JP2024036886A - 木質耐震壁 - Google Patents

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雄介 太田
珠恵 福波
紳二 浮田
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株式会社長谷工コーポレーション
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Abstract

【課題】従来のものより少ない接続金物で大きな耐力と変形性能を維持でき、あと施工可能な木質耐震壁を提供する。【解決手段】面一に横方向に並ぶ複数の木質パネル20から構成される木質系厚板面材1と、木質系厚板面材1の四周を取り囲むRC造又はSRC造の柱梁フレーム2と、各木質パネル20の四隅から中心側へ向けて斜めに配置され柱梁フレーム2と各木質パネル20とを接続する連結具30と、を備える。連結具30は、木質パネル20の四隅から斜めに延びる孔部22の内腔23に挿入される埋込ボルト32と、埋込ボルト32の他端部32bに螺合する長ナット35と、柱梁フレーム2と長ナット35を接続するハイテンションボルト34と、を有する。埋込ボルト32は、内腔23の中心側に位置し充填樹脂33で固定される固定部41と、長ナット35と固定部41との間に位置し充填樹脂33から絶縁されたアンボンド部40と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、木質系厚板面材を使用した木質耐震壁に関する。
カーボンニュートラルの実現や地球温暖化防止に貢献するため、近年、建築物への木材活用が求められている。その一環として、CLT(直交集成板)やLVL(単板積層材)等の木質系厚板面材を鉄筋コンクリート造のフレームに内包した耐震壁が開発されている。このような耐震壁は、例えば特許文献1に開示されている。
特開2021-59901号公報
例えば鉄筋コンクリート造のフレームに内包する木質系厚板面材が1枚の大きな版(大版)である場合、その四周を柱梁に接続すると一体性が確保され大きな耐力が期待できる。しかし、大版の木質系厚板面材を一般的な鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で柱梁に接続した場合には、変形性能は期待できない。
また木質系厚板面材の大版は重いため、施工時には、大型の揚重機が必要となる。
その上、大版の木質系厚板面材は人力で持ち上げられないため、竣工後に木質系厚板面材を取り換えることができない。
図1は、鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で鉄筋コンクリート造の柱梁に木質系厚板面材を接続した耐震壁100の一例である。なお、この図では、101が木質系厚板面材、102が鉄筋コンクリート造の柱、103が鉄筋コンクリート造の梁、104が接続金物を表している。図1(A)は、木質系厚板面材101が縦に複数に分割されている耐震壁100を示している。また、図1(B)は、図1(A)の耐震壁100の抵抗機構を表した図である。
この図に示すように、縦に分割した木質系厚板面材101を鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で柱梁102,103に接続した耐震壁100には、地震時の水平力を伝達する接続金物104と、水平力により回転する力に抵抗する接続金物104とが必要となる。そのため、縦に複数に分割された木質系厚板面材101を鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で柱梁102,103に接続すると、使用する接続金物104の総数が多くなってしまう。
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、従来のものより少ない接続金物で大きな耐力と高い変形性能を得ることができ、あと施工可能な木質耐震壁を提供することにある。
本発明によれば、面一に横方向に並ぶ複数の木質パネルから構成される木質系厚板面材と、
前記木質系厚板面材の四周を取り囲む鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
各木質パネルの四隅から正面視における該木質パネルの中心側へ向けて斜めに配置され前記柱梁フレームと各木質パネルとを接続する連結具と、を備え、
前記連結具は、前記木質パネルの前記四隅から中心側へ向けて斜めに延びる孔部又は溝部の内腔に一端部を該内腔の前記中心側へ向けて挿入される埋込ボルトと、
前記埋込ボルトの他端部に螺合する長ナットと、
前記柱梁フレームと前記長ナットを接続するハイテンションボルトと、を有し、
前記埋込ボルトは、前記内腔の前記中心側に位置し該内腔に充填された充填樹脂によって該内腔に固定される固定部と、
前記長ナットと前記固定部との間に位置し前記充填樹脂から絶縁されたアンボンド部と、を有する、木質耐震壁が提供される。
上述した本発明によれば、連結具が木質パネルの四隅から中心へ向けて斜めに配置されており、連結具の埋込ボルトに、充填樹脂から絶縁されたアンボンド部を有する。これにより本発明の木質耐震壁は、従来の鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で接続した木質系厚板面材よりも、少ない接続金物で大きな耐力と高い変形性能を実現することができる。
さらに、埋込ボルトの他端部に長ナットが螺合しているので、ハイテンションボルトで柱梁フレームと長ナットを接続することで容易に柱梁フレームに木質パネルを取り付けることができる。その上、木質系厚板面材は、複数の木質パネルに分かれているので、木質パネルを、人力で取り付け可能な大きさと重さにすることができる。
したがって本発明の木質耐震壁は、木質パネルを人力で取り外すことができ、または人力で取り付けることができるので、あと施工することができる。すなわち、本発明の木質耐震壁は、傷んだ木質パネルを新しい木質パネルに容易に取り換えることができる。また、集合住宅の竣工後の耐震改修工事で、普通の壁があった柱梁フレームに木質パネルを接続することにより、新たな耐力壁として木質耐震壁を設置することができる。
鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で鉄筋コンクリート造の柱梁に木質系厚板面材を接続した耐震壁の一例である。 室内側から見たときの第1実施形態の木質耐震壁の正面図である。 孔部の中が見えるように正面に平行な平面で木質パネルを縦に切断した図2のA部分の拡大矢視図である。 第1実施形態の木質耐震壁の抵抗機構の説明図である。 図2のB-B矢視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
(第1実施形態)
図2は、室内側から見たときの第1実施形態の木質耐震壁10の正面図である。この図において、1は木質系厚板面材、2は柱梁フレーム、2Aは柱、2Bは梁、10は木質耐震壁、20は木質パネル、21は切欠部、22は孔部、23は孔部の内腔、30は連結具、31はガセットプレートを表している。
図2は、集合住宅に耐力壁として使用された第1実施形態の木質耐震壁10を例示している。木質耐震壁10は、隣戸間を区画する戸境壁や、住戸内に存在する間仕切り壁であってもよい。
柱梁フレーム2は、集合住宅の架構を構成する鉄筋コンクリート造(以下、RC造)又は鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)の柱2Aと梁2Bである。
本実施形態の木質耐震壁10は、木質系厚板面材1の四周をRC造又はSRC造の柱2Aと梁2Bで取り囲む構成となっていることを特徴とする。耐火性能の高いRC造又はSRC造の柱梁フレーム2で木質系厚板面材1の四周を取り囲むことにより、火災時に木質系厚板面材1が消失しても柱2Aと梁2Bで建物の構造を保ち、倒壊を防ぐことができる。それにより木質耐震壁10は、木質系厚板面材1が耐火材3で被覆されていなくても主要構造部としての耐火性能を十分に保有するので、木質系厚板面材1を木現しで使用することができる。
木質系厚板面材1は、CLT(直交集成板)又はLVL(単板積層材)から構成される。CLTは、ひき板や小角材を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように接着した木質板材である。LVLは、繊維方向を揃えて単板を積層接着した木質板材である。CLTとLVLは、いずれも、耐震性能と耐火性能が高いという特徴がある。
木質系厚板面材1は、複数の木質パネル20から構成されている。つまり複数の木質パネル20は、室内側から見たときの横方向に面一に並ぶことによって、1つの木質系厚板面材1を構成する。この図では、4枚の木質パネル20が横並びで隣接している。例えば木質系厚板面材1がCLTであり、室内側の表面に露出した板の方向が図のように上下方向である場合、隣接する木質パネル20同士の境目がCLT内のひき板の境目に紛れる。これにより木質系厚板面材1は、1枚の大版のCLTによって構成されているように見える。
1つの木質パネル20は、人力で取り付けることができる重さ(例えば150kg以下)となる大きさ(例えば幅1200mm、高さ2400mm、厚さ100mm)に設けられている。
各木質パネル20の正面視における四隅には、斜めに切断された切欠部21が設けられている。
図3は、孔部22の中が見えるように正面に平行な平面で木質パネル20を縦に切断した図2のA部分の拡大矢視図である。この図において、2Aは柱、2Bは梁、6は木質パネル20と柱梁フレーム2の間の隙間、20は木質パネル、20aは斜面、20bは上面、20cは側面、21は切欠部、22は孔部、23は孔部の内腔、31はガセットプレート、32は埋込ボルト、33は充填樹脂、34はハイテンションボルト、35は長ナット、36は頭付きスタッド、40はアンボンド部、41は固定部である。なお、以下の説明において、木質パネル20の正面視における中心Cへ向かう方向を「中心側」と呼び、中心Cから離れる方向を「辺縁側」と呼ぶ。
この図に示すように木質パネル20の四隅には、木質パネル20の上面20b又は下面と側面20cとに交差する平面(斜面20a)を有する形状の切欠部21が設けられている。なお、この図の切欠部21は、上面20bと側面20cのそれぞれに平行な面を斜面20aの他に有するが、切欠部21の形状はこれに限定されない。
木質パネル20は、柱梁フレーム2と柱梁フレーム2に隣接する四周(この図においては上面20bと側面20c)との間に隙間6を隔てて固定されている。この隙間6は、地震発生時に木質パネル20が柱梁フレーム2に干渉しない距離に設定されている。
木質パネル20には、切欠部21から木質パネル20の中心Cへ向けて斜めに延びる孔部22が設けられている。孔部22は、一端が切欠部21の斜面20aに開口し、他端は閉じている。孔部22は後述する長ナット35や埋込ボルト32より太い内腔23を有する。この木質パネル20の斜面20aは、孔部22の長手方向に直交することが好ましい。
なお、木質パネル20に設ける埋込ボルト32を挿入する穴は、孔部22に限らず、溝部22でもよい。例えば木質パネル20の裏面と斜面20aに開口する溝部22を木質パネル20の裏側から設け、溝部22の内部に埋込ボルト32を入れた後に裏面に開いた開口を木の板等で塞いでもよい。
RC造又はSRC造の柱梁フレーム2には、ガセットプレート31が固定されている。例えばこの図のガセットプレート31は、切欠部21の形状に合わせて木質パネル20の裏面に平行に延びるウェブ部31aと、ウェブ部31aの端部から柱梁フレーム2の側面に沿って延びるフレーム側フランジ部31bを有している。この図のガセットプレート31は、柱梁フレーム2の柱2Aと梁2Bが成す角に位置するので、柱2Aと梁2Bの両方に沿うフレーム側フランジ部31bを有する。例えば図2に記載したように、柱2Aに接しない場合に固定されるガセットプレート31がもつフレーム側フランジ部31bは、上部又は下部の梁2Bに沿うものだけである。
各フレーム側フランジ部31bは、複数の頭付きスタッド36で柱梁フレーム2の柱2A及び梁2B又は梁2Bのみに固定される。
またガセットプレート31は、ウェブ部31aの端部から室内側へ向けて木質パネル20の斜面20aに沿って延びるパネル側フランジ部31cを有している。パネル側フランジ部31cには、ハイテンションボルト34の軸34aを貫通させる貫通孔31dが設けられている。
なお、ガセットプレート31の形状は、図3に記載したものに限らない。例えば、図2に記載したように、2枚の木質パネル20の間に位置するガセットプレート31は、2枚の木質パネル20の斜面20aに沿うように、パネル側フランジ部31cを2つ有している。
また、木質耐震壁10は連結具30を備える。連結具30は、柱梁フレーム2に固定されたガセットプレート31と、各木質パネル20とを接続する部材である。この図において、連結具30には、埋込ボルト32、長ナット35、及びハイテンションボルト34が該当する。
木質パネル20の孔部22の内腔23には、埋込ボルト32が挿入されている。以下の説明において、孔部22の底側(木質パネル20の正面視における中心側)に位置する埋込ボルト32の端部を一端部32aとし、孔部22の開口側の端部を他端部32bとする。
埋込ボルト32の他端部32bには、長ナット35が螺合する。埋込ボルト32の他端部32bから一定の範囲の軸と長ナット35には図示しないテープが巻かれており、そのテープより一端部側の埋込ボルト32の軸がテープから露出している。長ナット35を螺合した埋込ボルト32は、テープが巻かれたまま、一端部32aを孔部22の底側に向けて孔部22に挿入される。充填樹脂33は、孔部22の全体に充填される。
これにより、充填樹脂33は、テープから露出した埋込ボルト32の軸の周辺と、巻かれたテープの周辺の内腔23に充填され、硬化する。埋込ボルト32の一端部32aから所定範囲に位置する埋込ボルト32の軸は、孔部22に充填した充填樹脂33を介して孔部22の内腔23に固定される。以下、充填樹脂33によって内腔23に固定された範囲の埋込ボルト32の軸を、固定部41と呼ぶ。内腔23の充填樹脂33が、埋込ボルト32の固定部41の図示しないねじ溝に入り込んだまま硬化しているので、地震などの揺れによって埋込ボルト32が辺縁側へ向けて引っ張られても、埋込ボルト32を孔部22の内腔23に留めることができる。充填樹脂33は、例えばエポキシ樹脂が好ましいが、その他の樹脂や接着剤であってもよい。
埋込ボルト32は、固定部41と長ナット35との間に、充填樹脂33から絶縁されたアンボンド部40を有する。アンボンド部40は、巻かれたテープによって充填樹脂33が直接付着していない範囲の埋込ボルト32の軸である。
長ナット35は、図のように孔部22の内腔23であって、長ナット35の辺縁側端部が木質パネル20の斜面20aに揃うか斜面20aより僅かに辺縁側へ突出する場所に位置することが好ましい。これにより、地震発生時に柱梁フレーム2に図の左から右へ向けてかかる水平力を、長ナット35の辺縁側端部で受けることができる。したがって木質パネル20の斜面20aがパネル側フランジ部31cからかかる力によって破壊されるのを防ぐことができる。
長ナット35の辺縁側端部には、ハイテンションボルト34が螺合する。ハイテンションボルト34がガセットプレート31を介して柱梁フレーム2と長ナット35とを接続することにより、木質パネル20とガセットプレート31が接続される。なお、木質パネル20は、わずかな隙間37を介してガセットプレート31に連結される。
ハイテンションボルト34は、例えば引張強度が490N/mm以上、1,000N/mm未満の高張力鋼や1,000N/mm以上の超高張力鋼によって製造されたボルトである。ハイテンションボルト34の軸34aは、パネル側フランジ部31cの貫通孔31dを貫通して、長ナット35の辺縁側端部に螺合する。これにより本実施形態の連結具30は、ハイテンションボルト34の頭部34bと長ナット35でガセットプレート31のパネル側フランジ部31cを挟む構造になっている。
この構成により、ガセットプレート31に伝わった柱梁フレーム2の水平力を直接又はハイテンションボルト34を介して長ナット35に伝達する。すなわち上述したように図の左から右へ向かう水平力は、パネル側フランジ部31cから直接長ナット35の辺縁側端部にかかる。
図の右から左へ向かう水平力が柱梁フレーム2にかかったときは、この図ではパネル側フランジ部31cがハイテンションボルト34の頭部34bを押し上げ、軸34aを介して長ナット35を辺縁側へ引っ張る。孔部22の内腔23は、長ナット35の太さよりも太いため、埋込ボルト32の長手方向に長ナット35にかかる力は、アンボンド部40へそのまま伝わる。アンボンド部40は、埋込ボルト32の軸が充填樹脂33から絶縁された部分であるため、長ナット35にかかる引張力によって埋込ボルト32のアンボンド部40が伸びる。これにより、ガセットプレート31にはハイテンションボルト34を介して埋込ボルト32を縮める方向への抵抗力がかかるので、本実施形態の木質耐震壁10は、図の右から左へ向けて柱梁フレーム2にかかる水平力に抵抗することができる。
図4は、第1実施形態の木質耐震壁10の抵抗機構の説明図である。この図では、説明が分かりやすいように柱梁フレーム2の歪みを実際よりも誇張して記載している。また、この図の白い矢印は、地震等によって柱梁フレーム2にかかる水平力と、水平力によって生じる回転力とを表している。その力に対して木質耐震壁10に生じる抵抗力R1,R2は、黒い矢印で表している。なお、この図において、Dは木質パネル20の正面視における対角線、Cは木質パネル20の正面視における中心を表している。
以下に、木質耐震壁10の抵抗機構について、図の一番左の木質パネル20を例にして詳しく説明する。
上述したように、本実施形態の木質耐震壁10は、柱梁フレーム2から伝達された水平力を長ナット35で受け、埋込ボルト32のアンボンド部40の弾性力で抵抗し、より大きな力に対しては塑性変形することによって力を吸収する。集合住宅に地震が発生したとき、柱梁フレーム2の上側の梁2Bと下側の梁2Bには、逆向きの水平力がかかる。例えば図のように上側の梁2Bに左から右へ向かう水平力がかかり、下側の梁2Bには右から左へ向かう水平力がかかる。
この場合、右上と左下の連結具30のハイテンションボルト34は、ガセットプレート31のパネル側フランジ部31cによって辺縁側へ引っ張られ、埋込ボルト32のアンボンド部40が伸びる。その結果、埋込ボルト32のアンボンド部40に生じる弾性力により、右上と左下の黒い矢印のように、ハイテンションボルト34の頭部34bでガセットプレート31を木質パネル20の正面視における中心側へ向けて引っ張る抵抗力R1が生じる。
同時に、左上と右下の連結具30には、柱梁フレーム2にかかる水平力によって、中心側へ向けて圧縮する力が長ナット35にかかる。その結果、左上と右下の連結具30には、ガセットプレート31のパネル側フランジ部31cを長ナット35で辺縁側へ向けて押し返す抵抗力R2が生じる。
このように木質耐震壁10は、木質パネル20が耐震性能に優れたCLT又はLVLによって構成され、その四隅から斜めに延びる連結具30のアンボンド部40が弾性力によって伸縮するため、柱梁フレーム2にかかる水平力に抵抗することができる。またさらに大きな力がかかったときには、アンボンド部40が塑性変形し、力を吸収する。
また、木質パネル20の四隅から中心Cへ向けて斜めに連結具30を配置するので、鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で接続するよりも少ない接続金物で大きな耐力と高い変形性能を得ることができる。
さらに埋込ボルト32の他端部32bに長ナット35が取り付けられ、その長ナット35がパネル側フランジ部31cに接するので、地震で中心側へ移動したパネル側フランジ部31cを長ナット35で支持することができる。それにより、木質パネル20の斜面20aが破壊されるのを防ぐことができる。
その上、木質系厚板面材1が1枚の大版ではなく、複数の木質パネル20に分かれており、各木質パネル20がハイテンションボルト34でガセットプレート31に接続するので、本実施形態の木質耐震壁10は、あと施工が可能である。
つまりハイテンションボルト34を外せば木質パネル20を柱梁フレーム2から外すことができる。その上、複数の木質パネル20を合わせて1つの木質系厚板面材1を構成するので、1枚あたりの木質パネル20の重量が人力で取り付けることができる重さと大きさ(横幅)になるように任意の大きさに設けることができる。そのため、台車などに載せて玄関から木質パネル20を運び入れることができ、また古い木質パネル20を運び出すことができる。したがって、本実施形態の木質耐震壁10は、木質パネル20を持ち上げるのに大型の揚重機が必要ないので、竣工後であっても、木質耐震壁10を更新することができる。これにより、例えば火事などによって木質パネル20を取り換える必要が生じた場合に、傷んだ木質パネル20を新しい木質パネル20に取り換えることができる。また、耐震改修工事を行うときに、普通の壁があった柱梁フレーム2にガセットプレート31と木質パネル20を接続することで、新たな耐力壁として木質耐震壁10を設置することができる。
図5は、図2のB-B矢視図である。この図において、2Aは柱、2Bは梁、10は木質耐震壁、20は木質パネル、31はガセットプレート、34はハイテンションボルトを表している。
集合住宅では、隣戸間を区画する戸境壁を耐力壁とすることが多い。この図の木質耐震壁10は隣接する住戸間に設けられた戸境壁である。一般に、主要構造部である壁に木質系厚板面材1を使用する場合、建物の用途や規模又は地域によっては、一定の耐火性能を必要とする。その上、木質耐震壁10を戸境壁として使用する場合には、主要構造部としての耐火性能に加え、隣戸への延焼を防ぐための耐火性能と、遮音性能をも必要とする。
この図に示したように、本実施形態の戸境壁として使用する木質耐震壁10の断面構造は、木質系厚板面材1、耐火材3、吸音材4、耐火材3、木質系厚板面材1の順に並ぶ積層構造となっている。
つまり、柱梁フレーム2の内側には、住戸の一番室内側に一対の木質系厚板面材1が1枚ずつ配置され、それぞれ木質系厚板面材1の裏側に沿うように一対の木質系厚板面材1の間に一対の耐火材3が配置される。その一対の耐火材3の間には、吸音材4が配置される。なお、この図では、吸音材4しか図示されていないが、吸音材4が配置される位置(例えばこの図の吸音材4の奥側)には、下地材も配置されている。この構成により、木質耐震壁10は、上述した積層構造となっている。
耐火材3は、例えば、石膏ボードであってもよい。また、吸音材4は、例えばグラスウールボードであってもよい。もしくは、吸音材4を配置する代わりに、遮音を目的とした隙間を空気層として配置してもよい。
耐火材3と吸音材4の四周は、柱梁フレーム2の内側に密着する。これにより、隣接する2つの住戸は、耐火材3と吸音材4で完全に隔てられている。
このように本実施形態の木質耐震壁10は、2枚の木質系厚板面材1の間に耐火材3と吸音材4を備えるため、耐火性能と遮音性能を確保しつつ、木質系厚板面材1を木現しで使用することができる。
つまり、例えば図の右側の住戸で火災が発生した場合、図の右側の木質系厚板面材1が焼失したとしても、右側の耐火材3、吸音材4、左側の耐火材3、及び木質系厚板面材1は燃えずに残る。
したがって木質系厚板面材1を木現しで使用しても、木質系厚板面材1の内側に貼られた耐火材3で隣戸への延焼を防ぐことができるため、木質耐震壁10を戸境壁に使用することができる。
また、右側の木質系厚板面材1が焼失しても、左側の木質系厚板面材1は燃えずに残るため、耐力的には、木質耐震壁10が耐力壁としての耐震性能を維持することができる。したがって、復旧工事で右側の木質系厚板面材1を更新するまでの間も、燃え残った木質耐震壁10が耐力壁として機能することができる。
このように、木質耐震壁10を戸境壁に使用することによって、木質系厚板面材1を木現しで使用したとしても、戸境壁の耐火性能、遮音性能、及び耐震性能を高く維持することができる。
上述した本発明によれば、連結具30が木質パネル20の四隅から中心Cへ向けて斜めに配置されており、連結具30の埋込ボルト32に、充填樹脂33から絶縁されたアンボンド部40を有する。これにより本発明の木質耐震壁10は、従来の鋼板挿入ドリフトピン接合と埋込みボルト接合で接続した木質系厚板面材よりも、少ない接続金物で大きな耐力と高い変形性能を実現することができる。
さらに、埋込ボルト32の他端部32bに長ナット35が螺合しているので、ハイテンションボルト34で柱梁フレーム2と長ナット35を接続することで容易に柱梁フレーム2に木質パネル20を取り付けることができる。その上、木質系厚板面材1は、複数の木質パネル20に分かれているので、木質パネル20を、人力で取り付け可能な大きさと重さにすることができる。
したがって本発明の木質耐震壁10は、あと施工することができる。すなわち、ハイテンションボルト34を外すだけで容易に木質パネル20を人力で取り外すことができ、または人力で取り付けることができるので、傷んだ木質パネル20を新しい木質パネル20に取り換えることができる。また、集合住宅の竣工後の耐震改修工事で、普通の壁があった柱梁フレーム2にガセットプレート31と木質パネル20を接続することにより、新たな耐力壁として木質耐震壁10を設置することができる。
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
1,101 木質系厚板面材、
2 柱梁フレーム、2A 柱、2B 梁、
3 耐火材、4 吸音材、
6 柱梁フレームと木質パネルの間の隙間、
10 木質耐震壁、
20 木質パネル、20a 斜面、20b 上面、20c 側面、
21 切欠部、22 孔部,溝部、23 孔部又は溝部の内腔、
30 連結具、
31 ガセットプレート、31a ウェブ部、
31b フレーム側フランジ部、31c パネル側フランジ部、
31d 貫通孔、
32 埋込ボルト、32a 一端部、32b 他端部、
33 充填樹脂、
34 ハイテンションボルト、34a 軸、34b 頭部、
35 長ナット、36 頭付きスタッド、
37 ガセットプレートと木質パネルとの間の隙間、
40 アンボンド部、41 固定部、
100 耐震壁、
102 鉄筋コンクリート造の柱、
103 鉄筋コンクリート造の梁、
104 接続金物、
R1,R2 水平力に対して木質耐震壁に生じる抵抗力、
D 木質パネルの正面視における対角線、
C 木質パネルの正面視における中心

Claims (4)

  1. 面一に横方向に並ぶ複数の木質パネルから構成される木質系厚板面材と、
    前記木質系厚板面材の四周を取り囲む鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造の柱梁フレームと、
    各木質パネルの四隅から正面視における該木質パネルの中心側へ向けて斜めに配置され前記柱梁フレームと各木質パネルとを接続する連結具と、を備え、
    前記連結具は、前記木質パネルの前記四隅から中心側へ向けて斜めに延びる孔部又は溝部の内腔に一端部を該内腔の前記中心側へ向けて挿入される埋込ボルトと、
    前記埋込ボルトの他端部に螺合する長ナットと、
    前記柱梁フレームと前記長ナットを接続するハイテンションボルトと、を有し、
    前記埋込ボルトは、前記内腔の前記中心側に位置し該内腔に充填された充填樹脂によって該内腔に固定される固定部と、
    前記長ナットと前記固定部との間に位置し前記充填樹脂から絶縁されたアンボンド部と、を有する、木質耐震壁。
  2. 前記木質パネルは、その上面又は下面と側面とに交差する斜面を有する切欠部を前記四隅に有し、
    前記孔部又は溝部は、前記斜面に開口する、請求項1に記載の木質耐震壁。
  3. 前記柱梁フレームに固定されるガセットプレートを備え、
    前記ガセットプレートは、前記ハイテンションボルトの軸を貫通させるパネル側フランジ部を有し、
    前記ハイテンションボルトの頭部と前記長ナットとは、前記パネル側フランジ部を挟む、請求項1に記載の木質耐震壁。
  4. 前記木質系厚板面材は、CLT又はLVLから構成される、請求項1に記載の木質耐震壁。
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