることができる。この熱固定処理は、温度の異なる2段以上の工程で行ってもよい。
また、熱固定処理の後に冷却ゾーンにて冷却を行ってもよい。冷却温度は、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)より高い温度であることが好ましく、より具体的には、100~160℃の範囲であることが好ましい。この冷却は、温度の異なる2段以上の工程で行ってもよい。
なお、前記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
本フィルムの厚さは、好ましくは15μm以上38μm以下、より好ましくは19μm以上32μm以下である。本フィルムの厚さが前記範囲であれば、積層セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として好適に用いられる。
<離型層>
本フィルムは、少なくとも片面に離型層を有する形態で使用することが可能である。
当該離型層は、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面側に用いる場合には、表面(A)上に積層されていることが好ましい。一方、表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合には、当該離型層は、表面(A)とは反対面上に積層されていることが好ましい。
前記離型層は、直接又は他の層を介してポリエステルフィルムに積層される。
他の層としては、例えば、本フィルムへの密着性を改良するための易接着コート層の他、帯電防止層やブロッキング防止層等を挙げることができる。
前記離型層は、離型剤を含む離型剤組成物から形成されるが、良好な離型性能を得る観点から、とりわけ、該離型剤組成物中にシリコーン樹脂を含有することが好ましい。具体的には、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプや、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ、或いはフルオロシリコーン樹脂等を含有することが好ましい。中でも、前記離型層が、硬化型シリコーン樹脂を含有することがより好ましい。
前記硬化型シリコーン樹脂としては、付加型、縮合型等の熱硬化型や紫外線硬化型等の電子線硬化型等、既存のいずれの硬化反応タイプでも用いることができ、また複数種類の硬化型シリコーン樹脂を併用して使用してもよい。
また、離型層を形成する際の硬化型シリコーン樹脂の塗工形態にも特に制限はなく、有機溶剤に溶解している形態、水系エマルジョンの形態、無溶剤の形態のいずれであってもよい。
前記離型層を形成する離型剤組成物には、その他にも、必要に応じてバインダー、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、帯電防止剤、導電剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料及び顔料等が含有されてもよい。
離型層の形成は、本フィルムに離型剤組成物をコーティングすることにより設けられ、フィルム製膜工程内で行うインラインコーティング、或いは、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングのいずれを採用してもよい。
本フィルム上に離型層を設ける方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を挙げることができる。
離型層を形成する際の硬化条件に関しては、特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80℃以上で10秒間以上、好ましくは100~200℃で3~40秒間、より好ましくは120~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
なお、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、公知の装置、エネルギー源を用いることができる。
離型層の塗工量(乾燥後)は塗工性の面から、通常、0.005~5g/m、好ましくは0.005~1g/m、より好ましくは0.005~0.1g/mの範囲である。塗工量(乾燥後)が0.005g/m以上であると塗工性が良く安定性が良好となり、均一な塗膜を得やすい。一方、5g/m以下であると、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下することがない。
なお、塗工量は、塗布した時間あたりの液質量(乾燥前)、塗工液不揮発分濃度、塗布幅、延伸倍率、ライン速度等から計算で求める。
<用途>
本フィルムは、各種の離型用途に好適に用いることができる。
例えばドライフィルムレジスト(DFR)用、多層回路基板用、積層セラミックコンデンサーのセラミックグリーンシート製造用等の各種離型・工程用途として使用できる。本フィルムは、離型用途、工程用途では、例えば支持体として使用され、例えば支持体上にセラミックスラリー等の様々な材料が塗布、積層等されるとよい。
とりわけ、本フィルムは、前述したように、粒子の凝集が抑えられ、フィルム表面に精密制御された微細な凹凸が形成されており、ピンホールなどの欠陥の発生も抑えられ、セラミックグリーンシートの薄膜化へ対応できることから、積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として好適に用いることができる。
また、今後、電装化が進む自動車向け積層セラミックコンデンサーにおいては、とりわけ、当該コンデンサーの小型化・高容量化に伴い、使用するセラミックグリーンシートの薄膜化が進行していくと予測される。
したがって、とりわけ、本フィルムは、自動車向け積層セラミックコンデンサーに用いるセラミックグリーンシート用支持体として好適に用いることができる。
[語句の説明]
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。また、「ppm」は「質量ppm」である。
<ポリエステル原料>
本発明で用いたポリエステル原料を表1に示す。表1に記載のポリエステル原料A~Iは、いずれもホモポリエチレンテレフタレートである。なお、表1~3中「ppm」は「質量ppm」である。
<第1態様>
第1態様(上記好ましい態様1)においては、本発明のポリエステルフィルムの表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面とは反対面側に用いる場合に関する。
(実施例1-1)
ポリエステルBを30%、ポリエステルCを40%及びポリエステルDを30%の質量割合でブレンドした原料を表面層Aの原料とし、ポリエステルBが100%の原料を中間層Bの原料とし、ポリエステルBが100%の原料を表面層Cの原料として、ベント付き押出機に供給し、280℃で溶融押出した後、表面層A、Cの原料を最外層(表面層)、中間層Bを中間層とする3種3層(A/B/C)の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/C=1/18/2となるよう共押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を20℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度86℃で縦方向に、すなわちMD方向に3.5倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向、すなわちTD方向に105℃で4.5倍延伸し、テンター内の熱処理(固定)ゾーン1、2、3、冷却ゾーン4において、それぞれ170℃、230℃、230℃、140℃で熱処理を行い、厚さ21μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例1-2)
ポリエステルBを40%、ポリエステルCを10%及びポリエステルFを50%の質量割合でブレンドした原料を表面層Aの原料とし、ポリエステルBが100%の原料を中間層Bの原料とし、ポリエステルBを90%及びポリエステルCを10%の質量割合でブレンドした原料を表面層Cの原料として、ベント付き押出機に供給し、280℃で溶融押出した後、表面層A、Cの原料を最外層(表面層)、中間層Bを中間層とする3種3層(A/B/C)の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/C=2/27/2となるよう共押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を20℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度86℃で縦方向に、すなわちMD方向に3.5倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向、すなわちTD方向に105℃で4.5倍延伸し、テンター内の熱処理(固定)ゾーン1、2、3、冷却ゾーン4において、それぞれ170℃、230℃、230℃、140℃で熱処理を行い、厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例1-3~1-4)
実施例1-2において、アルミナ粒子の含有量を変更する以外は、実施例1-2と同様にして製造し、厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例1-1)
実施例1-1において、アルミナ粒子を併用しない以外は、実施例1-1と同様にして製造し、厚さ21μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例1-2)
実施例1-1において、アルミナ粒子を球状シリカ粒子に変更する以外は、実施例1-1と同様にして製造し、厚さ21μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例1-3)
実施例1-2において、アルミナ粒子を併用しない以外は、実施例1-2と同様にして製造し、厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
<第2態様>
第2態様(上記好ましい態様2)においては、本発明のポリエステルフィルムの表面(A)を、セラミックグリーンシートを積層する面に用いる場合に関する。
(実施例2-1)
ポリエステルBを78%、ポリエステルCを4%及びポリエステルEを18%の質量割合でブレンドした原料を表面層Aの原料とし、ポリエステルAが100%の原料を中間層Bの原料とし、ポリエステルAを28%、ポリエステルGを50%及びポリエステルHを22%の質量割合でブレンドした原料を表面層Cの原料として、ベント付き押出機に供給し、280℃で溶融押出した後、表面層A、Cの原料を最外層(表面層)、中間層Bを中間層とする3種3層(A/B/C)の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/C=4/25/2となるよう共押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を20℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して無定形フィルムを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度86℃で縦方向に、すなわちMD方向に3.5倍延伸した後、この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向、すなわちTD方向に105℃で4.5倍延伸し、テンター内の熱処理(固定)ゾーン1、2、3、冷却ゾーン4において、それぞれ170℃、230℃、230℃、140℃で熱処理を行い、厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例2-1)
実施例2-1において、アルミナ粒子を併用しない以外は、実施例1-2と同様にして製造し、厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例2-2)
実施例2-1において、表面層Aのポリエステル原料を表3に記載のとおりとし、中間層Bのポリエステル原料として、ポリエステルA50質量%及び再生原料50質量%のブレンド物を使用し、粒子(a2)であるシリカ粒子の含有量を900ppmとしたこと以外は、実施例2-2と同様にして厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。なお、中間層Bに使用した再生原料は下記の通りである。
<再生原料>
実施例2-1において、粒子(a2)であるシリカ粒子の含有量を900ppmとしたこと以外は実施例2-1と同様にして製造したポリエステルフィルムの、端材を回収・再原料化した再生原料である。
(実施例2-3)
実施例2-1において、表面層Aのポリエステル原料を表3に記載のとおりとし、粒子(a1)であるアルミナ粒子の含有量を600ppmとし、粒子(a2)であるシリカ粒子の含有量を600ppmとしたこと以外は、実施例2-1と同様にして厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(実施例2-4)
実施例2-1において、表面層Aのポリエステル原料を表3に記載のとおりとし、粒子(a2)であるシリカ粒子の平均粒径を0.3μm、含有量を300ppmとしたこと以外は、実施例2-1と同様にして厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例2-2)
実施例2-4において、表面層Aのポリエステル原料を表3に記載のとおりとし、粒子(a1)であるアルミナ粒子を用いなかったこと以外は、実施例2-4と同様にして厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
(比較例2-3)
実施例2-2において、表面層Aのポリエステル原料を表3に記載のとおりとし、粒子(a1)であるアルミナ粒子を用いなかったこと、粒子(a2)であるシリカ粒子の含有量を600ppmとしたこと以外は、実施例2-2と同様にして厚さ31μmのポリエステルフィルムを得た。
<測定及び評価方法>
実施例及び比較例で用いた測定及び評価方法は、次の通りである。
第1態様についての測定及び評価結果は、表2にまとめた。
第2態様についての測定及び評価結果は、表3にまとめた。
(1)極限粘度(IV)
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mLを加えて溶解させ、粘度(IV)測定装置(離合社製「VMS-022UPC・F10」)を用いて、30℃で測定した。
(2)粒子の平均粒径及び粒度分布
ポリエステルに含有される粒子の平均粒径については、株式会社島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置(SA-CP4)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
(3)算術平均高さ(Sa)、最大山高さ(Sp)、クルトシス(Sku)、及びスキューネス(Ssk)
表面粗さ測定器(アメテック株式会社製、「NewView」(登録商標))を用いて実施例及び比較例のフィルムの表面層Aの表面、及び表面層Cの表面を測定し、得られた表面のプロファイル曲線より、算術平均高さ(Sa)、最大山高さ(Sp)を求めた。
また、各実施例及び比較例のフィルムの表面層Aについては、得られた表面のプロファイル曲線より、クルトシス(Sku)及びスキューネス(Ssk)を求めた。なお、クルトシス(Sku)及びスキューネス(Ssk)とは、面粗さパラメーター(ISO 25178)の一つである。
表2及び表3の結果より、本発明のポリエステルフィルムは、特定の粒子を併用することにより、粒子の凝集を抑えることで、フィルム表面に形成される微細な凹凸がより精密に制御されている。
より具体的には、算術平均高さ(Sa)を維持した状態で、最大山高さ(Sp)が小さい状態であることから、粗大突起の発生が抑制できており、例えば、セラミックグリーンシートの支持体として用いることで、ピンホールなどの欠陥の発生を抑制し、セラミックグリーンシートの薄膜化が可能となる利点を有する。
また、実施例及び比較例のフィルムを比較すると、特定の粒子を併用することで、表面(A)のクルトシス(Sku)やスキューネス(Ssk)が低減傾向にある。これは、粒子(a1)の分散性向上効果により凝集が抑制されて、粗大突起が少なくなったことにより、尖度や偏りがならされた、従来よりも微細な凹凸が形成されたフィルムになったためだと考えている。
一方、比較例のフィルムは、粒子(a1)を併用していないため、分散性が低下したことにより、最大山高さ(Sp)を低減しきれておらず、セラミックグリーンシートの製造に用いることが難しいことが確認された。
本発明のポリエステルフィルムは、粒子の凝集を抑えることで、フィルム表面の微細な凹凸形成の精密制御が可能である利点を有する。更に、積層セラミックコンデンサーの製造工程において、セラミックグリーンシートの支持体として用いれば、均一な薄膜の誘電体層を形成することができる。とりわけ、自動車向け積層セラミックコンデンサーに用いるセラミックグリーンシート用支持体として好適に用いることができる。

Claims (19)

  1. 一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、
    前記粒子(a1)が、アルミナ粒子であり、
    前記粒子(a2)が、前記粒子(a1)以外の粒子であり、
    前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足する、ポリエステルフィルム。
    (1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
    (2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
  2. 一方の表面(A)が、少なくとも粒子(a1)及び粒子(a2)を含み、
    前記表面(A)が、以下の(1)及び(2)の要件を満足し、
    前記粒子(a1)及び(a2)のpH7におけるゼータ電位が、以下の(3)又は(4)の要件を満足する、ポリエステルフィルム。
    (1)算術平均高さ(Sa)が1~15nmであること。
    (2)最大山高さ(Sp)が150nm以下であること。
    (3)前記粒子(a1)が正の値であり、前記粒子(a2)が負の値であること。
    (4)前記粒子(a1)が負の値であり、前記粒子(a2)が正の値であること。
  3. 前記粒子(a1)の平均粒径が、前記粒子(a2)の平均粒径よりも小さい、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記粒子(a1)がアルミナ粒子である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記粒子(a1)の平均粒径が0.01~1μmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  6. 前記粒子(a2)の平均粒径が、0.05~1μmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記粒子(a2)が、有機粒子又はシリカ粒子のいずれかである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  8. 前記粒子(a1)及び前記粒子(a2)の合計含有量が、含有させる層に対して、質量割合で300~10000ppmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  9. 前記粒子(a1)の含有量が、含有させる層に対して、質量割合で100~5000ppmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  10. 前記粒子(a2)の含有量が、含有させる層に対して、質量割合で100~8000ppmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  11. 前記表面(A)の最大山高さ(Sp)と算術平均高さ(Sa)の比(Sp/Sa)が、25以下である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  12. 少なくとも2層からなる、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  13. 3層構成からなる、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  14. 前記3層構成の中間層が、実質的に粒子を含有しない、請求項13に記載のポリエステルフィルム。
  15. 前記表面(A)の反対側の面に、表面層Cを有する、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  16. 少なくとも片面に離型層を有する、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  17. 前記離型層が、硬化型シリコーン樹脂を含有する、請求項16に記載のポリエステルフィルム。
  18. 積層セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  19. 自動車セラミックコンデンサーの製造工程においてセラミックグリーンシートの支持体として用いられる、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
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