JP2023534443A - エステル系組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、複数の反応器が直列連結された反応ユニット中の各反応器の工程変数として反応器の圧力を最適化することで、製造収率を高めたエステル系組成物の連続製造方法に関する。

Description

本出願は、2020年9月24日付けの韓国特許出願第10-2020-0124125号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
本発明は、複数の直列連結された反応器の工程変数を最適化してエステル系組成物の製造効率を高めた製造方法に関する。
フタレート系可塑剤は、20世紀まで世界可塑剤市場の92%を占めており(Mustafizur Rahman and Christopher S.Brazel 「The plasticizer market:an assessment of traditional plasticizers and research trends to meet new challenges」 Progress in Polymer Science 2004、29、1223-1248参照)、主にポリ塩化ビニル(以下、PVCという)に柔軟性、耐久性、耐寒性などを付与し、溶融時に粘度を下げて加工性を改善するために用いられる添加物であって、PVCに多様な含量で投入され、硬いパイプのような硬質製品から、柔らかくてよく伸長する食品包装材および血液バッグ、床材などに使用可能な軟質製品に至るまで、如何なる材料よりも実生活と密接な関わりを有しており、人体との直接的な接触が避けられない用途として広く用いられている。
しかしながら、フタレート系可塑剤のPVCとの相溶性および優れた軟質付与性にもかかわらず、近年、フタレート系可塑剤が含有されたPVC製品の実生活での使用時、製品の外部に少しずつ流出され、内分泌系障害(環境ホルモン)推定物質および重金属レベルの発癌物質として作用し得るという有害性の問題が提起されている(N.R.Janjua et al.「Systemic Uptake of Diethyl Phthalate、Dibutyl Phthalate、and Butyl Paraben Following Whole-body Topical Application and Reproductive and Thyroid Hormone Levels in Humans」 Environmental Science and Technology 2008、42、7522-7527参照)。特に、1960年代、米国で、フタレート系可塑剤のうちその使用量が最も多いジエチルヘキシルフタレート(di-(2-ethylhexyl)phthalate、DEHP)がPVC製品の外部に流出するという報告が発表されて以来、1990年代に入ってからは環境ホルモンに対する関心がさらに増し、フタレート系可塑剤の人体有害性に対する多様な研究をはじめとし、汎世界的な環境規制がなされ始めた。
そこで、多くの研究者らは、フタレート系可塑剤の流出による環境ホルモンの問題および環境規制に対応するために、フタレート系可塑剤の製造時に用いられる無水フタル酸が排除された新しい非フタレート系の代替可塑剤を開発するか、またはフタレート系可塑剤の流出を抑制して人体危害性を顕著に減らすことはもちろん、環境基準にも適合し得る流出抑制技術を開発するために研究を進めている。
一方、非フタレート系可塑剤として、テレフタレート系可塑剤は、フタレート系可塑剤と物性的な面で同等レベルであるだけでなく、環境的問題から自由な物質として脚光を浴びている。種々のテレフタレート系可塑剤が開発されている状態であり、物性に優れたテレフタレート系可塑剤を開発する研究はもちろん、かかるテレフタレート系可塑剤を製造するための設備に関する研究も活発に行われており、工程設計の面でさらに効率的且つ経済的であり、簡素な工程の設計が求められている。
大韓民国登録特許第10-1354141号公報
Mustafizur Rahman and Christopher S.Brazel 「The plasticizer market:an assessment of traditional plasticizers and research trends to meet new challenges」 Progress in Polymer Science 2004、29、1223-1248 N.R.Janjua et al.「Systemic Uptake of Diethyl Phthalate、Dibutyl Phthalate、and Butyl Paraben Following Whole-body Topical Application and Reproductive and Thyroid Hormone Levels in Humans」 Environmental Science and Technology 2007、41、5564-5570
本発明は、効率的なエステル系組成物の製造方法を提供しようとするためのものであって、複数の反応器を直列に配置し、各反応器の工程変数を最適化することで、効率的および連続的にエステル系組成物が製造される方法を提供しようとする。
上記の課題を解決するために、本発明は、エステル系組成物の製造方法を提供する。
(1)本発明は、多価カルボン酸およびアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上をミキサーに投入して反応混合物を形成するステップ(S1)と、第1反応器から第N反応器までの総N個の反応器が直列に連結された反応ユニットに前記反応混合物を連続的に投入して反応生成物が連続的に製造されるステップ(S2)と、を含み、下記式1および2を満たす、エステル系組成物の製造方法を提供する。
[式1]
n1≦Pn1-1
[式2]
>P
前記式1および2中、
は第x反応器の圧力であり、
前記n1は2~Nの整数であり、
前記Nは3以上の整数である。
(2)本発明は、前記S2ステップは、下記式3をさらに満たすことを特徴とする、前記(1)に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
[式3]
≦En1
前記式3中、
=[{第x反応器に投入されるモノアルコールのモル数-(c×第x反応器に投入される多価カルボン酸のモル数)}/(c×第1反応器に投入される多価カルボン酸のモル数)]×100%
c=多価カルボン酸の1つの分子に含まれるカルボン酸基の数であり、
前記n1およびNは先に定義されたとおりである。
(3)本発明は、前記S2ステップは、下記式4をさらに満たすことを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
[式4]
≦T≦Tn1
前記式4中、
はミキサーの温度であり、
は第x反応器の温度であり、
前記n1およびNは先に定義されたとおりである。
(4)本発明は、前記S1ステップとS2ステップとの間に反応混合物に触媒を添加するステップ(S1-1)、前記S1ステップ以前に多価カルボン酸またはアルコールに触媒を添加するステップ(S1-2)、および前記S2ステップの第1反応器に触媒を添加するステップ(S2a)からなる群から選択された1つ以上のステップをさらに含む、前記(1)から(3)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(5)本発明は、前記S2ステップの第2反応器~第N反応器の中から選択された1つ以上の反応器に触媒を添加するステップ(S2b)をさらに含む、前記(1)から(4)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(6)本発明は、前記触媒は、テトラアルキルチタネートである、前記(1)から(5)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(7)本発明は、Pは0.3barg~1.0bargであり、Pは0barg~0.5bargである、前記(1)から(6)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(8)本発明は、Eは0~100%であり、Eは0~200%である、前記(1)から(7)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(9)本発明は、Tは20~200℃であり、Tは150~230℃であり、Tは180~250℃である、前記(1)から(8)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(10)本発明は、前記Nは3~5の整数である、前記(1)から(9)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(11)本発明は、反応生成物が連続的に分離ユニットに移動して未反応アルコールが除去されるステップ(S3)と、前記分離ユニットで除去された未反応アルコールを再び反応ユニットの反応器の中から選択される1つ以上の反応器に投入するステップ(S4)と、をさらに含む、前記(1)から(10)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(12)本発明は、未反応アルコールが除去された反応生成物にアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上を投入してトランス-エステル化反応させるステップ(S5)をさらに含み、前記S5ステップで投入されるアルコールは、S1ステップで投入されるアルコールとは異なる、前記(1)から(11)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(13)本発明は、前記多価カルボン酸が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、およびテトラカルボン酸からなる群から選択される1種以上である、前記(1)から(12)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
(14)本発明は、前記ジカルボン酸が、炭素数2~10の直鎖状ジカルボン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの無水和物、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であり、前記トリカルボン酸は、クエン酸、トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、これらの無水和物、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であり、前記テトラカルボン酸は、ベンゼンテトラカルボン酸、フランテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、これらの無水和物、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上である、前記(1)から(13)の何れか一項に記載のエステル系組成物の製造方法を提供する。
本発明の製造方法は、直列配置された複数の反応器を連続的に利用するように工程を設計し、直列配置された各反応器の工程変数、具体的には圧力を最適化することで、効率的にエステル系組成物が製造されるようにすることができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の説明および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
本発明の製造方法において、多価カルボン酸は、カルボン酸基を2個以上有する化合物を称し、例えば、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはテトラカルボン酸を意味し得る。本発明で用いられる多価カルボン酸は、2~5個のカルボン酸基を有するものであるか、2~4個のカルボン酸基を有するものであるか、または2~3個のカルボン酸基を有するものであってもよい。多価カルボン酸が過度に多い数のカルボン酸基を有する場合には、多価カルボン酸自体の高い分子量により本発明の製造方法や製造システムに適用するのが円滑でないことがある。前記多価カルボン酸は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはテトラカルボン酸であることが特に好ましく、ジカルボン酸の場合は、炭素数2~10の直鎖状ジカルボン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上であってもよく、トリカルボン酸の場合は、クエン酸、無水トリメリット酸、およびシクロヘキサントリカルボン酸からなる群から選択される1種以上であってもよく、テトラカルボン酸の場合は、ベンゼンテトラカルボン酸、フランテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、およびテトラヒドロフランテトラカルボン酸からなる群から選択される1種以上であってもよい。また、前記多価カルボン酸は、それ自体だけでなく、その無水和物または誘導体を含んでもよい。
本発明の製造方法において、アルキル炭素数が3~12のモノアルコールは、直鎖状もしくは分岐鎖状のプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、およびドデカノールからなる群から選択される1種以上であることが好ましく、より好ましくは、炭素数4~10のアルコールのうち1つ以上であってもよい。また、前記アルコールは、単一種類のアルコールであるか、または同一の炭素数の異性体を含む混合物の形態であってもよい。例えば、前記アルコールがアルキル炭素数3のアルコールである場合、前記アルコールは、1-プロパノールまたは2-プロパノールの1種類であるか、または1-プロパノールおよび2-プロパノールを一定の割合で含む混合物の形態であってもよい。前記アルコールが同一の炭素数の異性体を含む混合物の形態である場合、各異性体間の相対的な量は特に制限されない。一方、本発明で用いられるアルコールにおいて、「モノ」は、ヒドロキシ基がアルコールの1分子内に1個存在することを意味する。
エステル系組成物の製造方法
本発明は、多価カルボン酸およびアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上をミキサーに投入して反応混合物を形成するステップ(S1)と、第1反応器から第N反応器までの総N個の反応器が直列に連結された反応ユニットに前記反応混合物を連続的に投入して反応生成物が連続的に製造されるステップ(S2)と、を含み、下記式1および2を満たす、エステル系組成物の製造方法を提供する。
[式1]
n1≦Pn1-1
[式2]
>P
前記式1および2中、
は第x反応器の圧力であり、
前記n1は2~Nの整数であり、
前記Nは3以上の整数である。
以下では、本発明の製造方法に含まれる各ステップについてさらに詳しく説明する。
混合ステップ(S1)
本発明の製造方法は、多価カルボン酸およびアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上をミキサーに投入して反応混合物を形成するステップ(S1)を含む。
具体的に、前記反応混合物を形成するステップ(S1)は、多価カルボン酸およびアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上をミキサーで均一に混合するステップである。本ステップは、反応原料に該当する多価カルボン酸および炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上を反応器に投入する以前に、多価カルボン酸および炭素数3~12のモノアルコールの1種以上をミキサーで予め均一に混合することで、前記原料を予め混合せずに反応器に直接投入する場合に発生し得る問題、例えば、反応器内部の位置に応じて転換率が異なるなどの不均一反応の問題を解決することができる。
一方、エステル化反応においては、理論上、カルボキシル基1モルに対してヒドロキシ基1モルのモル比率で反応し、多価カルボン酸が、ジカルボン酸である場合には1:2のモル比率で、トリカルボン酸である場合には1:3のモル比率で反応する。これにより、投入される原料として多価カルボン酸とモノアルコールの理論投入量は、2価~4価のカルボン酸を基準として1:2~1:4のモル比であってもよい。
ただし、このモル比率は、反応に必要な最小量を満たす範囲であり、反応の転換率の達成および最小限の滞留時間を制御するために、実際に投入されるアルコールの量は、前記最小量の範囲を超過してもよい。より具体的には、前記モノアルコールは、ミキサーに投入される量を基準として、多価カルボン酸当量に対して20モル%~100モル%超過投入されてもよい。本発明において、モノアルコールが多価カルボン酸当量に対して超過投入されるとは、多価カルボン酸の全量を反応させるために必要なモノアルコールの量、すなわち、当量に対してモノアルコールが超過投入されることを意味する。さらに具体的に、例えば、モノアルコールが多価カルボン酸当量に対して60モル%超過投入されるとは、モノアルコールが当量の160モル%で投入されることを意味する。本発明において、超過投入されるモノアルコールの量は、多価カルボン酸当量に対して20モル%以上、30モル%以上、40モル%以上、または50モル%以上であってもよく、100モル%以下、90モル%以下、80モル%以下、または70モル%以下であってもよい。モノアルコールの超過投入量が上述した範囲内である場合、後述する式1および2による圧力制御に応じた効果が極大化することができる。特に具体的には、本発明の製造方法を適用するにおいて、超過投入されるモノアルコールの量が多価カルボン酸当量に対して20モル%~60モル%である場合には、エネルギー使用量の改善を極大化することができ、40モル%~100モル%である場合には、生産性の改善もさらに極大化することができる。一方、上記の説明において、モノアルコールの超過投入量は、後述するE値と同一である。
また、前記モノアルコールは、過量投入されるため、本S1ステップにおいてミキサーに投入されること以外には、反応途中にも反応器の内部に直接に追加投入されてもよい。これに対しては、後述するS2ステップにおいてさらに詳しく説明する。
反応ステップ(S2)
本発明のエステル系組成物の製造方法は、N個の反応器が直列連結された反応ユニットに反応混合物を連続的に投入して反応を行うことで、反応ユニットから連続的に反応生成物が製造されるステップ(S2)を含む。
本発明においては、複数の直列連結された反応器を用いてエステル化反応を行う。1個の反応器ではなく複数の反応器が直列に連結された反応ユニットを用いる場合、1個の反応器を用いる場合よりは大きさの小さい反応器を用いることで、工程の空間設計が容易であり、設計費用を下げることができ、反応原料が直列に連結された複数の反応器を連続的に経ることになるため、各反応器ごとの工程変数を独立に調節して全体工程の最適化が可能であって、製造工程の効率性を極大化することができる。
また、本発明の製造方法のうち前記S2ステップは、下記式1および2を満たしてもよい。
[式1]
n1≦Pn1-1
[式2]
>P
前記式1および2中、
は第x反応器の圧力であり、
前記n1は2~Nの整数であり、
前記Nは3以上の整数である。
本発明の発明者は、前記S2ステップにおいて各反応器の圧力を前記式1および2のように調節することで、連続的なエステル系組成物の製造工程の最適化が可能であることを見出し、特に上述した式を満たす場合、無駄になる反応原料を最小化しながらも、製造されるエステル系組成物の量を極大化することができ、単位時間当たりに製造される組成物の量も極大化が可能であることを確認した。
より具体的に、エステル化反応が行われる反応温度はモノアルコールの沸点以上の温度であって、反応が行われるにつれて、モノアルコールの一部は反応に参加せずに気化する量が存在するとともに、反応副産物として水が発生し、水はモノアルコールとともに共沸をなして反応器の上部に還流される。かかる還流過程はエステル化反応中に必然的に発生し、それをどのように制御するかに応じて反応生産性およびエネルギー効率性に多大な影響を及ぼし得る。
このような反応環境において、反応前期に圧力を高めて加圧下でエステル化反応を行う場合には、気化するアルコールを或る程度反応器内の反応が起こるサイトに滞留するようにすることができ、これにより反応速度が速くなることができ、還流量が減ってエネルギー効率性を向上させることができる。したがって、本発明においては、第1反応器の圧力を最も高く、最後の第N反応器の圧力を最も低く設定し、前段反応器から後段反応器に行くほど、圧力が低くなるか、または同一に維持されるようにすることで、前述した問題を解決した。
また、本発明の一実施形態によると、第1反応器の圧力を高めて加圧下で反応を行うが、Pを0.3barg~1.0bargに合わせる場合には、反応初期に発生するアルコールの気化を最大限抑制し、反応前期には反応器内に存在する水の量が少ないため、前述した問題がほぼ発生しない。
しかしながら、Pを0.3barg未満に設定すると、モノアルコールの還流を抑制する効果がほぼないため、相当の量のアルコールが気化して還流循環をすることになり、これは反応器から凝縮器および層分離器を循環しつつエネルギーを多量消費するという問題をもたらし、さらには、かかる還流循環により反応器内に存在することで、反応に参加すべきアルコールの絶対量の損失が発生して反応性を低下させ得る。これを挽回するためのアルコールの追加投入は、エネルギーの追加損失をもたらして悪循環が持続するという問題が発生し得る。
また、Pが1.0bargを超過するように設定すると、還流が最大限抑制され、アルコールが反応器に存在する量は多くなるが、それと同時に反応生成物として発生する生成水も多くなることにより、逆反応を誘導して一定レベルで可逆反応の状態に達することになり、そこで、正反応速度が顕著に低下するという問題を引き起こし得る。上記のような問題を防止し、反応速度の改善およびエネルギー効率性の向上の面で、Pは、0.3barg~1.0bargに制御されてもよく、好ましくは0.4~1.0bargに、特に好ましくは0.4~0.8bargに制御されてもよい。
一方、上記のような反応器内の加圧制御は、反応が進行するほど、加圧程度が弱くなるか、または加圧が完全に解除される必要がある。反応過程中、加圧下でのみ反応を行う場合には、反応副産物である水が反応器内に滞留する時間が長くなり、水が除去されなければ正反応方向に反応がよく進行しないことがあるため、反応速度が低下し得る。また、触媒は水に敏感であるため、触媒が失活するという問題が発生し得る。このように、エステル化反応において反応圧力を高く制御することは、反応を改善する一方向に流れず、改善する部分と悪化する部分とが何れも共存することになる。
これにより、反応の進行度を考慮し、前述した加圧制御の利点および問題を考慮して、第2反応器を含む以後の反応器においては、前段反応器と比べて圧力を下げる減圧を行うか、または加圧を完全に解除する操作を行ってもよく、かかる減圧または加圧解除は、第2反応器を含むその以後の反応器で行われてもよい。
例えば、総4個の反応器を介して反応を行う場合には、減圧または加圧解除が第2反応器、第3反応器、または第4反応器で行われてもよく、より具体的には、第2反応器でのみ減圧を行う場合、反応器内の圧力は、第1反応器で最も高く、第2反応器~第4反応器で同一に維持されるようにしてもよい。一方、第2反応器および第3反応器の何れも減圧を行う場合であれば、第1反応器の圧力が最も高く、第2反応器の圧力がその次に高く、第3反応器および第4反応器の圧力は同一であってもよい。また、第4反応器でのみ加圧解除を行う場合であれば、第1反応器~第3反応器においては圧力が何れも同一であり、第4反応器の圧力だけが以前の反応器の圧力と比べて低くてもよい。これを総合すると、結局、前述した式1および2が満たされる条件下で減圧または加圧解除が行われてもよいことを意味し、本発明における減圧または加圧解除を行う反応器の順序や減圧の回数などは、全般的な反応条件などを考慮して適宜選択されてもよい。
前述したように減圧または加圧解除の操作を行うと、最後の反応器での圧力は、全ての反応器の圧力のうち最小値を示すことになり、この場合、より具体的には、最後の反応器の圧力は、-0.3barg~0.5bargであってもよく、より好ましくは、-0.3barg~0.4bargであってもよい。一方、前記反応器の圧力が負数であるとは、大気圧と比べて当該負数の絶対値だけ減圧されたことを意味する。最後の反応器の圧力が上述した範囲内であるとは、反応後期の反応器の圧力が反応前期の圧力より低いながらも、最終反応器の圧力が少なくとも大気圧レベルであるか、または大気圧ないし若干減圧されたレベル(約200torr)に設定されることが好ましいことを意味する。反応後期において反応前期と比べて加圧の必要性が下がり、或る程度の加圧は一定量生成された水を除去するのに効果的であり、モノアルコールは超過量投入されるため、一定部分還流されても反応器内に残留するモノアルコール量は当量よりも高くなり得るため、水の除去がさらに有意味な影響を与え得る。また、反応後期に行くほど、触媒の役割が重要となり、水を持続的に除去しつつ触媒の失活を防止することも重要となり得る。したがって、最後の反応器の圧力は、少なくとも大気圧レベル(0barg)にはなることが好ましい。一方、最後の反応器においては、多価カルボン酸がほぼ存在しないのに対し、多量のアルコールが存在し、かかるアルコールを除去するための目的で、反応器内の圧力を大気圧を基準として若干低く設定して反応および未反応アルコールの蒸留を同時に行ってもよい。このような目的下では、最後の反応器の圧力が0barg~-0.3bargであることが好ましい。上述した範囲内に最後の反応器の圧力を制御する場合、前述した問題を最小化できながらも、圧力制御に応じた改善反応の改善効果を極大化することができる。
一方、前記S2ステップは、下記式3をさらに満たすことを特徴としてもよい。
[式3]
≦En1
前記式3中、
=[{第x反応器に投入されるモノアルコールのモル数-(c×第x反応器に投入される多価カルボン酸のモル数)}/(c×第1反応器に投入される多価カルボン酸のモル数)]×100%
c=多価カルボン酸の1つの分子に含まれるカルボン酸基の数であり、
前記n1およびNは先に定義されたとおりである。
前述した各反応器内の圧力を制御することに加え、前記式3を満たすように各反応器に投入されるアルコールの超過投入量を制御する場合、過量投入されるアルコールの加熱に消費されるエネルギーを最小化しながらも、反応器内に十分な量のアルコールが残存するようにして高い転換率が達成されるようにすることができる。
具体的に、前記Eは、以前のS1ステップにおいて説明したモノアルコールの超過投入量に該当する概念であり、より具体的に、前記E値は、「第1反応器において最初投入された多価カルボン酸を100%反応させるために必要なアルコールの量」を基準として、「各反応器に投入される多価カルボン酸を100%反応させるために必要なアルコールの量に比べて追加投入されるアルコールの量」の割合を意味する。前記量は、モルを基準とする量を意味する。例えば、多価カルボン酸がジカルボン酸であり、前記ジカルボン酸が反応器に100モル投入され、アルコールが300モル投入される場合、ジカルボン酸を100%反応させるためのアルコールは200モルであるため、追加投入されるアルコールは100モルであり、その割合であるE値は、200モルに対する100モルの割合として50%に該当する。
前記E値は、反応途中にアルコールを除去するか、または追加投入する操作を行わない限り、各反応器において同一に維持される。仮に後段反応器においてアルコールを追加投入する場合、当該反応器のE値は、前段反応器のE値より大きくなり、その逆に、後段反応器においてアルコールのみを除去する操作を行う場合、当該反応器のE値は、前段反応器のE値より小さくなる。したがって、前記式3は、第1反応器を除いた残りの反応器においてアルコールが追加投入できることを意味する。
このように過量投入されるアルコールは、S1ステップにおいて全部投入せず、一部を第2反応器を含む以後の反応器の中から選択される1つ以上に投入する場合、第1反応器において過量投入されたアルコールを全て加熱するために用いられるエネルギー使用量を減らすことができ、相対的にアルコールが少なく存在する後段反応器のアルコール濃度を高め、後段での反応速度を改善できるという利点がある。一方、アルコールが追加投入される反応器は、総反応器の数、各反応器の容量、総反応時間などを考慮して、エネルギー使用量を最小化しながらも、反応速度を最大限に維持可能な範囲内で選択されてもよく、反応の最終ステップに至って追加アルコールを投入するのは意味が少ないということから、第N反応器には、追加アルコールを投入しないことが好ましい。より具体的には、例えば、3個の反応器を用いる場合には、第2反応器に追加のアルコールを投入してもよく、4個の反応器を用いる場合には、第2反応器または第3反応器に投入してもよい。また、4個の反応器を用いる場合には、アルコールの追加投入に応じた効果を最大限にするために第3反応器に投入することが好ましい。
前記Eは、0%以上または10%以上であってもよく、100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、または60%以下であってもよい。また、Eは、0%以上、10%以上、または20%以上であってもよく、200%以下、180%以下、160%以下、140%以下、120%以下、または100%以下であってもよい。EおよびEが過度に少ないかまたは過度に多い場合には、2つの反応原料のバランスが取れないため、一部の反応原料が無駄になり、最大量の組成物が製造されないことがある。特に、E値が過度に高い場合には、初めから過多投入されるアルコールの量が多くなり、実際に反応に参加できないアルコールが多量発生し得る。この場合、所望する程度の転換率が達成されないか、または実際に反応に参加できないアルコールまで加熱するのに過度に多いエネルギーが消費され、全体的な反応工程の効率性が低下するという問題が発生し得る。
また、前記S2ステップは、下記式4をさらに満たすことを特徴としてもよい。
[式4]
≦T≦Tn1
前記式4中、
はミキサーの温度であり、
は第x反応器の温度であり、
前記n1およびNは先に定義されたとおりである。
前述した各反応器内の圧力およびアルコールの超過投入量を制御することに加え、前記式4を満たすようにミキサーおよび/または反応器の温度を制御する場合、エネルギー使用量を最小化しながらも、高い最終転換率を達成することができる。
具体的には、反応が進行するに伴い、残存する多価カルボン酸およびモノアルコールの量が減るのに対し、全体反応物の体積は維持されるため、反応に必要な熱を供給するためには、後段反応器に行くほど、反応器の内部温度がさらに高いことが好ましい。また、反応器に原料を投入する前に原料の混合が行われるミキサーで加熱が行われてもよく、ミキサーでの加熱程度は、原料を気化させることなく、原料の十分な予熱が行われる程度でなければならないため、その温度は、反応器の温度よりは高くないことが好ましい。したがって、これを総合すると、ミキサーから後段反応器に移動するほど、その温度は、少なくとも同一に維持されるか、または高くなることが好ましく、これにより、式4を満たすようにミキサーおよび各反応器の温度を制御することが好ましい。
この場合、ミキサーの温度Tは20~200℃、好ましくは20~150℃であってもよく、第1反応器の温度Tは150~230℃、好ましくは180~210℃であってもよく、最後の反応器の温度Tは180~250℃、好ましくは200~240℃であってもよい。ミキサー、第1反応器、および第N反応器の温度が上述した範囲内である場合、エステル化反応が円滑に行われながらも、不要なエネルギー使用量を最小化することができる。
本発明の製造方法において、前記Nは3以上の整数であることが好ましく、より好ましくは3~10の整数、特に好ましくは3~5の整数である。反応器の数がこれより少ない場合には、複数の反応器を直列配置することの技術的利点が十分ではなく、反応器の数が過度に多い場合には、各反応器での工程変数の調節が難しく、反応器をはじめとする関連装置に費やされる費用がかえって大きくなり、工程全体の費用の面で効率的でないことがある。
触媒の投入(S1-1、S1-2、S2a、および/またはS2b)
本発明の製造方法は、前記S1ステップとS2ステップとの間に反応混合物に触媒を添加するステップ(S1-1)、前記S1ステップ以前に多価カルボン酸またはアルコールに触媒を添加するステップ(S1-2)、および前記S2ステップの第1反応器に触媒を添加するステップ(S2a)からなる群から選択された1つ以上のステップをさらに含んでもよい。
前記S1-1、S1-2、およびS2aステップは、触媒の投入に関する製造ステップであって、触媒をミキサーに投入するか、反応原料と混合して投入するか、または第1反応器に投入してもよく、この中から選択された何れか1つ以上のステップが行われ、反応系内に触媒が投入されてもよい。触媒は任意のステップで投入され得るが、S2aステップの場合、触媒との副反応の防止の面で利点があり、投入される原料アルコールに直接投入する場合、工程の全体的な効率性の面で利点があり得る。
また、上記の触媒投入に加え、前記S2ステップの第2反応器~第N反応器の中から選択された1つ以上の反応器に触媒を添加するステップ(S2b)をさらに含んでもよい。S2bステップは、触媒を追加投入することであって、第1反応器は、触媒量が充分であるため追加投入の必要がないが、その以後の反応器からは失活した触媒が増加するため、追加的に触媒をさらに投入することで、反応性をさらに向上させることができる。そこで、第2反応器から第N反応器までのシリーズで連結された反応器のうち何れか1つ以上の反応器に触媒を追加投入してもよい。
本発明の製造方法で用いられる触媒は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、アルキル硫酸などの酸触媒、乳酸アルミニウム、フッ化リチウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化カルシウム、塩化鉄、リン酸アルミニウムなどの金属塩、ヘテロポリ酸などの金属酸化物、天然/合成ゼオライト、カチオンおよびアニオン交換樹脂、テトラアルキルチタネート(tetra alkyl titanate)およびそのポリマーなどの有機金属の中から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、テトラアルキルチタネートであってもよい。前記テトラアルキルチタネートとしては、TiPT、TnBT、TEHTなどが使用可能である。このようにテトラアルキルチタネートを触媒として用いる場合、以後の工程で発生し得る触媒副産物を制御または発生させないため好ましい。
触媒の使用量は、種類に応じて異なってもよく、一例として、均一触媒の場合は、投入される多価カルボン酸の総100重量部に対して0.01~5重量部、0.01~3重量部、0.1~5重量部、または0.1~3重量部の範囲内、そして不均一触媒の場合は、投入される多価カルボン酸の総100重量部に対して5~200重量部、5~100重量部、20~200重量部、または20~150重量部の範囲内であってもよい。なお、前記触媒の使用量は、前述したS1-1、S1-2、およびS2aの中から選択される1ステップに一挙投入される触媒の使用量であるか、またはS2bステップが含まれる場合、S2bステップで投入される触媒の使用量まで含んでもよい。例えば、前記触媒がS1-1およびS2bステップに分けて投入される場合、2つのステップで投入される触媒の合算投入量が上述した範囲内であってもよい。
分離ステップ(S3)および再投入ステップ(S4)
本発明の製造方法は、前述したS1およびS2ステップに加え、選択的に、反応生成物が連続的に分離ユニットに移動して未反応アルコールが除去されるステップ(S3)と、前記分離ユニットで除去された未反応アルコールを再び反応ユニットの反応器の中から選択される1つ以上の反応器に投入するステップ(S4)と、をさらに含んでもよい。
具体的に、前記S3ステップは、複数の反応器のうち最後の反応器である第N反応器から製造された反応生成物が連続的に分離ユニットに移動し、その後、分離ユニットで未反応アルコールが除去されるステップである。
前記S3ステップで用いられる分離ユニットは、1つ以上の分離カラムを含んでもよい。本発明の製造方法中、分離ユニットに含まれる分離カラムのステージ(stage)数に応じて最終的に製造される組成物の組成比が変化することができ、通常の技術者であれば、製造しようとする組成物の組成比や特性に応じて、分離ユニットに含まれる分離カラムのステージ数を適宜調節することができる。また、前記分離ユニットは、分離カラムの他に、ドラムタイプの精製槽を含んでもよい。前記分離ユニットは、反応生成物に含まれている未反応アルコールの量を全体の30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下のレベルに除去してもよい。未反応アルコールをこのように除去することで、製造されるエステル系組成物の物性が均一および優れることができる。
具体的に、前記S4ステップは、分離ユニットで除去された未反応アルコールを反応ユニットの第1反応器から第N反応器のうち1つ以上の反応器に再投入することで、反応生成物に残存する未反応アルコールを再活用するステップである。本ステップを経ることで、過量投入されたアルコールを回収して再び活用することができ、これにより工程の経済性を改善することができる。
トランス反応ステップ(S5)
本発明の製造方法は、選択的に、未反応アルコールが除去された反応生成物にアルキル炭素数3~12のアルコールの1種以上を投入してトランス-エステル化反応させるステップ(S5)をさらに含んでもよく、前記ステップで投入されるアルコールは、S1ステップで投入されるアルコールとは異なる。
前記S5ステップを介して2種類以上のエステル化合物が含まれる組成物を製造することができ、通常の技術者であれば、組成物に含まれるべきエステル化合物の種類に応じて、適切なアルコールを選択してトランス-エステル化反応させることができる。前記S5ステップは未反応アルコールの除去以後に行われることが好ましく、仮に未反応アルコールの除去以前にS5ステップが行われる場合、未反応アルコールの残存により、新たに投入されたアルコールとのトランス-エステル化反応が容易ではなく、反応が一定部分進行してもアルコールの含量が多いため反応の効率が低下し得る。したがって、前記トランス-エステル化反応以前の反応生成物に含まれる未反応アルコールの量は、10%以下であることが好ましい。
エステル系組成物の製造システム
本発明は、多価カルボン酸およびアルキル炭素数が3~12のアルコールの1種以上の反応混合物が形成されるミキサーと、前記反応混合物のエステル化反応が行われるN個の反応器が直列連結されている反応ユニットと、前記反応生成物の伝達を受けて未反応アルコールが除去され、1つ以上の分離カラムを含む分離ユニットと、前記分離ユニットから除去された未反応アルコールを再び反応ユニット中の反応器に投入する回収ユニットと、各反応器の温度および圧力と反応器に投入されるアルコールおよび触媒の量とを調節する変数制御部と、を含む、エステル系組成物の製造システムを提供する。
本発明が提供する製造システムは本発明の製造方法を実行するために使用可能なものであって、各システムの構成要素は前述したものと同様であるため、具体的説明は省略する。
特に、本発明の製造システムに含まれる変数制御部は、各反応器での圧力、アルコール投入量、温度、触媒使用量を制御し、各工程変数が前述した式1)~4)を満たすようにすることで、全体的な反応工程を最適化する役割を行う。
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであって、これらのみに本発明の範囲が限定されるものではない。
材料
多価カルボン酸としてはフタル酸、モノアルコールとしては2-エチルヘキサノール、触媒としてはテトラブチルチタネートを用いた。
グループ1.3個の反応器を含む反応ユニットでの圧力制御効果の確認
総3個の反応器が直列連結された反応ユニットを用いてエステル化反応を行った。ミキサーへの各原料の投入量は、2-エチルヘキサノールが当量に対して下記表1に記載されたE%だけ超過投入されるようにし、具体的に、比較例1を基準としてフタル酸と2-エチルヘキサノールとの間のモル流量を1:2.8にしてミキサーに投入し、投入されるフタル酸の流量に対して0.23重量%の流量でテトラブチルチタネートをミキサーに投入し、反応混合物を形成した。形成された反応混合物を連続的に3個の反応器が直列連結された反応ユニットに投入してエステル化反応を行い、各実施例/比較例におけるミキサーに投入される触媒量、反応器の圧力、E値、各反応器に投入される触媒量などを下記表1に整理した。一方、下記表1における触媒投入量は、比較例1における最初にミキサーに投入された触媒の量(フタル酸の流量に対して0.23重量%)を100%基準として、相対的にどの程度の触媒が各ミキサーまたは反応器に追加投入されたかを計算した値である。
前記表1に整理した実施例1~3および比較例1~7における各反応器別の転換率を計算し、下記表2に整理した。一方、各反応器での転換率は、各反応器に投入される多価カルボン酸およびアルコールの流量と、各反応器で発生する生成水の流量を測定し、測定された流量を用いて、投入された多価カルボン酸中のどの程度が反応して水を生成したかを計算して各反応器自体の転換率を計算した後、当該反応器までの転換率を累積合算して計算した。
前記表2から確認できるように、各反応器の圧力が式1および2を満たすようにする場合、さらに高い最終転換率を達成可能であることを確認した。特に実施例1~3と同一量のアルコールを用いた比較例1~3の場合、加圧を全く行わないか(比較例1)、または加圧を行うが、それを反応終了時まで維持(比較例2および3)すると、最終転換率での損失が発生することを確認することができ、これよりもアルコールを少なく用いた比較例4~7の場合は、最終転換率が80%にも至っておらず、多くの反応原料の損失が発生することを確認することができる。
なお、同一の条件で圧力制御を行うが、用いる触媒の量が異なる実施例2および3を比較すると、触媒使用量の増加が最終転換率の増加につながったことを確認することができ、これは、式1および2による圧力制御時、適切な量の触媒を用いることも転換率の改善につながり得るということを示唆する。
グループ2.4個の反応器を含む反応ユニットでの圧力制御効果の確認
前記グループ1と同様に行うが、反応ユニットとして4個の反応器が直列連結されたものを用いて、エステル系組成物を製造した。各実施例におけるミキサーに投入される触媒量、反応器の圧力、各反応器に投入される触媒量などを下記表3に整理し、触媒使用量は、以前のグループ1と同一の基準で記載した。E値の場合、全ての反応器において40%と同一に維持されたため、その記載を省略した。
前記表3に整理した実施例4および5の各反応器別の転換率を計算し、下記表4に整理した。転換率は、前述した方法と同様に計算した。
前記表4から確認できるように、反応器が4個である反応ユニットを適用しても、以前のグループ1の場合と同様に高い最終転換率を得ることができることを確認した。反応ユニット内に反応器の数が多くなる場合、各反応器の体積はさらに小さくすることができるため、このように反応器が4個である反応ユニットを適用することは、反応器が3個である反応ユニットを適用する場合と比べて、工程設計費用がさらに低くなることができるという利点がある。
なお、同一の条件下で行うが、さらに少ない触媒を用いた実施例5においては、かえってさらに高い初期転換率が達成された。これは、加圧制御下でエステル化反応が進行する場合、かえって過量投入された触媒の一部が初期反応に参加できないことを意味するものであって、本発明の製造方法を用いてエステル系組成物を製造する場合には、触媒中の一部を後段投入することが有利であり得るということを示唆する。

Claims (14)

  1. 多価カルボン酸およびアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上をミキサーに投入して反応混合物を形成するステップ(S1)と、
    第1反応器から第N反応器までの総N個の反応器が直列に連結された反応ユニットに前記反応混合物を連続的に投入して反応生成物が連続的に製造されるステップ(S2)と、
    を含み、
    下記式1および2を満たす、エステル系組成物の製造方法。
    [式1]
    n1≦Pn1-1
    [式2]
    >P
    前記式1および2中、
    は第x反応器の圧力であり、
    前記n1は2~Nの整数であり、
    前記Nは3以上の整数である。
  2. 前記S2ステップは、下記式3をさらに満たすことを特徴とする、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
    [式3]
    ≦En1
    前記式3中、
    =[{第x反応器に投入されるモノアルコールのモル数-(c×第x反応器に投入される多価カルボン酸のモル数)}/(c×第1反応器に投入される多価カルボン酸のモル数)]×100%
    c=多価カルボン酸の1つの分子に含まれるカルボン酸基の数であり、
    前記n1およびNは先に定義したとおりである。
  3. 前記S2ステップは、下記式4をさらに満たすことを特徴とする、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
    [式4]
    ≦T≦Tn1
    前記式4中、
    はミキサーの温度であり、
    は第x反応器の温度であり、
    前記n1およびNは先に定義されたとおりである。
  4. 前記S1ステップとS2ステップとの間に反応混合物に触媒を添加するステップ(S1-1)、
    前記S1ステップ以前に多価カルボン酸またはアルコールに触媒を添加するステップ(S1-2)、および
    前記S2ステップの第1反応器に触媒を添加するステップ(S2a)からなる群から選択された1つ以上のステップをさらに含む、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
  5. 前記S2ステップの第2反応器~第N反応器の中から選択された1つ以上の反応器に触媒を添加するステップ(S2b)をさらに含む、請求項4に記載のエステル系組成物の製造方法。
  6. 前記触媒は、テトラアルキルチタネートである、請求項4に記載のエステル系組成物の製造方法。
  7. は0.3barg~1.0bargであり、Pは0barg~0.5bargである、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
  8. は0~100%であり、Eは0~200%である、請求項2に記載のエステル系組成物の製造方法。
  9. は20~200℃であり、Tは150~230℃であり、Tは180~250℃である、請求項3に記載のエステル系組成物の製造方法。
  10. 前記Nは3~5の整数である、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
  11. 反応生成物が連続的に分離ユニットに移動して未反応アルコールが除去されるステップ(S3)と、前記分離ユニットで除去された未反応アルコールを再び反応ユニットの反応器の中から選択される1つ以上の反応器に投入するステップ(S4)と、をさらに含む、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
  12. 未反応アルコールが除去された反応生成物にアルキル炭素数が3~12のモノアルコールの1種以上を投入してトランス-エステル化反応させるステップ(S5)をさらに含み、前記S5ステップで投入されるアルコールは、S1ステップで投入されるアルコールとは異なる、請求項11に記載のエステル系組成物の製造方法。
  13. 前記多価カルボン酸は、ジカルボン酸、トリカルボン酸、およびテトラカルボン酸からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載のエステル系組成物の製造方法。
  14. 前記ジカルボン酸は、炭素数2~10の直鎖状ジカルボン酸、テレフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、これらの無水和物、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であり、
    前記トリカルボン酸は、クエン酸、トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、これらの無水和物、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であり、
    前記テトラカルボン酸は、ベンゼンテトラカルボン酸、フランテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、これらの無水和物、およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上である、請求項13に記載のエステル系組成物の製造方法。
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