JP2024041704A - 調光シート、調光装置、および調光シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学特性の耐熱性を向上可能にした調光シート、および調光装置を提供する。【解決手段】第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に第1配向層32と第2配向層33とを備え、第1配向層32と第2配向層33との間に調光層31を備え、調光層31は、空隙31Dを区画する電離線硬化樹脂層31Pと、空隙31Dを充填する液晶組成物31LCとを備え、アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、前記電離線硬化樹脂層を構成するアクリル化合物のなかで3個以上の官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物であり、電離線硬化樹脂層31Pに対する電離線硬化樹脂層31Pを構成する第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上である。【選択図】図2

Description

本開示は、配向層を備えた調光シート、調光シートを備える調光装置、および調光シートの製造方法に関する。
調光シートは、透明電極フィルム間に調光層を備える。調光層は、複数の空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、空隙に充填される液晶組成物とを備える。透明電極フィルム間の電圧変更は、液晶化合物の配向状態を変更する。液晶化合物における配向状態の変更は、電離線硬化樹脂層と液晶組成物との界面の散乱度合いを変更し、これによって調光シートの透明度合いを変更する。
調光シートの実装技術は、調光シートに加熱耐性を要求する。中間膜方式の実装技術は、ガラス基板で調光シートを挟みながら貼合用にガラス基板を加熱する。貼合時のような高温環境下の透明電極フィルムは、透明電極フィルムから低分子不純物を発生する。調光層に拡散した低分子不純物が液晶化合物の電気的特性を劣化させるため、透明電極フィルムの表面処理層は、低分子不純物と液晶化合物との接触を抑制するようなバリア機能を備える(例えば、特許文献1を参照)。
特許第6447757号公報
透明電極フィルムの基材に可撓性を有した樹脂基材やガラス基材を採用することは、ロールツーロールによる調光シートの生産を可能にする。高温環境下で変形しやすい基材の採用は、高温環境下を避けるように調光シートの形成条件を低温環境下に制限する。
リバース型の調光シートのように電圧信号の供給停止期間に液晶化合物の配向が要求される場合、調光シートは配向層を備える。液晶化合物に配向規制力を加える配向層は、上述した表面処理層の有無に関わらず、調光層に接するように配置される。
ここで、低温環境下に形成条件を制限された配向層は、ポリアミック酸などの未反応物質や残留溶剤などの低分子不純物を含有する。加熱を要求する調光シートの実装技術は、調光層に接するように配置された配向層から、未反応物質から生成される副生成物や残留溶剤を調光層に拡散させてしまう。
上記課題を解決するための調光シートは、第1透明電極層と、第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、前記第1透明電極層と前記調光層とに挟まれた第1配向層と、前記第2透明電極層と前記調光層とに挟まれた第2配向層と、を備え、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される電圧の変更によって前記調光層のヘイズを変更する調光シートである。前記調光層は、空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、前記空隙に充填される液晶組成物と、を備える。アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物である。そして、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の5質量%以上である。
上記課題を解決するための調光装置は、調光シートと、前記調光シートに電圧を印加する駆動部と、を備える調光装置である。前記調光シートは、第1透明電極層と、第2透明電極層と、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、前記第1透明電極層と前記調光層とに挟まれた第1配向層と、前記第2透明電極層と前記調光層とに挟まれた第2配向層と、を備え、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される前記電圧の変更によって前記調光層のヘイズを変更する。前記調光層は、空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、前記空隙に充填される液晶組成物と、を備える。アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物である。そして、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の5質量%以上である。
上記課題を解決するための調光シートの製造方法は、第1透明電極層に積層された第1配向層と、第2透明電極層に積層された第2配向層との間に、電離線硬化性組成物と液晶組成物とを含有する塗工層を形成することと、前記塗工層に電離線を照射することによって、前記第1配向層と前記第2配向層との間に、空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、前記空隙に充填される前記液晶組成物とを備える調光層を形成することと、を含み、前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される電圧の変更によって前記調光層のヘイズを変更する調光シートの製造方法である。アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物であり、前記電離線硬化性組成物を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化性組成物の5質量%以上である。
上記各構成によれば、3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下である第1アクリル化合物が電離線硬化樹脂層の5質量%以上であるため、配向層に含有される低分子不純物が液晶化合物に達することを電離線硬化樹脂層が抑制する。結果として、調光シートにおける光学特性の耐熱性を向上できる。
上記調光シートにおいて、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の50質量%以下でもよい。この構成によれば、配向層に含有される低分子不純物が液晶化合物に達することを電離線硬化樹脂層が抑制しながらも、調光シートのシート内における剥離強度を向上できる。
上記調光シートにおいて、前記第1アクリル化合物における前記官能基の数量が3個以上5個以下であり、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の30質量%以下でもよい。この構成によれば、調光シートのシート内における剥離強度を高めることの実効性が高まる。
上記調光シートにおいて、前記電離線硬化樹脂層を構成するポリエチレンオキサイド鎖の含有率が前記電離線硬化樹脂層の2質量%以上20質量%以下でもよい。この構成によれば、電離線硬化樹脂層による低分子不純物の拡散抑制の実効性が高まる。
上記調光シートにおいて、炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルコキシアルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルキル、および炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルコキシアルキルが第2アクリル化合物であり、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第2アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の30質量%以上80質量%以下でもよい。この構成によれば、電離線硬化樹脂層による低分子不純物の拡散抑制の実効性が高まる。
上記調光シートにおいて、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の40質量%以下であり、炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルコキシアルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルキル、および炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルコキシアルキルが第2アクリル化合物であり、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第2アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の55質量%以上80質量%以下でもよい。この構成によれば、電離線硬化樹脂層による低分子不純物の拡散抑制を得ながらも、調光シートのシート内における剥離強度を向上できる。
上記調光シートにおいて、1個以上3個以下の前記官能基とポリエチレンオキサイド鎖とを有し、かつ二重結合当量が300g/eq以上700g/eq以下であるアクリル化合物が第3アクリル化合物であり、前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第3アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の5質量%以上20質量%以下でもよい。この構成によれば、配向層に含有される低分子不純物が液晶化合物に達することを電離線硬化樹脂層が抑制するなかで、調光シートのシート内における剥離強度が著しく高まる。
上記調光シートにおいて、前記第1アクリル化合物は、ペンタエリスリトール化合物であり、前記第2アクリル化合物は、イソボルニルアクリレートであり、前記第3アクリル化合物は、アルコキシポリエチレングリコール化合物でもよい。
上記調光シートにおいて、前記第1アクリル化合物は、トリメチロールプロパン化合物であり、前記第2アクリル化合物は、イソボルニルアクリレートであり、前記第3アクリル化合物は、ポリエチレンオキシサイド変性トリメチロールプロパン化合物でもよい。
上記調光シートにおいて、前記第1配向層、および前記第2配向層は、それぞれポリイミド前駆体、およびポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含めてもよい。
上記調光シートにおいて、前記電離線硬化樹脂層の重量と前記液晶組成物の重量との総量に対する前記液晶組成物の重量が20質量%以上70質量%以下でもよい。
本開示の調光シート、および調光装置は、光学特性の耐熱性を向上できる。
図1は、調光装置を示す構成図である。 図2は、調光シートの断面構成を示す拡大断面図である。 図3は、実施例の含有率と評価結果を示す表である。 図4は、比較例の含有率と評価結果を示す表である。 図5は、ヘイズの含有率依存性を示すグラフである。 図6は、剥離強度の含有率依存性を示すグラフである。 図7は、評価結果の含有率およびEO変性依存性を示すグラフである。
[調光装置10]
図1が示すように、調光装置10は、調光シート11と駆動部12とを備える。
調光装置10は、空間を区切る仕切装置に用いられてもよい。調光シート11そのものが空間を区切る仕切部材でもよいし、透明部材に調光シート11を実装した調光貼着体が空間を区切る仕切部材でもよい。仕切部材は、窓ガラスでもよいし、間仕切りでもよい。窓ガラスは、車両や航空機の移動体に搭載されてもよいし、オフィスビルや公共施設などの建物に設置されてもよい。間仕切りは、車内空間に配置されてもよいし、屋内空間に配置されてもよい。
調光装置10は、画像を表示するスクリーンに用いられてもよい。調光シート11そのものがスクリーンでもよいし、透明部材に調光シート11を実装した調光貼着体がスクリーンでもよい。スクリーンは、画像に反射光を利用するフロントスクリーンでもよいし、画像に透過光を利用するリアスクリーンでもよい。
調光貼着体は、1つの透明部材に1つの調光シート11を実装してもよいし、1つの透明部材に複数の調光シート11を実装してもよい。調光貼着体は、2つの透明基材に調光シート11を挟持してもよい。調光シート11は、可撓性を有する。調光貼着体は、可撓性を有してもよいし、可撓性を有しなくてもよい。調光貼着体は、平面状を有してもよいし、曲面状を有してもよい。
調光シート11の駆動型式は、リバース型でもよい。駆動部12は、リバース型の調光シート11に電圧信号を供給する。リバース型の調光シート11は、電圧信号の入力に従って透明から不透明に変わる。リバース型の調光シート11は、電圧信号を入力する期間に不透明を保つ。リバース型の調光シート11は、電圧信号の供給停止に従って不透明から透明に戻る。
調光シート11の駆動型式は、ノーマル型でもよい。駆動部12は、ノーマル型の調光シート11に電圧信号を供給する。ノーマル型の調光シート11は、電圧信号の入力に従って不透明から透明に変わる。ノーマル型の調光シート11は、電圧信号を入力する期間に透明を保つ。ノーマル型の調光シート11は、電圧信号の供給停止に従って透明から不透明に戻る。
調光シート11は、調光シート11による透過光の散乱によって不透明を実現する。不透明な調光シート11は、透明な調光シート11よりも低い平行線透過率を有する。不透明な調光シート11は、透明な調光シート11よりも高いヘイズを有する。不透明な調光シート11の色は、無彩色でもよいし、有彩色でもよい。透明な調光シート11の色は、無彩色でもよいし、有彩色でもよい。
[調光シート11]
以下、リバース型の調光シート11に係る構成と作用とを主に説明する。ノーマル型の調光シート11のなかでリバース型の調光シート11と相違する構成を記載すると共に、ノーマル型の調光シート11のなかでリバース型の調光シート11と重複する構成を割愛する。
調光シート11は、調光層31、第1配向層32、第2配向層33、第1透明電極層34、第2透明電極層35、第1透明支持層36、および、第2透明支持層37を備える。
調光層31は、第1配向層32と第2配向層33との間に位置する。調光層31の第1面31Fは、第1配向層32に接する。調光層31の第2面31Sは、第2配向層33に接する。第1配向層32は、調光層31と第1透明電極層34との間に位置し、かつ調光層31と第1透明電極層34とに接する。第2配向層33は、調光層31と第2透明電極層35との間に位置し、かつ調光層31と第2透明電極層35とに接する。
第1透明電極層34は、第1接続端子22Aと第1配線23Aとを通じて、駆動部12に接続される。第1透明電極層34は、第1配向層32と第1透明支持層36との間に位置し、かつ第1配向層32と第1透明支持層36とに接する。
第2透明電極層35は、第2接続端子22Bと第2配線23Bとを通じて、駆動部12に接続される。第2透明電極層35は、第2配向層33と第2透明支持層37との間に位置し、かつ第2配向層33と第2透明支持層37とに接する。
第1透明電極層34と第2透明電極層35とは、それぞれ無色透明、あるいは有色透明に視認される。第1透明電極層34と第2透明電極層35とを構成する材料は、それぞれ導電性無機酸化物、金属、あるいは導電性有機高分子化合物である。導電性無機酸化物の一例は、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛からなる群から選択されるいずれか一種である。金属は、金や銀のナノワイヤーである。導電性有機高分子化合物の一例は、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択されるいずれか1種である。第1透明電極層34と第2透明電極層35との厚さの一例は、それぞれ5nm以上200nm以下である。
第1透明支持層36と第2透明支持層37とは、それぞれ無色透明、あるいは有色透明に視認される。第1透明支持層36と第2透明支持層37とを構成する材料は、それぞれ有機高分子化合物、あるいは無機高分子化合物である。有機高分子化合物の一例は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィンからなる群から選択されるいずれか一種である。無機高分子化合物の一例は、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素からなる群から選択されるいずれか一種である。第1透明支持層36と第2透明支持層37との厚さの一例は、それぞれ20μm以上400μm以下である。
駆動部12は、第1透明電極層34と第2透明電極層35とに別々に接続される。駆動部12は、電圧信号の供給によって、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に電圧を印加する。駆動部12は、電圧信号の供給停止によって、第1透明電極層34と第2透明電極層35との間の電圧を変更する。電圧信号の供給と供給停止とは、液晶化合物LCMの配向状態を変える。駆動部12は、液晶化合物LCMの配向状態を変えることによって、透明から不透明に調光シート11を可逆的に切り替える。
駆動部12が電圧信号の供給を停止しているとき、液晶化合物LCMの配向状態は、第1配向層32と第2配向層33とによる配向規制力に従う。配向規制力に従う液晶化合物LCMの配向状態は、調光層31に可視光を透過させる。これにより、調光シート11は透明になる。駆動部12が電圧信号を供給しているとき、液晶化合物LCMが配向規制力に抗した電界の作用力を受ける。電界の作用力に従う液晶化合物LCMの配向状態は、調光層31に可視光を散乱させる。これにより、調光シート11は不透明になる。
調光シート11は、第1透明電極層34と第1透明支持層36との間に他の機能層を備えてもよい。調光シート11は、第2透明電極層35と第2透明支持層37との間に他の機能層を備えてもよい。他の機能層は、調光層31に向けた酸素や水分の透過を抑えるガスバリア層でもよいし、調光層31に向けた特定波長以外の紫外光線の透過を抑える紫外線バリア層でもよい。他の機能層は、調光シート11を機械的に保護するハードコート層でもよいし、調光シート11における層間の密着性を高める接着層でもよい。
[調光層31]
図2が示すように、調光層31は、液晶組成物31LC、スペーサーSP、および電離線硬化樹脂層31Pを備える。
液晶組成物31LCは、液晶化合物LCMを含む。液晶組成物31LCは、二色性色素DP、消泡剤、酸化防止剤、耐候剤、溶剤、および粘度低下剤などの添加剤を含有してもよい。耐候剤の一例は、紫外線吸収剤や光安定剤である。
液晶化合物LCMの長軸方向の誘電率は、液晶化合物LCMの短軸方向の誘電率よりも大きい、正の誘電異方性を有してもよい。液晶化合物LCMの長軸方向の誘電率は、液晶化合物LCMの短軸方向の誘電率よりも低い、負の誘電異方性を有してもよい。液晶化合物LCMの誘電異方性は、調光シート11の駆動型式に基づいて適宜選択される。
液晶化合物LCMは、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、ピリダジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ジシアノベンゼン系、ナフタレン系、ジオキサン系からなる群から選択される少なくとも一種である。液晶化合物LCMは、1種の液晶化合物LCM、あるいは2種以上の液晶化合物LCMの組み合わせである。
液晶化合物LCMの構造例は、下記式1によって表される。
11-A11-Z11-A12-Z12-A13-Z13-A14-R12 ・・・式1
式1が示すR11は、水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基である。R11のアルキル基に含まれる1つ、または隣接しない2つ以上のメチレン結合は、酸素原子、エチレン結合、エステル結合、ジエーテル結合からなる群から選択されるいずれかに置換可能である。式1が示すR12は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、または、炭素原子数1以上15以下のアルキル基である。式1が示すR12のアルキル基に含まれる1つ、または隣接しない2つ以上のメチレン結合は、酸素原子、エチレン結合、エステル結合、ジエーテル結合からなる群から選択されるいずれかに置換可能である。
式1が示すA11、A12、A13、A14は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、2,6-ナフチレン基を表す。1,4-フェニレン基、2,6-ナフチレン基の1つ、または2つ以上の水素原子は、フッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基に置換可能である。式1が示すA11、A12、A13、A14は、それぞれ独立して、1,4-シクロヘキシレン基、3,6-シクロヘキセニレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基でもよい。式1が示すA13、A14は、それぞれ独立して、単結合でもよい。式1が示すZ11、Z12、Z13は、それぞれ独立して、単結合、エステル結合、ジエーテル結合、エチレン結合、フルオロエチレン結合、カルボニル結合からなる群から選択されるいずれか一種を表す。
二色性色素DPは、液晶化合物LCMをホストとしたゲストホスト型式によって駆動されて有色を呈する。二色性色素DPは、ポリヨウ素、アゾ化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、アゾメチン化合物、テトラジン化合物、キノフタロン化合物、メロシアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。二色性色素DPは、1種の化合物、あるいは2種以上の化合物の組み合わせである。耐光性を高めること、および二色比を高めることが求められる場合、二色性色素DPは、アゾ化合物、およびアントラキノン化合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、よりが好ましくはアゾ化合物である。
スペーサーSPは、電離線硬化樹脂層31Pの全体にわたり分散している。スペーサーSPは、スペーサーSPの粒径に調光層31の厚さを定める。調光層31の厚さの一例は、5μm以上100μm以下である。スペーサーSPは、調光層31の厚さを均一にする。スペーサーSPは、ビーズスペーサーでもよいし、フォトレジストの露光および現像によって形成されるフォトスペーサーでもよい。スペーサーSPは、無色透明でもよいし、有色透明でもよい。液晶組成物31LCが二色性色素DPを含む場合、スペーサーSPの色は、二色性色素DPの呈する色と同色であることが好ましい。
[電離線硬化樹脂層31P]
電離線硬化樹脂層31Pは、電離線硬化性組成物の硬化物である。電離線は、紫外線でもよいし、電子線でもよい。電離線硬化性組成物は、紫外線硬化性組成物でもよいし、電子線硬化性組成物でもよい。電離線硬化樹脂層31Pと液晶組成物31LCとの総量に対する電離線硬化樹脂層31Pの含有率の下限値は20質量%であり、より好ましい含有率の下限値は30質量%である。電離線硬化樹脂層31Pの含有率が20質量%以上であれば、透明時に高い透過率が得られやすい。電離線硬化樹脂層31Pと液晶組成物31LCとの総量に対する電離線硬化樹脂層31Pの含有率の上限値は70質量%であり、より好ましい含有率の上限値は60質量%である。電離線硬化樹脂層31Pの含有率が70質量%以下であれば、不透明時に高いヘイズが得られやすい。
電離線硬化樹脂層31Pの含有率の下限値、および上限値は、電離線硬化性組成物の重合過程において、液晶組成物31LCからなる液晶粒子が電離線硬化性組成物の重合体から相分離する範囲である。電離線硬化樹脂層31Pの機械的な強度を高めることを要する場合、電離線硬化樹脂層31Pの含有率の下限値が高いことが好ましい。液晶化合物LCMの駆動電圧を低めることを要する場合、電離線硬化樹脂層31Pの含有率の上限値が低いことが好ましい。
電離線硬化樹脂層31Pは、調光層31のなかに空隙31Dを区画する。液晶組成物31LCは、空隙31Dに充填されている。空隙31Dは、当該空隙31Dに隣接する他の空隙31Dと隔絶されてもよいし、隣接する他の空隙31Dと接続されてもよい。空隙31Dの大きさは、2種以上である。空隙31Dの形状は、球形状、楕円体状、あるいは不定形状である。空隙31Dに外接する真球の直径は、例えば1μm以上10μm以下である。
空隙31Dは、電離線硬化樹脂層31Pのなかに偏在してもよいし、電離線硬化樹脂層31Pのなかに均一に分散してもよい。空隙31Dは、電離線硬化樹脂層31Pの厚さ方向における中央よりも第1配向層32に近い範囲31H1において、第1配向層32に近い部位ほど多くなるように偏在してもよい。空隙31Dは、電離線硬化樹脂層31Pの厚さ方向における中央よりも第2配向層33に近い範囲31H2において、第2配向層33に近い部位ほど多くなるように偏在してもよい。
空隙31Dは、電離線硬化性組成物の硬化物と液晶組成物31LCとの相分離によって形成される。電離線硬化樹脂層31Pのなかで第1配向層32に近い範囲31H1は、電離線の照射されはじめる部位であって、空隙31Dが形成されはじめる部位である。電離線硬化樹脂層31Pのなかで第2配向層33に近い範囲31H2もまた、電離線の照射されはじめる部位であって、空隙31Dが形成されはじめる部位である。第1配向層32に近い範囲31H1は、第1配向層32から低分子不純物が拡散しはじめる部位でもある。第2配向層33に近い範囲31H2は、第2配向層33から低分子不純物が拡散しはじめる部位でもある。このため、空隙31Dが第1配向層32に近い範囲31H1に偏在する構成、すなわち液晶組成物31LCが第1配向層32に近い範囲31H1に偏在する構成は、低分子不純物の拡散を強く要求される。また、空隙31Dが第2配向層33に近い範囲31H2に偏在する構成、すなわち液晶組成物31LCが第2配向層33に近い範囲31H2に偏在する構成も、低分子不純物の拡散を強く要求される。
電離線硬化樹脂層31Pによる液晶組成物31LCの保持型式は、高分子分散型、ポリマーネットワーク型、カプセル型からなる群から選択されるいずれか一種である。高分子分散型の調光層31は、孤立した多数の空隙31Dを区画する電離線硬化樹脂層31Pを備え、電離線硬化樹脂層31Pに分散した空隙31Dのなかに液晶組成物31LCを保持する。ポリマーネットワーク型の調光層31は、3次元の網目状を有した空隙31Dを電離線硬化樹脂層31Pを備え、相互に連通した網目状の空隙31Dのなかに液晶組成物31LCを保持する。カプセル型の調光層31は、電離線硬化樹脂層31Pのなかに分散したカプセル状の空隙31Dのなかに液晶組成物31LCを保持する。
電離線硬化樹脂層31Pは、電離線硬化性組成物と液晶組成物31LCとを含有する調光塗工液の塗工と、塗工層に対する電離線の照射とによって形成される。調光塗工液は、電離線硬化性組成物の重合を開始するための重合開始剤を含む。電離線硬化樹脂層31Pは、重合を開始させた重合開始剤を含む。重合開始剤は、ジケトン化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサンソン化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。重合開始剤は、1種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の組み合わせでもよい。重合開始剤の一例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、シクロヘキシルフェニルケトンからなる群から選択されるいずれか一種である。
電離線硬化性組成物は、第1アクリル化合物を含有する。第1アクリル化合物は、3個以上の官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下である。官能基は、アクリロイル基、およびメタクリロイル基である。二重結合当量は、第1アクリル化合物の分子量を官能基数によって除算した値である。官能基数は、第1アクリル化合物に含まれるアクリロイル基の数量、およびメタクリロイル基の数量の合計である。第1アクリル化合物は、モノマーとして電子線硬化性化合物に含有されてもよい。第1アクリル化合物は、ウレタンプレポリマーなどのウレタンアクリレートの構成要素として電子線硬化性化合物に含有されてもよい。第1アクリル化合物がウレタンアクリレートの構成要素である場合、ウレタンアクリレートにおける第1アクリル化合物の骨格構造に基づいて二重結合当量が定められる。
第1アクリル化合物の一例は、ペンタエリスリトール化合物、トリメチロールプロパン化合物、グリコール化合物である。ペンタエリスリトール化合物は、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリスペンタエリスリトールオクタアクリレートである。トリメチロールプロパン化合物は、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートである。グリコール化合物は、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートである。第1アクリル化合物を含有するプレポリマーの一例は、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーである。
電離線硬化性組成物は、ラジカル硬化助剤を含有してもよい。電離線硬化樹脂層31Pは、ラジカル硬化助剤を含有してもよい。ラジカル硬化助剤は、アクリル化合物の重合性を高める。アクリル化合物の重合は、過酸化物ラジカルを生成することによって重合を停止させる。ラジカル硬化助剤の一例は、チオール基を含有する。ラジカル硬化助剤のチオール基は、過酸化物ラジカルに水素を供与することによって、アクリル化合物の重合を促す。ラジカル硬化助剤の一例は、一級多官能チオール化合物でもよいし、二級多官能チオール化合物でもよい。一級多官能チオール化合物の一例は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)である。二級多官能チオール化合物の一例は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)である。
電離線硬化性組成物は、第2アクリル化合物を含有してもよい。第2アクリル化合物は、単官能のアクリル酸アルキル、単官能のメタクリル酸アルキル、単官能のアクリル酸アルコキシアルキル、および単官能のメタクリル酸アルコキシアルキルである。単官能のアクリル酸アルキルと、単官能のメタクリル酸アルキルとは、それぞれ炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する。単官能のアクリル酸アルコキシアルキルと、単官能のメタクリル酸アルコキシアルキルとは、それぞれ炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する。飽和アルキル基は、直鎖アルキル基でもよいし、分岐アルキル基でもよいし、単環状アルキル基でもよいし、多環状アルキル基でもよい。飽和アルコキシアルキル基は、直鎖アルコキシアルキル基でもよいし、分岐アルコキシアルキル基でもよい。
第2アクリル化合物の一例は、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、オクチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルブチルメタアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ノルボルニルアクリレート、ノルボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートである。
電離線硬化性組成物は、第3アクリル化合物を含有してもよい。第3アクリル化合物は、1個以上3個以下の官能基とポリエチレンオキサイド鎖とを有し、かつ二重結合当量が300g/eq以上700g/eq以下である。官能基は、アクリロイル基、およびメタクリロイル基である。二重結合当量は、第3アクリル化合物の分子量を官能基数によって除算した値である。官能基数は、第3アクリル化合物に含まれるアクリロイル基の数量、およびメタクリロイル基の数量の合計である。第3アクリル化合物は、モノマーとして電子線硬化性化合物に含有されてもよい。第3アクリル化合物は、ウレタンプレポリマーなどのウレタンアクリレートの構成要素として電子線硬化性化合物に含有されてもよい。
第3アクリル化合物の一例は、ポリエチレングリコール化合物でもよいし、アルコキシポリエチレングリコール化合物でもよいし、ポリエチレンオキシサイド変性トリメチロールプロパン化合物(EO変性トリメチロールプロパン化合物)でもよい。第3アクリル化合物の一例は、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートである。
電離線硬化性組成物は、下記条件1を満たす。電離線硬化性組成物は、下記条件2から下記条件7の少なくとも1つを満たしてもよい。
[条件1]第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上である。
[条件2]第1アクリル化合物の含有率が50質量%以下である。
[条件3]第1アクリル化合物の官能基数が3以上5以下であり、かつ第1アクリル化合物の含有率が30質量%以下である。
[条件4]ポリエチレンオキサイド鎖の含有率が2質量%以上20質量%以下である。
[条件5]第2アクリル化合物の含有率が30質量%以上80質量%以下である。
[条件6]第2アクリル化合物の含有率が55質量%以上80質量%以下である。
[条件7]第3アクリル化合物の含有率が5質量%以上20質量%以下である。
第1アクリル化合物の含有率は、電離線硬化樹脂層31Pを形成するための電離線硬化性組成物の総重量に対する第1アクリル化合物の重量の割合である。電離線硬化性組成物の総重量は、第1アクリル化合物の重量、ラジカル硬化助剤の重量、第2アクリル化合物の重量、および第3アクリル化合物の重量の合計である。
第2アクリル化合物の含有率は、電離線硬化樹脂層31Pを形成するための電離線硬化性組成物の総重量に対する第2アクリル化合物の重量の割合である。
第3アクリル化合物の含有率は、電離線硬化樹脂層31Pを形成するための電離線硬化性組成物の総重量に対する第3アクリル化合物の重量の割合である。
ポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、電離線硬化樹脂層31Pを形成するための電離線硬化性組成物の総重量に対するポリエチレンオキサイド鎖の重量の割合である。
[第1配向層32,第2配向層33]
第1配向層32と第2配向層33とは、それぞれ液晶化合物LCMの配向方向を規制する。第1配向層32と第2配向層33とは、それぞれ無色透明、あるいは有色透明に視認される。第1配向層32と第2配向層33とは、垂直配向膜でもよいし、水平配向膜でもよい。
第1配向層32と第2配向層33とを構成する材料は、有機高分子化合物、あるいは無機酸化物である。有機高分子化合物の一例は、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコールからなる群から選択されるいずれか一種である。無機酸化物の一例は、シリコン酸化物、酸化ジルコニウム、シリコーンからなる群から選択されるいずれか一種である。第1配向層32と第2配向層33とを構成する材料は、有機高分子化合物、あるいは無機酸化物を生成するための低分子不純物を含有する。低分子不純物の一例は、ポリイミドの生成に用いられるポリアミック酸などのポリイミド前駆体でもよいし、ポリアミック酸のイミド化によって生成される水などでもよい。第1配向層32と第2配向層33との厚さの一例は、それぞれ20nm以上500nm以下である。
第1配向層32と第2配向層33とがそれぞれ垂直配向膜である場合、第1配向層32と第2配向層33とは、それぞれ調光層31の厚さ方向に液晶化合物LCMの長軸方向を沿わせるように、液晶化合物LCMに配向規制力を加える。これによって、第1配向層32と第2配向層33とは、電圧信号の供給停止期間に、調光層31に可視光を透過させる。
第1配向層32と第2配向層33とがそれぞれ水平配向膜である場合、調光シート11が偏光層を備える。液晶化合物LCMの長軸方向が偏光層の透過軸の延在方向と平行になるように、第1配向層32と第2配向層33とが液晶化合物LCMに配向規制力を加える。これによって、第1配向層32と第2配向層33とは、電圧信号の供給停止期間に、偏光層を通して調光層31に可視光を透過させる。
また、第1配向層32と第2配向層33とがそれぞれ水平配向膜である場合、調光シート11が直交ニコルに配置された偏光層を備える。液晶化合物LCMの長軸方向が1つの偏光層の透過軸の延在方向と平行になるように、第1配向層32が液晶化合物LCMに配向規制力を加える。液晶化合物LCMの長軸方向が他の偏光層の透過軸の延在方向と平行になるように、第2配向層33が液晶化合物LCMに配向規制力を加える。すなわち、第1配向層32と第2配向層33とは、液晶化合物LCMにツイスト配向の規制力を加える。これによって、第1配向層32と第2配向層33とは、電圧信号の供給停止期間に、偏光層を通して調光層31に可視光を透過させる。
なお、第1配向層32と第2配向層33とがそれぞれ水平配向膜である場合、調光シート11が相互に平行な透過軸を有する2つの偏光層を備える。液晶化合物LCMの長軸方向が偏光層の透過軸の延在方向に45°で交差するように、第1配向層32と第2配向層33とが液晶化合物LCMに配向規制力を加える。これによって、第1配向層32と第2配向層33とは、電圧信号の供給停止期間に、偏光層を通した可視光の調光層31の透過を抑制する。第1透明電極層34と第2透明電極層35との間に印加される電圧は、配向規制力に抗した垂直配向を液晶化合物LCMに与えて、偏光層を通した可視光を調光層31に透過させる。
[調光シート11の製造方法]
調光シート11の製造方法は、第1透明電極層34に第1配向層32を形成すること、および第2透明電極層35に第2配向層33を形成することを含む。第1配向層32は、第1透明支持層36に積層された第1透明電極層34に配向塗工液を塗工し、配向塗工層を加熱することによって形成される。第2配向層33は、第2透明支持層37に積層された第2透明電極層35に配向塗工液を塗工し、配向塗工層を加熱することによって形成される。
調光シート11の製造方法は、第1配向層32と第2配向層33との間に、電離線硬化性組成物と液晶組成物31LCとを含む調光塗工層を形成することを含む。調光塗工層は、第1透明支持層36に支持された第1配向層32に調光塗工液を塗工することによって形成される。調光塗工層は、第1透明支持層36に支持された第1配向層32と、第2透明支持層37に支持された第2配向層33とに挟まれる。
調光シート11の製造方法は、調光塗工層に電離線を照射することによって、第1配向層32と第2配向層33との間に、空隙31Dを区画する電離線硬化樹脂層31Pと、空隙31Dに充填される液晶組成物31LCとを備える調光層31を形成することを含む。調光塗工層は、第1透明支持層36から調光塗工層に向けて電離線を照射されてもよいし、第2透明支持層37から調光塗工層に向けて電離線を照射されてもよいし、これらの組み合わせによって電離線を照射されてもよい。
電離線を照射された電離線硬化性組成物は、重合を開始させると共に、液晶組成物31LCからなる液晶粒子を重合体から相分離させる。液晶組成物31LCからなる液晶粒子の相分離は、電離線硬化性組成物の重合と、液晶組成物31LCの拡散とを通じて進む。電離線硬化性組成物の重合速度は、電離線硬化性組成物に照射される電離線の強度によって変わる。液晶組成物31LCの拡散速度は、電離線硬化性組成物の重合時の処理温度によって変わる。液晶組成物31LCの相分離では、液晶粒子の大きさを所望の大きさとするように、すなわち空隙31Dの大きさを所望の大きさとするように、電離線硬化性組成物に照射される電離線の強度が設定される。また、液晶組成物31LCの相分離では、液晶組成物31LCの拡散を促すための加熱を行ってもよい。
空隙31Dの大きさを小さくすることが求められる場合、電離線硬化性組成物に照射される電離線の強度を高めて、液晶組成物31LCの拡散を抑えるための低い温度で重合を進めることが好ましい。空隙31Dの大きさを大きくすることが求められる場合、電離線硬化性組成物に照射される電離線の強度を低めて、液晶組成物31LCの拡散を促すための高い温度で重合を進めることが好ましい。
[実施例]
実施例および比較例の調光シート11を以下に示す。なお、実施例および比較例の第1配向層32と第2配向層33は、垂直配向膜である。実施例および比較例の駆動形式は、リバース型である。実施例および比較例の調光シート11は、それぞれ相違する電離線硬化性組成物を用い、電離線硬化性組成物以外を同じくして得た。
まず、第1透明電極層34、第2透明電極層35、第1透明支持層36、第2透明支持層37の構成材料を以下に示す。
・第1透明電極層34:厚さが30nmの酸化インジウムスズ
・第2透明電極層35:厚さが30nmの酸化インジウムスズ
・第1透明支持層36:厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
・第2透明支持層37:厚さが125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
[第1配向層32,第2配向層33]
次に、第1配向層32と第2配向層33の構成材料と形成方法とを以下に示す。
まず、下記原料B1,B2に示すジアミンと、下記原料C1,C2に示すカルボン酸無水物とから溶媒下でポリアミック酸を生成した。この際、10重量部の原料B1、8重量部の原料B2、および4重量部の原料C2を75重量部の第1溶媒のなかで80℃に加熱しながら5時間にわたり反応させた。次に、16重量部の原料C1と38重量部の第1溶媒とを添加して40℃に加熱しながら6時間にわたり反応させた。これによって、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミック酸溶液を得た。次に、樹脂固形分濃度が25質量%のポリアミック酸溶液、第1溶媒、および第2溶媒から配向層塗液を得た。この際、12重量部のポリアミック酸溶液、27重量部の第1溶媒、および36重量部の第2溶媒を混合して50℃に加熱しながら24時間にわたり攪拌させた。
次に、バーコーターを用いて第1透明電極層34に配向塗工液を塗工して4分間にわたり150℃に加熱した。これによって、厚さが100nmのポリイミドを主成分とする第1配向層32を得た。同じく、バーコーターを用いて第2透明電極層35に配向塗工液を塗工して4分間にわたり150℃に加熱した。これによって、厚さが100nmのポリイミドを主成分とする第2配向層33を得た。
[配向塗工液原料]
・B1:4,4’-ジアミノジフェニルメタン(東京化成工業株式会社製)
・B2:3,5-ジアミノ安息香酸(東京化成工業株式会社製)
・C1:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業株式会社製)
・C2:3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物(東京化成工業株式会社製)
・第1溶媒:N-エチル-2-ピロリドン
・第2溶媒:ブチルセロソルブ
[調光層31]
次に、調光層31の構成材料と形成方法とを以下に示す。なお、実施例の電離線硬化性組成物の構成材料、および調光シート11の実施例における評価結果を図3に示す。比較例の電離線硬化性組成物の構成材料、および調光シート11の比較例の評価結果を図4に示す。実施例および比較例の調光シート11の評価結果における第1アクリル化合物の依存性を図5から図7に示す。
まず、下記液晶化合物LCM、スペーサーSP、重合開始剤、および電離線硬化性組成物を用いて調光塗工液を生成した。電離線硬化性組成物は、下記化合物1~化合物9から選択される化合物の混合物とした。この際、50重量部の液晶化合物LCM、1重量部の重合開始剤、および1重量部のスペーサーSPに、48重量部の電離線硬化性組成物を混合した。
次に、バーコーターを用いて第1配向層32に調光塗工液を塗工し、調光塗工層の上に第2配向層33を配置して、第1配向層32と第2配向層33とに挟まれた調光塗工層を形成した。次に、第1透明支持層36から調光塗工層に向けて紫外線を照射すると共に、第2透明支持層37から調光塗工層に向けて紫外線を照射した。これによって、厚さが10μmの調光層31を得た。
[調光塗工液原料]
・液晶化合物LCM:フッ素系ネマチック混合液晶(製品名:MLC-6608、屈折率異方性Δn=0.20(メルク株式会社製))
・スペーサーSP:直径10μmのPMMA製真球状(積水化成品工業株式会社製)
・重合開始剤:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製)
[電離線硬化性組成物]
化合物1は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(製品名:カレンズMT PE-1(昭和電工株式会社製))である。化合物1は、ラジカル硬化助剤である。
化合物2は、単官能のアクリル化合物であって、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(製品名:AM-130G(新中村化学工業株式会社製))である。化合物2の二重結合当量は658g/eqである。化合物2は、アクリレート基とメトキシ基との間にポリエチレンオキサイド鎖を含有する。ポリエチレンオキサイド鎖は、エチレンオキサイドを繰り返し単位とする。化合物2のポリエチレンオキサイド鎖における繰り返し回数は、13である。化合物2は、第3アクリル化合物の一例である。
化合物3は、単官能のアクリル化合物であって、イソボルニルアクリレート(製品名:IBXA(大阪有機化学工業株式会社製))である。化合物3の二重結合当量は208g/eqである。化合物3は、第2アクリル化合物の一例である。
化合物4は、2官能のアクリル化合物であって、エトキシポリエチレングリコールアクリレート(製品名:ライトアクリレート14EGA(共栄社化学株式会社製))である。化合物4の二重結合当量は371g/eqである。化合物4は、ポリエチレンオキサイド鎖を含有する第3アクリル化合物の一例である。
化合物5は、3官能のアクリル化合物であって、ポリエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(製品名:AT-20E(新中村化学工業株式会社製))である。化合物5の二重結合当量は392g/eqである。化合物5は、ポリエチレンオキサイド鎖を含有する第3アクリル化合物の一例である。
化合物6は、3官能のアクリル化合物であって、トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業株式会社製)である。化合物6の二重結合当量は、99g/eqである。化合物6は、第1アクリル化合物の一例である。
化合物7は、4官能のアクリル化合物であって、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製)である。化合物7の二重結合当量は、88g/eqである。化合物7は、第1アクリル化合物の一例である。
化合物8は、6官能のアクリル化合物であって、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー(製品名:306I(共栄社化学株式会社製))である。化合物8の二重結合当量は136g/eqである。化合物8は、第1アクリル化合物のウレタンプレポリマーである。
化合物9は、6官能のアクリル化合物であって、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製)である。化合物9の二重結合当量は96g/eqである。化合物9は、第1アクリル化合物の一例である。
図3が示すように、実施例1の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、36重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、5重量部の化合物4(第3アクリル化合物)、および5重量部の化合物7(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例1における第1アクリル化合物の含有率は、10質量%である。実施例1におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、9質量%である。実施例1における第2アクリル化合物の含有率は、75質量%である。実施例1における第3アクリル化合物の含有率は、10質量%である。
実施例2の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、27重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、5重量部の化合物4(第3アクリル化合物)、および14重量部の化合物7(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例2における第1アクリル化合物の含有率は、29質量%である。実施例2におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、9質量%である。実施例2における第2アクリル化合物の含有率は、56質量%である。実施例2における第3アクリル化合物の含有率は、10質量%である。
実施例3の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、18重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、5重量部の化合物4(第3アクリル化合物)、および23重量部の化合物7(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例3における第1アクリル化合物の含有率は、48質量%である。実施例3におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、9質量%である。実施例3における第2アクリル化合物の含有率は、38質量%である。実施例3における第3アクリル化合物の含有率は、10質量%である。
実施例4の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、16重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、5重量部の化合物4(第3アクリル化合物)、および25重量部の化合物7(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例4における第1アクリル化合物の含有率は、52質量%である。実施例4におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、9質量%である。実施例4における第2アクリル化合物の含有率は、33質量%である。実施例4における第3アクリル化合物の含有率は、10質量%である。
実施例5の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、38重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、5重量部の化合物4(第3アクリル化合物)、および3重量部の化合物8(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例5における第1アクリル化合物の含有率は、6質量%である。実施例5におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、9質量%である。実施例5における第2アクリル化合物の含有率は、79質量%である。実施例5における第3アクリル化合物の含有率は、10質量%である。
実施例6の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、3重量部の化合物2(第3アクリル化合物)、36重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、および7重量部の化合物9(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例6における第1アクリル化合物の含有率は、15質量%である。実施例6におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、5質量%である。実施例6における第2アクリル化合物の含有率は、75質量%である。実施例6における第3アクリル化合物の含有率は、6質量%である。
実施例7の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、28重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、8重量部の化合物5(第3アクリル化合物)、および10重量部の化合物6(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例7における第1アクリル化合物の含有率は、21質量%である。実施例7におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、13質量%である。実施例7における第2アクリル化合物の含有率は、58質量%である。実施例7における第3アクリル化合物の含有率は、17質量%である。
実施例8の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、36重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、および10重量部の化合物7(第1アクリル化合物)の混合物である。実施例8における第1アクリル化合物の含有率は、21質量%である。実施例8におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、0質量%である。実施例8における第2アクリル化合物の含有率は、75質量%である。実施例8における第3アクリル化合物の含有率は、0質量%である。
図4が示すように、比較例1の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、40重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、5重量部の化合物4(第3アクリル化合物)、および1重量部の化合物7(第1アクリル化合物)の混合物である。比較例1における第1アクリル化合物の含有率は、2質量%である。比較例1におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、9質量%である。比較例1における第2アクリル化合物の含有率は、83質量%である。比較例1における第3アクリル化合物の含有率は、10質量%である。
比較例2の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、43重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、および3重量部の化合物4(第3アクリル化合物)の混合物である。比較例2における第1アクリル化合物の含有率は、0質量%である。比較例2におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、5質量%である。比較例2における第2アクリル化合物の含有率は、90質量%である。比較例2における第3アクリル化合物の含有率は、6質量%である。
比較例3の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、36重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、および10重量部の化合物4(第3アクリル化合物)の混合物である。比較例3における第1アクリル化合物の含有率は、0質量%である。比較例3におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、16質量%である。比較例3における第2アクリル化合物の含有率は、75質量%である。比較例3における第3アクリル化合物の含有率は、21質量%である。
比較例4の電離線硬化性組成物は、2重量部の化合物1(ラジカル硬化助剤)、26重量部の化合物3(第2アクリル化合物)、および20重量部の化合物4(第3アクリル化合物)の混合物である。比較例4における第1アクリル化合物の含有率は、0質量%である。比較例4におけるポリエチレンオキサイド鎖の含有率は、31質量%である。比較例4における第2アクリル化合物の含有率は、54質量%である。比較例4における第3アクリル化合物の含有率は、42質量%である。
[評価]
実施例および比較例の調光シート11に100Vの交流信号を入力して透明から不透明に変わることを確認した。次に、実施例および比較例の調光シート11について、JIS K 7136:2000に準拠する方法を用いた加熱前における透明時のヘイズを測定した。また、実施例および比較例の調光シート11を130℃のオーブンに30分間投入して、加熱後における透明時のヘイズを測定した。
実施例および比較例の調光シート11から25mmの幅を有する短冊状の試験片を切り出し、JIS Z-0237:2009に準拠する方法を用いて、引きはがし角度が180°であるときの加熱前の剥離強度を測定した。この際、試験片の第1透明支持層36を試験板に固定すると共に、試験片の第2透明支持層37を試験板に対して180°に引きはがした。
図3が示すように、実施例1から実施例8の調光シート11における加熱前の透明時のヘイズは、4%以上5%以下であった。また、実施例1から実施例8の調光シート11における加熱後の透明時のヘイズは、5%以上9%以下であった。実施例4と実施例8の調光シート11における加熱前後のヘイズ変化は、0%であった。実施例1から実施例8の調光シート11のなかで加熱前後のヘイズ変化の最大値は、実施例5が示す4%であった。
実施例1から実施例8の調光シート11における剥離強度は、0.08N/25mm以上0.23N/25mm以下であった。実施例1から実施例4の調光シート11における剥離強度が示すように、化合物7(第1アクリル化合物)の含有率が高いほど調光シート11の剥離強度が低いことが認められた。実施例1,5,6の調光シート11における剥離強度と、実施例8の調光シート11における剥離強度との比較から、化合物2,4(第3アクリル化合物)の含有が調光シート11の剥離強度を高めることが認められた。
図4が示すように、比較例1から比較例4の調光シート11における加熱前の透明時のヘイズは、4%以上5%以下であった。比較例1から比較例4の調光シート11における加熱後の透明時のヘイズは、11%以上15%以下であった。比較例1から比較例4の調光シート11における加熱前後のヘイズ変化は、7%以上9%以下であった。
これら比較例1~4と実施例1~8との比較から、第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上、すなわち[条件1]を満たすことによって、加熱後の透明時におけるヘイズが低められ、かつ加熱前後のヘイズ変化が低められることが認められた。
実施例1~3と実施例4との比較から、第1アクリル化合物の含有率が50質量%以下、すなわち[条件2]を満たすことによって、調光シート11の剥離強度が高まることも認められた。特に、実施例1,2,7と実施例3,4,5との比較から、第1アクリル化合物の官能基数が3以上5以下、かつ含有率が30質量%以下、すなわち[条件3]を満たすことによって、調光シート11の耐熱性と剥離強度との双方が非常に良好であることが認められた。また、第2アクリル化合物の含有率が55質量%以上80質量%以下、すなわち[条件6]を満たすことによって、剥離強度が高まることも認められた。
実施例1,2,7と実施例3,4との比較から、第1アクリル化合物の官能基数が3以上5以下、かつ第1アクリル化合物の含有率が30質量%以下、すなわち[条件3]を満たすことによって、剥離強度が0.2N/25mm以上に高まることも認められた。
実施例1~7と実施例8との比較から、[条件1][条件2]を満たし、かつポリエチレンオキサイド鎖の含有率が2質量%以上20質量%以下、すなわち[条件4]を満たすことによって、剥離強度が0.11N/25mm以上に高まることも認められた。また、[条件1][条件2][条件6]を満たし、かつ第3アクリル化合物の含有率が5質量%以上20質量%以下、すなわち[条件7]を満たすことによって、剥離強度が高まることも認められた。
図5が示すように、電離線硬化性組成物における第1アクリル化合物の含有率が5質量%から下回ることによって、加熱後のヘイズが急峻に高まることが認められた。また、第1アクリル化合物の含有率の変化に対するヘイズの変化は、第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上であることによって、緩やかに推移することも認められた。これにより、電離線硬化性組成物における第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上であることは、調光シート11に安定した良好な耐熱性を与えることが認められた。
図6が示すように、電離線硬化性組成物における第1アクリル化合物の含有率が50質量%以下に下がることによって、剥離強度が急峻に高まりはじめることが認められた。また、電離線硬化性組成物における第1アクリル化合物の含有率が40質量%以下であることによって、0.2N/25mm以上の剥離強度が得られやすいこととも認められた。第1アクリル化合物の含有率が40質量%以下である範囲は、第2アクリル化合物と第3アクリル化合物との合計が60質量%以上である。さらに、第1アクリル化合物の含有率が40質量%以下の範囲、すなわち第2アクリル化合物の含有率が55質量%以上、かつ第3アクリル化合物の含有率が5質量%以上の範囲は、実施例1,2,5~7を含み、かつ実施例3,4,8を含まない。そして、第2アクリル化合物の含有率が55質量%以上、かつ第3アクリル化合物の含有率が5質量%以上の範囲は、0.2N/25mm以上の高い剥離強度を示すことも認められた。
図7の黒塗り丸印は、加熱後に10%以上のヘイズを示した水準であり、比較例1~4を示す。図7の黒塗り三角印は、加熱後に6%以下の優れたヘイズを示す一方、剥離強度が0.2N/25mmに満たない水準であり、実施例3,4,8を示す。白抜き丸印は、加熱後に9%以下の良好なヘイズを示し、かつ0.2N/25mm以上の良好な剥離強度を示す水準であり、実施例1,2,5~7を示す。
図7が示すように、黒塗り丸印と白抜き丸印との比較から、第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上であることによって、透明時のヘイズに良好な耐熱性が得られることが認められた。また、黒塗り三角印と白抜き丸印との比較から、第1アクリル化合物の含有率が5質量%以上40質量%以下であり、かつポリエチレンオキシサイド鎖の含有量が2質量%以上20質量%以下の範囲であれば、良好な剥離強度も得られることが認められた。
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)[条件1]を満たす電離線硬化樹脂層31Pは、第1配向層32や第2配向層33に含有される低分子不純物が液晶化合物LCMに達することを抑制する。結果として、調光シート11における光学特性の耐熱性を向上できる。
(2)[条件2]を満たす電離線硬化樹脂層31Pは、低分子不純物が液晶化合物LCMに達することを抑制しながらも、調光シート11のシート内における剥離強度を向上できる。[条件3]を満たす電離線硬化樹脂層31Pは、こうした剥離強度の向上効果を得る実効性を高める。
(3)[条件4]~[条件7]を満たす電離線硬化樹脂層31Pは、上記(1)に準じた効果の実効性を高めると共に、上記(2)に準じた効果をさらに高める。特に、[条件4]を満たす電離線硬化樹脂層31Pは、ポリエチレンオキサイド鎖の長さの調整によって剥離強度が高まるため、剥離強度の調整を簡便なものとする。また、[条件6][条件7]を共に満たす電離線硬化樹脂層31Pは、第2アクリル化合物と第3アクリル化合物との各含有率の特定によって剥離強度が高まるため、剥離強度の調整要素の自由度を高めると共に、相分離に適した配合選択を可能にもする。
LCM…液晶化合物
10…調光装置
11…調光シート
12…駆動部
31…調光層
31P…電離線硬化樹脂層
31LC…液晶組成物
31D…空隙
32…第1配向層
33…第2配向層
34…第1透明電極層
35…第2透明電極層
36…第1透明支持層
37…第2透明支持層

Claims (11)

  1. 第1透明電極層と、
    第2透明電極層と、
    前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、
    前記第1透明電極層と前記調光層とに挟まれた第1配向層と、
    前記第2透明電極層と前記調光層とに挟まれた第2配向層と、を備え、
    前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される電圧の変更によって前記調光層のヘイズを変更する調光シートであって、
    前記調光層は、
    空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、
    前記空隙に充填される液晶組成物と、を備え、
    アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成するアクリル化合物のなかで3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の5質量%以上である
    ことを特徴とする調光シート。
  2. 前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の50質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  3. 前記第1アクリル化合物における前記官能基の数量が3個以上5個以下であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の30質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  4. 前記電離線硬化樹脂層を構成するポリエチレンオキサイド鎖の含有率が前記電離線硬化樹脂層の2質量%以上20質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  5. 炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルコキシアルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルキル、および炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルコキシアルキルが第2アクリル化合物であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第2アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の30質量%以上80質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  6. 前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の40質量%以下であり、
    炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のアクリル酸アルコキシアルキル、炭素数が2以上12以下の飽和アルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルキル、および炭素数が2以上12以下の飽和アルコキシアルキル基を含有する単官能のメタクリル酸アルコキシアルキルが第2アクリル化合物であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第2アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の55質量%以上80質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  7. 1個以上3個以下の前記官能基とポリエチレンオキサイド鎖とを有し、かつ二重結合当量が300g/eq以上700g/eq以下であるアクリル化合物が第3アクリル化合物であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第3アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の5質量%以上20質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  8. 前記第1配向層、および前記第2配向層は、それぞれポリイミド前駆体、およびポリイミドからなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含む
    請求項1に記載の調光シート。
  9. 前記電離線硬化樹脂層の重量と前記液晶組成物の重量との総量に対する前記液晶組成物の重量が20質量%以上70質量%以下である
    請求項1に記載の調光シート。
  10. 調光シートと、
    前記調光シートに電圧を印加する駆動部と、を備える調光装置であって、
    前記調光シートは、
    第1透明電極層と、
    第2透明電極層と、
    前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に位置する調光層と、
    前記第1透明電極層と前記調光層とに挟まれた第1配向層と、
    前記第2透明電極層と前記調光層とに挟まれた第2配向層と、を備え、
    前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される前記電圧の変更によって前記調光層のヘイズを変更し、
    前記調光層は、
    空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、
    前記空隙に充填される液晶組成物と、を備え、
    アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成するアクリル化合物のなかで3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化樹脂層の5質量%以上である
    ことを特徴とする調光装置。
  11. 第1透明電極層に積層された第1配向層と、第2透明電極層に積層された第2配向層との間に、電離線硬化性組成物と液晶組成物とを含有する塗工層を形成することと、
    前記塗工層に電離線を照射することによって、前記第1配向層と前記第2配向層との間に、空隙を区画する電離線硬化樹脂層と、前記空隙に充填される前記液晶組成物とを備える調光層を形成することと、を含み、
    前記第1透明電極層と前記第2透明電極層との間に印加される電圧の変更によって前記調光層のヘイズを変更する調光シートの製造方法であって、
    アクリロイル基、およびメタクリロイル基が官能基であり、
    前記電離線硬化樹脂層を構成するアクリル化合物のなかで3個以上の前記官能基を有し、かつ二重結合当量が150g/eq以下であるアクリル化合物が第1アクリル化合物であり、
    前記電離線硬化性組成物を構成する前記第1アクリル化合物の含有率が前記電離線硬化性組成物の5質量%以上である
    ことを特徴とする調光シートの製造方法。
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