JP2024028011A - 3次元造形用材料、3次元造形物、及び3次元造形物の製造方法 - Google Patents

3次元造形用材料、3次元造形物、及び3次元造形物の製造方法 Download PDF

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三紀子 宮田
拓哉 浜本
佑樹 近藤
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Abstract

【課題】得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる3次元造形用材料を提供する。【解決手段】プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー及び充填材を含み、下記要件(a)及び要件(b)を満足する3次元造形用材料。(a)η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下である。(b)溶融張力が16mN以上300mN以下である。【選択図】図1

Description

本開示は、3次元造形用材料、3次元造形物、及び3次元造形物の製造方法に関する。
近年、効率的な造形技術の1つとして、3次元造形用の製造装置を用いて3次元造形物を製造する方法が注目されている。3次元造形用の製造装置では、3次元の座標データをもとに、3次元の座標データを輪切りにした2次元層を順次積層していくことによって3次元造形物を作製する。
3次元造形物の作製方式としては、材料押出方式(MEX方式)、光造形方式、インクジェット方式、粉末固着造形方式、粉末焼結造形方式等の方式が挙げられる。これらの方式の中でも、材料押出方式は、幅広い材料選択が可能である点で特に注目されている。
材料押出方式は、熱により溶解された熱可塑性樹脂をノズルから押出して積層することで3次元造形物を造形する方式である。
例えば、特許文献1には、特定の特性(x1)を満たすポリプロピレン系樹脂組成物(X)1~99重量%と、特定の特性(z1)~(z3)を満たすポリプロピレン系樹脂組成物(Z)1~99重量%を含有する樹脂組成物を含み、かつ、特定の特性(g1)~(g2)を満たすポリプロピレン系樹脂組成物(G)からなるポリプロピレン系モノフィラメント用樹脂組成物が記載されている。
特開2019-203228号公報
2次元層を順次積層して3次元造形物を得る3次元造形物の作製方法では、吐出された樹脂の熱によって3次元造形物の構造が崩れる熱崩れが発生することがある。
熱崩れを抑制することで、得られる3次元造形物の構造を所望の構造に維持することが求められる。
近年、3次元造形の技術の進歩により、形状が多様化しており、上記の課題はより重要性を増していると考えられる。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる3次元造形用材料、上記3次元造形用材料を用いて得られる3次元造形物、及び3次元造形物の製造方法を提供することである。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー及び充填材を含み、下記要件(a)及び要件(b)を満足する3次元造形用材料。
(a)η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下である。
(b)溶融張力が16mN以上300mN以下である。
<2> 前記プロピレン系重合体は、プロピレン系共重合体を含む<1>に記載の3次元造形用材料。
<3> 前記プロピレン系共重合体の含有量は、前記プロピレン系重合体の全質量に対して、60質量%~95質量%である<2>に記載の3次元造形用材料。
<4> 前記プロピレン系共重合体は、長鎖分岐を含むランダム共重合体である<2>又は<3>に記載の3次元造形用材料。
<5> 前記プロピレン系共重合体は、プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50mol%~95mol%と、プロピレンを除く炭素原子数2~10のα-オレフィンから導かれる構成単位〔ii〕4.9mol%~49.9mol%と、非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1mol%~10mol%と、を含む(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)、プロピレン系共重合体(A)である<2>~<4>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料。
<6> 前記充填材は、無機充填材を含む<1>~<5>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料。
<7> 前記無機充填材は、タルクを含む<6>に記載の3次元造形用材料。
<8> 前記充填材の含有量が、3次元造形用材料の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下である<1>~<7>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料。
<9> 前記熱可塑性エラストマーの含有量が、3次元造形用材料の全質量に対して、10質量%超100質量%未満である<1>~<8>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料。
<10> ペレット又はフィラメントである<1>~<9>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料。
<11> <1>~<10>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料の造形物である3次元造形物。
<12> <1>~<10>のいずれか1つに記載の3次元造形用材料を加熱し溶融する溶融工程と、溶融された前記3次元造形用材料を3次元造形物製造装置のノズルから押し出し、3次元造形物を造形する造形工程と、を含む3次元造形物の製造方法。
本開示の一実施形態によれば、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる3次元造形用材料、上記3次元造形用材料を用いて得られる3次元造形物、及び3次元造形物の製造方法を提供することができる。
ハニカム造形物の概略図である。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
≪3次元造形用材料≫
本開示の3次元造形用材料は、下記要件(a)及び要件(b)を満足する。
(a)η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下である。
(b)溶融張力が16mN以上300mN以下である。
より具体的には、本開示の3次元造形用材料は、プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー及び充填材を含み、下記要件(a)及び要件(b)を満足する形態であり得る。
(a)η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下である。
(b)溶融張力が16mN以上300mN以下である。
本開示の3次元造形用材料は、上記の構成を含むことで、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる。
また、一般に、3次元造形用材料の溶融張力を高めた場合、得られる3次元造形物において、引張力を作用させた際のひずみ(本開示において引張呼びひずみともいう。)が生じ難くなる。つまり、引張力を作用させた場合に、破壊されるまでのひずみの大きさが小さくなる。
しかし、本開示の3次元造形用材料は、上記構成を含むことで、得られる3次元造形物において引張呼びひずみ性の低下を抑制し、維持することができ得る。
<要件(a)>
本開示の3次元造形用材料は、下記要件(a)を満足する。
(a)η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下である。
η*(ω=0.1)は、角周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*を表し、η*(ω=100)は、角周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*を表す。
η*(ω=0.1)/η*(ω=100)は、角周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*に対する角周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*の比を表す。
η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上であることで、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制し、かつ、引張呼びひずみ性を維持することができる。
上記の観点から、η*(ω=0.1)/η*(ω=100)は、16以上であることが好ましく、18以上であることがより好ましい。
η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が100以下であることで、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる。
上記の観点から、η*(ω=0.1)/η*(ω=100)は、70以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましく、30以下であることがさらに好ましい。
η*(ω=0.1)/η*(ω=100)は以下の方法により測定する。
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、3次元造形用材料を5分間加熱し、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することにより厚み2mmのシートを作製する。厚さ2mmのプレスシートを25mmφのディスク状に打ち抜きサンプルとする。
測定はティー・エイ・インスツルメント株式会社製ARES―G2、冶具は25mmφのパラレルプレートを用いて行ってもよい。サンプルを装置にセットして加熱した後、窒素雰囲気下、測定温度240℃、周波数0.1~100rad/secで複素粘度η*を測定する。
測定結果より、角周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*(ω=0.1)と、角周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*(ω=100)との比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))を算出する。
<要件(b)>
本開示の3次元造形用材料は、下記要件(b)を満足する。
(b)溶融張力が16mN以上300mN以下である。
溶融張力が16mN以上であることで、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる。
上記の観点から、溶融張力は、20mN以上であることが好ましく、22mN以上であることがより好ましく、24mN以上であることがさらに好ましく、26mN以上であることが特に好ましい。
溶融張力は、250mN以下であることが好ましく、150mN以下であることがより好ましく、75mN以下であることがさらに好ましく、50mN以下であることが特に好ましい。
溶融張力の測定方法は、以下の通りである。
キャピログラフ(例えば、株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1D)を用いて、以下の条件で3次元造形用材料を紐状に押し出す。押し出されたストランドをロードセルに取り付けたプーリーを介してローラーを用いて巻き取った際の、ロードセルの荷重値を溶融張力とする。
設定温度:230℃
キャピラリー直径:2.095mm
キャピラリー長さ:8.00mm
シリンダー押出速度:15mm/min
巻き取り速度:15m/min
<プロピレン系重合体>
本開示の3次元造形用材料は、プロピレン系重合体を含む。
プロピレン系重合体は、少なくともプロピレンを構成単位として有する重合体である。
プロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体であっても、プロピレンと他の単量体との共重合体であるプロピレン系共重合体であってもよい。
プロピレン系重合体としては、1種又は2種以上のプロピレン系重合体を用いてもよい。
プロピレン系重合体は、プロピレン系共重合体を含むことが好ましい。
前記プロピレン系共重合体の含有量は、前記プロピレン系重合体の全質量に対して、60質量%~95質量%であることが好ましく、70質量%~95質量%であることがより好ましく、75質量%~90質量%であることがさらに好ましい。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレンと炭素数2~20のα-オレフィン(但し、プロピレンを除く。)との共重合体が挙げられる。
プロピレンと炭素数2~20のα-オレフィンとの共重合体としては、例えば、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・4-メチル-1-ペンテン共重合体、これらの混合物等が挙げられる。
プロピレン系共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
プロピレン系共重合体としては、直鎖であってもよく、長鎖分岐を含んでもよいが、長鎖分岐を含むことが好ましい。ここで、長鎖分岐とは、例えば、炭素数7以上の分岐鎖を示す。
前記プロピレン系共重合体は、長鎖分岐を含むランダム共重合体であることが好ましい。例えば、電子線、過酸化物などを用いて分子鎖を部分的に架橋させることで長鎖分岐構造を増加させる方法、重合触媒よりマクロマーを精製させて重合中に長鎖分岐構造を増加させる方法等が試みられている。
電子線を用いた方法としてはBasell社製Profax、化学架橋を用いた方法としてはBorealis社製DaployTM、重合触媒を用いた方法としてはJPP社製WAYMAX等が挙げられる。
プロピレン系共重合体におけるプロピレンに由来する構成単位の比率は、所望する3次元造形物の性質に応じて適宜設計してよい。例えば、プロピレン系重合体におけるプロピレンに由来する構成単位の比率は、プロピレン系重合体中の全構成単位100mol%に対して、50mol%以上であることが好ましく、70mol%~99.5mol%であることがより好ましく、80mol%~98mol%であることがさらに好ましい。
プロピレン系重合体の立体規則性は、特に制限されず、立体規則性を有していなくともよく、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック及びこれらの混合体のいずれであってもよい。
プロピレン系共重合体は、
プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50mol%~95mol%と、
プロピレンを除く炭素原子数2~10のα-オレフィンから導かれる構成単位〔ii〕4.9mol%~49.9mol%と、
非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1mol%~10mol%と、
を含む(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)、プロピレン系共重合体(A)であることが好ましい。
プロピレン系共重合体(A)は、好ましくは、上記構成単位〔i〕が、55mol%~95mol%、より好ましくは60mol%~90mol%、さらに好ましくは70mol%~90mol%、特に好ましくは75mol%~90mol%である。
プロピレン系共重合体(A)は、好ましくは、上記構成単位〔ii〕が、4.9mol%~44.9mol%、より好ましくは9.8mol%~39.9mol%、さらに好ましくは9.9mol%~29.9mol%、特に好ましくは9.9mol%~24.8mol%である。
プロピレン系共重合体(A)は、好ましくは、上記構成単位〔iii〕が、0.1mol%~7.0mol%、より好ましくは0.1mol%~5.0mol%、さらに好ましくは0.1mol%~3.0mol%、特に好ましくは0.2mol%~3.0mol%である。
構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕が上記範囲にあることで、より成形加工性に優れる共重合体(A)を得ることができる。
なお、本開示において、「炭素原子数2~10のα-オレフィン」は特に断らない限りプロピレンを含まない。
なお、本開示の目的を損なわない範囲で、その他の共重合成分を含んでいてもよく、これらも本開示の範囲内である。
(α-オレフィン)
プロピレンを除く炭素原子数2~10のα-オレフィンとしては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
たとえば、エチレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンなどの環状オレフィン等を挙げることができる。
これらのα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、α-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン又は1-オクテンが好ましい。
(非共役ポリエン)
非共役ポリエンとしては、具体的には、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-エチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘプタジエン、5-エチル-1,4-ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、5-エチル-1,5-ヘプタジエン、4-メチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,4-オクタジエン、4-エチル-1,4-オクタジエン、5-エチル-1,4-オクタジエン、5-メチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,5-オクタジエン、5-エチル-1,5-オクタジエン、6-エチル-1,5-オクタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,4-ノナジエン、4-エチル-1,4-ノナジエン、5-エチル-1,4-ノナジエン、5-メチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,5-ノナジエン、5-エチル-1,5-ノナジエン、6-エチル-1,5-ノナジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、7-エチル-1,7-ノナジエン、5-メチル-1,4-デカジエン、5-エチル-1,4-デカジエン、5-メチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,5-デカジエン、5-エチル-1,5-デカジエン、6-エチル-1,5-デカジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-エチル-1,6-デカジエン、7-エチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,7-デカジエン、7-エチル-1,7-デカジエン、8-エチル-1,7-デカジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-ウンデカジエンなどの非共役ジエン;6,10-ジメチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン、6,9-ジメチル-1,5,8-デカトリエン、6,8,9-トリメチル-1,5,8-デカトリエン、6-エチル-10-メチル-1,5,9-ウンデカトリエン、4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)、7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-デカジエン、7-メチル-6-プロピル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-1,7-ノナジエン、8-メチル-4-エチリデン-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンなどの非共役トリエン等が挙げられる。
これらの非共役ポリエンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、非共役ポリエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、又は、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン(EMND)が好ましく、5-ビニル-2-ノルボルネンがより好ましい。
(共役ポリエン)
本開示では、本開示の目的を損なわない範囲で、その他の重合成分として、たとえば、共役ポリエンを含んでいてもよい。
共役ポリエンとしては、たとえば、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-2,4-ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-プロピル-1,3-ブタジエン、2-ブチル-1,3-ブタジエン、2-ペンチル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ヘプチル-1,3-ブタジエン、2-オクチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエンなどの共役ジエン;1,3,5-ヘキサトリエンなどの共役トリエン等が挙げられる。
プロピレン系共重合体のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.05g/10分~100g/10分、より好ましくは0.1g/10分~50g/10分、さらに好ましくは0.5g/10分~10g/10分である。
MFRは、JIS K7210;2014に準拠して、230℃で2.16kgの荷重にて測定する。
プロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体を含んでもよい。
プロピレン単独重合体は、直鎖であってもよく、長鎖分岐を含んでもよい。
プロピレン系重合体が、プロピレン単独重合体及びプロピレン系共重合体を含む場合、プロピレン単独重合体に対するプロピレン系共重合体の含有量比(共重合体/単独重合体)は、3.0~5.0であることが好ましく、3.5~4.5であることがより好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本開示の3次元造形用材料は、熱可塑性樹脂を含んでもよい。
本開示における熱可塑性樹脂は、上記プロピレン系重合体以外の熱可塑性樹脂である。
熱可塑性樹脂は、特に制限されず、公知の熱可塑性樹脂が適用できる。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
例えば、熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレンアクリロニトリルコポリマー(AS樹脂)、アクリル樹脂(PMMA)等の汎用プラスチック;
ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、環状ポリオレフィン(COP)等のエンジニアリング・プラスチック;
ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック;などが挙げられる。
中でも、熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)及びポリアセタール(POM)からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂は、結晶性の熱可塑性樹脂であっても、非晶性の熱可塑性樹脂であってもよい。例えば、熱可塑性エラストマーとの親和性の観点及び充填材を熱可塑性樹脂に好適に分散させる観点からは、熱可塑性樹脂は、結晶性の熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)及びポリアセタール(POM)からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
なお、熱可塑性樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定において、吸熱ピークを有することを指す。一方、熱可塑性樹脂の「非晶性」とは、示差走査熱量測定において、明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
本開示の3次元造形用材料がプロピレン系重合体及び熱可塑性樹脂の両方を含む場合、プロピレン系重合体の含有量は、プロピレン系重合体及び熱可塑性樹脂の総量100質量%に対して、95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることがさらに好ましい。
<熱可塑性エラストマー>
本開示の3次元造形用材料は、熱可塑性エラストマーを含む。
3次元造形用材料が熱可塑性エラストマーを含むことで、3次元造形(特に3次元溶融積層造形)により作製される3次元造形物の変形が効果的に抑制される。
熱可塑性エラストマーは、樹脂に荷重を加えた場合に変形し、樹脂から荷重を除く場合に元の形状に戻ろうとするゴム状弾性を有する化合物である。具体的には、熱可塑性エラストマーとは、25℃での引張弾性率が6.0×10Pa未満であるものを指す。この点において、熱可塑性エラストマーは、上述の熱可塑性樹脂と区別される。
熱可塑性エラストマーは、α-オレフィン由来の構成単位と上記α-オレフィンと異なる他のオレフィン由来の構成単位とを含む共重合体であることが好ましい。
α-オレフィンとしては、通常、炭素数2~20のα-オレフィンを1種単独で含んでもよいし、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。中でも、好ましいα-オレフィンは、炭素数が3以上であるα-オレフィンであり、炭素数3~8のα-オレフィンがより好ましい。
α-オレフィンとして、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン等が挙げられる。α-オレフィンは、1種又は2種以上が用いられる。
中でも、入手の容易さの観点から、α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、又は4-メチル-1-ペンテンが好ましい。
α-オレフィンと異なる他のオレフィンとしては、炭素数2~4のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等を挙げることができる。中でも、炭素数2~3のオレフィンがより好ましい。
熱可塑性エラストマーである共重合体には、例えば、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、ブテン・α-オレフィン共重合体が含まれる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)、エチレン-1-ブテン共重合体(EBR)、エチレン-1-ペンテン共重合体、エチレン-1-オクテン共重合体(EOR)、プロピレン-1-ブテン共重合体(PBR)、プロピレン-1-ペンテン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体(POR)等が挙げられる。
中でも、熱可塑性エラストマーとしては、炭素数2~8のα-オレフィン由来の構成単位と炭素数2~3のオレフィン由来の構成単位とを含む共重合体が好ましく、熱可塑性樹脂又はプロピレン系重合体との相溶性に優れ、3次元造形物を作製した際の形状の変形抑制効果が得られる点で、プロピレン-1-ブテン共重合体が好ましい。
さらに、α-オレフィンは、ランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。
熱可塑性エラストマーの融点は、30℃~120℃であることが好ましい。
融点が30℃~120℃であると、3次元造形物製造装置のノズルの温度(ノズル温度)で溶融状態を保持することができ、高い流動性を維持することができる。これにより、ノズルから押し出された3次元造形用材料を積層して作製された3次元造形物の、積層された材料間における接着性を高めることができる。
融点は、示差走査熱量測定(DSC)によって吸熱曲線に現れる最大ピーク位置の温度Tmとして求められる値である。
融点は、試料をアルミパンに詰め、100℃/minで230℃まで昇温し、230℃で5分間保持した後、-10℃/minで-70℃まで降温し、ついで10℃/minで昇温する際の吸熱曲線より求める。
熱可塑性エラストマーのメルトフローレート(MFR;230℃、2.16kg荷重)は、0.5g/10min~70g/10minであることが好ましく、1g/10min~70g/10minであることがより好ましい。MFRがこの範囲内であると、3次元造形物の変形をより効果的に抑制することができる。
MFRは、上記と同様の観点から、2g/10min~35g/10minの範囲としてもよく、5g/10min~30g/10minの範囲としてもよい。
なお、メルトフローレート(Melt Flow Rate;MFR)は、ASTM D1238-65Tに準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件で測定される値である。
熱可塑性エラストマーは、ショアA硬度が50~99であるか、又はショアD硬度が30~60であるものが好ましい。
熱可塑性エラストマーの硬度がショアA硬度で50以上又はショアD硬度で30以上であると、熱可塑性エラストマーは変形し難くなり、形状が維持され易くなる。そのため、造形時に熱可塑性エラストマーがスクリューへ入り込みやすくなり、結果、吐出効率が良くなる。これにより、表面が滑らかで外観に優れた3次元造形物が得られやすい。
硬度としては、上記と同様の理由から、ショアA硬度で55以上又はショアD硬度で40以上が好ましく、ショアA硬度で60以上又はショアD硬度で50以上がより好ましい。また、硬度の上限は、特に制限はなく、ショアA硬度で96以下又はショアD硬度で60以下が好ましい。上記の中でも、上記と同様の理由から、ショアD硬度が40以上であるものがさらに好ましく、ショアD硬度が50以上であるものがさらに好ましい。
なお、ショアA硬度及びショアD硬度は、ASTM D2240に記載の方法に準拠して測定される値である。
熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、三井化学株式会社製のタフマー(登録商標)シリーズ(例:タフマーDF605、タフマーDF610、タフマーDF640、タフマーDF710、タフマーDF740、タフマーDF7350、タフマーDF810、タフマーDF840、タフマーDF8200、タフマーDF940、タフマーDF9200、タフマーDF110、タフマーH-0530S、タフマーH-1030S、タフマーH-5030S、タフマーXM-7070、タフマーXM-7080、タフマーXM-7090、タフマーBL2491M、タフマーBL2481M、タフマーBL3110M、タフマーBL3450M、タフマーMA8510、タフマーMH7010、タフマーMH7020、タフマーMH5020)などを挙げることができる。
上記の中でも、熱可塑性樹脂又はプロピレン系重合体との相溶性に優れ、3次元造形物を作製した際の形状の変形抑制効果が得られる点で、プロピレン-1-ブテン共重合体を含むタフマーXMシリーズが好ましい。
熱可塑性エラストマーの含有量は、3次元造形用材料の全質量に対して、0.1質量%超100質量%未満の範囲で選択することができる。
熱可塑性エラストマーの含有量としては、3次元造形用材料の全質量に対して、10質量%超100質量%未満であることが好ましく、15質量%~95質量%であることがより好ましく、20質量%~90質量%であることがさらに好ましい。
<充填材>
本開示の3次元造形用材料は、充填材を含む。
充填材は、特に制限されず、無機充填材、有機充填材、光輝性粉体、色素粉体、及びこれらの複合充填材等の公知の充填材が適用できる。
充填材は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
充填材は、無機充填材を含んでいてもよい。
例えば、無機充填材としては、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成雲母、合成雲母鉄、セリサイト、タルク、モスハイジ(硫酸マグネシウムウィスカー)、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の一般的な無機粉体;オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、酸化鉄・酸化チタン焼結体、アルミニウムパウダー等の光輝性無機粉体;微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン内包シリカ、酸化亜鉛内包シリカ等の複合無機粉体;ガラス繊維等の無機繊維;などが挙げられる。
上記の中でも、無機充填材は、3次元造形物としたときの変形(特に反り)をより抑制する観点から、一般的な無機粉体及び無機繊維の少なくとも一方を含むことが好ましく、タルクを含むことがより好ましい。特に、タルクは、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂それぞれとの親和性が高い傾向にあるため、3次元造形物としたときの変形(特に反り)がより抑制されると考えられる。
なお、タルクとは、滑石とも呼ばれる、含水珪酸マグネシウム[MgSi10(OH)]のことをいう。
なお、タルクとは、マグネシウム(Mg)とシリコン(Si)が酸素及び水酸基と結びついて出来た含水珪酸マグネシウムと呼ばれる層状粘土鉱物の一種であり、一般に、[MgSi10(OH)]又は[3MgO・4SiO・HO]の化学構造式で表される。
無機充填材は、一態様として、3次元造形物としたときの引張弾性率と外観の滑らかさとを両立する観点から、タルク及びガラス繊維の両方を含んでいてもよい。この場合、タルクTalcとガラス繊維Fiberとの含有比率(Talc:Fiber)としては、90:10~40:60であることが好ましく、85:15~45:55であることがより好ましい。特に、前記含有比率(Talc:Fiber)が85:15以上であると、ガラス繊維に限らずカーボンファイバー等の繊維系材料特有の問題である外観の毛羽立ちがより抑制される傾向にある。
充填材は、有機充填材を含んでいてもよい。
例えば、有機充填材としては、カーボンファイバー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、テトラフルオロエチレン、シリコーンパウダー、ポリフェニレンエーテル等の樹脂粒子;セルロース、セルロース誘導体等のパルプ;などが挙げられる。
充填材の形状は、球状、板状又は針状のいずれの形状であってもよい。
充填材は、多孔質であってもよく、無孔性であってもよい。
充填材の体積平均粒径は、3次元造形物としたときの変形(特に反り)をより抑制する観点から、0.1μm~10μmであることが好ましく、2μm~8μmであることがより好ましく、3μm~7μmであることがさらに好ましい。
充填材の体積平均粒径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置等の粒度分布測定装置を用い、無機粉体を水中に分散した状態で測定した各粒子の粒径に基づく各粒子の体積を小粒径側から積算した場合に積算体積が全体積の50%となる粒径値をいう。
充填材の含有量は、3次元造形物としたときの変形(特に反り)をより抑制する観点から、3次元造形用材料の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%超え50質量%以下であることがより好ましい。本開示の一態様によれば、充填材の含有量は、3次元造形用材料の全質量に対して、45質量%未満であってもよい。
充填材の含有量は、3次元造形物としたときの変形(特に反り)をより抑制する観点から、熱可塑性エラストマーの全質量に対して、10質量%以上250質量%以下であることが好ましく、10質量%以上200質量%以下であることがより好ましく、12質量%以上180質量%以下であることがさらに好ましい。
(3次元造形用材料の性質)
3次元造形用材料の融点は、3次元造形物としたときの変形(特に反り)をより抑制する観点から、90℃以上であることが好ましく、110℃以上200℃以下であることがより好ましく、150℃以上180℃以下であることがさらに好ましい。
3次元造形用材料の融点を、上記範囲内とする手法は特に制限されないが、例えば、充填材、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーの種類を適宜選択する手法が挙げられる。
本開示の3次元造形用材料は、例えば、250mm×100mm×高さ15mmであり、フルハニカムでの充填率30%とした直方体形状の3次元造形物としたときに、引張弾性率X(MPa)が下記関係式(I)を満たし、且つ、反り量Y(mm)が関係式(II)を満たすことが好ましい。
関係式(I) 50≦X≦4000
関係式(II) 0≦Y≦4
3次元造形物とする造形方法、引張弾性率及び反り量の求め方は、後述する本開示の3次元造形物における造形方法、引張弾性率及び反り量の求め方と同様の手法が挙げられる。
(他の成分)
本開示における3次元造形用材料は、上記した熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂以外に、他の成分を含んでもよい。
他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤、整色剤、難燃剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、つや消し剤、衝撃強度改良剤等が挙げられる。
(3次元造形用材料の形態)
3次元造形用材料は、ペレット又はフィラメントの形態とすることができる。
ペレットとは、3次元造形用材料の粒子状の固まりを指す。
フィラメントとは、3次元造形物製造装置を用いてデータを出力するために用いられる糸状等の線状の長尺材料のことを指し、一般にリールに巻きつけた形態で用いられる。
3次元造形用材料は、ペレット又はフィラメントのいずれの形態でもよく、ペレット及びフィラメントの両方の形態の材料が混在した混合物でもよい。3次元造形用材料の形態は、比較的大サイズの3次元造形物を製造する観点では、ペレットが好ましい。
3次元造形用材料は、成形された成形品であっても、市販品であってもよい。
成形品における成形方法は特に制限はなく、押出成形等の公知の成形方法で成形された成形品でもよい。
3次元造形用材料をペレットに成形する場合、例えば、一種の熱可塑性エラストマーを溶融押出機(例:二軸押出機)により混練押出し、押出された棒状のストランドをペレタイザーにて切断することによりペレットとしてもよい。また、複数種の熱可塑性エラストマーの混合、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂の混合、又は熱可塑性エラストマー及び他の成分の混合等をヘンシェルミキサー等でドライブレンドした後、ドライブレンド物を溶融押出機(例:二軸押出機)により混練押出し、押出された棒状のストランドをペレタイザーにて切断することによりペレットとしてもよい。
<3次元造形物の製造方法>
本開示の3次元造形物の製造方法は、本開示の3次元造形用材料を加熱し溶融する溶融工程と、溶融された3次元造形用材料を3次元造形物製造装置のノズルから押し出し、3次元造形物を造形する造形工程と、を含む。
(溶融工程)
本開示における溶融工程は、既述の本開示の3次元造形用材料を加熱し溶融する。
3次元造形用材料を加熱して溶融する加熱手段は、特に制限されず、公知の加熱手段が適用できる。
溶融工程は、例えば電気ヒーター等の加熱手段を備えた3次元造形物製造装置を用いて材料を加熱し溶融する工程であることが好ましい。
3次元造形用材料を加熱し溶融する温度は、特に制限されず、熱可塑性樹脂の性質に応じて適宜設定すればよい。3次元造形用材料を加熱し溶融する温度は、例えば、熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度(Tg)を基準として、+0℃~300℃の温度としてもよい。
溶融工程は、ガラス繊維及び熱可塑性樹脂を含む材料を加熱し溶融及び混練する溶融混練工程であってもよい。溶融混練工程を有すると、3次元造形用材料が混練されたことにより均一性高く混ざる傾向にある。そのため、得られた3次元造形物における組成比等に局所的なムラが生じることが抑制され易い。その結果、3次元造形物の変形がより抑制される傾向にある。
(造形工程)
本開示における造形工程は、溶融工程で溶融された3次元造形用材料を3次元造形物製造装置のノズルから押し出し、3次元造形物を造形する。
造形工程では、例えば、溶融された3次元造形用材料を3次元造形物製造装置のノズルから押し出し、3次元の座標データをもとに、3次元の座標データを輪切りにした2次元層を基板の上に順次積層することにより、3次元造形物を造形することができる。
3次元造形物製造装置は、材料押出方式の3次元造形物製造装置を用いることができる。材料押出方式の3次元造形物製造装置は、特に制限はなく、公知の装置又は公知の装置構成を適用することができる。
3次元造形物製造装置としては、例えば、3次元造形用材料が供給されるシリンダーと、シリンダーにおける3次元造形用材料の吐出方向下流側に設けられ、3次元造形用材料を吐出するノズルと、シリンダーに設けられ、3次元造形用材料を加熱し溶融する加熱手段と、を備えた装置であってもよい。
3次元造形物製造装置を用いることで、加熱溶融された3次元造形用材料をノズルから押し出し、ノズルから押し出された3次元造形用材料を積層することで、3次元造形物を造形することができる。
シリンダーは、内部に材料を混練するスクリューを有していてもよい。
3次元造形物製造装置は、ノズルに対向して配置され、ノズルからの溶融材料を受けるテーブル装置をさらに備えていてもよい。
3次元造形物製造装置は、基板及びノズルの空間座標、並びに、ノズルから押し出される3次元造形用材料の量を制御する制御手段をさらに備えていてもよい。制御手段は、ノズルからの3次元造形用材料の吐出を制御し、かつ、ノズル及び/又はテーブル装置の、基準面に対するX軸,Y軸,Z軸方向への移動を制御する制御手段であることが好ましい。
(他の工程)
本開示の3次元造形物の製造方法は、溶融工程及び造形工程以外の他の工程(以下、単に「他の工程」ともいう。)を有していてもよい。
本開示の3次元造形物の造形方法は、他の工程として、例えば、造形工程で造形された3次元造形物を加工処理する加工工程をさらに有してもよい。
<3次元造形物>
本開示の3次元造形物は、本開示の3次元造形用材料を造形した造形物である。
本開示の3次元造形物は、その造形に本開示の3次元造形用材料が用いられるので、熱崩れが抑制されている。
本開示の3次元造形物は、本開示の3次元造形用材料を用いた造形物であれば特に制限はなく、いずれの方法で作製されたものでもよい。中でも、本開示の3次元造形物は、上記した本開示の3次元造形物の製造方法により作製されたものであることが好ましい。
本開示の3次元造形物は、熱崩れが抑制されている。
本開示の3次元造形物は、熱崩れ量が好ましくは6.5mm以下であり、より好ましくは5.5mm以下であり、さらに好ましくは4.5mm以下である。
本開示の3次元造形物は、熱崩れ量が0.1mm以上であってもよい。
熱崩れ量は、下記の方法により測定する。
材料押出方式の3次元造形物製造装置(エス.ラボ株式会社製、「GEM444D」、ノズル径:3mm)及びアプリケーションソフトウェア(Simplify3D製の「Simplify3D」)を用いて、測定用ハニカム造形物を造形する。
測定用ハニカム造形物は、120mm×120mm×高さ30mmであり、ハニカムでの充填率15%とした直方体形状の3次元造形物である。
造形についての詳細は下記の通りであってもよい。
<3Dデータ>
・120mm×120mm×高さ30mmの直方体
<測定用ハニカム造形物のハニカム構造部の設定パラメータ>
・造形スピード:3000mm/min
・ノズル温度:240℃
・積層ピッチ:1.5mm
・充填率:15%
・充填パターン:ハニカム
測定用ハニカム造形物の熱崩れ量の測定について、図1を用いて説明する。
図1は、ハニカム造形物の概略図である。
まず、ノギスを用いて、図1のハニカム造形物10の底面5から橋渡し構造部X1(図1の1)~橋渡し構造部X4(図1の4)までの高さをそれぞれ測定する。橋渡し構造部X1~橋渡し構造部X4の高さと3Dデータとの差を加算して、得られる加算値を4で除算して算出した値を熱崩れ量とする。
一般に、3次元造形用材料の溶融張力を高めた場合、得られる3次元造形物において、引張呼びひずみが生じ難くなる。本開示の3次元造形物は、引張呼びひずみ性を維持することができる。
本開示の3次元造形物は、引張呼びひずみが、好ましくは25%以上であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。
本開示の3次元造形物は、引張呼びひずみが、500%以下であってもよく、400%以下であってもよく、350%以下であってもよい。
引張呼びひずみは、下記の方法により測定する。
厚さ2mmの四角柱造形物を3次元造形し、その壁部から試験片(JIS K 7161-2:2014に規定の1BA形ダンベル)をサンプリングする。サンプルは、長手方向が積層方向と垂直方向になるようにする。
得られたサンプルを用いて、JIS K 7161-2:2014に準拠して、試験温度23℃、引張速度20mm/minの条件下で引張試験を行い、引張呼びひずみを測定する。
本開示の3次元造形物は、アイゾッド衝撃値が、50kJ/m以上であることが好ましく、70kJ/m以上であることがより好ましく、90kJ/m以上であることがさらに好ましい。
本開示の3次元造形物は、アイゾッド衝撃値が、500kJ/m以下であってもよく、300kJ/m以下であってもよい。
アイゾッド衝撃値は、下記の方法により測定する。
厚さ3mmの四角柱造形物を3次元造形し、その壁部から試験片(ASTM D256)をサンプリングする。サンプルは、長手方向が積層方向と垂直方向になるようにする。
得られたサンプルを用いて、ASTM D256に準拠して、試験温度23℃、ハンマー容量3.92J、ノッチ無しの条件でアイゾッド衝撃試験を行い、アイゾッド衝撃値を測定する。
本開示の3次元造形物は、例えば、250mm×100mm×高さ15mmであり、フルハニカムでの充填率30%とした直方体形状の部分が、引張弾性率X(MPa)が下記関係式(I)を満たし、且つ、反り量Y(mm)が関係式(II)を満たすことが好ましい。上記直方体形状の部分は、造形された3次元造形物の一部を試験片として切り取られたものであってもよく、3次元造形物そのものであってもよい。
関係式(I) 50≦X≦4000
関係式(II) 0≦Y≦4
3次元造形物の引張弾性率は、JIS K7127:1999年に準拠して求める。
3次元造形物の反り量は、直方体形状の3次元造形物における静置床面から各端部への距離を測定し、その4点の算術平均値とする。
本開示の3次元造形用材料は、上述の要件(a)及び要件(b)を満足し、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できる。
要件(a)及び要件(b)を満足する観点から、本開示の3次元造形用材料は、≪3次元造形用材料≫に記載した態様以外の態様を選択することもできる。
例えば、本開示の3次元造形用材料は、要件(a)及び要件(b)を満足する観点から、超高分子量成分(例えば、重量平均分子量が1000000以上の成分)を含んでいてもよく、プロピレン系重合体の分子量分布を広くしてもよく、プロピレン系重合体に長鎖分岐構造を導入してもよく、長鎖分岐構造を含むプロピレン系重合体を添加してもよい。
本開示において、≪3次元造形用材料≫に記載した態様は、本開示の効果を奏する観点から導かれた一実施形態であり、上記した他の実施形態を用いることもできる。
以下、本開示を実施例によりさらに具体的に説明するが、本開示の発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
本実施例で用いる材料の詳細は、以下の通りである。
(プロピレン系共重合体)
[製造例1]プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-1)の製造
充分に窒素置換した容量1500mlの攪拌翼付SUS製重合装置に、23℃で750mlの乾燥ヘキサン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)10ml、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の0.75mmolを常温で仕込んだ後、重合装置内温を80℃に昇温し、水素200mlを挿入し、プロピレンで系内圧力を0.5MPaに加圧した後に、エチレンで、系内圧力を0.55MPaに調整した。
次いで、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル) (オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド 0.0005mmolと0.0025mmolのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを重合器内に添加し、内温80℃、系内圧力を0.55MPaを保ちながら10分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、4Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥することで、プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-1)を得た。プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-1)は長鎖分岐を含むランダム共重合体である。得られたポリマーについて測定した物性を表1に示す。
[製造例2]プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-2)の製造
充分に窒素置換した容量1500mlの攪拌翼付SUS製重合装置に、23℃で750mlの乾燥ヘキサン、5-ビニル-2-ノルボルネン8ml、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の0.75mmolを常温で仕込んだ後、重合装置内温を80℃に昇温し、水素250mlを挿入し、プロピレンで系内圧力を0.5MPaに加圧した後に、エチレンで、系内圧力を0.55MPaに調整した。
次いで、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.0005mmolと0.0025mmolのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを重合器内に添加し、内温80℃、系内圧力を0.55MPaを保ちながら10分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、4Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥することで、プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-2)を得た。プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-2)は長鎖分岐を含むランダム共重合体である。得られたポリマーについて測定した物性を表1に示す。
(プロピレン系単独共重合体)
「プライムポリプロ(登録商標)E-200GP」、株式会社プライムポリマー製、材質:プロピレン単独直鎖重合体、MFR:2.0g/min、25℃での引張弾性率:6.0×10Pa以上
(熱可塑性エラストマー)
「タフマー(登録商標)XM-7090」、三井化学株式会社製、材質:プロピレン系重合体、融点Tm:98℃、ショアD硬度:58、MFR:7.0g/min、25℃での引張弾性率:6.0×10Pa未満
(無機フィラーマスターバッチ)
HG-170(浅田製粉株式会社製、形態:マスターバッチ、構成材料:タルク及び熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の種類:プロピレン系重合体、タルクの含有量:70質量%)
<プロピレン系長鎖分岐ポリマー(A-1)、(A-2)の物性>
(コモノマー組成)
プロピレン系長鎖分岐ポリマー中のプロピレン、α-オレフィン、非共役ポリエンの含量は、13C-NMR及び1H-NMRにより、以下の装置及び条件にて実施した。
プロピレン、α-オレフィン含量の定量化は日本電子株式会社製JECX400P型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料濃度60mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(100MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.62μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は8000回、29.73ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
また、1H-NMRにより末端及び内部の二重結合量を測定した。測定装置には日本電子株式会社製ECX400P型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は6.00μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は512回以上、7.1ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
(MFR)
MFRは、JIS K7210;2014に準拠して、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。
(実施例1~実施例4、及び比較例1)
[3次元造形用材料の作製]
表1に記載のプロピレン系共重合体、プロピレン系単独重合体、熱可塑性エラストマー及び無機フィラーマスターバッチを、表2に記載の割合で配合し、押出機(品番 ZE40A、ベルストルフ製)を用いて混錬し、3次元造形用材料を得た。
押出機の条件は、シリンダー温度:C1=50℃、C2=100℃、C3=150℃、C4~C11=190℃、スクリュー回転数100rpm、吐出量25kg/hである。
〔各種評価〕
<3次元造形用材料の物性>
(複素粘性率の比)
200℃に設定した油圧式熱プレス成形機を用いて、3次元造形用材料を5分間加熱し、10MPaの加圧下で2分間成形した後、20℃、10MPaの加圧下で2分間冷却することにより厚み2mmのシートを作製した。
厚さ2mmのプレスシートを25mmφのディスク状に打ち抜きサンプルとした。測定
はティー・エイ・インスツルメント株式会社製ARES―G2、冶具は25mmφのパラレルプレートを用いた。サンプルを装置にセットして加熱した後、窒素雰囲気下、測定温度240℃、周波数0.1~100rad/secで測定した。
測定結果より、角周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*(ω=0.1)と、角周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*(ω=100)との比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))を算出した。
(溶融張力)
株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1Dを用いて、以下の条件でコンパウンドを紐状に押し出した。押し出されたストランドをロードセルに取り付けたプーリーを介してローラーを用いて巻き取った時の、ロードセルの荷重値を溶融張力とした。
設定温度:230℃
キャピラリー直径:2.095mm
キャピラリー長さ:8.00mm
シリンダー押出速度:15mm/min
巻き取り速度:15m/min
<3次元造形物の物性>
(熱崩れ量)
材料押出方式の3次元造形物製造装置(エス.ラボ株式会社製、「GEM444D」、ノズル径:3mm)及びアプリケーションソフトウェア(Simplify3D製の「Simplify3D」)を用いて、測定用ハニカム造形物を造形した。
まず、ホッパーに表2に記載の3次元造形用材料(プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー及び充填剤)を投入し、ホッパーを介して3次元造形用材料をシリンダー内に供給した。次いで、シリンダーに設けられたヒーターにより3次元造形用材料の温度を180℃~240℃に加熱し、溶融させた(溶融工程)。
次に、アプリケーションソフトウェアで、下記の3Dデータを輪切りにして、複数の2次元データを生成した。複数の2次元データをもとに、アプリケーションソフトウェアの設定パラメータを下記のとおりに設定し、材料押出方式(MEX;Material Extrusion)にて、図1に示すような測定用ハニカム造形物を造形した。
具体的には、3次元の座標データをもとに、溶融した3次元造形用材料を基板の上に順次積層させることにより、120mm×120mm×高さ30mmであり、ハニカムでの充填率15%とした直方体形状の3次元造形物を造形した(造形工程)。
<3Dデータ>
・120mm×120mm×高さ30mmの直方体
<測定用ハニカム造形物のハニカム構造部の設定パラメータ>
・造形スピード:3000mm/min
・ノズル温度:240℃
・積層ピッチ:1.5mm
・充填率:15%
・充填パターン:ハニカム
ノギスを用いて、図1に示すような測定用ハニカム造形物の底面から橋渡し構造部X1~X4までの高さを測定した。橋渡し構造部X1~X4の高さと3Dデータの対応する部分の高さとの差を加算して、得られる加算値を4で除算して算出した値を熱崩れ量とした。
熱崩れ量が6.5mm以下である場合に、熱崩れに優れると言える。
(引張呼びひずみ)
厚さ2mmの四角柱造形物を3次元造形し、その壁部から試験片(JIS K 7161-2:2014に規定の1BA形ダンベル)をサンプリングした。サンプルは、長手方向が積層方向と垂直方向になるようにした。
得られたサンプルを用いて、JIS K 7161-2:2014に準拠して、試験温度23℃、引張速度20mm/minの条件下で引張試験を行い、引張呼びひずみを測定した。
引張呼びひずみが25%以上である場合に、引張呼びひずみ性に優れると言える。
(アイゾッド衝撃値)
厚さ3mmの四角柱造形物を3次元造形し、その壁部から試験片(ASTM D256)をサンプリングした。サンプルは、長手方向が積層方向と垂直方向になるようにした。
得られたサンプルを用いて、ASTM D256に準拠して、試験温度23℃、ハンマー容量3.92J、ノッチ無しの条件でアイゾッド衝撃試験を行い、アイゾッド衝撃値を測定した。
アイゾッド衝撃値が50kJ/m以上である場合に、耐衝撃性に優れると言える。

表1及び2中、「-」は、該当する成分が含まれないことを意味する。
表2が示す通り、プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー及び充填材を含み、η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下であり(要件(a))、溶融張力が16mN以上300mN以下である(要件(b))を満足する3次元造形用材料を用いた実施例は、熱崩れ量が6.5mm以下であるため、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できていた。
一方、η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14未満であり、溶融張力が16mN未満である比較例1は、熱崩れ量が6.5mm超であるため、得られる3次元造形物の熱崩れを抑制できなかった。
また、実施例は、引張呼びひずみが25%以上であるため、得られる3次元造形物の引張呼びひずみ性に優れていた。
また、実施例は、アイゾッド衝撃値が50kJ/m以上であるか、又は破壊されなかったため、得られる3次元造形物の耐衝撃性にも優れていた。
1 橋渡し構造部X1
2 橋渡し構造部X2
3 橋渡し構造部X3
4 橋渡し構造部X4
5 底面
10 ハニカム造形物

Claims (12)

  1. プロピレン系重合体、熱可塑性エラストマー及び充填材を含み、
    下記要件(a)及び要件(b)を満足する3次元造形用材料。
    (a)η*(ω=0.1)/η*(ω=100)が14以上100以下である。
    (b)溶融張力が16mN以上300mN以下である。
  2. 前記プロピレン系重合体は、プロピレン系共重合体を含む請求項1に記載の3次元造形用材料。
  3. 前記プロピレン系共重合体の含有量は、前記プロピレン系重合体の全質量に対して、60質量%~95質量%である請求項2に記載の3次元造形用材料。
  4. 前記プロピレン系共重合体は、長鎖分岐を含むランダム共重合体である請求項2に記載の3次元造形用材料。
  5. 前記プロピレン系共重合体は、
    プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50mol%~95mol%と、
    プロピレンを除く炭素原子数2~10のα-オレフィンから導かれる構成単位〔ii〕4.9mol%~49.9mol%と、
    非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1mol%~10mol%と、
    を含む(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)、プロピレン系共重合体(A)である請求項2に記載の3次元造形用材料。
  6. 前記充填材は、無機充填材を含む請求項1に記載の3次元造形用材料。
  7. 前記無機充填材は、タルクを含む請求項6に記載の3次元造形用材料。
  8. 前記充填材の含有量が、3次元造形用材料の全質量に対して、5質量%以上70質量%以下である請求項1に記載の3次元造形用材料。
  9. 前記熱可塑性エラストマーの含有量が、3次元造形用材料の全質量に対して、10質量%超100質量%未満である請求項1に記載の3次元造形用材料。
  10. ペレット又はフィラメントである請求項1に記載の3次元造形用材料。
  11. 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の3次元造形用材料の造形物である3次元造形物。
  12. 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の3次元造形用材料を加熱し溶融する溶融工程と、
    溶融された前記3次元造形用材料を3次元造形物製造装置のノズルから押し出し、3次元造形物を造形する造形工程と、
    を含む3次元造形物の製造方法。
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