JP3234545U - 木質主要構造部材の連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式 - Google Patents

木質主要構造部材の連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛直荷重や地震時などの水平力などによる接合具からの割裂による脆性破壊を防ぐ接合方式を提供する。
【解決手段】接合方式は、シート割裂補強技術を用いた木質主要構造部材接合部端部および接合部位であって、木質主要構造部材の接合部において、シート割裂補強は一般的な割裂の他、大地震時に接合部に地震力が生じた場合にボルト1−2、2−2やピン1−3、2−3等の接合具が変形することで、木部へのめり込みや周辺の集成材等のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという脆性破壊状況を防ぐ技術である。
【選択図】図13

Description

本考案は、木質主要構造部材の柱材や梁材、筋かい等を木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など以下本シートという)を貼り付け補強する。本シート割裂補強は、一般的な割裂の他、大地震時に接合部に地震力が生じた場合にボルト類やピン等の接合具が変形することで、木部へめり込みや周辺の集成材のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという破壊状況を防ぐ技術である。木材を一周補強するロの字形補強が基本となるが、ロの字型に補強できない場合は、コの字形や、割裂する方向の部材表裏に貼るだけでも補強効果が見込める。本シートは木材が割裂する方向に開こうとする変形を拘束する役割(コンファインド効果)を担い、割裂破壊を防ぐ割裂補強技術を用いた木材接合部の強度と靱性を両立した接合方式に関する新商品技術である。
RC造やS造は、接合部を剛接合とし、部材を降伏させて靱性(耐力を有しながら変形する状態で、急激に破壊しない性能)を確保するが、木質構造(木造)は、RC造やS造と異なり、接合部を降伏させて靱性を確保する構造で、接合部の設計が重要となる。また、木材は、異方性を有する素材で、繊維方向は強いが、繊維直交方向は弱い特性を持つ。
木質構造の靱性を有する接合部とするために重要となるのは、脆性破壊(急激な破壊)となる、脆性的な割裂破壊(繊維直交方向の引張力により割り裂ける破壊:写真1−3参照)を防ぐ。
木材の一般的な接合部例を図6−1に示す。これらの代表的な接合具には、ボルト等や、ドリフトピン、ラグスクリューなどがある。
木造の規準では、実験結果などから、接合部の破壊モードとして図6−3下(表)を得ている。それは、ボルト等の接合具の配置間隔規準図6−2上(表)、接合具配置の定義図6−2下(図)による。
接合具(ボルト類、ドリフトピン、ラグスクリューなど)が太径で短い場合、モード1の破壊モード(図B・写真1−2)となり、割裂破壊やせん断破壊が生じやすくなり、脆性的な破壊となる。
また、接合具が細径で長い場合、モード4の破壊モードとなり(図A・写真1−1)、木材(主材)内部で、接合具が曲げ降伏することで、靱性のある破壊となる(写真1−2)。
モード4の靱性の高い破壊モードとするため、木造の規準では木材厚(主材厚)/接合具径を大きくすること(l/d=8以上)や、接合具の配置基準として、端距離(e1)や縁距離(e2)、ボルト間距離(r)を確保することが定められている(図6−2参照)。
一方で、モード4の接合は、初期剛性は低くなる傾向があり、結果的に許容耐力は低い接合部となる。つまり、靱性はあるが強度の弱い接合となる。
上述の対処として、木材の材質を比重が高く、固い材料とすることが考えられるが、材料変更では1.3倍程度の耐力上昇効果しか見込めない。
次に、接合具数を増やす対処が考えられるが、木造部材は基本的に小断面(一般に流通していない大断面材となるとコストが数倍となる)であることから、接合具の配置基準を満たしながら、本数を増やすのは困難である。
これらにより、木造の接合部は、靱性を優先する都合上、接合効率(接合部耐力/部材耐力)が非常に低くなる場合(20〜30%程度)が多く、木材(部材)が持つポテンシャルを十分に生かしている状態とは言えない。
従って、木材の弱点である、繊維直交方向の力を効率的に補強し、脆性的な破壊モードになる割裂破壊を防ぐことができれば(図C)、強度(初期剛性)と靱性を両立し、これまでの木材には見られない性能を持つ接合効率の高い接合部を実現することが可能になる。つまり木材のポテンシャルを生かした、全く新しい「木質主要構造部材の連続繊維による割裂補強技術を用いた、木材接合部の初期剛性と靱性を両立した」接合方式を確立できる。
また、本シート割裂補強の効果を発揮しやすい接合として木造ラーメンがある。木造ラーメン工法は、接合部で主にモーメントを負担することで、接合の回転に抵抗し、地震等の水平力に抵抗する機構となっている。
これまで述べてきた、一方向の力と異なり、ラーメンの接合部には、接合部の回転中心から放射状に、繊維方向に対して様々な角度で力が働くため、割裂が生じやすくなる。割裂を防ぐためには接合具の間隔を長くとる必要があり、各ラーメンで、その配置基準が規定されている。
木造の一般流通材(梁幅105,120、梁せい450まで)の範囲で配置基準を満たしながら、接合具の数を増やすのは困難で、靱性を優先すると必然的に接合部の回転剛性(初期剛性)は低くなる(各接合部はモード4となる)。
逆に配置基準を緩和して、接合具の間隔を短くすると、回転剛性は上がるが、割裂破壊により靭性が確保できない(各接合具はモード1となる)。
そこで、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など)を貼り付け、割裂補強する。本シートの割裂補強により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。
従ってコストパフォーマンスが高い一般流通材の木材利用で、かつ特注の大断面部材のエンジニアードウッドを用いなくても良い初期剛性の高い強い接合部を実現できる。
木質部材全体の性能向上を狙うと、連続繊維シートを全面に多く用いる必要があり、コストが嵩むこととなる。これに対し本シート割裂補強方式では、連続シート補強を接合のみに絞っており、費用対効果を得やすい補強としている。
これらの木質柱・梁などの木造主要建築部材のラーメン構造耐力と性能を向上させる技術は、例えば特許文献1、文献2に開示されている。
特開2001−49741 特開2001−107456
特許文献1は、木質梁の一端側に鋼製ガセット板がその側方の一部を露出して木質梁に埋没・固定してなり、かつ同露出部には複数のボルト挿入孔を穿設してなる木質梁部材と、木質柱の側面に被着・固定された鋼製の四角短管の半割り体(平面視コ字型)で、その中腹部に鋼製ガセット板を外方に向けて突設してなり、かつ前記突設ガセット板には複数のボルト挿入孔を穿設してなる木質柱部材と、前記木質梁部材と木質柱部材とが、前記露出部のガセット板と突設ガセット板との重合部において、両者の複数の穿設孔に挿入された各ボルトによって一体的に締着されてなることが開示されている。ここにはラーメン架構における柱に取り付ける梁受け金物に上下の補強リブや鋼製四角短観の半割体のコ字型金物を用い、突設鋼製ガセット板を設けた強固で大型な梁受け金物としている。また、木質梁には鋼製ガセット板を用いている。金物を取り付ける接合具(ボルト類、ラグスクリュー、ピンなど)の本数や配置も木構造基準に規定されている配置基準に基づいたものとなり、大断面の木質柱、梁が必要となる。
特許文献2は、ガセット板接合型のラーメン架構における柱脚構造において、前後二面が開口している鋼製箱体であって、その開口部間の中央に補強用の仕切壁を備え、底板には複数のアンカーボルト頭部挿入用のボルト孔を有し、また上板には複数のボルト挿入孔が穿設された鋼製ガセット板が立設されてなる柱脚支持金物と、木質柱の下方に前記鋼製ガセット板挿入用の切欠溝と複数のボルト挿入孔が形成・穿設されてなる木質柱とが、前記柱脚支持金物のガセット板と木質柱の嵌合部で、両者の前記複数の挿入孔に挿入された固定手段によって一体的に締着されてなることが開示されている。これは、ラーメン架構における柱脚支持金物で直接柱と基礎を緊結する方式としている。柱脚支持金物も二枚の鋼製ガセット板を用いた強固な金物となり、金物に取り付ける接合具(ボルト等、ラグスクリュー、ピンなど)の本数や配置も木構造基準に規定されている配置基準に基づいたものとなり、大断面の木質柱が必要となる。
木造接合部の既往の技術である接合金物と接合具を用いた金物接合方法の場合、地震時の脆性破壊が生じる課題があるため、本シートによる割裂補強による脆性破壊を防ぐ接合方式を提案する。
木質主要構造部材の接合部において、本シート割裂補強は一般的な割裂の他、大地震時に接合部に地震力が生じた場合のボルト類やピン等の接合具が変形することで、木部へのめり込みや周辺の集成材等のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという脆性破壊状況を防ぐ技術である。
エンジニアードウッドを用いた大断面構造部材による木造ラーメン工法は、特注部材を用いるため高額となる。本考案では、一般流通材で高い性能を持つ接合を実現するため、コストパフォーマンスの高い木質建築物の普及に寄与することができる。
本シート割裂補強技術を用いた木質主要構造部材接合部端部および接合部位であって、前記本シート割裂補強技術は、前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物に付属する接合具による割裂破壊を防ぎ、接合部全体の初期剛性と靭性を両立することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式とする。
前記本シート割裂補強技術とは、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シートを木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強やコの字形補強、または割裂する方向の部材表裏に貼り付け補強することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式とする。
前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具において、前記本シート割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材による太径の接合具を用いて靭性を得ることを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式とする。
本シート割裂補強技術とは、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シートを木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強(図1)やコの字形補強(図2)、または割裂する方向の部材表裏に貼り付け補強・強化構造(図3)とすることで、柱の圧縮座屈・曲げ破壊や梁のせん断・曲げ破壊、ラミナの接着剥離や接合用具部の割裂破壊を防ぐことができ、木造主要構造部材接合部の耐力・性能アップが期待でき、安全・安心な新規の木造主要構造部材を提供できる。以下にその具体的方法と効果を示す。
木材の弱点である、繊維直交方向の力を効率的に補強し、脆性的な破壊モードになる割裂破壊を防ぐことができれば、強度(初期剛性)と靱性を両立し、これまでの木材には見られない性能を持つ接合効率の高い接合部を実現することが可能になる。つまり木材のポテンシャルを生かした、全く新しい「木質主要構造部材の連続繊維による割裂補強技術を用いた、木材接合部の初期剛性と靱性を両立した」接合方式を確立できる。
無補強で細径ドリフトピンによる二面せん断鋼板挿入接合の場合の接合体模式図 無補強で太径ドリフトピンによる二面せん断鋼板挿入接合の場合の接合体模式図 連続繊維シート補強と太径ドリフトピンによる二面せん断鋼板挿入接合の場合の接合体模式図 梁端部および接合部位の木材を一周本シート補強するロの字形補強方式の正面図、側面図、上面図 梁端部および接合部位の木材を本シート補強するコの字形補強方式の正面図、側面図、上面図 梁端部および接合部位の割裂する方向の部材表裏に本シート貼り付け補強・強化構造方式の正面図、側面図、上面図 靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合図(ドリフトピン配置基準満たす)の正面図・側面図 柱脚部の強度・靭性両立接合部の正面図・側面図 接合形式ごとの降伏モードと接合部種別を示す図・表 靭性型接合、強度型接合、初期剛性補強型接合を示す応力図 柱勝ち梁端接合の柱本シート補強図の側面図、正面図 柱勝ち梁端接合の梁本シート補強図の正面図、上面図 柱脚部鋼板挿入ドリフトピン強度型接合(太径ドリフトピンと配置増やす)の割裂破壊モード正面図、側面図 柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合の強度・靭性両立接合(本シート補強)の正面図、側面図 柱脚のモーメント−回転角関係(包略線)を示す図 柱梁接合の鋼板挿入ドリフトピン接合(本シート補強)の正面図、上面図
以下に本考案の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本考案の技術的思想から逸脱しない限り種々の形態が可能なことは云うまでもない。
高引張強度と連続繊維による本シート木造強化構造を有する木質部材からなる新規な木造主要構造部材を図及び符号を用いて以下にて説明する。
図Aは、ドリフトピン1−3又は2−3による二面せん断鋼板1−1又は2−1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の木材割裂破壊を防ぐために細径の接合具(ドリフトピン1−3,2−3など)を用いるとモード4の破壊モードとなり、靭性があるが、初期剛性は低下する。これは、細径のリフトピン1−3,2−3などの曲げ降伏による。写真1−1参照
図Bは、ドリフトピン1−3又は2−3による二面せん断鋼板1−1又は2−1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の初期剛性を得るために太径の接合具(ドリフトピン1−3,2−3など)を用いるとモード1の破壊モードとなり、割裂による脆性的な破壊となる。写真1−2、写真1−3参照
図Cは、ドリフトピン1−3又は2−3による二面せん断鋼板1−1又は2−1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の初期剛性を得るために太径の接合具(ドリフトピン1−3,2−3など)を用い、連続繊維の本シートによる割裂補強Aを行った場合、木材の割裂破壊を強制的に防止できるため、破壊モードを靭性のあるモード4に誘導することが可能となる。これは、本考案の基本的効果の一例を示し、木材の繊維直交方向と平行に本シートを貼り付け補強する。補強方法は木材を一周するロの字補強A、コの字補強B、割裂する方向部材の表裏に補強Cを適時選択可能とする。これらの補強により、木材が割裂する方向に開こうとする変形を拘束する役割(コンファインド効果)を担い、割裂破壊を強制的に防ぐ。
図1は、梁1端部接合部位の木材を一周して本シート補強するロの字形補強A方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。
図2は、梁1端部接合部位の木材を本シート補強するコの字形補強B方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、梁1上面(又は下面)に本シート補強ができない時に用いる手法である。
図3は、梁1端部および接合部位の割裂する方向の部材表裏に本シート貼り付け補強・強化構造C方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、割裂する方向の部材表裏に限定して本シート補強をする場合に用いる手法である。
図4は、靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合図(ドリフトピン配置基準満たす)の正面図・側面図の一例を示す。木造の一般流通材(梁幅105,120、梁せい450まで)の範囲で配置基準を満たしながら、接合具の数を増やすのは困難で、靱性を優先すると必然的に接合部の回転剛性(初期剛性)は低くなる(各接合部はモード4となる)ことを示す。
図5は、柱脚部の強度・靭性両立接合部の正面図・側面図の一例を示す。そこで、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など)を貼り付け、割裂補強する。本シートの割裂補強A方式により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。
図6−1は、接合具にボルト類を用いた二面せん断及び一面せん断接合形式を示す図である。
図6−2は、ボルト類などの接合具の配置間隔規準の表及び接合具配置の定義を示す図である。
図6−3は、接合形式ごとの降伏モードと接合部種別である。降伏モードによって接合種別(JA,JB,JC:接合部の靭性による分類)が異なる。
図7の矢印表記は、▲1▼は靭性型接合、▲2▼は強度型接合、▲3▼は初期剛性補強型接合を示す応力図で、靭性型接合▲1▼のものは図Aに示す割裂補強無しで細径ドリフトピンを用いたモード4で靭性確保できるが初期剛性が低い。強度型接合▲2▼のものは図Bに示す割裂補強無しで太径ドリフトピンを用いたモード1となり初期剛性は上昇するが割裂による脆性的な破壊となる。初期剛性補強型接合▲3▼のものは図Cに示す割裂補強し、太径ドリフトピンを用い割裂を強制的に防止してモード4となり初期剛性に加え靱性を確保できることを示す。
図8は、柱2勝ち梁1端接合部(木造金物接合工法の標準ディテールで鋼板一面せん断)の柱2の本シート補強Aによる側面図、正面図を示し、接合部に生じるせん断力Qは柱側の止付けボルト類2−2を介して柱2に伝達される。柱2勝ちの梁1上部で柱2が切れている場合、ボルト類2−2のせん断力によって、柱2上部からボルト類2−2に向かって割裂破壊を生じやすい。これを本シート割裂補強Aによって防ぐことが可能となる。
図9−1は、柱2勝ち梁1端接合の二面せん断鋼板挿入形式で、梁1本シート補強Aの正面図、上面図を示す。図9−2は、柱2勝ち梁1端接合の二面せん断鋼板側材形式で、梁1本シート補強Aの正面図、上面図を示す。これらの梁1端部接合部の割裂は、梁材繊維直交方向にせん断力が働く場合に生じやすく、割裂破壊により梁1の脱落もあり得る。本シート割裂補強Aのように割裂方向に本シートを一巻補強するだけで割裂を防ぎ、接合具の曲げ変形で粘りある接合部となる。
図10は、図4の靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合のドリフトピン配置基準を緩和して接合具の間隔を短くしたもので、回転剛性は上がるが割裂破壊により靭性が確保できない。(各接合部はモード1となる)
図11は、柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合の強度・靭性両立接合(本シート補強)の正面図、側面図である。本シートによる割裂補強Aにより、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くして配置可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。これにより、コストパフォーマンスが高い一般流通材(製材品)だけでは不可能な強い接合部を実現できる。本シート補強Aの木質部材全体の性能向上を狙うと、本シートを部材全体に多用する必要があり、コストが嵩む。これに対し接合部に限定した割裂補強とすることで費用対効果を得やすい補強としている。
図12は、柱脚のモーメント−回転角関係(包略線)を示す図である。図の矢印表記は、▲3▼は割裂補強有りの場合の接合、▲2▼は割裂補強無しの場合の接合を示す応力図で、実験比較によると▲2▼の割裂補強無しの場合は割裂破壊による急激な耐力低下を示し、▲3▼の割裂補強有りの場合は割裂破壊が生じないためドリフトピンが曲げ降伏し、大変形時も荷重低下しないで靭性のある性能を有している。
図13は、柱梁接合の鋼板挿入ドリフトピンによるラーメン接合(本シート補強)の正面図、上面図を示す。梁受け金物として柱・梁挿入鋼板ガセット板1−1を用い、梁側に本シートロの字割裂補強Aを施して、柱側に本シートコの字割裂補強Bを施し、梁側ガセット板1−1中央と柱側ガセット板1−1中央に太径ボルト類1−2,2−2を用いて止付け、梁側のドリフトピン1−3を挿入し、柱側にもドリフトピン2−3を挿入することで本シートの割裂補強の効果を十分発揮する木質ラーメン接合を可能とする。ここで、木造ラーメンは接合部で主に回転モーメントを負担することで、接合の回転力に抵抗し、地震等の水平力に抵抗する機構となっている。軸組在来工法の一方向の力と異なり、ラーメンの接合部には、接合部の回転中心から放射状に繊維方向に対して様々な角度で力が働くため、割裂が生じやすくなる。割裂を防ぐためには接合具の間隔を長くとる必要があり、各ラーメンでその配置基準が規定されている。しかし、本シートの割裂補強により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。特に図示しないが、柱・梁ラーメン接合で鋼板二面せん断ボルト接合の場合も同様の本シートの割裂補の強効果を十分発揮することも可能である。
写真1−1は、二面せん断木材側材の降伏モード4を示す。
写真1−2は、二面せん断木材側材の降伏モード1bを示す。
写真1−3は、木材端部の繊維方向引張力による脆性的な破壊モードの割裂破壊を示す。
ここで、本シートの素材としては、連続繊維のアラミド繊維や炭素繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維などを用い、一方向繊維又は二方向繊維のシート状のものを用いる。
上述のように木造構造の長期優良化を効率的に図ることで、国の政策を遵守することが可能であり、耐震性、耐久性と更新可能の本シート木造強化構造による優れた新規な木造主要構造部材を普及することである。
A ロの字状の連続繊維シートによる割裂補強
B コの字状の連続繊維シートによる割裂補強
C 割裂する方向部材の表裏に連続繊維シートによる割裂補強
1 梁部材
1−1 梁受け金物
1−2 ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
1−3 ドリフトピン
2 柱部材
2−1 柱脚金物
2−2 ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
2−3 ドリフトピン
2−4 アンカーボルト類(アンカーボルト・座金・スプリングワッシャー)

Claims (3)

  1. 連続繊維シート割裂補強技術を用いた木質主要構造部材接合部端部および接合部位であって、前記連続繊維シート割裂補強技術は、前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物に付属する接合具による割裂破壊を防ぎ、接合部全体の初期剛性と靭性を両立することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない接合方式。
  2. 前記連続繊維シート割裂補強技術とは、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シートを木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強やコの字形補強、または割裂する方向の部材表裏に貼り付け補強することを特徴とした請求項1記載の接合方式。
  3. 前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具において、前記連続繊維シート割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材による太径の接合具を用いて靭性を得ることを特徴とした請求項1記載の接合方式。
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