JP2024034184A - 正極およびこれを用いた二次電池 - Google Patents

正極およびこれを用いた二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2024034184A
JP2024034184A JP2022138262A JP2022138262A JP2024034184A JP 2024034184 A JP2024034184 A JP 2024034184A JP 2022138262 A JP2022138262 A JP 2022138262A JP 2022138262 A JP2022138262 A JP 2022138262A JP 2024034184 A JP2024034184 A JP 2024034184A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
active material
electrode active
material layer
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022138262A
Other languages
English (en)
Inventor
幸俊 上原
Yukitoshi Uehara
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Prime Planet Energy and Solutions Inc
Original Assignee
Prime Planet Energy and Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Prime Planet Energy and Solutions Inc filed Critical Prime Planet Energy and Solutions Inc
Priority to JP2022138262A priority Critical patent/JP2024034184A/ja
Publication of JP2024034184A publication Critical patent/JP2024034184A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】カーボンナノチューブを用いた正極であって、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡による発熱時に正極活物質層の抵抗が大きくなる正極を提供する。【解決手段】ここに開示される正極は、正極集電体と、前記正極集電体に支持された正極活物質層と、を備える。前記正極活物質層は、正極活物質、カーボンナノチューブ、ポリフッ化ビニリデン、およびポリアミド酸を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、正極に関する。本発明はまた、当該正極を用いた二次電池に関する。
近年、リチウムイオン二次電池等の二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
リチウムイオン二次電池等の二次電池に用いられる正極は、一般的に、正極集電体上に正極活物質層が設けられた構成を有する。正極活物質層は、典型的には、正極活物質、導電材、バインダ等を含有する。この導電材としてカーボンナノチューブを用いることにより、正極の導電性を向上できることが知られている(例えば、特許文献1~4参照)。また、正極活物質層に含有されるバインダとして、ポリフッ化ビニリデンが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
特表2018-501602号公報 特開2015-153714号公報 特表2021-506064号公報 特開2013-036021号公報
正極活物質層でのカーボンナノチューブの導電材としての使用は、二次電池の初期抵抗低減の観点からは有利である。しかしながら、二次電池には、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡時において、発熱が抑制されていることが望まれている。
これに対し本発明者が鋭意検討した結果、次のことを見出した。金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡が起こった直後には、発熱により二次電池の温度が500℃を超える。この発熱時において正極活物質層の抵抗が大きいと、温度上昇(すなわちさらなる発熱)の抑制が可能であるが、カーボンナノチューブを導電材に用いた上記従来技術においては、発熱時の正極活物質層の抵抗が小さ過ぎるという問題があることを見出した。
そこで本発明は、カーボンナノチューブを用いた正極であって、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡による発熱時に正極活物質層の抵抗が大きくなる正極を提供することを目的とする。
ここに開示される正極は、正極集電体と、前記正極集電体に支持された正極活物質層と、を備える。前記正極活物質層は、正極活物質、カーボンナノチューブ、ポリフッ化ビニリデン、およびポリアミド酸を含有する。
このような構成によれば、カーボンナノチューブを用いた正極であって、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡による発熱時に正極活物質層の抵抗が大きくなる正極を提供することができる。
別の側面から、ここに開示される二次電池は、上記の正極と、負極と、電解質と、を備える。このような構成によれば、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡による発熱が抑制された二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る正極を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の捲回電極体の構成を示す模式分解図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。なお、本明細書において「A~B」として表現される数値範囲には、AおよびBが含まれる。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイスをいい、いわゆる蓄電池、および電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、リチウムイオン二次電池に用いられる正極を例にして、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。図1は、本実施形態に係る正極の、厚さ方向および幅方向に沿った模式断面図である。
図示されるように、正極50は、正極集電体52と、正極集電体52に支持された正極活物質層54とを備える。正極活物質層54は、図示例では、正極集電体52の両面上に設けられている。しかしながら、正極活物質層54は、正極集電体52の片面上に設けられていてもよい。好ましくは、正極活物質層54は、正極集電体52の両面上に設けられている。
図示例のように、正極50の幅方向の一方の端部に、正極活物質層54が設けられていない正極活物質層非形成部分52aが設けられていてもよい。正極活物質層非形成部分52aでは、正極集電体52が露出しており、正極活物質層非形成部分52aは集電部として機能することができる。しかしながら、正極50から集電するための構成はこれに限られない。
正極集電体52としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極集電体を用いてよく、その例としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)製のシートまたは箔が挙げられる。正極集電体52としては、アルミニウム箔が好ましい。
正極集電体52の寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。正極集電体52としてアルミニウム箔を用いる場合には、その厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上35μm以下であり、好ましくは7μm以上20μm以下である。
正極活物質層54は、正極活物質、カーボンナノチューブ(CNT)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリアミド酸を含有する。
正極活物質としては、例えば、リチウム複合酸化物、リチウム遷移金属リン酸化合物等を用いることができる。正極活物質の結晶構造は、特に限定されず、層状構造、スピネル構造、オリビン構造等であってよい。
リチウム複合酸化物としては、遷移金属元素として、Ni、Co、Mnのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、その具体例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等が挙げられる。
なお、本明細書において「リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物」とは、Li、Ni、Co、Mn、Oを構成元素とする酸化物の他に、それら以外の1種または2種以上の添加的な元素を含んだ酸化物をも包含する用語である。かかる添加的な元素の例としては、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Na、Fe、Zn、Sn等の遷移金属元素や典型金属元素等が挙げられる。また、添加的な元素は、B、C、Si、P等の半金属元素や、S、F、Cl、Br、I等の非金属元素であってもよい。このことは、上記したリチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等についても同様である。
リチウム遷移金属リン酸化合物としては、例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸マンガン鉄リチウム等が挙げられる。
上記の正極活物質は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。初期抵抗が小さい等、諸特性に優れることから、正極活物質としては、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物が好ましい。リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素に対するニッケルの割合が高いほど、甚大な内部短絡時の発熱抑制効果による利益が大きい。よって、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物において、リチウム以外の金属元素に対するニッケルの割合が、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは55モル%以上であり、さらに好ましくは60モル%以上である。
正極活物質の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.05μm以上25μm以下であり、好ましくは1μm以上20μm以下であり、より好ましくは3μm以上15μm以下である。なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、メジアン径(D50)を指し、したがって、レーザ回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布において、粒径が小さい微粒子側からの累積頻度50体積%に相当する粒径を意味する。よって、平均粒子径(D50)は、公知のレーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置等を用いて求めることができる。
正極活物質層54中の正極活物質の含有量(すなわち、正極活物質層54の全質量に対する正極活物質の含有量)は、特に限定されないが、87質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは96質量%以上である。
本実施形態においては、正極活物質層54のバインダ成分として、PVdFと、ポリアミド酸とを組合わせて用いる。導電材としてのCNTと、このバインダ成分との組み合わせによって、正極の性能を確保すると共に、甚大な内部短絡による発熱時に正極活物質層54の抵抗を大きくすることができる。
PVdFは、本実施形態に係る正極を用いた二次電池の諸特性(特に、サイクル特性)を確保するのに寄与する。本実施形態で用いられるPVdFは、二次電池の正極に用いられる公知のバインダであってよい。よって、PVdFの分子量は、二次電池の正極に用いられる公知のバインダ用PVdFと同じであってよい。PVdFは、典型的にはホモポリマーであるが、本発明の効果を阻害しない範囲内(例えば、全モノマー単位中、10モル%以下)で、フッ化ビニリデン以外のモノマーが共重合されていてもよい。
ポリアミド酸は、ポリアミック酸とも呼ばれ、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって得られる化合物であり、ポリイミド前駆体として機能する化合物である。したがって、通常、ポリアミド酸を200℃~300℃程度に加熱すると、イミド化を起こす。よって、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡が起こった直後の発熱により、二次電池の温度が500℃を超えるが、ポリアミド酸は、正極活物質層54内でイミド化を起こし、これにより正極活物質層54の抵抗を増大させることができる。その結果、甚大な内部短絡時における発熱を抑制することができる。この効果は、CNTとポリアミド酸との組み合わせによって得られる。これは、CNTの表面官能基とポリアミド酸のカルボキシル基との相互作用によって、CNTがポリアミド酸を吸着し、吸着されたポリアミド酸がイミド化されることで、導電パスが高抵抗化されるためと考えられる。
テトラカルボン酸二無水物は、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物のいずれであってもよい。
脂肪族テトラカルボン酸二無水物の例としては、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
脂環式テトラカルボン酸二無水物の例としては、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物などが挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸二無水物の例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、および4,4’-オキシジフタル酸無水物がより好ましく、ピロメリット酸二無水物がさらに好ましい。
ジアミンは、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミンのいずれであってもよい。
脂肪族ジアミンの例としては、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
脂環式ジアミンの例としては、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などが挙げられる。
芳香族ジアミンの例としては、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
これらのジアミンは、1種単独で、または2種以上を組合わせて用いることができる。ジアミンとしては、芳香族ジアミンが好ましく、p-フェニレンジアミン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、および4,4’-ジアミノジフェニルエーテルがより好ましく、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルがさらに好ましい。
本実施形態に係る正極は、ポリアミド酸のイミド化によって正極活物質層の抵抗を増大させるものであるため、ポリアミド酸のイミド化率は、低い方が好ましい。具体的には、ポリアミド酸のイミド化率は、好ましくは0%~30%であり、より好ましくは0%~15%であり、さらに好ましくは0%~10%である。なお、ポリアミド酸のイミド化率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いた測定より求めることができる。例えば、ポリアミド酸が芳香環を含む場合には、イミド化率は、イミド基由来のピーク(例えば、波長1775cm-1付近のピーク)の強度と、芳香環基由来のピーク(例えば、波長1519cm-1付近のピーク)の強度とを測定し、芳香環基由来のピーク強度に対するイミド基由来のピーク強度の比を求める。そして、ポリアミド酸を完全にイミド化させた場合(例えば、真空下350℃で3時間熱処理した場合)の、これらのピーク強度の比を求め、これを基準(すなわち、100%)として、イミド化率を算出する。
PVdFに対するポリアミド酸の質量比(ポリアミド酸/PVdF)は特に限定されないが、大きい方が、発熱時の正極活物質層の抵抗増加効果が高くなる。よって、質量比(ポリアミド酸/PVdF)は、20/80以上が好ましい。一方、特に良好な電池特性の観点からは、質量比(ポリアミド酸/PVdF)は、80/20以下が好ましい。発熱時の正極活物質層のより高い抵抗増加効果の観点から、質量比(ポリアミド酸/PVdF)は、40/60~80/20が好ましく、50/50~80/20がより好ましく、65/35~80/20がさらに好ましい。
正極活物質層54中のポリアミド酸の含有量は、特に限定されないが、発熱時の正極活物質層のより高い抵抗増加効果の観点から、好ましくは0.2質量%であり、より好ましくは0.5質量%以上である。一方、正極活物質層54中のポリアミド酸の含有量は、5質量%以下、2質量%以下、または0.8質量%以下であってよい。正極活物質層54中のポリアミド酸の含有量は、特に好ましくは0.2質量%~0.8質量%である。
正極活物質層54中のPVdFとポリアミド酸の合計含有量は、特に限定されず、例えば、0.3質量%~10質量%であり、好ましくは0.4質量%~5質量%であり、より好ましくは0.5質量%~2質量%である。
CNTは、正極活物質層54において導電材として機能する。CNTとしては、例えば、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、2層カーボンナノチューブ(DWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)などを用いることができる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。CNTは、アーク放電法、レーザアブレーション法、化学気相成長法等により製造されたものであってよい。
ここで、CNTは、ポリアミド酸を吸着し得る。本実施形態においては、CNTがポリアミド酸を吸着していることが好ましい。CNTの比表面積が大きいと、CNTにポリアミド酸を多く吸着することができ、甚大な内部短絡時における発熱によって、CNTを中心にイミド化が起こるようになる。よって、CNTの比表面積がある程度大きい方が、抵抗増加において有利となる。そこで、CNTの比表面積は、好ましく60m/g以上であり、より好ましくは120m/g以上であり、さらに好ましくは160m/g以上である。一方、CNTの比表面積の上限は特に限定されず、2000m/g以下、1500m/g以下、または1200m/g以下であってよい。
なお、CNTの比表面積は、CNTのBET比表面積のことを指し、BET法に従い窒素を吸着質に用いて測定することができる。
CNTの平均長さは特に限定されない。CNTの平均長さが長過ぎると、CNTが凝集して分散性が低下する傾向にある。そのため、CNTの平均長さは、15μm以下が好ましく、8.0μm以下がより好ましく、5.0μm以下がさらに好ましく、3.0μm以下が最も好ましい。一方、CNTの平均長さが短過ぎると、正極活物質間の導電パスが形成され難くなる傾向にある。そのため、CNTの平均長さは、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.8μm以上がさらに好ましく、1.0μm以上が最も好ましい。
CNTの平均直径は、特に限定されず、例えば0.1nm~150nmであり、好ましくは0.5nm~60nmであり、より好ましくは0.5nm~30nmである。
なお、CNTの平均長さおよび平均直径は、例えば、CNTの電子顕微鏡写真を撮影し、100個以上のCNTの長さおよび直径の平均値として、それぞれ求めることができる。具体的に例えば、CNT分散液を希釈した後乾燥して、測定試料を調製する。この試料について走査型電子顕微鏡(SEM)観察を行い、100個以上のCNTの長さおよび直径を求め、平均値を算出する。このとき、CNTが再凝集している場合には、凝集したCNTの束に対して、長さおよび直径を求める。
正極活物質層54中のCNTの含有量は、特に限定されず、例えば、0.1質量%~10質量%であり、好ましくは0.2質量%~5質量%であり、より好ましくは0.3質量%~2質量%である。
正極活物質層54は、上記した成分以外の成分(すなわち、任意成分)をさらに含有していてもよい。任意成分の例としては、カーボンナノチューブ分散剤、リン酸三リチウムなどが挙げられる。
CNT分散剤の具体例としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物アンモニウム塩、メチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩等の重縮合系の芳香族系界面活性剤;ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩等のポリカルボン酸およびその塩;トリアジン誘導体系分散剤(好ましくはカルバゾリル基、またはベンゾイミダゾリル基を含むもの);ポリビニルピロリドン(PVP);ピレン、アントラセン等の多核芳香族を側鎖に有するポリマー;ピレンアンモニウム誘導体(例、ピレンにアンモニウムブロマイド基が導入された化合物)、アントラセンアンモニウム誘導体等の多核芳香族アンモニウム誘導体;などが挙げられる。これらのCNT分散剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。CNT分散剤としては、多核芳香族を含むものが好ましい。具体的には、CNT分散剤としては、多核芳香族を側鎖に有するポリマー、および多核芳香族アンモニウム誘導体が好ましい。
CNT分散剤の使用量は、特に限定されず、CNT100質量部に対して、例えば1質量部以上400質量部以下であり、好ましくは20質量部以上200質量部以下である。
正極活物質層54の片面当たりの厚みは、特に限定されないが、通常10μm以上であり、好ましくは20μm以上である。一方、当該厚みは、通常300μm以下であり、好ましくは200μm以下である。
正極50の正極活物質層非形成部分52aにおいて、正極活物質層54に隣接する位置に絶縁粒子(例、セラミック粒子)を含む絶縁性の保護層(図示せず)を設けてもよい。この保護層により、正極活物質層非形成部分52aと負極との間の短絡を防止することができる。
本実施形態に係る正極50は、正極活物質、CNT、PVdF、ポリアミド酸、任意成分、および溶媒(分散媒)を含有する正極スラリーを作製し、当該スラリーを、正極集電体52上に塗布し、乾燥した後、必要に応じプレス処理することによって作製することができる。
本実施形態に係る正極によれば、金属部材が二次電池の電極体を貫通するような甚大な内部短絡時における発熱時に、正極活物質層の抵抗を増大させることができる。よって、これにより当該甚大な内部短絡時において、発熱を抑制することができる。また、本実施形態に係る正極によれば、二次電池に良好な抵抗特性およびサイクル特性を付与することができる。
そこで、別の側面から、本実施形態に係る二次電池は、正極と、負極と、電解質と、を備え、当該正極が、上記の本実施形態に係る正極である。
以下、本実施形態に係る二次電池について、扁平形状の捲回電極体と扁平形状の電池ケースとを有する扁平角型のリチウムイオン二次電池を例にして、詳細に説明する。しかしながら、本実施形態に係る二次電池は、以下説明する例に限定されない。
図2に示すリチウムイオン二次電池100は、扁平形状の捲回電極体20と非水電解質80とが扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)30に収容されることにより構築される密閉型電池である。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36とが設けられている。また、電池ケース30には、非水電解質80を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。なお、図2は、非水電解質80の量を正確に表すものではない。
捲回電極体20は、図2および図3に示すように、正極シート50と、負極シート60とが、2枚の長尺状のセパレータシート70を介して重ね合わされて長手方向に捲回された形態を有する。
正極シート50としては、上述した本実施形態に係る正極50が用いられている。正極シート50は、長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極活物質層54が形成された構成を有する。負極シート60は、長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極活物質層64が形成されている構成を有する。
正極50は、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した、正極活物質層非形成部分52aを有している。負極60は、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した、負極活物質層非形成部分62aを有している。正極活物質層非形成部分52aおよび負極活物質層非形成部分62aは、捲回電極体20の捲回軸方向(すなわち、上記長手方向に直交するシート幅方向)の両端から外方にはみ出すように形成されている。正極活物質層非形成部分52aおよび負極活物質層非形成部分62aには、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
負極シート60を構成する負極集電体62としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の負極集電体を用いてよく、その例としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)製のシートまたは箔が挙げられる。負極集電体62としては、銅箔が好ましい。
負極集電体62の寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。負極集電体62として銅箔を用いる場合には、その厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上35μm以下であり、好ましくは7μm以上20μm以下である。
負極活物質層64は負極活物質を含有する。当該負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。
負極活物質の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上50μm以下であり、好ましくは1μm以上25μm以下であり、より好ましくは5μm以上20μm以下である。
負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
負極活物質層64中の負極活物質の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上99質量%以下がより好ましい。負極活物質層64中のバインダの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。負極活物質層64中の増粘剤の含有量は、0.3質量%以上3質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましい。
負極活物質層64の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm以上300μm以下であり、好ましくは20μm以上200μm以下である。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
非水電解質80は、典型的には、非水溶媒と支持塩(電解質塩)とを含有する。非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。具体例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のリチウム塩(好ましくはLiPF)を好適に用いることができる。支持塩の濃度は、0.7mol/L以上1.3mol/L以下が好ましい。
なお、上記非水電解質80は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した成分以外の成分、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、オキサラト錯体等の被膜形成剤;ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;増粘剤;等の各種添加剤を含んでいてもよい。
以上のようにして構成されるリチウムイオン二次電池100は、金属部材が電極体20を貫通するような甚大な内部短絡時における発熱が抑制されている。リチウムイオン二次電池100は、初期抵抗が小さく、良好なサイクル特性を有している。
リチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。具体的な用途としては、パソコン、携帯電子機器、携帯端末等のポータブル電源;電気自動車(BEV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の車両駆動用電源;小型電力貯蔵装置の蓄電池などが挙げられ、なかでも、車両駆動用電源が好ましい。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、一例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、積層型電極体(すなわち、複数の正極と、複数の負極とが交互に積層された電極体)を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、ここに開示される非水電解質二次電池は、円筒形リチウムイオン二次電池、ラミネートケース型リチウムイオン二次電池、コイン型リチウムイオン二次電池等として構成することもできる。
また、公知方法に従い、上記の正極を用いて、リチウムイオン二次電池以外の二次電池を構築することもできる。さらに、公知方法に従い、非水電解質80に代えて固体電解質を用いて全固体二次電池(特に全固体リチウムイオン二次電池)を構築することができる。なお、甚大な内部短絡時の発熱抑制効果による利益が大きいことから、二次電池は、非水電解質を備える二次電池であることが有利である。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1~5および比較例1~5>
正極活物質としてLiNi0.6Co0.2Mn0.2で表されるリチウム遷移金属酸化物を用意した。導電材として、表1に示す比表面積を有するCNTと、アセチレンブラック(AB)とを用意した。ポリアミド酸として、ピロメリット酸二無水物および4,4’-ジアミノジフェニルエーテルの反応生成物であるポリアミド酸(イミド化率:8%)を用意した。正極活物質と、表1に示す導電材と、ポリアミド酸と、PVdFとを、97.5:1.5:x:1-xの質量比で混合し、得られた混合物にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極スラリーを調製した。
正極スラリーを、正極集電体としての厚み12μmのアルミニウム箔の両面に塗布した。このとき、リード接続部として、アルミニウム箔上に、正極スラリー未塗工部を設けた。塗布したスラリーを乾燥して正極活物質層を形成した。得られたシートに対してローラーを用いてプレス処理を行った後、所定の寸法に裁断して、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された正極を得た。正極の目付量は、45mg/cm、正極活物質層の充填密度は、3.50g/cmであった。ここで、比較例5の正極に対してのみ、さらに真空下350℃で3時間熱処理して、ポリアミド酸をイミド化させた。
炭素系負極活物質としての黒鉛と、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(CMC-Na)と、スチレンブタジエンラバー(SBR)のディスパージョンとを、固形分の質量比として黒鉛:CMC-Na:CMC=98:1:1で混合した。さらにイオン交換水を適量加えて、負極スラリーを調製した。負極スラリーを、負極集電体としての厚み8μmの銅箔の両面に塗布した。このとき、リード接続部として、銅箔上に、負極スラリー未塗工部を設けた。塗布したスラリーを乾燥して負極活物質層を形成した。得られたシートに対してローラーを用いてプレス処理を行った後、所定の寸法に裁断して、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を得た。負極活物質層の充填密度は、1.50g/cmであった。
上記作製した正極および負極のそれぞれに、リードを取り付けた。単層のポリプロピレン製のセパレータを用意した。正極と、負極とをセパレータを介して交互に1枚ずつ積層して、積層型電極体を作製した。
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを30:40:30の体積比で含む混合溶媒を用意した。この混合溶媒に、ビニレンカーボネートを2質量%の濃度で溶解させ、リチウムビス(オキサレート)ボレートを0.8質量%の濃度で溶解させ、支持塩としてのLiPFを1.15mol/Lの濃度で溶解させた。これにより、非水電解液を得た。
上記作製した積層型電極体と非水電解液とを、角型の電池ケースに収容し、封止して、角型の評価用リチウムイオン二次電池を得た。
<出力抵抗測定>
各評価用リチウムイオン二次電池を、定電流定電圧(CC-CV)充電によって、SOC(State of charge)50%に調製した後、25℃の環境下に置いた。5Cの電流値で10秒間放電を行い、このときの電圧降下量ΔVを取得した。この電圧降下量ΔVと電流値とを用いて、各評価用二次電池の出力抵抗値を算出した。結果を表1に示す。
<サイクル特性評価>
各評価用リチウムイオン二次電池を、25℃の環境下に置き、充電電圧4.25V、充電電流1/3CでのCC-CV充電を1.5時間行った。その後、放電電流1/3Cで、3.0Vまで定電流(CC)放電した。このときの放電容量を測定して、初期容量とした。
次に、各評価用リチウムイオン二次電池を45℃の環境下に置いた。各評価用リチウムイオン二次電池に対して、上記のCC-CV充電とCC放電とを1サイクルとする充放電を、500サイクル繰り返した。その後、初期容量と同様にして放電容量を測定した。(500サイクル後の放電容量/初期容量)×100より、容量維持率を算出した。結果を表1に示す。
<正極抵抗変化>
正極活物質層の抵抗測定には、日置電機社製の電極抵抗測定システム「RM2610」を用いた。各評価用リチウムイオン二次電池を解体して正極を取り出し、正極の抵抗を電極抵抗測定システムで測定し、これを初期抵抗とした。測定条件は、測定電流が10mA、測定スピードがNormal、電圧レンジが0.5Vとし、アルミニウム箔集電体の体積抵抗率を3.8E-06Ω・cmとした。
次に、この正極を真空下350℃で3時間熱処理した。その後、正極の抵抗を電極抵抗測定システムで再度測定し、これを熱処理後抵抗とした。熱処理後抵抗/初期抵抗より、正極の抵抗変化の倍率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2024034184000002
表1の結果より、実施例1~5においては、初期抵抗(出力抵抗)が十分に小さい一方で、熱処理後の正極の抵抗が大幅に増加していることがわかる。他方で、比較例1および2の結果より、リチウムイオン二次電池に一般的に用いられているアセチレンブラック(AB)を導電材として用いた場合には、抵抗増加効果が得られないことがわかる。また、比較例3の結果より、バインダとしてPVdFのみを用いた場合にも、抵抗増加効果が得られないことがわかる。よって、CNTとポリアミド酸とを組合わせることで、特異な効果が得られていることがわかる。
一方で、比較例4より、バインダとしてPVdFのみを用いた場合には、サイクル特性が、二次電池の正極としては不十分となることがわかる。比較例5より、ポリアミド酸をあらかじめイミド化させた場合には、初期抵抗が高くなり、抵抗特性が、二次電池の正極としては不十分となることがわかる。
なお、正極抵抗変化の評価の際の350℃での熱処理において、イミド化による抵抗増加が十分に起こっている。一方、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡時においては、500℃超に達する。よって、このような内部短絡時の発熱によって、抵抗増加のためのイミド化は十分に進行可能である。したがって、ここに開示される正極によれば、金属部材が電極体を貫通するような甚大な内部短絡による発熱時に正極活物質層の抵抗が大きくなる正極を提供できることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
すなわち、ここに開示される正極および二次電池は、以下の項[1]~[5]である。
[1]正極集電体と、
前記正極集電体に支持された正極活物質層と、
を備える正極であって、
前記正極活物質層は、正極活物質、カーボンナノチューブ、ポリフッ化ビニリデン、およびポリアミド酸を含有する、
正極。
[2]ポリフッ化ビニリデンに対するポリアミド酸の質量比が、20/80~80/20である、項[1]に記載の正極。
[3]ポリフッ化ビニリデンに対するポリアミド酸の質量比が、50/50~80/20である、項[1]に記載の正極。
[4]カーボンナノチューブの比表面積が、160m/g以上1200m/g以下である、項[1]~[3]のいずれか一項に記載の正極。
[5]前記正極活物質層中のポリアミド酸の含有量が、0.2質量%~0.8質量%である、項[1]~[4]のいずれか一項に記載の正極。
[6]項[1]~[5]のいずれか一項に記載の正極と、
負極と、
電解質と、
を備える二次電池。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
80 非水電解質
100 リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. 正極集電体と、
    前記正極集電体に支持された正極活物質層と、
    を備える正極であって、
    前記正極活物質層は、正極活物質、カーボンナノチューブ、ポリフッ化ビニリデン、およびポリアミド酸を含有する、
    正極。
  2. ポリフッ化ビニリデンに対するポリアミド酸の質量比が、20/80~80/20である、請求項1に記載の正極。
  3. ポリフッ化ビニリデンに対するポリアミド酸の質量比が、50/50~80/20である、請求項1に記載の正極。
  4. カーボンナノチューブの比表面積が、160m/g以上1200m/g以下である、請求項1に記載の正極。
  5. 前記正極活物質層中のポリアミド酸の含有量が、0.2質量%~0.8質量%である、請求項1に記載の正極。
  6. 請求項1に記載の正極と、
    負極と、
    電解質と、
    を備える二次電池。
JP2022138262A 2022-08-31 2022-08-31 正極およびこれを用いた二次電池 Pending JP2024034184A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022138262A JP2024034184A (ja) 2022-08-31 2022-08-31 正極およびこれを用いた二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022138262A JP2024034184A (ja) 2022-08-31 2022-08-31 正極およびこれを用いた二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024034184A true JP2024034184A (ja) 2024-03-13

Family

ID=90193795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022138262A Pending JP2024034184A (ja) 2022-08-31 2022-08-31 正極およびこれを用いた二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024034184A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101954478B1 (ko) 리튬 이차 전지용 세퍼레이터 및 그 제조 방법
EP2990199B1 (en) Method for producing porous polyimide film, porous polyimide film and separator using same
CN107251281B (zh) 电极材料用浆料及其制造方法、负极、电池以及聚酰亚胺涂覆的活性物质颗粒
US10381648B2 (en) Polyimide coated lithium titanate particles and use thereof in a lithium ion battery
KR20180024005A (ko) 리튬 이온 이차 전지용 음극 및 이것을 포함하는 리튬 이온 이차 전지, 및 리튬 이온 이차 전지용 음극의 제조 방법
JP7068881B2 (ja) 非水電解質二次電池用負極およびこれを用いた非水電解質二次電池
WO2016125718A1 (ja) リチウム二次電池の電極用バインダ樹脂、リチウム二次電池用電極及びリチウム二次電池
WO2017149927A1 (ja) リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池
WO2018139288A1 (ja) 非水電解質二次電池
JP6414058B2 (ja) 電極用バインダー組成物および電極
JPWO2018168916A1 (ja) 二次電池用バインダ組成物
JP7246182B2 (ja) 二次電池、及び二次電池用多孔質セパレータ
JP7025971B2 (ja) 非水電解質二次電池用負極材料並びにこれを用いた負極および非水電解質二次電池
JP2013149483A (ja) リチウム二次電池の負極の製造方法、リチウム二次電池の負極、リチウム二次電池、及びリチウム二次電池の負極用の導電性金属粉末
JP2024034184A (ja) 正極およびこれを用いた二次電池
JP6520497B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極活物質、リチウムイオン二次電池用負極およびリチウムイオン二次電池
JP2011204569A (ja) 非水電解液二次電池および電池用セパレータ
US20240055606A1 (en) Negative electrode and secondary battery including the same
US20240088446A1 (en) Nonaqueous electrolyte secondary battery
US20230282798A1 (en) Method for manufacturing positive electrode and method for manufacturing secondary battery
JP2024010882A (ja) 二次電池
JP2024007228A (ja) 正極スラリーの製造方法
JP2023151076A (ja) チタン含有酸化物粉末、それを用いた電極、及び蓄電デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230907

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240614