JP2023182498A - 連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式を特徴とした木質主要構造部材接合部の製造方法。 - Google Patents
連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式を特徴とした木質主要構造部材接合部の製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】鉛直荷重や地震時などの水平力などによる接合具からの割裂による脆性破壊を防ぐ接合方式による接合部の製造方法を提供する。【解決手段】接合方式は、シート割裂破壊補強技術を用いた木質主要構造部材端部および接合部位であって、木質主要構造部材の接合部において、シート割裂補強は一般的な割裂の他、大地震時に接合部に地震力が生じた場合にボルトやピン等の接合具が変形することで、木部へのめり込みや周辺の集成材等のラミナ接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという脆性破壊状況を防ぐ技術であって、この技術を用いた木質主要構造部材接合部の製造方法である。【選択図】図23
Description
本発明は、木質主要構造部材の柱材や梁材、筋かい等を木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など以下本シートという)を二液性エポキシ樹脂接着剤用いて貼り付け補強する。本シート割裂補強は、一般的な割裂の他、大地震時に接合部に大きな力が生じた場合にボルト類やピン等の接合具が変形することで、木部へめり込みや周辺の集成材のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという破壊状況を防ぐ技術である。木材を一周補強するロの字形補強が基本となるが、ロの字形に補強できない場合は、コの字形や、割裂する方向の部材片面又は表裏に貼るだけでも補強効果が見込める。本シートは木材が割裂する方向に開こうとする変形を拘束する役割(コンファインド効果)を担い、割裂破壊を防ぐ割裂補強技術を用いた木材接合部の強度と靱性を両立した接合方式による新たな木質構造部材接合部の製造方法である。
RC造やS造は、接合部を剛接合とし、部材を降伏させて靱性(耐力を有しながら変形する状態で、急激に破壊しない性能)を確保するが、木質構造(木造)は、RC造やS造と異なり、接合部を降伏させて靱性を確保する構造で、接合部の設計が重要となる。また、木材は、異方性を有する素材で、繊維直交方向は強いが、繊維方向は弱い特性を持つ。
木質構造の靱性を有する接合部とするために重要となるのは、脆性破壊(急激な破壊)となる、脆性的な割裂破壊(繊維方向の引張力により割り裂ける破壊:写真1-3参照)を防ぐ。
木材の一般的な接合部例を図6-1に示す。これらの代表的な接合具には、ボルト等や、ドリフトピン、ラグスクリューなどがある。
木造の規準では、実験結果などから、接合部の破壊モードとして図6-3 下(表)を得ている。それは、ボルト等の接合具の配置間隔規準図6-2 上(表)、接合具配置の定義図6-2 下(図)による。
接合具(ボルト類、ドリフトピン、ラグスクリューなど)が太径で短い場合、モード1の破壊モード(図B・写真1-2)となり、割裂破壊やせん断破壊が生じやすくなり、脆性的な破壊となる。
また、接合具が細径で長い場合、モード4の破壊モードとなり(図A・写真1-1)、木材(主材)内部で、接合具が曲げ降伏することで、靱性のある破壊となる(写真1-2)。
モード4の靱性の高い破壊モードとするため、木造の規準では木材厚(主材厚)/接合具径を大きくすること(l/d=8以上)や、接合具の配置基準として、端距離(e1)や縁距離(e2)、ボルト間距離(r)を確保することが定められている(図6-2参照)。
一方で、モード4の接合は、初期剛性は低くなる傾向があり、結果的に許容耐力は低い接合部となる。つまり、靱性はあるが強度の弱い接合となる。
上述の対処として、木材の材質を比重が高く、固い材料とすることが考えられるが、材料変更では1.3倍程度の耐力上昇効果しか見込めない。
次に、接合具数を増やす対処が考えられるが、木造部材は基本的に小断面(一般に流通していない大断面材となるとコストが数倍となる)であることから、接合具の配置基準を満たしながら、本数を増やすのは困難である。
これらにより、木造の接合部は、靱性を優先する都合上、接合効率(接合部耐力/部材耐力)が非常に低くなる場合(20~30%程度)が多く、木材(部材)が持つポテンシャルを十分に生かしている状態とは言えない。
従って、木材の弱点である、繊維方向の力を効率的に補強し、脆性的な破壊モードになる割裂破壊を防ぐことができれば(図C)、強度(初期剛性)と靱性を両立し、これまでの木材には見られない性能を持つ接合効率の高い接合部を実現することが可能になる。つまり木材のポテンシャルを生かした、全く新しい「木質主要構造部材の連続繊維による割裂補強技術を用いた、木材接合部の初期剛性と靱性を両立した」接合方式を確立できる。
また、本シート割裂補強の効果を発揮しやすい接合として木造ラーメンがある。木造ラーメン工法は、接合部で主にモーメントを負担することで、接合の回転に抵抗し、地震等の水平力に抵抗する機構となっている。
これまで述べてきた、一方向の力と異なり、ラーメンの接合部には、接合部の回転中心から放射状に、繊維方向に対して様々な角度で力が働くため、割裂が生じやすくなる。割裂を防ぐためには接合具の間隔を長くとる必要があり、各ラーメンで、その配置基準が規定されている。
木造の一般流通材(梁幅105,120、梁せい450まで)の範囲で配置基準を満たしながら、接合具の数を増やすのは困難で、靱性を優先すると必然的に接合部の回転剛性(初期剛性)は低くなる(各接合部はモード4となる)。
逆に配置基準を緩和して、接合具の間隔を短くすると、回転剛性は上がるが、割裂破壊により靭性が確保できない(各接合具はモード1となる)。
そこで、木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など)を貼り付け、割裂補強する。本シートの割裂補強により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。
従ってコストパフォーマンスが高い一般流通材の木材利用で、かつ特注の大断面部材のエンジニアードウッドを用いなくても良い初期剛性の高い強い接合部を実現できる。
木質部材全体の性能向上を狙うと、連続繊維シート(以下本シートという)を全面に多く用いる必要があり、コストが嵩むこととなる。これに対し本シート割裂補強方式では、連続シート補強を接合のみに絞っており、費用対効果を得やすい補強としている。
これらの木質柱・梁などの木造主要建築部材のラーメン構造耐力と性能を向上させる技術は、例えば特許文献1、文献2に開示されている。
特許文献1は、木質梁の一端側に鋼製ガセット板がその側方の一部を露出して木質梁に埋没・固定してなり、かつ同露出部には複数のボルト挿入孔を穿設してなる木質梁部材と、木質柱の側面に被着・固定された鋼製の四角短管の半割り体(平面視コ字型)で、その中腹部に鋼製ガセット板を外方に向けて突設してなり、かつ前記突設ガセット板には複数のボルト挿入孔を穿設してなる木質柱部材と、前記木質梁部材と木質柱部材とが、前記露出部のガセット板と突設ガセット板との重合部において、両者の複数の穿設孔に挿入された各ボルトによって一体的に締着されてなることが開示されている。ここにはラーメン架構における柱に取り付ける梁受け金物に上下の補強リブや鋼製四角短観の半割体のコ字型金物を用い、突設鋼製ガセット板を設けた強固で大型な梁受け金物としている。また、木質梁には鋼製ガセット板を用いている。金物を取り付ける接合具(ボルト類、ラグスクリュー、ピンなど)の本数や配置も木構造基準に規定されている配置基準に基づいたものとなり、大断面の木質柱、梁が必要となる。
特許文献2は、ガセット板接合型のラーメン架構における柱脚構造において、前後二面が開口している鋼製箱体であって、その開口部間の中央に補強用の仕切壁を備え、底板には複数のアンカーボルト頭部挿入用のボルト孔を有し、また上板には複数のボルト挿入孔が穿設された鋼製ガセット板が立設されてなる柱脚支持金物と、木質柱の下方に前記鋼製ガセット板挿入用の切欠溝と複数のボルト挿入孔が形成・穿設されてなる木質柱とが、前記柱脚支持金物のガセット板と木質柱の嵌合部で、両者の前記複数の挿入孔に挿入された固定手段によって一体的に締着されてなることが開示されている。これは、ラーメン架構における柱脚支持金物で直接柱と基礎を緊結する方式としている。柱脚支持金物も二枚の鋼製ガセット板を用いた強固な金物となり、金物に取り付ける接合具(ボルト等、ラグスクリュー、ピンなど)の本数や配置も木構造基準に規定されている配置基準に基づいたものとなり、大断面の木質柱が必要となる。
木造接合部の既往の技術である接合金物と接合具を用いた金物接合方法の場合、地震時の脆性破壊が生じる課題があるため、本シートによる割裂補強による脆性破壊を防ぐ接合方式を用いた木質主要構造部材接合部の製造方法を提案する。
木質主要構造部材の接合部において、本シート割裂補強は一般的な割裂の他、大地震時に接合部に地震力が生じた場合のボルト類やピン等の接合具が変形することで、木部へのめり込みや周辺の集成材等のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという脆性破壊状況を防ぐ技術である。
エンジニアードウッドを用いた大断面構造部材による木造ラーメン工法は、特注部材を用いるため高額となる。本発明では、一般流通材で高い性能を持つ接合を実現するため、コストパフォーマンスの高い木質建築物の普及に寄与することができる。
また、2020年10月に日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言したことの実現、脱炭素社会への方向転換により、公共建築のみならず民間建築においても積極的に木造化が図られている。その焦点の一つとして、都市型の「中層木造建築」があり、従来のRC・S造の代替として期待できる。一方、中層木造建築の実現には、エンジニアードウッドを用いた特殊な技術や認定工法を必要とするため、コストUPとなり地域ビルダー・工務店らの参入を妨げている。そこで本発明では、ビルダーが求め慣れ親しんだ「木造軸組工法」により中層化を実現するため、そのアイテムである木造軸組工法の開口部に組込、耐力壁する「木造建築物開口部における耐震用フレーム(特許登録第5518017号参照)」の構造特性と、中層木造への適応について応用する。耐震開口フレームの接合部の性能を明らかにする。
ここで、耐震開口フレームの概要は、木造軸組工法の開口部を耐力壁化する技術として耐震開口フレームが開発された(図D耐震開口フレームの概要ほか参照)。耐震開口フレームは、軸組内に組み込むことで、通常の面材耐力壁と同等に水平力のみを負担する耐力壁として機能する。特徴は、ラーメンフレームとは異なり特殊な設計が不要で、一般的な許容応力度計算ソフトにより誰でも運用できる。耐震開口フレームは、1階に設置する「門型」と設置階を限定しない「BOX型」の2タイプ。フレームは、曲げモーメントがゼロになる中間点で分割し、L形部材を現場で接合し、施工性と物流の容易性を導く。フレームのコーナー部には、プレカット工場で高強度の連続繊維シートを二液性エポキシ樹脂接着剤で貼り付けている。
中層木造建築での耐震開口フレームの高耐力化には、軸組内に設置するフレーム接合部の曲げ耐力と剛性の向上が不可欠である。そこで、門型の柱脚接合部とBOX型(門型)に用いるL形接合部の面内曲げ試験を計画した。試験は、正負交番の繰り返しとし、回転角1/6.7radまで加力して接合部の面内曲げ試験をおこなった。
現行の門型柱脚接合部は、フレーム柱断面が105×240mmの鋼板挿入ドリフトピン接合としている。一方、中層木造建築用では、柱断面を150×300mmとした。さらなる試みとしては、鋼板挿入ドリフトピンの割裂方向に繊維シートをバンド状(ロの字状)に巻きつけて補強した仕様とした(図D-1)。
「繊維シートバンド」の効果を把握・証明するため、予備試験として、繊維シートの有無による柱脚接合部の曲げ試験を実施した。繊維シートバンド無の試験体は、鋼板挿入ドリフトピン接合とし、接合具の配置間隔規準よりも細かくピンを配置(12φ×12本)した。繊維シートバンド有の試験体は、無の試験体に100mm幅のシートを「ロの字状」に巻いて補強した。破壊性状は、繊維シートバンド無が割裂破壊を起こしたのに対し、繊維シートバンド有は割裂が生じていないことを確認した(図D-写1)。またM-θ曲線においても、繊維シートバンド無は割裂が生じると共に耐力が低下。これに対し、繊維シートバンド有は終局時までドリフトピンの曲げ降伏によって耐力が増加している(図D-3)。繊維シートバンドは「割裂破壊しない木材」を利用した様々な接合に応用可能な新工法と言え、様々な用途の展開が期待できる。
予備試験の結果を受けて、中層木造建築用門型耐震開口フレームの柱脚部は、ドリフトピンを太径の16φとし、Jバンドを2段:200mm幅に巻きつけて本試験を実施した(図D-2)。
現行(門型)のL形接合部は、フレーム柱・梁断面を105×240mmとし、引きボルト(M12)と繊維シートを併用するディテールである。「中層木造建築用門型耐震開口フレーム」では、フレーム柱断面を150×300mm、梁断面を150×330mmとした(図D-4)。引きボルトは、終局時の伸び性能が明確なM20のSNR490Bを用い、フレーム梁側にDボルト40φ、フレーム柱側に座金プレートで固定した。繊維シートは、より大きなモーメントに抵抗させるため、接合部の引張方向に二重貼り(図D-4の▲1▼)し、その直交方向に梁のボルト定着部や柱頭の割裂破壊に対する繊維シートコの字バンドとして巻きつけた(図D-4の▲2▼▲3▼)。接合部の圧縮力がシートの大きな引張力に釣り合うよう、木口の三角形めり込み性能を向上させるため、プレートを介してめり込み防止ビスを「杭」とする技術を導入している。
L形接合部の試験結果ではM-θ関係より、繊維シートの影響で初期剛性は高く、弾性的に荷重が増加する(図D-5)。その後、回転角1/100radより引張縁側から回転中心に向かって徐々にシートが破断した(図D-写2)。これに協調するように引きボルトに力が伝達され、急激な耐力低下の生じない靭性的な変形を確認した。この繊維シートとボルトによる「協調リレー接合」を生かし、比較的小さな断面で高い剛性と粘りを両立できる事が、本接合システムの他には無い特徴と言える。予備試験では、終局時に柱座金のめり込みによってフレーム柱頭部に割裂亀裂が発生したが、本試験では繊維シートバンド(図D-4の▲3▼)で割裂を防止でき、ボルトの靭性を活かすことができた。
上記の接合部試験の結果を受けて、中層木造建築用耐震開口フレームの面内せん断試験の結果と任意のスパン・高さごとの許容せん断耐力算出法を示す。さらに、中層木造建築用耐震開口フレームを用いた木造軸組工法の中層木造の展開についてまとめる。
中層木造建築用耐震開口フレームは、モーメントがゼロになるフレームの柱・梁中央で、BOX型で4パーツ、門型で2パーツのL形部材に分割して軸組内に設置する。現行のJ-耐震開口フレームと同様に、L型部材同士は、中間接合金物とドリフトピンで接合し、フレームと軸組は、ゴム座金を介してコーチスクリューボルトで一体化する。BOX型は4隅をその1のL形接合部とし、門型は柱脚接合部をM24のアンカーボルトで基礎に緊結する。試験体は、BOX型がスパン2,730・4,550mm、門型がスパン4,550mmの各1体とし、高さは2,900mmとした(図E-1、図E-表1)。試験は、正負交番繰り返しの面内せん断試験とし1/15rad以上になるまで加力した。
試験結果は、BOX型、門型ともに、シート破断の開始まで、ほぼ弾性的に荷重が増加する(図E-2)。シート破断に伴い剛性が低下するが、終局時(1/15rad)まで荷重は増加し続け 接合部の回転によって安定的な変形だった(図E-写1)。シート破断後の引張ボルトへの適切な応力伝達を再確認できた。BOX型では、スパン4,550mmよりも2,730mmの方が降伏耐力及び最大耐力が高い傾向が見られた(図E-表2)。門型はBOX型と比べて、初期剛性が低いが、柱脚接合部の影響で二次剛性は高い。いずれの試験体も、特定変形角1/150rad時で短期基準せん断耐力P0が決定した。
現行の耐震開口フレームの荷重-変形角関係を図E-2に合わせて示した。中層木造建築用耐震開口フレームは、現行耐震開口フレームに対して剛性・耐力共に飛躍的に向上し最終加力時まで軸組の破壊が生じないことを確認した。
試験結果は、BOX型、門型ともに、シート破断の開始まで、ほぼ弾性的に荷重が増加する(図E-2)。シート破断に伴い剛性が低下するが、終局時(1/15rad)まで荷重は増加し続け 接合部の回転によって安定的な変形だった(図E-写1)。シート破断後の引張ボルトへの適切な応力伝達を再確認できた。BOX型では、スパン4,550mmよりも2,730mmの方が降伏耐力及び最大耐力が高い傾向が見られた(図E-表2)。門型はBOX型と比べて、初期剛性が低いが、柱脚接合部の影響で二次剛性は高い。いずれの試験体も、特定変形角1/150rad時で短期基準せん断耐力P0が決定した。
現行の耐震開口フレームの荷重-変形角関係を図E-2に合わせて示した。中層木造建築用耐震開口フレームは、現行耐震開口フレームに対して剛性・耐力共に飛躍的に向上し最終加力時まで軸組の破壊が生じないことを確認した。
解析モデル図E-3のように中層木造建築用耐震開口フレームの解析モデルを設定した。軸組とフレームはそれぞれの構造芯で線材置換した。軸組の柱-梁接合部はピン接合とし、軸組とフレームはコーチスクリューボルトのせん断バネで接続する。
L形接合部の試験では、シート破断後に荷重低下がみられた(図D-5参照)が、中層木造建築用耐震開口フレームの試験ではこの影響が無い。これは、接合部が軸組によって拘束された効果と推察した。そこでL形接合部の解析モデルは、剛域に圧縮と引張バネを設置し、各バネが軸組の影響を受けるようにした。フレームの柱脚接合部は、回転バネとした。
許容せん断耐力は、増分解析結果と実験値の比較より、BOX型の降伏荷重がスパン2,730mmの方が高い点など、解析値は安全側に実験値を予測できた(図E-4)。これより任意のスパン・高さにおいて解析を行って実験値を予測し、これに低減係数を乗じて、許容せん断耐力(Qa)の耐力換算表を整備した(図E-表3)。新・JFのQaは、BOX型で現・JFのQa≒4kNに対して約7倍、門型で現・JFのQa≒7kNに対して約3倍の性能を実現した。
中層木造建築の市場と運用に向け、ゼネコン各社により混構造又は一部木造化の提案が進んでいる。しかし、純木造による中層木造(4、5階建て)の市場参入が遅れているのが現状である。その課題として、構造計画の煩雑さ、壁量確保のための高耐力壁活用と柱脚引抜対策、特殊工法による施工性とコストなどがあげられる。そこで、地域ビルダーの慣れ親しんだ軸組工法に中層木造建築用耐震開口フレームを適用させることで市場参入の糸口を導いた。
実施運用には設計手法の確立と行政対応などが課題となる。そこで事前に各審査機関へのヒアリングを経て、「中層木造建築用耐震開口フレームを用いた木造4階建て共同住宅」として、(一財)日本建築センターの構造評定取得にトライした。評定では、中層木造建築用耐震開口フレームのスパン・高さをパラメータとした短期許容せん断耐力に加え「4階建ての許容応力度計算手法」の評価を得た。設計は多くのユーザーが扱える3階建ての構造計算ソフトをベースとした手法とし、広く普及展開できることを重視した。中層木造では、増幅する地震力への対処や建物のバランスの向上が欠かせない。全体壁量を確保しつつ、耐力壁の分散化により引抜力の集中を回避した無理のない計画が重要である。また、水平力のみを負担するという力の棲み分けは、ラーメン構法と異なり煩雑な構造力学と必要せず、一般的な軸組工法の考え方を適用できる。近年開発が進む高倍率の耐力壁は、周辺部材の先行破壊が懸念されている。開口部を耐震壁化する「中層木造建築用耐震開口フレーム」は、高倍率耐力壁に依存しない計画を可能とし、それが接合部の終局的な安全性確保に直結する。プランの一例として、南面バルコニーの連続開口への適用は有効で、採光や眺望をデザインに組み込み、図E-5のように多様なファサードを構成する。今後、立体解析やWallstatとの比較検証により、さらなる構造安全性を追求するとともに実案件における設計や施工検証を進め、中層木造建築の普及推進の一助となるよう貢献していきたい。
本シートを用いた割裂補強技術による木質主要構造部材接合部端部および接合部位であって、前記の本シート割裂補強技術は、前記木質主要構造部材接合部位の接合金物に付属する接合具による割裂破壊を防ぎ、接合部全体の初期剛性と靭性を両立することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法とする。
前記本シートを用いた割裂補強技術とは、木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シートを二液性エポキシ樹脂接着剤用いて木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強やコの字形補強、割裂する方向の接合部材端部の片面又は表裏に貼り付け補強することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法とする。
前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具において、前記本シート割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材による太径の接合具を用いて靭性を得ることを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法とする。
前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具に適応する木質主要構造部材のプレカット加工後に、前記連続繊維シート割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材接合部の初期剛性と靭性を得ることを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式によるプレカット工場での木質主要構造部材接合部の製造方法とする。ここで、接合部位によっては木質主要構造部材と接合金物による組立順位により、接合具が本シート施工前になる場合(柱脚など)は本シートを接合具施工後に貼り、本シート施工後になる場合(梁端部など)は本シートを接合具施工前に貼り、本シート接着硬化後に接合具の穴を再貫通させる。
本シート割裂補強技術とは、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シートを木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強(図1)やコの字形補強(図2)、または割裂する方向の部材表裏に貼り付け補強・強化構造(図3)とすることで、柱の圧縮座屈・曲げ破壊や梁のせん断・曲げ破壊、ラミナの接着剥離や接合用具部の割裂破壊を防ぐことができ、木造主要構造部材接合部の耐力・性能アップが期待でき、安全・安心な新規の木造主要構造部材接合部を製造し提供できる。以下にその具体的方法と効果を示す。
木材の弱点である、繊維方向の力を効率的に補強し、脆性的な破壊モードになる割裂破壊を防ぐことができれば、強度(初期剛性)と靱性を両立し、これまでの木材には見られない性能を持つ接合効率の高い接合部を実現することが可能になる。つまり木材のポテンシャルを生かした、全く新しい「木質主要構造部材接合部の連続繊維による割裂補強技術を用いた、木材接合部の初期剛性と靱性を両立した」接合方式による木質構造部材接合部の製造方法を確立できる。
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の形態が可能なことは云うまでもない。
高引張強度と連続繊維による本シート木造強化構造を有する木質部材からなる新規な木造主要構造部材接合部の製造方法を図及び符号を用いて以下にて説明する。
図Aは、ドリフトピン1-3又は2-3による二面せん断鋼板1-1又は2-1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の木材割裂破壊を防ぐために細径の接合具(ドリフトピン1-3,2-3など)を用いるとモード4の破壊モードとなり、靭性があるが、初期剛性は低下する。これは、細径のリフトピン1-3,2-3などの曲げ降伏による。写真1-1参照
図Bは、ドリフトピン1-3又は2-3による二面せん断鋼板1-1又は2-1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の初期剛性を得るために太径の接合具(ドリフトピン1-3,2-3など)を用いるとモード1の破壊モードとなり、割裂による脆性的な破壊となる。写真1-2、写真1-3参照
図Cは、ドリフトピン1-3又は2-3による二面せん断鋼板1-1又は2-1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の初期剛性を得るために太径の接合具(ドリフトピン1-3,2-3など)を用い、連続繊維の本シートによる割裂補強Aを行った場合、木材の割裂破壊を強制的に防止できるため、破壊モードを靭性のあるモード4に誘導することが可能となる。これは、本発明の基本的効果の一例を示し、木材の繊維直交方向と平行に本シートを貼り付け補強する。補強方法は木材を一周するロの字補強A、コの字補強B、割裂する方向部材の表裏に補強Cを適時選択可能とする。これらの補強により、木材が割裂する方向に開こうとする変形を拘束する役割(コンファインド効果)を担い、割裂破壊を強制的に防ぐ。
図1は、梁1端部接合部位の木材を一周して本シート補強するロの字形補強A方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、梁材はプレカット加工・組立後に本シートを接合具1-3施工前に貼るものとする。また、本シートを接合具1-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図2は、梁1端部接合部位の木材を本シート補強するコの字形補強B方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、梁1上面(又は下面)に本シート補強ができない時(梁上面に床ネタ等が施工される場合や、接合金物下端に梁受けプレートがある場合等)に用いる手法である。
図3は、梁1端部および接合部位の割裂する方向の部材表裏に本シート貼り付け補強・強化構造C方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、割裂する方向の部材表裏に限定して本シート補強をする場合に用いる手法である。
図4は、靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合図(ドリフトピン配置基準満たす)の正面図・側面図の一例を示す。木造の一般流通材(梁幅105,120、梁せい450まで)の範囲で配置基準を満たしながら、接合具の数を増やすのは困難で、靱性を優先すると必然的に接合部の回転剛性(初期剛性)は低くなる(各接合部はモード4となる)ことを示す。
図5は、柱脚部の強度・靭性両立接合部の正面図・側面図の一例を示す。そこで、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など)を貼り付け、割裂補強する。本シートの割裂補強A方式により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。これにより、コストパフォーマンスが高い一般流通材(製材品)だけでは不可能な強い接合部を実現できる。本シート補強A方式の木質部材全体の性能向上を狙うと、本シートを部材全体に多用する必要があり、コストが嵩む。これに対し接合部に限定した割裂補強とすることで費用対効果を得やすい補強としている。
図6-1は、接合具にボルト類を用いた二面せん断及び一面せん断接合形式を示す図である。
図6-2は、ボルト類などの接合具の配置間隔規準の表及び接合具配置の定義を示す図である。
図6-3は、接合形式ごとの降伏モードと接合部種別である。降伏モードによって接合種別(JA,JB,JC:接合部の靭性による分類)が異なる。
図7の矢印表記は、▲1▼は靭性型接合、▲2▼は強度型接合、▲3▼は初期剛性補強型接合を示す応力図で、靭性型接合▲1▼のものは図Aに示す割裂補強無しで細径ドリフトピンを用いたモード4で靭性確保できるが初期剛性が低い。強度型接合▲2▼のものは図Bに示す割裂補強無しで太径ドリフトピンを用いたモード1となり初期剛性は上昇するが割裂による脆性的な破壊となる。初期剛性補強型接合▲3▼のものは図Cに示す割裂補強し、太径ドリフトピンを用い割裂を強制的に防止してモード4となり初期剛性に加え靱性を確保できることを示す。
図8は、柱2勝ち梁1端接合部(木造金物接合工法の標準ディテールで鋼板一面せん断)の柱2の本シート補強Aによる側面図、正面図を示し、接合部に生じるせん断力Qは柱側の止付けボルト類2-2を介して柱2に伝達される。柱2勝ちの梁1上部で柱2が切れている場合、ボルト類2-2のせん断力によって、柱2上部からボルト類2-2に向かって割裂破壊を生じやすい。これを本シート割裂補強Aによって防ぐことが可能となる。この場合本シートを接合具2-2施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図9-1は、柱2勝ち梁1端接合の二面せん断鋼板挿入形式で、梁1本シート補強Aの正面図、上面図を示す。図9-2は、柱2勝ち梁1端接合の二面せん断鋼板側材形式で、梁1本シート補強Aの正面図、上面図を示す。これらの梁1端部接合部の割裂は、梁材繊維直交方向にせん断力が働く場合に生じやすく、割裂破壊により梁1の脱落もあり得る。本シート割裂補強Aのように割裂方向に本シートを一巻補強するだけで割裂を防ぎ、接合具の曲げ変形で粘りある接合部となる。この場合本シートを接合具1-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図10は、図4の靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合のドリフトピン配置基準を緩和して接合具の間隔を短くしたもので、回転剛性は上がるが割裂破壊により靭性が確保できない。(各接合部はモード1となる)
図11は、柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合の強度・靭性両立接合(本シート補強)の正面図、側面図である。本シートによる割裂補強Aにより、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くして配置可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。また、新耐震開口フレーム門型の柱脚の場合、本シートロ字補強により短辺を必ず折り返して二重とし定着長さを確保する。この場合本シートを接合具2-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図12は、柱脚のモーメント-回転角関係(包略線)を示す図である。図の矢印表記は、▲3▼は割裂補強有りの場合の接合、▲2▼は割裂補強無しの場合の接合を示す応力図で、実験比較によると▲2▼の割裂補強無しの場合は割裂破壊による急激な耐力低下を示し、▲3▼の割裂補強有りの場合は割裂破壊が生じないためドリフトピンが曲げ降伏し、大変形時も荷重低下しないで靭性のある性能を有している。
図13は、柱梁接合の鋼板挿入ドリフトピンによるラーメン接合(本シート補強)の正面図、上面図を示す。梁受け金物として柱・梁挿入鋼板ガセット板1-1を用い、梁側に本シートロの字割裂補強Aを施して、柱側に本シートコの字割裂補強Bを施し、梁側ガセット板1-1中央と柱側ガセット板1-1中央に太径ボルト類1-2,2-2を用いて止付け、梁側のドリフトピン1-3を挿入し、柱側にもドリフトピン2-3を挿入することで本シートの割裂補強の効果を十分発揮する木質ラーメン接合を可能とする。ここで、木造ラーメンは接合部で主に回転モーメントを負担することで、接合の回転力に抵抗し、地震等の水平力に抵抗する機構となっている。軸組在来工法の一方向の力と異なり、ラーメンの接合部には、接合部の回転中心から放射状に繊維方向に対して様々な角度で力が働くため、割裂が生じやすくなる。割裂を防ぐためには接合具の間隔を長くとる必要があり、各ラーメンでその配置基準が規定されている。しかし、本シートの割裂補強により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。特に図示しないが、柱・梁ラーメン接合で鋼板二面せん断ボルト接合の場合も同様の本シートの割裂補の強効果を十分発揮することも可能である。この場合本シートを接合具1-2、1-3、2-2、2-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図14は、中層木造建築用門型耐震開口フレームの正面図、側面図、上面図で、構造躯体の柱、桁の内側に組み込まれ、ラグスクリューボルトにより緊結される。木造軸組工法の開口部を耐力壁化する技術として耐震開口フレームが開発された。
図15は、中層木造建築用BOX型耐震開口フレームの正面図、側面図、上面図で、構造躯体の柱、横架材の内側に組み込まれ、ラグスクリューボルトにより緊結される。木造軸組工法の開口部を耐力壁化する技術として耐震開口フレームが開発された。
図16は中層木造建築用耐震開口フレームのL形接合部拡大図の接合金物、接合具を示す正面図、側面図、上面図である。接合金物としてDボルト1-4と引きボルト1-5を用いフレーム柱側に座金プレート1-7を用いて緊結する。さらに接合部の圧縮力が本シートの大きな引張力に釣り合うよう、木口の三角形めり込み性能を向上させるため、プレートを介してめり込み防止ビス1-6を「杭」とする技術を導入した。また、フレームの柱と梁にほぞ加工が施され、上下・左右のずれ防止を行っている。
図17は、図16に示すL形接合の接合金物、接合具などによる組立完了後に本シート割裂補強部分を示す正面図、側面図、上面図である。まず、接合部のより大きなモーメントに抵抗させるため、接合部引張方向のフレーム柱・梁に水平に本シートをコの字B二重貼り▲1▼に施工する。次に前記コの字B二重貼り端部の上からロの字A貼り▲2▼に施工する。この場合、本シートロ字補強により短辺を必ず折り返して二重とし定着長さを確保する。さらに、フレーム柱状端部から垂直にコの字B貼り▲3▼に施工する。本シートの影響で初期剛性は高く、試験結果により弾性的に荷重が増加する。その後、回転角1/100radより引張縁側から回転中心に向かって徐々に本シートが破断した。これに協調するように引きボルトに力が伝達され、急激な耐力低下の生じない靭性的な変形を確認した。この本シートと引きボルトによる「協調リレー接合」を生かし、比較的小さな断面で高い剛性と粘りを両立できる事が、本接合システムの他には無い特徴と言える。予備試験では、終局時に柱座金のめり込みによってフレーム柱頭部に割裂亀裂が発生したが、本試験では柱状端部から垂直にコの字B貼りで割裂を防止でき、ボルトの靭性を活かすことができる。
図18は、木製筋かい3端部の本シートによる割裂補強を示す。この図は横架材(梁1又は土台)と柱2の交点に筋かい金物3-1を止付け金具3-2(木ビス、ボルト類)を用いて柱、横架材、筋かいを一体に固定し、割裂する方向部材(柱、横架材、筋かい)に添って斜め方向に本シートによる割裂補強を行う。この場合の本シートの割裂補強は表面だけでも可能としている。
写真1-1は、二面せん断木材側材の降伏モード4を示す。
写真1-2は、二面せん断木材側材の降伏モード1bを示す。
写真1-3は、木材端部の繊維方向引張力による脆性的な破壊モードの割裂破壊を示す。
ここで、本シートの素材としては、連続繊維のアラミド繊維や炭素繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維などを用い、一方向繊維又は二方向繊維のシート状のものを用い、二液性エポキシ樹脂接着剤で貼り付けている。
上述のように木造構造の長期優良化を効率的に図ることで、国の政策を遵守することが可能であり、耐震性、耐久性と更新可能の本シート木造強化構造による優れた新規な木造主要構造部材接合部の現場での製造方法を普及することである。さらに、木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具に適応する木質主要構造部材のプレカット加工後に、プレカット工場での連続繊維シート補強を施した新規で付加価値の高い主要構造部材の製造・販売に寄与する。本シートによる初期剛性と靭性を得ることを特徴とし、従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式によるプレカット工場での製造方法として産業上の利用の可能性が高い。
A ロの字状の連続繊維シートによる割裂補強
B コの字状の連続繊維シートによる割裂補強
C 割裂する方向部材の表裏に連続繊維シートによる割裂補強
1 梁部材
1-1梁受け金物
1-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
1-3ドリフトピン
1-4Dボルト
1-5引きボルト
1-6めり込み防止ビス
1-7座金プレート
2 柱部材
2-1柱脚金物
2-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
2-3ドリフトピン
2-4アンカーボルト類(アンカーボルト・座金・スプリングワッシャー)
3筋かい
3-1筋かい金物
3-2止付け金具(木ビス、ボルト・ナット類)
B コの字状の連続繊維シートによる割裂補強
C 割裂する方向部材の表裏に連続繊維シートによる割裂補強
1 梁部材
1-1梁受け金物
1-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
1-3ドリフトピン
1-4Dボルト
1-5引きボルト
1-6めり込み防止ビス
1-7座金プレート
2 柱部材
2-1柱脚金物
2-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
2-3ドリフトピン
2-4アンカーボルト類(アンカーボルト・座金・スプリングワッシャー)
3筋かい
3-1筋かい金物
3-2止付け金具(木ビス、ボルト・ナット類)
本発明は、木質主要構造部材の柱材や梁材、筋かい等を木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など以下本シートという)を二液性エポキシ樹脂接着剤用いて貼り付け補強する。本シート割裂補強は、一般的な割裂の他、大地震時に接合部に大きな力が生じた場合にボルト類やピン等の接合具が変形することで、木部へめり込みや周辺の集成材のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという破壊状況を防ぐ技術である。木材を一周補強するロの字形補強が基本となるが、ロの字形に補強できない場合は、コの字形や、割裂する方向の部材片面又は表裏に貼るだけでも補強効果が見込める。本シートは木材が割裂する方向に開こうとする変形を拘束する役割(コンファインド効果)を担い、割裂破壊を防ぐ割裂補強技術を用いた木材接合部の強度と靱性を両立した接合方式による新たな木質構造部材接合部の製造方法である。
RC造やS造は、接合部を剛接合とし、部材を降伏させて靱性(耐力を有しながら変形する状態で、急激に破壊しない性能)を確保するが、木質構造(木造)は、RC造やS造と異なり、接合部を降伏させて靱性を確保する構造で、接合部の設計が重要となる。また、木材は、異方性を有する素材で、繊維直交方向は強いが、繊維方向は弱い特性を持つ。
木質構造の靱性を有する接合部とするために重要となるのは、脆性破壊(急激な破壊)となる、脆性的な割裂破壊(繊維方向の引張力により割り裂ける破壊:図26、図27参照)を防ぐ。
木材の一般的な接合部例を図9に示す。これらの代表的な接合具には、ボルト等や、ドリフトピン、ラグスクリューなどがある。
木造の規準では、実験結果などから、接合部の破壊モードとして図11を得ている。それは、ボルト等の接合具の配置間隔規準の図10上(表)、接合具配置の定義の図10下(図)による。
接合具(ボルト類、ドリフトピン、ラグスクリューなど)が太径で短い場合、モード1の降伏モード(図2・図26)となり、割裂破壊やせん断破壊が生じやすくなり、脆性的な破壊となる。
また、接合具が細径で長い場合、モード4の降伏モードとなり(図1・図25)、木材(主材)内部で、接合具が曲げ降伏することで、靱性のある破壊となる(図26)。
モード4の靱性の高い降伏モードとするため、木造の規準では木材厚(主材厚)/接合具径を大きくすること(l/d=8以上)や、接合具の配置基準として、端距離(e1)や縁距離(e2)、ボルト間距離(r)を確保することが定められている(図10参照)。
一方で、モード4の接合は、初期剛性は低くなる傾向があり、結果的に許容耐力は低い接合部となる。つまり、靱性はあるが強度の弱い接合となる。
上述の対処として、木材の材質を比重が高く、固い材料とすることが考えられるが、材料変更では1.3倍程度の耐力上昇効果しか見込めない。
次に、接合具数を増やす対処が考えられるが、木造部材は基本的に小断面(一般に流通していない大断面材となるとコストが数倍となる)であることから、接合具の配置基準を満たしながら、本数を増やすのは困難である。
これらにより、木造の接合部は、靱性を優先する都合上、接合効率(接合部耐力/部材耐力)が非常に低くなる場合(20~30%程度)が多く、木材(部材)が持つポテンシャルを十分に生かしている状態とは言えない。
従って、木材の弱点である、繊維方向の力を効率的に補強し、脆性的な破壊モードになる割裂破壊を防ぐことができれば(図3参照)、強度(初期剛性)と靱性を両立し、これまでの木材には見られない性能を持つ接合効率の高い接合部を実現することが可能になる。つまり木材のポテンシャルを生かした、全く新しい「木質主要構造部材の連続繊維による割裂補強技術を用いた、木材接合部の初期剛性と靱性を両立した」接合方式を確立できる。
また、本シート割裂補強の効果を発揮しやすい接合として木造ラーメンがある。木造ラーメン工法は、接合部で主にモーメントを負担することで、接合の回転に抵抗し、地震等の水平力に抵抗する機構となっている。
これまで述べてきた、一方向の力と異なり、ラーメンの接合部には、接合部の回転中心から放射状に、繊維方向に対して様々な角度で力が働くため、割裂が生じやすくなる。割裂を防ぐためには接合具の間隔を長くとる必要があり、各ラーメンで、その配置基準が規定されている。
木造の一般流通材(梁幅105,120、梁せい450まで)の範囲で配置基準を満たしながら、接合具の数を増やすのは困難で、靱性を優先すると必然的に接合部の回転剛性(初期剛性)は低くなる(各接合部はモード4となる)。
逆に配置基準を緩和して、接合具の間隔を短くすると、回転剛性は上がるが、割裂破壊により靭性が確保できない(各接合具はモード1となる)。
そこで、木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など)を貼り付け、割裂補強する。本シートの割裂補強により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。
従ってコストパフォーマンスが高い一般流通材の木材利用で、かつ特注の大断面部材のエンジニアードウッドを用いなくても良い初期剛性の高い強い接合部を実現できる。
木質部材全体の性能向上を狙うと、連続繊維シート(以下本シートという)を全面に多く用いる必要があり、コストが嵩むこととなる。これに対し本シート割裂補強方式では、連続シート補強を接合のみに絞っており、費用対効果を得やすい補強としている。
これらの木質柱・梁などの木造主要建築部材のラーメン構造耐力と性能を向上させる技術は、例えば特許文献1、文献2に開示されている。
特許文献1は、木質梁の一端側に鋼製ガセット板がその側方の一部を露出して木質梁に埋没・固定してなり、かつ同露出部には複数のボルト挿入孔を穿設してなる木質梁部材と、木質柱の側面に被着・固定された鋼製の四角短管の半割り体(平面視コ字型)で、その中腹部に鋼製ガセット板を外方に向けて突設してなり、かつ前記突設ガセット板には複数のボルト挿入孔を穿設してなる木質柱部材と、前記木質梁部材と木質柱部材とが、前記露出部のガセット板と突設ガセット板との重合部において、両者の複数の穿設孔に挿入された各ボルトによって一体的に締着されてなることが開示されている。ここにはラーメン架構における柱に取り付ける梁受け金物に上下の補強リブや鋼製四角短観の半割体のコ字型金物を用い、突設鋼製ガセット板を設けた強固で大型な梁受け金物としている。また、木質梁には鋼製ガセット板を用いている。金物を取り付ける接合具(ボルト類、ラグスクリュー、ピンなど)の本数や配置も木構造基準に規定されている配置基準に基づいたものとなり、大断面の木質柱、梁が必要となる。
特許文献2は、ガセット板接合型のラーメン架構における柱脚構造において、前後二面が開口している鋼製箱体であって、その開口部間の中央に補強用の仕切壁を備え、底板には複数のアンカーボルト頭部挿入用のボルト孔を有し、また上板には複数のボルト挿入孔が穿設された鋼製ガセット板が立設されてなる柱脚支持金物と、木質柱の下方に前記鋼製ガセット板挿入用の切欠溝と複数のボルト挿入孔が形成・穿設されてなる木質柱とが、前記柱脚支持金物のガセット板と木質柱の嵌合部で、両者の前記複数の挿入孔に挿入された固定手段によって一体的に締着されてなることが開示されている。これは、ラーメン架構における柱脚支持金物で直接柱と基礎を緊結する方式としている。柱脚支持金物も二枚の鋼製ガセット板を用いた強固な金物となり、金物に取り付ける接合具(ボルト等、ラグスクリュー、ピンなど)の本数や配置も木構造基準に規定されている配置基準に基づいたものとなり、大断面の木質柱が必要となる。
木造接合部の既往の技術である接合金物と接合具を用いた金物接合方法の場合、地震時の脆性破壊が生じる課題があるため、本シートによる割裂補強による脆性破壊を防ぐ接合方式を用いた木質主要構造部材接合部の製造方法を提案する。
木質主要構造部材の接合部において、本シート割裂補強は一般的な割裂の他、大地震時に接合部に地震力が生じた場合のボルト類やピン等の接合具が変形することで、木部へのめり込みや周辺の集成材等のラミナの接着層が破壊したり、形成されている木繊維が面外へ破裂・爆裂するという脆性破壊状況を防ぐ技術である。
エンジニアードウッドを用いた大断面構造部材による木造ラーメン工法は、特注部材を用いるため高額となる。本発明では、一般流通材で高い性能を持つ接合を実現するため、コストパフォーマンスの高い木質建築物の普及に寄与することができる。
また、2020年10月に日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言したことの実現、脱炭素社会への方向転換により、公共建築のみならず民間建築においても積極的に木造化が図られている。その焦点の一つとして、都市型の「中層木造建築」があり、従来のRC・S造の代替として期待できる。一方、中層木造建築の実現には、エンジニアードウッドを用いた特殊な技術や認定工法を必要とするため、コストUPとなり地域ビルダー・工務店らの参入を妨げている。そこで本発明では、ビルダーが求め慣れ親しんだ「木造軸組工法」により中層化を実現するため、そのアイテムである木造軸組工法の開口部に組込、耐力壁する「木造建築物開口部における耐震用フレーム(特許登録第5518017号参照)」の構造特性と、中層木造への適応について応用する。耐震開口フレームの接合部の性能を明らかにする。
ここで、耐震開口フレームの概要は、木造軸組工法の開口部を耐力壁化する技術として耐震開口フレームが開発された(図28耐震開口フレームの概要ほか図29~図35参照)。耐震開口フレームは、軸組内に組み込むことで、通常の面材耐力壁と同等に水平力のみを負担する耐力壁として機能する。特徴は、ラーメンフレームとは異なり特殊な設計が不要で、一般的な許容応力度計算ソフトにより誰でも運用できる。耐震開口フレームは、1階に設置する「門型」と設置階を限定しない「BOX型」の2タイプ。フレームは、曲げモーメントがゼロになる中間点で分割し、L形部材を現場で接合し、施工性と物流の容易性を導く。フレームのコーナー部には、プレカット工場で高強度の連続繊維シートを二液性エポキシ樹脂接着剤で貼り付けている。
中層木造建築での耐震開口フレームの高耐力化には、軸組内に設置するフレーム接合部の曲げ耐力と剛性の向上が不可欠である。そこで、門型の柱脚接合部とBOX型(門型)に用いるL形接合部の面内曲げ試験を計画した。試験は、正負交番の繰り返しとし、回転角1/6.7radまで加力して接合部の面内曲げ試験をおこなった。
現行の門型柱脚接合部は、フレーム柱断面が105×240mmの鋼板挿入ドリフトピン接合としている。一方、中層木造建築用では、柱断面を150×300mmとした。さらなる試みとしては、鋼板挿入ドリフトピンの割裂方向に繊維シートをバンド状(ロの字状)に巻きつけて補強した仕様とした(図29)。
「繊維シートバンド」の効果を把握・証明するため、予備試験として、繊維シートの有無による柱脚接合部の曲げ試験を実施した。繊維シートバンド無の試験体は、鋼板挿入ドリフトピン接合とし、接合具の配置間隔規準よりも細かくピンを配置(12φ×12本)した。繊維シートバンド有の試験体は、無の試験体に100mm幅のシートを「ロの字状」に巻いて補強した。破壊性状は、繊維シートバンド無が割裂破壊を起こしたのに対し、繊維シートバンド有は割裂が生じていないことを確認した(図32)。またM-θ曲線においても、繊維シートバンド無は割裂が生じると共に耐力が低下。これに対し、繊維シートバンド有は終局時までドリフトピンの曲げ降伏によって耐力が増加している(図31)。繊維シートバンドは「割裂破壊しない木材」を利用した様々な接合に応用可能な新工法と言え、様々な用途の展開が期待できる。
予備試験の結果を受けて、中層木造建築用門型耐震開口フレームの柱脚部は、ドリフトピンを太径の16φとし、Jバンドを2段:200mm幅に巻きつけて本試験を実施した(図29)。
現行(門型)のL形接合部は、フレーム柱・梁断面を105×240mmとし、引きボルト(M12)と繊維シートを併用するディテールである。「中層木造建築用門型耐震開口フレーム」では、フレーム柱断面を150×300m、梁断面を150×330mmとした(図33)。引きボルトは、終局時の伸び性能が明確なM20のSNR490Bを用い、フレーム梁側にDボルト40φ、フレーム柱側に座金プレートで固定した。繊維シートは、より大きなモーメントに抵抗させるため、接合部の引張方向に二重貼り(図33の▲1▼)し、その直交方向に梁のボルト定着部や柱頭の割裂破壊に対する繊維シートコの字バンドとして巻きつけた(図33の▲2▼▲3▼)。接合部の圧縮力がシートの大きな引張力に釣り合うよう、木口の三角形めり込み性能を向上させるため、プレートを介してめり込み防止ビスを「杭」とする技術を導入している。
L形接合部の試験結果ではM-θ関係より、繊維シートの影響で初期剛性は高く、弾性的に荷重が増加する(図34)。その後、回転角1/100radより引張縁側から回転中心に向かって徐々にシートが破断した(図35)。これに協調するように引きボルトに力が伝達され、急激な耐力低下の生じない靭性的な変形を確認した。この繊維シートとボルトによる「協調リレー接合」を生かし、比較的小さな断面で高い剛性と粘りを両立できる事が、本接合システムの他には無い特徴と言える。予備試験では、終局時に柱座金のめり込みによってフレーム柱頭部に割裂亀裂が発生したが、本試験では繊維シートバンド(図33の▲3▼)で割裂を防止でき、ボルトの靭性を活かすことができた。
上記の接合部試験の結果を受けて、中層木造建築用耐震開口フレームの面内せん断試験の結果と任意のスパン・高さごとの許容せん断耐力算出法を示す。さらに、中層木造建築用耐震開口フレームを用いた木造軸組工法の中層木造の展開についてまとめる。
中層木造建築用耐震開口フレームは、モーメントがゼロになるフレームの柱・梁中央で、BOX型で4パーツ、門型で2パーツのL形部材に分割して軸組内に設置する。現行のJ-耐震開口フレームと同様に、L型部材同士は、中間接合金物とドリフトピンで接合し、フレームと軸組は、ゴム座金を介してコーチスクリューボルトで一体化する。BOX型は4隅をその1のL形接合部とし、門型は柱脚接合部をM24のアンカーボルトで基礎に緊結する。試験体は、BOX型がスパン2,730・4,550mm、門型がスパン4,550mmの各1体とし、高さは2,900mmとした(図36、図37の試験体図、図39)。試験は、正負交番繰り返しの面内せん断試験とし1/15rad以上になるまで加力した。
試験結果は、BOX型、門型ともに、シート破断の開始まで、ほぼ弾性的に荷重が増加する(図38)。シート破断に伴い剛性が低下するが、終局時(1/15rad)まで荷重は増加し続け 接合部の回転によって安定的な変形だった(図41)。シート破断後の引張ボルトへの適切な応力伝達を再確認できた。BOX型では、スパン4,550mmよりも2,730mmの方が降伏耐力及び最大耐力が高い傾向が見られた(図40)。門型はBOX型と比べて、初期剛性が低いが、柱脚接合部の影響で二次剛性は高い。いずれの試験体も、特定変形角1/150rad時で短期基準せん断耐力P0が決定した。
現行の耐震開口フレームの荷重-変形角関係を図38に合わせて示した。中層木造建築用耐震開口フレームは、現行耐震開口フレームに対して剛性・耐力共に飛躍的に向上し最終加力時まで軸組の破壊が生じないことを確認した。
試験結果は、BOX型、門型ともに、シート破断の開始まで、ほぼ弾性的に荷重が増加する(図38)。シート破断に伴い剛性が低下するが、終局時(1/15rad)まで荷重は増加し続け 接合部の回転によって安定的な変形だった(図41)。シート破断後の引張ボルトへの適切な応力伝達を再確認できた。BOX型では、スパン4,550mmよりも2,730mmの方が降伏耐力及び最大耐力が高い傾向が見られた(図40)。門型はBOX型と比べて、初期剛性が低いが、柱脚接合部の影響で二次剛性は高い。いずれの試験体も、特定変形角1/150rad時で短期基準せん断耐力P0が決定した。
現行の耐震開口フレームの荷重-変形角関係を図38に合わせて示した。中層木造建築用耐震開口フレームは、現行耐震開口フレームに対して剛性・耐力共に飛躍的に向上し最終加力時まで軸組の破壊が生じないことを確認した。
解析モデル図42のように中層木造建築用耐震開口フレームの解析モデルを設定した。軸組とフレームはそれぞれの構造芯で線材置換した。軸組の柱-梁接合部はピン接合とし、軸組とフレームはコーチスクリューボルトのせん断バネで接続する。
L形接合部の試験では、シート破断後に荷重低下がみられた(図34参照)が、中層木造建築用耐震開口フレームの試験ではこの影響が無い。これは、接合部が軸組によって拘束された効果と推察した。そこでL形接合部の解析モデルは、剛域に圧縮と引張バネを設置し、各バネが軸組の影響を受けるようにした。フレームの柱脚接合部は、回転バネとした。
許容せん断耐力は、増分解析結果と実験値の比較より、BOX型の降伏荷重がスパン2,730mmの方が高い点など、解析値は安全側に実験値を予測できた(図43)。これより任意のスパン・高さにおいて解析を行って実験値を予測し、これに低減係数を乗じて、許容せん断耐力(Qa)の耐力換算表を整備した(図44)。新・JFのQaは、BOX型で現・JFのQa≒4kNに対して約7倍、門型で現・JFのQa≒7kNに対して約3倍の性能を実現した。
中層木造建築の市場と運用に向け、ゼネコン各社により混構造又は一部木造化の提案が進んでいる。しかし、純木造による中層木造(4、5階建て)の市場参入が遅れているのが現状である。その課題として、構造計画の煩雑さ、壁量確保のための高耐力壁活用と柱脚引抜対策、特殊工法による施工性とコストなどがあげられる。そこで、地域ビルダーの慣れ親しんだ軸組工法に中層木造建築用耐震開口フレームを適用させることで市場参入の糸口を導いた。
実施運用には設計手法の確立と行政対応などが課題となる。そこで事前に各審査機関へのヒアリングを経て、「中層木造建築用耐震開口フレームを用いた木造4階建て共同住宅」として、(一財)日本建築センターの構造評定取得にトライした。評定では、中層木造建築用耐震開口フレームのスパン・高さをパラメータとした短期許容せん断耐力に加え「4階建ての許容応力度計算手法」の評価を得た。設計は多くのユーザーが扱える3階建ての構造計算ソフトをベースとした手法とし、広く普及展開できることを重視した。中層木造では、増幅する地震力への対処や建物のバランスの向上が欠かせない。全体壁量を確保しつつ、耐力壁の分散化により引抜力の集中を回避した無理のない計画が重要である。また、水平力のみを負担するという力の棲み分けは、ラーメン構法と異なり煩雑な構造力学と必要せず、一般的な軸組工法の考え方を適用できる。近年開発が進む高倍率の耐力壁は、周辺部材の先行破壊が懸念されている。開口部を耐震壁化する「中層木造建築用耐震開口フレーム」は、高倍率耐力壁に依存しない計画を可能とし、それが接合部の終局的な安全性確保に直結する。プランの一例として、南面バルコニーの連続開口への適用は有効で、採光や眺望をデザインに組み込み、図45のパースのように多様なファサードを構成する。今後、立体解析やWallstatとの比較検証により、さらなる構造安全性を追求するとともに実案件における設計や施工検証を進め、中層木造建築の普及推進の一助となるよう貢献していきたい。
本シートを用いた割裂補強技術による木質主要構造部材接合部端部および接合部位であって、前記の本シート割裂補強技術は、前記木質主要構造部材接合部位の接合金物に付属する接合具による割裂破壊を防ぎ、接合部全体の初期剛性と靭性を両立することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法とする。
前記本シートを用いた割裂補強技術とは、木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シートを二液性エポキシ樹脂接着剤用いて木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強やコの字形補強、割裂する方向の接合部材端部の片面又は表裏に貼り付け補強することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法とする。
前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具において、前記本シート割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材による太径の接合具を用いて靭性を得ることを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法とする。
前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具に適応する木質主要構造部材のプレカット加工後に、前記連続繊維シート割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材接合部の初期剛性と靭性を得ることを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式によるプレカット工場での木質主要構造部材接合部の製造方法とする。ここで、接合部位によっては木質主要構造部材と接合金物による組立順位により、接合具が本シート施工前になる場合(柱脚など)は本シートを接合具施工後に貼り、本シート施工後になる場合(梁端部など)は本シートを接合具施工前に貼り、本シート接着硬化後に接合具の穴を再貫通させる。
本シート割裂補強技術とは、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シートを木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強(図4)やコの字形補強(図5)、または割裂する方向の部材表裏に貼り付け補強・強化構造(図6)とすることで、柱の圧縮座屈・曲げ破壊や梁のせん断・曲げ破壊、ラミナの接着剥離や接合用具部の割裂破壊を防ぐことができ、木造主要構造部材接合部の耐力・性能アップが期待でき、安全・安心な新規の木造主要構造部材接合部を製造し提供できる。以下にその具体的方法と効果を示す。
木材の弱点である、繊維方向の力を効率的に補強し、脆性的な破壊モードになる割裂破壊を防ぐことができれば、強度(初期剛性)と靱性を両立し、これまでの木材には見られない性能を持つ接合効率の高い接合部を実現することが可能になる。つまり木材のポテンシャルを生かした、全く新しい「木質主要構造部材接合部の連続繊維による割裂補強技術を用いた、木材接合部の初期剛性と靱性を両立した」接合方式による木質構造部材接合部の製造方法を確立できる。
以下に本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されたもので、本発明の技術的思想から逸脱しない限り種々の形態が可能なことは云うまでもない。
高引張強度と連続繊維による本シート木造強化構造を有する木質部材からなる新規な木造主要構造部材接合部の製造方法を図及び符号を用いて以下にて説明する。
図1は、ドリフトピン1-3又は2-3による二面せん断鋼板1-1又は2-1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の木材割裂破壊を防ぐために細径の接合具(ドリフトピン1-3,2-3など)を用いるとモード4の破壊モードとなり、靭性があるが、初期剛性は低下する。これは、細径のリフトピン1-3,2-3などの曲げ降伏による。図25写真参照
図2は、ドリフトピン1-3又は2-3による二面せん断鋼板1-1又は2-1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の初期剛性を得るために太径の接合具(ドリフトピン1-3,2-3など)を用いるとモード1の破壊モードとなり、割裂による脆性的な破壊となる。図26、図27参照
図3は、ドリフトピン1-3又は2-3による二面せん断鋼板1-1又は2-1挿入接合の場合の接合体模式図の一例を示し、梁1又は柱2の初期剛性を得るために太径の接合具(ドリフトピン1-3,2-3など)を用い、連続繊維の本シートによる割裂補強Aを行った場合、木材の割裂破壊を強制的に防止できるため、破壊モードを靭性のあるモード4に誘導することが可能となる。これは、本発明の基本的効果の一例を示し、木材の繊維直交方向と平行に本シートを貼り付け補強する。補強方法は木材を一周するロの字補強A、コの字補強B、割裂する方向部材の表裏に補強Cを適時選択可能とする。これらの補強により、木材が割裂する方向に開こうとする変形を拘束する役割(コンファインド効果)を担い、割裂破壊を強制的に防ぐ。
図4は、梁1端部接合部位の木材を一周して本シート補強するロの字形補強A方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、梁材はプレカット加工・組立後に本シートを接合具1-3施工前に貼るものとする。また、本シートを接合具1-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図5は、梁1端部接合部位の木材を本シート補強するコの字形補強B方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、梁1上面(又は下面)に本シート補強ができない時(梁上面に床ネタ等が施工される場合や、接合金物下端に梁受けプレートがある場合等)に用いる手法である。
図6は、梁1端部および接合部位の割裂する方向の部材表裏に本シート貼り付け補強・強化構造C方式の正面図、側面図、上面図を示し、柱2勝ちの場合の柱・梁接合部を示している。この場合、割裂する方向の部材表裏に限定して本シート補強をする場合に用いる手法である。
図7は、靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合図(ドリフトピン配置基準満たす)の正面図・側面図の一例を示す。木造の一般流通材(梁幅105,120、梁せい450まで)の範囲で配置基準を満たしながら、接合具の数を増やすのは困難で、靱性を優先すると必然的に接合部の回転剛性(初期剛性)は低くなる(各接合部はモード4となる)ことを示す。
図8は、柱脚部の強度・靭性両立接合部の正面図・側面図の一例を示す。そこで、木材の繊維直交方向と平行に高強度高弾性な連続繊維シート(アラミドや炭素繊維など)を貼り付け、割裂補強する。本シートの割裂補強A方式により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。これにより、コストパフォーマンスが高い一般流通材(製材品)だけでは不可能な強い接合部を実現できる。本シート補強A方式の木質部材全体の性能向上を狙うと、本シートを部材全体に多用する必要があり、コストが嵩む。これに対し接合部に限定した割裂補強とすることで費用対効果を得やすい補強としている。
図9は、接合具にボルト類を用いた二面せん断及び一面せん断接合形式を示す図である。
図10は、ボルト類などの接合具の配置間隔規準の表及び接合具配置の定義を示す図である。
図11は、接合形式ごとの降伏モードと接合部種別である。降伏モードによって接合種別(JA,JB,JC:接合部の靭性による分類)が異なる。
図12の矢印表記は、▲1▼は靭性型接合、▲2▼は強度型接合、▲3▼は初期剛性補強型接合を示す応力図で、靭性型接合▲1▼のものは図1に示す割裂補強無しで細径ドリフトピンを用いたモード4で靭性確保できるが初期剛性が低い。強度型接合▲2▼のものは図2に示す割裂補強無しで太径ドリフトピンを用いたモード1となり初期剛性は上昇するが割裂による脆性的な破壊となる。初期剛性補強型接合▲3▼のものは図3に示す割裂補強し、太径ドリフトピンを用い割裂を強制的に防止してモード4となり初期剛性に加え靱性を確保できることを示す。
図13は、柱2勝ち梁1端接合部(木造金物接合工法の標準ディテールで鋼板一面せん断)の柱2の本シート補強Aによる側面図、正面図を示し、接合部に生じるせん断力Qは柱側の止付けボルト類2-2を介して柱2に伝達される。柱2勝ちの梁1上部で柱2が切れている場合、ボルト類2-2のせん断力によって、柱2上部からボルト類2-2に向かって割裂破壊を生じやすい。これを本シート割裂補強Aによって防ぐことが可能となる。この場合本シートを接合具2-2施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図14は、柱2勝ち梁1端接合の二面せん断鋼板挿入形式で、梁1本シート補強Aの正面図、上面図を示す。図15は、柱2勝ち梁1端接合の二面せん断鋼板側材形式で、梁1本シート補強Aの正面図、上面図を示す。これらの梁1端部接合部の割裂は、梁材繊維直交方向にせん断力が働く場合に生じやすく、割裂破壊により梁1の脱落もあり得る。本シート割裂補強Aのように割裂方向に本シートを一巻補強するだけで割裂を防ぎ、接合具の曲げ変形で粘りある接合部となる。この場合本シートを接合具1-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図16は、図7の靭性型柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合のドリフトピン配置基準を緩和して接合具の間隔を短くしたもので、回転剛性は上がるが割裂破壊により靭性が確保できない。(各接合部はモード1となる)
図17は、柱脚部鋼板挿入ドリフトピン接合の強度・靭性両立接合(本シート補強)の正面図、側面図である。本シートによる割裂補強Aにより、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くして配置可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。また、新耐震開口フレーム門型の柱脚の場合、本シートロ字補強により短辺を必ず折り返して二重とし定着長さを確保する。この場合本シートを接合具2-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図18は、柱脚のモーメント-回転角関係(包略線)を示す図である。図の矢印表記は、▲3▼は割裂補強有りの場合の接合、▲2▼は割裂補強無しの場合の接合を示す応力図で、実験比較によると▲2▼の割裂補強無しの場合は割裂破壊による急激な耐力低下を示し、▲3▼の割裂補強有りの場合は割裂破壊が生じないためドリフトピンが曲げ降伏し、大変形時も荷重低下しないで靭性のある性能を有している。
図19は、柱梁接合の鋼板挿入ドリフトピンによるラーメン接合(本シート補強)の正面図、上面図を示す。梁受け金物として柱・梁挿入鋼板ガセット板1-1を用い、梁側に本シートロの字割裂補強Aを施して、柱側に本シートコの字割裂補強Bを施し、梁側ガセット板1-1中央と柱側ガセット板1-1中央に太径ボルト類1-2,2-2を用いて止付け、梁側のドリフトピン1-3を挿入し、柱側にもドリフトピン2-3を挿入することで本シートの割裂補強の効果を十分発揮する木質ラーメン接合を可能とする。ここで、木造ラーメンは接合部で主に回転モーメントを負担することで、接合の回転力に抵抗し、地震等の水平力に抵抗する機構となっている。軸組在来工法の一方向の力と異なり、ラーメンの接合部には、接合部の回転中心から放射状に繊維方向に対して様々な角度で力が働くため、割裂が生じやすくなる。割裂を防ぐためには接合具の間隔を長くとる必要があり、各ラーメンでその配置基準が規定されている。しかし、本シートの割裂補強により、接合部に多くの接合具を配置(接合具を太くすることも可能)できるため、回転剛性(強度)と靱性を両立させることができる。特に図示しないが、柱・梁ラーメン接合で鋼板二面せん断ボルト接合の場合も同様の本シートの割裂補の強効果を十分発揮することも可能である。この場合本シートを接合具1-2、1-3、2-2、2-3施工前に貼るので本シート接着剤が硬化した後に接合具用穴を再貫通させておく。
図20は、中層木造建築用門型耐震開口フレームの正面図、側面図、上面図で、構造躯体の柱、桁の内側に組み込まれ、ラグスクリューボルトにより緊結される。木造軸組工法の開口部を耐力壁化する技術として耐震開口フレームが開発された。
図21は、中層木造建築用BOX型耐震開口フレームの正面図、側面図、上面図で、構造躯体の柱、横架材の内側に組み込まれ、ラグスクリューボルトにより緊結される。木造軸組工法の開口部を耐力壁化する技術として耐震開口フレームが開発された。
図22は中層木造建築用耐震開口フレームのL形接合部拡大図の接合金物、接合具を示す正面図、側面図、上面図である。接合金物としてDボルト1-4と引きボルト1-5を用いフレーム柱側に座金プレート1-7を用いて緊結する。さらに接合部の圧縮力が本シートの大きな引張力に釣り合うよう、木口の三角形めり込み性能を向上させるため、プレートを介してめり込み防止ビス1-6を「杭」とする技術を導入した。また、フレームの柱と梁にほぞ加工が施され、上下・左右のずれ防止を行っている。
図23は、図22に示すL形接合の接合金物、接合具などによる組立完了後に本シート割裂補強部分を示す正面図、側面図、上面図である。まず、接合部のより大きなモーメントに抵抗させるため、接合部引張方向のフレーム柱・梁に水平に本シートをコの字B二重貼り▲1▼に施工する。次に前記コの字B二重貼り端部の上からロの字A貼り▲2▼に施工する。この場合、本シートロ字補強により短辺を必ず折り返して二重とし定着長さを確保する。さらに、フレーム柱状端部から垂直にコの字B貼り▲3▼に施工する。本シートの影響で初期剛性は高く、試験結果により弾性的に荷重が増加する。その後、回転角1/100radより引張縁側から回転中心に向かって徐々に本シートが破断した。これに協調するように引きボルトに力が伝達され、急激な耐力低下の生じない靭性的な変形を確認した。この本シートと引きボルトによる「協調リレー接合」を生かし、比較的小さな断面で高い剛性と粘りを両立できる事が、本接合システムの他には無い特徴と言える。予備試験では、終局時に柱座金のめり込みによってフレーム柱頭部に割裂亀裂が発生したが、本試験では柱状端部から垂直にコの字B貼りで割裂を防止でき、ボルトの靭性を活かすことができる。
図24は、木製筋かい3端部の本シートによる割裂補強を示す。この図は横架材(梁1又は土台)と柱2の交点に筋かい金物3-1を止付け金具3-2(木ビス、ボルト類)を用いて柱、横架材、筋かいを一体に固定し、割裂する方向部材(柱、横架材、筋かい)に添って斜め方向に本シートによる割裂補強を行う。この場合の本シートの割裂補強は表面だけでも可能としている。
ここで、本シートの素材としては、連続繊維のアラミド繊維や炭素繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維などを用い、一方向繊維又は二方向繊維のシート状のものを用い、二液性エポキシ樹脂接着剤で貼り付けている。
上述のように木造構造の長期優良化を効率的に図ることで、国の政策を遵守することが可能であり、耐震性、耐久性と更新可能の本シート木造強化構造による優れた新規な木造主要構造部材接合部の現場での製造方法を普及することである。さらに、木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具に適応する木質主要構造部材のプレカット加工後に、プレカット工場での連続繊維シート補強を施した新規で付加価値の高い主要構造部材の製造・販売に寄与する。本シートによる初期剛性と靭性を得ることを特徴とし、従来の木材と金物接合では得られない地震時の脆性破壊を防ぐ接合方式によるプレカット工場での製造方法として産業上の利用の可能性が高い。
A ロの字状の連続繊維シートによる割裂補強
B コの字状の連続繊維シートによる割裂補強
C 割裂する方向部材の表裏に連続繊維シートによる割裂補強
1 梁部材
1-1梁受け金物
1-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
1-3ドリフトピン
1-4Dボルト
1-5引きボルト
1-6めり込み防止ビス
1-7座金プレート
2 柱部材
2-1柱脚金物
2-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
2-3ドリフトピン
2-4アンカーボルト類(アンカーボルト・座金・スプリングワッシャー)
3筋かい
3-1筋かい金物
3-2止付け金具(木ビス、ボルト・ナット類)
B コの字状の連続繊維シートによる割裂補強
C 割裂する方向部材の表裏に連続繊維シートによる割裂補強
1 梁部材
1-1梁受け金物
1-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
1-3ドリフトピン
1-4Dボルト
1-5引きボルト
1-6めり込み防止ビス
1-7座金プレート
2 柱部材
2-1柱脚金物
2-2ボルト類(ボルト・ナット・座金・スプリングワッシャー)
2-3ドリフトピン
2-4アンカーボルト類(アンカーボルト・座金・スプリングワッシャー)
3筋かい
3-1筋かい金物
3-2止付け金具(木ビス、ボルト・ナット類)
Claims (4)
- 連続繊維シートを用いた割裂補強技術による木質主要構造部材接合部端部および接合部位であって、前記の割裂補強技術は、前記木質主要構造部材接合部位の接合金物に付属する接合具による割裂破壊を防ぎ、接合部全体の初期剛性と靭性を両立することを特徴とした従来の木材と金物接合では得られない接合方式による木質主要構造部材接合部の製造方法である。
- 前記連続繊維シートを用いた割裂補強技術とは、木材の繊維方向と直交に高強度高弾性な連続繊維シートを二液性エポキシ樹脂接着剤用いて木質主要構造部材接合部端部および接合部位の木材を一周補強するロの字形補強やコの字形補強、割裂する方向の接合部材端部の片面又は表裏に貼り付け補強することを特徴とした請求項1記載の木質主要構造部材接合部の製造方法。
- 前記木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具において、前記連続繊維シートを用いた割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材による太径の接合具を用いて靭性を得ることを特徴とした請求項1記載の木質主要構造部材接合部の製造方法。
- 請求項1から請求項3記載の木質主要構造部材接合部端部および接合部位の接合金物および金物に付属する接合具に適応する木質主要構造部材のプレカット加工後に、前記連続繊維シートを用いた割裂補強による木質主要構造部材接合部端部および接合部位の割裂補強技術を用いた木造主要構造部材接合部の初期剛性と靭性を得ることを特徴としたプレカット工場での木質主要構造部材接合部の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022107372A JP2023182498A (ja) | 2022-06-14 | 2022-06-14 | 連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式を特徴とした木質主要構造部材接合部の製造方法。 |
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JP2022107372A JP2023182498A (ja) | 2022-06-14 | 2022-06-14 | 連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式を特徴とした木質主要構造部材接合部の製造方法。 |
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JP2023182498A true JP2023182498A (ja) | 2023-12-26 |
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JP2022107372A Pending JP2023182498A (ja) | 2022-06-14 | 2022-06-14 | 連続繊維による割裂補強技術を用いた木材接合部の初期剛性と靱性を両立した接合方式を特徴とした木質主要構造部材接合部の製造方法。 |
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2022
- 2022-06-14 JP JP2022107372A patent/JP2023182498A/ja active Pending
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