JP2023509065A - シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物 - Google Patents

シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023509065A
JP2023509065A JP2022540846A JP2022540846A JP2023509065A JP 2023509065 A JP2023509065 A JP 2023509065A JP 2022540846 A JP2022540846 A JP 2022540846A JP 2022540846 A JP2022540846 A JP 2022540846A JP 2023509065 A JP2023509065 A JP 2023509065A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
group
coating composition
repellent coating
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022540846A
Other languages
English (en)
Inventor
ヘリャン イム
トンジン ナム
スンソク チョ
ソンヨン オ
ハンビン パク
キュスン シン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dongjin Semichem Co Ltd
Original Assignee
Dongjin Semichem Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from KR1020200175179A external-priority patent/KR20210086489A/ko
Application filed by Dongjin Semichem Co Ltd filed Critical Dongjin Semichem Co Ltd
Publication of JP2023509065A publication Critical patent/JP2023509065A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/54Silicon-containing compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/54Silicon-containing compounds
    • C08K5/541Silicon-containing compounds containing oxygen
    • C08K5/5415Silicon-containing compounds containing oxygen containing at least one Si—O bond
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D4/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, based on organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond ; Coating compositions, based on monomers of macromolecular compounds of groups C09D183/00 - C09D183/16
    • C09D4/06Organic non-macromolecular compounds having at least one polymerisable carbon-to-carbon unsaturated bond in combination with a macromolecular compound other than an unsaturated polymer of groups C09D159/00 - C09D187/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/16Antifouling paints; Underwater paints
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D7/00Features of coating compositions, not provided for in group C09D5/00; Processes for incorporating ingredients in coating compositions
    • C09D7/40Additives

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Abstract

一般な基材又はハードコーティング層に適用できるシルセスキオキサンオリゴマーを含む撥水コーティング組成物、及びこれを用いたコーティング物品が開示される。本発明の撥水コーティング組成物は、下記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマー、フッ素系化合物及び溶媒を含む。[化学式1]前記化学式1の定義は、明細書内に記載したのと同様である。【選択図】図1

Description

本発明は、シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物に関し、さらに詳細には、基材又はハードコーティング層上に適用できる、シルセスキオキサンオリゴマーを含む撥水コーティング組成物に関する。
最近、ディスプレイ製品のデザインが、ウェアラブル、ローラブル及びフォルダブル化に急激に変化している。これにより、従来使用されているガラス基材が、柔軟性を有するプラスチック基材に変化する傾向にある。しかし、プラスチック基材は、ガラス基材と比較したとき、軽量化、飛散防止及び柔軟という利点があるものの、機械的強度、耐久性、耐候性及び光学的特性に劣るという欠点がある。
このようなプラスチック基材の欠点を克服するためにハードコーティング層を追加して、機械的強度、耐久性及び光学的特性を補完し、ハードコーティング層の上部にAF(Anti-finger)コーティングなどの撥水コーティングを適用することにより、各種汚染物質に対する防汚、耐候性、イージークリーン(easy-clean)、耐指紋(Anti-finger)性能及び耐スクラッチの特性をガラス基材と同程度に向上させようとする研究が盛んに行われている。
特に、撥水コーティングは、既存のガラス基材にも適用されており、最外郭面に最も大衆的に使用される機能性コーティング技術の一つである。ガラス基材上にAFコーティングを適用するためには、ガラス基材の剛直性により裁断後に真空蒸着を用いた乾式コーティングが行われなければならない。
例えば、韓国公開特許第2012-0079717号では、基材上にプライマー層としてSiOを蒸着した後、熱蒸着法でフッ素化合物をコーティングする技術、韓国公開特許第2012-0139919号では、高屈折物質及び低屈折物質を交互に蒸着した後、最外郭にフッ素化合物を熱蒸着する、耐指紋及び反射防止機能性コーティング技術について開示している。ところが、このような真空蒸着を用いた乾式コーティングの場合は、コーティング密度が高いため優れたAF特性を示すものの、大面積コーティングが不可能で連続工程に困難があるため、生産性に劣るという欠点がある。
このような乾式コーティングの問題点を克服するために、最近、湿式コーティングが可能なAFコーティング液の研究が盛んに行われている。例えば、韓国公開特許第2016-0010697号では、フッ素シランで表面を処理したナノシリカゾルを含むコーティング組成物で素材の表面を湿式コーティングすることにより、撥水性、撥油性、耐汚染性を付与する技術を開示している。しかし、湿式コーティングで形成された撥水コーティング層は、乾式コーティングと比較して耐スクラッチ特性などの耐久性に劣るという問題がある。
そこで、本発明の目的は、一般な基材又はハードコーティング層上に適用して、湿式コーティングによって大面積コーティング及び連続工程が可能であり、耐摩耗性、耐スクラッチ性などの耐久性が乾式コーティングと同程度に優れた、シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、一般な基材又はハードコーティング層上に適用してガラス基材と同程度に優れた撥水性、撥油性、耐指紋性、耐汚染性、耐久性、耐スクラッチ性、耐化学性、耐薬品性、光学的特性などを付与することができ、ウェアラブル、ローラブル又はフォルダブルディスプレイ製品に適用することができるだけでなく、電子製品、携帯電話保護フィルム、自動車内・外装材、家電製品内・外観、塗料及び各種産業製品の保護層などにも応用して使用することができる、シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマー、フッ素系化合物、及び溶媒を含む撥水コーティング組成物を提供する。
[化学式1]
Figure 2023509065000002
上記化学式1中、Rは、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30の含フッ素有機基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基又はチオール基であり、Rの少なくとも1つは、炭素数1~30の含フッ素有機基であり;Rは、それぞれ独立して、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基であり;n及びmは、それぞれ独立して、1~100,000の整数である。
本発明は、基材と、前記基材の上部に位置し、前記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマー、フッ素系化合物及び溶媒を含む撥水コーティング組成物の硬化物である撥水コーティング層と、を含む、コーティング物品を提供する。
本発明によるシルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物は、シルセスキオキサンオリゴマーを含むことにより、耐摩耗性、耐スクラッチ性などの耐久性に優れるため、湿式コーティングでも大面積コーティング及び連続工程が可能であって生産性に優れるうえ、乾式撥水コーティングと同程度の優れた撥水コーティング特性を示すことができる。
本発明の実施例による撥水コーティング層がハードコーティング層の上部に形成されたことを示す概略図である。 本発明の他の実施例による撥水コーティング層がハードコーティング層の上部に形成されたことを示す概略図である。 本発明の別の実施例による撥水コーティング層がハードコーティング層の上部に形成されたことを示す概略図である。 本発明の実施例1によって合成したシルセスキオキサンオリゴマーのTGA実験結果値を示す概略図である。 本発明の合成比較例2によって合成したシルセスキオキサンオリゴマーのTGA実験結果値を示す概略図である。
以下、本発明の具現例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。ところが、本発明は、様々に異なる形態で実現でき、ここで説明する具現例に限定されない。
本明細書で別段の定義がない限り、「置換された」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、又はI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基又はその塩、スルホン酸基又はその塩、リン酸又はその塩、ビニル基、C1~C20のアルキル基、C2~C20のアルケニル基、C2~C20のアルキニル基、C6~C30のアリール基、C7~C30のアリールアルキル基、C6~C30のアリル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C20のヘテロアルキル基、C3~C20のヘテロアリールアルキル基、C3~C30のシクロアルキル基、C3~C15のシクロアルケニル基、C6~C15のシクロアルキニル基、C3~C30のヘテロシクロアルキル基、及びこれらの組み合わせから選択された置換基で置換されたものを意味する。
また、本明細書において別段の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S及びPから選択されたヘテロ原子をそれぞれ独立して1~10個含有したものを意味する。
以下、一具現例による撥水コーティング組成物について説明する。
本発明による撥水コーティング組成物(AF(anti-finger)コーティング組成物などを含む)は、シルセスキオキサンオリゴマー、フッ素系化合物及び溶媒を含む。
前記シルセスキオキサンオリゴマーは、下記化学式1の構造を有する。
[化学式1]
Figure 2023509065000003
上記化学式1中、
は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30の含フッ素有機基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基又はチオール基であり、Rの少なくとも1つは炭素数1~30の含フッ素有機基であり、具体的には、Rの少なくとも1つは炭素数1~30のフルオロアルキル基又は炭素数1~30のペルフルオロポリエーテル基である。
は、それぞれ独立して、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基であり;具体的には、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基であり得る。
前記n及びmは、それぞれ独立して、1~100,000、好ましくは1~1,000の整数であり、n/mの比率は1:1~50:1であり、前記n/mの比率に応じて撥水コーティング組成物の基材との付着特性が調節できる。
前記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマーにおいて、全体Rの総モル(mol)数に対して、フッ素の比率は1モル%~10モル%である。前記フッ素の比率は、全体Rの総モル(mol)数に対するフッ素のモル(mol)数を計算したものであり、フッ素の比率が1モル%未満である場合には、撥水性及び耐スクラッチ性が減少するという問題があり、フッ素の比率が10モル%を超える場合には、フッ素溶媒に対する溶解度が低下するという問題がある。
また、前記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマーにおけるヒドロキシ基(-OH)の含有量は、シルセスキオキサンオリゴマーの全重量に対して0.5重量%以下である。前記ヒドロキシ基の含有量は、シルセスキオキサンオリゴマーの全重量に対して、ヒドロキシ基の含有量を計算したものであり、ヒドロキシ基の含有量が0.5重量%以上である場合、前記シルセスキオキサンオリゴマーの安定性が低下し、フッ素系溶媒に対する溶解度が低下する。
前記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマーは、シラン化合物とフッ素系シラン化合物とを合成して製造することができ、前記フッ素系シラン化合物の種類は、特に制限されないが、具体的には、トリメトキシ-(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trimethoxy-(3,3,3-trifluoropropyl)silane)、トリエトキシ-(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Triethoxy-(3,3,3-trifluoropropyl)silane)、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン(1H,1H,2H,2H-perfluorooctyltriethoxysilane)、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリメトキシシラン(1H,1H,2H,2H-perfluorodecyltrimethoxy silane)、トリクロロ-(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trichloro-(3,3,3-trifluoropropyl)silane)などを使用することができる。
前記フッ素系シラン化合物として、フッ素原子(F)が5個以下のものを使用する場合、撥水コーティング組成物の耐摩耗性、耐スクラッチ性などの耐久性に優れるという効果があり、フッ素原子(F)が6個以上のフッ素系シランを使用する場合、スリップ性(撥水性)に優れるという効果がある。
前記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマーは、有機-無機ハイブリダイゼーション高分子であって、2つの繰り返し単位を含むランダム共重合体の構造を有する。前記シルセスキオキサン高分子は、酸素を含む-OR基の導入により基材と撥水コーティング組成物との結合及び付着力を向上させることができる。具体的には、前記-OR基は、基材又はハードコーティング層の表面のSi-OH及びSi-Oなどとの共有結合が可能であるため、コーティングの際に、基材又はハードコーティング層との結合及び付着力が増大する。
前記シルセスキオキサンオリゴマーの含有量は、全撥水コーティング組成物に対して、0.10重量%~10重量%、具体的には0.25重量%~5重量%であり、上記の含有量から外れる場合、撥水性、耐摩耗性及び耐スクラッチ性が減少するという問題がある。
前記フッ素系化合物は、フッ素又はペルフルオロ(ポリ)エーテル基を含む炭素数1~50のシラン化合物、これらの誘導体又は重合体であり、具体的には、前記シラン化合物は、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルシラン、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシシラン、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリールシラン、置換もしくは無置換の炭素数3~50のシクロアルキルシラン、置換もしくは無置換の炭素数1~50のクロロシラン、又はこれらの混合物の中から選択できる。
前記フッ素又はペルフルオロ(ポリ)エーテル基を含む炭素数1~50のシラン化合物において、シラン化合物は、具体的には、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリメトキシシラン、ノナフルオロブチルエチルトリエトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、ヘプタテカフルオロデシルトリイソプロピルシラン、3-トリメトキシシリルプロピルペンタデカフルオロオクテート、3-トリエトキシシリルプロピルペンタデカフルオロオクテート、3-トリメトキシシリルプロピルペンタデカフルオロオクチルアミド、3-トリエトキシシリルプロピルペンタデカフルオロオクチルアミド、2-トリメトキシシリルエチルペンタデカフルオロデシルスルフィド、2-トリエトキシシリルエチルペンタデカフルオロデシルスルフィド、ペンタフルオロフェニルメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、4-(ペルフルオロトリル)トリメトキシシラン、4-(ペルフルオロトリル)トリエトキシシラン、ジメトキシビス(ペンタフルオロフェニル)シラン、ジエトキシビス(4-ペンタフルオロトリル)シラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(2-フェニルエチル)シラン、又は(トリエトキシシリル)シクロヘキサンよりなる群から選択される1種以上であり得る。
前記フッ素系化合物の含有量は、全撥水コーティング組成物に対して、0.5重量%~10重量%、具体的には1重量%~5重量%であり、上記の含有量から外れる場合には、コーティング性、撥水性及び耐スクラッチ特性が低下するという問題がある。
前記溶媒としては、シルセスキオキサン高分子を溶解させることができ、加熱などによって容易に除去される溶媒を特に制限なく使用することができ、例えば、フッ素系、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、セロソルブ系などのアルコール類、ラクテート系、アセトン、メチル(イソブチル)エチルケトンなどのケトン類、エチレングリコールなどのグリコール類、テトラヒドロフランなどのフラン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒だけでなく、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ピリジン、メチルナフタレン、ニトロメタン、アクロニトリル、塩化メチレン、オクタデシルアミン、アニリン、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコールなどの様々な溶媒を使用することができるが、これに限定されず、具体的にはフッ素系溶媒を使用することができる。
前記フッ素系溶媒は、フッ素系溶媒単独、又はフッ素系溶媒及び非フッ素系溶媒を含む2種以上の溶媒を含む混合溶媒を使用することができる。フッ素系溶媒を単独で使用するというのは、1種のフッ素系溶媒又は2種以上のフッ素系溶媒混合物を使用することを意味する。前記フッ素系溶媒は、フッ素系化合物を分散させ、前記シルセスキオキサンオリゴマーを溶解させることができるものであれば制限なく使用することができるが、具体的には、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフロオロブチルエーテル、ペルフルオロブチルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルメチルエーテルなどを使用することができる。
前記フッ素系溶媒と共に使用することができる非フッ素系溶媒としては、シルセスキオキサンオリゴマーを溶解させることができ、フッ素系溶媒との混溶性に問題がなく、撥水コーティング組成物の安定性を低下させない範囲では、これに限定されず、様々に使用することができる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、セロソルブ系などのアルコール系;乳酸エチル、乳酸n-ブチルなどのラクテート系;アセトン、メチル(イソブチル)エチルケトンなどのケトン系;エチレングリコールなどのグリコール系;テトラヒドロフランなどのフラン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒だけでなく、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロロホルム、ジクロロベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ピリジン、メチルナフタレン、ニトロメタン、アクロニトリル、塩化メチレン、オクタデシルアミン、アニリン、ジメチルスルホキシド、ベンジルアルコールなどの様々な溶媒を使用することができる。
前記溶媒の含有量は、全撥水コーティング組成物に対して、80重量%~99重量%、具体的には85重量%~99重量%である。前記溶媒の含有量が80重量%未満である場合には、撥水コーティング組成物の分散性が低下してコーティング性が低くなるという問題があり、前記溶媒の含有量が99重量%を超える場合には、撥水コーティング組成物を所望の厚さにコーティングすることができないため、耐スクラッチ性が減少するという問題がある。
前記溶媒は、フッ素系溶媒を含むことができ、例えば、前記溶媒の全100重量%に対して、フッ素系溶媒を80重量%~100重量%、具体的には90重量%~100重量%含むことができ、前記フッ素系溶媒の含有量が80重量%未満である場合には、前記シルセスキオキサンオリゴマー及びフッ素系化合物に対する相溶性が低くなるという問題がある。
一具現例において、前記撥水コーティング組成物は、開始剤をさらに含むことができる。
前記開始剤は、コーティング組成物の硬化及び後反応のために含まれ、前記シルセスキオキサンオリゴマーの置換基に応じて様々な種類の開始剤を使用することができる。
例えば、前記シルセスキオキサンオリゴマーの置換基(具体的には、R)に不飽和炭化水素などが含まれる場合には、ラジカル開始剤を使用することができ、前記ラジカル開始剤としては、トリクロロアセトフェノン(trichloroacetophenone)、ジエトキシアセトフェノン(diethoxyacetophenone)、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン(1-phenyl-2-hydroxyl-2-methylpropane-1-one)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(2-methyl-1-(4-methylthiophenyl)-2-morpholinopropane-1-one)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethylbenzoyldiphenylphosphineoxide)、カンファーキノン(camphorquinine)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルブチレート)、3,3-ジメチル-4-メトキシ-ベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどの光ラジカル開始剤;t-ブチルペルオキシマレイン酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、N-ブチル-4,4’-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレレートなどの熱ラジカル開始剤、又はこれらの混合物などを使用することができる。
また、前記シルセスキオキサンオリゴマーの置換基にエポキシなどが含まれる場合には、陽イオン開始剤又はアミン系硬化剤類を使用することができる。
前記陽イオン開始剤のうち、陽イオン光開始剤として、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムなどのスルホニウム系、ジフェニルヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムなどのヨードニウム、フェニルジアゾニウムなどのジアゾニウム、1-ベンジル-2-シアノピリジニウム、1-(ナフチルメチル)-2-シアノピリジニウムなどのアンモニウム、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェートヨードニウム、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヘキサフルオロホスフェートヨードニウム、ジフェニルヘキサフルオロホスフェートヨードニウム、ジフェニルトリフルオロメタンスルホネートヨードニウム、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートなどを使用することができ、陽イオン熱開始剤として、トリフル酸塩、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物、三フッ化ホウ素などの陽イオン系又はプロトン酸触媒、アンモニウム塩、ホスホニウム塩及びスルホニウム塩などの各種オニウム塩、及びメチルトリフェニルホスホニウム臭化物、エチルトリフェニルホスホニウム臭化物、フェニルトリフェニルホスホニウム臭化物などを制限なく使用することができる。これらの陽イオン開始剤は、様々な混合形態で添加することができ、前記ラジカル開始剤と混用して使用することも可能である。
また、前記アミン硬化剤類として、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,3-ジアミノプロパン、ジプロピレントリアミン、3-(2-アミノエチル)アミノ-プロピルアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-エチレンジアミン、4,9-ジオキサドテカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどを使用することができる。
前記開始剤と共に、硬化作用を促進するための硬化促進剤をさらに含むことができ、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ビニル-s-トリアジンなどのトリアジン系化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、ビニルイミダゾール、1-メチルイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5,1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムホスフェート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウム二フッ化水素、テトラブチルホスホニウム三フッ化二水素などを使用することができる。
また、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナド酸無水物、水素化メチルナド酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水-2,4-ジエチルグルタル酸などの酸無水硬化剤類も幅広く使用することができる。
前記開始剤は、開始剤の種類に応じて適切な含有量で含ませることができる。
本発明による撥水コーティング組成物でコーティングされたコーティング物品を含む。前記コーティング物品は、基材と、前記基材上に形成され、前記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマー、フッ素系化合物及び溶媒を含む撥水コーティング組成物の硬化物である撥水コーティング層と、を含む。
前記基材は、公知の基材であれば制限なく使用することができるが、具体的には、ガラス基材やプラスチック基材などを使用することができ、より具体的には、ガラス、ポリカーボネート(PC、Polycarbonate)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、Polymethylmethacrylate)、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)、ポリイミド(PI、polyimide)などを含むことができ、単一基材又は複合基材の形態で使用することができる。
また、前記コーティング物品は、基材と撥水コーティング層との間に形成されたハードコーティング層をさらに含むことができる。前記ハードコーティング層は、公知のハードコーティング組成物を前記基材上に塗布して形成することができ、基材の物性及び信頼性などを向上させることができ、特に、シリコーン系ハードコーティング層を含む場合、湿式コーティングで形成された撥水コーティング層との結合力を増加させて撥水コーティング層の耐久性をさらに増加させることができる。
前記撥水コーティング層は、撥水コーティング組成物を湿式コーティングして形成する。例えば、前記撥水コーティング組成物でスプレー(Spray)コーティング、フロー(Flow)コーティング、ディップ(Dip)コーティング、スロットダイ(Slot Die)コーティング、ロールツーロール(Roll to roll)コーティングなどのコーティング方法を用いて撥水コーティング層を形成することができる。
前記コーティング方法において、乾式コーティングする場合、コーティング密度及びコーティング均一度が高いため、優れた撥水コーティング特性(AF特性など)を示す一方、大面積コーティングが不可能であり、連続工程の困難により生産性が低下するという欠点を持っている。これに対し、湿式コーティングの場合は、大面積コーティング及び連続工程の生産性が高いものの、乾式コーティングと比較して、耐久性及び耐スクラッチ特性に劣るという欠点を持っている。
ただし、本発明による撥水コーティング組成物は、シルセスキオキサンオリゴマー、具体的にはシルセスキオキサンオリゴマーの-OR基によって、基材でも表面処理なしに、Si-OH及びSi-Oなどとの共有結合が可能であるので、コーティングの際に基材との結合及び付着力が増大して、さらに硬い結合を形成することにより、簡単な湿式コーティングのみでも耐久性及び耐スクラッチに優れるうえ、湿式コーティングで大面積コーティング及び連続工程が可能であり、乾式コーティングほどの耐久性が実現される撥水コーティング基材を提供することができる。
図1~図3はハードコーティング層の上部に実施例による撥水コーティング層が形成されたことを示す概略図である。図1~図3に示すように、ハードコーティング層の上部にシルセスキオキサンオリゴマー1とフッ素系化合物2を含むコーティング層が形成され、このとき、フッ素系化合物とハードコーティング層の表面は共有結合することが分かる。
図1は、シルセスキオキサンオリゴマー1が短鎖の置換基を含む場合であり、置換基のフッ素(F)が5個以下であれば撥水コーティング層の耐摩耗性、耐スクラッチ性などに優れるという特性がある。
図2は、前記シルセスキオキサンオリゴマー1が長鎖の置換基を含む場合であり、置換基のフッ素(F)が6個以上であれば撥水コーティング層のスリップ性(撥水性)に優れるという特性がある。
図3は、前記シルセスキオキサンオリゴマー1が短鎖の置換基と長鎖の置換基の両方を含む場合であり、所望の撥水コーティング層の物性に応じて、互いに異なる長さを持つか、或いはフッ素数の異なる置換基を混用して含むか、或いはその比率を調節して使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ところが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
[合成例1]シルセスキオキサンオリゴマーの合成
冷却管と攪拌機を備えた乾燥フラスコに、蒸留水25.6gとメタノール100gとを混合して準備し、3-(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート(3-(Trichlorosilyl)propyl methacrylate)209.29g(0.8mol)を10分間ゆっくり滴加した。このとき、温度は、-4℃の温度を維持するようにした。その後、20分間攪拌した後、トルエン500gをさらに滴加し、温度を常温に上げてさらに10分間攪拌を行った。その後、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン((3-Glycidoxypropyl)trimethoxysilane)23.63g(0.1mol)及びトリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trimethoxy(3,3,3-trifluoropropyl)silane)21.83g(0.1mol)を同時に滴加し、10分間攪拌を行った。
別途製造したNaCO20重量%水溶液20gを前記反応器に添加し、温度を100℃に上げて1日間縮合反応を行った。前記縮合反応によって得た反応物において、水とトルエンの層分離精製を2回行い、pHが中性であることを確認した後、トルエン層を得て真空減圧でトルエンをすべて除去し、しかる後に、シルセスキオキサンオリゴマーを得た。
上記で得たシルセスキオキサンオリゴマーを熱重量分析(TGA)し、これに対する結果値を下記の図4に記載した。合成例1のシルセスキオキサンオリゴマーの場合、150℃までウェイトロス(weight loss)が発生していないことからみて、シルセスキオキサンオリゴマーのヒドロキシ基(-OH)の含有量が5wt%以下であることが分かった。前記TGA実験は、0℃から800℃まで1分当たり10℃(℃/分)ずつ昇温しながら行った。
[合成例2]シルセスキオキサンオリゴマーの合成
トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trimethoxy(3,3,3-trifluoropropyl)silane)21.83g(0.1mol)の代わりに、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリメトキシシラン(1H,1H,2H,2H-Perfluorodecyltrimethoxysilane)56.83g(0.1mol)を使用した以外は、合成例1と同様にして製造した。
[合成例3]シルセスキオキサンオリゴマーの合成
トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trimethoxy(3,3,3-trifluoropropyl)silane)21.83g(0.1mol)の代わりに、トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trimethoxy(3,3,3-trifluoropropyl)silane)10.91g(0.05mol)及び1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデシルトリメトキシシラン(1H,1H,2H,2H-Perfluorodecyltrimethoxysilane)28.42g(0.05mol)を使用した以外は、合成例1と同様にして製造した。
[比較合成例1]フッ素(F)を含まないシルセスキオキサンオリゴマーの合成
冷却管と攪拌機を備えた乾燥フラスコに、蒸留水28.8gとメタノール100gとを混合して準備し、3-(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート(3-(Trichlorosilyl)propylmethacrylate)235.45g(0.9mol)を10分間ゆっくり滴加した。このとき、温度は、-4℃の温度を維持するようにした。その後、20分間攪拌した後、トルエン500gをさらに滴加し、温度を常温に上げてさらに10分間攪拌を行った。その後、3-(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)(3-Glycidoxypropyltrimethoxysilane)23.63g(0.1mol)を滴加し、10分間撹拌を行った。
別途製造したNaCO20重量%水溶液10gを前記反応器に添加し、温度を100℃に上げて1日間縮合反応を行った。前記縮合反応によって得た反応物において、水とトルエンの層分離精製を2回行い、pHが中性であることを確認した後、トルエン層を得て真空減圧でトルエンを全て除去し、しかる後に、シルセスキオキサンオリゴマーを得た。
[比較合成例2]ヒドロキシ基(-OH)の含有量が0.5重量%を超えるシルセスキオキサンオリゴマーの合成
冷却管と攪拌機を備えた乾燥フラスコに、蒸留水25.6gとメタノール100gとを混合して準備し、3-(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート(3-(Trichlorosilyl)propylmethacrylate)209.29g(0.8mol)を10分間ゆっくり滴加した。このとき、温度は、-4℃の温度を維持するようにした。その後、20分間攪拌した後、トルエン500gをさらに滴加し、しかる後に、温度を常温に上げてさらに10分間攪拌を行った。その後、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-Glycidoxypropyltrimethoxysilane)23.63g(0.1mol)及びトリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン(Trimethoxy(3,3,3-trifluoropropyl)silane)21.83g(0.1mol)を同時に滴加し、10分間撹拌を行った。その後、温度を100℃に上げて1日間縮合反応を行った。前記縮合反応によって得た反応物において、水とトルエンの層分離精製を2回行い、pHが中性であることを確認した後、トルエン層を取得して真空減圧でトルエンをすべて除去し、しかる後に、シルセスキオキサンオリゴマーを得た。
上記で得たシルセスキオキサンオリゴマーの熱重量分析(TGA)を行い、その結果値を図5に記載した。比較合成例2のシルセスキオキサンオリゴマーの場合は、150℃程度でウェイトロス(weight loss)が発生し、その量からシルセスキオキサンオリゴマーのヒドロキシ基(-OH)の含有量が5重量%以上であることが分かった。
[実施例1]撥水コーティング組成物の製造
前記合成例1で得られたシルセスキオキサンオリゴマー1.0gをフッ素系溶媒(3M社製のFC-3283)に溶かし、シルセスキオキサンオリゴマー1.0重量%を含む組成物100gを製造した。その後、準備された組成物100gにフッ素系シラン(DAIKIN社製のOPTOOL UD509)2.0g及びラジカル熱開始剤(Wako社製のV65)0.1gを添加し、10分間攪拌して撥水コーティング組成物を製造した。
[実施例2及び3]撥水コーティング組成物の製造
前記合成例2及び3で得られたシルセスキオキサンオリゴマーを使用した以外は、実施例1と同様にして撥水コーティング組成物を製造した。
[比較例1及び2]撥水コーティング組成物の製造
前記比較合成例1及び2で得られたシルセスキオキサンオリゴマーを使用した以外は、実施例1と同様にして撥水コーティング組成物を製造した。
[比較例3]撥水コーティング組成物の製造
シルセスキオキサンオリゴマーとしてHybrid plastics社製のMA0735(Methacryl polyhedral oligomeric silsesquioxane cage mixture、下記化学式2)を使用した以外は、実施例1と同様にして撥水コーティング組成物を製造した。
[化学式2]
Figure 2023509065000004
[比較例4]撥水コーティング組成物の製造
シルセスキオキサンオリゴマーとしてHybrid plastics社製のFL0578(Trifluoropropyl POSS Cage Mixture、下記化学式3)を使用した以外は、実施例1と同様にして撥水コーティング組成物を製造した。
[化学式3]
Figure 2023509065000005
[比較例5]撥水コーティング組成物の製造
シルセスキオキサンオリゴマーの代わりにトリフルオロプロピルメチルシロキサン(Trifluoropropylmethylsiloxane)(下記化学式4)を使用した以外は、実施例1と同様にして撥水コーティング組成物を製造した。
[化学式4]
Figure 2023509065000006
[実験例]コーティング物品の製造
ハードコーティング/PC(ドンジンセミケム社製、680μm)基材に実施例1~3、比較例1~5の撥水コーティング組成物を塗布し、85℃の温度で10分硬化させて、撥水コーティング層を含むコーティング基材を製造した。下記評価方法で物性評価を行い、その結果値を下記表1に記載した。
[比較実験例]コーティングされていない物品の製造
撥水コーティング層が形成されていないハードコーティング/PC(ドンジンセミケム社製、680μm)基材を前記実験例と同様の方法で物性評価し、その結果値を下記表1に記載した。
[評価方法]
-表面硬度の測定:JIS 5600-5-4に基づいて行った。このとき、荷重は過酷条件である1kgfの荷重で測定した。鉛筆は三菱社製品を使用し、1鉛筆硬度あたり5回行うことにより、2つ以上のスクラッチが発生すると不良と判定した。
-透過率、YI及びhazeの測定:ISO 14782に基づいて、COH-400(日本電色社製)を用いて測定した。サンプル当たり5回ずつ測定して平均値を記載した。
-消しゴム耐摩耗性試験:KS B ISO 9211-4に基づいて行った。このとき、消しゴムとして耐摩耗性試験専用消しゴムを使用し、1kgfの荷重で往復1500回行い、試験前後の基材表面の接触角値を測定した。
-塩水噴霧試験:JIS K 5400に基づいて、35℃の環境で塩水濃度5%の条件で72時間行った。塩水に対する耐久性を確認するために、試験前後の基材表面の接触角値を測定した。
-高温高湿試験:JIS C 7021に基づいて、温度85℃と湿度85%の環境で120時間行った。高温高湿環境に対する耐久性を確認するために、試験前後の基材表面の接触角値を測定した。
-耐スクラッチ:JIS K5600-5-9に基づいて、#0000のスチールウール(Steel wool)を用いて1kgfの荷重で行った。このとき、往復回数は、過酷条件である10,000回とし、光学顕微鏡でスクラッチの有無を確認した。
-耐久性評価:JIS K5600-5-9に基づいて、#0000のスチールウールを用いて1kgfの荷重で行った。このとき、往復回数は、過酷条件である10,000回とし、試験前後の基材表面の接触角値を測定した。
Figure 2023509065000007
前記表1に示すように、実施例1~3は、表面硬度、透過率などに優れるうえ、耐摩耗、塩水噴霧、高温高湿、耐久性試験前と後の接触角の変化が少ないことからみて、比較例1~5に比べて耐摩耗性、耐スクラッチ性、及び過酷条件に対する耐久性に優れることが分かる。これに対し、比較例2及び3で使用したシルセスキオキサンオリゴマーは、溶媒との相溶性に劣って混合されないため、撥水コーティング層を形成することができず、物性評価が不可能であった。
実施例1と実施例2とを比較したとき、耐摩耗及び耐久性試験前と後の接触角の変化が実施例1でより小さいことからみて、実施例1が実施例2よりも耐摩耗性、耐久性に優れることが分かる。
一方、試験前の初期接触角は、実施例2が123°と実施例1よりもさらに大きいので、実施例2が実施例1よりもさらに優れるスリップ性(撥水性)を示すことが分かる。
したがって、フッ素(F)5個以下の短い置換基を有するシルセスキオキサンオリゴマーを含む場合には、耐摩耗性、耐久性などが高くなり、フッ素6個以上の長い置換基を有するシルセスキオキサンオリゴマーを含む場合には、スリップ性(撥水性)が高くなることが分かる。

Claims (14)

  1. 下記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマー、
    フッ素系化合物、及び
    溶媒を含む、撥水コーティング組成物。
    [化学式1]
    Figure 2023509065000008
    (上記化学式1中、
    は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアリール基、炭素数1~30の含フッ素有機基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基又はチオール基であり、Rの少なくとも1つは、炭素数1~30の含フッ素有機基であり;
    は、それぞれ独立して、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基であり;
    n及びmは、それぞれ独立して、1~100,000の整数である。)
  2. 前記シルセスキオキサンオリゴマーは、全Rの総モル(mol)数に対して、フッ素の比率が1モル%~10モル%である、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  3. 前記Rの少なくとも1つは、炭素数1~30のフルオロアルキル基又は炭素数1~30のペルフルオロポリエーテル基である、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  4. 前記シルセスキオキサンオリゴマーにおいて、ヒドロキシ基の含有量は、全シルセスキオキサンオリゴマーの重量に対して0.5重量%以下である、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  5. 前記フッ素系化合物は、フッ素又はペルフルオロ(ポリ)エーテル基を含む炭素数1~50のシラン化合物、これらの誘導体又は重合体の中から選択される1種以上である、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  6. 前記シラン化合物は、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルキルシラン、置換もしくは無置換の炭素数1~50のアルコキシシラン、置換もしくは無置換の炭素数6~50のアリールシラン、置換もしくは無置換の炭素数3~50のシクロアルキルシラン、置換もしくは無置換の炭素数1~50のクロロシラン、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項5に記載の撥水コーティング組成物。
  7. 前記溶媒はフッ素系溶媒を含む、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  8. 前記フッ素系溶媒は、エチルノナフルオロイソブチルエーテル、エチルノナフルオロブチルエーテル、ペルフルオロブチルエチルエーテル、ペルフルオロヘキシルメチルエーテル、及びこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項7に記載の撥水コーティング組成物
  9. 前記溶媒の全100重量%に対して、フッ素系溶媒を80重量%~100重量%で含む、請求項7に記載の撥水コーティング組成物。
  10. 全撥水コーティング組成物に対して、前記シルセスキオキサンオリゴマーの含有量は0.1重量%~10重量%であり;前記フッ素系化合物の含有量は0.5重量%~10重量%であり;前記溶媒の含有量は80重量%~99重量%である、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  11. 前記撥水コーティング組成物は開始剤をさらに含む、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  12. 前記撥水コーティング組成物は湿式コーティング用組成物である、請求項1に記載の撥水コーティング組成物。
  13. 基材と、
    前記基材の上部に位置し、下記化学式1のシルセスキオキサンオリゴマー、フッ素系化合物及び溶媒を含む撥水コーティング組成物の硬化物である撥水コーティング層と、を含む、コーティング物品。
    [化学式1]
    Figure 2023509065000009
    (上記化学式1中、
    は、それぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1~30のアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1~30の含フッ素有機基、アミノ基、(メタ)アクリル基、ビニル基、エポキシ基又はチオール基であり、Rの少なくとも1つは、炭素数1~30の含フッ素有機基であり;
    は、それぞれ独立して、水素、又は置換もしくは無置換の炭素数1~10のアルキル基であり;
    n及びmは、それぞれ独立して、1~100,000の整数である。)
  14. 前記基材と前記撥水コーティング層との間にハードコーティング層をさらに含む、請求項13に記載のコーティング物品。
JP2022540846A 2019-12-31 2020-12-16 シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物 Pending JP2023509065A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
KR20190178948 2019-12-31
KR10-2019-0178948 2019-12-31
KR1020200175179A KR20210086489A (ko) 2019-12-31 2020-12-15 실세스퀴옥산 올리고머를 포함하는 습식 코팅용 발수 코팅 조성물
KR10-2020-0175179 2020-12-15
PCT/KR2020/018486 WO2021137481A1 (ko) 2019-12-31 2020-12-16 실세스퀴옥산 올리고머를 포함하는 습식 코팅용 발수 코팅 조성물

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023509065A true JP2023509065A (ja) 2023-03-06

Family

ID=76686002

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022540846A Pending JP2023509065A (ja) 2019-12-31 2020-12-16 シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023509065A (ja)
CN (1) CN114867794B (ja)
WO (1) WO2021137481A1 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4118973B2 (ja) * 1997-03-14 2008-07-16 新日鐵化学株式会社 シリコーン化合物及びその製造方法
US6911518B2 (en) * 1999-12-23 2005-06-28 Hybrid Plastics, Llc Polyhedral oligomeric -silsesquioxanes, -silicates and -siloxanes bearing ring-strained olefinic functionalities
US6731857B2 (en) * 2001-03-29 2004-05-04 Shipley Company, L.L.C. Photodefinable composition, method of manufacturing an optical waveguide with the photodefinable composition, and optical waveguide formed therefrom
JP2003138216A (ja) * 2001-10-31 2003-05-14 Denso Corp ワイパーブレードゴム用コーティング剤及びワイパーブレードゴム
CN105524552B (zh) * 2016-01-18 2019-05-17 矽时代材料科技股份有限公司 一种高性能有机硅氟纳米涂料及其应用
KR102035831B1 (ko) * 2016-03-17 2019-11-18 주식회사 엘지화학 다면체 올리고머 실세스퀴옥산 및 그 제조 방법
KR20180058912A (ko) * 2016-11-24 2018-06-04 삼성디스플레이 주식회사 하드 코팅 조성물 및 플렉서블 표시 장치
KR20190056307A (ko) * 2017-11-16 2019-05-24 주식회사 동진쎄미켐 실세스퀴옥산 고분자 및 그를 포함하는 코팅 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021137481A1 (ko) 2021-07-08
CN114867794A (zh) 2022-08-05
CN114867794B (zh) 2023-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11193026B2 (en) Silane compound containing perfluoro (poly)ether group
TWI683858B (zh) 透明皮膜
TW201213446A (en) Fluorooxyalkylene group-containing polymer composition, a surface treatment agent comprising the same and an article treated with the agent
JP2018534168A (ja) 積層体およびその製造方法
EP2935493A1 (en) Curable silsesquioxane polymers, compositions, articles, and methods
JP6934002B2 (ja) 積層体
CN109942856B (zh) 硬涂料
JP2019501148A (ja) 多面体オリゴマーシルセスキオキサンおよびその製造方法
US20130309509A1 (en) Resin substrate provided with hard coating film, and process for its production
Lai et al. Facile preparation of a transparent and rollable omniphobic coating with exceptional hardness and wear resistance
TWI721161B (zh) 矽烷異氰酸酯化合物以及包含該化合物之組成物
WO2020056542A1 (en) Two-part coating composition
JP7263356B2 (ja) ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを備えた物品、及び画像表示装置
KR20210086489A (ko) 실세스퀴옥산 올리고머를 포함하는 습식 코팅용 발수 코팅 조성물
TWI762582B (zh) 混合組成物、被覆體及其製造方法
KR20150102860A (ko) 실세스퀴옥산 복합 고분자 및 이의 제조방법
TW201739787A (zh) 含有氟聚醚基之聚合物改質矽烷、表面處理劑及物品
KR20180081052A (ko) 플루오로폴리에터기 함유 폴리머 변성 유기 규소 화합물, 표면 처리제 및 물품
CN110997842B (zh) 涂料树脂组合物和包含该涂料树脂组合物的固化产物作为涂层的涂膜
US20190177573A1 (en) Curable Silsesquioxane Polymer Comprising Inorganic Oxide Nanoparticles, Articles, and Methods
JP2023509065A (ja) シルセスキオキサンオリゴマーを含む湿式コーティング用撥水コーティング組成物
CN110678497B (zh) 含有氟聚醚基的聚合物改性有机硅化合物、表面处理剂和物品
JP2020519709A (ja) コーティング用樹脂組成物及びその硬化物をコーティング層として含むコーティングフィルム
TW201542719A (zh) 使用矽倍半氧烷複合高分子的塑膠塗佈方法
JP2024501200A (ja) シルセスキオキサン樹脂、及びこれを含む耐指紋特性の反射防止組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231208