JP2023176674A - 鋼材ダンパー - Google Patents
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Abstract
【課題】制振性能と外観意匠性の双方に優れている木質制振壁を形成する、鋼材ダンパーを提供すること。【解決手段】隣接する2つの木質パネル20の双方の小口22の対応する位置に設けられている、収容溝25に対して挿入され、双方の木質パネル20に対して軸状の固定部材30により固定されて木質制振壁40を形成する、鋼材ダンパー10であり、木質パネル20に固定される一対の固定片11と、一対の固定片11を相互に間隔を置いて繋ぎ、地震エネルギーを吸収する複数の吸収片13とを有し、固定片11には、固定部材30が貫通する複数の第1貫通孔18が開設され、複数の吸収片13には、平面視がV字状の第1吸収片13Aと逆V字状の第2吸収片13Bが含まれ、上下方向に亘って、複数の第1吸収片13Aが間隔を置いて並び、複数の第2吸収片13Bが間隔を置いて並んでいる。【選択図】図1
Description
本発明は、鋼材ダンパーに関する。
昨今の環境影響への負荷低減に対する高まりや、環境配慮への盛んな取り組みの中で、建築分野においては木質材料を有効に活用した技術開発が盛んに行われている。この木質材料を活用した技術として、構造用合板やCLT(Cross Laminated Timber)等の木質パネルが制振壁や耐力壁として組み込まれた建物架構がある。この建物架構には、鉄骨造や木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造等、様々な構造形式の架構が含まれる。木質パネルにより形成される制振壁や耐力壁が建物架構に組み込まれることで、木質パネルの醸し出す外観意匠性が付与されることから、木質パネルは現わしで使用されることが望ましい。
ここで、特許文献1には、建物の上階の梁と下階の基礎又は梁との間に設置される制振壁が提案されている。具体的には、木質パネルと、摩擦ダンパーである第1のダンパーと、粘弾性ダンパー、粘性ダンパー、又はオイルダンパーである第2のダンパーとを備え、第1のダンパーと第2のダンパーが直列に接続されている制振壁である。
特許文献1に記載の制振壁では、木質パネルと、複数のダンパーが直列に接続されていることから、制振性能は向上する一方で、不釣り合いな外観となることは否めず、木質パネルの醸し出す外観意匠性が損なわれ得る。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、制振性能と外観意匠性の双方に優れている木質制振壁を形成する、鋼材ダンパーを提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による鋼材ダンパーの一態様は、
隣接する2つの木質パネルの双方の小口の対応する位置に設けられている、収容溝に対して挿入され、双方の該木質パネルに対して軸状の固定部材により固定されて木質制振壁を形成する、鋼材ダンパーであって、
前記木質パネルに固定される、一対の固定片と、
前記一対の固定片を相互に間隔を置いて繋ぎ、地震エネルギーを吸収する複数の吸収片とを有し、
前記固定片には、前記固定部材が貫通する複数の第1貫通孔が開設され、
複数の前記吸収片には、平面視がV字状の第1吸収片と逆V字状の第2吸収片が含まれ、
上下方向に亘って、複数の前記第1吸収片が間隔を置いて並び、複数の前記第2吸収片が間隔を置いて並んでいることを特徴とする。
隣接する2つの木質パネルの双方の小口の対応する位置に設けられている、収容溝に対して挿入され、双方の該木質パネルに対して軸状の固定部材により固定されて木質制振壁を形成する、鋼材ダンパーであって、
前記木質パネルに固定される、一対の固定片と、
前記一対の固定片を相互に間隔を置いて繋ぎ、地震エネルギーを吸収する複数の吸収片とを有し、
前記固定片には、前記固定部材が貫通する複数の第1貫通孔が開設され、
複数の前記吸収片には、平面視がV字状の第1吸収片と逆V字状の第2吸収片が含まれ、
上下方向に亘って、複数の前記第1吸収片が間隔を置いて並び、複数の前記第2吸収片が間隔を置いて並んでいることを特徴とする。
本態様によれば、鋼材ダンパーが、2つの木質パネルの双方の小口の収容溝に挿入され、軸状の第1固定部材により固定されることにより、鋼材ダンパーの全部もしくは略全部が2つの木質パネルの内部に収容され、外部から視認不可とされることから、制振性能と外観意匠性の双方に優れた木質制振壁の形成に寄与する。また、鋼材ダンパーが、一対の固定片を繋いで地震エネルギーを吸収する複数の吸収片を備え、吸収片には平面視がV字状の複数の第1吸収片と逆V字状の複数の第2吸収片が含まれていることにより、例えば地震時に2つの木質パネルが左右のいずれの方向に変形した場合でも、複数の吸収片が全体として同様の態様で変形することができ、左右方向の変形に対して同等のエネルギー吸収性能が発揮される。また、各吸収片がV字状もしくは逆V字状に屈曲していることにより、建物架構の変形に起因して2つの木質パネルが変形した際に、吸収片は屈曲が大きくなる側に確実に変形して地震時のエネルギーを吸収することができる。
このような各吸収片の変形性能により、鋼材ダンパーに生じ得る張力場を抑制できる。仮に、鋼材ダンパーの張力場を抑制できない場合、本来的には鋼材ダンパーの各吸収片にせん断力が伝達され、各吸収片が塑性変形してエネルギーが吸収され、せん断力の上昇抑制が期待されるところ、鋼材ダンパーに生じる張力場により、2つの木質パネルが全体として一体となって変形することでせん断力が鋼材ダンパーに伝達されず、例えば木質パネルと梁の接合部等の弱部に伝達され、壁梁接合部等の破損が危惧されることになる。
ここで、本態様の鋼材ダンパーは、地震時や強風時において建物架構やこの建物架構に組み込まれる当該木質制振壁に作用するせん断力を吸収することから、鋼製のせん断ダンパーと称することもできる。
例えば、同数の第1吸収片と第2吸収片が、鋼材ダンパーの上下方向の中央位置における水平線に対して上下対称に配置されている形態を挙げることができる。また、複数の第1吸収片が上方に配設され、複数の第2吸収片が下方に配設される形態であってもよいし、その逆の形態であってもよい。
また、吸収片により吸収される「地震エネルギー」は、吸収対象の代表的なエネルギーを示称しており、本明細書では、例えば、他の強風時のエネルギー等も地震エネルギーに含まれるものとする。
また、本発明による木質制振壁の他の態様において、
相互に対向する前記第1吸収片と前記第2吸収片の間に中央開口が設けられ、
前記中央開口は、前記第1吸収片と前記第2吸収片の少なくとも一方が変形した際に他方に干渉しない干渉防止開口であることを特徴とする。
相互に対向する前記第1吸収片と前記第2吸収片の間に中央開口が設けられ、
前記中央開口は、前記第1吸収片と前記第2吸収片の少なくとも一方が変形した際に他方に干渉しない干渉防止開口であることを特徴とする。
本態様によれば、相互に対向する第1吸収片と第2吸収片の間に、第1吸収片と第2吸収片の少なくとも一方が変形した際に他方に干渉しない干渉防止開口である中央開口が設けられていることにより、地震時における全ての第1吸収片と第2吸収片の変形が保証され、鋼材ダンパーの初期のエネルギー吸収性能が発揮される。ここで、本態様の鋼材ダンパーは、例えば1枚の鋼板を切断加工することにより、一対の固定片と、これらを繋ぐ複数の吸収片とを備えた鋼材ダンパーとして製作でき、切断加工によって中央開口も形成できる。
また、本発明による鋼材ダンパーの他の態様は、
前記吸収片の備える中央の屈曲部の上下の輪郭と、前記固定片に接続される該吸収片の根本部の上下の輪郭がいずれも、湾曲した滑らかな形状であることを特徴とする。
前記吸収片の備える中央の屈曲部の上下の輪郭と、前記固定片に接続される該吸収片の根本部の上下の輪郭がいずれも、湾曲した滑らかな形状であることを特徴とする。
本態様によれば、各部が湾曲した滑らかな形状を呈していることにより、吸収片の滑らかな変形が保証され、応力の負担を各所へ分散でき、鋭角に屈曲している場合に荷重が鋭角部に集中して破損することを防止できる。
また、本発明による鋼材ダンパーの他の態様は、
前記根本部から前記屈曲部の中心に向かって幅が徐々に小さくなり、該屈曲部の中心がくびれていることを特徴とする。
前記根本部から前記屈曲部の中心に向かって幅が徐々に小さくなり、該屈曲部の中心がくびれていることを特徴とする。
本態様によれば、根本部から屈曲部の中心に向かって幅が徐々に小さくなり、屈曲部の中心がくびれていることにより、屈曲部にて屈曲角度が大きくなる側へ確実に変形することを保証でき、吸収片の変形量を可及的に大きくできる。
また、本発明による鋼材ダンパーの他の態様は、
複数の前記吸収片が、上下方向に亘って、均等もしくは略均等の間隔で並んでいることを特徴とする。
複数の前記吸収片が、上下方向に亘って、均等もしくは略均等の間隔で並んでいることを特徴とする。
本態様によれば、複数の吸収片が上下に均等もしくは略均等の間隔で並んでいることにより、入力される地震エネルギーを各吸収片に可及的均等に流すことができる。
また、本発明による鋼材ダンパーの他の態様において、
前記一対の固定片にはそれぞれ、該固定片の長手方向に延びる仮想直線に沿って4つ以上の前記第1貫通孔が開設され、3つ以上の貫通孔間ピッチを備えており、
各貫通孔間ピッチは原則的に等しい第1ピッチであり、少なくとも1つの前記第1貫通孔が前記仮想直線に沿う方向にずれた第1ずれ位置に配設されることにより、少なくとも1つの前記貫通孔間ピッチが前記第1ピッチと異なる第2ピッチであることを特徴とする。
前記一対の固定片にはそれぞれ、該固定片の長手方向に延びる仮想直線に沿って4つ以上の前記第1貫通孔が開設され、3つ以上の貫通孔間ピッチを備えており、
各貫通孔間ピッチは原則的に等しい第1ピッチであり、少なくとも1つの前記第1貫通孔が前記仮想直線に沿う方向にずれた第1ずれ位置に配設されることにより、少なくとも1つの前記貫通孔間ピッチが前記第1ピッチと異なる第2ピッチであることを特徴とする。
本態様によれば、固定片の長手方向に延びる第1仮想直線に沿って開設されている4つ以上の第1貫通孔の間にある3つ以上の貫通孔間ピッチと、木質パネルにおける第2仮想直線に沿って開設されている4つ以上の第2貫通孔の間にある3つ以上の貫通孔間ピッチをいずれも、原則的に等しい第1ピッチに設定することにより、対応する第1貫通孔と第2貫通孔に第1固定部材を挿通することができる。その上で、少なくとも1つの第1貫通孔が第1仮想直線に沿う方向にずれた第1ずれ位置に配設され、少なくとも1つの貫通孔間ピッチが第1ピッチと異なる第2ピッチとなっていることにより、第1ずれ位置にある第1貫通孔と対応する第2貫通孔の双方の孔芯が僅かにずれることとなり、これらに挿通された第1固定部材の一部を、第1ずれ位置にある第1貫通孔の一部に対して面接触させることができる。このように第1固定部材の一部が第1貫通孔の一部に面接触していることにより、木質パネルに直接接続される第1固定部材から鋼材ダンパーへの連続した力の伝達ルートが形成されるため、木質パネルの変形の際に作用するせん断力を第1固定部材を介して鋼材ダンパーに効果的に伝達させ、鋼材ダンパーの各吸収片による地震エネルギー吸収性能をより一層効果的に発揮させることが可能になる。
また、本発明による鋼材ダンパーの他の態様において、
少なくとも1つの前記第1貫通孔が、前記仮想直線に直交する方向で、かつ鋼材ダンパーの内側へずれた第2ずれ位置に配設されていることを特徴とする。
少なくとも1つの前記第1貫通孔が、前記仮想直線に直交する方向で、かつ鋼材ダンパーの内側へずれた第2ずれ位置に配設されていることを特徴とする。
本態様によれば、少なくとも1つの第1貫通孔が第1仮想直線に直交する方向で、かつ鋼材ダンパーの内側へずれた第2ずれ位置に配設されていることにより、第2ずれ位置にある第1貫通孔に挿通された第1固定部材は、対応する第2貫通孔の内側壁面(2つの木質パネルの中央側の壁面)に当接し、第2貫通孔を貫通する過程で当該内側壁面を内側に引き寄せることになる。このように、2つの木質パネルが相互に中央側へ引き寄せられることにより、木質パネル間の上下方向(例えば鉛直方向)に延びる縦目地における隙間の発生を抑制でき、隙間を介して内部にある鋼材ダンパーが外部から視認可能になることを抑制できる。
以上の説明から理解できるように、本発明の鋼材ダンパーによれば、制振性能と外観意匠性の双方に優れている木質制振壁を形成することができる。
以下、実施形態に係る鋼材ダンパーの一例について、この鋼材ダンパーにて形成される木質制振壁の一例と、この木質制振壁にて形成される建物架構の一例とともに、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る鋼材ダンパー]
はじめに、図1を参照して、実施形態に係る鋼材ダンパーの一例について説明する。ここで、図1は、木質制振壁を形成する実施形態に係る鋼材ダンパーの一例を示す正面図である。
はじめに、図1を参照して、実施形態に係る鋼材ダンパーの一例について説明する。ここで、図1は、木質制振壁を形成する実施形態に係る鋼材ダンパーの一例を示す正面図である。
鋼材ダンパー10は、以下で説明するように、隣接する2つの木質パネル20(図3参照)の双方の小口22に設けられている収容溝25に対して挿入され、双方の木質パネル20に対して軸状の第1固定部材30(固定部材、軸状の固定部材の一例)により固定されて、木質パネル20とともに木質制振壁40を形成するダンパーである。
鋼材ダンパー10は、木質パネル20に固定される、一対の固定片11と、一対の固定片11を相互に間隔を置いて繋ぎ、地震エネルギーを吸収する複数の吸収片13とを有する。
複数の吸収片には、相対的に上方に位置して平面視がV字状の第1吸収片13Aと、相対的に下方に位置して平面視が逆V字状の第2吸収片13Bとが含まれる。図示例では、上下方向に亘って、複数(図示例は2つ)の第1吸収片13Aが間隔を置いて並び、複数(図示例は2つ)の第2吸収片13Bが間隔を置いて並んでいる。ここで、第1吸収片13Aと第2吸収片13Bの数は、1つや3つ以上であってもよい。また、上方に複数の第2吸収片13Bが配設され、下方に複数の第1吸収片13Aが配設される形態であってもよい。
一対の固定片11と、複数(図示例は4つ)の吸収片13との間には、複数の開口15,16,17が開設されている。ここで、鋼材ダンパー10は、水平に延びる中央ラインCLを中心として上下が線対称の関係になっている。従って、V字状の第1吸収片13Aが反転することで逆V字状の第2吸収片13Bとなり、上方の開口15,16が反転することで下方の開口15,16となる。また、中央開口17は、中央ラインCLを中心として上下が線対称の形状を呈している。
鋼材ダンパー10の製作は、鋼板を打ち抜き加工等することにより、一対の固定片11と4つの吸収片13、及び複数の開口15,16,17が自動的に形成される。
第1吸収片13Aと第2吸収片13Bは、実質的に同様の形状であるV字状を呈しており、換言すれば、弓状に屈曲している。
中央の屈曲部13aの上下の輪郭や、固定片11に接続される根本部13bの上下の輪郭はいずれも、湾曲した滑らかな形状に加工されており、また、根本部13bから屈曲部13aの中心に向かって、幅(上下の幅)が徐々に小さくなるように加工され、従って、屈曲部13aの中心はくびれている。
このように、各部が湾曲した滑らかな形状に加工されていることで、吸収片13の滑らかな変形が保証され、応力の負担を各所へ分散でき、鋭角に屈曲している場合に荷重が鋭角部に集中して破損することを防止している。
また、根本部13bから屈曲部13aの中心に向かって幅が徐々に小さくなり、屈曲部13aの中心がくびれていることにより、屈曲部13aにて屈曲角度が大きくなる側へ確実に変形することが保証され、吸収片13の変形量を可及的に大きくできる。
また、4つの吸収片13が上下に均等(もしくは略均等)の間隔で並んでいることにより、入力される地震エネルギー(もしくはせん断力)を各吸収片13に可及的均等に流すことができる。
さらに、2つの第1吸収片13Aと2つの第2吸収片13Bが、双方の屈曲の突出側を対向するようにして上下対称で配置されていることにより、建物架構が左右いずれの方向に変形しても、鋼材ダンパー10が同様の態様で追随して変形することができ、左右の変形に対して同等のエネルギー吸収性能を発揮することができる。
また、相互に対向する第1吸収片13Aと第2吸収片13Bの間に中央開口17が設けられていることにより、中央開口17は、第1吸収片13Aと第2吸収片13Bの少なくとも一方が変形した際に他方に干渉しない干渉防止開口として機能する。
より詳細には、対向する第1吸収片13Aと第2吸収片13Bのうちの一方もしくは双方が変形した際に他方に干渉しない離間を確保できるように中央開口17の例えば上下の寸法が設定されている。
固定片11には、第1固定部材30が貫通するための複数(図示例は5つ)の第1貫通孔18が開設されている。
より詳細には、固定片11の長手方向に延びる第1仮想直線L1に沿って5つ(4つ以上)の第1貫通孔18が開設され、従って、4つ(3つ以上)の貫通孔間ピッチが設けられている。
各貫通孔間ピッチは原則的に等しい第1ピッチt1であるが、上下の貫通孔間ピッチは、第1ピッチt1よりも長さの短い第2ピッチt2に設定されている。すなわち、5つの第1貫通孔18のうち、最上方にある1つの第1貫通孔18Cが、第1仮想直線L1に沿って若干下方にずれた(下方の第1貫通孔18Aに若干近接した)第1ずれ位置P1に配設され、最下方にある1つの第1貫通孔18Cが、第1仮想直線L1に沿って若干上方にずれた(上方の第1貫通孔18Aに若干近接した)第1ずれ位置P1に配設されることにより、上下の貫通孔間ピッチが第2ピッチt2となっている。
以下で説明するように、木質パネル20に設けられている5つの第2貫通孔28(図4参照)は、貫通孔間ピッチが第2仮想直線L2に沿っていずれも第1ピッチt1に設定されている。そのため、収容溝25に一方の固定片11が収容され、対応する第1貫通孔18と第2貫通孔28に第1固定部材30を挿通した際に、上下の第1貫通孔18Cが第1ずれ位置P1に位置することで第1固定部材30の一部が第1ずれ位置P1にある第1貫通孔18Cの一部と面接触することを保証できる。この面接触により、木質パネル20に接続する第1固定部材30から鋼材ダンパー10への連続した力の伝達ルートが形成される。
一方、5つの第1貫通孔18のうち、少なくとも1つの第1貫通孔18B(図示例は中央にある第1貫通孔18B)が、第1仮想直線L1に直交する方向で、かつ鋼材ダンパー10の内側へずれた第2ずれ位置P2に配設されている。
以下で説明するように、木質パネル20に設けられている5つの第2貫通孔28(図4参照)は、貫通孔間ピッチが第2仮想直線L2に沿っていずれも第1ピッチt1に設定されている。そのため、収容溝25に一方の固定片11が収容され、対応する第1貫通孔18と第2貫通孔28に第1固定部材30を挿通した際に、中央にある第1貫通孔18Bが鋼材ダンパー10の内側へずれた第2ずれ位置P2に位置することで、第1固定部材30の一部が第2貫通孔28の一部と面接触して、木質パネル20を中央側(2つの木質パネル20の中央側)に引き寄せることができ、木質パネル20間の上下方向に延びる縦目地における隙間の発生を抑制して、隙間を介して内部にある鋼材ダンパー10が外部から視認可能になることを抑制できる。
[木質パネル]
次に、図2を参照して、木質制振壁を形成する木質パネルの一例について説明する。ここで、図2(a)は、木質制振壁を形成する木質パネルの一例の広幅面の正面図であり、図2(b)は図2(a)のb方向矢視図であって、木質パネルの一例の小口の正面図である。
次に、図2を参照して、木質制振壁を形成する木質パネルの一例について説明する。ここで、図2(a)は、木質制振壁を形成する木質パネルの一例の広幅面の正面図であり、図2(b)は図2(a)のb方向矢視図であって、木質パネルの一例の小口の正面図である。
木質パネル20は、広幅面21の正面視が矩形であり、その幅sは、0.5P(Pはモジュールを示し、800mm乃至1100mmの間で、例えば910mm幅等、モジュール設計仕様により任意に設定可能)、1P、2P等、様々な幅が適用できる。
木質パネル20は、CLTパネルや構造用合板の他、無垢材や集成材、単板積層材(LVL:Laminated Veneer Lumber)等、様々な形態の木質パネルが適用できる。
縦方向に延びる一方の小口22には、間隔を置いて複数(図示例は3つ)の収容溝25が設けられている。この収容溝25には、図1に示す鋼材ダンパー10の一方の固定片11と各吸収片13の半分が収容されるようになっている。図示例の木質パネル20は、3つの鋼材ダンパー10の半分を収容する3つの収容溝25を備えているが、鋼材ダンパー10の設置数に応じて木質制振壁40の設計耐力が変更されることから、収容溝25の数は設計耐力に応じて適宜設定される。ここで、図示例は、相互に離れた位置に複数の収容溝25が設けられている形態であるが、例えば、木質パネルの上端から下端に亘って連続した帯状の収容溝が設けられている形態であってもよい。例えば、溝加工用カッターが固定設置された上を木質パネルが搬送される過程で収容溝が加工される加工方法では、連続した帯状の収容溝が形成されることから、加工性の観点では帯状の収容溝が好ましい。
図2(b)に示すように、収容溝25には、2つの広幅面21から収容溝25に連通する複数(図示例は5つ)の第2貫通孔28が開設されている。各第2貫通孔28は、収容溝25に収容された固定片11に設けられている各第1貫通孔18に対応している。
木質パネル20の上端23には、軸状の挿入溝23aが穿孔されている。以下で説明するように、実施形態に係る建物架構100(図8参照)は、上梁70から木質制振壁40に対して鉛直荷重が伝達されない構造形態を有しており、上梁70から下方に延びる挿入部材80が挿入溝23aに挿入されるようになっている。
図2に示す木質パネル20は、木質制振壁40の正面視左側に位置する木質パネルであることから、挿入溝23aは上端23における左側に設けられている。尚、正面視右側に位置する別途の木質パネル20では、その上端23の右側に挿入溝23aが設けられている(図3参照)。
図2に戻り、木質パネル20の下端24には、2つの軸状の挿入溝24aが穿孔されている。以下で説明するように、実施形態に係る建物架構100(図8参照)では、木質パネル20の下端24が下梁50に対して間接的に固定されるようになっており、下端24に固定される固定金具65から上方に延びるラグスクリューボルト60(第2固定部材の一例)が挿入溝24aに埋設されるようになっている。
[木質制振壁]
次に、図3乃至図7を参照して、木質制振壁の一例について説明する。ここで、図3は、木質制振壁の一例の正面図であって、収容溝に収容されている鋼材ダンパーを視認可能にした図である。また、図4は、図3のIV部の拡大図であって、収容溝に収容されている鋼材ダンパーを点線で示す図であり、図5は、図4のV-V矢視図であって、2つの木質パネルの収容溝に収容されている鋼材ダンパーを含む横断面図である。
次に、図3乃至図7を参照して、木質制振壁の一例について説明する。ここで、図3は、木質制振壁の一例の正面図であって、収容溝に収容されている鋼材ダンパーを視認可能にした図である。また、図4は、図3のIV部の拡大図であって、収容溝に収容されている鋼材ダンパーを点線で示す図であり、図5は、図4のV-V矢視図であって、2つの木質パネルの収容溝に収容されている鋼材ダンパーを含む横断面図である。
図3に示すように、2つの木質パネル20の小口22同士が当接した状態において、対応する収容溝25が位置合わせされ、対応する2つの収容溝25に対して鋼材ダンパー10が収容される。実際には、外部から鋼材ダンパー10が視認不可となっている。
各収容溝25では、対応する第2貫通孔28と第1貫通孔18が連通し、各連通孔に対して、ドリフトピン30(第1固定部材の一例)が挿通されることにより、木質パネル20と鋼材ダンパー10が接続される。
ここで、第1固定部材30にドリフトピンを適用することにより、木質パネル20と鋼材ダンパー10を高強度かつ高精度に接続することができる。ここで、第1固定部材には、ドリフトピンの他にも、ボルトやビス、釘等が適用されてもよい。
図4に示すように、木質パネル20に開設されている5つの第2貫通孔28は、第2仮想直線L2に沿っていずれの貫通孔間ピッチともに同等の第1ピッチt1を備えた状態で開設されている。
これに対して、既に説明したように、鋼材ダンパー10の固定片11に設けられている5つの第1貫通孔18のうち、上下にある2つの第1貫通孔18Cは、第1仮想直線L1に沿って若干ずれた位置に開設されている。
従って、上下にある2つの第1貫通孔18Cとそれぞれに対応する第2貫通孔28に対してドリフトピン30を挿通した際に、上方の第1貫通孔18Cではその上側壁面18aに対してドリフトピン30の上側面が面接触し、下方の第1貫通孔18Cではその下側壁面18bに対してドリフトピン30の下側面が面接触することになる。
このように、木質パネル20に直接接続されるドリフトピン30の一部が、鋼材ダンパー10の第1貫通孔18Cの一部に面接触することにより、木質パネル20に接続するドリフトピン30から鋼材ダンパー10への連続した力の伝達ルートが形成される。
このことにより、地震時に木質制振壁40に左右交互にX1方向に水平力が作用し、木質パネル20が変形した際に生じるせん断力を、ドリフトピン30を介して鋼材ダンパー10に効果的に伝達させ、鋼材ダンパー10の各吸収片13による地震エネルギー吸収性能を効果的に発揮させることが可能になる。
また、中央にある第1貫通孔18Bは、第1仮想直線L1に直交する方向で、かつ鋼材ダンパー10の内側へ若干ずれた位置に開設されている。
従って、中央にある第1貫通孔18Bと対応する第2貫通孔28に対してドリフトピン30を挿通した際に、第2貫通孔28の内側壁面28aに対してドリフトピン30の内側が面接触し、ドリフトピン30が第2貫通孔28を貫通する過程で内側壁面28aを内側に引き寄せることになる。
このように、2つの木質パネル20が相互に中央側へ引き寄せられることにより、木質パネル20間の上下方向(例えば鉛直方向)に延びる縦目地22Aにおける隙間の発生を抑制でき、隙間を介して内部にある鋼材ダンパー10が外部から視認可能になることを抑制できる。
尚、図示例のように、中央に位置する第2貫通孔28をドリフトピン30が中央側へ引き寄せることにより、1本のドリフトピン30にて木質パネル20の全体を効果的に中央側へ引き寄せることが可能になる。
図5に示すように、木質パネル20の厚みt4に対して、第1貫通孔18と第2貫通孔28に挿通されるドリフトピン30の長さt5は相対的に短い長さに設定されている。そのため、第2貫通孔28の端部では、ドリフトピン30の端部との間に窪み29が形成される。
この窪み29に対して埋木35が埋め込まれており、この構成により、ドリフトピン30を外部から完全に視認不可とすることができる。
ここで、図6には、2つの木質パネルの小口における他の接続構造例を示している。図6は、図5に対応する態様で示した横断面図である。
この接続構造では、一方の木質パネル20Aの小口22に雄実22aが設けられ、他方の木質パネル20Bの小口22に雌実22bが設けられており、雌実22bに雄実22aが嵌め込まれた態様で、対応する第1貫通孔18と第2貫通孔28にドリフトピン30が挿入されている。
このように、2つの木質パネル20A、20Bの双方の小口22が実接続されることにより、2つの木質パネル20A,20Bの接続強度を高めることができる。また、仮に木質パネル20A,20B間の縦目地22Aに僅かな隙間がある場合でも、内部にある鋼材ダンパー10が外部から視認可能になることを防止できる。
また、図7(a)~(e)には、木質制振壁の他の例を模式的に示している。図7(a)は、幅0.5Pの2つの木質パネル20を、5つの鋼材ダンパー10が接続している形態であり、図7(b)は、3つの鋼材ダンパー10が接続している形態であり、図7(c)は、2つの鋼材ダンパー10が接続している形態である。
このように、同寸法の2つの木質パネル20を接続する鋼材ダンパー10の数を変更することにより、木質制振壁40の設計耐力を所望に変更することができる。
また、図7(d)は、幅1Pの木質パネル20の左右に、幅0.5Pの木質パネル20が配設され、2つの鋼材ダンパー10にて隣接する木質パネル20同士が接続されている形態である。さらに、図7(e)は、幅1Pの2つの木質パネル20の左右に、幅0.5Pの木質パネル20が配設され、2つの鋼材ダンパー10にて隣接する木質パネル20同士が接続されている形態である。
このように、木質制振壁40が組み込まれる建物架構の寸法や、設定される設計耐力等に応じて、様々な幅の木質パネル20が様々な数の鋼材ダンパー10にて接続されている木質制振壁40を形成できる。
木質制振壁40では、2つの木質パネル20の小口22同士を接続する複数の鋼材ダンパー10の各吸収片13の変形性能により、各鋼材ダンパー10に生じ得る張力場を抑制できる。
仮に、鋼材ダンパー10の張力場を抑制できない場合、本来的には鋼材ダンパー10の各吸収片13にせん断力が伝達され、各吸収片13が塑性変形してエネルギーが吸収され、せん断力の上昇抑制が期待されるところ、鋼材ダンパー10に生じる張力場により、2つの木質パネル20が全体として一体となって変形することでせん断力が鋼材ダンパー10に伝達されず、例えば木質パネル20と上梁や下梁との接合部等の弱部に伝達され、壁梁接合部等の破損が危惧されることになる。
木質制振壁40によれば、2つの木質パネル20の小口22が鋼材ダンパー10にて接続されることにより、制振性能に優れた木質制振壁となる。
さらに、鋼材ダンパー10が外部から視認不可とされていることにより、現わし使用される木質パネル20によって外観意匠性に優れた木質制振壁となる。
[建物架構]
次に、図8を参照して、建物架構の一例について説明する。ここで、図8は、木質制振壁を備えた建物架構の一例の正面図である。
次に、図8を参照して、建物架構の一例について説明する。ここで、図8は、木質制振壁を備えた建物架構の一例の正面図である。
図8に示す建物架構100は、例えば建物の2階の床レベルにある上梁70と、1階の土台である下梁50の間に木質制振壁40が配設されることにより形成される。ここで、建物架構100は、建物の2階と3階の間等、上階に設けられてもよい。
上梁70と下梁50は、不図示の柱の上下端に接続されて、建物架構を形成している。上梁70と下梁50はいずれも、H形鋼により形成される。
下梁50の上フランジ51には、複数(図示例は2つ)の固定金具65がボルト67を介して固定されており、固定金具65に接続されるラグスクリューボルト60(第2固定部材の一例)が、木質パネル20の下端24から内部に延びる挿入溝24aに埋設されている。すなわち、木質パネル20の下端24は、固定金具65を介して下梁50に対して間接的に固定されている。ここで、下梁50に接続されているラグスクリューボルト60が挿入溝24aに埋設されることにより、木質パネル20の下端24が下梁50に対して直接的に固定されてもよい。
ここで、木質パネル20に設けられている挿入溝24aの周囲には、鋼製の筒材69が埋め込まれている。筒材69は、木質パネル20の下端24から内部にかけて、打ち込みや圧入等により埋め込まれる。
この筒材69により、ラグスクリューボルト60の周囲が補強され、下端24におけるラグスクリューボルト60の近傍から割裂が発生することを防止できる。
尚、木質パネル20の下端24と下梁50の第2固定部材60による固定は、図示例のラグスクリューボルトの他にも、接着剤とラグスクリューボルトが併用されるGIR(Glued in Rod)接合等が適用されてもよい。
一方、木質パネル20の上端23には挿入溝23aが設けられており、上梁70の下フランジ71には、接続プレート82がボルト84を介して接続され、接続プレート82から下方へ延びる挿入部材80が挿入溝23aに遊嵌されている。
木質パネル20の高さは、不図示の柱よりも短く設定されており、上梁70と下梁50の間に木質制振壁40が配設された際に、木質パネル20の上端23と上梁70の下フランジ71の下端との間には隙間Gが形成される。
ここで、挿入溝23aは円柱状の空洞であり、上梁70から木質パネル20に対して鉛直荷重が伝達されない態様で、丸鋼等により形成される挿入部材80が挿入溝23aに遊嵌している。すなわち、上梁70からの鉛直荷重は、木質制振壁40には伝達されず、不図示の柱を介して下梁50に伝達される。
建物架構100では、木質制振壁40が、梁や柱等の構造躯体に影響を及ぼさない非構造部材である、所謂、付加制震体として架構内に組み込まれる。このような付加制震体である木質制振壁40は、建物の鉛直荷重を負担せず、地震時や強風時における水平力Hに対してダンパー機能を発揮し、制振性能に優れた建物架構100を形成する。
ここで、図示を省略するが、例えば、図7における木質パネル20の下端24が固定金具65を介して下梁50の上フランジ51に間接的に固定される固定構造が、木質パネル20の上端23と上梁70の下フランジ71に対して適用された、建物架構であってもよい。この建物架構では、上梁70(に接続される固定金具65)と木質パネル20の上端23を固定するラグスクリューボルトが、第3固定部材となる。
この建物架構では、木質制振壁40の上下端が上梁70と下梁50の双方に固定されることにより、上梁から鉛直荷重が伝達される木質制振壁40を構造部材として建物架構に組み込むことができる。そのため、梁や柱の変形をより一層速やかに木質制振壁40に作用させ、木質制振壁40のダンパー性能を速やかに発揮させることが可能になる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:鋼材ダンパー
11:固定片
13:吸収片
13A:第1吸収片(吸収片)
13B:第2吸収片(吸収片)
13a:屈曲部
13b:根本部
15,16:開口
17:中央開口(開口)
18,18A,18B:第1貫通孔
18a:上側壁面
18b:下側壁面
20,20A,20B:木質パネル
21:広幅面
22:小口
22A:縦目地
22a:雄実
22b:雌実
23:上端
23a:挿入溝
24:下端
24a:挿入溝
25:収容溝
28:第2貫通孔
28a:内側壁面
29:窪み
30:第1固定部材(固定部材、軸状の固定部材、ドリフトピン)
35:埋木
40:木質制振壁
50:下梁(H形鋼、土台)
51:上フランジ
60:第2固定部材(ラグスクリューボルト)
65:固定金具
67:ボルト
69:筒材
70:上梁(H形鋼)
71:下フランジ
80:挿入部材(丸鋼)
82:接続プレート
84:ボルト
100:建物架構
P1:第1ずれ位置
P2:第2ずれ位置
L1:第1仮想直線
L2:第2仮想直線
G:隙間
H:水平力
11:固定片
13:吸収片
13A:第1吸収片(吸収片)
13B:第2吸収片(吸収片)
13a:屈曲部
13b:根本部
15,16:開口
17:中央開口(開口)
18,18A,18B:第1貫通孔
18a:上側壁面
18b:下側壁面
20,20A,20B:木質パネル
21:広幅面
22:小口
22A:縦目地
22a:雄実
22b:雌実
23:上端
23a:挿入溝
24:下端
24a:挿入溝
25:収容溝
28:第2貫通孔
28a:内側壁面
29:窪み
30:第1固定部材(固定部材、軸状の固定部材、ドリフトピン)
35:埋木
40:木質制振壁
50:下梁(H形鋼、土台)
51:上フランジ
60:第2固定部材(ラグスクリューボルト)
65:固定金具
67:ボルト
69:筒材
70:上梁(H形鋼)
71:下フランジ
80:挿入部材(丸鋼)
82:接続プレート
84:ボルト
100:建物架構
P1:第1ずれ位置
P2:第2ずれ位置
L1:第1仮想直線
L2:第2仮想直線
G:隙間
H:水平力
Claims (7)
- 隣接する2つの木質パネルの双方の小口の対応する位置に設けられている、収容溝に対して挿入され、双方の該木質パネルに対して軸状の固定部材により固定されて木質制振壁を形成する、鋼材ダンパーであって、
前記木質パネルに固定される、一対の固定片と、
前記一対の固定片を相互に間隔を置いて繋ぎ、地震エネルギーを吸収する複数の吸収片とを有し、
前記固定片には、前記固定部材が貫通する複数の第1貫通孔が開設され、
複数の前記吸収片には、平面視がV字状の第1吸収片と逆V字状の第2吸収片が含まれ、
上下方向に亘って、複数の前記第1吸収片が間隔を置いて並び、複数の前記第2吸収片が間隔を置いて並んでいることを特徴とする、鋼材ダンパー。 - 相互に対向する前記第1吸収片と前記第2吸収片の間に中央開口が設けられ、
前記中央開口は、前記第1吸収片と前記第2吸収片の少なくとも一方が変形した際に他方に干渉しない干渉防止開口であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼材ダンパー。 - 前記吸収片の備える中央の屈曲部の上下の輪郭と、前記固定片に接続される該吸収片の根本部の上下の輪郭がいずれも、湾曲した滑らかな形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼材ダンパー。
- 前記根本部から前記屈曲部の中心に向かって幅が徐々に小さくなり、該屈曲部の中心がくびれていることを特徴とする、請求項3に記載の鋼材ダンパー。
- 複数の前記吸収片が、上下方向に亘って、均等もしくは略均等の間隔で並んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼材ダンパー。
- 前記一対の固定片にはそれぞれ、該固定片の長手方向に延びる仮想直線に沿って4つ以上の前記第1貫通孔が開設され、3つ以上の貫通孔間ピッチを備えており、
各貫通孔間ピッチは原則的に等しい第1ピッチであり、少なくとも1つの前記第1貫通孔が前記仮想直線に沿う方向にずれた第1ずれ位置に配設されることにより、少なくとも1つの前記貫通孔間ピッチが前記第1ピッチと異なる第2ピッチであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の鋼材ダンパー。 - 少なくとも1つの前記第1貫通孔が、前記仮想直線に直交する方向で、かつ鋼材ダンパーの内側へずれた第2ずれ位置に配設されていることを特徴とする、請求項6に記載の鋼材ダンパー。
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