JP2024013900A - グルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤 - Google Patents

グルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤 Download PDF

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Abstract

【課題】安全性の高い天然物由来の物質の中からグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とするグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤を提供する。【解決手段】グルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、グルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤に関する。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン及びグリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドであり、細胞内の主要なシステイン残基を有する化合物である。細胞内におけるグルタチオンは、ラジカルの捕捉、酸化還元による細胞機能の調節、異物代謝、各種酵素のSH供与体としての機能を果たすものであり、活性酸素等に対する抗酸化成分としても知られている。その作用発現は、システイン残基に由来すると考えられている。しかしながら、過剰な酸化ストレスや異物の付加、加齢などにより、細胞内のグルタチオン量が欠乏または低下することが報告されており、このことが細胞の酸化ストレスに対する防御能を低下させ、細胞のDNA及びタンパク質等の構成成分にダメージを与える一因であると考えられている。
このような、細胞内のグルタチオン量の低下又は欠乏が病態と関連することが知られている疾患として、皮膚のシミ等の色素沈着、皮膚の老化、酸化ストレスが原因となって誘発される疾患群のほか、肝障害(アルコールの多飲、又は重金属や化学物質等の異物の摂取を一因とするもの)等が知られている。すなわち、グルタチオンの産生を促進することは、細胞の酸化ストレスに対する防御能を高め、細胞内のグルタチオン量が低下又は欠乏することに起因する上記の疾患群を予防、治療又は改善することができると考えられる。グルタチオン産生促進作用を有するものとして、琥珀熱水抽出物(特許文献1参照)等が知られている。
表皮の最外層にある角層は、外界からの種々の刺激から皮膚内部を守るバリア機能を有する。角層は、角層細胞(角質細胞ともいう)で形成されている。健常な皮膚では、ケラチノサイト(表皮角化細胞)が分化することにより継続的に角層細胞が作り出されており、これと同時に、古くなって不要となった角層細胞が垢(あか)となって剥がれることにより、角層が一定の厚さに維持されるという皮膚のターンオーバーが繰り返されている。しかしながら、乾燥、紫外線、化学物質等の外的要因、及び酸化ストレスや加齢等の内的要因により、皮膚のバリア機能が低下することが知られており、これらの要因により皮膚のターンオーバーに異常が見られることも知られている。
角層は、角層細胞同士が、コルネオデスモソームと呼ばれる接着構造により接着することで形成されている。コルネオデスモソームは、デスモグレイン1(desmoglein-1,DSG1)、デスモコリン1(desmocollin-1,DSC1)をはじめとする複数のタンパク質から構成されている。コルネオデスモソームは、トリプシン様セリンプロテアーゼであるカリクレイン5(kallikrein-5,KLK5)やキモトリプシン様セリンプロテアーゼであるカリクレイン7(kallikrein-7,KLK7)等のプロテアーゼにより切断されることが知られている(非特許文献1,2参照)。
健常な皮膚では、コルネオデスモソームがセリンプロテアーゼによって分解されることで、正常な角層剥離が起こる。正常な角層剥離においては、角層剥離が肉眼的には認知されることは少ない。しかしながら、肌荒れ等の皮膚トラブルや加齢などにより、前記セリンプロテアーゼの活性が低下すると、コルネオデスモソームの分解が遅延することで角層細胞が堆積して角層剥離がスムーズに行われず、角層細胞が塊となって剥離するため、鱗屑として認識される(非特許文献3参照)。このような角層剥離機能の異常を伴う皮膚疾患は多数報告されており、例えば、老人性乾皮症、フケ症、尋常性魚鱗癬、伴性遺伝性魚鱗癬、乾癬などが挙げられる(非特許文献4~6参照)。
表皮におけるセリンプロテアーゼ活性は、セリンプロテアーゼ阻害剤カザール5型(Serine protease inhibitor Kazal-type 5,SPINK5)遺伝子にコードされるリンパ上皮カザール型阻害剤(Lympho-epithelial Kazal-type-related inhibitor,LEKTI)等のセリンプロテアーゼ阻害因子によって厳密に調整されている。ネザートン症候群として知られる重篤な先天性魚鱗癬様紅皮症を有する患者では、SPINK5遺伝子が欠陥遺伝子として同定されており、KLK5やKLK7等のセリンプロテアーゼ活性が増加し、タンパク質分解が亢進するという病態が知られている。
このように、KLK5やKLK7の産生を促進することが、皮膚のターンオーバーを促進するために重要である。しかしながら、KLK5やKLK7が過剰に産生されると、異常な落屑が発生するおそれもある。したがって、正常な角層剥離においては、コルネオデスモソームにKLK5やKLK7等のセリンプロテアーゼが作用してそれを分解することで角層剥離を促進し、これと同時にLEKTI等のセリンプロテアーゼ阻害因子がセリンプロテアーゼ活性を調整してバランスを取ることで、皮膚におけるプロテアーゼ活性の恒常性を維持することが重要である。
上記のような角層剥離機能の異常を伴う皮膚症状は、皮膚表面形状に異常が認められるため、外見に大きく影響し、感情面でのQOLをも著しく低下させるという問題がある。そのため、皮膚表面形状の改善は、美容的な側面のみでなく、健康な生活を保つ上で重要である。
一般的な皮膚表面形状のケアとしては、保湿剤や角質ケア剤等が用いられている。しかしながら、保湿剤は効果の発現が比較的遅く効果の実感が得られにくいという問題があり、角質ケア剤は刺激性がある等の問題がある。また、化学物質による剥皮術(ケミカルピーリング)は、角層を化学的に融解する手法であり、医師の診断、熟練した技術が必要であるという問題がある。
したがって、皮膚において、KLK5やKLK7等のセリンプロテアーゼ活性と、LEKTI等のセリンプロテアーゼ阻害活性とのバランスを調節することより、皮膚におけるプロテアーゼ活性の恒常性を維持する技術の提供、またこれにより外的要因や内的要因等による種々の皮膚症状を簡便に予防、改善、又は治療することができ、安全性の高い角層剥離改善剤又は角層剥離正常化剤、及び皮膚化粧料の提供が強く望まれているのが現状である。
特開2010-235551号公報
G M Yousef et al., Gene, 2000, Aug 22, 254(1-2), p.119-128 Cecile Caubet et al., J Invest Dermatol, 2004, 122, p.1235-1244 A. V. Rawlings et al., Drug Discovery Today, 2008, 5(2), e127-e136 B Singh et al., Br J Dermatol, 2014, Oct;171(4), p. 760-770 Y Kitajima et al., Dermatologica Sinica., 2015, 33(2), p.58-63 M Simon et al., Br J Dermatol., 2008, 159(1), p.77-85
本発明は、安全性の高い天然物由来の物質の中からグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用を有するものを見出し、それを有効成分とするグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有する。
本発明によれば、優れたグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用を有し、安全性の高いグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤を提供することができる。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、いずれも、オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物を有効成分として含有する。
グリチルリチン酸ジカリウムは、グリチルリチン酸と水酸化カリウム(KOH)等とを反応させることにより得ることができ、グリチルリチン酸は、グリチルリチン酸を含有する植物抽出物から単離・精製することにより得ることができる。
グリチルレチン酸ステアリルは、公知の化合物であって、公知の方法により合成することができる。例えば、グリチルレチン酸ステアリルは、グリチルリチン酸を含有する植物抽出物から単離・精製することにより得られるグリチルリチン酸を、酸(塩酸、硫酸等)の水溶液を用いた加水分解によりグリチルレチン酸を得て、当該グリチルレチン酸とステアリルアルコールとのエステル化反応により合成することができる。
本実施形態において「抽出物」には、上記植物を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
本実施形態における有効成分としてのオリーブ抽出物を得るために使用される抽出原料であるオリーブ(学名:Olea europaea)は、モクセイ科に属する常緑高木植物である。果実から採取されたオリーブ油は、食用、薬用、化粧品用として利用されている。オリーブは、地中海沿岸や、中国などをはじめとしたアジアで栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。抽出原料としては、オリーブの葉部、枝部、樹皮部などを使用することができるが、葉部を使用することが好ましい。
オリーブ抽出物及びグリチルリチン酸を含有する植物抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法によって得ることができる。グリチルリチン酸を含有する植物としては、例えば、甘草等が挙げられる。
甘草は、マメ科カンゾウ属に属する多年生草本である。当該甘草としては、例えば、グリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)、グリチルリーザ・インフラータ(Glychyrrhiza inflata)、グリチルリーザ・ウラレンシス(Glychyrrhiza uralensis)、グリチルリーザ・アスペラ(Glychyrrhiza aspera)、グリチルリーザ・ユーリカルパ(Glychyrrhiza eurycarpa)、グリチルリーザ・パリディフロラ(Glychyrrhiza pallidiflora)、グリチルリーザ・ユンナネンシス(Glychyrrhiza yunnanensis)、グリチルリーザ・レピドタ(Glychyrrhiza lepidota)、グリチルリーザ・エキナタ(Glychyrrhiza echinata)、グリチルリーザ・アカンソカルパ(Glychyrrhiza acanthocarpa)等の種が存在する。これらのうち、いずれの種類の甘草を抽出原料として使用してもよいが、特にグリチルリーザ・グラブラ(Glychyrrhiza glabra)を抽出原料として使用することが好ましい。
抽出原料として使用し得る甘草の構成部位としては、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、花部等の地上部、根部又はこれらの部位の混合物等が挙げられるが、好ましくは根部である。
上記抽出物は、抽出原料を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1~90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1~40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10~90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に制限されず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5~15倍量(質量比)の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
以上のようにして得られた、グリチルリチン酸を含有する抽出液、当該抽出液の濃縮物又は当該抽出液の乾燥物からグリチルリチン酸を単離・精製する方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えば、植物抽出物を、シリカゲルやアルミナ等の多孔質物質、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体やポリメタクリレート等の多孔性樹脂等を用いたカラムクロマトグラフィーに付して、水、アルコールの順で溶出させ、アルコールで溶出される画分としてグリチルリチン酸を得ることができる。
カラムクロマトグラフィーにて溶出液として使用し得るアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール又はそれらの水溶液等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
さらに、カラムクロマトグラフィーにより得られたアルコール画分を、ODSを用いた逆相シリカゲルクロマトグラフィー、再結晶、液-液向流抽出、イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー等の任意の有機化合物精製手段を用いて精製してもよい。
このようにして得られるグリチルリチン酸を、常法により水酸化カリウム(KOH)等と反応させることで、グリチルリチン酸ジカリウムを得ることができる。また、当該グリチルリチン酸を、常法により酸(塩酸、硫酸等)の水溶液を用いて加水分解することでグリチルレチン酸を得て、当該グリチルレチン酸とステアリルアルコールとエステル化反応をさせることで、グリチルレチン酸ステアリルを得ることができる。
以上のようにして得られるオリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、グルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用を有しているため、それらの作用を利用してグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤及びKLK7 mRNA発現促進剤の有効成分として使用することができる。
また、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、上記作用を利用して角層剥離改善剤又は角層剥離正常化剤の有効成分として使用することができる。ここで、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物が有する角層剥離改善作用及び角層剥離正常化作用は、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用の少なくともいずれかに基づいて発揮されることが好ましい。ただし、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物が有する角層剥離改善作用及び角層剥離正常化作用は、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用の少なくともいずれかに基づいて発揮される角層剥離改善作用及び角層剥離正常化作用に限定されるものではない。
本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤又は角層剥離正常化剤は、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物のみからなるものであってもよいし、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物を製剤化したものであってもよい。
オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、他の組成物(例えば、皮膚化粧料等)に配合して使用することができるほか、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等として使用することができる。
なお、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、必要に応じて、グルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用又はKLK7 mRNA発現促進作用を有する他の天然抽出物を配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤おいて、オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリルとの混合物を有効成分として用いる場合、両者の配合比(質量基準)は、所望とするグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用、KLK7 mRNA発現促進作用、角層剥離改善作用又は角層剥離正常化作用が奏され得る限りにおいて特に制限されるものではない。グルタチオン産生促進剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。SPINK5 mRNA発現促進剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。KLK5 mRNA発現促進剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。KLK7 mRNA発現促進剤においては、例えば、3.5:1~15:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。角層剥離改善剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.5:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。角層剥離正常化剤においては、例えば、3.5:1~15:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。
また、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤おいて、オリーブ抽出物と、グリチルリチン酸ジカリウムとの混合物を有効成分として用いる場合、両者の配合比(質量基準)は、所望とするグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用、KLK7 mRNA発現促進作用、角層剥離改善作用又は角層剥離正常化作用が奏され得る限りにおいて特に制限されるものではない。グルタチオン産生促進剤においては、例えば、50:1~500:1の範囲内であればよく、75:1~300:1の範囲内であるのが好ましい。SPINK5 mRNA発現促進剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。KLK5 mRNA発現促進剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。KLK7 mRNA発現促進剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。角層剥離改善剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。角層剥離正常化剤においては、例えば、1:1~20:1の範囲内であればよく、3.75:1~15:1の範囲内であるのが好ましい。
さらに、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤おいて、オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの混合物を有効成分として用いる場合、これらの配合比(質量基準)は特に制限されるものではない。グルタチオン産生促進剤においては、例えば、オリーブ抽出物1質量部に対し、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウムの合計質量が0.001~1質量部であればよく、この場合において、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの配合比(質量基準)は、例えば、0.01:99.99~99.99:0.01の範囲内であればよい。SPINK5 mRNA発現促進剤においては、例えば、オリーブ抽出物1質量部に対し、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウムの合計質量が0.001~1質量部であればよく、この場合において、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの配合比(質量基準)は、例えば、0.01:99.99~99.99:0.01の範囲内であればよい。KLK5 mRNA発現促進剤においては、例えば、オリーブ抽出物1質量部に対し、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウムの合計質量が0.001~1質量部であればよく、この場合において、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの配合比(質量基準)は、例えば、0.01:99.99~99.99:0.01の範囲内であればよい。KLK7 mRNA発現促進剤においては、例えば、オリーブ抽出物1質量部に対し、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウムの合計質量が0.001~1質量部であればよく、この場合において、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの配合比(質量基準)は、例えば、0.01:99.99~99.99:0.01の範囲内であればよい。角層剥離改善剤においては、例えば、オリーブ抽出物1質量部に対し、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウムの合計質量が0.001~1質量部であればよく、この場合において、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの配合比(質量基準)は、例えば、0.01:99.99~99.99:0.01の範囲内であればよい。角層剥離正常化剤においては、例えば、オリーブ抽出物1質量部に対し、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウムの合計質量が0.001~1質量部であればよく、この場合において、グリチルレチン酸ステアリルと、グリチルリチン酸ジカリウムとの配合比(質量基準)は、例えば、0.01:99.99~99.99:0.01の範囲内であればよい。
本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤又は角層剥離正常化剤の投与方法としては、一般に経皮投与、経口投与等が挙げられるが、疾患の種類に応じて、その予防・治療等に好適な方法を適宜選択すればよい。また、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤又は角層剥離正常化剤の投与量も、疾患の種類、重症度、患者の個人差、投与方法、投与期間等によって適宜増減すればよい。
本実施形態のグルタチオン産生促進剤は、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの併用による顕著なグルタチオン産生促進作用を通じて、皮膚のシミ等の色素沈着、皮膚の老化、酸化ストレスが原因となって誘発される疾患群のほか、肝障害(アルコールの多飲、又は重金属や化学物質等の異物の摂取を一因とするもの)等の細胞内グルタチオン量の低下または欠乏が病態と関連することが知られている疾患等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本実施形態のグルタチオン産生促進剤は、これらの用途以外にもグルタチオン産生促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本実施形態のSPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤及びKLK7 mRNA発現促進剤は、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの併用による顕著なSPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用又はKLK7 mRNA発現促進作用を通じて、乾燥、紫外線、化学物質等の外的要因、及び酸化ストレスや加齢等の内的要因などによる角層剥離機能の異常を伴う皮膚症状(例えば、老人性乾皮症、フケ症、尋常性魚鱗癬、伴性遺伝性魚鱗癬、乾癬等)等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本実施形態のグルタチオン産生促進剤は、これらの用途以外にもSPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用又はKLK7 mRNA発現促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本実施形態の角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの併用による顕著なSPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用又はKLK7 mRNA発現促進作用を通じて、乾燥、紫外線、化学物質等の外的要因、及び酸化ストレスや加齢等の内的要因などによる角層剥離機能の異常を伴う皮膚症状(例えば、老人性乾皮症、フケ症、尋常性魚鱗癬、伴性遺伝性魚鱗癬、乾癬等)等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本実施形態の角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、これらの用途以外にもグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用又はKLK7 mRNA発現促進作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
また、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、優れたグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用を有するため、例えば、皮膚外用剤又は経口組成物に配合するのに好適である。この場合に、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物をそのまま配合してもよいし、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物から製剤化したグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤又は角層剥離正常化剤を配合してもよい。
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーローション、石鹸、ボディシャンプー等が挙げられる。
皮膚外用剤におけるオリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物の配合量は、皮膚外用剤の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、0.0001~10質量%であり、特に好適な配合率は、0.001~1質量%である。
経口組成物とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「経口組成物」は、経口的に摂取される一般食品、飼料、健康食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。本実施形態における経口組成物は、当該経口組成物又はその包装に、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物が有する好ましい作用を表示することのできる経口組成物であることが好ましく、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品又は医薬品であることが特に好ましい。
経口組成物におけるオリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる経口組成物の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1~1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象経口組成物が顆粒状、錠剤状又はカプセル状の場合、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物の添加量は、添加対象経口組成物に対して通常0.0001~10質量%であり、好ましくは0.001~1質量% である。
また、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、優れたグルタチオン産生促進作用、SPINK5 mRNA発現促進作用、KLK5 mRNA発現促進作用及びKLK7 mRNA発現促進作用を有するので、これらの作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
なお、本実施形態のグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、試験例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。なお、下記の試験例における試料として、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウム(いずれも丸善製薬社製)を使用した。
[製造例1]オリーブ抽出物の製造
オリーブの葉部の乾燥物100gに50容量%エタノール溶液1500mLを加え、還流抽出器を用いて80~90℃にて2時間抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、オリーブ抽出物(20g)を得た。
[試験例1]グルタチオン産生促進作用試験
上記製造例1にて得られたオリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及びグリチルリチン酸ジカリウム(いずれも丸善製薬社製)とについて、以下のようにしてグルタチオン産生促進作用を試験した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により回収した。回収した細胞を1.0×10cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、コラーゲンコートした48ウェルプレートに1ウェル当たり200μLずつ播種し、48時間培養した。培養終了後、KGMで溶解した試料(試料1-1~試料1-12,試料濃度は下記表1を参照)を各ウェルに200μL添加し、さらに24時間培養した。培養終了後、各ウェルから培地を抜き、300μLのPBS(-)にて洗浄後、150μLのM-PER(登録商標,PIERCE社製)を用いて細胞を溶解した。このうちの100μLを用いて総グルタチオンの定量を行った。すなわち、96ウェルプレートに溶解した細胞抽出液100μL、0.1mmol/Lのリン酸緩衝液50μL、2mmol/LのNADPH25μL及びグルタチオンレダクターゼ25μL(終濃度3.2unit/mL)を加え37℃で10分間加温した後、10mmol/Lの5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)25μLを加え、5分後までの波長412nmにおける吸光度を測定し、ΔOD/minを求めた。総グルタチオン濃度は酸化型グルタチオンを用いて作成した検量線をもとに算出した。得られた値は総タンパク量当たりのグルタチオン量に補正した後、下記式によりグルタチオン産生促進率(%)を算出した。
グルタチオン産生促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「被験試料添加時の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量」を表し、Bは「被験試料無添加時の細胞中における総タンパク量当たりのグルタチオン量」を表す。
上記試験の結果を表1に示す。
Figure 2024013900000001
表1に示すように、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリルとの混合物、オリーブ抽出物とグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、優れたグルタチオン産生促進作用を有することが確認された。
[試験例2]SPINK5 mRNA発現促進作用試験
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により回収した。回収した細胞を1.5×10cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、6ウェルプレートに1ウェル当たり2mLずつ播種し、37℃、5%CO下で一晩培養した。培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した試料(試料2-1~試料2-10,試料濃度は表2を参照)を各ウェルに2mL添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にて総RNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、SPINK5及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Time System III,タカラバイオ社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time,タカラバイオ社製)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(タカラバイオ社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。SPINK5 mRNAの発現量をGAPDH mRNAの発現量で補正し、補正値を算出した。
得られた補正値から、下記式によりSPINK5 mRNA発現促進率(%)を算出した。
SPINK5 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の補正値」を表し、Bは、「試料無添加時の補正値」を表す。
結果を表2に示す。
Figure 2024013900000002
表2に示すように、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリルとの混合物、オリーブ抽出物とグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、優れたSPINK5 mRNA発現促進作用を有することが確認された。
[試験例3]KLK5 mRNA発現促進作用試験
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により回収した。回収した細胞を1.5×10cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、6ウェルプレートに1ウェル当たり2mLずつ播種し、37℃、5%CO下で一晩培養した。培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した試料(試料3-1~試料3-9,試料濃度は表3を参照)を各ウェルに2mL添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にて総RNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、KLK5及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Time System III,タカラバイオ社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time,タカラバイオ社製)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(タカラバイオ社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。KLK5 mRNAの発現量をGAPDH mRNAの発現量で補正し、補正値を算出した。
得られた補正値から、下記式によりKLK5 mRNA発現促進率(%)を算出した。
KLK5 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の補正値」を表し、Bは、「試料無添加時の補正値」を表す。
結果を表3に示す。
Figure 2024013900000003
表3に示すように、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリルとの混合物、オリーブ抽出物とグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、優れたKLK5 mRNA発現促進作用を有することが確認された。
[試験例4]KLK7 mRNA発現促進作用試験
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖培地(KGM)を用いて培養した後、トリプシン処理により回収した。回収した細胞を1.5×10cells/mLの細胞密度になるようにKGMで希釈した後、6ウェルプレートに1ウェル当たり2mLずつ播種し、37℃、5%CO下で一晩培養した。培養後、増殖因子を添加していない培地(KBM)に交換した。24時間後に培養液を捨て、KBMで必要濃度に溶解した試料(試料4-1~試料4-11,試料濃度は表4を参照)を各ウェルに2mL添加し、37℃、5%CO下で24時間培養した。培養後、培養液を捨て、ISOGEN II(ニッポンジーン社製)にて総RNAを抽出し、波長260nmにおける吸光度からRNA量を計算し、200ng/μLになるように総RNAを調製した。
この総RNAを鋳型とし、KLK7及び内部標準であるGAPDHのmRNAの発現量を測定した。検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler Dice(登録商標) Real Time System III,タカラバイオ社製)を用いて、PrimeScriptTM RT Master Mix(Perfect Real Time,タカラバイオ社製)及びTB Green(登録商標) Fast qPCR Mix(タカラバイオ社製)による2ステップリアルタイムRT-PCR反応により行った。KLK7 mRNAの発現量をGAPDH mRNAの発現量で補正し、補正値を算出した。
得られた補正値から、下記式によりKLK7 mRNA発現促進率(%)を算出した。
KLK7 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
式中、Aは「試料添加時の補正値」を表し、Bは、「試料無添加時の補正値」を表す。
結果を表4に示す。
Figure 2024013900000004
表4に示すように、オリーブ抽出物とグリチルレチン酸ステアリルとの混合物、オリーブ抽出物とグリチルリチン酸ジカリウムとの混合物は、優れたKLK7 mRNA発現促進作用を有することが確認された。
本実施形態に係るグルタチオン産生促進剤、SPINK5 mRNA発現促進剤、KLK5 mRNA発現促進剤、KLK7 mRNA発現促進剤、角層剥離改善剤及び角層剥離正常化剤は、種々の皮膚症状、肝障害(アルコールの多飲、又は重金属や化学物質等の異物の摂取を一因とするもの)等の予防、治療又は改善等に大きく貢献することができる。

Claims (6)

  1. オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有することを特徴とするグルタチオン産生促進剤剤。
  2. オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有することを特徴とするSPINK5 mRNA発現促進剤。
  3. オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有することを特徴とするKLK5 mRNA発現促進剤。
  4. オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有することを特徴とするKLK7 mRNA発現促進剤。
  5. オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有することを特徴とする角層剥離改善剤。
  6. オリーブ抽出物と、グリチルレチン酸ステアリル及び/又はグリチルリチン酸ジカリウムとを有効成分として含有することを特徴とする角層剥離正常化剤。
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