JP2024000928A - シールリング - Google Patents

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Abstract

【課題】小径PPSシールリングであっても環状溝への組込み時の耐性を向上させたシールリングを提供する。【解決手段】シールリング1は、一箇所の合い口5を有し、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物の成形体であり、曲げ弾性率が10000MPa以下で、曲げ歪みが2.0%をこえ、合い口対向部5Fの両側のリング内周面3にリングの径方向厚みを薄くする薄肉部6を有し、この薄肉部の径方向厚みが、合い口対向部5Fの径方向厚みの50%~70%である。【選択図】図1

Description

本発明は、オートマチックトランスミッション(以下、ATと記す)や無段変速機(以下、CVTと記す)など、油圧作動油などの流体の流体圧を利用した機器において、該流体を封止するために使用されるシールリングに関する。
AT、CVTなどの機器では、作動油を密封するためのシールリングが要所に取り付けられている。例えば、ハウジングの軸孔に挿通される回転軸に設けられた対の離間した環状溝に取り付けられ、両環状溝間にある油路から供給される作動油を両シールリングの側面と内周面で受け、反対側の側面と外周面とで環状溝の側壁とハウジング内周面とをシールする。シールリングにおける各シール面は、環状溝の側壁、ハウジング内周面とそれぞれ摺動接触しつつ、両シールリング間の作動油の油圧を保持している。
シールリングを環状溝に組み付ける際は、シールリングの合い口を拡げることでシールリングの内径寸法を回転軸の外径寸法以上に拡径(拡張)する必要がある。シールリングを拡径すると、合い口に対向する位置に応力が集中する場合がある。
近年、機器の小型化に伴い、シールリングが小径化する傾向にある。小径シールリングに関し、例えば、特許文献1には、シールリングの内径部に薄肉の箇所を設けることで、小径リングを回転軸に組付ける時の拡径による不具合を抑制するシールリングが記載されている。
特許第4500007号公報
近年、限界PV値(周速(V)と面圧(P)の積)の低い使用箇所へ、耐摩耗性に優れるポリフェニレンサルファイド(以下、「PPS」と記す)樹脂製のシールリングの採用が増えている。例えば外径寸法がφ30mm以下の小径シールリングの場合、比較的柔軟(低弾性)な素材を用いても、外径寸法がφ30mmを超えるシールリングに比べて耐性が悪い。そのため、比較的高弾性な樹脂材料であるPPS樹脂からなる小径のシールリング(以下、小径PPSシールリングと言う)では、拡径による耐性をさらに向上させることが求められる。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、小径PPSシールリングであっても環状溝への組込み時の耐性を向上させたシールリングを提供することを目的とする。
本発明のシールリングは、一箇所の合い口を有するシールリングであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物の成形体であり、曲げ弾性率が10000MPa以下で、曲げ歪みが2.0%をこえるシールリングであり、上記合い口に対向する位置の両側のリング内周面側にリングの径方向厚みを薄くする薄肉部を有し、上記薄肉部の径方向厚みが、上記合い口に対向する位置の径方向厚みの50%~70%であることを特徴とする。ここで、上記合い口に対向する位置の両側の上記薄肉部同士は、相互に離れた領域に形成される。
上記シールリングは、曲げ弾性率が8500MPa以下で、曲げ歪みが2.5%以上であることを特徴とする。
上記シールリングは、外径がφ30mm以下であることを特徴とする。
上記シールリングは、射出成形体であり、射出成形時のゲート痕を、上記合い口に対向する位置に有することを特徴とする。
本発明のシールリングは、一箇所の合い口を有するシールリングであって、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物の成形体であり、曲げ弾性率が10000MPa以下で、曲げ歪みが2.0%をこえるシールリングであるので、靭性に優れる。また、合い口に対向する位置(以下、合い口対向部と言う)の両側のリング内周面側にリングの径方向厚みを薄くする薄肉部を有し、薄肉部の径方向厚みが、合い口対向部の径方向厚みの50%~70%であるので、リング拡径時に薄肉部へ応力が逃げやすい。これにより、小径PPSシールリングであっても、環状溝への組込み時の耐性を向上させることができる。
シールリングは、外径がφ30mm以下であるので、より小型の機器に適用できる。
シールリングは、射出成形体であり、射出成形時のゲート痕を、合い口対向部に有していても、リング拡径時に強度的に弱いゲート痕周辺へ力が集中しにくい。組込み時のリングの拡径によるゲート痕周辺の力の集中を抑制できる。また、成形バランスのよいシールリングが得られる。
本発明のシールリングの一例を示す平面図である。 図1のシールリングのA部分の拡大図である。 図1のシールリングの斜視図である。 組付け治具の側面図および治具通し試験の概略図である。 熱固定後のシールリングの形状を示す平面図である。
本発明のシールリングの一例を図1および図2に基づいて説明する。図1はシールリングの平面図であり、図2は図1のA部分の拡大図である。図1に示すシールリング1は、外径形状が真円状で、断面が略矩形の環状体である。リング外周面2とリング内周面3は、シールリング1の軸心方向に平行な面である。リング内周面3とリング側面4(両側面)との角部は、直線状、曲線状の面取りが設けられていてもよい。
シールリング1は、円周方向の両端部が相互に対向する一箇所の合い口5を有するカットタイプのPPS樹脂製リングであり、弾性変形により拡径して回転軸の環状溝に装着される。シールリング1は、外力を受けない自由状態でシール面(ハウジング内壁)とほぼ同じ外径寸法に設定されており、封止流体の圧力によってシール面に密着する。合い口5の形状は、ストレートカット形状、アングルカット形状などにすることも可能であるが、封止流体のシール性に優れることから、図1に示す複合ステップカット形状を採用することが好ましい。
シールリング1は、リングの両側面4の内径側端部に、リング周方向に沿ったV字状の凹部4aが複数設けられている。シールリング1は、リング側面4の一方が環状溝の側壁面との摺動面となり、リング側面4(摺動面)に形成されたV字状の凹部4aは該側壁面との非接触部となる。凹部4aを設けることで、流体が該凹部を介して摺動面に適度に流出しやすくなる。詳細には、隣り合う凹部4a同士の間の摺動面Xと凹部4aとの境界部は連続的な形状であり、凹部4aの外径側の摺動面Yと凹部4aとの境界部は非連続な形状(段差)であるため、流体が摺動面Xには流出しやすく、摺動面Yは摺動面Xと比較すると流出しにくい。摺動面XやYに流体が流出することで、該摺動面で油膜等の流体膜が形成され、回転トルクや摩耗の低減が図れる。また、摺動面Yへの流出を抑制することで、低リーク性に繋がる。この凹部は、必要に応じて、リングの一方の側面、または、両方の側面に形成できる。なお、凹部の形状は上記形状以外でもよい。
シールリング1は、リング内周面側にリングの径方向厚み(以下、単に「厚み」ともいう)を薄くする薄肉部6を複数有する。薄肉部6は、シールリング1の外径を保持しつつ径方向厚みを薄肉化して形成される。薄肉部6以外の径方向厚みは薄肉部6よりも厚みが大きい非薄肉部7である。シールリング1の合い口対向部5Fは非薄肉部7であり、その周方向両側に薄肉部6が形成される。非薄肉部7は周方向で隣り合う薄肉部6と薄肉部6の間に形成され、薄肉部6と同数または同程度の数が形成される。薄肉部6と非薄肉部7は、リング周方向に沿って交互に設けられている。なお、薄肉部6および非薄肉部7の数は、図1の構成に限定されない。図1において、非薄肉部7の段差部71の側面はリング側面4よりも低い位置(幅が薄い)に形成されているが、リング側面4の延長面でもよい。非薄肉部7の軸方向の幅を薄く形成した場合、環状溝の側壁面に当接しない構成になっている。また、ここをシールリング1の射出成形時の突出し面としてもよい。図1のシールリング1では、薄肉部6の厚みと非薄肉部7の厚みは、それぞれ一定となっている。
なお、薄肉部6の厚みと非薄肉部7の厚みは、それぞれ一定でなくてもよい。本明細書において、一つの薄肉部6における厚みが一定でない場合、薄肉部6の厚みは、薄肉部6の厚みが最も小さい領域の厚みとする。一つの非薄肉部7における厚みが一定でない場合、非薄肉部7の厚みは、非薄肉部7の厚みが最も大きい領域の厚みとする。なお、シールリング1の外径中心点と非薄肉部7の内径中心点は同じである。
上述のように、シールリング1は外径を保持しながら部分的に厚みが薄肉化される、すなわち、シールリング1の内径のみを拡大して厚みを部分的に薄くするため、ハウジング内周面との密着性を維持でき、シール性が低下しにくい。また、薄肉部に発生する歪量が減少するので、拡径による耐性を向上させることができる。
図2に示すように、本発明のシールリングは、薄肉部6の厚みBが、非薄肉部7の厚みCの50%~70%の厚みである。これらの厚みの比率を所定の数値範囲にすることで、後述の実施例に示すように、拡径による耐性を向上させることができる。また、薄肉部6の厚みBは、非薄肉部7の厚みCの55%~70%であることが好ましく、55%~65%であることがより好ましい。また、薄肉部6の厚みBは、具体的には、0.9mm~2.3mmである。
非薄肉部7において薄肉部6のリング内周面3を延長した仮想曲面よりも内周側に位置する段差部71について説明する。段差部71は、周方向の一端部に内周側に配置される上部湾曲面71aと外周側に配置される下部湾曲面71bが形成されており、他端部にも同様に上部湾曲面71aと下部湾曲面71bが形成されている。各端部において、上部湾曲面71aと下部湾曲面71bの間は平面を介して繋がっている。なお、上部湾曲面7a1と下部湾曲面71bは平面を介さず直接繋がっていてもよい。また、段差部71の一端部および他端部は、湾曲面でなく平面のみによって形成されていてもよい。
段差部の軸方向の幅について図3に基づいて説明する。図3(a)は図1に示したシールリングの斜視図であり、図3(b)は図3(a)のD部分の拡大図である。図3(b)に示すように、非薄肉部7における段差部71の側面71cは、リング側面4よりも深さEだけ低く形成された凹面とされている。そして、段差部71の両側面がともに、リング側面4よりも深さEだけ低く形成されているため、段差部71の幅は薄肉部6の幅よりも、2E小さい。なお、段差部71の2つの側面71c、71cは、リング側面4からそれぞれ異なる深さとなるように形成されてもよく、一方の側面だけを凹面とし他方の側面はリング側面4の延長面でもよい。また、両側面に凹面を形成しなくてもよい。
本発明のシールリングを形成するPPS樹脂組成物は、曲げ弾性率が10000MPa以下であり、かつ、曲げ歪みが2.0%をこえるものである。このような曲げ特性を有することで、シールリングの組込み時に弾性変形し、耐性を向上させることができる。曲げ弾性率は、耐性の観点から8500MPa以下であることが好ましく、7000MPa以下であることがより好ましく、5500MPa以下であることがさらに好ましい。一方、曲げ弾性率は、3500MPa以上であることが好ましい。
また、曲げ歪みは、耐性の観点から、2.5%以上であることが好ましく、3.0%以上であることがより好ましく、3.5%以上であることがさらに好ましい。一方、曲げ歪みは、5.0%以下であることが好ましい。
曲げ弾性率および曲げ歪みは、ASTM D790準拠の試験片(127mm×12.7mm×厚さ3.1mm)を用いて、支点間距離50mm、クロスヘッド速度1.3mm/minとした3点曲げ試験により測定できる。なお、本明細書において、曲げ弾性率および曲げ歪みは、室温(23℃)下での試験により得られる値を意味する。
ここで、例えば外径φ30mm以下の小径のシールリングが外径φ30mmを超えるシールリングよりも拡径時の耐性が低い理由について考察する。シールリングの外径が、φ30mm以下の小径である場合、シールリング組込み時の拡径量の外径寸法に対する比率は、外径φ30mmを超えるシールリングよりも大きくなりやすいと考えられる。そのため、小径のシールリングは、拡径時に発生する歪量が大きくなりやすく、拡径時の耐性が低いと考えられる。例えばφ50mm程度のシールリングであれば拡径率は110%以下であり、φ40mm程度のシールリングであれば拡径率は115%以下であるが、φ30mm以下のシールリングであれば拡径率は120%以上になり、拡径時の耐性が低くなる。
本発明のシールリングは、薄肉部の厚みが、非薄肉部の厚みの70%以下の場合、シールリングの側面にかかる面圧が過大にならず、異常摩耗が発生しにくい。また、所定のシール面積を確保でき、シール性に優れる(リーク小)。一方、薄肉部の厚みが、非薄肉部の厚みの50%以上の場合、薄肉部へ応力が逃げやすく、薄肉部では歪量が大きくなりにくい。これにより、本発明のシールリングは、拡径率が120%以上になる小径PPSシールリングであっても、回転軸等の環状溝への組込み時の耐性が向上する。
シールリングの外径寸法は自由に設定でき、小型油圧機器等への適用の観点から、φ30mm以下であることが好ましく、φ25mm以下であることがより好ましく、φ20mm以下であることがさらに好ましい。耐性を鑑みると、シールリングの外径はφ15mm~30mmであることが好ましく、φ15mm~25mmであることがより好ましく、φ15mm~20mmであることがさらに好ましい。本発明のシールリングは、薄肉部を設けることにより、従来のシールリングに用いられているPPS樹脂組成物の成形体では適用困難な、より小型の油圧機器等に適用できる。
本発明のシールリングは、樹脂組成物の射出成形体であり、ゲート痕8は射出成形時に溶融樹脂が注入されるゲートの位置に形成される(図1参照)。ゲート痕の位置は、特に限定されないが、シール性の確保の観点および後加工が不要になることからリング内周側に形成されることが好ましい。さらに、図1に示すように、射出成形における流動バランスの面から、リング内周面3においてシールリング1の展開長さの中央部に有することが好ましい。具体的には、ゲート痕8が合い口対向部5Fの内周面に形成される。合い口対向部5Fは非薄肉部7であるため、耐性の観点からも好ましい。
このように、シールリングの展開長さの中央部の非薄肉部にゲート痕を有することで、リング拡径時に強度的に弱いゲート痕周辺へ力が集中しにくくなる。これにより、組込み時のリングの拡径によって特にゲート痕周辺への力の集中を防止できる。
なお、ゲート痕8をシールリング1の展開長さの中央部以外の位置に有してもよい。また、ゲート痕8を薄肉部6に有してもよい。
本発明のシールリングは、PPS樹脂を主成分とするPPS樹脂組成物の成形体であり、PPS樹脂以外の成分を含んでもよい。PPS樹脂は、ベンゼン環がパラの位置で、硫黄結合によって連結された下記式(1)に示すポリマー構造を持つ結晶性の熱可塑性樹脂である。PPS樹脂は、融点が約280℃であり、耐薬品性にも優れるため、シールする作動油の油温が高くなる場合でも使用できる。また、PPS樹脂は、低分子量のものを酸化架橋させて得られる架橋PPS樹脂や半架橋PPS樹脂、架橋構造をとらない直鎖状PPS樹脂などがあるが、本発明ではこれらの分子構造や分子量に限定されることなく使用できる。環状溝へ組み込む際に拡径させることから、靭性に優れる直鎖状PPS樹脂を用いることが好ましい。本発明で使用できるPPS樹脂としては、例えば、MA-520やT-4AG(DIC社商品名)が挙げられる。
Figure 2024000928000002
PPS樹脂組成物の樹脂成分は、PPS樹脂単独でも、その他の樹脂を含んでもよい。PPS樹脂組成物は、例えば、エラストマーを含むことができる。エラストマーとしては、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーのいずれでもよいが、PPS樹脂の靱性をより高くできる熱可塑性エラストマーが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどが挙げられる。なお、エラストマーの分解開始温度がPPS樹脂の成形温度(280~320℃)以上であることが好ましい。ただし、シールリング成形時の低分子量成分の分解は許容するものとする。
必要に応じてPPS樹脂組成物に、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合できる。また、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化タングステン、二硫化モリブデン、窒化ホウ素などの固体潤滑剤、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材、炭素粉末、酸化鉄、酸化チタンなどの着色剤なども配合できる。これらは単独で配合することも、組み合わせて配合することもできる。
本発明のシールリングの曲げ弾性率および曲げ歪みは、PPS樹脂の種類や配合量、PPS樹脂に配合される成分(エラストマーや繊維状補強材など)の種類や配合量などによって適宜設定される。
以上の諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではない。例えば、PPS樹脂単独を使用し、二軸押出し機などで炭素繊維、ガラス繊維などをサイドフィードして混練してもよい。また、粉末原料のみをヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得てもよい。成形方法は、複雑な合い口形状やリング側面への凹部の形成が容易であることから、射出成形を採用することが好ましい。なお、成形品に対して物性改善のためにアニール処理などの処理を採用してもよい。
実施例および比較例に用いた樹脂組成物の原材料を一括して以下に示す。
(1)PPS樹脂〔PPS〕
(2)ガラス繊維〔GF〕
以上の原材料を用いて、二軸押出し機によって溶融混練し、射出成形用ペレットを作製した。なお、実施例1~3、比較例1、2のガラス繊維は30質量%、比較例3のガラス繊維は40質量%の配合である。
(1)曲げ試験
上記ペレットを用いてASTM D790準拠の試験片(127mm×12.7mm×厚さ3.1mm)を作成し、これを用いて支点間距離50mm、クロスヘッド速度1.3mm/minとした3点曲げ試験を行い、曲げ弾性率および曲げ歪みを測定した。各試験片の原料組成と、曲げ弾性率および曲げ歪みを表1に示す。
Figure 2024000928000003
(2)組付け治具通し試験(シールリング拡径試験)
図4を用いて、組付け治具通し試験について説明する。図4(a)は組付け治具(テーパー治具)の側面図であり、図4(b)はシールリングの組付け治具通し試験の概略図である。
試験に用いたテーパー治具12の寸法は以下のとおりであり、シールリングの内径寸法が1.25倍(拡径率125%)になるように押し拡げられる(図4(a)参照)。
L:147.0mm
Dl:27.6mm
Ds:21.0mm
上記ペレットを用いて、実施例、比較例に使用するシールリングを射出成形により製造し、熱固定により外径寸法をφ26mmに整えた。熱固定後のシールリングの形状は、図5に示した形状で、外径φ26mm×内径φ22mm×幅1.9mmであり、内周面に径方向長さ0.3mm、深さ0.3mm(両側面)の段差部を有し、合い口は複合ステップカットである。このシールリングの内周面をフライス盤を用いて薄肉部の追加工を行い、各実施例、比較例それぞれ100個ずつ製造した。なお、追加工後のシールリングの形状および非薄肉部の位置は図1相当である。テーパー治具12を用いて、図4(b)に示すように、各実施例、比較例それぞれ100個のシールリング11をテーパー治具12へ速度1mm/sで挿入し、耐性の有無と耐性の有無数を評価した。試験結果および薄肉部の厚みの非薄肉部の厚みに対する比率(薄肉部の比率)を表2に示す。
Figure 2024000928000004
表2に示したとおり、薄肉部の比率(薄肉部の厚み/非薄肉部の厚み×100)が50%~70%である実施例1~3は、曲げ弾性率8300MPa、曲げ歪み2.5%で、耐性の無いサンプル数は0個であった。一方、薄肉部の比率が70%よりも大きい比較例1および比較例2はともに、実施例1~3と同様に曲げ弾性率8300MPa、曲げ歪み2.5%であったものの、耐性の無いサンプル数はそれぞれ、4個、9個であった。また、比較例3は、実施例1と同様に、薄肉部の比率が50%であったものの、曲げ弾性率11600MPa、曲げ歪み2.0%であり、耐性の無いサンプル数は7個であった。
表2の結果より、曲げ弾性率8300MPa、曲げ歪み2.5%で、薄肉部の比率が50%~70%の場合、小径PPSシールリングであっても、環状溝への組込み時に耐性があることが分かった。また、曲げ弾性率8300MPa、曲げ歪み2.5%であっても、薄肉部の比率が70%よりも大きい場合、小径PPSシールリングは、環状溝への組込み時に耐性が無いことが分かった。このように、シールリングにおいて曲げ特性および薄肉部の比率を好適な範囲で組み合わせることで、環状溝への組込み時の耐性を向上させることができる。
本発明のシールリングは、小径PPSシールリングであっても環状溝への組込み時の耐性を向上させているため、特に、小型の油圧機器等の環状通路で作動油を密閉するシールリングとして好適に利用できる。また、油圧機器に限らず合い口を有し環状溝に拡径して取り付けるシールリングに好適に利用できる。
1、11 シールリング
2 リング外周面
3 リング内周面
4 リング側面
4a 凹部
5 合い口
5F 対向部(合い口対向部)
6 薄肉部
7 非薄肉部
71 段差部
71a 上部湾曲面
71b 下部湾曲面
71c 側面
8 ゲート痕
12 テーパー治具

Claims (4)

  1. 一箇所の合い口を有するシールリングであって、
    前記シールリングは、ポリフェニレンサルファイド樹脂組成物の成形体であり、曲げ弾性率が10000MPa以下で、曲げ歪みが2.0%をこえるシールリングであり、前記合い口に対向する位置から両側のそれぞれ離れた領域においてリング内周面側にリングの径方向厚みを薄くする薄肉部を有し、
    前記薄肉部の径方向厚みが、前記合い口に対向する位置の径方向厚みの50%~70%であることを特徴とするシールリング。
  2. 前記シールリングは、曲げ弾性率が8500MPa以下で、曲げ歪みが2.5%以上であることを特徴とする請求項1記載のシールリング。
  3. 前記シールリングは、外径がφ30mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシールリング。
  4. 前記シールリングは、射出成形体であり、射出成形時のゲート痕を、前記合い口に対向する位置に有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のシールリング。
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