JP2023506105A - 埋め込み型機能層のための表面調和 - Google Patents
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Abstract
本発明は、繊維基材(1)と、機能層(2)と、コーティング(5)と、機能層(2)とコーティング(5)との間に配置される繊維カバー層(4)とを有する多層材料に関する。繊維カバー層(4)が機能層(2)とコーティング(5)との間に配置されるという点で、コーティング(5)の密着性は向上する。繊維カバー層(4)上のコーティング(5)の密着性は、繊維基材(1)上の密着性に相当する。【選択図】図1
Description
本発明は、機能層とコーティングとを有する多層材料に関する。
繊維コーティングの分野では、繊維基材にコーティング、例えばポリマーコーティングを施すことが知られている。コーティングは、コーティング剤として繊維基材に塗布され、そこで基材の多孔質構造のため、少なくとも部分的に基材に浸透することができる。例えば、加硫によって生み出される、コーティングの基材への密着性は、主として機械式定着に基づく。
機能層を膜、ステッカー、または印刷構造の形態で繊維基材に適用することも知られている。これらの機能層は、具体的に、導体トラック、センサ、またはフレキシブル回路基板を備えてもよい。しかしながら、繊維材料とそれに付随する機能層に別のコーティング、特にポリマーコーティングを施すことに問題があることが判明している。コーティング剤は主に、繊維基材に特によく付着し、耐久性のある方法で付着するように意図されているが、コーティングと機能層との間の密着性は多くの場合、不十分である。
密着不良の問題を解決するために、コーティング剤を適合させる、もしくは機能層の表面を適合させるという2つの方法が知られている。
機能層への密着性を向上させるために、コーティング剤を適合させることができる。この場合、相互作用の大部分は、機能層の表面へのコーティングのイオン結合または共有結合が生成されるように、化学的根拠に基づいて確立される。しかしながら、コーティング剤の組成の変更は、滴下時間、粘度、および表面エネルギーなどの特性にも影響をもたらし、これにより製造プロセスに影響を及ぼす。さらに、柔らかさ、グリップ、抵抗力、および視覚特性など、コーティングの結果として生じる特性も、この変更によって悪影響を受ける可能性がある。
化学的または物理的手段によって、機能層の表面を、既存のコーティング剤に適合させることができる。コーティングの機械的定着を向上させるために、粗面化によって機能層の表面を増加させることができる。しかしながら、繊維産業で頻繁に使用されるような、薄い機能層の場合、繊維基材の規模で内部表面を生成ことは不可能であり、したがって、粗面化はほぼ適さない。
表面の化学的適合は、機能層とコーティングとの間で化学的相互作用を向上させることを目的としている。しかしながら、これを行うためには、コーティング剤がこのような相互作用を可能にしなければならないが、特に、個人用防護具の分野で使用されるような、耐薬品性コーティングの場合、単純にそういう訳にはいかない。さらに、化学修飾は、機能層の要素の機能性、ならびにそれらの導電性に影響を及ぼす可能性がある。
米国特許出願第2017/0367917A1号公報(特許文献1)は、異なる環境で熱調節を可能にする衣料品を開示している。この衣料品は、様々な層を含み、また、層の間にセンサを配置することができる。
ドイツ特許出願第102008006969A1号公報(特許文献2)は、加熱手段を有する手袋を開示している。温度を設定するために、チャンバ内にカプセル化された少なくとも2つのスイッチが設けられている。チャンバは、フレキシブル材料からなるフランジ状の縁を備える。
米国特許出願第2018/0266900A1号公報(特許文献3)は、導電性繊維、非導電性繊維、およびピエゾ抵抗性繊維を含む圧力センサを開示しており、これらは一緒に織られている。圧力センサは、導電性繊維および非導電性繊維を有する第1の電極層を含む。第2の電極層は、導電性繊維および非導電性繊維を含む。ピエゾ抵抗層は、ピエゾ抵抗性繊維を含み、第1の電極層と第2の電極層との間に配置される。また、圧力センサの上面および下面にコーティング膜を形成することを開示している。
このことから前進して、本発明の目的は、繊維基材と、機能層と、コーティングとを有し、機能層とコーティングとの間の密着性を向上させることを特徴とする、多層材料を提供することである。
この目的は、請求項1の特徴を有する多層材料によって解決される。有利な実施形態は、後続の従属請求項に明記されている。
本発明による多層材料は、機能層とコーティングとの間に配置される、繊維カバー層を含む。したがって、多層材料は、基材、機能層、カバー層、およびコーティングから構成される。このように、機能層上で繊維基材の表面特性を模造する試みはなされておらず、むしろ、その多孔質構造のために、コーティング剤の部分的浸透を可能にする、基材と同様の繊維カバー層が提供される。その結果、カバー層へのコーティングの機械的定着は、繊維基材へのコーティングの定着と同等となる。別の利点は、本発明による多層材料は、着心地が良いことである。機能層は一般に、本来織物ではないため、着用時に煩わしいと認識されることが多い。繊維カバー層は、機能層に、繊維基材に相当する感触を提供する。さらに、従来の解決策に比べ、機能層による柔軟性への影響が少ない。層、具体的には、基材、機能層、カバー層、およびコーティングは、各々別々の層であり、織物の手法で一緒に織られ、結ばれ、織り交ぜられ、もしくはその他の方法で結び付けられない。
好ましくは、機能層は、1つまたは複数のステッカー、印刷構造、またはこれらの組み合わせの形態である。機能層は伸縮自在であり、基材の起こり得る変形に適応することができる。繊維カバー層は、基板および機能層の柔軟性を損なわない。
好ましくは、機能層は、導体トラック、センサ、および/またはフレキシブル回路基板を備える。センサは、例えば、圧力センサ、温度センサ、または電流センサであってもよい。センサの測定値は、導体トラックを経由して転送されてもよい。
機能層と繊維基材との間に密着性を生じさせるために、機能層は、好ましくは繊維基材上に印刷されるか、積層されるか、もしくは接着される。特に好ましくは、多層材料の十分な凝集力を生み出すために、粘着層が、機能層とカバー層との間に追加配置される。最も単純な場合、この粘着層は、機能層と繊維基材との間の粘着層と同一である。これに関して、繊維の分野では、数ある中で、熱接着剤とホットメルト接着剤が知られており、圧力および温度の影響下で機能層をカバー層に結合するように、機能層に塗布される。経済的に魅力的な解決策は、機能層の両面に各々1つの粘着層を形成し、基板、機能層、およびカバー層からなる層システムを1つの工程で接着することである。粘着層は、機能層の表面全体に適用されてもよく、もしくは特定の点または特定の領域に局所的に適用されてもよい。適切な粘着層の局所的な適用は、層が互いに相対的に移動できるように行われてもよく、これにより多層材料の柔軟性が促進される。
好ましくは、繊維基材の材料は、1本の糸から織られるか、もしくは編まれる。このようにして得られた材料は、コーティングの機械式定着を可能にする開気孔構造を有する。繊維カバー層は、好ましくは同様の開気孔表面特性を有する材料からなり、コーティングがまたその中に定着できるようにする。特に好ましくは、繊維カバー層は、繊維基材と同じ糸から織られるか、もしくは編まれる。特に簡単な実施形態では、繊維カバー層の材料は、繊維基材の材料と同一である。ただし、同じ糸から異なる材料を得ることも考えられ、例えば、基材は編まれ、カバー層は織られてもよい。
好ましくは、コーティングは、ポリマーコーティングであり、特に好ましくは、ポリ塩化ビニル、ニトリルゴム、またはポリテトラフルオロエチレンからなる。ポリマー成分を含有してもよい、コーティング剤は、織物層および埋め込み型機能層を浸漬または噴霧することによって塗布され得る。コーティング剤の浸透深さを調節するために、織物層は、凝固剤で前処理されてもよい。さらなる処理工程で、コーティング剤は加硫され、ポリマーは織物の多孔質構造内に定着するようになる。
別の実施形態では、繊維カバー層は、機能層を完全に覆う。特に好ましくは、カバー層は、機能層より大きく、したがって機能層の縁を覆い、作用力による剥離から保護することができる。
多層材料の別の実施形態では、繊維カバー層は、機能層の領域内に開口部を備える。カバー層におけるこれらの開口部により、選択的コーティングが可能である。開口部の領域では、コーティングは、最初に機能層と直接接触している。ただし、コーティングと機能層との間の密着が不十分であるため、コーティングは、これらの点で除去される可能性があり、したがって、領域内の機能層を曝す。
これにより、コーティングが機能層の領域内に開口部を備え、これらの開口部が繊維カバー層における開口部と一致する特に好ましい実施形態が生じる。この配置により、機能層の露出した領域と、その中に配置された接点およびセンサにアクセス可能である。このように、センサによって記録された情報を転送し、別の場所でさらに処理することができる。
好ましくは、機能要素が、コーティング上に配置され、機能層と導電または熱伝導で接触している。導体トラックまたは他の接触は、機能層からカバー層およびコーティング内の開口部を通って、コーティング上の機能要素に導かれる。このように、織物層に埋め込まれるのに適さない機能要素を、コーティングに取り付け、後に機能層と接触させることができる。
一実施形態では、個人用防護具のアイテムは、本発明による多層材料を含む。本発明による多層材料は、埋め込み型機能層の織物の感触のために、機能層のない衣料品と実質的に同じように快適に着用できるので、個人用防護具の分野における衣類に特に適している。さらに、加工中に、多層材料は、機能層のない織物と同じ方法で処理されてもよい。
別の実施形態では、ニット製手袋は、本発明による多層材料を含む。この場合、ニット製手袋ブランクは、機能層および繊維カバー層を適用した繊維基材として機能する。埋め込み型機能層を備えた手袋ブランクは、機能層のないニット製手袋と同じ方法でさらに加工されてもよい。
本発明は、図面に示される実施形態に基づいてより詳細に説明される。
図1は、コーティングのない多層システムを通る断面図である。この断面図は、繊維基材1およびその上に固定された機能層2を示す。粘着層3は、カバー層4と機能層2との間に示されている。粘着層3は、熱接着剤またはホットメルト接着剤からなり、圧力と熱の影響下でカバー層4および機能層2に結合するようになっていてもよい。
図示されたカバー層4は、カバー層4が機能層2の縁と重なるように、機能層2を越えて延びている。この重なりは、繊維基材1からの機能層2の剥離を促進し得る局所的に加えられる力から機能層2を保護する。
図では、カバー層4は、基材よりも薄く示されている。厚さに関係なく、両方の層は、同じ糸から生成可能である。
図2は、カバー層4およびコーティング5に開口部6を有する多層材料の例示的な一実施形態の平面図である。コーティング5の下の機能層2は、斜線によって示されている。開口部6は、下層にある機能層2の一部と重なり、機能層2の一部を曝す。示された例示的な実施形態では、機能層2上に位置する複数の接点8が曝されている。機能層2の要素は、導体トラック9を介して、コーティング5上に位置する機能要素10に接続される。機能要素は、センサなどであってもよい。
図3は、図2にて示されたシステムを通る断面図である。機能層2は、繊維基材1に適用されている。機能層2は、粘着層3によって基材1に接着されている。カバー層4は、機能層2の上に、機能層2の縁を越えて延びている。カバー層4は、開口部6を備え、機能層2上の接点8を曝す。コーティング5は、同じ箇所に開口部を有する。導体トラック9は、接点8から、開口部に近いコーティング上に配置された機能要素10に繋がる。
以下の例に基づいて本発明によって対処される課題を技術用語で上手く説明することができる。例えば、縫い目がないニット製の、実質的にポリアミド糸およびスパンデックス糸からなる手袋は、繊維基材を形成する。機能層は、ホットプレス法によって、手のひらの領域で前記繊維基材上に積層される。機能層は、熱可塑性PU(TPU)製の弾性キャリア膜からなり、また、上面に印刷された導体トラックおよびセンサ構造からなる。
その後、機能層を備えた手袋は、ニトリル層でコーティングされる。このために、手袋は、型に入れられ、生理食塩水に浸されることにより、塩に接触して凝固する。凝固後、手袋を洗浄して、余分な塩を取り除く。その後、手袋を乾燥させ、ニトリルコーティングは完全に加硫する。
完成した手袋は、繊維基材と比較して、機能層上のニトリルコーティングの密着性が著しく劣っていることがわかる。この密着不良は、機能層からのニトリルコーティングの流出跡および剥離によって証明される。DIN EN 388による摩耗試験では、200サイクル未満でTPUからのニトリル層の完全な剥離が示される。
本発明による解決策では、その導体トラックを備えたTPUからなる機能層は、積層より前に粘着性の層で上面に噴霧され、ニット製のポリアミドおよびスパンデックス生地からなるカバー層は、その上に適用される。その後、前の例と同様に、機能層およびその上のカバー層は、繊維基材上に積層される。その後、ニトリルでコーティングが行われる。
手袋は、繊維基材上のコーティングと機能層との間に視覚的な違いを示さない。厚みの違いのみ、カバー層によって形成された追加層から明らかである。DIN EN 388による摩耗試験では、カバー層の領域および繊維基材の領域において8,000サイクル超に達する。
本発明の別の実施形態では、カバー層として、平均繊維長が0.5mmのポリアミド繊維層が利用される。この長さで、繊維は、短繊維と呼ばれる。機能層の積層中に、機能層の上面の短繊維は、部分的に圧入される。対応する領域は、異なる深さで陥没している繊維であり、したがって、カバー層に対して不均一なコーティングの外観を生じさせる。なお、それほど圧入されていない繊維の方が、ニトリルコーティングに対してより良い密着性を提供することに留意されたい。これにより、DIN EN 388による摩耗試験では、ニトリルおよびカバー層が摩耗する前に、カバー層の領域において500~2,000の間のサイクルに達する。
別の実施形態では、ビスコースおよびスパンデックスからなる弾性織物が、機能層の上面にカバー層として利用される。織物は、その下面に熱活性化可能な粘着性の層を備える。粘着性の層は、噴霧されていない。この例では、織物基材、機能層、およびカバー層は、接合工程で積層可能である。
これらの例では、視覚的欠陥が気泡の形態で見られる可能性があり、ビスコース繊維が生理食塩水で十分に濡れていないことに起因する。したがって、ニトリル分散液は、不均一な様で凝固し、カバー層の領域ではほとんど浸透しない。DIN EN 388による摩耗試験では、ニトリルおよびカバー層が摩耗する前に、カバー層の領域において2,000サイクルに達する。
1 繊維基材
2 機能層
3 粘着層
4 カバー層
5 コーティング
6 開口部
8 接点
9 導体トラック
10 機能要素
2 機能層
3 粘着層
4 カバー層
5 コーティング
6 開口部
8 接点
9 導体トラック
10 機能要素
Claims (13)
- 繊維基材(1)と、機能層(2)と、コーティング(5)とを備える多層材料であって、繊維カバー層(4)が、前記機能層(2)と前記コーティング(5)との間に配置されることを特徴とする、多層材料。
- 前記機能層(2)は、少なくとも1つのステッカーまたは印刷構造の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の多層材料。
- 前記機能層(2)は、導体トラック(9)、センサ、またはフレキシブル回路基板を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の多層材料。
- 前記機能層(2)は、前記繊維基材(1)上に印刷されるか、積層されるか、もしくは接着されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の多層材料。
- 粘着層(3)は、前記機能層(2)と前記繊維カバー層(4)との間に配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の多層材料。
- 前記繊維基材(1)は、1本の糸から織られるか、もしくは編まれ、前記繊維カバー層(4)は、同一の糸から織られるか、もしくは編まれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層材料。
- 前記コーティング(5)は、ポリマーコーティングであり、好ましくは、ポリ塩化ビニル、ニトリルゴム、またはポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の多層材料。
- 前記繊維カバー層(4)は、前記機能層(2)を完全に覆うことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の多層材料。
- 前記繊維カバー層(4)は、前記機能層(2)の領域内に開口部(6)を備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の多層材料。
- 前記コーティング(5)は、前記機能層(2)の領域内に開口部(6)を備え、これらの開口部(6)は、前記繊維カバー層(4)における前記開口部と一致することを特徴とする、請求項9に記載の多層材料。
- 機能要素(10)が、前記コーティング(5)上に配置され、前記機能層(2)と導電または熱伝導で接触していることを特徴とする、請求項9または10に記載の多層材料。
- 個人用防護具のアイテムであって、前記個人用防護具のアイテムは、請求項1から11のいずれか一項に記載の多層材料を含むことを特徴とする、個人用防護具のアイテム。
- ニット製手袋であって、前記手袋は、請求項1から11のいずれか一項に記載の多層材料を含むことを特徴とする、ニット製手袋。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A529 | Written submission of copy of amendment under article 34 pct |
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