JP2023180763A - 容器詰乳入りコーヒー飲料、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料、及びその製造方法等を提供することにある。【解決手段】パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を含有し、かつ、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率が0.3~3.0である、容器詰乳入りコーヒー飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料、及びその製造方法等に関する。
コーヒー飲料は嗜好品として広く愛好されている。容器詰コーヒー飲料は、いつでも手軽にコーヒー飲料を楽しむことができるなどの利便性があり、コーヒー飲料を工業的に生産した容器詰コーヒー飲料が数多く上市されている。
コーヒー飲料の風味には、コク、キレ、香り等の多くの要素があり、容器詰コーヒー飲料の香味を向上させるために、これまでに様々な試みがなされている。コーヒーの香気成分は約800種類あるといわれており、例えば、アルデヒド類、エステル類、フラン類、ケトン類、アルコール類、ピラジン類、ピロール類、ピリジン類、硫黄化合物などが知られている。例えば、特許文献1には、良好な苦味とコクを得るため、カフェインとイソクエルシトリンおよびその糖付加物を特定の割合で含むコーヒー飲料が開示されている。また、特許文献2には、焙煎コーヒー豆を水蒸気蒸留させた留分と、水蒸気蒸留後の焙煎コーヒー豆抽出液の多孔質吸着体処理物とを混合させることにより、コクと香り、キレの良いコーヒー抽出液の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、コーヒー感を高めつつ、良好な苦みと後味を実現するため、ベンズアルデヒド、フルフリルメチルジスルフィド、2,6-ジメトキシフェノールを所定量含む容器詰コーヒー飲料が開示されている。
一方、特許文献4には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、植物油脂及び水を含む植物油脂組成物を含有する容器詰飲料であって、濃厚で新鮮なミルク感が味わえる容器詰飲料が開示されている。
しかし、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、特定の植物油脂を特定濃度で用いることによって、ミルク感などの香味ではなく、コーヒー自体の香味を改善できることはこれまで知られていなかった。より具体的には、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前述の容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することにより、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感を向上させることができることはこれまで知られていなかった。
特開2015-119701号公報 特開2016-192971号公報 特開2021-103944号公報 特開2021-108571号公報
本発明の課題は、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料、及びその製造方法等を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、様々な方法を鋭意検討する中で、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前述の容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することにより、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感を向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を含有し、かつ、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率が0.3~3.0である、容器詰乳入りコーヒー飲料;
(2)甘味料を含まない、上記(1)に記載の容器詰乳入りコーヒー飲料。;
(3)加熱殺菌処理された、上記(1)又は(2)に記載の容器詰乳入りコーヒー飲料;
(4)容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、
パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造方法;
(5)容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、
パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料において、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感を向上させる方法;
等に関する。
本発明によれば、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料、及びその製造方法等を提供することができる。
本発明は、
[1]パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率(以下、「オレイン酸/パルミチン酸」比率とも表示する。)が15以上の植物油脂を含有し、かつ、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率(以下、「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率とも表示する。)が0.3~3.0である、容器詰乳入りコーヒー飲料(以下、「本発明の容器詰コーヒー飲料」あるいは「本発明の容器詰乳入りコーヒー飲料」とも表示する。);
[2]容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造方法(以下、「本発明の製造方法」とも表示する。);
[3]容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料において、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感を向上させる方法(以下、「本発明の向上方法」とも表示する。);
などの実施態様を含んでいる。
(コーヒー飲料)
本発明において「コーヒー飲料」とは、特に断りがない限り、コーヒー成分を原料として製造される飲料を意味する。コーヒー飲料の製品の種類や規格は、特に限定されないが、1977年に認定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の定義である「コーヒー」、「コーヒー飲料」及び「コーヒー入り清涼飲料」等が含まれる。コーヒー成分を原料とした飲料においても、乳固形分が3.0重量%以上のものは「飲用乳の表示に関する公正競争規約」の適用を受け、「乳飲料」として取り扱われるが、これも、本発明のコーヒー飲料に含まれる。また、カフェインを90%以上除去したコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー成分のみを使用した「コーヒー入り清涼飲料(カフェインレス)」に関しても、本発明のコーヒー飲料に含まれる。
本明細書において「コーヒー成分」とは、焙煎コーヒー豆由来の成分を含有する液のことをいい、例えば、(a)コーヒー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した液、(b)コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキスを、水や温水などで適量に調整した液、(c)コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーを、水や温水などで適量に調整した液、などが挙げられる。本明細書において「インスタントコーヒー」とは、コーヒー抽出液を乾燥処理して得られる固体の物質であり、典型的には、粉末状、顆粒状である。
本発明において、容器詰コーヒー飲料中のコーヒー固形分濃度は特に制限されないが、例えば0.5w/w%以上、好ましくは0.65w/w%以上が挙げられる。飲料中のコーヒー固形分濃度の上限は特に制限されないが、例えば1.5w/w%以下が挙げられる。
本発明において「コーヒー固形分」とは、コーヒー成分を一般的な乾燥法(凍結乾燥、蒸発乾固など)を用いて乾燥させて水分を除いた後の、乾固物の重量のことをいう。すなわち、コーヒー飲料におけるコーヒー固形分は、コーヒー飲料に含まれ得る可溶性固形分のうち、乳成分、甘味成分、pH調整剤、香料等の、コーヒー豆に由来しない成分を除いた固形分をいう。コーヒー固形分は、糖度計(糖用屈折計)を用いて測定することができる。
容器詰コーヒー飲料中のコーヒー固形分濃度は、容器詰めコーヒー飲料を製造する際に用いるコーヒー成分の量や、コーヒー成分における焙煎コーヒー豆由来の成分の濃度などを調整することによって、調整することができる。
(本発明の容器詰コーヒー飲料)
本発明の容器詰コーヒー飲料は、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を含有し、かつ、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率が0.3~3.0である限り、用いる原料、その他の任意成分、及び容器詰コーヒー飲料の製造方法並びに製造条件について特に制限はない。
(「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上の植物油脂)
本発明の植物油脂は、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂である。本発明の植物油脂としては、植物油脂中の、パルミチン酸濃度に対するオレイン酸濃度の比率が15以上である植物油脂である限り特に制限されない。
本発明の植物油脂として、具体的には、ハイオレイックヒマワリ油(ハイオレイン酸タイプのヒマワリ油)、ハイオレイックナタネ油(ハイオレイン酸タイプのナタネ油)、ナタネ油からなる群から選択される1種又は2種以上の植物油脂が挙げられる。なお、常温、特に20~30℃付近で液状の脂肪は、常温での扱いやすさから好適に使用される。また、本発明の植物油脂としては、植物油脂の精製品であることが好ましいが、本発明の効果が得られる限り、本発明の植物油脂の含有物であってもよい。かかる含有物としては、本発明の植物油脂を30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上のものを好適に挙げることができる。
なお、本発明の植物油脂としては、市販のものを用いることができる。また、植物油脂中のオレイン酸濃度や、パルミチン酸濃度は、公知の方法により測定することができる。
(飲料中の乳脂肪含有濃度に対する本発明の植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率が0.3~3.0であること)
本発明において、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する本発明の植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率(「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率)は、0.3~3.0であり、コーヒーらしい香りの質をより満足に保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感をより向上する観点から、好ましくは0.40~2.9、より好ましくは0.83~2.9又は0.84~2.1又は2.1~2.9、さらに好ましくは1.5~2.5、なおさらに好ましくは1.7~2.1であることが挙げられる。
飲料中の、本発明の植物油脂由来のオレイン酸濃度や、飲料中の乳脂肪濃度は、HPLC等を用いる公知の方法により測定することができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料の「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率は、本発明の容器詰コーヒー飲料を製造する際に用いる乳の使用量や、本発明の植物油脂の種類の選択や、本発明の植物油脂の使用量などを調整することによって、調整することができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料における、本発明の植物油脂に由来するオレイン酸濃度は、飲料中の「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が0.3~3.0である限り特に制限ないが、飲料中の、本発明の植物油脂に由来するオレイン酸濃度として、例えば0.02w/w%以上、好ましくは0.045w/w%以上が挙げられる。かかるオレイン酸濃度の上限は特に制限されないが、例えば3.0w/w%以下が挙げられる。
(乳)
本発明の容器詰コーヒー飲料は、乳入りの容器詰コーヒー飲料である。本明細書における「乳」とは、動物由来の乳を意味する。このような乳としては、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳又は人工乳などが挙げられ、中でも、牛乳が好ましく挙げられる。人工乳としては、乳中の一部の成分又はその処理物を含む組成物が挙げられ、より具体的には、食塩、デキストリン及び糖からなる群から選択される1種又は2種又は3種と、乳蛋白若しくはその処理物(好ましくは、カゼインナトリウム)とを含む組成物が挙げられ、カゼインナトリウム、食塩、デキストリン及び糖を含む組成物が好ましく挙げられる。これらの乳は、単独又は2種類以上の混合物として用いることができる。
乳の形態は特に限定されず、乳そのものであっても、乳の加工品であってもよく、また、液体状であっても、固体状(粉末状など)であってもよい。動物由来の乳の加工品として、例えば、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳蛋白濃縮物などが挙げられ、また、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用でき、好ましくは脱脂粉乳を使用することができる。
本発明の容器詰コーヒー飲料における乳の含有量は、飲料中の「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が0.3~3.0である限り特に制限ないが、飲料中の乳脂肪濃度として、例えば0.1w/v%以上、好ましくは0.2w/v%以上が挙げられる。飲料中の乳脂肪濃度の上限は特に制限されないが、例えば0.85w/v%以下が挙げられる。
(任意成分)
本発明において、容器詰コーヒー飲料は、本発明の植物油脂、乳、及び、コーヒー成分(これらを併せて必須成分とも表示する)のみを含んでいてもよいし、必須成分以外に任意成分をさらに含んでいてもよい。このような任意成分としては、香料、色素、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、酸味料、酸化防止剤、保存料、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤、苦味料)、本発明の植物油脂以外の植物油脂(すなわち、パルミチン酸濃度に対するオレイン酸濃度の比率が15未満である植物油脂)、植物由来タンパク質が挙げられる。本発明の植物油脂以外の植物油脂を使用する場合、その使用量は、本発明の効果が得られる限り、特に制限されないが、本発明の植物油脂以外の植物油脂は用いないことが好ましい。
本発明の容器詰コーヒー飲料は、上記に例示された任意成分からなる群から選択される任意の1種又は2種以上を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
本発明の容器詰コーヒー飲料は、植物由来タンパク質を含んでいてもよいが、含んでいないことが好ましい。かかる植物由来タンパク質としては、植物由来のタンパク質である限り特に制限されず、大豆タンパク質、アーモンドタンパク質、オーツ麦タンパク質、米タンパク質などが挙げられる。本発明の容器詰コーヒー飲料は、大豆タンパク質、アーモンドタンパク質、オーツ麦タンパク質、及び、米タンパク質からなる群から選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいが、含んでいないことが好ましく、中でも、これらの群のいずれのものも含んでいないことが好ましい。
また、他の態様として、本発明の容器詰コーヒー飲料は、豆乳、豆乳の濃縮物、豆乳の乾燥物、大豆粉砕物、大豆ペースト、大豆エキスパウダー、大豆糖化液、大豆加工品、アーモンドミルク、アーモンドミルクの濃縮物、アーモンドミルクの乾燥物、アーモンド粉砕物、アーモンドペースト、アーモンドエキスパウダー、アーモンド糖化液、アーモンド加工品、オーツミルク、オーツミルクの濃縮物、オーツミルクの乾燥物、オーツ麦の粉砕物、オーツ麦ペースト、オーツエキスパウダー、オーツ麦糖化液、オーツ加工品、ライスミルク、ライスミルクの濃縮物、ライスミルクの乾燥物、米粉砕物、米ペースト、米エキスパウダー、米糖化液、及び、米加工品からなる群から選択される1種又は2種以上を含んでいてもよいが、含んでいないことが好ましく、中でも、これらの群のいずれのものも含んでいないことが好ましい。
本発明における容器詰コーヒー飲料は、甘味料を含んでいても、含んでいなくてもよいが、コーヒーらしい香りの質をより満足に保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感をより向上する観点から、甘味料を含まない(又は甘味料を添加しない)容器詰コーヒー飲料(すなわち、乳由来の糖を含むものの、甘味料を含まない容器詰コーヒー飲料)が好ましく、甘味料として糖類を含まない(又は甘味料として糖類を添加しない)容器詰コーヒー飲料(すなわち、乳由来の糖を含むものの、甘味料として糖類を含まない容器詰コーヒー飲料)がさらに好ましく挙げられる。
上記の「甘味料」としては、果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース等の単糖、乳糖、トレハロース、麦芽糖、ショ糖等の二糖、粉末水あめ等の多糖といった結晶性糖類;マルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖;水あめ、異性化液糖(例えば果糖ぶどう糖液糖)等の非結晶性糖類;マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール;スクラロース、ステビア、甘草抽出物、ソーマチン、グリチルリチン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK等の高甘味度甘味料;を挙げることができる。なお、本明細書における「甘味料」には、用いる乳由来の糖は含まれない。
(容器)
本発明の容器詰コーヒー飲料における容器とは内容物と外気との接触を断つことができる密閉容器を意味する。かかる容器としては、材質や形状など、特に制限されず、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などが挙げられる。
(本発明の製造方法)
本発明の製造方法としては、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂(本発明の植物油脂)を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造方法である限り特に制限されない。本発明の容器詰乳入りコーヒー飲料は、本発明の植物油脂を容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率を0.3~3.0に調整すること以外は、容器詰乳入りコーヒー飲料の一般的な製造方法により製造することができる。容器詰乳入りコーヒー飲料の一般的な製造方法は公知であり、例えば、コーヒー抽出液を調製し、調合工程、充填工程、加熱殺菌工程を経て容器詰コーヒー飲料を製造することができる。なお、前述の容器詰乳入りコーヒー飲料の一般的な製造方法としては、より詳細には、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
本発明において、「本発明の植物油脂を容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させる」こととしては、本発明の容器詰乳入りコーヒー飲料が本発明の植物油脂を含有するように、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造工程のいずれかで本発明の植物油脂を前述の容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させる(好ましくは添加する)方法である限り特に制限されず、例えば、コーヒー抽出液に本発明の植物油脂を含有させる(好ましくは添加する)方法が挙げられる。
また、本発明の製造方法は、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造工程のいずれかで、本発明における乳を前述の容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させる(好ましくは添加する)工程を含んでおり、例えば、コーヒー抽出液に本発明における乳を含有させる(好ましくは添加する)方法が挙げられる。また、本発明の製造方法において、任意成分を用いる場合は、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造工程のいずれかで、任意成分を容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させる(好ましくは添加する)工程を含んでおり、例えば、コーヒー抽出液に任意成分を含有させる(好ましくは添加する)方法や、コーヒーの抽出に用いる水にあらかじめ任意成分を含有させる(好ましくは添加する)方法などが挙げられる。
本発明において、「飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整する」方法としては、特に制限されないが、
(i)本発明の植物油脂の含有量を調整すること;
(ii)用いる本発明の植物油脂の種類を選択すること;
(iii)乳の含有量を調整すること;及び、
(iv)用いる乳の種類を選択すること;
からなる群から選択される1種又は2種以上(好ましくは3種、より好ましくは4種)を含む方法が好ましく挙げられる。
本発明の製造方法において、コーヒー抽出液を用いる場合や、インスタントコーヒーを用いる場合に、かかるコーヒー抽出液を得るのに用いられる、あるいは、インスタントコーヒーの原料として用いられるコーヒー豆の種類や産地は特に限定されず、種類としては、アラビカ種であってもよく、ロブスタ種であってもよく、リベリカ種であってもよく、これらをブレンドしたものであってもよく、産地としては、ブラジル、コロンビア、タンザニア、エチオピア、ベトナム、ラオス、インドネシア、イエメン、ジャマイカ、ウガンダ、ブルーマウンテン、モカ、キリマンジャロ、マンデリンなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上をブレンドしたものであってもよい。
また、焙煎方法や焙煎温度も特に限定されるものではなく、焙煎方法としては、直火焙煎法、熱風焙煎法、遠赤外線焙煎法、炭火式焙煎法、マイクロ波焙煎法等の一般的にコーヒー豆の焙煎に使用されるいずれの方法で行ったものであってもよい。さらに、公知の焙煎前処理を行った生豆を焙煎したものであってもよい。
可溶性固形分の抽出効率が高くなるため、焙煎コーヒー豆は、可溶性固形分が抽出される前に粉砕されていることが好ましい。焙煎コーヒー豆の粉砕は、ロールミル等の一般的な粉砕機を用いて行うことができる。粉砕度は特に限定されるものではなく、粗挽き、中粗挽き、中挽き、中細挽き、細挽きなどの種々の形状の焙煎コーヒー豆を用いることができる。
コーヒー抽出液は、焙煎コーヒー豆に加熱した水を接触させて可溶性固形分を抽出させることにより得られる。抽出方法は、一般的にコーヒーを淹れる際に用いられる方法や、インスタントコーヒーを製造する際に、焙煎コーヒー豆の粉砕物から可溶性固形分を抽出する際に用いられる方法により行うことができる。具体的には、ドリップ式、エスプレッソ式、サイフォン式、パーコレーター式、コーヒープレス(フレンチプレス)式、高圧抽出、連続高圧抽出等のいずれを用いて行ってもよい。
インスタントコーヒーは、市販品を用いてもよいし、コーヒー抽出液を乾燥して調製したものを用いてもよい。コーヒー抽出液を乾燥する方法としては、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等が挙げられる。また、コーヒー抽出液を乾燥する前に、必要に応じてコーヒー抽出液を濃縮してもよい。かかる該濃縮方法としては、熱濃縮、冷凍濃縮、逆浸透膜や限外濾過膜等を用いた膜濃縮等の汎用されている濃縮方法により行うことができる。
本発明の製造方法において、本発明の植物油脂、乳、及び、コーヒー成分のみを用いて本発明の容器詰コーヒー飲料を製造してもよいし、これらの必須成分以外に、前述の任意成分をさらに用いてもよい。任意成分を用いる場合、任意成分を用いる方法は特に制限されず、容器詰乳入りコーヒー飲料の一般的な製造方法において、任意成分を用いる方法を使用することができる。
(加熱殺菌処理)
本発明の容器詰コーヒー飲料は、好ましくは、加熱殺菌された容器詰コーヒー飲料であり、本発明の製造方法は、好ましくは、コーヒー飲料を加熱殺菌する工程をさらに含んでいる。かかる加熱殺菌する方法としては、容器詰飲料における通常の加熱殺菌方法を特に制限なく用いることができる。例えば、金属缶のように充填後に加熱殺菌できる場合にあっては、食品衛生法に定められた殺菌条件等で殺菌処理を行うことができる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、充填前に該飲料を、あらかじめ上記と同等の殺菌条件で、例えばプレート式熱交換器等を用いて高温短時間殺菌(UHT殺菌)した後、一定の温度まで冷却し、殺菌済み容器に充填する等の方法を採用することができる。なお、加熱殺菌は、コーヒー飲料に植物油脂を含有させた後に実施することが好ましい。
(本発明の向上方法)
本発明の向上方法としては、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前述の容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料において、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感を向上させる方法である限り特に制限されない。
容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前述の容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整する方法などについては、本発明の製造方法において前述したとおりである。また、本発明の向上方法におけるその他の点については、上記の本発明の製造方法と同様の方法を用いることができる。
(コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰コーヒー飲料)
本発明の容器詰コーヒー飲料は、コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料である。本明細書において、「コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料」とは、コーヒーらしいコク感及び/又はボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料を意味する。本明細書における「コーヒーらしいコク感及び/又はボディ感」とは、乳入りコーヒー飲料を飲用したときの、口腔内で感じるコーヒー風味の厚みや広がりの強さを意味する。
本明細書において、「コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した」容器詰コーヒー飲料とは、本発明の植物油脂を含有しないこと以外は、同種の原材料を用いて同じ製造方法で製造した容器詰乳入りコーヒー飲料(以下、「コントロール飲料」とも表示する)と比較して、コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した容器詰乳入りコーヒー飲料を意味する。
ある容器詰コーヒー飲料における、コーヒーらしいコク感、ボディ感の程度や、コーヒーらしいコク感、ボディ感の程度がコントロール飲料と比較してどのようであるか(例えば、劣化が抑制されているかどうか)は、訓練されたパネルであれば、容易かつ明確に決定することができる。
コントロール飲料と比較した、コーヒーらしいコク感、ボディ感の向上の程度(以下、単に「コク感等の向上の程度」とも表示する)についての評価の基準や、パネル間の評価のまとめ方は、一般的な方法を用いることができる。容器詰コーヒー飲料におけるコク感等の向上の程度を評価するパネルの人数は1名であってもよいが、客観性がより高い評価を得る観点から、パネルの人数の下限を、例えば3名以上、好ましくは4名以上とすることができ、また、評価試験をより簡便に実施する観点から、パネルの人数の上限を、例えば6名以下とすることができる。パネルが2名以上の場合の容器詰コーヒー飲料におけるコク感等の向上の程度の評価は、その容器詰コーヒー飲料におけるコク感等の向上の程度についてのパネル全員の評価の平均を採用してもよく、例えば、各評価基準に評価点が付与されている場合、パネル全員の評価点の平均値をその容器詰コーヒー飲料におけるコク感等の向上の程度の評価として採用してもよい。前述のように、評価点の平均値を採用する場合は、その平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用してもよい。なお、パネルが2名以上である場合には、各パネルの評価のばらつきを低減するために、実際の官能評価試験を行う前に、各パネルの評価基準ができるだけ揃うように評価基準を共通化する作業を行っておくことが好ましい。かかる共通化作業としては、コク感等の向上の程度が最も大きいときの評価点に相当する、その向上の程度の認識をパネル間であらかじめ共通化した上で、各サンプル飲料の評価を行うことが挙げられる。また、このような評価基準に関する事前の共通化作業により、例えば、評価点が1点;2点;3点;4点;5点の5段階である場合の、各パネルによるコク感等の向上の程度の評価の標準偏差が0.5以内となるようにしておくことが好ましい。
ある容器詰コーヒー飲料における、コク感等の向上の程度は、例えば後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表3)等を用いた方法と同様の方法、好ましくは、後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表3)等を用いた方法と同じ方法により評価することができる。より具体的には、コントロール飲料におけるコーヒーらしいコク感、ボディ感を基準として、コク感等の向上の程度を表3のように1~5点の5段階で評価したときに、3点以上(パネルが複数の場合は、評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値が3.0以上、好ましくは3.5点以上、より好ましくは4.0点以上)である容器詰コーヒー飲料は、「コーヒーらしいコク感、ボディ感が向上した」容器詰コーヒー飲料として挙げられる。
(コーヒーらしい香りの質が保たれた容器詰コーヒー飲料)
本発明の容器詰コーヒー飲料は、コーヒーらしい香りの質が保たれた容器詰乳入りコーヒー飲料である。本明細書において、「コーヒーらしい香りの質」とは、コーヒーにおける、ナッツ様の香ばしい香りの質を意味する。また、本明細書において、「コーヒーらしい香りの質が保たれた容器詰乳入りコーヒー飲料」とは、コーヒーにおける例えばナッツ様などの香ばしい香りが、コーヒーという範疇から外れていない香りの質である容器詰乳入りコーヒー飲料を意味する。コーヒーという範疇から外れた香りとして、豆乳様の香りなどが挙げられる。
本明細書において、「コーヒーらしい香りの質が保たれた」容器詰コーヒー飲料とは、本発明の植物油脂を含有しないこと以外は、同種の原材料を用いて同じ製造方法で製造した容器詰乳入りコーヒー飲料(コントロール飲料)を基準としたときに、コーヒーにおける香ばしい香りが、コーヒーという範疇から外れていない香りの質である容器詰乳入りコーヒー飲料を意味する。
ある容器詰コーヒー飲料における、コーヒーらしい香りの質や、コーヒーらしい香りの質がコントロール飲料を基準としてどのようであるか(例えば、コーヒーという範疇から外れていない香りの質であるかどうか)は、訓練されたパネルであれば、容易かつ明確に決定することができる。
コントロール飲料を基準とした、コーヒーらしい香りの質についての評価の基準や、パネル間の評価のまとめ方は、一般的な方法を用いることができる。容器詰コーヒー飲料におけるコーヒーらしい香りの質を評価するパネルの人数は1名であってもよいが、客観性がより高い評価を得る観点から、パネルの人数の下限を、例えば3名以上、好ましくは4名以上とすることができ、また、評価試験をより簡便に実施する観点から、パネルの人数の上限を、例えば6名以下とすることができる。パネルが2名以上の場合の容器詰コーヒー飲料におけるコーヒーらしい香りの質の評価は、その容器詰コーヒー飲料におけるコーヒーらしい香りの質についてのパネル全員の評価の平均を採用してもよく、例えば、各評価基準に評価点が付与されている場合、パネル全員の評価点の平均値をその容器詰コーヒー飲料におけるコーヒーらしい香りの質の評価として採用してもよい。前述のように、評価点の平均値を採用する場合は、その平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用してもよい。なお、パネルが2名以上である場合には、各パネルの評価のばらつきを低減するために、実際の官能評価試験を行う前に、各パネルの評価基準ができるだけ揃うように評価基準を共通化する作業を行っておくことが好ましい。かかる共通化作業としては、コーヒーらしい香りの質が最もよく保たれていたときの評価点に相当する、「コントロール飲料を基準として、コーヒーらしい香りの質が保たれている程度」の認識や、コーヒーらしい香りの質が最も保たれていないときの評価点に相当する、「コントロール飲料を基準として、コーヒーらしい香りの質が外れている程度」の認識をパネル間であらかじめ共通化した上で、各サンプル飲料の評価を行うことが挙げられる。また、このような評価基準に関する事前の共通化作業により、例えば、評価点が1点;2点;3点;4点;5点の5段階である場合の、各パネルによるコーヒーらしい香りの質の評価の標準偏差が0.5以内となるようにしておくことが好ましい。
ある容器詰コーヒー飲料におけるコーヒーらしい香りの質は、例えば後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表4)等を用いた方法と同様の方法、好ましくは、後述の実施例の試験1に記載の評価基準(表4)等を用いた方法と同じ方法により評価することができる。より具体的には、コントロール飲料におけるコーヒーらしい香りの質を基準として、コーヒーらしい香りの質を表4のように1~5点の5段階で評価したときに、3点以上(パネルが複数の場合は、評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値が3.0以上、好ましくは3.5点以上、より好ましくは4.0点以上)である容器詰コーヒー飲料は、「コーヒーらしい香りの質が保たれた」容器詰コーヒー飲料として挙げられる。
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験1]本発明における植物油脂による効果
容器詰乳入りコーヒー飲料に、オレイン酸/パルミチン酸比率が15以上の植物油脂(本発明における植物油脂)を含有させることにより、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」や、「コーヒーらしい香りの質」に対してどのような影響を与えるかを調べるために以下の試験を行った。
(1.容器詰乳入りコーヒー飲料の調製)
乳化剤、植物油脂及び牛乳を、飲料中の終濃度が表1記載の濃度となるように、混合攪拌し溶解して溶解液を調製した。焙煎コーヒー豆粉砕物を約10倍量の沸騰水で抽出し、飲料中の終濃度が表1に示すコーヒー固形濃度となるように前述の溶解液に混合し、調合液を調製した。調合液を容器詰めした後、121.1℃、20分相当の加熱殺菌処理を行い、試験例1~8の加熱殺菌済み容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを得た。
なお、植物油脂を添加しなかったこと以外は、試験例1~8と同様の調製方法により、比較例1の容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを調製した。
なお、本実施例において用いたハイオレイックヒマワリ油(ハイオレイン酸タイプのヒマワリ油)、ハイオレイックナタネ油(ハイオレイン酸タイプのナタネ油)、ヤシ油のオレイン酸濃度及びパルミチン酸濃度を、基準油脂分析法2.4.2.3-2013脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)に準拠した方法で測定した。その結果、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックナタネ油、ヤシ油におけるオレイン酸濃度は、それぞれ約84重量%、約71重量%、約8重量%であり、パルミチン酸濃度は、それぞれ約3重量%、約4重量%、約9重量%であった。ハイオレイックヒマワリ油及びハイオレイックナタネ油の「オレイン酸/パルミチン酸」比率は、それぞれ約25及び約20であり、本発明の植物油脂(「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上)に該当する植物油脂である。一方、その他の植物油脂として用いたヤシ油の「オレイン酸/パルミチン酸」比率は約0.8であった。
また、各乳入りコーヒーサンプルにおける、牛乳由来の乳脂肪濃度(w/w%)、本発明の植物油脂由来のオレイン酸濃度(w/w%)を表1に示す。また、これらの濃度から算出した「オレイン酸/乳脂肪」比率を表1に示す。
Figure 2023180763000001
(2.官能評価試験)
得られた試験例1~8及び比較例1の乳入りコーヒー飲料サンプルの「コーヒーらしいコク感、ボディ感」について、訓練した専門パネル5名によって、以下の表2の評価基準で官能評価試験を行った。表2に記載されているように、比較例(この試験では比較例1)の乳入りコーヒー飲料サンプルにおける「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を1点として、比較例サンプルの「コーヒーらしいコク感、ボディ感」と比較した、試験例サンプルにおける「コーヒーらしいコク感、ボディ感」の向上の程度を表2に示すように5段階で評価した。
なお、各試験例サンプルにおける「コーヒーらしいコク感、ボディ感」の向上の程度の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値(以下、「評価平均点」とも表示する)を採用した。「コーヒーらしいコク感、ボディ感」の評価について、評価平均点が3点以上の場合を、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」の評価について本発明の効果があると判定した。
Figure 2023180763000002
また、「コーヒーらしい香りの質」については、訓練した専門パネル5名によって、以下の表3の評価基準で官能評価試験を行った。表3に記載されているように、比較例(この試験では比較例1)の乳入りコーヒー飲料サンプルにおける「コーヒーらしい香りの質」を基準として、試験例サンプルにおける「コーヒーらしい香りの質」を表3に示すように5段階で評価した。「コーヒーらしい香りの質」として、より具体的には、コーヒーにおける、ナッツ様の香ばしい香りの質を評価した。
なお、各試験例サンプルにおける「コーヒーらしい香りの質」の評価としては、各パネルの評価点の平均値の小数第2位を四捨五入した値を採用した。「コーヒーらしい香りの質」の評価について、評価点の平均値が3点以上の場合を、「コーヒーらしい香りの質」の評価について本発明の効果がある(すなわち、コーヒーらしい香りの質が保たれている)と判定した。
Figure 2023180763000003
また、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」の評価平均点と、「コーヒーらしい香りの質」の評価平均点に基づいて、以下の表4の基準で総合評価を行った。
Figure 2023180763000004
試験例1~8及び比較例1の乳入りコーヒー飲料サンプルについて、官能評価試験の結果、及び、総合評価の結果を表5に示す。
Figure 2023180763000005
表5の結果から、本発明の植物油脂(「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上の植物油脂)を、「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が所定の範囲(例えば0.4~3.0、好ましくは0.4~2.9)となるように容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させると、容器詰乳入りコーヒー飲料において、「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させることができることが示された(試験例1~8)。
また、本発明の植物油脂として、試験例1~6ではハイオレイックヒマワリ油(ハイオレイン酸タイプのヒマワリ油)を用いたのに対し、試験例7ではハイオレイックナタネ油(ハイオレイン酸タイプのナタネ油)を用いた。試験例7でも同様の効果が得られたことから、ヒマワリ油以外の植物油脂であっても、「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上の植物油脂であれば、同様の効果が得られることが示された。
また、試験例8は、本発明の植物油脂と、本発明の植物油脂に該当しない植物油脂とを併用した飲料サンプルである。より具体的には、試験例8は、試験例2の飲料サンプルに、ヤシ油(「オレイン酸/パルミチン酸」比率は約0.8)をさらに配合した飲料サンプルである。試験例2と試験例8の官能評価結果を比較すると、試験例2の方が「コーヒーらしい香りの質」の評価平均点がごくわずかに高かったものの、本発明の植物油脂に該当しない植物油脂を併用した場合であっても、ほぼ同様の効果が得られることが示された。
[試験2]乳濃度による影響
容器詰乳入りコーヒー飲料に植物油脂を含有させることによる効果(「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させる)が、乳濃度によってどのような影響を受けるかを調べるために以下の試験を行った。
(1.容器詰乳入りコーヒー飲料の調製)
乳化剤、植物油脂及び牛乳を、飲料中の終濃度が表6記載の濃度となるように、混合攪拌し溶解して溶解液を調製した。なお、表6の飲料サンプルにおける牛乳の使用量は、試験1の表1の飲料サンプルにおける牛乳の使用量の半分であるので、表6の飲料サンプルにおける乳脂肪分の濃度は表1の飲料サンプルの半分の濃度であった。
焙煎コーヒー豆粉砕物を約10倍量の沸騰水で抽出し、飲料中の終濃度が表6に示すコーヒー固形濃度となるように前述の溶解液に混合し、調合液を調製した。調合液を容器詰めした後、121.1℃、20分相当の加熱殺菌処理を行い、試験例9の加熱殺菌済み容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを得た。
なお、植物油脂を添加しなかったこと以外は、試験例9と同様の調製方法により、比較例2の容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを調製した。
また、試験例9及び比較例2の乳入りコーヒーサンプルにおける、牛乳由来の乳脂肪濃度(w/w%)、本発明の植物油脂由来のオレイン酸濃度(w/w%)を表6に示す。また、これらの濃度から算出した「オレイン酸/乳脂肪」比率を表6に示す。
Figure 2023180763000006
試験例9の乳入りコーヒー飲料サンプルについて、比較例1に代えて比較例2を比較例として用いたこと以外は、試験1と同じ方法で行った官能評価試験の結果、及び、総合評価の結果を表7に示す。
Figure 2023180763000007
表7の結果から、乳の配合量を変化させた場合であっても、本発明の植物油脂(「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上の植物油脂)を、「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が所定の範囲となるように容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させると、容器詰乳入りコーヒー飲料において、「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させることができることが示された。
また、試験例9(表6、表7)と、試験例1(表1、表5)を比較すると、試験例9と試験例1における本発明の植物油脂の含有濃度は比較的近いにも関わらず、「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が0.3より低い試験例1(前記比率が0.25)では本発明の効果が得られないのに対し、前記比率が0.44である試験例9では本発明の効果が得られることが示された。この結果や、他の表5等の結果から、「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させるには、飲料中の「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が0.3~3.0とすることが重要であることが示された。
[試験3]コーヒー固形分濃度による影響
容器詰乳入りコーヒー飲料に植物油脂を含有させることによる効果(「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させる)が、コーヒー固形分濃度によってどのような影響を受けるかを調べるために以下の試験を行った。
(1.容器詰乳入りコーヒー飲料の調製)
乳化剤、植物油脂及び牛乳を、飲料中の終濃度が表8記載の濃度となるように、混合攪拌し溶解して溶解液を調製した。なお、試験1の表1の飲料サンプルにおけるコーヒー固形分は0.66w/v%であったが、表8の飲料サンプルにおけるコーヒー固形分は約0.5w/v%であった。
焙煎コーヒー豆粉砕物を約10倍量の沸騰水で抽出し、飲料中の終濃度が表8に示すコーヒー固形濃度となるように前述の溶解液に混合し、調合液を調製した。調合液を容器詰めした後、121.1℃、20分相当の加熱殺菌処理を行い、試験例10の加熱殺菌済み容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを得た。
植物油脂を添加しなかったこと以外は、試験例10と同様の調製方法により、比較例3の容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを調製した。
また、試験例10及び比較例3の乳入りコーヒーサンプルにおける、牛乳由来の乳脂肪濃度(w/w%)、本発明の植物油脂由来のオレイン酸濃度(w/w%)を表8に示す。また、これらの濃度から算出した「オレイン酸/乳脂肪」比率を表8に示す。
Figure 2023180763000008
試験例10の乳入りコーヒー飲料サンプルについて、比較例1に代えて比較例3を比較例として用いたこと以外は、試験1と同じ方法で行った官能評価試験の結果、及び、総合評価の結果を表9に示す。
Figure 2023180763000009
表9の結果から、コーヒー固形分濃度を変化させた場合であっても、本発明の植物油脂(「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上の植物油脂)を、「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が所定の範囲となるように容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させると、容器詰乳入りコーヒー飲料において、「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させることができることが示された。
[試験4]砂糖による影響
容器詰乳入りコーヒー飲料に植物油脂を含有させることによる効果(「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させる)が、砂糖を添加することによってどのような影響を受けるかを調べるために以下の試験を行った。
(1.容器詰乳入りコーヒー飲料の調製)
乳化剤、植物油脂及び牛乳に加えて、砂糖を、飲料中の終濃度が表10記載の濃度となるように、混合攪拌し溶解して溶解液を調製した。なお、試験1~3(表1、表6及び表8)の飲料サンプルでは砂糖は添加していないが、表10の飲料サンプルでは砂糖を添加している。
焙煎コーヒー豆粉砕物を約10倍量の沸騰水で抽出し、飲料中の終濃度が表10に示すコーヒー固形濃度となるように前述の溶解液に混合し、調合液を調製した。調合液を容器詰めした後、121.1℃、20分相当の加熱殺菌処理を行い、試験例1~8の加熱殺菌済み容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを得た。
植物油脂を添加しなかったこと以外は、試験例11と同様の調製方法により、比較例4の容器詰乳入りコーヒー飲料サンプルを調製した。
Figure 2023180763000010
試験例11の乳入りコーヒー飲料サンプルについて、比較例1に代えて比較例4を比較例として用いたこと以外は、試験1と同じ方法で行った官能評価試験の結果、及び、総合評価の結果を表11に示す。
Figure 2023180763000011
表11の結果から、砂糖を添加した場合であっても、本発明の植物油脂(「オレイン酸/パルミチン酸」比率が15以上の植物油脂)を、「本発明の植物油脂由来のオレイン酸/乳脂肪」比率が所定の範囲となるように容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させると、容器詰乳入りコーヒー飲料において、「コーヒーらしい香りの質」を保ちつつ、「コーヒーらしいコク感、ボディ感」を向上させることができることが示された。また、試験例11と試験例4を比較すると、砂糖を添加した場合(試験例11)に比べ、砂糖を添加しない場合(試験例4)において、「コーヒーらしい香りの質」及び「コーヒーらしいコク感、ボディ感」の向上効果が顕著であることが示された。

Claims (5)

  1. パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を含有し、かつ、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率が0.3~3.0である、容器詰乳入りコーヒー飲料。
  2. 甘味料を含まない、請求項1に記載の容器詰乳入りコーヒー飲料。
  3. 加熱殺菌処理された、請求項1又は2に記載の容器詰乳入りコーヒー飲料。
  4. 容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、
    パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料の製造方法。
  5. 容器詰乳入りコーヒー飲料の製造において、
    パルミチン酸含有濃度に対するオレイン酸含有濃度の比率が15以上の植物油脂を前記容器詰乳入りコーヒー飲料に含有させて、飲料中の乳脂肪含有濃度に対する前記植物油脂由来のオレイン酸含有濃度の比率を0.3~3.0に調整することを特徴とする、容器詰乳入りコーヒー飲料において、コーヒーらしい香りの質を保ちつつ、コーヒーらしいコク感、ボディ感を向上させる方法。
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