JP2024028015A - 含フッ素化合物、表面処理剤及び物品 - Google Patents

含フッ素化合物、表面処理剤及び物品 Download PDF

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久美子 諏訪
Kumiko Suwa
祐 小野崎
Hiroshi Onozaki
創 江口
Hajime Eguchi
有羽 太田
Yu OTA
満 関
Mitsuru Seki
剛 長谷川
Takeshi Hasegawa
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Abstract

【課題】撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成し得る基材の選択肢を広げ得る表面処理剤、物品、含フッ素化合物の提供。【解決手段】芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とを有し、上記芳香族基が芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する、含フッ素化合物。【選択図】なし

Description

本開示は、含フッ素化合物、表面処理剤及び物品に関する。
基材に撥水性等を付与するための方法として、基材上に、表面処理剤を用いて表面層を形成することが行われている。例えば、特許文献1では、パーフルオロポリエーテル基含有トリメトキシシランを含有する表面処理剤が開示されている。
特許第5669699号公報
近年、上記表面層には、様々な特性が求められている。例えば、表面層の撥水撥油性を長期間維持することを目的として、耐摩耗性に優れることが求められる。
本発明者らは、特許文献1の表面処理剤では、基材の種類によっては、表面層の耐摩耗性が十分ではなく、改善の余地があるとの知見を得た。
本開示はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成し得る基材の選択肢を広げ得る表面処理剤を提供することにある。
また、本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を有する物品を提供することにある。
また、本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、新規な化合物を提供することにある。
本開示は以下の態様を含む。
<1> 芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とを有し、
上記芳香族基が芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する、含フッ素化合物。
<2> 上記芳香族基が上記ヒドロキシ基を2つ以上有する、上記<1>に記載の含フッ素化合物。
<3> 上記芳香族基が、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造及びアントラセン構造から選択される1つ以上の構造を含む、上記<1>又は<2>に記載の含フッ素化合物。
<4> 下記式(A1)又は式(A2)で表される、上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の含フッ素化合物。
(G-)a1(-Z)b1 式(A1)
(Z-)b2-G-Q(-Z)b3 式(A2)
式(A1)及び式(A2)中、
及びGは、(ポリ)オキシフルオロアルキル基であり、
は、単結合又は(a1+b1)価の連結基であり、
は、単結合又は(b2+1)価の連結基であり、
は、単結合又は(b3+1)価の連結基であり、
Zは、芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基であり、
a1は、1以上の整数であり、
b1は、1以上の整数であり、
b2は、1以上の整数であり、
b3は、1以上の整数であり、
が複数ある場合、複数あるGは互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、
Zが複数ある場合、複数あるZは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
<5> 芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とを有し、上記芳香族基が芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する、含フッ素化合物を含有する、表面処理剤。
<6> 上記芳香族基が上記ヒドロキシ基を2つ以上有する、上記<5>に記載の表面処理剤。
<7> 上記芳香族基が、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造及びアントラセン構造から選択される1つ以上の構造を含む、上記<5>又は<6>に記載の表面処理剤。
<8> 上記含フッ素化合物が、下記式(A1)又は式(A2)で表される、上記<5>~<7>のいずれか1つに記載の表面処理剤。
(G-)a1(-Z)b1 式(A1)
(Z-)b2-G-Q(-Z)b3 式(A2)
式(A1)及び式(A2)中、
及びGは、(ポリ)オキシフルオロアルキル基であり、
は、単結合又は(a1+b1)価の連結基であり、
は、単結合又は(b2+1)価の連結基であり、
は、単結合又は(b3+1)価の連結基であり、
Zは、芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基であり、
a1は、1以上の整数であり、
b1は、1以上の整数であり、
b2は、1以上の整数であり、
b3は、1以上の整数であり、
が複数ある場合、複数あるGは互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、
Zが複数ある場合、複数あるZは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
<9> 表面処理剤の全質量に対する上記含フッ素化合物の含有率が、0.05~10質量%である、上記<5>~<8>のいずれか1つに記載の表面処理剤。
<10> フッ素系溶媒を含む溶媒を含有する、上記<5>~<9>のいずれか1つに記載の表面処理剤。
<11> 上記溶媒が、非フッ素系溶媒を含む、上記<10>に記載の表面処理剤。
<12> 基材と、上記基材上に配置された表面層とを備え、且つ
上記表面層が上記<5>~<10>のいずれか1つに記載の表面処理剤により形成される、物品。
<13> 上記基材が、金属、金属酸化物、樹脂、サファイア、大理石及びガラスからなる群より選択される1つ以上を含む、上記<12>に記載の物品。
本開示の一実施形態によれば、撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成し得る基材の選択肢を広げ得る表面処理剤が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を有する物品が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、新規な化合物が提供される。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。但し、本開示の実施形態は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示の実施形態を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率及び含有率は、特に記載しない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率及び含有率を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において、式(A1)で表される化合物を化合物(A1)と記す。他の式で表される化合物、基等もこれに準ずる。
本開示において、ペルフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換された基を意味する。
本開示において、フルオロアルキル基とは、パーシャルフルオロアルキル基とペルフルオロアルキル基とを合わせた総称である。なお、パーシャルフルオロアルキル基とは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換され、且つ、水素原子を1個以上有するアルキル基である。すなわち、フルオロアルキル基は1個以上のフッ素原子を有するアルキル基である。(ポリ)オキシフルオロアルキル基とは、鎖中に1又は2以上のオキシ基を有するフルオロアルキル基であり、モノオキシフルオロアルキレン基及びポリオキシフルオロアルキレン基が含まれる。
本開示において、「表面層」とは、基材の表面に存在する層を意味する。
[含フッ素化合物]
本開示の含フッ素化合物(以下、「本含フッ素化合物」とも記す。)は、芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とを有し、上記芳香族基が芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する。以下、ヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を、「特定芳香族基」とも記す。
本含フッ素化合物によれば、撥水撥油性及び耐摩耗性に優れる、表面層を形成できる。上記効果が奏される理由は明らかではないが以下のように推定される。
本含フッ素化合物は、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有しており、これにより、撥水撥油性に優れる表面層の形成が可能となると推定される。また、本含フッ素化合物は、ヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有している。この芳香族基と、基材に含まれる金属、金属酸化物との間で相互作用(複合体形成等)が生じ、耐摩耗性に優れる表面層の形成が可能となると推定される。また、2つ以上の含フッ素化合物において、それぞれの芳香族基同士のπ-π相互作用による複合体の形成、クロスリンキングと呼ばれる共有結合による結合の形成等により、表面層が緻密化され、耐摩耗性が向上すると推定される。
撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、特定芳香族基は、芳香環に結合するヒドロキシ基を2つ以上有することが好ましい。
撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、特定芳香族基は、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造及びアントラセン構造から選択される1つ以上の構造を含むことが好ましい。
撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、本含フッ素化合物は、下記式(A1)又は式(A2)で表されることが好ましい。
(G-)a1(-Z)b1 式(A1)
(Z-)b2-G-Q(-Z)b3 式(A2)
式(A1)及び式(A2)中、
及びGは、(ポリ)オキシフルオロアルキル基であり、
は、単結合又は(a1+b1)価の連結基であり、
は、単結合又は(b2+1)価の連結基であり、
は、単結合又は(b3+1)価の連結基であり、
Zは、芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基であり、
a1は、1以上の整数であり、
b1は、1以上の整数であり、
b2は、1以上の整数であり、
b3は、1以上の整数であり、
が複数ある場合、複数あるGは互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、
Zが複数ある場合、複数あるZは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〔G
は、(ポリ)オキシフルオロアルキレン基である。
製造容易性の観点から、Gは、下式(G1-0)で表される構造が好ましい。
f0O-(Rf12O)c1- 式(G1-0)
式(G1-0)中、
f0は、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、Rf12は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、Rf12が複数ある場合、複数あるRf12は互いに同一であっても異なっていてもよい。c1は0~500の整数であり、1~300の整数がより好ましく、5~200の整数がさらに好ましく、10~150の整数が特に好ましい。
製造容易性の観点から、Gは、下式(G1-1)で表される構造が好ましい。
f0O-[(Rf1O)m1(Rf2O)m2(Rf3O)m3(Rf4O)m4(Rf5O)m5(Rf6O)m6]-Rf7- 式(G1-1)
式(G1-1)中、
f0は、炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
f1は、炭素数1のフルオロアルキレン基であり、
f2は、炭素数2のフルオロアルキレン基であり、
f3は、炭素数3のフルオロアルキレン基であり、
f4は、炭素数4のフルオロアルキレン基であり、
f5は、炭素数5のフルオロアルキレン基であり、
f6は、炭素数6のフルオロアルキレン基である。
f7は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であり、
m1、m2、m3、m4、m5、m6は、それぞれ独立に0又は1以上の整数であり、m1+m2+m3+m4+m5+m6は0~500の整数である。
撥水(撥油)性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、m1+m2+m3+m4+m5+m6は、1~500の整数、即ち、Gが、ポリオキシフルオロアルキル基が好ましい。また、撥水(撥油)性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、m1+m2+m3+m4+m5+m6は、1~300の整数がより好ましく、5~200の整数がさらに好ましく、10~150の整数が特に好ましい。
なお、式(G1-1)における(Rf1O)~(Rf6O)の結合順序は任意である。式(G1-1)のm1~m6は、それぞれ、(Rf1O)~(Rf6O)の個数を表すものであり、配置を表すものではない。例えば、(Rf5O)m5は、(Rf5O)の数がm5個であることを表し、(Rf5O)m5のブロック配置構造を表すものではない。同様に、(Rf1O)~(Rf6O)の記載順は、それぞれの単位の結合順序を表すものではない。
f0において、フルオロアルキル基は、直鎖状フルオロアルキル基であってもよく、分岐状フルオロアルキル基であってもよく、環構造を有するフルオロアルキル基であってもよい。
f3~Rf7において、フルオロアルキレン基は、直鎖状フルオロアルキレン基であってもよく、分岐状フルオロアルキレン基であってもよく、環構造を有するフルオロアルキレン基であってもよい。
f1の具体例としては、-CF-及び-CHF-が挙げられる。
f2の具体例としては、-CFCF-、-CHFCF-、-CHFCHF-、-CHCF-、及び-CHCHF-が挙げられる。
f3の具体例としては、-CFCFCF-、-CFCHFCF-、-CFCHCF-、-CHFCFCF-、-CHFCHFCF-、-CHFCHFCHF-、-CHFCHCF-、-CHCFCF-、-CHCHFCF-、-CHCHCF-、-CHCFCHF-、-CHCHFCHF-、-CHCHCHF-、-CF(CF)-CF-、-CF(CHF)-CF-、-CF(CHF)-CF-、-CF(CH)-CF-、-CF(CF)-CHF-、-CF(CHF)-CHF-、-CF(CHF)-CHF-、-CF(CH)-CHF-、-CF(CF)-CH-、-CF(CHF)-CH-、-CF(CHF)-CH-、-CF(CH)-CH-、-CH(CF)-CF-、-CH(CHF)-CF-、-CH(CHF)-CF-、-CH(CH)-CF-、-CH(CF)-CHF-、-CH(CHF)-CHF-、-CH(CHF)-CHF-、-CH(CH)-CHF-、-CH(CF)-CH-、-CH(CHF)-CH-、及び-CH(CHF)-CH-が挙げられる。
f4の具体例としては、-CFCFCFCF-、-CHFCFCFCF-、-CHCFCFCF-、-CFCHFCFCF-、-CHFCHFCFCF-、-CHCHFCFCF-、-CFCHCFCF-、-CHFCHCFCF-、-CHCHCFCF-、-CHFCFCHFCF-、-CHCFCHFCF-、-CFCHFCHFCF-、-CHFCHFCHFCF-、-CHCHFCHFCF-、-CFCHCHFCF-、-CHFCHCHFCF-、-CHCHCHFCF-、-CFCHCHCF-、-CHFCHCHCF-、-CHCHCHCF-、-CHFCHCHCHF-、-CHCHCHCHF-、及び-cycloC-が挙げられる。
f5の具体例としては、-CFCFCFCFCF-、-CHFCFCFCFCF-、-CHCHFCFCFCF-、-CFCHFCFCFCF-、-CHFCHFCFCFCF-、-CFCHCFCFCF-、-CHFCHCFCFCF-、-CHCHCFCFCF-、-CFCFCHFCFCF-、-CHFCFCHFCFCF-、-CHCFCHFCFCF-、-CHCFCFCFCH-、及び-cycloC-が挙げられる。
f6の具体例としては、-CFCFCFCFCFCF-、-CFCFCHFCHFCFCF-、-CHFCFCFCFCFCF-、-CHFCHFCHFCHFCHFCHF-、-CHFCFCFCFCFCH-、-CHCFCFCFCFCH-、及び-cycloC10-が挙げられる。
また、Rf0及びRf7の具体例としては、上記Rf1~Rf6で挙げたものと同様のものが挙げられる。
ここで、-cycloC-は、ペルフルオロシクロブタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロブタン-1,2-ジイル基が挙げられる。-cycloC-は、ペルフルオロシクロペンタンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロペンタン-1,3-ジイル基が挙げられる。-cycloC10-は、ペルフルオロシクロヘキサンジイル基を意味し、その具体例としては、ペルフルオロシクロヘキサン-1,4-ジイル基が挙げられる。
は、耐摩耗性により優れた表面層を形成する観点から、下式(F1)~下式(F3)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
(Rf1O)m1-(Rf2O)m2 式(F1)
(Rf2O)m2-(Rf4O)m4 式(F2)
(Rf3O)m3 式(F3)
ただし、式(F1)~式(F3)の各符号は、前記式(G1-1)と同様である。
式(F1)及び式(F2)において、(Rf1O)と(Rf2O)、(Rf2O)と(Rf4O)の結合順序は各々任意である。例えば(Rf1O)と(Rf2O)が交互に配置されてもよく、(Rf1O)と(Rf2O)が各々ブロックに配置されてもよく、またランダムであってもよい。式(F3)においても同様である。
式(F1)において、m1は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。またm2は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(F2)において、m2は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。またm4は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
式(F3)において、m3は1~30が好ましく、1~20がより好ましい。
合成容易性の観点から、Gは下式(B1)で表される基であることが好ましい。
f11O-(Rf12O)c1-Rf13- 式(B1)
式(B1)中、
f11は炭素数1~20のフルオロアルキル基であり、
f12及びRf13はそれぞれ独立に、炭素数1~6のフルオロアルキレン基を表し、Rf12が複数ある場合、複数あるRf12は互いに同一であっても異なっていてもよい。
c1は0~500の整数である。
なお、Rf11の具体例は、上記Rf0と同様である。Rf12の具体例は上記Rf1~Rf6で挙げられたものと同様である。Rf13の具体例は、上記Rf7と同様である。
〔G
は、(ポリ)オキシフルオロアルキレン基である。
における(ポリ)オキシフルオロアルキレン基は、式(A2)において、Q又はQに結合する2つの末端が各々独立に-O-を有するか、炭素数2以上の炭素鎖の炭素-炭素原子間に-O-を有するか、又はこれらの組み合わせであるフルオロアルキレン基が好ましい。
製造容易性の観点から、Gは下式(G2-1)で表される構造が好ましい。
-(O)m10-[(Rf1O)m11(Rf2O)m12(Rf3O)m13(Rf4O)m14(Rf5O)m15(Rf6O)m16]-Rf7- 式(G2-1)
式(G2-1)中、
m10は0又は1の整数であり、
m11、m12、m13、m14、m15、m16は、それぞれ独立に0又は1以上の整数であり、
m11+m12+m13+m14+m15+m16は1~500の整数が好ましく、1~300の整数がより好ましく、5~200の整数がさらに好ましく、10~150の整数が特に好ましい。
f1、Rf2、Rf3、Rf4、Rf5、Rf6、及びRf7は、上記Gにおけるものと同様である。なお、式(G2-1)における(Rf1O)~(Rf6O)の結合順序は任意であり、上記式(G1-1)で説明したとおりである。
撥水撥油性や指紋除去性などの点から、m10が1、且つ、m11+m12+m13+m14+m15+m16が1~500の整数、即ち、Gがポリオキシフルオロアルキレン基が好ましい。
は、耐摩耗性により優れた表面層を形成する観点から、下式(F4)~下式(F6)で表される構造からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
-O-(Rf1O)m11-(Rf2O)m12 式(F4)
-O-(Rf2O)m12-(Rf4O)m14 式(F5)
-O-(Rf3O)m13 式(F6)
ただし、式(F4)~式(F6)の各符号は、上記式(G2-1)と同様である。
式(F4)及び式(F5)において、(Rf1O)と(Rf2O)、(Rf2O)と(Rf4O)の結合順序は各々任意である。例えば(Rf1O)と(Rf2O)が交互に配置されてもよく、(Rf1O)と(Rf2O)が各々ブロックに配置されてもよく、またランダムであってもよい。式(F6)においても同様である。
式(F4)において、m11は1~150の整数がより好ましく、2~100の整数がさらに好ましく、5~75の整数が特に好ましい。またm12は1~150の整数がより好ましく、2~100の整数がさらに好ましく、5~75の整数が特に好ましい。
式(F5)において、m12は1~150の整数がより好ましく、2~100の整数がさらに好ましく、5~75の整数が特に好ましい。またm14は1~150の整数がより好ましく、2~100の整数がさらに好ましく、5~75の整数が特に好ましい。
式(F6)において、m13は1~300の整数がより好ましく、5~200の整数がさらに好ましく、10~150の整数が特に好ましい。
合成容易性の観点から、Gは式(G2-1)におけるm10が1のポリフルオロポリエーテル鎖、即ち、Gが下式(B2)で表される基が好ましい。
-O-(Rf21O)c2-Rf22- 式(B2)
式(B2)中、
f21は、炭素数1~6のフルオロアルキレン基であって、Rf21が複数ある場合、複数あるRf21は互いに同一であっても異なっていてもよく、Rf22は、単結合又は炭素数1~6のフルオロアルキレン基であって、c2は1~500の整数である。
なお、Rf21の具体例は、上記Rf1~Rf6で挙げられたものと同様である。Rf22の具体例は、上記Rf7と同様である。
における(ポリ)オキシフルオロアルキル基及びGにおける(ポリ)オキシフルオロアルキレン基中のフッ素原子の割合[{フッ素原子数/(フッ素原子数+水素原子数)}×100(%)]は、撥水撥油性及び指紋除去性に優れる点から、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。
また、(ポリ)オキシフルオロアルキル基及び(ポリ)オキシフルオロアルキレン基の分子量は、耐摩耗性の点から、200~30,000が好ましく、600~25,000がより好ましく、1,000~20,000がさらに好ましい。
〔Q、Q及びQ
は、単結合又は(a1+b1)価の連結基であり、Qは、単結合又は(b2+1)価の連結基であり、Qは、単結合又は(b3+1)価の連結基である。
化合物(A1)及び化合物(A2)におけるQ、Q、及び、Qは同一の構造であってもよく異なる構造であってもよい。Q、Q、及び、Qの具体的な構造は共通す
るため、以下、Qを代表して説明し、Q及び、Q、は特に断りのない限りQに準ずる。
耐摩耗性により優れた表面層を形成する観点から、Q、Q及びQのうち少なくとも一つが、下式(C2)で表される基が好ましい。
-Q21(-R12-) 式(C2)
ただし、
21は、単結合又は下式(1)~(34)のいずれか1つで表される基であり、
式(1)~(34)中の*1がG又はGに接続し、*2がR12に接続し、R12は、Zに接続し、
は水素原子又はアルキル基であって、R12と連結して環を形成していてもよく、
はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、
12は、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基であって、炭素数2以上のアルキレン基において炭素-炭素原子間に-O-又は-NR-が含まれていてもよく、Rは、水素原子又はアルキル基であり、
wは0~3の整数である。
また、式(29)中の環Aは、少なくとも1つの窒素原子を含む複素環を表し、
式(30)中の環Bは、2つの窒素原子を含む複素環を表し、
式(31)中の環Cは、炭化水素環又は複素環を表し、
式(32)中の環Dは、少なくとも1つの窒素原子を含む複素環を表し、
式(34)中の環Eは、炭化水素環又は複素環を表す。
x1、Rx3、Rx5、Rx7及びRx9はそれぞれ独立に、単結合又は連結基であり、
x2、Rx4、Rx6、Rx8及びRx10はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であり、
n1、n2及びn3はそれぞれ独立に、1又は2である。
環Aとしては、ピロール環、ピロリジン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、及びピペラジン環が挙げられる。中でも、環Aは、ピロリジン環、ピペリジン環、又はピペラジン環であることが好ましい。
環Bとしては、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、及びピペラジン環が挙げられる。中でも、環Bは、ピペラジン環であることが好ましい。
環Cで表される炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ノルボルネン環、アダマンタン環等の脂肪族炭化水素環;及び、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環等の芳香族炭化水素環が挙げられる。環Cで表される複素環としては、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピロリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、オキサゾリジン環、ピリジン環、ピペラジン環、ピラン環、ピペラジン環、及びモルホリン環が挙げられる。中でも、環Cは、炭化水素環であることが好ましく、脂肪族炭化水素環であることがより好ましく、シクロヘキサン環であることがさらに好ましい。
環Dとしては、ピロール環、ピロリジン環、ピリジン環、ピペリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、及びピペラジン環が挙げられる。中でも、環Dは、ピロリジン環又はピペリジン環であることが好ましい。

x1、Rx3、Rx5及びRx7はそれぞれ独立に、単結合又はアルキレン基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は1~6であることが好ましい。アルキレン基には、-O-又は-NH-が含まれていてもよい。
x2、Rx4、Rx6及びRx8はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることが好ましい。

耐摩耗性により優れた表面層を形成する観点から、Q21は、式(1)、式(25)、又は式(33)で表される基が好ましい。
は、水素原子又はアルキル基であって、水素原子が好ましい。
がアルキル基である場合、アルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。中でも、アルキル基は、直鎖状アルキル基が好ましい。また、アルキル基の炭素数は1~6が好ましく、1又は2がより好ましい。
はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基である。
が置換基である場合、置換基としては、例えば、水酸基、置換していてもよいアルキル基、アルコキシ基、3級アミノ基、ハロゲン原子、及びイミド基が挙げられる。アルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、3級アミノ基、4級アンモニウム基、水酸基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、ハロゲン原子、イミド基、及びアルキル基で置換していてもよいアミノカルボニル基が挙げられる。
がアルキル基である場合、アルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。
12は、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキレン基であって、炭素数2以上のアルキレン基において炭素-炭素原子間に-O-又は-NR-が含まれていてもよく、Rは、水素原子又はアルキル基である。アルキレン基は、直鎖状アルキレン基であってもよく、分岐鎖状アルキレン基であってもよく、環状アルキレン基であってもよい。中でも、アルキレン基は、直鎖状アルキレン基が好ましい。アルキレン基の炭素数は、2~10が好ましく、2~6がより好ましい。アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、カルボキシ基、水酸基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、ハロゲン原子、イミド基、及びアルキル基で置換していてもよいアミノカルボニル基が挙げられる。
〔Z〕
Zは、特定芳香族基である。
撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、特定芳香族基は、芳香環に結合するヒドロキシ基を2つ以上有することが好ましい。
撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、特定芳香族基は、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造及びアントラセン構造から選択される1つ以上の構造を含むことが好ましい。
耐摩耗性により優れた表面層を形成する観点から、Zは、式(Z1)~(Z17)のいずれかで表される基が好ましい。
式(Z1)~(Z17)中の*3がQ、Q、又は、Qに接続し、
はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基であり、
は水素原子又はアルキル基である。
x1a及びz1aはそれぞれ独立に、1~5の整数であり、y1aは0~4の整数であり、x1a、y1a、及びz1aの和は6以下であり、
x1b及びz1bはそれぞれ独立に、1~4の整数であり、y1bは0~3の整数であり、x1b、y1b、及びz1bの和は5以下であり、
x2及びz2はそれぞれ独立に、1~3の整数であり、y2は0~2の整数であり、x2、y2、及びz2の和は4以下であり、
x3及びz3はそれぞれ独立に、1~3の整数であり、y3は0~2の整数であり、x3、y3、及びz3の和は4以下であり、
x4及びz4はそれぞれ独立に、1~5の整数であり、y4は0~4の整数であり、x4、y4、及びz4の和は6以下であり、
x5及びz5はそれぞれ独立に、1~4の整数であり、y5は0~3の整数であり、x5、y5、及びz5の和は5以下であり、
x6a及びz6aはそれぞれ独立に、0~5の整数であり、y6aは0~5の整数であり、x6a、y6a、及びz6aの和は5以下であり、
x6b及びz6bはそれぞれ独立に、0~5の整数であり、y6bは0~5の整数であり、x6b、y6b、及びz6bの和は5以下であり、
x6c及びz6cはそれぞれ独立に、0~4の整数であり、y6cは0~4の整数であり、x6b、y6b、及びz6cの和は4以下であり、
ただし、式(Z11)において、x6a及びx6bの和は1以上であり、z6a及びz6bの和は1以上であり、
ただし、式(Z12)において、x6a、x6b及びx6cの和は1以上であり、z6a、z6b及びz6cの和は1以上であり、
x7a及びz7aはそれぞれ独立に、0~5の整数であり、y7aは0~5の整数であり、x7a、y7a及びz7aの和は5以下であり、
x7b及びz7bはそれぞれ独立に、0~5の整数であり、y7bは0~5の整数であり、x7b、y7b及びz7bの和は5以下であり、
x7cは0~5の整数であり、y7cは0~5の整数であり、x7c及びy7cの和は5以下であり、
ただし、式(Z13)において、x7a及びx7bの和は1以上であり、z7a及びz7bの和は1以上であり、
ただし、式(Z14)において、x7a及びx7cの和は1以上であり、z7aは1以上であり、
x7d及びz7dはそれぞれ独立に、0~5の整数であり、y7dは0~5の整数であり、x7d、y7d及びz7dの和は5以下であり、
x7e及びz7eはそれぞれ独立に、0~5の整数であり、y7eは0~5の整数であり、x7e、y7e及びz7eの和は5以下であり、
ただし、式(Z15)において、x7d及びx7eの和は1以上であり、z7d及びz7eの和は1以上であり、
x8及びz8はそれぞれ独立に、1~8の整数であり、y8は0~6の整数であり、x8、y8、及び、Z8の和は8以下であり、
x9及びz9はそれぞれ独立に、1~9の整数であり、y9は0~8の整数であり、x9、y9、及び、Z9の和は10以下であり、
が複数ある場合、複数あるRは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基である。
が置換基である場合、置換基としては、例えば、水酸基、置換していてもよいアルキル基、アルコキシ基、3級アミノ基、ハロゲン原子、及びイミド基が挙げられる。アルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、3級アミノ基、4級アンモニウム基、水酸基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、ハロゲン原子、イミド基、及びアルキル基で置換していてもよいアミノカルボニル基が挙げられる。
は水素原子又はアルキル基であって、水素原子が好ましい。
がアルキル基である場合、アルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよく、分岐鎖状アルキル基であってもよく、環状アルキル基であってもよい。中でも、アルキル基は、直鎖状アルキル基が好ましい。また、アルキル基の炭素数は1~6が好ましく、1又は2より好ましい。
耐摩耗性により優れた表面層を形成する観点から、Zは、式(Z1)、(Z11)、(Z12)、(Z16)及び(Z17)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく(すなわち、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造、又は、アントラセン構造を有する基)、式(1)がより好ましい。
式(Z1)~(Z17)で表される基が、1つの芳香環に結合するヒドロキシ基を2つ有する場合、一方のヒドロキシ基の位置に対する、他方のヒドロキシ基の位置はオルト位又はメタ位が好ましく、オルト位がより好ましい。また、式(Z1)~(Z17)で表される基が、1つの芳香環に結合するヒドロキシ基を3つ以上有することが好ましい。
〔a1、b1、b2及びb3〕
上記化合物(A1)において、a1は、撥水撥油性、化合物の製造の容易性等の点から、1~10の整数が好ましく、1~6の整数がより好ましい。
上記化合物(A1)において、b1は、耐摩耗性、撥水撥油性、製造容易性等の点から、1~10の整数が好ましく、1~6の整数がより好ましい。
また、上記化合物(A2)において、b2及びb3は、耐摩耗性、撥水撥油性、製造容易性等の点から、それぞれ、1~10の整数が好ましく、1~6の整数がより好ましい。
また、特定芳香族基の分子量は、本含フッ素化合物の溶媒への溶解性、本含フッ素化合物を含有する表面処理剤を用いた表面層の形成性等の点から、100~1,000が好ましく、100~500がより好ましく、100~300がさらに好ましい。
本含フッ素化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
なお、G及びZは上述の通りである。
nは1から10の整数である。
は置換基を表す。置換基としては、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基が挙げられる。アルキル基が置換基を有する場合、置換基としては、3級アミノ基、4級アンモニウム基、水酸基、アルコキシ基、ポリアルキレンオキシド基、ハロゲン原子、イミド基、及びアルキル基で置換していてもよいアミノカルボニル基が挙げられる。
本含フッ素化合物の製造方法の一例を以下に説明する。
本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基(保護基-O-で表される基)を少なくとも1つ有する芳香族基を有するアミン化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するエステル化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
また、本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するエステル化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するアミン化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
なお、上記ヒドロキシ基は、芳香環に結合する。
保護基としては、トリメチルシリル基(TMS)、トリエチルシリル基(TES)、トリイソプロピルシリル基(TIPS)、tert-ブチルジメチルシリル基(TBS)、tert-ブチルジフェニルシリル基(TBDPS)、メトキシメチル基(MOM)、ベンジル基(Bn)、p―メトキシフェニルベンジル基(PMB)、アセチル基(Ac)、ベンゾイル基(Bz)、トリチル基(Tr)等が挙げられる。以降に記載する別の製造方法においても、使用できる保護基の種類は同様である。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、アミド結合を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(1)、(22)及び(23)のいずれかである連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するカルボン酸化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するアルコール化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
また、本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するアルコール化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するカルボン酸化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
なお、上記ヒドロキシ基は、芳香環に結合する。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、エステル結合を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(16)である連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
まず、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するアミン化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するエステル化合物とを反応させ、アミド結合を有する化合物を合成する。
上記アミド結合を有する化合物を、還元剤(例えば、水酸化リチウムアルミニウム)を用いて還元し、次いで、保護基を水素原子に置換することにより、本含フッ素化合物を製造できる。
なお、上記ヒドロキシ基は、芳香環に結合する。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、イミン結合(-NR-)を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(17)、(20)及び(25)のいずれかである連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
まず、ベンゾジオキソール構造を有するチオール化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するアルコール化合物とを反応させ、スルフィド結合を有する化合物を合成する。
次いで、ベンゾジオキソール構造における環構造を開環させ、ジフェノール構造とすることにより、本含フッ素化合物を製造できる。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、スルフィド結合を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(21)である連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するアルカノールアミン化合物(1,3-ジアミノ-2-プロパノール等)と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するエステル化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
また、本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するエステル化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するアルカノールアミン化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、オキサゾール構造を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(2)~(5)のいずれかである連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するカルボニルヒドラジン化合物(1-tert-ブトキシカルボニル-イソニペコチック酸ヒドラジド等)と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するエステル化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
また、本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するエステル化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するカルボニルヒドラジン化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、オキサジアゾール構造を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(12)である連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するアルキレントリアミン化合物(ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン等)又はアルキレンテトラミン化合物(トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン等)と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するエステル化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
また、本含フッ素化合物は、保護基が結合したヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基を有するエステル化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するアルキレントリアミン化合物とを反応させ、保護基を水素原子に置換することにより製造できる。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基との間に、イミダゾール構造を含む連結基(例えば、上記式(C2)中のQ21が上記式(6)~(11)、(14)及び(15)のいずれかである連結基)が存在する含フッ素化合物を製造できる。
本含フッ素化合物の製造方法の他の一例を以下に説明する。
まず、ベンゾジオキソール構造を有するボロン酸化合物と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基を有するハロゲン化合物とをSuzuki-coupling反応させ、中間体を合成する。
次いで、中間体が有するベンゾジオキソール構造における環構造を開環させ、ジフェノール構造とすることにより、本含フッ素化合物を製造できる。
上記製造方法によれば、特定芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とが直接結合する(例えば、上記式(C2)中のQ21が単結合であり、wが0である。)含フッ素化合物を製造できる。
上記式(C2)中のQ21が上記式(1)~(12)、(14)~(17)、(20)~(23)、及び(25)以外である連結基を有する本含フッ素化合物は、上記製造方法、従来技術を参照することにより製造できる。
[表面処理剤]
本開示の表面処理剤(以下、「本表面処理剤」とも記す。)は、本含フッ素化合物を含有する。本表面処理剤は、本含フッ素化合物を2種以上含有できる。
本表面処理剤の全質量に対する本含フッ素化合物の含有率は、用途、表面処理剤の塗布形式等により適宜変更することが好ましい。撥水撥油性及び耐摩耗性に優れた表面層を形成する観点から、本表面処理剤の全質量に対する本含フッ素化合物の含有率は、0.001~40質量%が好ましく、0.01~20質量%がより好ましく、0.05~10質量%がさらに好ましい。
本表面処理剤は、溶媒を含有できる。本表面処理剤は、液状が好ましく、溶液であってもよく、分散液であってもよい。液状媒体を含むことによって、本表面処理剤の形態、粘度、表面張力等を調整でき、塗布方法に適した液物性に制御できる。
溶媒は、フッ素系溶媒を含むことが好ましい。また、本含フッ素化合物の溶解性の観点から、溶媒は、フッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒を含むことが好ましい。
フッ素系溶媒としては、フッ素化アルカン、フッ素化芳香族化合物、フルオロアルキルエーテル、フッ素化アルキルアミン、フルオロアルコール等が挙げられる。
フッ素化アルカンとしては、炭素数4~8の化合物が好ましい。市販品としては、C13H(製品名「アサヒクリン(登録商標)AC-2000」、AGC社製)、C13(製品名「アサヒクリン(登録商標)AC-6000」、AGC社製)、CCHFCHFCF(製品名「バートレル(登録商標)XF」、ケマーズ社製)等が挙げられる。
フッ素化芳香族化合物としては、ヘキサフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
フルオロアルキルエーテルとしては、炭素数4~12の化合物が好ましい。市販品としては、例えば、CFCHOCFCFH(製品名「アサヒクリン(登録商標)AE-3000」、AGC社製)、COCH(製品名「ノベック(登録商標)7100」、3M社製)、COC(製品名「ノベック(登録商標)7200」、3M社製)、CCF(OCH)C(製品名「ノベック(登録商標)7300」、3M社製)等が挙げられる。
フッ素化アルキルアミンとしては、ペルフルオロトリプロピルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン等が挙げられる。
フルオロアルコールとしては、2,2,3,3-テトラフルオロプロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール等が挙げられる。
非フッ素系溶媒としては、水素原子及び炭素原子のみからなる化合物、又は水素原子、炭素原子及び酸素原子のみからなる化合物が好ましく、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒等が挙げられる。
上記した中でも、本含フッ素化合物の溶解性の観点から、アルコール系溶媒が好ましく、炭素数1~8のアルコール系溶媒がより好ましく、エタノールがさらに好ましい。
取り扱い性の観点から、本表面処理剤の全質量に対する溶媒の含有率は、60~99.99質量%が好ましく、80~99.95質量%がより好ましく、90~99.90質量%がさらに好ましい。
溶媒が、フッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒を含む場合、本含フッ素化合物の溶解性の観点から、溶媒の全質量に対する非フッ素系溶媒の含有率は、0.005~1質量%が好ましく、0.01~0.5質量%がより好ましく、0.03~0.3質量%がさらに好ましい。
溶媒が、フッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒を含む場合、溶媒の全質量に対するフッ素系溶媒の含有率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。フッ素系溶媒の含有率の上限は、特に限定されるものではなく、例えば、99.8質量%であってもよい。
本表面処理剤は、本開示の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含んでいてもよい。
本表面処理剤における、他の成分の含有量は、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
他の成分としては、本含フッ素化合物以外の含フッ素化合物(以下、「他の含フッ素化合物」とも記す。)等が挙げられる。
他の含フッ素化合物としては、本含フッ素化合物の製造過程で副生する含フッ素化合物(以下、「副生含フッ素化合物」とも記す。)及び公知の含フッ素化合物が挙げられる。
他の含フッ素化合物としては、本表面処理剤の特性を低下させるおそれが少ない化合物が好ましい。
公知の含フッ素化合物としては、例えば、下記の文献に記載のものが挙げられる。
特開平11-029585号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、
特許第2874715号公報に記載のケイ素含有有機含フッ素ポリマー、
特開2000-144097号公報に記載の有機ケイ素化合物、
特開2000-327772号公報に記載のパーフルオロポリエーテル変性アミノシラン、
特表2002-506887号公報に記載のフッ素化シロキサン、
特表2008-534696号公報に記載の有機シリコーン化合物、
特許第4138936号公報に記載のフッ素化変性水素含有重合体、
米国特許出願公開第2010/0129672号明細書、国際公開第2014/126064号、特開2014-070163号公報に記載の化合物、
国際公開第2011/060047号、国際公開第2011/059430号に記載のオルガノシリコン化合物、
国際公開第2012/064649号に記載の含フッ素オルガノシラン化合物、
特開2012-72272号公報に記載のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー、
国際公開第2013/042732号、国際公開第2013/121984号、国際公開第2013/121985号、国際公開第2013/121986号、国際公開第2014/163004号、特開2014-080473号公報、国際公開第2015/087902号、国際公開第2017/038830号、国際公開第2017/038832号、国際公開第2017/187775号に記載の含フッ素エーテル化合物、
特開2014-218639号公報、国際公開第2017/022437号、国際公開第2018/079743号、国際公開第2018/143433号に記載のパーフルオロ(ポリ)エーテル含有シラン化合物、
特開2015-199906号公報、特開2016-204656号公報、特開2016-210854号公報、特開2016-222859号公報に記載のフルオロポリエーテル基含有ポリマー変性シラン
国際公開第2018/216630号、国際公開第2019/039226号、国際公開第2019/039341号、国際公開第2019/039186号、国際公開第2019/044479号、特開2019-44158号公報、国際公開第2019/044479号、国際公開第2019/163282号に記載の含フッ素エーテル化合物。
国際公開第2019/151442号、国際公開第2019/151445号、国際公開第2020/066534号、国際公開第2020/066533号、国際公開第2020/111138号、国際公開第2021/029187号、国際公開第2021/111992号、特開2022-19577号公報に記載の含フッ素エーテル化合物。
また、含フッ素化合物の市販品としては、信越化学工業社製のKY-100シリーズ(KY-178、KY-185、KY-195等)、AGC社製のAfluid(登録商標)S550、ダイキン工業社製のオプツール(登録商標)DSX、オプツール(登録商標)AES、オプツール(登録商標)UF503、オプツール(登録商標)UD509、オプツール(登録商標)UD120等が挙げられる。
[物品]
本開示の物品(以下、「本物品」とも記す。)は、基材と、上記基材上に配置された表面層とを備え、且つ上記表面層が本表面処理剤により形成される。
表面層は、基材の表面の一部に形成されてもよく、基材のすべての表面に形成されてもよい。表面層は、基材の表面に膜状に拡がってもよく、点在(ドット状)してもよい。
基材の形状は、特に限定されるものではなく、用途に応じ適宜選択することが好ましい。
表面層の密着性の観点から、基材は、金属、金属酸化物、樹脂、サファイア、大理石及びガラスからなる群より選択される1つ以上を含むことが好ましく、金属及び金属酸化物からなる群より選択される1つ以上を含むことがより好ましく、金属を含むことがさらに好ましい。
金属としては、ステンレス、金、白金、銅等が挙げられる。これらの中でも、表面層の密着性の観点から、ステンレスが好ましい。
金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化インジウムスズ、ジルコン酸チタン酸鉛、酸化銀、酸化銅等が挙げられる。
樹脂としては、アセチルセルロース系樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ケトン樹脂等が挙げられる。
基材が金属を含む場合、基材の総質量に対する金属の含有率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。
耐摩耗性の観点から、表面層の厚さは、1~100nmが好ましく、1~50nmが特に好ましい。表面層の厚さは、薄膜解析用X線回折計(RIGAKU社製、ATX-G)を用いて、X線反射率法によって反射X線の干渉パターンを得て、干渉パターンの振動周期から算出できる
本物品は、基材の表面に、本表面処理剤を塗布、乾燥することにより製造できる。
本表面処理剤の塗布方法は、限定されるものではなく、ドライコーティング法により塗布してもよく、ウェットコーティング法により塗布してもよい。
ドライコーティング法としては、真空蒸着、CVD、スパッタリング等の手法が挙げられる。
ウェットコーティング法としては、スピンコート法、ワイプコート法、スプレーコート法、スキージーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、フローコート法、ロールコート法、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法、グラビアコート法等が挙げられる。
表面層の耐摩耗性の観点から、必要に応じて、加熱、加湿、光照射等の処理を実施してもよい。また、表面層を形成する基材の表面を、洗浄してもよい。
物品の用途は、特に限定されるものではなく、水栓;シャワーヘッド;手すり;レンジフード;車輪リム等の外装部品;エレベーターなどの金属パネル;精密機器外装用金属部材;金型;冷蔵庫扉などが挙げられる。
以下、実施例によって本開示の実施形態を詳細に説明する。ただし、本開示の実施形態はこれらに限定されない。本開示において、例1及び例2は実施例である。
<例1>
容量200mLの3口フラスコに、3-ヒドロキシチラミン塩酸塩(3.79g、20mmol)、イミダゾール(2.72g、40mmol)、及びジクロロメタン(50mL)を入れた。マグネチックスターラーを用い、25℃窒素雰囲気下で撹拌しながら、tert-ブチルジメチルクロロシラン(6.03g、40mmol)及びジクロロメタン(20mL)の混合物を30分かけて、上記3口フラスコへ滴下した。その後、25℃窒素雰囲気下で16時間撹拌した。得られた反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を加え、分液ロートに移し、有機層を蒸留水で3回洗浄を行った。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した後、酢酸エチル及びヘキサンの混合物(70:30(体積比))を展開溶媒としたアミノ修飾シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、下記化合物A(5.41g)を得た。
なお、以降の化合物中、TBSは、tert-ブチルジメチルシリル基を表す。
容量30mLのナスフラスコに、下記化合物1a(1.01g、0.22mmol)、化合物A(0.126g、0.33mmol)、AC-2000(4mL)及び1,4-ジオキサン(1mL)を入れた。マグネチックスターラーを用い、25℃窒素雰囲気下で16時間撹拌した。得られた反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮しAC-6000に溶解させ、分液ロートに移し、メタノールで3回洗浄を行った。得られたフッ素溶媒層を濃縮した後、AC-2000及びAE-3000の混合物(50:50(体積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、下記化合物B(0.700g)を得た。
なお、化合物1aは、国際公開第2013/121984号に記載されている前駆体(4a-2)の合成方法を参照して、製造した。繰り返し単位数nの平均値は12.5である。
容量30mLのナスフラスコに、下記化合物B(0.30g、0.061mmol)、酢酸(0.0073g、0.122mmol)及び1,4-ジオキサン(1mL)を入れた。マグネチックスターラーを用い、25℃で撹拌しながら1mol/Lテトラブチルアンモニウムフルオリド―テトラヒドロフラン溶液(0.183mL)をナスフラスコに加え、25℃で16時間撹拌した。得られた反応混合物にAC-2000を加え、分液ロートに移し、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した。得られたフッ素溶媒層を濃縮し、下記含フッ素化合物1(0.234g)を得た。
含フッ素化合物1、フッ素系溶媒(3M社製、Novec7200)及び非フッ素系溶媒(エタノール)を混合し、表面処理剤1を得た。
なお、表面処理剤1の総質量に対する含フッ素化合物1の含有率は0.1質量%、フッ素系溶媒の含有率は99.85質量%、非フッ素系溶媒の含有率は0.05質量%とした。
ステンレス製基材(SUS304基材、10cm×10cm)の表面をアセトン中に浸漬させ、超音波により10分間洗浄した。洗浄後、アセトン中からステンレス製基材を取り出し、エアーで乾燥させた。
洗浄、乾燥後のステンレス製基材の表面に、2mLの表面処理剤1を載せ、スピンコーター(製品名「Opticoat MS-B200」、ミカサ株式会社製)を用いて、回転数500rpmで1分間回転させ、表面処理剤1の塗膜を形成した。その後、上記塗膜を、120℃で10分間焼成し、厚さ10nmの表面層を形成させ、基材及び表面層を備える物品を得た。
<例2>
容量50mLのナスフラスコに、L-DOPA(3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、2.0g、9.9mmol)、TBSCl(4.6g、30mmol)、アセトニトリル(20mL)及びDMF(N,N-ジメチルホルムアミド、8.0mL)を入れた。マグネチックスターラーを用い、0℃で攪拌しながらイミダゾール(2.1g、31mmol)をナスフラスコに加えた。さらに25℃で2日間撹拌した後、濃縮し、TBS化された粗体を得た。その一部を次の反応に用いた。
容量100mLナスフラスコに、得られた粗体(1.0g、2.3mmol)、THF(テトラヒドロフラン、20mL)を入れた。マグネチックスターラーを用い、0℃で攪拌しながらLAH(水酸化アルミニウムリチウム、4.7mL、4.7mmol、1mol/LのTHF溶液)を加えた。25℃に上げ、さらに17時間撹拌した。水を加え、硫酸マグネシウムを加えて撹拌した後、吸引ろ過した。ろ液を濃縮し、減圧留去して得られた粗体をアミノシリカカラム精製し、下記化合物D(250mg、0.60mmol)を得た。
容量10mLのナスフラスコに、下記化合物D(250mg、0.60mmol)、下記化合物E(1.0g、0.2mmol、数平均分子量:約4,500)、AC-2000(1.5mL)及び1,4-ジオキサン(0.5mL)を加え、25℃で5日間攪拌した。得られた粗液を減圧留去した。得られた粗体をAC-6000に溶解して、分液ロートに移し、メタノールを加えて洗浄する操作を3回繰り返した。溶媒を減圧留去して得られた粗体をカラム精製し、下記化合物F(760mg、0.14mmol)を得た。
なお、化合物Dは、国際公開第2013/121984号に記載されている前駆体(4a-2)の合成方法を参照して、製造した。繰り返し単位数nの平均値は12.5である。
得られた下記化合物F(750mg、0.14mmol)をAC-2000(3mL)に溶解し、酢酸(16μL、0.28mmol)及びTBAF(420μL、0.42mmol、1mol/LのTHF溶液)を加えた。その後、マグネチックスターラーを用い、1.5時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、AC-2000で抽出した。溶媒を減圧留去して得られた粗体をカラム精製し、下記含フッ素化合物2(523mg、0.10mmol)を得た。
含フッ素化合物1を含フッ素化合物2に変更した以外は、例1と同様にして、表面処理剤及び物品を製造した。
<例3>
特許第5669699号公報の合成例2に記載されている合成法を参照して、下記含フッ素化合物3を合成した。
・含フッ素化合物3:CFCFCF(OCFCFCF11OCFCFCHOCHCHCHSi(OMe)
含フッ素化合物1を含フッ素化合物3に変更した以外は、例1と同様にして、表面処理剤及び物品を製造した。
<例4>
国際公開第2014/136787号の(例1-6)に記載されている合成法を参照して、下記含フッ素化合物4を合成した。
含フッ素化合物1を含フッ素化合物4に変更した以外は、例1と同様にして、表面処理剤及び物品を製造した。
<<撥水性評価>>
例1~4で得られた物品が備える表面層の表面に、約2μLの純水を滴下し、接触角を、接触角測定装置DM-500(協和界面科学株式会社製)を用いて測定した。表面層の異なる5箇所で接触角の測定を行い、その平均値を水接触角(°)とし、表1にまとめた。なお、接触角の測定には2θ法を用いた。
<<撥油性評価>>
純水をヘキサデカンに変更した以外は、撥水性評価と同様にして、接触角(°)を測定、表1にまとめた。
<<耐摩耗性評価>>
例1~4で得られた物品が備える表面層の表面に対して、カナキン3号を取り付けられた圧子(底面積:100mm)を備える3連式平面摩耗試験機(製品名「PA-300A」、大栄科学精器製作所製)を用い、荷重1000g、回転数60rpm、ストローク長40mmの摩耗条件で摩耗試験を行った。5000回擦過後、表面層の擦過表面の水接触角(°)を撥水性評価と同様にして測定し、表1にまとめた。
また、撥水性評価において測定した水接触角との差(表1においては、水接触角の差と記す。)を算出し、表1にまとめた。
表1から、例1及び例2の物品は、例3及び例4の物品に比べ、撥水性評価及び撥油性評価において測定した接触角が高く、撥水性及び撥油性に優れていることがわかる。
表1から、例1及び例2の物品は、例3及び例4の物品に比べ、耐摩耗性評価において測定した水接触角と、撥水性評価において測定した水接触角との差が小さく、耐摩耗性に優れていることがわかる。

Claims (13)

  1. 芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とを有し、
    前記芳香族基が芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する、含フッ素化合物。
  2. 前記芳香族基が前記ヒドロキシ基を2つ以上有する、請求項1に記載の含フッ素化合物。
  3. 前記芳香族基が、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造及びアントラセン構造から選択される1つ以上の構造を含む、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素化合物。
  4. 下記式(A1)又は式(A2)で表される、請求項1又は請求項2に記載の含フッ素化合物。
    (G-)a1(-Z)b1 式(A1)
    (Z-)b2-G-Q(-Z)b3 式(A2)
    式(A1)及び式(A2)中、
    及びGは、(ポリ)オキシフルオロアルキル基であり、
    は、単結合又は(a1+b1)価の連結基であり、
    は、単結合又は(b2+1)価の連結基であり、
    は、単結合又は(b3+1)価の連結基であり、
    Zは、芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基であり、
    a1は、1以上の整数であり、
    b1は、1以上の整数であり、
    b2は、1以上の整数であり、
    b3は、1以上の整数であり、
    が複数ある場合、複数あるGは互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、
    Zが複数ある場合、複数あるZは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
  5. 芳香族基と、(ポリ)オキシフルオロアルキル基とを有し、前記芳香族基が芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する、含フッ素化合物を含有する、表面処理剤。
  6. 前記芳香族基が前記ヒドロキシ基を2つ以上有する、請求項5に記載の表面処理剤。
  7. 前記芳香族基が、ベンゼン構造、ビフェニル構造、トリフェニル構造、ナフタレン構造及びアントラセン構造から選択される1つ以上の構造を含む、請求項5又は請求項6に記載の表面処理剤。
  8. 前記含フッ素化合物が、下記式(A1)又は式(A2)で表される、請求項5又は請求項6に記載の表面処理剤。
    (G-)a1(-Z)b1 式(A1)
    (Z-)b2-G-Q(-Z)b3 式(A2)
    式(A1)及び式(A2)中、
    及びGは、(ポリ)オキシフルオロアルキル基であり、
    は、単結合又は(a1+b1)価の連結基であり、
    は、単結合又は(b2+1)価の連結基であり、
    は、単結合又は(b3+1)価の連結基であり、
    Zは、芳香環に結合するヒドロキシ基を少なくとも1つ有する芳香族基であり、
    a1は、1以上の整数であり、
    b1は、1以上の整数であり、
    b2は、1以上の整数であり、
    b3は、1以上の整数であり、
    が複数ある場合、複数あるGは互いに同一であってもよく、異なっていてもよく、
    Zが複数ある場合、複数あるZは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
  9. 表面処理剤の全質量に対する前記含フッ素化合物の含有率が、0.05~10質量%である、請求項5又は請求項6に記載の表面処理剤。
  10. フッ素系溶媒を含む溶媒を含有する、請求項5又は請求項6に記載の表面処理剤。
  11. 前記溶媒が、非フッ素系溶媒を含む、請求項10に記載の表面処理剤。
  12. 基材と、前記基材上に配置された表面層とを備え、且つ
    前記表面層が請求項5又は請求項6に記載の表面処理剤により形成される、物品。
  13. 前記基材が、金属、金属酸化物、樹脂、サファイア、大理石及びガラスからなる群より選択される1つ以上を含む、請求項12に記載の物品。
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