JP2023175958A - レーザ処理装置、ワークピースをレーザ処理する方法及び関連する構成 - Google Patents

レーザ処理装置、ワークピースをレーザ処理する方法及び関連する構成 Download PDF

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Abstract

【課題】ワークピースをより簡単にレーザ処理するための装置及び手法をを提供する。【解決手段】正確性及びスループットなどを向上するような方法でワークピースを処理する。リアルタイムZ方向高さ測定と、適切な場合には、あるZ方向高さ変位に対する補償を行う。さらに、フィーチャ形成を容易にし、好ましくない熱蓄積を避け、あるいは処理スループットを上げるためにスキャンパターン、ビーム特性などを変調する。【選択図】図1

Description

関連出願
本出願は、2015年9月9日に提出された米国仮特許出願第62/216,102号、2015年10月14日に提出された米国仮特許出願第62/241,624号、2015年12月28日に提出された米国仮特許出願第62/271,446号、2016年2月12日に提出された米国仮特許出願第62/294,991号、及び2016年7月26日に提出された米国仮特許出願第62/366,984号の利益を主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が組み込まれる。
背景
I.技術分野
本明細書に開示される実施形態は、概して、レーザ処理装置及びワークピースをレーザ処理する方法に関するものである。
II.関連技術の説明
レーザが発明されて以来、パルス光源による材料アブレーションが研究されている。紫外線(UV)エキシマレーザ放射によりエッチングされたポリマーに関する1982年の報告は、微細加工用プロセスについての幅広い調査を促した。それ以来、この分野における科学的及び工業的研究が盛んになっており、主としてレーザの利用を通じてドリル加工、ミル加工、マーキング、及び複製可能な非常に小さなフィーチャがこれに拍車をかけている。ハイテク製造業におけるレーザに対する種々の潜在的用途が開発及び実現されてきたし、またその開発及び実現が続いている。例えば、レーザは、トレンチを形成するなど、孔をミル加工やドリル加工したり、幅広い範囲の材料に他のフィーチャを形成したりするための有用なツールである。高分解能、高精度、高速、及び高い柔軟性の組み合わせが、集積回路、ハードディスク、印刷装置、ディスプレイ、配線などのワークピースの製造業をはじめとする多くの産業においてレーザ処理が受け入れられることを可能にしてきた。しかしながら、多くの産業における趨勢は、より多くのフィーチャ、より小さなフィーチャ、より密度の高いフィーチャなどを形成することを要求する傾向にあり、既存のレーザ処理技術は、許容可能なレベルの精度、品質、スループット、及び柔軟性の範囲内でワークピースを処理することに関して限界に挑んでいる。
概要
一実施形態においては、ワークピースにビアを形成する方法は、上記ワークピースに対して(それに沿ってレーザパルスをワークピース上に照射可能な)ビーム軸をラスタ走査し、複数のレーザパルスを上記ワークピースの複数のスポット位置に照射することを含んでいる。
他の実施形態においては、ワークピースにビアを形成する方法は、ビーム軸を形成するビーム経路に沿ってレーザパルスを照射しつつ、AODを含むポジショナを用いて上記ワークピースに対してビーム軸を移動して、上記AODに関連付けられたスキャニング範囲以下の直径を有するビアを形成することを含んでいる。
他の実施形態においては、ワークピースにフィーチャを形成する方法は、多くのスキャンラインに沿ってレーザパルスのグループが上記ワークピースに照射され、それぞれのスキャンラインに対して、最初のレーザパルスが照射された位置よりも形成されるフィーチャの境界に近い位置に最後のレーザパルスが照射されるように、上記ワークピースに対して上記ビーム軸を移動することを含んでいる。
さらに他の実施形態においては、ワークピースを処理する方法は、スキャニング範囲内で上記ワークピースに対して上記ビーム軸を移動することを含み、第1の方向における上記第1のスキャニング範囲の範囲は、第2の方向における上記第1のスキャニング範囲の範囲よりも小さい。
さらに他の実施形態においては、複数のレーザエネルギービームを用いてワークピースを処理するための装置は、第1のから第4のスキャンヘッドと、上記第1のスキャンヘッド及び上記第3のスキャンヘッドに第1の移動を生じさせるように構成される第1のステージと、上記第1のスキャンヘッド及び上記第2のスキャンヘッドに第2の移動を生じさせるように構成される第2のステージとを含み得る。
さらに他の実施形態においては、装置は、複数のビーム経路の間でレーザエネルギービームを方向付けるための複数の分配器を含み得る。
他の実施形態においては、ワークピースをレーザ処理するための装置において使用される光学部品アセンブリは、光入力ポート及び光出力ポートを有するハウジングであって、上記光入力ポート及び上記光出力ポートからなる群から選択される少なくとも1つを用いて上記装置内でのビーム経路の光学的位置合わせを容易にするように構成される少なくとも1つの位置合わせフィーチャを含むハウジングを含み得る。上記光学部品アセンブリは、上記ハウジング内に搭載され、上記光入力ポート及び上記光出力ポートに対して光学的に位置合わせされた少なくとも2つの光学要素をさらに含み得る。
一実施形態においては、音響光学(AO)デバイスは、AOセルと、超音波変換器と、アブソーバと、上記超音波変換器と上記アブソーバとの間に延びる上記AOセルの面に熱接触する冷却板とを含み得る。上記冷却板が、a)上記コネクタ端と上記アブソーバ端とからなる群から選択される少なくとも1つから比較的遠くに位置する上記AOセルの中央領域からより少ない熱を除去し、b)上記コネクタ端と上記アブソーバ端とからなる群から選択される少なくとも1つに比較的近い上記AOセルの周縁領域から比較的多くの熱を除去できるように、上記冷却板の熱伝達特性が上記コネクタ端及び上記アブソーバ端から延びる方向に沿って変化し得る。
他の実施形態においては、方法は、AODシステムを駆動して受け取ったレーザパルスを変調することを含み、変調されたレーザパルスのM2ファクタ及び/又は空間強度プロファイルの種類が、受け取ったレーザパルスのものと異なる。
さらに他の実施形態においては、方法は、9μmから11μmの範囲の波長を有するレーザパルスを生成し、ゲルマニウムを含むAOセルを含む音響光学偏向器(AOD)システムを用いて上記パルスが伝搬するビーム経路を偏向することを含んでいる。
さらに他の実施形態においては、誘電体構造と熱接触するように配置される導電体構造を含むワークピースにフィーチャを形成する方法は、1μmよりも短い波長を有するレーザパルスを用いて上記導電体構造を間接的にアブレートすることを含み得る。また、ワークピースにフィーチャを形成する他の方法は、レーザパルスビームを偏向して、複数のスポット位置を照射して、材料層を間接的にアブレートすることができる。
さらに他の実施形態においては、ワークピースを処理するための方法は、第1のレーザエネルギービーム及び第2のレーザエネルギービームを共通のビーム軸に沿って照射してワークピースをアブレートすることを含み得る。上記第1のレーザエネルギービームは、上記ワークピースの少なくとも一部が透明となる波長を有し、上記ワークピースの上記一部の内部に光の非線形吸収を誘引するように十分に短い第1のパルス持続時間を有する複数のレーザパルスによって特徴付けられ、上記第1のレーザエネルギービーム内のレーザパルスが生成されるタイミングは、上記第2のレーザエネルギービームを生成する動作から独立している。
明らかになるように、本明細書は、(例えば、従来のレーザ処理装置又は従来のレーザ処理手法では解決することが難しかった正確性や品質、スループットなどに関連する)数多くの問題を特定しており、そのような問題を解決し、新規な又は改良された性能などを提供する、数多くの実施形態、例、実施例、組み合わせなどの詳細を述べている。
図1は、一実施形態におけるワークピースを処理するための装置を模式的に示している。 図2は、一実施形態における図1に示される装置の第2のポジショナを模式的に示している。 図3は、ある実施形態における図2に示される第2のポジショナに関連付けられた第2のスキャニング範囲を模式的に示している。 図4から図6は、ある実施形態における検知範囲と第2のスキャニング範囲との間の空間的関係を模式的に示している。 図4から図6は、ある実施形態における検知範囲と第2のスキャニング範囲との間の空間的関係を模式的に示している。 図4から図6は、ある実施形態における検知範囲と第2のスキャニング範囲との間の空間的関係を模式的に示している。 図7は、一実施形態におけるワークピースを処理するためのマルチヘッド装置を模式的に示している。 図8及び図9は、一実施形態における図1及び図7に示されるような装置で用いるためのワークピースハンドリングシステムの上面図及び側面図を模式的に示している。 図8及び図9は、一実施形態における図1及び図7に示されるような装置で用いるためのワークピースハンドリングシステムの上面図及び側面図を模式的に示している。 図10は、一実施形態における図7に示されるマルチヘッド装置に関連付けられたプロセスフローを模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図11から図24は、ある実施形態における検知範囲及び第2のスキャニング範囲をスキャンするための手法を模式的に示している。 図25から図28は、ある実施形態における処理スポットをスキャンするための手法を模式的に示している。 図25から図28は、ある実施形態における処理スポットをスキャンするための手法を模式的に示している。 図25から図28は、ある実施形態における処理スポットをスキャンするための手法を模式的に示している。 図25から図28は、ある実施形態における処理スポットをスキャンするための手法を模式的に示している。 図29、図29A及び図29Bは、一実施形態における異方性材料除去を促進するスキャニング手法を模式的に示している。具体的には、図29は、処理されるワークピースの上面図に重ねられたスキャンパターンを示している。 図29、図29A及び図29Bは、一実施形態における異方性材料除去を促進するスキャニング手法を模式的に示している。具体的には、図29A及び図29Bは、図29に示されるスキャンパターンを用いて形成されるフィーチャのそれぞれXXIXA-XXIXA線断面図及びXXIXB-XXIXB'線断面図を模式的に示している。 図29、図29A及び図29Bは、一実施形態における異方性材料除去を促進するスキャニング手法を模式的に示している。具体的には、図29A及び図29Bは、図29に示されるスキャンパターンを用いて形成されるフィーチャのそれぞれXXIXA-XXIXA線断面図及びXXIXB-XXIXB'線断面図を模式的に示している。 図30から図32は、ある実施形態におけるマルチソース装置を模式的に示している。 図30から図32は、ある実施形態におけるマルチソース装置を模式的に示している。 図30から図32は、ある実施形態におけるマルチソース装置を模式的に示している。 図33は、一実施形態におけるマルチソース装置においてレーザエネルギービームを結合する方法を模式的に示している。 図34から図37は、ある実施形態におけるAOセル内の熱負荷を管理するための手法を模式的に示している。 図34から図37は、ある実施形態におけるAOセル内の熱負荷を管理するための手法を模式的に示している。 図34から図37は、ある実施形態におけるAOセル内の熱負荷を管理するための手法を模式的に示している。 図34から図37は、ある実施形態におけるAOセル内の熱負荷を管理するための手法を模式的に示している。 図38は、一実施形態における副生成物除去システムを模式的に示している。
好ましい実施形態の詳細な説明
以下、添付図面を参照しつつ実施形態の例を説明する。明示的に述べている場合を除き、図面においては、構成要素、特徴、要素などのサイズや位置などやそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、また理解しやすいように誇張されている。図面を通して同様の数字は同様の要素を意味している。このため、同一又は類似の数字は、対応する図面で言及又は説明されていない場合であっても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照番号の付されていない要素であっても、他の図面を参照して述べられることがある。
明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。特に定義されている場合を除き、本明細書において使用される(技術的用語及び科学的用語を含む)すべての用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことを理解すべきである。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。特に示している場合を除き、「第1」や「第2」などの用語は、要素を互いに区別するために使用されているだけである。例えば、あるノードを「第1のノード」と呼ぶことができ、同様に別のノードを「第2のノード」と呼ぶことができ、あるいはこれと逆にすることもできる。
特に示されている場合を除き、「約」や「その前後」などは、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特性が、正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、あるいは許容誤差、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクタを反映して、概数であってもよく、さらに/あるいは大きくても小さくてもよいことを意味している。本明細書において、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、及び「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を述べる際に説明を容易にするために使用され得るものである。空間的に相対的な用語は、図において示されている方位に加えて異なる方位を含むことを意図するものであることは理解すべきである。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあるとして説明される要素は、図中の対象物が反転した場合には、他の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。このように、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の方位の双方を含み得るものである。対象物が他の方位を向く場合(例えば90度回転される場合や他の方位にある場合)には、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子はこれに応じて解釈され得る。
本明細書において使用されるセクション見出しは、特に言及している場合を除いて、整理のためだけのものであり、述べられた主題を限定するものと解釈すべきではない。本開示の精神及び教示を逸脱することなく、多くの異なる形態、実施形態及び組み合わせが考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態の例に限定して解釈すべきではないことは理解できよう。むしろ、これらの例及び実施形態は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
I.概要
本明細書において述べられる実施形態は、概して、ワークピースをレーザ処理(あるいは、より簡単に「処理」)するための方法及び装置に関するものである。一般的には、レーザ放射をワークピースに照射してワークピースを形成する1以上の材料の1以上の特性又は性質(例えば、化学的組成、原子構造、イオン構造、分子構造、電子構造、微細構造、ナノ構造、密度、粘性、屈折率、透磁率、比誘電率、テクスチャ、色、硬さ、電磁放射に対する透過率など、又はこれらを任意に組み合わせたもの)を加熱し、溶融し、蒸発させ、アブレートし、傷つけ、脱色し、研磨し、粗くし、炭化し、発泡させ、あるいは改質することにより、処理が全体にわたって、あるいは部分的に行われる。処理される材料は、処理の前又は処理中においてワークピースの外部に存在していてもよく、あるいは、処理の前又は処理中において完全にワークピースの内部に位置していても(すなわち、ワークピースの外部に存在していなくても)よい。
開示されたレーザ処理用装置により行うことができるプロセスの具体例としては、ビアのドリル加工又は他の孔の形成、カッティング、打ち抜き、溶接、スクライビング、彫刻、マーキング(例えば、表面マーキング、サブ表面マーキングなど)、レーザ誘起フォワード転送、洗浄、漂白、高輝度ピクセルの修復(例えば、カラーフィルタ暗化、OLED材料の改質など)、膜除去、表面テクスチャリング(例えば、粗くする、滑らかにするなど)、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。このように、処理の結果として、ワークピース上に、あるいはワークピース内に形成され得る1以上のフィーチャは、開口、スロット、ビア又は他の孔、溝、トレンチ、スクライブライン、切溝、凹部、導電トレース、オーム接触、抵抗パターン、人間が読み取ることができる又は機械により読み取ることができる印(例えば、視覚的に又はテクスチャにおいて区別できる1以上の特性を有するワークピース内又はそのようなワークピース上の1以上の領域を備える)、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。開口、スロット、ビア、孔などのフィーチャは、上面視において任意の好適な又は望ましい形状(例えば、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、管状、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を有していてもよい。さらに、開口、スロット、ビア、孔などのフィーチャは、(例えば、いわゆる「貫通ビア」、「貫通孔」などを形成するように)ワークピースを完全に貫通して延びていてもよいし、あるいは(いわゆる「非貫通ビア」、「非貫通孔」などを形成するように)ワークピース内を部分的にのみ延びていてもよい。
処理され得るワークピースは、1以上の金属、ポリマー、セラミック、複合物、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、合金であるか、化合物であるか、混合物であるか、溶液であるか、複合物であるかなどを問わない)から形成されるものとして包括的に特徴付けられる。処理され得るワークピースの具体例としては、プリント回路基板(PCB)のパネル(本明細書においては「PCBパネル」ともいう)、PCB、フレキシブルプリント配線板(FPC)、集積回路(IC)、ICパッケージ(ICP)、発光ダイオード(LED)、LEDパッケージ、半導体ウェハ、電子又は光学デバイス基板(例えば、Al2O3、AlN、BeO、Cu、GaAS、GaN、Ge、InP、Si、SiO2、SiC、Si1-xGex(0.0001<x<0.9999)など、あるいはこれらの任意の組み合わせ又は合金から形成される基板)、リードフレーム、リードフレームブランク、プラスチック、非強化ガラス、熱強化ガラス、(例えばイオン交換プロセスを介した)化学強化ガラス、石英、サファイヤ、プラスチック、シリコンなどから形成される物、電子ディプレイの構成要素(例えば、表面にTFT、カラーフィルタ、有機LED(OLED)アレイ、量子ドットLEDアレイなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが形成された基板)、レンズ、ミラー、スクリーンプロジェクタ、タービンブレード、粉末、膜、箔、板、型(例えば、ワックスモールド、射出成形プロセス用の型、インベストメント鋳造プロセスなど)、布地(織物、フェルトなど)、外科用器具、医療用インプラント、パッケージされた電化製品、靴、自転車、自動車、自動車部品又は航空部品(例えば、フレーム、ボディパネルなど)、器具(例えば、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)、(例えば、腕時計、コンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル電子デバイスなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののための)デバイスのハウジングが挙げられる。
したがって、処理され得る材料は、Al、Ag、Au、Cu、Fe、In、Mg、Pt、Sn、Tiなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、合金であるか、複合物であるかなどを問わない)などの1以上の金属、導電性金属酸化物(例えばITOなど)、透明な導電性ポリマー、セラミック、ワックス、樹脂、(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののように層間誘電体構造として用いられる)無機誘電材料、low-k誘電体材料(例えば、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、水素シルセスキオキサン(HSQ)、フッ化オルトケイ酸テトラエチル(FTEOS)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)、有機誘電体材料(例えば、SILK、ベンゾシクロブテン、Nautilus(いずれもDow社により製造される)、ポリフルオロテトラエチレン(DuPont社により製造される)、FLARE(Allied Chemical社により製造される)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)、ファイバガラス、高分子材料(ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリカーボネート、改質ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレン、及びこれらの任意の化合物、複合物、又は混ぜ物)、革、紙、組立材(例えば、「ABF」としても知られる、味の素ビルドアップフィルムなど)、ガラス繊維強化エポキシ積層体(例えばFR4)、プリプレグ、ソルダレジストなど、あるいはこれらの任意の複合物、積層体、又は他の組み合わせ)を含む。
II.システム-概要
図1は、本発明の一実施形態による、ワークピースを処理するための装置を模式的に示している。
図1に示される実施形態を参照すると、ワークピースを処理するための装置100は、レーザパルスを生成するためのレーザ源104と、第1のポジショナ106と、第2のポジショナ108と、第3のポジショナ110と、スキャンレンズ112と、コントローラ114とを含んでいる。以下の説明を考慮すると、装置100が第2のポジショナ108又は第3のポジショナ110を含んでいるのであれば、第1のポジショナ106を含めることは任意である(すなわち、装置100は、第1のポジショナ106を含んでいる必要がない)ことを理解すべきである。同様に、装置100が第1のポジショナ106又は第3のポジショナ110を含んでいるのであれば、第2のポジショナ108を含めることは任意である(すなわち、装置100は、第2のポジショナ108を含んでいる必要がない)ことを理解すべきである。最後に、装置100が第1のポジショナ106又は第2のポジショナ108を含んでいるのであれば、第3のポジショナ110を含めることは任意である(すなわち、装置100は、第3のポジショナ110を含んでいる必要がない)ことを理解すべきである。
図示されていないが、装置100は、レーザ源104により生成されたレーザパルスをスキャンレンズ112に至る1以上のビーム経路(例えばビーム経路116)に沿って集束し、拡大し、コリメートし、成形し、偏光し、フィルタし、分割し、結合し、クロップし、あるいは改質し、調整し、方向付け、モニタリングし、又は測定するための1以上の光学要素(例えば、ビームエキスパンダ、ビーム整形器、アパーチャ、フィルタ、コリメータ、レンズ、レンズ、ミラー、偏光器、波長板、回折光学素子、屈折光学素子など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)も含んでいる。米国特許第4,912,487号、第5,633,747号、第5,638,267号、第5,751,585号、第5,847,960号、第5,917,300号、第6,314,473号、第6,430,465号、第6,700,600号、第6,706,998号、第6,706,999号、第6,816,294号、第6,947,454号、第7,019,891号、第7,027,199号、第7,133,182号、第7,133,186号、第7,133,187号、第7,133,188号、第7,245,412号、第7,259,354号、第7,611,745号、第7,834,293号、第8,026,158号、第8,076,605号、第8,158,493号、第8,288,679号、第8,404,998号、第8,497,450号、第8,648,277号、第8,680,430号、第8,847,113号、第8,896,909号、第8,928,853号、第9,259,802号又は上述の米国特許出願公開第2014/0026351号、第2014/0197140号、第2014/0263201号、第2014/0263212号、第2014/0263223号、第2014/0312013号、又はドイツ連邦特許第DE102013201968B4号、又は国際特許公開第WO2009/087392号、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに開示されているように、上記の構成要素のうち1つ以上を設けてもよく、あるいは、装置100が1以上の付加的な構成要素を含んでいてもよいこともさらに理解できよう。これらの公報のそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
スキャンレンズ112を通過したレーザパルスは、ワークピース102に照射されるようにビーム軸に沿って伝搬する。ワークピース102に照射されたレーザパルスは、ガウス形空間強度プロファイル又は非ガウス形(すなわち「整形された」)空間強度プロファイル(例えば、「トップハット」空間強度プロファイル)を有するものとして特徴付けられていてもよい。空間強度プロファイルの種類にかかわらず、空間強度プロファイルは、ビーム軸(又はビーム経路116)に沿って伝搬するレーザパルスの断面形状(円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、リング形状など、又は任意の形状であり得る)として特徴付けることもできる。照射されるレーザパルスは、2μmから200μmの範囲のスポットサイズでワークピース102に当たるものとして特徴付けることができる。本明細書で使用される場合には、「スポットサイズ」という用語は、照射されるレーザパルスによって少なくとも部分的に処理されるワークピース102の一領域を横切る位置(「処理スポット」、「スポット位置」又はより単純に「スポット」とも呼ばれる)における、照射されるレーザパルスの直径又は最大空間幅を意味する。
本明細書における説明については、サイズは、ビーム軸から、光学強度がビーム軸での光強度の1/e2にまで下がるところまでの半径方向距離又は横断距離として測定される。一般的に、レーザパルスのスポットサイズは、ビームウェストで最小となる。しかしながら、スポットサイズは、2μmより小さくでき、あるいは200μmよりも大きくできることは理解できよう。このように、ワークピース102に照射される少なくとも1つのレーザパルスは、2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、15μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、80μm、100μm、150μm、200μmなどよりも大きいか等しいスポットサイズ、あるいはこれらの値のいずれかの間のスポットサイズを有することができる。同様に、照射される少なくとも1つのレーザパルスは、200μm、150μm、100μm、80μm、55μm、50μm、45μm、40μm、35μm、30μm、15μm、10μm、7μm、5μm、3μm、2μmなどよりも小さいスポットサイズ、あるいはこれらの値のいずれかの間のスポットサイズを有することができる。一実施形態においては、ワークピース102に照射されるレーザパルスは、25μmから60μmの範囲のスポットサイズを有することができる。他の実施形態においては、ワークピース102に照射されるレーザパルスは、35μmから50μmの範囲のスポットサイズを有することができる。
A.レーザ源
一般的に、レーザ源104はレーザパルスを生成することができる。このため、レーザ源104は、パルスレーザ源、CWレーザ源、QCWレーザ源、バーストモードレーザなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。レーザ源104がQCWレーザ源又はCWレーザ源を含む場合、レーザ源104は、QCWレーザ源又はCWレーザ源から出力されるレーザ放射のビームを時間的に変調するパルスゲーティングユニット(例えば、音響光学(AO)変調器(AOM)、ビームチョッパなど)をさらに含み得る。図示されていないが、装置100は、レーザ源104により出力される光の波長を変換するように構成される1以上の高調波発生結晶(「波長変換結晶」としても知られている)を必要に応じて含むことができる。したがって、ワークピース102に最終的に照射されるレーザパルスは、紫外光(UV)、可視光(例えば、紫色、青色、緑色、赤色など)、又は赤外光(IR)(例えば、750nmから1.4μmの波長域にわたる近赤外光(NIR)、1.4μmから3μmの波長域にわたる短波長赤外光(SWIR)、3μmから8μmの波長域にわたる中波長赤外光(MWIR)、又は8μmから15μmの波長域にわたる長波長赤外光(LWIR))の範囲の電磁スペクトル、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののうち1つ以上における1以上の波長を有するものとして特徴付けられていてもよい。
他の実施形態においては、レーザ源104は、QCWレーザ源又はCWレーザ源として提供されてもよく、パルスゲーティングユニットを含んでいなくてもよい。そのような実施形態においては、レーザ源104は、ビーム経路116に沿って続いて伝搬するための連続(非パルス)レーザビームを生成し得る。このように、レーザ源104は、レーザエネルギーのビームを生成可能なものとして広く特徴付けることができる。レーザエネルギーは、その後、ビーム経路116に沿って伝搬可能な、一連のレーザパルスとして、あるいは連続レーザビームとして表すことができる。本明細書で述べられる多くの実施形態はレーザパルスに言及しているが、適切な場合には、これに代えて、あるいはこれに加えて、連続ビームを用いることができることを理解すべきである。
レーザ源104により出力されるレーザパルスは、10fsから900msの範囲にあるパルス幅又はパルス持続時間(すなわち、時間に対するパルスの光パワーの半値全幅(FWHM)に基づく)を有することができる。しかしながら、パルス持続時間を30fsよりも短くしてもよく、あるいは900msよりも長くしてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104により出力される少なくとも1つのレーザパルスは、10fs、15fs、30fs、50fs、100fs、150fs、200fs、300fs、500fs、700fs、750fs、850fs、900fs、1ps、2ps、3ps、4ps、5ps、7ps、10ps、15ps、25ps、50ps、75ps、100ps、200ps、500ps、1ns、1.5ns、2ns、5ns、10ns、20ns、50ns、100ns、200ns、400ns、800ns、1000ns、2μs、5μs、10μs、50μs、100μs、300μs、500μs、900μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、300ms、500ms、900ms、1sなどよりも長いか等しいパルス持続時間、あるいはこれらの値のいずれかの間のパルス持続時間を有することができる。同様に、レーザ源104により出力される少なくとも1つのレーザパルスは、1s、900ms、500ms、300ms、100ms、50ms、20ms、10ms、5ms、2ms、1ms、300ms、900μs、500μs、300μs、100μs、50μs、10μs、5μs、1μs、800ns、400ns、200ns、100ns、50ns、20ns、10ns、5ns、2ns、1.5ns、1ns、500ps、200ps、100ps、75ps、50ps、25ps、15ps、10ps、7ps、5ps、4ps、3ps、2ps、1ps、900fs、850fs、750fs、700fs、500fs、300fs、200fs、150fs、100fs、50fs、30fs、15fs、10fsなどよりも短いパルス持続時間、あるいはこれらの値のいずれかの間のパルス持続時間を有することができる。一実施形態においては、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、3psから15psの範囲にあるパルス持続時間を有している。他の実施形態においては、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、5psから7psの範囲にあるパルス持続時間を有している。
レーザ源104により出力されるレーザパルスは、100mWから50kWの範囲にある平均パワーを有することができる。しかしながら、平均パワーを100mWよりも小さくしてもよく、あるいは50kWよりも大きくしてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、100mW、300mW、500mW、800mW、1W、2W、3W、4W、5W、6W、7W、10W、15W、18W、25W、30W、50W、60W、100W、150W、200W、250W、500W、2kW、3kW、20kW、50kWなどよりも大きいか等しい平均パワー、あるいはこれらの値のいずれかの間の平均パワーを有することができる。同様に、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、50kW、20kW、3kW、2kW、500W、250W、200W、150W、100W、60W、50W、30W、25W、18W、15W、10W、7W、6W、5W、4W、3W、2W、1W、800mW、500mW、300mW、100mWなどよりも小さい平均パワー、あるいはこれらの値のいずれかの間の平均パワーを有することができる。
レーザ源104によりレーザパルスを5kHzから1GHzの範囲にあるパルス繰り返し率で出力することができる。しかしながら、パルス繰り返し率は、5kHzより低くてもよく、あるいは1GHzよりも高くてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104によりレーザパルスを、5kHz、50kHz、100kHz、175kHz、225kHz、250kHz、275kHz、500kHz、800kHz、900kHz、1MHz、1.5MHz、1.8MHz、1.9MHz、2MHz、2.5MHz、3MHz、4MHz、5MHz、10MHz、20MHz、50MHz、70MHz、100MHz、150MHz、200MHz、250MHz、300MHz、350MHz、500MHz、550MHz、700MHz、900MHz、2GHz、10GHzなどよりも高いか等しいパルス繰り返し率、あるいはこれらの値のいずれかの間のパルス繰り返し率で出力することができる。同様に、レーザ源104によりレーザパルスを、10GHz、2GHz、1GHz、900MHz、700MHz、550MHz、500MHz、350MHz、300MHz、250MHz、200MHz、150MHz、100MHz、90MHz、70MHz、50MHz、20MHz、10MHz、5MHz、4MHz、3MHz、2.5MHz、2MHz、1.9MHz、1.8MHz、1.5MHz、1MHz、900kHz、800kHz、500kHz、275kHz、250kHz、225kHz、175kHz、100kHz、50kHz、5kHzなどよりも低いパルス繰り返し率、あるいはこれらの値のいずれかの間のパルス繰り返し率で出力することができる。
波長、パルス持続時間、平均パワー及びパルス繰り返し率に加えて、ワークピース102に照射されるレーザパルスは、パルスエネルギー、ピークパワーなどのような1以上の他の特性により特徴付けることができる。これらの1以上の他の特性は、(例えば、1以上の所望の特性を有する1以上のフィーチャを形成するために、あるいはフィーチャの形成中にワークピース102が好ましくないダメージを受けることを防止するために、あるいはこれに類することをするために、あるいはこれらを任意に組み合わせるために)ワークピース102を処理するのに十分な(W/cm2で測定される)光強度、(J/cm2で測定される)フルエンスなどで処理スポットにおいてワークピース102を照射するために(例えば、必要に応じて波長、パルス持続時間、平均パワー及びパルス繰り返し率などの1以上の他の特性に基づいて)選択することができる。
レーザ源104を特徴付け得るレーザの種類の例としては、ガスレーザ(例えば、二酸化炭素レーザ、一酸化炭素レーザ、エキシマレーザなど)、固体レーザ(例えば、Nd:YAGレーザなど)、ロッドレーザ、ファイバレーザ、フォトニック結晶ロッド/ファイバレーザ、パッシブモードロック固体バルク又はファイバレーザ、色素レーザ、モードロックダイオードレーザ、パルスレーザ(例えば、msパルスレーザ、nsパルスレーザ、psパルスレーザ、fsパルスレーザ)、CWレーザ、QCWレーザなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。構成によっては、ガスレーザ(例えば二酸化炭素レーザなど)は、1以上のモード(例えば、CWモード、QCWモード、パルスモード、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)で動作するように構成され得る。レーザ源104として提供され得るレーザ源の具体例としては、EOLITE社により製造されるBOREAS、HEGOA、SIROCCO又はCHINOOKシリーズのレーザ、PYROPHOTONICS社により製造されるPYROFLEXシリーズのレーザ、COHERENT社により製造されるPALADIN Advanced 355又はDIAMONDシリーズ(例えば、DIAMOND Eシリーズ、Gシリーズ-、J-2シリーズ、J-3シリーズ、J-5シリーズ)のレーザ、SYNRAD社により製造されるPULSTARシリーズ又はFIRESTARシリーズのレーザ、いずれもTRUMPF社により製造されるTRUFLOWシリーズのレーザ(例えば、TRUFLOW 2000、2700、3000、3200、3600、4000、5000、6000、7000、8000、10000、12000、15000、20000)、TRUCOAXシリーズのレーザ(例えば、TRUCOAX 1000)又はTRUDISKシリーズ、TRUPULSEシリーズ、TRUDIODEシリーズ、TRUFIBERシリーズ、又はTRUMICROシリーズのレーザ、IMRA AMERICA社により製造されるFCPAμJEWEL又はFEMTOLITEシリーズのレーザ、AMPLITUDE SYSTEMES社により製造されるTANGERINE及びSATSUMAシリーズのレーザ(及びMIKAN及びT-PULSEシリーズの発振器)、IPG PHOTONICS社により製造されるCLシリーズ、CLPFシリーズ、CLPNシリーズ、CLPNTシリーズ、CLTシリーズ、ELMシリーズ、ELPFシリーズ、ELPNシリーズ、ELPPシリーズ、ELRシリーズ、ELSシリーズ、FLPNシリーズ、FLPNTシリーズ、FLTシリーズ、GLPFシリーズ、GLPNシリーズ、GLRシリーズ、HLPNシリーズ、HLPPシリーズ、RFLシリーズ、TLMシリーズ、TLPNシリーズ、TLRシリーズ、ULPNシリーズ、ULRシリーズ、VLMシリーズ、VLPNシリーズ、YLMシリーズ、YLPFシリーズ、YLPNシリーズ、YLPPシリーズ、YLRシリーズ、YLSシリーズ、FLPMシリーズ、FLPMTシリーズ、DLMシリーズ、BLMシリーズ、又はDLRシリーズのレーザ(例えば、GPLN-100-M、GPLN-500-QCW、GPLN-500-M、GPLN-500-R、GPLN-2000-Sなどを含む)、又はこれに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のレーザ源が挙げられる。
B.第1のポジショナ
第1のポジショナ106は、ビーム経路116に配置され、位置付けられ、あるいは設置されており、レーザ源104により生成されたレーザパルスを回折し、反射し、屈折し、又はこれに類似することを行い、あるいはこれらを任意に組み合わせて(すなわち、レーザパルスを「偏向」し)、(例えば、スキャンレンズ112に対して)ビーム経路116を移動し、その結果、ワークピース102に対してビーム軸を移動させるように動作することができる。一般的に、第1のポジショナ106は、X軸(又はX方向)及びY軸(又はY方向)に沿ってビーム軸をワークピース102に対して移動させるように構成される。図示されていないが、X軸(又はX方向)は、図示されたY軸(又はY方向)及びZ軸(又はZ方向)に直交する軸(又は方向)を意味するものと理解できよう。
第1のポジショナ106によりなされるワークピース102に対するビーム軸の移動は、概して、X方向及びY方向に0.01mmから4.0mm延びる第1のスキャンフィールド又は「第1のスキャニング範囲」内で処理スポットをスキャン、移動あるいは位置決めできるように制限される。しかしながら、第1のスキャニング範囲は、(例えば、第1のポジショナ106の構成、ビーム経路116に沿った第1のポジショナ106の位置、第1のポジショナ106に入射するレーザパルスのビームサイズ、スポットサイズなどの1以上のファクタに応じて)X方向又はY方向のいずれかに0.01mmよりも短く延びていてもよく、あるいは4.0mmよりも長く延びていてもよいことは理解できよう。このように、第1のスキャニング範囲は、X方向及びY方向のいずれかに、0.04mm、0.1mm、0.5mm、1.0mm、1.4mm、1.5mm、1.8mm、2mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.2mmなどよりも長いか等しい距離、あるいはこれらの値のいずれかの間の距離だけ延びていてもよい。同様に、第1のスキャニング範囲は、X方向及びY方向のいずれかに、5mm、4.2mm、4.0mm、3.5mm、3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.8mm、1.5mm、1.4mm、1.0mm、0.5mm、0.1mm、0.04mm、0.01mmなどよりも短い距離、あるいはこれらの値のいずれかの間の距離だけ延びていてもよい。本明細書で使用される場合には、「ビームサイズ」という用語は、レーザパルスの直径又は幅を意味し、光学強度がビーム経路116に沿った伝搬軸での光強度の1/e2にまで下がるところまでの半径方向距離又は横断距離として測定され得る。このように、ある実施形態においては、(例えば、X方向又はY方向における、あるいはその他の方向における)第1のスキャニング範囲の最大寸法は、ワークピース102に形成されるフィーチャ(例えば、開口、凹部、ビア、トレンチなど)の対応する最大寸法(XY平面で測定される)以上であり得る。しかしながら、他の実施形態においては、第1のスキャニング範囲の最大寸法は、形成されるフィーチャの最大寸法未満であってもよい。
一般的に、第1のポジショナ106が第1のスキャニング範囲内の任意の位置に処理スポットを位置決め(これによりビーム軸を移動)できる速度(「位置決め速度」とも呼ばれる)は、50kHz(又はその前後)から10MHz(又はその前後)の範囲にある。この範囲は、本明細書では第1の位置決め帯域幅とも呼ばれる。位置決め速度の逆数は、本明細書では「位置決め時間」と呼ばれ、処理スポットの位置を第1のスキャニング範囲内のある位置から第1のスキャニング範囲内の任意の他の位置に変えるために必要な最短時間を意味する。このように、第1のポジショナ106は、20μs(又はその前後)から0.1μs(又はその前後)の範囲の位置決め時間により特徴付けることができる。一実施形態においては、第1の位置決め帯域幅は、100kHz(又はその前後)から2MHz(又はその前後)の範囲にある。例えば、第1の位置決め帯域幅は1MHz(又はその前後)である。
第1のポジショナ106は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)ミラー又はミラーアレイ、AO偏向器(AOD)システム、電気光学偏向器(EOD)システム、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータなどを組み込んだファーストステアリングミラー(FSM)要素、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであり得る。一実施形態においては、第1のポジショナ106は、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つなど)の単一素子AODシステム、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つなど)のフェイズドアレイAODシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含むAODシステムである。双方のAODシステムは、結晶Ge、PbMoO4、又はTeO2、ガラス状SiO2、石英、As2S3などの材料から形成されるAOセルを含んでいる。本明細書で使用される場合には、「単一素子」AODシステムは、AOセルに音響的に連結された1つだけの超音波変換器を有するAODシステムを意味し、「フェイズドアレイ」AODシステムは、共通のAOセルに音響的に連結された少なくとも2つの超音波変換器からなるフェイズドアレイを含んでいる。
当業者に理解されるように、音響光学(AO)技術(例えば、AOD、AOMなど)は、AOセルを伝搬する音波により生じる回折効果を利用して、AOセルを同時に伝搬する光波(すなわち、本出願の文脈においてはレーザエネルギーのビーム)の1以上の特性を変調するものである。典型的には、AOセルは、同一領域で音波と光波の両方を維持することができる。音波は、AOセル内の屈折率に摂動を与える。音波は、典型的には、1以上のRF周波数で超音波変換器素子を駆動することによりAOセルに送り出される。音波の特性(例えば、振幅、周波数、位相など)を制御することによって、伝搬する光波の1以上の特性を制御可能に変調して(例えばスキャンレンズ112に対して)ビーム経路116を移動させることができる。また、AOセルを通過する際にレーザエネルギーのビーム内のエネルギーを減衰する公知技術を用いてAOセルに送り出された音波の特性を制御できることを理解すべきである。したがって、AODシステムも作動させて、最終的にワークピース102に照射されるレーザパルスのパルスエネルギー(及びこれに応じてフルエンス、ピークパワー、光強度、平均パワーなど)を変調することができる。
AOセルが形成される材料は、ビーム経路116に沿って伝搬してAOセルに入射するレーザパルスの波長に依存することは理解できよう。例えば、偏向されるレーザパルスの波長が2μm(又はその前後)から12μm(又はその前後)の範囲にある場合には、結晶Geのような材料を用いることができる。偏向されるレーザパルスの波長が200nm(又はその前後)から5μm(又はその前後)の範囲にある場合には、石英及びTeO2などの材料を用いることができる。
AODシステムは、分散素子であり、その結果、好ましくは、(例えば、パルスにおける光パワースペクトル密度の半値全幅(FWHM)に基づく)好適に狭いスペクトル線幅を有するレーザパルスを偏向することは理解すべきである。典型的には、紫外光、可視光、又はNIR範囲のうち1つ以上における1以上の波長を有するレーザパルスを生成するように構成されるレーザ源104が、好適に狭いスペクトル線幅を有するレーザパルスを生成する。高パワーCWガスレーザ(例えば、約300Wよりも高い平均パワーを有する二酸化炭素又は一酸化炭素CWレーザ)及び(例えば、約300W未満の平均パワーを有する)他の低パワーCW又はパルスガスレーザのようなレーザ源104は、SWIR、MWIR又はLWIR範囲において好適に狭いスペクトル線幅を有するレーザパルスを同様に生成することができる。従来、レーザパルスを生成可能な高パワーパルスガスレーザ(例えば、約300Wよりも高い平均パワーを有する二酸化炭素又は一酸化炭素パルスレーザ)は、主発振器パワー増幅器(MOPA)レーザシステムアーキテクチャに基づいている。
AODシステムのいずれかを、ビーム経路116を偏向することにより、(例えば、単一の方向に沿ってビーム軸を移動するように構成される)単軸AODシステムとして、又は(例えば、複数の方向、例えばX方向及びY方向に沿ってビーム軸を移動するように構成される)多軸AODシステムとして提供してもよい。一般的に、多軸AODシステムは、マルチセルシステム又はシングルセルシステムとすることができる。マルチセル多軸システムは、典型的には、それぞれ異なる軸に沿ってビーム軸を移動するように構成される複数のAODシステムを含んでいる。例えば、マルチセル多軸システムは、X方向に沿ってビーム軸を移動するように構成される第1のAODシステム(例えば「X軸AODシステム」)(例えば、単一素子又はフェイズドアレイAODシステム)と、Y方向に沿ってビーム軸を移動するように構成される第2のAODシステム(例えば「Y軸AODシステム」)(例えば、単一素子又はフェイズドアレイAODシステム)とを含むことができる。シングルセル多軸システム(例えば「X/Y軸AODシステム」)は、典型的には、X方向及びY方向に沿ってビーム軸を移動するように構成される単一のAODシステムを含んでいる。例えば、シングルセルシステムは、共通のAOセルの異なる平面、ファセット、側面などと音響的に結合された少なくとも2つの超音波変換器素子を含むことができる。
C.第2のポジショナ
第1のポジショナ106と同様に、第2のポジショナ108は、ビーム経路116に設置され、レーザ源104により生成され、第1のポジショナ106を通過したレーザパルスを回折し、反射し、屈折し、又はこれに類似することを行い、あるいはこれらを任意に組み合わせて、スキャンレンズ112に対するビーム経路116の移動を介して、ワークピース102に対して(例えば、X方向及びY方向に沿って)ビーム軸を移動するように動作することができる。第2のポジショナ108により行われる、ワークピース102に対するビーム軸の移動は、概して、第1のスキャニング範囲よりも大きな領域にわたってX方向及び/又はY方向に延びる第2のスキャンフィールド又は「スキャニング範囲」内で処理スポットをスキャン、移動あるいは位置決めできるように制限される。本明細書で述べられる構成では、第1のポジショナ106により行われるビーム軸の移動を第2のポジショナ108により行われるビーム軸の移動に重ねることができることは理解すべきである。このように、第2のポジショナ108は、第2のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲をスキャンするように動作可能である。
一実施形態においては、第2のスキャニング範囲は、X方向及び/又はY方向に1mmから50mm延びている。他の実施形態においては、第2のスキャニング範囲は、X方向及び/又はY方向に15mmから30mm延びている。しかしながら、第2のスキャニング範囲がX方向/又はY方向のいずれかに1mm未満又は50mmよりも長く延びるように第2のポジショナ108が構成されていてもよいことは理解できよう。このように、ある実施形態においては、(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第2のスキャニング範囲の最大寸法は、ワークピース102に形成されるフィーチャ(例えば、ビア、トレンチ、スクライブライン、凹部、導電トレースなど)の対応する最大寸法(XY平面で測定される)以上であり得る。しかしながら、他の実施形態においては、第2のスキャニング範囲の最大寸法は、形成されるフィーチャの最大寸法未満であり得る。
一般的に、第2のポジショナ108が第2のスキャニング範囲内の任意の位置に処理スポットを位置決め(これにより第2のスキャニング範囲内でビーム軸を移動及び/又は第2のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲をスキャン)できる位置決め速度は、第1の位置決め帯域幅よりも狭い範囲(本明細書においては「第2の位置決め帯域幅」とも呼ぶ)に及んでいる。一実施形態においては、第2の位置決め帯域幅は、900Hzから5kHzの範囲にある。他の実施形態においては、第1の位置決め帯域幅は、2kHzから3kHz(例えば約2.5kHz)の範囲にある。
第2のポジショナ108は、2つのガルバノメータミラーコンポーネントを含むガルバノメータミラーシステムとして提供され得る。1つのガルバノメータミラーコンポーネントは、ワークピース102に対してX方向に沿ってビーム軸を移動するように構成されており、他のガルバノメータミラーコンポーネントは、ワークピース102に対してY方向に沿ってビーム軸を移動するように構成されている。しかしながら、他の実施形態においては、第2のポジショナ108は、回転多面鏡システムなどとして提供されてもよい。このように、第2のポジショナ108及び第1のポジショナ106の特定の構成によっては、第2の位置決め帯域幅が第1の位置決め帯域幅以上であってもよいことは理解されよう。
D.第3のポジショナ
第3のポジショナ110は、スキャンレンズ112に対してワークピース102を移動させ、この結果、ビーム軸に対してワークピース102を移動させるように動作することができる。ビーム軸に対するワークピース102の移動は、概して、第2のスキャニング範囲よりも大きな領域にわたってX方向及び/又はY方向に延びる第3のスキャンフィールド又は「スキャニング範囲」内で処理スポットをスキャン、移動あるいは位置決めできるように制限される。一実施形態においては、第3のスキャニング範囲は、X方向及び/又はY方向に25mmから2m延びている。他の実施形態においては、第3のスキャニング範囲は、X方向及び/又はY方向に0.5mから1.5m延びている。一般的に、(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第3のスキャニング範囲の最大寸法は、ワークピース102に形成されるフィーチャの対応する最大寸法(XY平面で測定される)以上である。必要に応じて、第3のポジショナ110は、Z方向に(例えば、1mmから50mmの範囲にわたって)延びるスキャニング範囲内でビーム軸に対してワークピース102を移動させるように構成されていてもよい。このため、第3のスキャニング範囲は、X方向、Y方向及び/又はZ方向に沿って延びていてもよい。
本明細書で述べられる構成では、第1のポジショナ106及び/又は第2のポジショナ108により行われるビーム軸の移動を第3のポジショナ110により行われるワークピース102の移動に重ねることができることは理解すべきである。このように、第3のポジショナ110は、第3のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲及び/又は第2のスキャニング範囲第1のスキャニング範囲をスキャンするように動作可能である。一般的に、第3のポジショナ110が第3のスキャニング範囲内の任意の位置に処理スポットを位置決め(これによりワークピース102を移動、第3のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲をスキャン、及び/又は第3のスキャニング範囲内で第2のスキャニング範囲をスキャン)できる位置決め速度は、第2の位置決め帯域幅よりも狭い範囲(本明細書においては「第3の位置決め帯域幅」とも呼ぶ)に及んでいる。一実施形態においては、第3の位置決め帯域幅は、10Hz(又はその前後)の範囲又はそれよりも狭い。
一実施形態においては、第3のポジショナ110は、(例えば、それぞれX方向、Y方向及び/又はZ方向に沿ってワークピース102を並進移動可能な)1以上の直動ステージ、(例えば、それぞれX方向、Y方向及び/又はZ方向に平行な軸を中心とした回転移動をワークピース102に与えることが可能な)1以上の回転ステージ、これに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供される。一実施形態においては、第3のポジショナ110は、ワークピース102をX方向に沿って移動するためのX軸ステージと、X軸ステージにより支持され(これによりX軸ステージによりX方向に沿って移動可能であり)、ワークピース102をY方向に沿って移動するためのY軸ステージとを含んでいる。図示されていないが、装置100は、第3のポジショナ110を支持するオプションのベース(例えば花崗岩ブロック)を含んでいてもよい。
図示はされていないが、装置100は、第3のポジショナ110に連結されたオプションのチャックを含んでいてもよく、このチャックにワークピース102を機械的にクランプ、固着、保持、固定あるいは支持することができる。一実施形態においては、チャックの典型的には平坦な主支持面に直接接触するようにワークピース102をクランプ、固着、保持、固定あるいは支持することができる。他の実施形態においては、チャックの支持面から離間するようにワークピース102をクランプ、固着、保持、固定あるいは支持することができる。他の実施形態においては、チャックからワークピース102に与えられるか、ワークピース102とチャックとの間に存在する力によりワークピース102を固着、保持、又は固定することができる。
これまで述べたように、装置100は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの構成要素の位置が、第3のポジショナ110を介して移動されるワークピース102に対して(例えば、周知なように1以上の支持部、フレームなどを介して)装置100内で静止している、いわゆる「スタック型」位置決めシステムを利用している。他の実施形態においては、第3のポジショナ110が、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素を移動させるように配置及び構成されていてもよく、ワークピース102が静止していてもよい。さらに他の実施形態においては、装置100は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素が1以上の直動又は回転ステージにより搬送される分割軸位置決めシステムを用いることができる。そのような実施形態においては、第3のポジショナ110は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素を移動するように配置及び構成された1以上の直動又は回転ステージと、ワークピース102を移動するように配置及び構成された1以上の直動又は回転ステージとを含んでいる。このように、第3のポジショナ110は、スキャンレンズ112のワークピース102を移動させる(あるいは後述するようにスキャンレンズ112に関連付けられたヘッドをスキャンする)。装置100において有益に又は有利に用いることが可能な分割軸位置決めシステムの例としては、米国特許第5,751,585号、第5,798,927号、第5,847,960号、第6,706,999号、第7,605,343号、第8,680,430号、第8,847,113号、又は米国特許出願公開第2014/0083983号に開示されたもののいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの公報のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
他の実施形態においては、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素は、多軸関節ロボットアーム(例えば、2軸、3軸、4軸、5軸、又は6軸アーム)により搬送され得る。そのような実施形態においては、第2のポジショナ108及び/又はスキャンレンズ112は、必要に応じて、ロボットアームのエンドエフェクタにより搬送され得る。さらに他の実施形態においては、ワークピース102は、多軸関節ロボットアームのエンドエフェクタ上で直接(すなわち第3のポジショナ110なしで)搬送され得る。さらに他の実施形態においては、第3のポジショナ110は、多軸関節ロボットアームのエンドエフェクタ上で搬送され得る。
D.スキャンレンズ
概して、(例えば、単純なレンズ又は複合レンズのいずれかとして提供される)スキャンレンズ112は、典型的には、所望の処理スポットに位置し得るビームウェストを生成するようにビーム経路に沿って方向付けられたレーザパルスの焦点を合わせるように構成されている。スキャンレンズ112は、fシータレンズ、テレセントリックレンズ、アキシコンレンズ(その場合には、一連のビームウェストが生成され、ビーム軸に沿って互いにずれた複数の処理スポットが生じる)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。一実施形態においては、スキャンレンズ112は、固定焦点距離レンズとして提供され、(例えば、ビーム軸に沿ってビームウェストの位置を変化させるように)スキャンレンズ112を移動するように構成されるレンズアクチュエータ(図示せず)に連結される。例えば、レンズアクチュエータは、Z方向に沿ってスキャンレンズ112を直線的に並進させるように構成されるボイスコイルとして提供されてもよい。他の実施形態においては、スキャンレンズ112は、ビーム軸に沿ってビームウェストの位置を変化させるために(例えばレンズアクチュエータを介して)作動され得る可変焦点距離レンズ(例えば、ズームレンズ、又はCOGNEX社、VARIOPTIC社などにより現在提供されている技術を組み込んだ、いわゆる「液体レンズ」など)として提供される。
一実施形態においては、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は、共通ハウジング又は「スキャンヘッド」118に一体化される。このように、装置100がレンズアクチュエータを含む実施形態においては、レンズアクチュエータは、(例えば、スキャンヘッド118内で第2のポジショナ108に対してスキャンレンズ112が移動可能となるように)スキャンレンズ112に連結されていてもよい。あるいは、レンズアクチュエータは、(例えば、スキャンヘッド118自体を移動可能とするように(その場合、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は一緒に移動する))スキャンヘッド118に連結されていてもよい。他の実施形態においては、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は、(例えば、スキャンレンズ112が一体化されるハウジングが、第2のポジショナ108が一体化されるハウジングに対して移動可能となるように)異なるハウジングに一体化される。スキャンヘッド118の構成要素又はスキャンヘッド118全体が、スキャンヘッド118の構成要素を単に取り外して他の構成要素に取り替えることができる、あるいはあるスキャンヘッド118を単に取り外して他のスキャンヘッドに取り替えることができるなどのような、モジュラアセンブリであってもよい。
E.コントローラ
一般的に、コントローラ114は、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータなどの装置100の1以上の構成要素と(例えば、USB、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fiなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線通信リンクを介して)通信可能に連結されている。これらの装置100の1以上の構成要素は、コントローラ114により出力される1以上の制御信号に応じて動作可能となっている。
例えば、コントローラ114は、ビーム軸とワークピースとの間で相対移動を行い、ワークピース102内で経路又は軌跡(本明細書においては「プロセス軌跡」とも呼ばれる)に沿って処理スポットとワークピース102との間で相対運動を生じさせるように第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、又は第3のポジショナ110の動作を制御し得る。これらのポジショナのうち任意の2つ、又はこれらのうちの3つすべてが、2つのポジショナ(例えば、第1のポジショナ106及び第2のポジショナ108、第1のポジショナ106及び第3のポジショナ110、第2のポジショナ108及び第3のポジショナ110)又は3つのポジショナが同時に処理スポットとワークピース102との間で相対移動を生じさせる(これにより、ビーム軸とワークピースとの間で「複合相対移動」を生じさせる)ように制御されてもよいことは理解できよう。もちろん、任意の時点で、処理スポットとワークピース102との間で相対移動を生じさせる(これにより、ビーム軸とワークピースとの間で「非複合相対移動」を生じさせる)ように1つのポジショナ(例えば、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108又は第3のポジショナ110)だけを制御することも可能である。
複合又は非複合相対移動を指示する制御信号を予め計算してもよいし、あるいはリアルタイムで決定してもよい。他の例においては、コントローラ114は、(例えば、第1のポジショナ106内の1以上のAODシステムの1以上の超音波変換器素子に与えられるRF信号をチャープすることにより、あるいは第1のポジショナ106内の1以上のAODシステムの1以上の超音波変換器素子にスペクトル整形されたRF信号を与えることにより、あるいは類することをすることにより、あるいはこれらを任意に組み合わせることにより)処理スポットに照射されるレーザパルスのスポット形状又はスポットサイズを変えるように第1のポジショナ106の動作を制御してもよい。
上述した構成要素のうち1つ以上に行わせるように制御可能な動作の例としては、上述した米国特許第4,912,487号、第5,633,747号、第5,638,267号、第5,751,585号、第5,847,960号、第5,917,300号、第6,314,473号、第6,430,465号、第6,700,600号、第6,706,998号、第6,706,999号、第6,816,294号、第6,947,454号、第7,019,891号、第7,027,199号、第7,133,182号、第7,133,186号、第7,133,187号、第7,133,188号、第7,245,412号、第7,259,354号、第7,611,745号、第7,834,293号、第8,026,158号、第8,076,605号、第8,288,679号、第8,404,998号、第8,497,450号、第8,648,277号、第8,680,430号、第8,847,113号、第8,896,909号、第8,928,853号、第9,259,802号において、あるいは上述した米国特許出願公開第2014/0026351号、第2014/0197140号、第2014/0263201号、第2014/0263212号、第2014/0263223号、第2014/0312013号において、あるいはドイツ連邦特許第DE102013201968B4号において、あるいは国際特許公開第WO2009/087392号において、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて開示されているような動作、機能、プロセス、及び方法などが挙げられる。
一般的に、コントローラ114は、命令を実行する際に上述した制御信号を生成するように構成される1以上のプロセッサを含んでいる。プロセッサは、命令を実行するように構成されるとプログラマブルプロセッサ(例えば、1以上の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含む)として提供され得る。プロセッサにより実行可能な命令は、ソフトウェア、ファームウェアなど、あるいは、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルオブジェクトアレイ(FPOA)、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む(デジタル回路、アナログ回路、アナログ/デジタル混合回路を含む)好適な形態の回路など、あるいはこれらを任意に組み合わせて実現され得る。命令の実行は、1つのプロセッサ上で行ってもよく、複数のプロセッサに分散させてもよく、1つのデバイス内又はデバイスのネットワークにわたる複数のプロセッサにわたって並行に行っても、あるいはこれに類する方法でも、あるいはこれらを任意に組み合わせて行ってもよい。
一実施形態においては、コントローラ114は、(例えば、1以上の有線又は無線通信リンクを介して)プロセッサによりアクセス可能なコンピュータメモリのような有形媒体を含んでいる。本明細書で使用される場合には、「コンピュータメモリ」は、磁気媒体(例えば、磁気テープ、ハードディスクドライブなど)、光学ディスク、揮発性又は不揮発性半導体メモリ(例えば、RAM、ROM、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、SONOSメモリなど)などを含んでおり、ローカルアクセス可能なもの、又は(例えばネットワークを通じて)遠隔アクセス可能なもの、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。一般的に、命令は、コンピュータソフトウェア(例えば、実行コード、ファイル、命令など、ライブラリファイルなど)として格納され得る。そのようなコンピュータソフトウェアは、例えば、C、C++、Visual Basic、Java、Python、Tel、Perl、Scheme、Rubyなどによって書かれ、当業者によって本明細書で述べられた説明から簡単に作成することができる。コンピュータソフトウェアは、通常、コンピュータメモリにより伝達される1以上のデータ構造に格納される。
図示はされていないが、1以上のドライバ(例えば、RFドライバ、サーボドライバ、ラインドライバ、電源など)が、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、Z方向高さ補償を行うための機構(以下を参照)などのような1以上の構成要素の入力と通信可能に連結され得る。一実施形態においては、それぞれのドライバは、典型的には、コントローラ114が通信可能に連結される入力を含んでおり、これにより、コントローラ114は1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能となっている。この制御信号は、装置100の1以上の構成要素に関連付けられた1以上のドライバの入力に伝達され得る。このように、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータなどの構成要素は、コントローラ114により生成された制御信号に応答するようになっている。
他の実施形態においては、図示はされていないが、1以上の付加的なコントローラ(例えば、構成要素固有のコントローラ)が、必要に応じて、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、Z方向高さ補償を行うための機構などの構成要素と通信可能に連結された(そして当該構成要素に関連付けられた)ドライバの入力と通信可能に連結され得る。この実施形態において、それぞれの構成要素固有のコントローラは、コントローラ114と通信可能に連結され、コントローラ114から受信した1以上の制御信号に応答して1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能であってもよい。この1以上の制御信号は、その後、これと通信可能に連結されたドライバの入力に伝達され得る。この実施形態において、構成要素固有のコントローラは、コントローラ114に関して述べたのと同様に構成され得る。
1以上の構成要素固有のコントローラが設けられる他の実施形態においては、ある構成要素(例えばレーザ源104)に関連付けられた構成要素固有のコントローラは、ある構成要素(例えば第1のポジショナ106など)に関連付けられた構成要素固有のコントローラと通信可能に連結され得る。この実施形態においては、構成要素固有のコントローラのうち1つ以上が、1以上の他の構成要素固有のコントローラから受信した1以上の制御信号に応答して、1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能である。
III.第2のポジショナに関する実施形態
この節の第2のポジショナ108に関する特定の実施形態は装置100に関連して述べられているが、これらの実施形態のうちのいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものを装置100以外の任意のレーザ処理装置に関して実現可能であることは理解できよう。ある実施形態においては、第2のポジショナ108は、ビーム経路に配置された(例えば、それぞれミラーを含む)複数のガルバノメータミラーコンポーネントを含むガルバノメータミラーシステムとして提供される。
例えば、図2を参照すると、ガルバノメータミラーシステムは、第1のガルバノメータミラーコンポーネント202aと第2のガルバノメータミラーコンポーネント202bとを含むガルバノメータミラーシステム200として提供される。第1のガルバノメータミラーコンポーネント202aは、第1のマウント206aに連結された第1のミラー204aと、第1のマウント206aを介して第1のミラー204aを回転させるための第1のモータ208aと、必要に応じて、例えば、第1のモータ208aの閉ループサーボ制御を可能にするための第1の回転軸210aを中心とする第1のマウント206aの回転に対応する位置信号を生成するように構成される位置検出器(図示せず)とを含んでいる。同様に、第2のガルバノメータミラーコンポーネント202bは、第2のミラー204bと、第2のマウント206bと、第2のモータ208bとを含んでおり、これらのそれぞれは、第1のガルバノメータミラーコンポーネント202aに関して上記で述べたのと同様に構成される。第2のガルバノメータミラーコンポーネント202bは、必要に応じて、例えば、第2のモータ208bの閉ループサーボ制御を可能にするための第2の回転軸210bを中心とする第2のマウント206bの回転に対応する位置信号を生成するように構成される位置検出器(図示せず)を含んでいる。
例示的に示されているように、第1のミラー204aは、(例えば、スキャンレンズ112から相対的に遠くに位置する)ビーム経路116の第1の位置に配置され、第2のミラー204bは、(例えば、スキャンレンズ112に対して相対的に近くに位置する)ビーム経路116の第2の位置に配置されている。第1のミラー204aは、第1の回転軸210a(例えばY軸)を中心として回転可能であり、レーザパルスを反射してビーム経路116を移動させる(これにより、例えば距離d(x)だけX方向に沿って延びる第2のスキャニング範囲内でビーム軸を移動させる)。同様に、第2のミラー204bは、第2の回転軸210b(例えばX軸)を中心として回転可能であり、レーザパルスを反射してビーム経路116を移動させる(これにより、例えば距離d(y)だけY方向に沿って延びる第2のスキャニング範囲内でビーム軸を移動させる)。ある実施形態では、距離d(x)及びd(y)は、上述したように、1mmから200mmの範囲内になり得る。しかしながら、距離d(x)及びd(y)は、1mmよりも小さい範囲又は200mmよりも大きな範囲内であり得ることは理解できよう。このように、距離d(x)及びd(y)は、1mm、2mm、5mm、10mm、25mm、50mm、100mm、150mm、160mm、170mm、200mmなどよりも大きいか等しい距離であり得る。同様に、距離d(x)及びd(y)は、200mm、170mm、160mm、150mm、100mm、50mm、25mm、10mm、5mm、2mm、1mmなどよりも小さいか等しい距離、あるいはこれらの値のいずれかの間の距離であり得る。
A.テレセントリック誤差
一実施形態においては、ガルバノメータミラーシステム200は、ビーム軸が第2のスキャニング範囲内で移動される際に、まず第1のミラー204aにより偏向され、次に第2のミラー204bにより偏向されたビーム経路がスキャンレンズ112の瞳孔に交差する(又は瞳孔近傍のスキャンレンズ112の位置で交差する)ように構成される。しかしながら、ガルバノメータミラーシステム200の構成によっては、まず第1のミラー204aにより偏向され、次に第2のミラー204bにより偏向されたビーム経路が、スキャンレンズ112の瞳孔からオフセットした位置で交差し(あるいは、上述したスキャンレンズ112の瞳孔の近傍の外側の位置で公差し)、これによりテレセントリック誤差が生じ、所望の処理スポットの位置からオフセットした位置にレーザパルスが照射されることがわかっている。例えば、本発明者等は、ワーク面のZ方向高さに応じて、第1のミラー204aでの1°ごとの偏向角度に対して(X方向及びY方向に)±0.8μmの位置オフセットが認められることを発見した。第2のミラー204bでの偏向角度ごとに対してはずっと少ない位置オフセットが認められた。特定の理論に拘束されることは望んでいないが、第1のミラー204aからスキャンレンズ112までの距離(これは第2のミラー204bとスキャンレンズ112との間の距離よりも大きい)が、観測されるテレセントリック誤差と位置オフセットの生成に主として貢献していると考えられる。これらの位置オフセットは、最終的には、ビアのようなフィーチャのドリル加工の位置的な正確性及び精度を悪化させ得る。
ビアのようなフィーチャのドリル加工の位置的な正確性及び精度を維持することを促進するために、(例えば、コントローラ114により出力される1以上の制御信号に応答して、あるいは第1のガルバノメータミラーコンポーネント202aに接続されたサーボドライバにより出力される電流に応答してなど)第1のガルバノメータミラーコンポーネント202aを駆動して第1の回転軸210aを中心として第1のミラー204aを回転させて、例えばX方向に沿ってd(x)よりも小さな距離d'(x)だけ延びる第2のスキャニング範囲内でビーム軸を移動するようにビーム経路116を移動させることができる。X方向に第2のスキャニング範囲の大きさを制限する際に、第2のスキャニング範囲の大きさは、上記で例示的に述べたように、距離d(y)よりも大きくなり得る距離d'(y)に増加し得る。例えば、本発明の2つの実施形態による第2のスキャニング範囲を示す図3を参照されたい。第2のスキャニング範囲302aは、距離d(x)とd(y)とが互いに等しい典型的なスキャニング範囲を表している。第2のスキャニング範囲302bは、距離d'(x)とd'(y)とが互いに等しくない(すなわち、距離d'(x)が距離d'(y)よりも小さい)他のスキャニング範囲を表している。ビアドリル加工プロセスのようなプロセスにおいては、距離d'(x)は0.04mmから200mmの範囲内であり得る。しかしながら、距離d'(x)が0.04mmよりも小さくても200mmより大きくてもよいことは理解できよう。例えば、距離d'(x)は、距離d'(y)よりも小さいままであるが、0.04mm、0.1mm、0.5mm、1mm、2mm、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、40mm、70mm、100mm、150mmなどよりも大きい、あるいはこれらの値のいずれかの間の距離であり得る。同様に、距離d'(x)は、30mm、25mm、20mm、15mm、10mm、5mm、2mm、1mm、0.5mmなどよりも小さい、あるいはこれらの値のいずれかの間の距離であり得る。
第2のミラー204bを回転する際に生じるテレセントリック誤差に起因する望ましくない位置オフセットが検出される程度にまで、第2のガルバノメータミラーコンポーネント202bを同様に駆動して第2の回転軸210bを中心として第2のミラー204bを回転させて、例えばY方向に沿ってd(y)よりも小さな修正距離(そのような修正距離はd'(x)よりも大きい)だけ延びる第2のスキャニング範囲内でビーム軸を移動するようにビーム経路116を移動させることができる。
上記にかかわらず、ガルバノメータミラーシステム200を圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータなど、又はこれに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを組み込んだ(例えば、X方向及びY方向に沿ってビーム経路を偏向可能な)2軸FSM素子のようなポジショナで置き換えることにより、テレセントリック誤差を小さくし、あるいはなくすことができることは理解できよう。
IV.Z方向高さ測定及び補償に関する実施形態
多くの場合、装置100の出力(例えば、図示された実施形態においてはスキャンレンズ112)から所望の処理スポット位置まで延びるビーム経路の部分の長さ(すなわち、装置100から出てワークピースの処理スポットに照射されるまでにレーザパルスが移動する距離)は「Z方向高さ」と呼ばれる。レーザを利用する多くのプロセスに関しては、レーザパルスは、典型的には、ビームウェストで(すなわち、処理スポットに照射されたレーザパルスのスポットサイズがビームウェストでのスポットサイズに等しい(又は少なくとも実質的に等しい)ときに)(例えば、サイズ、形状、及び均一性の観点から)最高の処理スポット品質と最高のフルエンスを生み出す。しかしながら、レーザを利用する他のプロセスは、処理スポットに照射されたレーザパルスのスポットサイズがビームウェストでのスポットサイズと等しいこと(あるいは実質的に等しいことも)要求しない。それでもなお、所望の処理スポットに照射されたレーザパルスのスポットサイズが所望のスポットサイズからずれていることは、望ましくない低いフルエンスレベルを生じ、所望の処理スポットに照射されるレーザパルスの寸法及び強度分布を変化させ得る。これらのずれは、レーザプロセスの品質及び/又はスループットに影響を及ぼし得る。
所望の処理スポットに照射されるレーザパルスが所望のスポットサイズを有することを確実にするために、装置100は、必要に応じて、スキャンレンズ112とワーク面102aの一領域(ワーク面102aの「検知範囲」とも呼ばれる)との間の距離(又はこれらの間の距離を示す特性)を測定するように構成されるZ方向高さセンサ124を備え得る。本明細書で使用される場合には、この測定された距離(又は測定された距離を示す特性)は、「測定されたワーク面Z方向高さ」とも呼ばれる。加えて、Z方向高さセンサ124が、特定スキャンレンズ112とワーク面102aの一領域との間の距離(又はその特性)を測定するように構成されている場合には、Z方向高さセンサ124は、特定のスキャンレンズ112に(又はスキャンレンズを組み込んだ特定のスキャンヘッドに)関連付けられたZ方向高さセンサとして、あるいは、より簡単に「関連Z方向高さセンサ」として述べられることもある。Z方向高さセンサ124は、任意の好適な又は有利な変位センサ、距離センサ、位置センサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。Z方向高さセンサ124として使用可能なセンサの例としては、レーザ三角測量センサ、レーザプロファイルセンサ、スキャニング共焦点レーザセンサ、共焦点干渉変位センサ、気圧計センサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。
一実施形態においては、Z方向高さセンサ124は、関連するスキャンレンズ112に対して位置的に固定されている(例えば、Z方向高さセンサ124は、スキャンヘッド118、スキャンレンズハウジングなどに連結されるか、あるいは、スキャンヘッド118が連結されるフレームに連結される)。この場合において、第2のスキャニング範囲に対する検知範囲の位置(例えば、XY平面で測定される)は固定されている。他の実施形態においては、装置100は、Z方向高さセンサ124及びスキャンレンズ112が互いに移動可能となるように構成される。例えば、Z方向高さセンサは、スキャンレンズ112に対して(例えば、X方向、Y方向又はZ方向などに、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向に)移動可能であってもよい(例えば、Z方向高さセンサ124は直動ステージ又は回転ステージに連結され、次にこのステージがスキャンヘッド118に、あるいは装置100に関連付けられた他のフレーム、ブラケット、レールなどに連結される)。他の実施形態においては、Z方向高さセンサ124は、装置100内で位置的に固定されていてもよく、スキャンレンズ112は、Z方向高さセンサ124に対して(例えば、X方向、Y方向又はZ方向などに、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向に)移動可能であってもよい。
Z方向高さセンサ124は、測定されたワーク面Z方向高さを示す1以上の信号(例えば、「Z方向高さ信号」)、データ(例えばZ方向高さデータ)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(包括的に総称して「Z方向高さ情報」と呼ばれる)を生成し、これをコントローラ114に出力することができる。そのままの形では、Z方向高さセンサ124から生成又は出力されるZ方向高さ情報はノイズを含み得る。時として、そのノイズが大きすぎて、ワーク面Z方向高さが基準ワーク面Z方向高さに対して所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウ(例えば、±60μm、±70μm、±80μm、±90μm、±100μmなど)の外部にあるか否かを決定するための確実な基礎を形成することができなくなる。「生の」Z方向高さ情報のノイズが多すぎる場合には、「処理済」ワーク面Z方向高さを得るために、生のZ方向高さ情報をZ方向高さセンサ124で、又はコントローラ114で、又はそれに類するところで、あるいはこれらを任意に組み合わせたところで処理する(例えば、フィルタしたり、滑らかにしたり、これに類する処理をしたり、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理を行ったりする)ことができる。「処理済」ワーク面Z方向高さは、ワーク面Z方向高さが所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外側にあるか否かを決定する基礎を形成することができる。
一実施形態においては、生のZ方向高さ情報又は処理済Z方向高さ情報のアイテムが(例えば、コントローラ114のバッファやキャッシュのようなコンピュータメモリにより伝達されるデータ構造で)保存される。Z方向高さ情報のアイテムに関連付けられたZ方向高さ測定値が得られたときに、Z方向高さ情報のアイテムのそれぞれが、第3のスキャニング範囲に対する検知範囲の位置(本明細書においては「検知位置」とも呼ばれる)を示す情報の対応アイテムに関連付けられて保存され得る。検知位置を示す情報は、第3のポジショナ110により生成されコントローラ114に出力される1以上の信号(例えばエンコーダ信号)から(例えばコントローラ114で)取得又は導出することができ、X方向、Y方向又はZ方向、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向に沿った位置で与えられる。
一般的に、検知位置間の間隔は、処理されるワークピース102、行われる処理の種類、フィーチャがワークピース102上又はワークピース102内に形成される位置、フィーチャがワークピース102上又はワークピース102内に形成されるときの所望の精度又は正確性など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクタに依存し得る。実施形態においては、検知位置間の間隔は、0.1mmから6mmの範囲(例えば、0.2mmから5mmの範囲)にある。(例えば、ワークピース102がPCBであり、処理がビアのドリル加工を伴うような)他の実施形態においては、検知位置間の間隔は、0.5mmから1.5mmの範囲(例えば、1mm又はその前後)にある。しかしながら、検知位置間の間隔が0.1mmよりも小さくてもよく、あるいは6mmよりも大きくてもよいことは理解できよう。隣接する検知位置の2つの組の間の間隔は、一定であってもよいし、あるいは可変であってもよい。一実施形態においては、(例えば、第3のポジショナ110などにより出力された1以上のエンコーダ信号を受信した際に生成され、出力された)コントローラ114から受信した制御信号に応答して、あるいは、第3のポジショナ110から受信した1以上のエンコーダ信号に応答して、これに類するものに応答して、あるいはこれらを任意に組み合わせて、Z方向高さの測定をトリガすることができる。
他の実施形態においては、ワーク面Z方向高さが所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部にあることを示している場合にのみ、Z方向高さ情報(及びその関連する位置情報)のアイテムが保存される。この実施形態においては、コントローラ114は、特定の位置の(例えば、測定された又は処理された)ワーク面Z方向高さが所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部にあるか否かを決定する(そして、その決定が肯定的であった場合にZ方向高さ情報及び位置情報を保存する)ためにZ方向高さ情報を処理するように構成され得る。他の実施形態においては、Z方向高さセンサ124は、(例えば、測定された又は処理された)ワーク面Z方向高さが所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部にあるか否かを決定する(そして、その決定が肯定的であった場合にZ方向高さ情報をコントローラ114に出力する)ためにZ方向高さ情報を処理するように構成され得る。
(例えば、測定された又は処理された)ワーク面Z方向高さが、(例えば、コントローラ114又はZ方向高さセンサ124により)所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部にあると決定された場合には、コントローラ114は、(例えば、照射されたレーザパルスが所望の処理スポットで所望のスポットサイズを有するように)所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部における検出変化又は検出変位を補償するための1以上の制御信号を生成してレンズアクチュエータ、第3のポジショナ110など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに出力する。Z方向高さ補償は、照射されたレーザパルスが所望の処理スポットで所望のスポットサイズを有するようにZ方向高さ補償を行うための1以上の機構を作動させる1以上の制御信号を出力することにより実現できる。本明細書で提供される実施形態において使用することができるZ方向高さ補償を行うための機構の例は以下でより詳細に述べる。
ワーク面Z方向高さが既知である場合には、リアルタイムZ方向高さ補償を行うのが率直な方法である。しかしながら、ワークピース102が処理される前には、ワーク面Z方向高さがわからない場合がある(あるいは必要とされる精度ではわからない場合がある)。一実施形態においては、ワークピース102が処理されるすべての位置でのワーク面Z方向高さは、ワークピース102のレーザ処理が開始する前に測定される。しかしながら、そのようなワーク面Z方向高さの「オフライン」測定は、ワークピース102が大きい場合には、長い時間と高い費用を必要とし得る。これは、レーザ処理を完了するのに必要と予想される時間が比較的短い場合、ワークピース102のサイズに対してZ方向高さセンサ用の検知範囲が小さい場合などには特に当てはまる。また、意図したレーザ処理が特定の品質条件を満足することができなくなるほどワーク面Z方向高さの変化が大きくなり得る。したがって、ワークピース処理前ではなく、ワークピース処理中にリアルタイムでワーク面Z方向高さを測定するのが好ましい場合がある。
リアルタイムワーク面Z方向高さ測定を容易にするために、検知範囲が第2のスキャニング範囲302b内に(例えば、検知範囲の重心又は他の中央領域が第2のスキャニング範囲302bの内部又は外部に位置するように第2のスキャニング範囲302b内に部分的に、あるいは第2のスキャニング範囲302b内に完全に)配置されるようにZ方向高さセンサ124が配置及び構成されていてもよい。したがって、一実施形態においては、検出変化又は検出変位が公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部であると判断されると直ぐにワーク面Z方向高さの検出変化又は検出変位の補償を行うことができる。しかしながら、Z方向高さ補償を行うための機構に関連付けられた応答時間が長すぎて、その結果(例えば、ワーク面Z方向高さの検出変化又は検出変位が補償されるまでレーザ処理シーケンスを遅らせることで)これを補償しなければならないと考えられる。Z方向高さ補償を行うための機構の応答時間による遅延は、以下では「応答時間遅延」と呼ばれる。また、(例えば、「処理済」ワーク面Z方向高さを得るために)生のZ方向高さ情報を処理することも、同様に補償が必要となり得る遅延の原因となる(これは「処理遅延」とも呼ばれる)。しかしながら、ワークピースに対して第2のスキャニング範囲が移動する速度(又はその逆)に比べて応答時間遅延及び処理遅延が相対的に小さい場合には、そのような遅延は補償する必要がない。
場合によっては、上述したように検知範囲が第2のスキャニング範囲302b内に配置されている場合に、正確なワーク面Z方向高さ測定値を得ることが難しい場合がある。したがって、他の実施形態においては、検知範囲が第2のスキャニング範囲302bの完全に外側に位置するようにZ方向高さセンサ124を配置及び構成することができる。例えば、図4から図6を参照すると、検知範囲402が第2のスキャニング範囲302bから(例えば、図4に示されるように)Y方向に沿って、あるいは(例えば、図5に示されるように)X方向に沿って、あるいは(例えば、図6に示されるように)X方向及びY方向に沿ってオフセットするようにZ方向高さセンサ124が配置及び構成される。図4から図6は、検知範囲402が第2のスキャニング範囲302bから-X方向、-Y方向、又は-X方向及び-Y方向にオフセットしている状態を示しているが、検知範囲402は、第2のスキャニング範囲302bから-X方向、+X方向、-Y方向、又は+Y方向のいずれにも、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向にオフセットしていてもよいことは理解できよう。図4及び図6に示される実施形態においては、第2のスキャニング範囲302bと検知範囲402との間のY方向に沿った(すなわち、Y方向に沿ってこれらの領域のそれぞれの中心から測定した場合の)距離又はピッチp(y)は、第2のスキャニング範囲302bの距離d'(y)に等しい。同様に、図5及び図6に示される実施形態においては、第2のスキャニング範囲302bと検知範囲402との間のX方向に沿った(すなわち、X方向にそってこれらの領域のそれぞれの中心から測定した場合の)距離又はピッチp(x)は、第2のスキャニング範囲302bの距離d'(x)に等しい。しかしながら、他の実施形態においては、距離p(y)及びp(x)は、それぞれ対応する距離d'(y)及びd'(x)よりも大きくても、あるいは小さくてもよい。
図4から図6に関して述べた例においては、検知範囲402は、概して、1mmから3mmの範囲の直径の円形である、一実施形態においては、検知範囲402は、1.5mmから2mmの範囲の直径を有している。しかしながら、検知範囲402が1mmよりも小さいか3mmよりも大きい直径を有し得ることは理解できよう。例えば、検知範囲402は、上述した距離d(x)、d'(x)、d(y)又はd'(y)のいずれかと等しいか、あるいはこれよりも大きな直径を有していてもよい。しかしながら、他の実施形態の例では、円形形状を有する代わりに、検知範囲402の形状が、概して、三角形、正方形、矩形、楕円形などであってもよい。さらに他の実施形態の例では、検知範囲402の形状及びサイズは、概して、第2のスキャニング範囲302bの形状及びサイズと同一であり得る。一実施形態においては、Z方向高さセンサ124は、検知範囲402内で測定される平均の又は算術平均のワーク面Z方向高さを示すZ方向高さ情報を生成するように構成されている。他の実施形態においては、Z方向高さセンサ124は、検知範囲402内の複数点で測定される実際の、平均の又は算術平均のワーク面Z方向高さを示すZ方向高さ情報を生成するように構成されている。
上記の観点から、第2のスキャニング範囲302bに対する検知範囲402の配置(例えば、これは、検知範囲402と第2のスキャニング範囲302bとの間のピッチだけ検知範囲402が第2のスキャニング範囲302bからオフセットされる方向など、あるいはこれを任意に組み合わせたものによって特徴付けることができる)を柔軟にすることができる。例えば、第2のスキャニング範囲302bに対する検知範囲402の配置は、レーザ処理中の第2のスキャニング範囲302bとワークピース102との相対運動に対応し得る。そのような相対運動は、移動速度、移動方向のようなパラメータによって特徴付けることができ、X方向又はY方向、X方向及びY方向以外の1以上の方向、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向に沿って進み得る。
このように、一実施形態においては、検知範囲402は、(例えば、第3のポジショナ110を作動させることにより、スキャンレンズ112、ワークピース102、又はこれらを組み合わせたものを移動させる際に)第2のスキャニング範囲302bがワークピース102に対して移動される方向とは異なる方向に第2のスキャニング範囲302bからオフセットされ得る。例えば、意図したレーザ処理中に、第2のスキャニング範囲302bをワークピース102に対して+Y方向又は-Y方向に移動させた場合には、検知範囲402は、(例えば、図5又は図6に示されるように)-X方向に又は+X方向に第2のスキャニング範囲302bからオフセットされ得る。このように検知範囲402をオフセットすることにより、リアルタイムのワーク面Z方向高さ測定が可能になるが、上述したのと同一の応答時間遅延及び処理遅延も生じる。また、上述したように検知範囲402をオフセットすることは、ワークピース102のエッジでレーザ処理が行われ、検知範囲402がワークピース102上に位置していないか、あるいは、ワークピース102上に部分的にのみ位置している場合に問題となり得る。しかしながら、これらの問題(又は問題の生じやすさ)は、ワークピース102を処理する際に、以下に例示的に述べる1以上の実施形態によるスキャニング手法を実施することにより改善又は回避することができる。
他の実施形態においては、検知範囲402は、(例えば、第3のポジショナ110を作動させることにより、スキャンレンズ112、ワークピース102、又はこれらを組み合わせたものを移動させる際に)第2のスキャニング範囲302bがワークピース102に対して移動される方向と同一の方向に第2のスキャニング範囲302bからオフセットされ得る。例えば、意図したレーザ処理中に、第2のスキャニング範囲302bをワークピース102に対して-Y方向に移動させた場合には、検知範囲402は、(例えば、図4又は図6に示されるように)-Y方向に第2のスキャニング範囲302bからオフセットされ得る。このように検知範囲402をオフセットすることにより、リアルタイムのワーク面Z方向高さ測定が可能になるが、上述したのと同一の遅延も生じる。また、処理されるワークピース102によっては、上述したような検知範囲402のオフセットは、第2のスキャニング範囲302bをワークピース102に対して移動させるのと同じ方向に検知範囲402がオフセットされている場合にのみ有効であることが多い(必ずしも常にというわけではないが)。しかしながら、この問題は、(例えば、複数の検知範囲を第2のスキャニング範囲302bの反対側にそれぞれ配置するように構成及び配置された)複数のZ方向高さセンサを設けることによって緩和され得る。また、この問題は、ワークピース102を処理する際に、以下に例示的に述べる1以上の実施形態によるスキャニング手法を実施することにより緩和することができる。
検知範囲402の重心又は他の中央領域が第2のスキャニング範囲302bに対して完全に外側に配置されている実施形態においては、コントローラ114は、処理位置がZ方向高さ情報の当該アイテムに関連付けられた検知位置と同じであるときにそのZ方向高さ情報のアイテムによって示される検出変化又は検出変位を補償する。他の実施形態においては、処理位置が検知位置から特定の距離内(例えば、400μm、200μm、100μm、80μm、60μm、50μm、30μm、15μm又はこれに類する値などの距離内)にあるときに、検出変化又は検出変位の補償が実施される。この特定の距離は、固定されていてもよいし、第2のスキャニング範囲302bがスキャンされる速度、Z方向高さ補償を行うための機構に関連付けられた応答時間など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどのファクタに応じて変化してもよい。検知範囲402の重心又は他の中央領域が第2のスキャニング範囲302b内にある実施形態又は検知範囲402が部分的に第2のスキャニング範囲302b内に配置されるが、検知範囲402の重心又は他の中央領域が第2のスキャニング範囲302bの外側にある実施形態においては、そのような補償を同様に行うことができる。
処理位置は、ワークピースの処理中に現在のレーザパルスが処理スポットに照射される位置(例えば、第3のスキャニング範囲に対して決定される)、ワークピースの処理中に一連のレーザパルスが空間的に分布した複数の処理スポットに逐次的に照射される位置に対応する重心位置、第2のスキャニング範囲302bの一部(例えば、そのエッジ、その重心又は他の内部領域)、第1のスキャニング範囲の一部(例えば、そのエッジ、その重心又は他の内部領域)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとなり得る。処理位置を示す情報は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより生成されコントローラ114に出力された1以上の信号(例えばエンコーダ信号)から、あるいはプロセス軌跡を記述する情報から、あるいはこれに類する情報から、あるいはこれらを任意に組み合わせたものから(例えばコントローラ114で)取得又は導出することができる。
この節における検知範囲402の配置に関する特定の実施形態は第2のスキャニング範囲302bに関連して述べられているが、他の実施形態においては、検知範囲402が第2のスキャニング範囲302aのような他のスキャニング範囲から同様にオフセットされるようにZ方向高さセンサ124が配置及び構成されていてもよいことは理解できよう。さらに、この節におけるZ方向高さに関する特定の実施形態は装置100に関連して述べられているが、これらの実施形態のいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものを装置100以外の任意のレーザ処理装置に関連して実施してもよいことは理解できよう。さらに、この節におけるZ方向高さ測定及びZ方向高さ補償などに関する特定の実施形態はレーザ処理装置及びレーザを用いたプロセスに関連して述べられているが、これらの実施形態のいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものを機械的ドリル、水流カッティング装置又は水流ドリル加工装置、電子ビームカッティング機、吹付加工機などのワークピースを処理するように構成された任意の他の好適な装置に関連して実施してもよいことは理解できよう。
A.Z方向高さ補償を行うための機構の実施形態の例
i.レンズアクチュエータ
一実施形態においては、Z方向高さ補償を行うための機構は、上述したレンズアクチュエータを含み得る。例えば、ビーム軸に沿ってビームウェストの位置を調整する(本明細書においては「Z方向高さをフォーカスする」とも呼ばれる。スキャンレンズ112の出口瞳孔から測定される。)ようにレンズアクチュエータを作動させることができ、その結果、照射されるレーザパルスは、所望の処理スポットで所望のスポットサイズを有することになる。
ii.第1のポジショナ
一実施形態においては、第1のポジショナ106は、上記で例示的に述べたように、MEMSミラー又はミラーアレイを含んでいてもよく、ワークピース102に照射されるレーザパルスのスポット形状又はスポットサイズを変化させることによりZ方向高さ補償を行うようにこのMEMSミラー又はミラーアレイを作動させることができる。他の実施形態においては、第1のポジショナ106は、上記で例示的に述べたように、1以上のAODシステムを含んでいてもよく、(例えば、それぞれ1以上のAOセルに音響的に連結された1以上の超音波変換器素子に1以上のRF信号を与えた際に)Z方向高さ補償を行うようにこの1以上のAODシステムを駆動することができる。AODシステムを駆動する実施形態の例について以下により詳細に述べる。これらの実施形態の例は、装置100又は700のような装置の内部に組み込まれたAODシステムとの関連で述べられているが、これらの実施形態の例は、AODシステムを組み込んだ任意のレーザを用いる装置とともに、そのレーザを用いる装置がレーザ処理装置であるかどうかにかからわらず、好適に実施することができることは理解できよう。
a.チャープされたRF信号
一実施形態においては、第1のポジショナ106がAODシステム(例えば多軸AODシステム)を含んでいる場合には、AODシステムの1以上の超音波変換器素子に印加されるRF信号を、その超音波変換器素子に音響的に連結されたAOセルをレーザパルスが通過する際にチャーピングすることによりAODシステムを駆動することができる。印加されたRF信号をチャーピングすることで、AODシステムから出るレーザパルスビームの焦点距離の変化を生じさせる効果を奏する。焦点距離を変化させる際に、ワークピース102に照射されるレーザパルスの有効スポットサイズがこれに対応して変化する。焦点距離が変化する程度は、以下の式により特徴付けることができる。
Figure 2023175958000002
ここで、Fはチャーピングにより生じる有効焦点距離、νはAOセル内の音速、λはレーザパルスの波長、df/dtは超音波変換器素子に印加されるRF周波数の変化率である。これから理解できるように、焦点距離が変化する方向(すなわちワークピース102に向かう方向又はワークピース102から遠ざかる方向)はFの符号によって与えられる(すなわち、時間とともに周波数が高くなるように変調されるか低くなるように変調されるかによって正又は負になり得る)。
一般的に、印加されたRF信号をチャープすることは、レーザパルスビームにより照射されるアパーチャを通る音波の移動時間よりも短いレーザパルスに対して有効である。本質的に、QCWレーザは、その間にチャープ周波数を開始値にリセット可能なパルス間に(有効な)レーザオフ時間がないので、QCWレーザのようなレーザ源104により生成されたレーザパルスビームの焦点距離を効果的に変化させるのが難しくなり得る。したがって、離散パルスレーザとともにチャーピング手法を実施する方が容易であり、その結果、レーザパルスがAODを通過する際にチャープスイープ(スポット位置決めに必要とされる中央AOD周波数付近)を適切に設定することができる。しかしながら、パルスゲーティングユニットが設けられる場合には、CWレーザ又はQCWレーザとともにチャーピング手法を用いることができる。
AODシステムがビーム軸を移動させることができる範囲は、印加されるRF信号の周波数に比例する。印加されるRF周波数がチャープされる場合、音波周波数は、AOセルを通過するレーザパルスの幅(すなわち、ビーム経路116を横切って測定される)にわたって変化し、ビーム経路116の偏向は、通過するレーザパルスにわたる平均周波数に比例する。ビーム軸に所望の移動をさせるために平均周波数が適切に設定又は較正され得る。しかしながら、レーザパルス及び/又はAOD制御信号タイミングにおける変化は、この平均周波数にずれを生じさせ、このため、スポット位置誤差を生じさせることがある(すなわち、所望のスポット位置とは異なるワークピース102の位置にレーザパルスが照射されることになる)。例えば、AODシステムは、(例えば、30MHz帯域幅を超えて)150μmの第1のスキャニング範囲を有する。このため、1MHz当たりのビーム経路偏向量は、150μm/30Mhz、すなわち5μm/MHzとなる。所望のチャープレートが30MHz/μsである場合、10nsのタイミング変化は、1.5μm(すなわち、(5μm/MHz)*(30MHz/μs)*(10ns))のビーム経路偏向誤差を生じる。
レーザパルス及び/又はAOD制御信号タイミングにおける変化は、典型的には、(様々な形態で具体化され得る)コントローラ114内の回路又は動作、ドライバにおける変化、レーザ源104からのレーザパルスの生成などから生じる。(ダイオードパルスファイバレーザなどの)一部レーザ源では、入力レーザトリガ信号と最終的に生成される対応するレーザパルスとの間のジッタが比較的低くなり得る(<10ns)。他のレーザ源(例えばQスイッチダイオード励起レーザ)においては、(例えば、内部Qスイッチ活性のランダム同期及びレーザ共振器ダイナミクスにより)変化がより大きくなり得る。例えば、典型的なUV Qスイッチレーザでは、入力レーザトリガ信号と最終的に生成される対応するレーザパルスとの間のタイミング不確実性が約±15nsとなり得る。さらに、典型的なFPGAは、20nsのクロック周期で動く基本クロックを有し得る。このため、そのようなFPGAを含むコントローラ114は、さらに±10nsのタイミング不確実性を導入する。これらのタイミング不確実性は、ワークピース102に最終的に照射されるレーザパルスに対する位置決め誤差(すなわち、レーザパルスが最終的に所望の処理スポットから離れて照射された実際の位置の変化又は変位)を生じ得る。処理中に形成される特定のフィーチャによっては、この位置決め誤差が著しくなることもあれば、そうでない場合もある。
Z方向高さ補償を行う際に、上述した位置決め誤差が著しくなる場合がある。そのような状況においては、(例えば、レーザパルスを生成するための)レーザ源104へのトリガ信号の出力、(例えば、チャープされた1以上のRF信号を印加するための)AODシステムへのトリガ信号の出力、及びレーザ源104によるレーザパルスの生成の間での同期が改善され得る。例えば、レーザ源104がレーザパルスの出力をトリガするために内部クロックに依存している実施形態においては、その内部クロックを、AODシステムへのトリガ信号を開始するコントローラ114の内部クロックに(例えば、PLL、論理ゲートなどを介して)同期させることができる。さらに、チャープシーケンス自体を生成する際に用いるクロック(例えば、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)回路などにより使用されるクロック)を同様に同期させてもよい。この同期により、タイミング不確実性をランダムレーザ共振器効果によるタイミング不確実性だけに減らすことができる。
b.スペクトル整形されたRF信号
一実施形態においては、第1のポジショナ106がAODシステム(例えば多軸AODシステム)を含んでいる場合には、超音波変換器素子に音響的に連結されたAOセルをレーザパルスが通過する際にスペクトル整形されたRF信号を1以上の超音波変換器素子に印加することによってAODシステムを駆動することができる。この実施形態においては、印加されるRF信号におけるスペクトルの形状は、AODシステムを出るレーザパルスビームのM2ファクタ(当該技術分野においては「ビーム品質ファクタ」又は「ビーム伝搬ファクタ」としても知られている)を変化させるように選択される。M2ファクタを変化させると、ワークピース102に照射されるレーザパルスの有効スポットサイズがこれに対応して変化する。M2ファクタを変化させることのできる範囲は、印加されるRF信号におけるスペクトルの広さに対応する(例えば、比較的広スペクトルは、比較的狭いスペクトルよりも強い影響をM2ファクタに与える)。一般的に、(本明細書において述べられるように)印加されるRF信号のスペクトル成分を整形することは、レーザパルスビームにより照射されるアパーチャを通る音波の移動時間よりも長いレーザパルスに対して有効である。
放射対称のガウス形空間強度プロファイルを有するレーザパルスがワークピース102に照射される(レーザ源104により出力されるレーザパルスがガウス形空間強度プロファイルを有することを想定する)実施形態においては、印加されるRF信号のスペクトルもガウス形状を有し得る。したがって、一実施形態においては、印加され得るRF信号の1つ目のタイプは、時間領域において比較的狭い信号スパイクとして特徴付けられる(すなわち、印加される信号スペクトルにおけるすべての周波数で一定なあるいは実質的に一定な位相を示唆している)。このタイプの信号は、AODセルの全回折効率に悪影響を与える可能性がある。したがって、他の実施形態においては、印加され得るRF信号の2つ目のタイプは、ほとんど単一周波数振動のような比較的スムーズな信号として特徴付けられる(例えば、1つの振動ピークの振幅が1つの振動ピークをおいた振動ピークの振幅とほぼ等しい)。そのようなRF信号は準周期的信号を含み得る。スパイクのあるRF信号と異なり、これらのスペクトル整形されたRF信号は、AOセルの回折効率にそれほど大きな影響を与えないように構成することができる。
スペクトル整形された好適なRF信号は、任意の好適な方法を用いて生成することができる。一実施形態においては、スペクトル整形されたRF信号は、変調ビームの重心位置を設定するために所望の中心周波数ωoを選択し、ワークピース102での有効レーザパルススポットサイズを設定するために所望のスペクトル幅σωを選択し、使用される離散周波数の間隔を設定するために所望の周波数分解能rωを選択し、選択された中心周波数ωo、スペクトル幅σω及び周波数分解能rωを、印加されるRF信号に対する所望のスペクトル特性をそれぞれの周波数に必要な位相の決定を通じて近似するGerchberg-Saxtonアルゴリズムのようなアルゴリズムに入力するプロセスにより生成することができる。この実施形態においては、AOセルに入射するレーザパルスビームがAOセルの比較的多くのグレーティング周期を照射するように(例えば、100MHzのパルス繰り返し率で石英AOセルに入射する6mmのビームサイズが100周期よりも多くの周期を照射するように)AODシステムを設計することができ、これにより、実際の例の多くに対してガウス形スペクトルへの好適な近似を実現することができる。そして、この近似を(例えば、コントローラ114で)適用して、AODシステムに印加される1以上の適切なスペクトル整形されたRF信号を生成することができる。近似アルゴリズムに入力されるスペクトル幅σωを変化させることにより、印加されるRF信号のスペクトルを変化させて印加されるRF信号におけるスペクトルの幅を変化させることができる。さらに、近似アルゴリズムに入力される中心周波数ωoを変化させることによりビーム経路116を偏向することができる。このように、スペクトル幅σω、中心周波数ωo、及び周波数分解能rω、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを一緒に又は別々に変化させることができることは理解できよう。
iii.第3のポジショナ
他の実施形態においては、Z方向高さ補償を行うための機構は第3のポジショナ110を含み得る。例えば、第3のポジショナ110を作動させて、ワーク面Z方向高さが所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウ内となるように(これにより、照射されるレーザパルスのビームウェストが所望の処理スポットに位置できるように)ワークピース102を移動することができる。
iv.Z方向高さ補償を行うための機構の他の実施形態の例
一実施形態においては、Z方向高さ補償を行う機構は、レンズ、MEMSミラー又はミラーアレイなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような構成要素を含み得る。この実施形態においては、そのような機構を(例えば、第1のポジショナ106、第3のポジショナ110、スキャンレンズ112、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに加えて)設け、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、スキャンレンズ112、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに対して光学的に「上流側」又は「下流側」のビーム経路116内の任意の位置に配置することができる。レンズとして設けられた場合は、そのレンズは、レンズをビーム経路116に沿って並進してビーム軸に沿ってビームウェストの位置を変化させるように構成されるレンズアクチュエータ(例えば、ボイスコイルなど)に連結された固定焦点距離レンズとして提供され得る。他の実施形態においては、レンズは、ビーム軸に沿ってビームウェストの位置を変化させるために(例えばレンズアクチュエータを介して)作動され得る可変焦点距離レンズ(例えば、ズームレンズ、又はCOGNEX社、VARIOPTIC社などにより現在提供されている技術を組み込んだ、いわゆる「液体レンズ」など)として提供され得る。
V.スキャンヘッドの構成に関する実施形態
図1に示される実施形態においては、装置100は単一のスキャンヘッド118を含んでいる。しかしながら、他の実施形態においては、装置100は、複数の(例えば、2台、3台、4台、5台、6台、8台などの)スキャンヘッドを備えていてもよく、これらのスキャンヘッドのそれぞれは、スキャンヘッド118に対して述べられた方法で設けられていてもよいし、あるいはそのようには設けられていなくてもよい。装置100に複数のスキャンヘッドを備える(すなわち、「マルチヘッド装置」とする)ことにより、装置100により行われるレーザプロセスのスループットが改善され得る。そのようなマルチヘッド装置の異なるスキャンヘッドを、同じように、あるいは異なる方法により、設置、構成、駆動、作動などすることができ、あるいはこれらを任意に組み合わせることができる。
例えば、一実施形態においては、異なるスキャンヘッドのスキャンレンズの1以上の特性が同一であっても異なっていてもよい。スキャンレンズの特性の例としては、種類(例えば、fシータ、テレセントリック、アキシコンなど)、焦点距離、開口数、材料組成、コーティングの有無、コーティング組成などが挙げられる。
他の例では、ポジショナ(例えば、上述した第2のポジショナ108)をスキャンヘッド内に組み込むとともに、他のスキャンヘッドが、内部に組み込まれた、あるいは関連付けられたポジショナを備えていても、あるいは備えていなくてもよい。また、異なるスキャンヘッドのポジショナの1以上の特性が同一であっても異なっていてもよい。ポジショナの特性の例としては、スキャンヘッド702のポジショナの数(例えば、1台、2台、3台など)、スキャンヘッドのそれぞれのポジショナの種類(例えば、ガルバノメータミラーのような機械式ポジショナ、MEMSミラー又はミラーアレイ、圧電アクチュエータ、電歪アクチュエータ、ボイスコイルアクチュエータなど、AODやEODなどの固定ポジショナなど)、位置決め帯域幅、スキャニング範囲のサイズ、スキャニング範囲の形状、製造メーカー、ソフトウェア制御などが挙げられる。同様に、あるスキャンヘッド702のポジショナを、他の1以上のスキャンヘッド702のポジショナと同一の制御信号により駆動することができる。あるいは、あるスキャンヘッド702のポジショナを、他の1以上のスキャンヘッド702のポジショナと異なる制御信号により駆動することができる。
一実施形態においては、異なるスキャンヘッドを同じ方法で、あるいは異なる方法で装置内に設置することができる。例えば、少なくとも1つの(又はすべての)スキャンヘッドを装置内で静止したままとなるように(例えば、装置内に組み込まれたフレームに)固定することができる。他の例では、少なくとも1つの(又はすべての)スキャンヘッドを装置内で移動可能にすることができる。移動可能である場合には、少なくとも2つ(又はすべての)スキャンヘッドを同じ方向に又は同じ方向に沿って、異なる方向に又は異なる方向に沿って、又はこれに類する方向に、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向に(例えば、直線的に並進、回転など)移動可能としてもよい。同じ方向に移動可能に構成される場合は、上記少なくとも2つ(又はすべての)スキャンヘッドを(例えば、これらのスキャンヘッドの間で相対移動が生じないように)同じ速度で移動可能としてもよく、あるいは(例えば、これらのスキャンヘッドの間で相対移動が生じるように)異なる速度で移動可能としてもよい。移動を容易にするために、装置は、スキャンヘッドのうちの1以上のスキャンヘッドに有益に連結される1以上のガントリー、直動ステージ、回転ステージ、関節ロボットアームなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含んでいてもよい。そのようなステージは、上述した第3のポジショナ110の一部であってもよく(このため、上述したように、ビーム軸とワークピース102との間で相対移動を生じさせるように意図された1以上の制御信号により駆動される)、あるいは、第3のポジショナ110から分離していてもよい(このため、ビーム軸とワークピース102との間で相対移動を生じさせる以外の目的の、例えば、それぞれのスキャンヘッドとマルチヘッド装置により処理される1以上のワークピースとの間の位置合わせの調整を確実に行うように意図された1以上の制御信号により駆動される)。
ある実施形態においては、マルチヘッド装置は、上述したZ方向高さセンサ124のような単一のZ方向高さセンサを含んでいてもよく、あるいは、そのようなZ方向高さセンサを複数含んでいてもよい。ある実施形態においては、Z方向高さセンサは、単一のスキャンヘッドに関連付けられていてもよく、あるいは、複数の(例えば、2台、3台、4台、5台、6台、8台などの)スキャンヘッドに関連付けられていてもよい。一実施形態においては、含められるZ方向高さセンサの数は、マルチヘッド装置におけるスキャンヘッドの数と同一であり、それぞれのZ方向高さセンサは単一のスキャンヘッドに関連付けられている。
上記ではマルチヘッド装置のある特徴について述べたが、ある実施形態に係るマルチヘッド装置に関連付けられた構成について図7を参照して例示的により詳細に述べる。
マルチヘッド装置として設けられる場合、装置100(図7に関してはマルチヘッド装置700と呼ばれる)は、第1のスキャンヘッド702a、第2のスキャンヘッド702b、第3のスキャンヘッド702c及び第4のスキャンヘッド702dのような4台のスキャンヘッドを含み得る(それぞれは総称してスキャンヘッド702と呼ばれるか、包括的に複数のスキャンヘッド702と呼ばれる)。スキャンヘッド702のグループを共通レールにより支持することができる。例えば、第1のスキャンヘッド702aと第3のスキャンヘッド702cとを第1のレール704aにより共通して支持することができ、第2のスキャンヘッド702bと第4のスキャンヘッド702dとを第2のレール704bにより共通して支持することができる。本明細書で使用される場合には、第1のレール704a及び第2のレール704bは、総称してレール704と呼ばれるか、包括的に複数のレール704と呼ばれる。
一般的に、それぞれのレール704を装置100内に静止するように又は移動可能となるように(例えば、X方向に沿って、Y方向に沿って、又は他の方向に沿って、あるいはX方向又はY方向に平行な軸を中心として直線的に並進されるか、他の方向に平行な軸を中心として回転されるか、これに類似する移動がなされるか、あるいはこれらが任意に組み合わされる)固定することができる。例えば、図示された実施形態においては、第1のレール704aは、第1のレール704aを(例えば、矢印706に示されるように)X方向に沿って移動するように構成されるステージ(図示せず)に連結されてもよく、第2のレール704bは、マルチヘッド装置700内に静止するように固定されていてもよい。
一般的に、レール704により搬送されるスキャンヘッド702は、静止するように又は移動可能となるように(例えば、X方向に沿って、Y方向に沿って、又は他の方向に沿って、あるいはX方向又はY方向に平行な軸を中心として直線的に並進されるか、他の方向に平行な軸を中心として回転されるか、これに類似する移動がなされるか、あるいはこれらが任意に組み合わされる)レール704に連結され得る。例えば、図示された実施形態においては、第3のスキャンヘッド702c及び第4のスキャンヘッド702dが、それぞれ第1のレール704a及び第2のレール704bに対して静止するように固定され、第1のスキャンヘッド702aは、(例えば、矢印710に示されるように)Y方向に沿って移動可能となるように(第1のレール704aにより搬送され得る)第1のY軸ステージ708aに連結され、第2のスキャンヘッド702bは、(第1のスキャンヘッド702aとは独立して、あるいは第1のスキャンヘッド702aと協調して)Y方向に沿って移動可能となるように(第2のレール704bにより搬送され得る)第2のY軸ステージ708bに連結される。あるいは、第1のスキャンヘッド702a及び第2のスキャンヘッド702bを、(例えば、第1のレール704a及び第2のレール704bにわたる任意の好適な又は有利な機械的リンケージを介して)第1のレール704a及び/又は第2のレール704bに移動可能に連結された共通のY軸ステージ(図示せず)に連結してもよい。上述したように構成されているため、第1のスキャンヘッド702aは、X方向及びY方向に沿って移動可能であり、第2のスキャンヘッド702bは、(例えば、第1のスキャンヘッド702aと協調して)Y方向に沿って移動可能であり、第3のスキャンヘッド702cは、(例えば、第1のスキャンヘッド702aと協調して)X方向に沿って移動可能であり、第4のスキャンヘッド702dは、静止したままとなるように固定される。
一般的に、それぞれのスキャンヘッド702は、上述したレーザ源104のような1以上のレーザ源から上述したビーム経路116のような1以上のビーム経路に沿って伝搬するレーザパルスを受けるように適合されている。例えば、図示された実施形態においては、レーザパルスは、単一のレーザ源104から生成され、任意的な光学系712により修正(例えば、収束、拡大、コリメート、整形、偏光、フィルタ、あるいは修正、調整又は方向付けなど)される。光学系712は、ビームエキスパンダ、ビーム整形器、アパーチャ、高調波発生結晶、フィルタ、コリメータ、レンズ、ミラー、偏光器、回折光学素子、屈折光学素子など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものをはじめとする1以上の光学要素を含み得る。一実施形態においては、オプションの光学系712は、米国特許第6,433,301号においてモジュラー画像光学レールとして例示的に述べられているような光学要素の任意の構成を含み得る。この米国特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図示された実施形態においては、レーザ源104により生成され(必要に応じて光学系712を通過し)たレーザパルスは、プライマリビーム分配器714を通過して、同時に及び/又は交互にレーザパルスを第1のプライマリビーム経路116a1及び第2のプライマリビーム経路116a2(それぞれ総称してプライマリビーム経路116aと呼ばれるか、包括的に複数のプライマリビーム経路116aと呼ばれる)に沿って方向付けられる。一実施形態においては、プライマリビーム分配器714は、AOMとして提供され、プライマリビーム経路116aは、(例えば、上述した米国特許第7,133,187号に例示的に述べられているような)AOMに関連付けられたゼロ次ビーム経路及び1次ビーム経路として提供される。一般的に、AOMの回折効率は100%ではない。したがって、1次ビーム経路を選択するようにAOMを駆動しているときであっても、少なくとも一部のエネルギーはプライマリビーム経路116aに沿って常に伝達される。したがって、任意的な実施形態においては、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを好適に動作させることにより、ゼロ次ビーム経路に沿って伝達されるエネルギーがワーク面102aに到達することをブロック又は阻止することができる。しかしながら、他の実施形態においては、プライマリビーム経路116aのうちの一方をAOMに関連付けられた正の1次ビーム経路として設け、プライマリビーム経路116aの他方をAOMに関連付けられた負の1次ビーム経路として設けてもよい。この実施形態においては、AOMのゼロ次ビームに沿って伝達されるエネルギーを受けるためにビームダンプ(図示せず)を設けてもよい。
AOMとして設けられる場合には、プライマリビーム分配器714を必要に応じて(例えば、コントローラ114により、あるいは他のコントローラなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に応答して)レーザ源104により生成され(必要に応じて光学系712を通過し)たレーザパルスを時間的に切断又はスライスするように、あるいは、レーザ源104により生成され(必要に応じて光学系712を通過し)た1以上のレーザパルス(の全体)をブロック、ダンプあるいは減衰するようになど、あるいはこれらを任意に組み合わせて動作させてもよい。例えば、レーザ源104により生成され(必要に応じて光学系712を通過し)た1以上の(又はすべての)レーザパルスの少なくとも一部分をブロック、ダンプあるいは減衰するようにAOMを動作させてもよい。パルス持続時間が比較的短く、立ち上がり時間が短いかあるいは長く、立ち下がり時間が短いかあるいは長く、又はこれに類する特性を有し、あるいはこれらを任意に組み合わせた特性を有する1以上のレーザパルスを生成するためにレーザパルスの1以上の部分をブロック、ダンプあるいは減衰させてもよい。
逐次的に生成される一連のレーザパルスにおいて1以上のレーザパルスをブロック又はダンプすることは「パルス選定」としても知られている。パルス選定は、好適な場合あるいは必要とされる場合はいつでも実施することができる。例えば、複数のフィーチャ(例えばビア)を形成するために必要な処理軌跡が、処理スポットが横断するフィーチャ間の移動の少なくとも一部が同じ時間Tmを必要とすることを特定しているのであれば、レーザ源104により1/Tmのパルス繰り返し率でレーザパルスを生成することができる。そして、Tmの整数k倍(例えば、k*Tm)の時間にわたって処理スポットが横断するフィーチャ間の移動については、(例えば、AOMとして設けられる場合には)プライマリビーム分配器714は、k*Tmの期間中に生成されるパルスをブロックするように動作され得る。
場合によっては、レーザ源104により生成されるレーザパルスのパルス繰り返し率の変化は、生成されたレーザパルスの測定可能な時間的強度プロファイルの変化となる。そのような変化を(例えば前処理較正工程など)特徴付けることができ、(例えば、AOMとして設けられる場合には)プライマリビーム分配器714は、事前に特徴付けられたこれらの変化を(例えば、レーザ源104により生成された1以上の(又はすべての)レーザパルスの少なくとも1つの部分をブロック、ダンプあるいは減衰させることにより)補償するように動作され得る。その結果、プライマリビーム経路116aに沿って伝搬するレーザパルスは、生成されるレーザパルスのパルス繰り返し率の変化にかかわらず、一様な(又は少なくとも実質的に一様な)時間的強度プロファイルを有することができる。
他の実施形態においては、プライマリビーム分配器714は、1以上の偏光器、ビームスプリッタ、スピニングチョッパミラー、回転多面鏡、共振ガルバノメータミラーシステム、電気光学変調器(EOM)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして設けることができる。別のビーム経路を制御するために、さらに/あるいはビーム経路を組み合わせるためにEOMを利用することについては、米国特許第8,374,206号に詳細に述べられている。この米国特許は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。オプションの光学系712を、図示されたようなプライマリビーム分配器714の上流側ではなく、プライマリビーム分配器714の下流側の位置にプライマリビーム経路116aに沿って共通に配置してもよいことは理解できよう。他の実施形態においては、複数のオプションの光学系712をプライマリビーム分配器714の下流側に設けてもよく、それぞれのオプションの光学系712を異なるプライマリビーム経路116に沿って位置決めしてもよい。
プライマリビーム経路116aに沿って方向付けられるレーザパルスは、第1のセカンダリビーム分配器716a及び第2のセカンダリビーム分配器716b(それぞれは総称してセカンダリビーム分配器716と呼ばれるか、包括的にセカンダリビーム分配器716と呼ばれる)によってさらに分配される。第1のセカンダリビーム分配器716aは、第1のセカンダリビーム経路116a1に沿って伝搬するレーザパルスを同時に及び/又は交互に第1のセカンダリビーム経路116b1及び第2のセカンダリビーム経路116b2に方向付けるように構成される。同様に、第2のセカンダリビーム分配器716bは、第2のセカンダリビーム経路116a2に沿って伝搬するレーザパルスを同時に及び/又は交互に第3のセカンダリビーム経路116b3及び第4のセカンダリビーム経路116b4に方向付けるように構成される。図示された実施形態においては、それぞれのセカンダリビーム分配器716は、ビームスプリッタ及びミラーを備えたシステムとして設けられる。例えば、第1のセカンダリビーム分配器716aは、ビームスプリッタ718及びミラー720を含んでいる。しかしながら、他の実施形態においては、いずれのセカンダリビーム分配器716も、AOM、1以上の偏光器、ビームスプリッタ、スピニングチョッパミラー、回転多面鏡、電気光学変調器(EOM)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして設けることができる。
第1のセカンダリビーム経路116b1、第2のセカンダリビーム経路116b2、第3のセカンダリビーム経路116b3及び第4のセカンダリビーム経路116b4(それぞれ総称してセカンダリビーム経路116bと呼ばれるか、包括的に複数おNセカンダリビーム経路116bと呼ばれる)は、それぞれ異なるスキャンヘッド702を伝搬する。例えば、図示された実施形態においては、第1のプライマリ光路116a1は、第1のセカンダリビーム分配器716aのビームスプリッタ718により分割され、第1のセカンダリビーム経路116b1と第3のセカンダリビーム経路116b3とを形成し、第2のプライマリ光路116a2は、第1のセカンダリビーム分配器716bのビームスプリッタ718により分割され、第2のセカンダリビーム経路116b2と第4のセカンダリビーム経路116b4とを形成する。第1のセカンダリビーム経路116b1は第1のスキャンヘッド702aに方向付けられ、第2のセカンダリビーム経路116b2は第2のスキャンヘッド702bに方向付けられ、第3のセカンダリビーム経路116b3は第3のスキャンヘッド702cに方向付けられ、第4のセカンダリビーム経路116b4は第4のスキャンヘッド702dに方向付けられる。図示された実施形態においては、それぞれのセカンダリビーム経路116bは、たった1つのレール704上の1組のスキャンヘッド702に作用する。しかしながら、プライマリビーム経路116aを、関連するセカンダリビーム経路116bが異なるレール704上のスキャンヘッド702に到達し得るように分割してもよいことは理解できよう。
図示された実施形態においては、第1の光学部品アセンブリ722a、第2の光学部品アセンブリ722b、第3の光学部品アセンブリ722c及び第4の光学部品アセンブリ722d(それぞれ総称して光学部品アセンブリ722と呼ばれるか、包括的に複数の光学アセンブリ722と呼ばれる)のような光学部品アセンブリは、光学部品アセンブリ722が同一のセカンダリビーム経路116bに位置するスキャンヘッド702の上流側の位置でセカンダリビーム経路116b内に配置されるように、セカンダリビーム経路116b内に配置される。このため、図示された実施形態においては、第1のセカンダリビーム経路116b1は、第1の光学部品アセンブリ722aを通って第1のスキャンヘッド702aに至り、第2のセカンダリビーム経路116b2は、第2の光学部品アセンブリ722bを通って第2のスキャンヘッド702bに至り、第3のセカンダリビーム経路116b3は、第3の光学部品アセンブリ722cをとって第3のスキャンヘッド702cに至り、第4のセカンダリビーム経路116b4は、第4の光学部品アセンブリ722dを通って第4のスキャンヘッド702dに至る。しかしながら、スキャンヘッド702よりも光学部品アセンブリ722が少なくてもよいことは理解できよう。
図示されていないが、(例えば、1以上のミラー、AOM、ポジショナ(例えば、ガルバノメータミラーシステム、ファーストステアリングミラーなど)、ビームスプリッタ、光学スイッチなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを備える)光学バイパスシステムをいずれかのセカンダリビーム経路116bに配置し、対応する光学部品アセンブリ722をバイパスしてもよい。このように、光学バイパスシステムがいずれかの特定のセカンダリビーム経路116bに配置される場合には、その特定のセカンダリビーム経路116bから光学部品アセンブリ722を機能的に取り除くことができる。あるいは、光学部品アセンブリ722のうちの1以上の(又はすべての)光学部品アセンブリ全体を装置700から省くことができる。
それぞれの光学部品アセンブリ722は、上述した第1のポジショナ106のような1以上のポジショナと、必要に応じて、1以上の半波長板、アパーチャ、リレーレンズ、ミラーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、これらすべてが、共通のフレームに固定された光入力ポート及び光出力ポートを有する共通ハウジングなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの内部に配置される)を含むことができる。異なる光学部品アセンブリ722を同一の方法で又は異なる方法で構成、駆動、作動など、あるいはこれらを任意に組み合わせることができる。このため、1つの光学部品アセンブリ722のポジショナは、他の1以上の光学部品アセンブリ722と同一のタイプ又は異なるタイプ(あるいは同一のタイプであるが異なる特性を有するもの)であってもよい。ポジショナの特性の例としては、光学部品アセンブリ722のポジショナの数(例えば、1台、2台、3台など)、光学アセンブリ722のそれぞれのポジショナのタイプ、位置決め帯域幅、スキャニング範囲のサイズ、スキャニング範囲の形状、製造メーカー、ソフトウェア制御などが挙げられる。同様に、ある光学部品アセンブリ722のポジショナを、他の1以上の光学部品アセンブリ722のポジショナと同一の制御信号により駆動することができる。あるいは、ある光学部品アセンブリ722のポジショナを、他の1以上の光学部品アセンブリ722のポジショナと異なる制御信号により駆動することができる。異なる光学部品アセンブリ722のポジショナを同時に、逐次的に、ランダムに、これに類する方法により、あるいはこれらを任意に組み合わせて駆動することができる。それぞれの光学部品アセンブリ722をモジュラアセンブリとして個々にパッケージすることができ、これにより、他の光学部品アセンブリ722に対して選択的に除去又は置換することができる。
図示はされていないが、光学部品アセンブリ722のうちの1つ以上の光学部品アセンブリ722のハウジングやフレームなどは、光学部品アセンブリ722の少なくとも1つの構成要素に対する(例えば、ポジショナ、アパーチャ、リレーレンズ、ミラー、光入力ポート、光出力ポートなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに対して)マルチヘッド装置700内での対応するセカンダリビーム経路116bの光学的位置合わせを容易にするように構成された位置合わせフィーチャを含んでいてもよい。このため、マルチヘッド装置700は、光学部品アセンブリ722の位置合わせフィーチャと係合するように構成されるフレームやラッチなどをさらに含んでいてもよい。
図7に例示的に示されるように、プライマリビーム分配器714は、レーザパルスの入射列を1組のプライマリビーム経路116(例えば、2つのプライマリビーム経路116a)にわたって分配し、セカンダリビーム分配器716は、レーザパルスの入射列を1組のセカンダリビーム経路116b(例えば、4つのセカンダリビーム経路116b)にわたって分配する。しかしながら、他の実施形態においては、選択されたプライマリビーム経路116aに沿って配置されたセカンダリビーム分配器716のうちの1つを(例えば、その下流のセカンダリビーム経路116bに沿って配置される対応する光学部品アセンブリ722とともに)省略してもよく、選択されたプライマリビーム経路116aに沿って伝搬するレーザパルスを(例えば、1以上のミラーなどの補助を用いて)スキャンヘッド702に方向付けてもよい。
一般的に、上述のように構成されることによって、マルチヘッド装置700の1以上の構成要素(例えば、光学部品アセンブリ722内の第1のビーム分配器714、第2のビーム分配器716、第1のポジショナ106、スキャンヘッド702内の第2のポジショナ108など)を(例えば、少なくとも1つの他のスキャンヘッド702(又は他のすべてのスキャンヘッド702)からワークピースへのレーザパルス(又はレーザパルスのバースト)と同時にレーザパルス(又はレーザパルスのバースト)があるスキャンヘッド702からワークピース(図示せず)に伝達されるようにコントローラ114(図1参照)により出力される1以上の制御信号に応答して)動作させることができる。一実施形態においては、レーザパルス(又はレーザパルスのバースト)が、レール704により支持されるあるスキャンヘッド702から、同じレール704により支持される他のスキャンヘッド702(又は他のすべてのスキャンヘッド702)から照射されるレーザパルス(又はレーザパルスのバースト)と同時に照射されるようにマルチヘッド装置700の動作が制御される。他の実施形態においては、レーザパルス(又はレーザパルスのバースト)は、共通のレール704により支持される(例えば、第1のレール704a又は第2のレール704bにより共通して支持される)異なるスキャンヘッド702から異なる時点で照射される。
構成要素間の望ましい光学的距離を含むマルチヘッド装置700の全体的な設計は、オプションの光学系712及び/又はその構成要素、プライマリビーム分配器714、セカンダリビーム分配器716、光学部品アセンブリ722及びその構成要素、及びスキャンヘッド702及び/又はその構成要素の相対的な位置決めに影響を及ぼし得ることは理解できよう。例えば、障害物を避けたり、所望のセグメント長さを提供したり、アライメントを改善したりなどするために、あるいはこれらを任意に組み合わせるために、レーザパルスが伝搬する様々なビーム経路(例えば、プライマリビーム経路116a、セカンダリビーム経路116bなど、それぞれ総称してビーム経路116と呼ばれるか、包括的に複数のビーム経路116と呼ばれる)を折り返すことを容易にするために数多くの折り返しミラー724を用いることができる。第1の折り返しミラー724aと第2の折り返しミラー724bのようなこれらの折り返しミラー724の一部は、それぞれ第1のレール704a及び第2のレール704bにより支持されていてもよい。これに代えて、あるいはこれに加えて、第1の折り返しミラー724a及び第2の折り返しミラー724bの一方又は双方は、レール704が支持されている1以上の直動ステージ又は回転ステージにより直接又は間接的に支持されていてもよい。
上述のように構成されているため、マルチヘッド装置700の複数のスキャンヘッド702を複数の別々のワークピースを同時にさらに/あるいは逐次的に処理するために用いてもよく、単一のワークピースを同時にさらに/あるいは逐次的に処理するために用いてもよい。複数のワークピースを(例えば同時に)処理するために複数のスキャンヘッド702を用いる場合には、装置100は複数の第3のポジショナ110を備えていてもよい。第3のポジショナ110のそれぞれは、スキャンヘッドに対してそれぞれのワークピースを移動できるようになっていてもよい。この場合において、ワークピースを互いに相対的に一緒に(すなわち、ワークピース間の相対移動は生じない)、あるいはこれに類する方法で、あるいはこれらを任意に組み合わせて移動させるように第3のポジショナを動作させてもよい。
VI.ワークピースハンドリングシステムに関する実施形態
装置100又はマルチヘッド装置700(それぞれは総称して装置と呼ばれる)のような装置に対してワークピースをロード及びアンロードすることを容易にするために、(例えば、コントローラ114により、あるいは他のコントローラなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に応答して)ワークピースを第3のポジショナ110上に移送し、第3のポジショナ110から移送することが可能なワークピースハンドリングシステムを設けてもよい。
一実施形態においては、図8及び図9を参照すると、ワークピースハンドリングシステムは、1以上のワークピースを保持するように構成されたストレージベイを含むワークピースハンドリングシステム800であってもよい。この1以上のワークピースは、装置によりまだ処理されていなくても、装置により部分的に処理されていても、装置により完全に処理されていても、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。ワークピースの移送を簡単にするためにワークピースハンドリングシステム800を装置の隣に配置してもよい。例えば、図9に示されるように、ワークピースハンドリングシステム800を、第3のポジショナ110を支持する(必要に応じてチャック902を支持してもよい)上述したベース(例えばベース802)の隣に配置してもよい。ワークピースハンドリングシステム800は、ワークピース102をワークピースハンドリングシステム800の第1のハンドリング領域804から装置に移送可能な第1の移送機構900を含んでいてもよい。また、ワークピースハンドリングシステム800は、ワークピース102を装置からワークピースハンドリングシステム800の第2のハンドリング領域806に移送可能な第2の移送機構(図示せず)を含んでいてもよい。第1の移送機構900及び第2の移送機構は、(例えば、その端部にワークピースに係合させるためのエンドエフェクタなどを備えた)ロボットアーム、NORTHFIELD AUTOMATION SYSTEMS社により製造されるROLL MASTERシステムのようなロールツーロールハンドリングシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。
一実施形態においては、第1の移送機構900により移送されるワークピースは、第1の移送機構900がワークピースを第1のハンドリング領域804から装置に移送する際に、ワークピースが第3のポジショナ110上又は第3のポジショナ110の上方の所定の位置及び/又は方位に配置されるように第1のハンドリング領域804で予め位置合わせされる。他の実施形態においては、第1の移送機構900により移送されるワークピースは、第1のハンドリング領域804において予め位置合わせされずに、その結果、第1の移送機構900は、(例えば、上述した米国特許第7,834,293号に例示的に開示されている)任意の好適な又は有利な方法により、第3のポジショナ110上又は第3のポジショナ110の上方の所定の位置及び/又は方位にワークピースを位置合わせしてもよい。
一実施形態においては、装置は、ワークピースハンドリングシステム800へのワークピースの移送又はワークピースハンドリングシステム800からのワークピースの移送を容易にするように構成されていてもよい。例えば、図10を参照すると、マルチヘッド装置700は、ワークピース102(必要に応じてチャック902により支持され得る)をワークピース移動領域1000内で移動するように構成される第3のポジショナ(図示せず)を含んでいてもよい。図10に示されるように、ワークピース移動領域1000は、ワークピースローディング領域1002、ワークピースアンローディング領域1004及びワークピース処理領域1006を包含している。ワークピースローディング領域1002は、ワークピースハンドリングシステム800の第1の移送機構900に対して位置合わせされ、ワークピースアンローディング領域1004は、ワークピースハンドリングシステム800の第2の移送機構に対して位置合わせされ、ワークピース処理領域1006は、マルチヘッド装置700のスキャンヘッド702に対して位置合わせされる。
上述したように構成されているため、マルチヘッド装置700を用いてワークピースを処理するシーケンス例は以下のようになり得る。チャック902がワークピースローディング領域1002内に既に位置していない場合には、第3のポジショナを最初に動作させ、チャック902をワークピースローディング領域1002に移動し、第1のロボットを動作させ、ワークピース102を第1のハンドリング領域804からチャック902上に移送する。次に、第3のポジショナを動作させ、移送されたワークピース102が現在その上に支持されているチャック902を(例えば、X方向に、Y方向に、あるいは矢印1008に沿った方向などのこれらを組み合わせた方向に)ワークピースローディング領域1002からワークピース処理領域1006に(例えば、スキャンヘッド702のうち1以上のスキャンヘッド702に対して位置合わせされるように)移動する。スキャンヘッド702のうち1以上のスキャンヘッド702を通じてワークピース102上に1以上のレーザパルスを照射し、ワークピース102を処理する。処理が完了した後、第3のポジショナを動作させ、チャック902を(例えば、X方向に、Y方向に、あるいは矢印1010に沿った方向などのこれらを組み合わせた方向に)ワークピース処理領域1006からワークピースアンローディング領域1004に移動し、第2の移送機構を動作させ、処理済ワークピース102をチャック902から第2のハンドリング領域806に移送する。その後、第3のポジショナを動作させ、チャック902を(例えば、矢印1012に沿った方向のようにY方向にのみ)ワークピースアンローディング領域1004からワークピースローディング領域1002に移動することができ、上述したシーケンスを必要に応じて繰り返してもよい。
一実施形態においては、第3のポジショナ110を動作させて、チャック902をある方向に沿って他の方向よりも速く移動することができる。例えば、第3のポジショナ110を動作させて、チャック902をY方向に沿ってX方向よりも速く移動することができる。ある特定の実施形態においては、第3のポジショナ110は、(例えば、積層配置された)X軸ステージ及びY軸ステージを含んでいる。X軸ステージは、X方向に沿って第1の速度でチャックを移動させるように構成され、Y軸ステージは、Y方向に沿って第1の速度よりも速い第2の速度でチャックを移動させるように構成される。
図10に示されるように、概念的にワークピース102をマルチヘッド装置700内のスキャンヘッド702の位置に対応する4つの領域(例えば、第1の領域I、第2の領域II、第3の領域III及び第4の領域IV)に分けることができる。したがって、ワークピース102がワークピース処理領域1006内に配置されている場合には、ワークピース102と、(すなわち、ワークピース102に当てる)処理中にレーザパルスが出射されるスキャンヘッド702との間で相対移動を生じさせるようにマルチヘッド装置700を動作させてもよい。その結果、第1のスキャンヘッド702aから照射されるレーザパルスで第1の領域Iを処理し、第2のスキャンヘッド702bから照射されるレーザパルスで第2の領域IIを処理し、第3のスキャンヘッド702cから照射されるレーザパルスで第3の領域IIIを処理し、第4のスキャンヘッド702dから照射されるレーザパルスで第4の領域IVを処理してもよい。また、共通のスキャンヘッド702から照射されるレーザパルスでワークピース102の複数の領域を(例えば、逐次的に又は交互に)処理できるように上記相対移動を生じさせるようにマルチヘッド装置700を動作させてもよいことは理解できよう。
一実施形態においては、上記で例示的に述べたように、特定の未処理ワークピース102の寸法に対応するように、あるいは特定の未処理ワークピース102内の領域の寸法に対応するように、これに類似する方法により、あるいはこれらを任意に組み合わせて、マルチヘッド装置700内のスキャンヘッド702の相対位置を調整してもよい。
この節のワークピースハンドリングシステム800に関する特定の実施形態はマルチヘッド装置700に関連して述べられているが、これらの実施形態のうちのいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものを装置100に関して、あるいは装置100以外の任意のレーザ処理装置又はワークピース102を加工するように有利に又は好適に構成される他の装置(例えば、機械的ドリル、水流カッティング装置又は水流ドリル加工装置、電子ビームカッティング機、吹付加工機など)に関して実現可能であることは理解できよう。
VII.スキャニング手法に関する実施形態
本明細書で使用される場合には、「スキャニング手法」という用語は、ワークピース102に対して処理スポットが(例えば、第1のスキャニング範囲、第2のスキャニング範囲、第3のスキャニング範囲など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの内部で)スキャンされる方法、第1のスキャニング範囲が第2のスキャニング範囲内でスキャンされる方法、第1又は第2のスキャニング範囲のいずれかが第3のスキャニング範囲内でスキャンされる方法など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを意味し得る。一般的に、スキャニング手法は、処理スポットがスキャンされるプロセス軌跡、方向(すなわち、処理スポット、第1のスキャニング範囲、第2のスキャニング範囲など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものがスキャンされる方向)、スキャン速度(すなわち、処理スポット、第1のスキャニング範囲、第2のスキャニング範囲など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものがスキャンされる速度)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のパラメータにより特徴付けることができる。
A.Z方向高さ測定、補償などの容易化
この節で述べられる実施形態においては、装置100は、Z方向高さセンサ124のようなZ方向高さセンサを含んでおり、このZ方向高さセンサは、スキャンレンズ112に対して位置的に固定されている。この結果、第2のスキャニング範囲302bとワークピース102との間に相対移動を生じさせたときは常に(すなわち、第2のスキャニング範囲が「スキャンされる」(これは第3のポジショナ110を動作させることにより行われ得る)ときは常に)、検知範囲402も第2のスキャニング範囲302bと一緒に(例えば、同じ方向に同じ速度で)スキャンされる。第2のスキャニング範囲302b(ひいては検知範囲402)は、25mm/秒から200mm/秒の範囲のスキャン速度でスキャンされ得る。一実施形態においては、スキャン速度は、50mm/秒から100mm/秒の範囲にある。処理速度、Z方向高さ測定が可能な速度及び/又は精度、ワーク面102aの表面トポロジの変化などのファクタによっては、スキャン速度は25mm/秒より遅いか、200mm/秒よりも速くなり得る。
上述したように、上記で図4から図6に関して述べたように、第2のスキャニング範囲320bに対して検知範囲402をオフセットすることにより、ワークピース102の処理中に何らかの問題が生じ得る。しかしながら、これらの問題(又は問題の生じやすさ)は、互いに平行又は非平行である複数のストリップ又はセグメント(例えば、真っ直ぐであったり、湾曲していたり、あるいはこれらを組み合わせたものであったりする)を含むスキャンパターンを規定するプロセス軌跡に沿って第2のスキャニング範囲302b(ひいては検知範囲402)をラスタスキャンすることにより改善又は回避することができる。ラスタスキャンは、一方向性スキャニング手法、二方向性ラスタスキャニング手法など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより行うことができる。それぞれの例は以下でより詳細に述べる。ラスタスキャンすることに加えて(あるいはラスタスキャンすることに代えて)ステップアンドリピート手法など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものによりスキャニング範囲302b(ひいては検知範囲402)をベクトルスキャンして配置してもよいことは理解できよう。
本明細書で述べられるラスタスキャニング手法の議論を簡単にするために、ラスタスキャンパターンのセグメントに一致するワークピースのそれぞれの部分は、本明細書においてワークピースの「セグメント」、あるいはより簡単に「ワークピースセグメント」とも呼ばれる。一般的に、それぞれのワークピースセグメントは、(例えば、1以上のフィーチャなどを形成するために)装置100により処理されるワークピースの部分を含んでいる。しかしながら、一実施形態においては、少なくとも1つのワークピースセグメントは、装置100により処理されるワークピースの部分を含んでいない。
任意の2つのワークピースセグメントが互いに重なりあっていてもよく、互いに隣接してもよく、あるいは互いに離間していてもよい。本明細書で使用される場合には、その間に介在するワークピースセグメント(平行又は非平行のいずれか)がない場合には、2つの平行なワークピースセグメントは互いに「隣り合う」と考えられる。このように、2つのワークピースセグメントは、互いに隣接又は離間している場合にも隣り合うことが可能である。平行で離間したワークピースセグメントの複数のペアが存在する実施形態においては、少なくとも2つのペアのワークピースセグメントのワークピースセグメント間の距離が同じであったり、異なったりする場合がある。さらに、任意の隣り合うワークピースセグメントのペア間の距離は、(例えばユーザにより)手動で設定したり、(例えば、コントローラ114で)自動で設定したり、これに類する方法で設定したり、又はこれらを組み合わせてもよい。自動的に設定される場合には、任意の隣り合うワークピースセグメントのペア間の距離は、(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定される)第2のスキャニング範囲302bの長さ(又は幅)により、第2のスキャニンにグ範囲302bに対する検知範囲402の配置により、検知範囲402のサイズ及び/又は形状により、例えばワークピースセグメントのすべてを処理するのに必要な合計時間を表す費用関数の最適化などにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより設定することができる。
本明細書で使用される場合には、レーザパルスをワークピースに照射しつつ(これにより処理スポットを形成しつつ)第2のスキャニング範囲302bがラスタスキャンされる方向は「スキャン方向」と呼ばれる。同様に、スキャン方向は、Z方向高さ測定値を取得しつつ検知範囲402がスキャンされる方向をも意味する。以下に述べる実施形態においては、(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定される)ワークピースセグメントの幅は、(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定される)第2のスキャニング範囲302bの長さ(又は幅)に等しい。しかしながら、他の実施形態においては、ワークピースセグメントの幅は、(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定される)第2のスキャニング範囲302bの長さ(又は幅)よりも小さいか、大きい。また、以下に述べる実施形態においては、同一のワークピースのすべてのワークピースセグメントは、(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定した場合に)同一の幅を有していてもよい。他の実施形態においては、ワークピースセグメントのうち少なくとも2つのワークピースセグメントは、異なる幅を有していてもよい(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定した場合に、少なくとも1つの幅が第2のスキャニング範囲302bの長さ(又は幅)よりも小さいか、等しいか、あるいは大きい)。さらに、いずれかのワークピースセグメントの幅を(例えばユーザにより)手動で設定したり、(例えば、コントローラ114で)自動で設定したり、これに類する方法で設定したり、又はこれらを組み合わせてもよい。自動的に設定される場合には、ワークピースセグメントの幅は、(例えば、スキャン方向に垂直な方向に沿って測定される)第2のスキャニング範囲302bの長さ(又は幅)により、第2のスキャニング範囲302bに対する検知範囲402の配置により、検知範囲402のサイズ及び/又は形状により、例えばワークピースセグメントのすべてを処理するのに必要な合計時間を表す費用関数の最適化などにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより設定することができる。
この節のスキャニング手法、Z方向高さ測定、Z方向高さ補償などに関する特定の実施形態は装置100に関連して述べられているが、これらの実施形態のうちのいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものをマルチヘッド装置700に関して実現可能であることは理解できよう。さらに、この節で述べられている実施形態を、本明細書で述べられたもの以外の好適に装備されたシングルヘッド又はマルチヘッドレーザ処理装置あるいはワークピース102を加工するように有利に又は好適に構成される他の装置(例えば、機械的ドリル、水流カッティング装置又は水流ドリル加工装置、電子ビームカッティング機、吹付加工機など)を用いて実現してもよいことは理解されよう。
i.一方向性スキャニング
一方向性ラスタスキャニング手法によれば、検知範囲402及び第2のスキャニング範囲302bが共通のワークピースセグメントに沿って単一のスキャン方向に逐次的にスキャンされる。また、検知範囲402及び第2のスキャニング範囲302bは隣り合うワークピースセグメントに沿って単一のスキャン方向にスキャンされる。
一方向性ラスタスキャニングを容易にするために、装置100は、第2のスキャニング範囲302bからスキャン方向と同一の方向にオフセットされた検知範囲402を投影するように配置及び構成されるZ方向高さセンサを含んでいてもよい。例えば、図4又は図6を参照すると、スキャン方向が-Y方向である場合には、検知範囲402は、第2のスキャニング範囲302bから-Y方向にオフセットされていてもよい。他の例では、図5又は図6を参照すると、スキャン方向が-X方向である場合には、検知範囲402は、第2のスキャニング範囲302bから-X方向にオフセットされていてもよい。
処理前に、未処理ワークピースのワークピースセグメントの端部又はその近傍に検知範囲402が位置合わせされるようにワークピースと検知範囲402との間の相対位置が最初に設定される。例えば、図11に示されるように、(図4に関して述べられたように第2のスキャニング範囲からオフセットされた)検知範囲402は、処理される現在のワークピースセグメント1102の端部に位置合わせされる。同様に、図15に示されるように、(図5に関して述べられたように第2のスキャニング範囲からオフセットされた)検知範囲402は、処理される現在のワークピースセグメント1502の端部に位置合わせされる。
検知範囲402が現在のワークピースセグメントに位置合わせされた後、第2のスキャニング範囲302b及び検知範囲402がスキャニング方向に(例えば、図12及び図16にそれぞれ示されるように-Y方向又は-X方向に)セグメントに沿って一緒にスキャンされる。したがって、第2のスキャニング範囲302bに先だって、検知範囲402が、処理される現在のワークピースセグメントに沿ってスキャンされる。検知範囲402のスキャン中に、様々な検知位置におけるZ方向高さ測定値が取得され、必要に応じて保存される(そしてさらに必要に応じて上述したように処理される)。
第2のスキャニング範囲302bのスキャン中に、レーザパルスが、処理される現在のワークピースセグメントの部分に照射されてもよい。特定の検知位置におけるワーク面Z方向高さ(例えば、先に検出され又は処理され保存されたもの)が所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部にあると判断された場合には、処理位置が特定の検知位置と同一である(あるいは検知位置から特定の距離内にある)ときに(例えば、上述したように)Z方向高さ補償を行うことができる。
現在のワークピースセグメントの処理後(例えば、図13又は図17に示されるように第2のスキャニング範囲302bが現在のワークピースセグメントの端部又はその近傍にあるときに)、検知範囲402が次の未処理ワークピースセグメント(例えば、図14及び図18にそれぞれ示されるようなセグメント1104又はセグメント1504)の端部又はその近傍に位置合わせされるように、ワークピースと検知範囲402との間の相対位置がインデックスされ、上述したプロセスを繰り返してもよい。
ii.二方向性スキャニング
二方向性ラスタスキャニング手法によれば、検知範囲402及び第2のスキャニング範囲302bが共通するワークピースセグメントに沿って反対のスキャン方向に逐次的にスキャンされる。また、検知範囲402及び第2のスキャニング範囲302bのそれぞれは、隣り合うワークピースセグメントに沿って反対のスキャン方向にスキャンされる。
二方向性ラスタスキャニングを容易にするために、装置100は、第2のスキャニング範囲302bからスキャン方向とは異なる方向にオフセットされた検知範囲402を投影するように配置及び構成されるZ方向高さセンサを含んでいてもよい。例えば、図4及び図6を参照すると、スキャン方向が+X方向又は-X方向である場合には、検知範囲402は、第2のスキャニング範囲302bから+Y方向又は-Y方向にオフセットされていてもよい。他の例では、図5又は図6を参照すると、スキャン方向が+Y方向又は-Y方向である場合には、検知範囲402は、第2のスキャニング範囲302bから+X方向又は-X方向にオフセットされていてもよい。
処理前に、未処理ワークピースセグメントの端部又はその近傍に検知範囲402が位置合わせされるようにワークピースと検知範囲402との間の相対位置が最初に設定される。例えば、図19に示されるように、(図5に関して述べられたように第2のスキャニング範囲からオフセットされた)検知範囲402は、上述したワークピースセグメント1100a1の端部に位置合わせされる。同様に、図22に示されるように、(図4に関して述べられたように第2のスキャニング範囲からオフセットされた)検知範囲402は、上述したワークピースセグメント1502の端部に位置合わせされる。
検知範囲402が未処理ワークピースセグメントに位置合わせされた後に、検知範囲402が第1のスキャニング方向に(例えば、それぞれ図20又は図23の矢印により示されるような-Y方向又は-X方向に)未処理ワークピースセグメント(例えば、それぞれ図21及び図24に示されるようにセグメント1100a1又はセグメント1502)に沿ってスキャンされるように、第2のスキャニング範囲302b及び検知範囲402が一緒にスキャンされる。第1のスキャニング方向における検知範囲402のスキャン中に、ワークピースセグメントに沿った様々な検知位置におけるZ方向高さ測定値が取得され、必要に応じて保存される(そしてさらに必要に応じて上述したように処理される)。
Z方向高さセンサ124を用いて未処理ワークピースセグメントを測定した後に(例えば、検知範囲402は、図20又は図23に示されるような未処理ワークピースセグメント1100a1又は1502の端部又はその近傍にあるとき)、検知範囲402が他の未処理ワークピースセグメント(例えば、それぞれ図21及び図24に示されるようなセグメント1104又はセグメント1504)の端部又はその近傍に位置合わせされるように、ワークピースと検知範囲402との間の相対位置がインデックスされる。本明細書で述べられた実施形態においては、Z方向高さセンサ124はスキャンレンズ112に対して位置的に固定されているので、第2のスキャニング範囲302bは、Z方向高さセンサ124により先に測定されたワークピースセグメント(例えば、それぞれ図21及び図24に示されるような先に測定された1100a1又はセグメント1502)の端部又はその近傍にも位置合わせされることになる。
上述したように検知範囲402及び第2のスキャニング範囲302bをインデックスした後に、第1のスキャニング方向とは反対の第2のスキャニング方向に(例えば、それぞれ図21又は図24の矢印により示されるような+Y方向又は+X方向に)第2のスキャニング範囲302b及び検知範囲402が一緒にスキャンされる。その結果、第2のスキャニング範囲302bが、先に測定されたワークピースセグメントに沿って(すなわち、それぞれ図21及び図24に示されるようなセグメント1100a1又はセグメント1502に沿って)スキャンされつつ、検知範囲402が、他の未処理ワークピースセグメントに沿って(例えば、それぞれ図21及び図24に示されるようなセグメント1104又はセグメント1504に沿って)スキャンされる。
第2のスキャニング方向における検知範囲402のスキャン中に、様々な検知位置におけるZ方向高さ測定値が取得され、必要に応じて保存される(そしてさらに必要に応じて上述したように処理される)。第2のスキャニング方向における第2のスキャニング範囲302bのスキャン中に、先に測定されたワークピースセグメント(すなわち、それぞれ図21及び図24に示されるようなセグメントセグメント1100a1又はセグメント1502)の部分にレーザパルスを照射してもよい。特定の検知位置での(例えば、測定された又は処理された)ワーク面Z方向高さが所定の公称Z方向高さプロセスウィンドウの外部にあると判断された場合には、処理位置が特定の検知位置と同一である(あるいは検知位置から特定の距離内にある)ときに(例えば、上述したように)Z方向高さ補償を行うことができる。
先に測定されたワークピースセグメント(例えば、ワークピースセグメント1100a1又は1502)が処理され、他の(例えば未処理の)ワークピースセグメント(例えば、ワークピースセグメント1104又は1504)が測定された後に、未測定の他のワークピースセグメント(図示せず)の端部又はその近傍に検知範囲402を位置合わせし、先に測定されたワークピースセグメント(例えば、セグメント1104又はセグメント1504)の端部又はその近傍に第2のスキャニング範囲302bを位置合わせするように再びインデックスが行われてもよい。位置合わせ後に、検知範囲402及び第2のスキャニング範囲302bが第1のスキャニング方向に一緒にスキャンされ、上述した測定、処理、Z方向高さ補償などを伴うプロセスを繰り返してもよい。
B.フィーチャ形成の容易化
上述したように、第1のポジショナ106は、50kHzから10MHzの範囲の第1の位置決め帯域幅を有しており、このため、第1のスキャニング範囲内で処理スポットを高速にスキャンしてワークピース102に1以上のフィーチャ(例えば、1以上の開口、ビア、トレンチ、スロット、スクライブライン、凹部など)を形成するために使用することができる。上記でも述べたように、ワークピース102に形成されるフィーチャの最大寸法(例えば、XY平面で測定される)は、(例えば、X方向又はY方向における)第1のスキャニング範囲の最大寸法以下であり得る。しかしながら、他の実施形態においては、フィーチャの最大寸法が第1のスキャニング範囲の最大寸法よりも大きくてもよい。
一般的に、第2のポジショナ108がX方向に沿って(例えば、+X方向又は-X方向に)第1のスキャニング範囲をスキャンしつつ、あるいは、第2のポジショナ108がY方向に沿って(例えば、+Y方向又-Y方向に)第1のスキャニング範囲をスキャンしつつ、あるいは、第3のポジショナ110がX方向に沿って(例えば、+X方向又は-X方向に)第1の及び/又は第2のスキャニング範囲をスキャンしつつ、あるいは、第3のポジショナ110がY方向に沿って(例えば、+Y方向又-Y方向に)第1の及び/又は第2のスキャニング範囲をスキャンしつつ、あるいは、これらを任意に組み合わせつつ、X方向に沿って(例えば、+X方向又は-X方向に)及び/又はY方向に沿って(例えば、+Y方向又は-Y方向に)処理スポットをスキャンするために第1のポジショナ106を動作させることができる。しかしながら、第2のポジショナ108が第1のスキャニング範囲をスキャンしていないとき、あるいは、第3のポジショナ110が第1のスキャニング範囲又は第2のスキャニング範囲をスキャンしていないとき、あるいは、これらを任意に組み合わせた状態のときに、X方向に沿って(例えば、+X方向又は-X方向に)及び/又はY方向に沿って(例えば、+Y方向又は-Y方向に)処理スポットをスキャンするために第1のポジショナ106を動作させることができることを理解すべきである。また、任意の時点で第1のポジショナ106により処理スポットがスキャンされる方向は、第2のポジショナ108により第1のスキャニング範囲が第2のスキャニング範囲内でスキャンされる方向、あるいは、第3のポジショナ110により第1のスキャニング範囲が第3のスキャニング範囲内でスキャンされる方向、あるいは、これらを任意に組み合わせたものと同じであっても、異なっていてもよいことは理解すべきである。
ある実施形態においては、ワークピース102は、PCBパネル、PCB、FPC、IC、ICP、半導体デバイスなどとして提供される。このため、ワークピース102は、導電体構造(例えば、銅、銅合金から形成され得る膜、箔など、銅、チタン、窒化チタン、タンタルなどの1以上の金属を含む配線又は導電線構造など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)、誘電体構造(例えば、ビルドアップフィルム、ガラス繊維強化エポキシ積層体、層間誘電材料、low-k誘電材料、ソルダレジストなど)あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の構成要素構造を含み得る。PCBパネル又はPCBとして提供される場合には、ワークピース102は、その第1の側で第1の導電体(例えば、(例えば、化学反応により、あるいはレーザ暗化プロセスなどにより)暗化された露出面又は暗化されていない露出面を有し得る銅箔又は銅合金箔)に固着され、必要に応じて、その第1の側とは反対の第2の側で第2の導電体(例えば、銅又は銅合金から構成されるパッド、トレース、箔など)に固着される誘電体構造(例えば、ガラス繊維強化エポキシ積層体)を含み得る。材料のアブレーションにより(例えば、カッティングプロセス、ドリル加工プロセス、エングレービングプロセス、ルーティングプロセスなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの間に)材料を除去することによって、1以上のフィーチャ(例えば、1以上の開口、スロット、溝、非貫通ビア、貫通ビア、スロットビアなど)がワークピース102の1以上の構成要素内又は1以上の構成要素上に形成され得る。本明細書で使用される場合には、「フィーチャ領域」という用語は、フィーチャを形成するように処理されるワークピース102の領域を意味する。
一般的に、明確に述べられている場合を除いて、「アブレーション」という用語は、「直接アブレーション」、「間接アブレーション」、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを意味し得る。ワークピース102内の材料の直接アブレーションは、アブレーションの主たる原因が、照射されたレーザエネルギービーム内のエネルギーの材料による吸収(例えば、線形吸収、非線形吸収、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)による材料の分解である場合に生じる。ワークピース102内の材料の間接アブレーション(「リフトオフ」としても知られる)は、アブレーションの主たる原因が、照射されたレーザエネルギービーム内のエネルギーを吸収する隣接する材料内で生じ、そこから伝達される熱による溶融と蒸発である場合に生じる。
一実施形態においては、フィーチャは、ワークピース102の1以上の構成要素(例えば、1以上の導電体構造、1以上の誘電体構造など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を完全に貫通する、あるいは部分的に貫通するように形成されていてもよい。一実施形態においては、導電体構造又は誘電体構造は5μmから500μmの範囲の厚さを有し得る。しかしながら、導電体構造又は誘電体構造が、5μmよりも小さい厚さ又は500μmよりも大きな厚さを有していてもよいことは理解できよう。このように、導電体構造又は誘電体構造の厚さは、1μm、3μm、5μm、10μm、15μm、18μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、70μm、80μm、100μm、110μm、120μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、550μm、600μmなどよりも大きいか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。同様に、この厚さは、550μm、450μm、400μm、350μm、300μm、250μm、120μm、110μm、100μm、80μm、70μm、50μm、40μm、35μm、25μm、20μm、18μm、15μm、10μm、5μm、3μm、1μm、0.5μm、0.1μmなどよりも小さいか、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。
一般的に、フィーチャの上部は、5μmから300μmの範囲の直径(すなわち、「上部径」)を有していてもよい。しかしながら、上部径は、5μmより小さくても、300μmよりも大きくてもよいことは理解できよう。このように、上部径は、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、80μm、100μm、120μm、150μm、200μm、250μm、150μm、200μm、250μm、300μm、320μmなどよりも大きいか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。同様に、上部径は、350μm、300μm、250μm、200μm、150μm、120μm、100μm、80μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μmなどよりも小さいか、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。
一般的に、フィーチャの底部は、上部径以下の直径(すなわち、「底部径」)を有していてもよい。上部径と底部径との間の相違は、本明細書においては、フィーチャの「テーパ」又は単に「フィーチャテーパ」と呼ばれる。フィーチャテーパは、ワークピース102内でのフィーチャの側壁の傾斜を示すものである。(例えば、ワークピース102の比較的小さな領域内に数多くのフィーチャを形成することを容易にするために)比較的小さいテーパを有するフィーチャを形成することが望まれることが多い。フィーチャがビアである場合、比較的小さなテーパにより確実なめっき又は充填が容易になる。テーパに影響を与える1つのファクタは、形成されるフィーチャの深さである。比較的深さの浅いフィーチャは、ゼロテーパを有するか、あるいは比較的深さの深いフィーチャよりも小さなテーパを有する傾向にある。この例では、ワークピース102に形成されるフィーチャのテーパは、20μm以下であり得る。例えば、テーパは、18μm、15μm、12μm、10μm、9μm、8μm、7.5μm、7μm、6μm、5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、0.5μmなどよりも小さいか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。
一般的に、フィーチャの深さは、フィーチャの上部及び底部を貫通する軸(本明細書においては「フィーチャ軸」とも呼ばれる)に沿って測定される。一実施形態においては、フィーチャの深さは、フィーチャが形成される1以上の構造の厚さに対応する(この場合、フィーチャは1以上の構造を完全に貫通する)。他の実施形態においては、フィーチャの深さは、フィーチャが形成される構造の厚さに対応していない(この場合、フィーチャは構造を部分的にのみ貫通する)。このように、フィーチャは、5μmから250μmの範囲の(あるいは5μmよりも小さいか、あるいは250μmよりも大きい)深さを有し得る。例えば、フィーチャは、1μm、3μm、5μm、10μm、15μm、18μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、70μm、80μm、100μm、110μm、120μm、250μm、300μmなどよりも大きいか等しい深さ、あるいはこれらの値のいずれかの間の深さを有し得る。同様に、この深さは、300μm、250μm、120μm、110μm、100μm、80μm、70μm、50μm、40μm、35μm、25μm、20μm、18μm、15μm、10μm、5μm、3μm、1μm、0.5μm、0.1μmなどよりも小さいか、あるいはこれらの値のいずれかの間であり得る。
一般的に、(例えば、第1のスキャニング範囲内で1以上の対応するスキャンパターンにより処理スポットをスキャンするように第1のポジショナ106を制御することにより)1以上のスキャンパターンを規定するプロセス軌跡に沿って処理スポットをスキャンすることによりフィーチャの形成を行うことができる。形成されるフィーチャの所望の深さ、フィーチャ形成中に除去される材料、フィーチャ形成中に照射されるレーザパルスビームの1以上のパラメータなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のファクタによっては、1回だけ、あるいは複数回スキャンパターン(「フィーチャ形成」スキャンパターンとも呼ばれる)に沿って処理スポットをスキャンすることによりフィーチャが形成され得る。スキャンパターンに沿って処理スポットが複数回スキャンされる場合には、同一のスキャンパターンに沿って処理スポットを繰り返しスキャンすることができる(すなわち、同一のスキャンパターンを繰り返し用いることができる)。他の実施形態においては、フィーチャ形成中に少なくとも2つの異なるスキャンパターンを使用することができる。同一のスキャンパターンが繰り返し使用される場合には、続いて使用されるスキャンパターンは、先に使用されたスキャンパターンの方向と同じ方向(例えば、フィーチャ軸に対して測定される)を有していてもよく、あるいは先に使用されたスキャンパターンの方向と異なる方向を有していてもよい。
この節のスキャニング手法に関する特定の実施形態は装置100に関連して述べられているが、これらの実施形態のうちのいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものをマルチヘッド装置700に関して実現可能であることは理解できよう。この節で述べられた実施形態は、本明細書で述べたもの以外の任意の好適に装備されたシングルヘッド又はマルチヘッドレーザ処理装置、あるいはワークピース102を加工するように有利に又は好適に構成される任意の他の好適な装置(例えば、機械的ドリル、水流カッティング装置又は水流ドリル加工装置、電子ビームカッティング機、吹付加工機など)に関して実現可能であることはさらに理解できよう。
i.スキャンパターンの実施形態の例
ビアや他の孔、開口、凹部、トレンチなどのフィーチャを形成するためのスキャンパターンの例としては、それぞれ図25、図26、図27及び図28に示されるようなスキャンパターン2500、2600、2700及び2800など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。一般的に、スキャンパターンは、(例えば図25に示されるような)ラスタパターン、(例えば図26に示されるような)星型多角形又は星形状多角形、(例えば同心状に配置されるか、あるいは図27に示されるような)螺旋又は1組の円弧又は複数の円、(例えば図28に示されるような)1つの円、1組の円又は1以上の形状(例えば、楕円、三角形、正方形、矩形、又は他の規則形状又は不規則形状など)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに似ているか、あるいはそのようなものを描くものであってもよい。一実施形態においては、1以上のスキャンパターン(例えば、1以上のスキャンパターン2500、2600、2700又は2800あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)は、円形開口、ビアなどのフィーチャの形成中に、1以上の導電体構造、1以上の誘電体構造など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものから(例えば、直接アブレーション、間接アブレーション、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)材料を除去するために使用することができる。
図25から図28において、点線2502は、ワークピース102の導電体構造や誘電体構造に形成されるフィーチャ(例えば、この例では円形開口又はビア)のためのワーク面102aでの所望の境界を表している。この例の説明のために、フィーチャがワークピース102に形成されると、フィーチャは、ワーク面102に形成された「上部」を含み、(例えば、ワークピース102内で終端するか、あるいはワークピース102を完全に貫通するように)軸に沿ってワークピース102内に延びるものとして特徴付けることができる。このようにワークピース102内で終端する又はワークピース102の他方の面に存在するフィーチャの部分は、本明細書においてフィーチャの「底部」と呼ばれることがある。
図25から図28は、形成されるフィーチャの境界2502(本明細書において「フィーチャ境界」とも呼ばれる)が円形であるものとして図示しているが、この境界は任意の好適な又は望ましい形状(例えば、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、不規則形状など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を有していてもよいことは理解できよう。本明細書で述べる実施形態においては、フィーチャの上部及び底部での境界2502の形状は、同一であるか、類似している(例えば、円形)。他の実施形態(例えば、直接アブレーションにより材料の除去が生じ、材料の処理中に複数のスキャンパターンがスキャンされる実施形態)においては、フィーチャの上部での境界2502は、フィーチャの底部での境界2502の形状と異なる場合がある。例えば、フィーチャの上部は円形の境界2502を有していてもよく、フィーチャの上部は楕円、矩形などの境界2502を有していてもよい。
スキャンパターン内の処理スポット用の位置(それぞれは総称して「スポット位置」と呼ばれるか、包括的に複数の「スポット位置」と呼ばれる)の中心は、菱形2504で示されている。スキャンパターン2500、2600、2700及び2800は、図示されたスポット位置2504の特定の配置を有するものとして図示されているが、いずれのスキャンパターンも、任意の好適な又は望ましい配置でこれよりも多くのスポット位置又はこれよりも少ないスポット位置を含んでいてもよいことは理解できよう。スキャンパターン内の、あるいは共通のスキャンラインに沿って配置されるスポット位置2504の配置(すなわち、スポット位置の数、スポット位置の場所、隣接するスポット位置のピッチなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより特徴付けることができる)は、スポット位置又はその近傍の材料の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量、吸光率など、フィーチャの形成中のスポット位置又はその近傍の材料の粘性、(照射されるレーザエネルギービームに対する)スポット位置又はその近傍の材料の吸光率、スポット位置近傍の導電体又は誘電体構造の有無、スポット位置近傍の導電体又は誘電体構造の幾何的配置構成、スポットサイズ、空間強度プロファイルの種類及び形状、パルス持続時間、フルエンス、パルス繰り返し率、スキャン速度、形成されるフィーチャのサイズ及び形状など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどのファクタによって変化し得る。一般的に、特定のスキャンパターンのあるスキャンラインに沿って共通して配置されるスポット位置の配置は、その特定のスキャンパターンの他のスキャンラインに沿って共通して配置されるスポット位置の配置と同じであっても、異なっていてもよい。
スポット位置2504のうち、スポット位置2504aは、レーザパルスが照射されるスキャンパターン内の最初のスポット位置を表しており、スポット位置2504bは、レーザパルスが照射されるスキャンパターン内の最後のスポットを表している。したがって、スポット位置2504を接続している実線は、(例えば、照射される1以上のレーザパルスにより)スポット位置2504が処理されるシーケンスを示している。しかしながら、1つのスキャンパターン内のスポット位置2504は、他の所望のシーケンスにおいて処理されていてもよく(これにより実線の構成が変わってもよい)、ランダムに処理されていてもよいことを理解すべきである。処理中の任意の時点では、あるスキャンパターン内のスポット位置2540は、先に処理されたスポット位置(すなわち、レーザパルスが照射されたスポット位置)、現在処理されているスポット位置(すなわち、レーザパルスが照射されているスポット位置)、及びこれから処理されるスポット位置(すなわち、レーザパルスが照射されることとなるスポット位置)として特徴付けることができる。
一実施形態においては、スポット位置2504の配置とスポット位置2504が処理されるシーケンスは、必要に応じて、フィーチャ形成中にワークピース102内での好ましくない熱の蓄積(例えば、これにより好ましくないクラッキング、溶融、蒸発、アブレーション、結晶化、アニーリング、炭化、酸化などが生じ得る)を減少し、あるいは避けるように選択される。他の実施形態においては、(以下により詳細に述べるように)スポット位置2504の配置とスポット位置2504が処理されるシーケンスは、必要に応じて、最終的に形成されるフィーチャのテーパに影響を与える(例えば減少させる)ように選択される。他の実施形態においては、スポット位置2504の配置とスポット位置2504が処理されるシーケンスは、必要に応じて、ワークピース102上又はワークピース102内における1以上のフィーチャの効率的な形成を促すようにワークピース102の加熱を促進するように選択される。
パルス繰り返し率、第1の位置決め帯域幅、スキャンされるスキャンパターンなどの1以上のファクタによっては、少なくとも2つの時間的に連続するレーザパルス(例えば、2個のレーザパルス、3個のレーザパルス、5個のレーザパルス、8個のレーザパルス、10個のレーザパルス、20個のレーザパルスなど)を同一のスポット位置2504に、あるいは異なるスポット位置2504に照射してもよい。この場合において、パルス繰り返し率は、一般的に、第1の位置決め帯域幅よりも大きいものとして特徴付けることができる。しかしながら、他の実施形態においては、パルス繰り返し率が第1の位置決め帯域幅以下であってもよい。時間的に連続するレーザパルスが同一のスポット位置2504に照射される(あるいは共通のスポット位置2504の局所的近傍に照射される)期間は、本明細書では、スポット位置2504に関連付けられた「滞留時間」と呼ばれる。説明のために、レーザパルスがスポット位置2504の1μmの範囲内に照射された場合には、そのレーザパルスはスポット位置2504の局所的近傍に照射されたものと考えることができる。一実施形態においては、レーザパルスがスポット位置2504の10.0μm、8.0μm、7.0μm、6.0μm、5.0μm、4.0μm、3.5μm、3.0μm、2.5μm、2.0μm、1.5μm、1.0μm、0.9μm、0.8μm、0.75μm、0.7μm、0.65μm、0.6μm、0.5μm、0.4μm、0.3μm、0.25μm、0.2μm、0.15μm、0.1μm、0.08μm、0.05μm、0.01μmの範囲内、あるいはスポット位置2504の0.01μmよりも小さい範囲内に照射された場合には、そのレーザパルスはスポット位置2504の局所的近傍に照射されたものと考えることができる。
図示された実施形態においては、スキャンパターンは、1列以上の逐次的に処理されるスポット位置2504を含むものとして特徴付けることができる。そのようなそれぞれの列のスポット位置2504は、一般的に、共通のスキャンラインに沿って配置されるものとして特徴付けることができる。一般的に、共通のスキャンライン上に配置される逐次的に処理されるスポット位置は、異なるスキャンライン上に配置される逐次的に処理されるスポット位置よりも互いに近い位置にある。スキャンラインは、(例えば図25又は図26に示されるように)真っ直ぐであってもよく、(例えば図27又は図28に示されるように)湾曲していてもよく、あるはこれに類似するものであってもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。例えば、図25に示されるスキャンパターン2500は、複数の真っ直ぐで平行なスキャンラインを含んでおり、図26に示されるスキャンパターン2600は、互いに斜めになった複数の真っ直ぐなスキャンラインを含んでいる。スキャンパターン2600におけるスキャンラインは、フィーチャ境界2502の中心から(あるいは、フィーチャ境界2502の中心を取り囲む中心領域から)フィーチャ境界2502に向かって放射状に(又は略放射状に)延びる軸に沿って延びている。図27に示されるスキャンパターン2700は、複数の同心状に配置された円弧状スキャンラインを含んでいる(半径方向の最も外側のスキャンラインは所望のフィーチャ境界2502に沿って延びている)。図28に示されるスキャンパターン2800は、(例えば、所望のフィーチャ境界2502に沿って延びる)単一の円弧状のスキャンラインを含んでいる。
少なくとも1つのレーザパルスは、それぞれのスポット位置2504に照射される。一実施形態においては、複数のレーザパルスが1以上のスポット位置2504に照射される(あるいは、共通のスポット位置2504の局所的近傍に照射される)。一般的に、同じ数のレーザパルスがスキャンパターンの少なくとも2つのスポット位置2504に照射されるか、あるいは、異なる数のレーザパルスがスキャンパターンの少なくとも2つのスポット位置2504に照射され得る。
一般的に、隣接スポット位置2504間のピッチは、スポット位置2504の局所的近傍に含まれる距離よりも大きいと考えられる。一実施形態においては、スキャンパターン内の隣接スポット位置間のピッチは0.1μmから50μmの範囲にあり得る。同様に、共通のスキャンラインに沿って配置される隣接スポット位置2504間のピッチは、0.1μmから50μmの範囲にあり得る。このように、(概してスキャンパターン内にあるか、共通のスキャンラインに沿って配置される)隣接スポット位置2504間のピッチは、0.1μm、0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、3.5μm、4.5μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、55μm、60μm、80μmなどよりも大きいか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよく、あるいは、50μm、40μm、30μm、20μm、15μm、10μm、5μm、4.5μm、3.5μm、3μm、2μm、1.5μm、1μm、0.5μm、0.4μm、0.3μm、0.2μm、0.1μm、0.08μm、0.05μm、0.01μmなどよりも小さくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。本明細書における説明のために、スポット位置の間のピッチは、2つの隣接するスポット位置の中心間の距離として測定される。2つのスポット位置の間に介在するスポット位置が存在しなければ、それら2つのスポット位置は互いに隣接していると考えられる。
(概してスキャンパターン内にあるか、共通のスキャンラインに沿って配置される)隣接スポット位置2504のペアの間のピッチは、一定であるか、可変であるか、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであり得る。一実施形態においては、共通のスキャンラインに沿って配置される隣接スポット位置の間のピッチは、あるレーザパルスが照射されるスポット位置からレーザパルスが続いて照射される他のスポット位置に延びる方向に大きくなったり小さくなったりすることができる。このため、共通のスキャンラインに沿って配置される隣接スポット位置2504のペアの間のピッチは、スキャンラインに沿って移動する間、一定であってもよく、大きくなってもよく、あるいは小さくなってもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせてもよい。一般的に、その隣接スポット位置2504のペアに照射されるレーザパルスが当たるスポット領域が互いに重なるように、あるいは互いに重ならないように、照射されるレーザパルスのスポットサイズ及び隣接スポット位置2504のペアの間のピッチを選択あるいは設定することができる。
一実施形態においては、スキャンパターン内のスキャンラインの配置(すなわち、スキャンラインの数、スキャンラインの他のスキャンラインに対する方向、境界2502に対するスキャンラインの方向、スキャンラインの長さ、隣接スキャンライン間のピッチなどにより特徴付けることができる)は、図25から図28に示される配置に限定されず、スポット位置2504の配置に関して上記で述べたような1以上のファクタに応じて変化し得る。このように、スキャンパターンは、奇数個のスキャンライン又は偶数個のスキャンラインを有し得る。一実施形態においては、あるスキャンパターン内のスキャンラインの数は1から64の範囲になり得る。例えば、あるスキャンパターン内のスキャンラインの数は、2個、4個、8個、16個、32個、50個、60個などより多いか等しいか、あるいは64個、32個、16個、8個、4個、2個よりも少なくてもよい。また、スキャンパターンは、64個のスキャンラインよりも多くのスキャンラインを有していてもよいことは理解すべきである。あるスキャンパターン内において、スキャンラインの少なくとも一部は、対称的に(あるいは少なくとも実質的に対照的に)配置されていてもよく、あるいは非対称的に配置されていてもよい。対称配置の例としては、回転対称配置(すなわち、nを2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、50などの1よりも大きな整数としてn回回転対称)や反射対称配置などが挙げられる。
ii.異方性材料除去に関する考察
a.理論
実験とマルチフィジックスモデリングにより、本発明者等は、(例えば、図29に示されるように+X方向に延びる)スキャンラインに沿ってスキャンされた(ワーク面102aでのビーム軸の入射角の変化は最小又は変化がない)ビーム軸に沿ってレーザパルスを照射し、そのようなレーザパルスを照射してワークピース102(例えば、ABF、ソルダレジスト、ガラス繊維強化エポキシ積層体などの誘電体構造)を直接アブレートして図29、図29A及び図29Bに模式的に示されるトレンチ2900のような複数のトレンチを形成した。図29においてスキャンされるレーザパルスビームが沿うスキャンラインは、複数のスポット位置(すなわち、nが2、3、4、5などとして「n」個のスポット位置)を含んでおり、第1のスポット位置に照射される1以上のレーザパルスが当たるスポット領域は2906aで示されており、第2のスポット位置に照射される1以上のレーザパルスが当たるスポット領域は2906bで示されるといったように、最終スポット位置(本明細書においては「終端スポット位置」とも呼ばれる)に照射される1以上のレーザパルスが当たるスポット領域は2906nで示される。実験中、数十μmから数ミリメートルの範囲の長さを有するトレンチを形成した。図29A及び図29Bは、図29に示されるトレンチの断面図であり、それぞれ図29のXXIXA-XXIXA線及びXXIXB-XXIXB'線断面図である。本明細書において用いられる場合には、これらのスポット位置が沿って配置されるスキャンラインは、「異方的材料除去スキャンライン」と呼ばれる。上述したように形成された場合には、トレンチ2900の終端2902は、レーザパルスが、十分に高いパルス繰り返し率で照射され、ワークピース102を直接アブレートするのに十分なスポットサイズ、平均パワーなどの他のパラメータにより特徴付けられるときには、トレンチ2900(図29B参照)の開始端2904よりも小さなテーパを有することを発見した。このように、上述したトレンチ形成プロセスは異方的材料除去特性を呈するようである。特定の理論に拘束されることを必ずしも望まないが、シミュレーションは、この異方的材料除去現象は、2つのファクタのうち少なくとも1つに(少なくとも部分的に)起因していることを示しているようである。
上述したファクタのうちの1つは、レーザパルスにより照射される前のワークピース102の領域の温度に関係している。最初、スキャンラインに沿った第1のスポット位置にレーザパルスが照射され、その結果、第1のスポット位置での材料除去メカニズムが比較的非効率であると、ワークピース102は比較的冷たい。この結果、数多くのレーザパルスが照射された後、第1のスポット位置でワークピース102に形成され、その結果の側壁のテーパは比較的大きい。しかしながら、いくつかのレーザパルスが照射された後、ワークピース102内の熱拡散の結果として、ワークピース102内の照射されたスポット位置の周囲に熱が蓄積し始める。このように、スキャンライン上の最終スポット位置が1以上のレーザパルスで照射されるときまでに、最終スポット位置に著しい量の熱が蓄積する。この熱エネルギーは、材料をワークピース102から除去する効率を増加させると考えられる。この結果、数多くのレーザパルスがスキャンラインに沿って照射された後、スキャンライン上の最終スポット位置でワークピース102に形成され、その結果の側壁のテーパは比較的小さい。
上記ファクタのうち他のものは、材料がワークピース102から直接アブレートされる際に処理スポットで生成される蒸気プルームに関連付けられた温度及び圧力に関係している。レーザパルスビームがスキャンラインに沿ってスキャンされると、蒸気プルーム内の高温及び高圧力は、照射された処理スポットの周囲のワークピース内の材料を蒸発させ、溶融させ、あるいは浸食するように作用し得る。照射された処理スポットの周囲の材料に既に(例えば、先に照射された1以上のレーザパルスにより生成された)熱が蓄積している場合には、この浸食はより激しいものとなると考えられる。この結果生じた蒸気プルームにより生じた高圧力は、浸食された材料の流体力学的運動を誘引し、照射された処理スポット内及びその周辺の領域からこの浸食された材料を移動させ、これにより、ワークピース102内に比較的小さなテーパを有する側壁を生成する。さらに、レーザパルスが、スキャンラインに沿ってその後に照射される他の1以上のスポット位置に照射される際に、トレンチ内に位置する浸食された材料が、先に照射されたスポット位置に向けて移流又は移送され、先に照射されたスポット位置でワークピース102に形成された側壁のテーパをおそらく増加させる。図29Bにおいて、比較的小さいテーパを有する側壁2902は、トレンチ2900の底面に対して)角度Φ2よりも小さな角度Φ3で傾斜するものとして特徴付けることができる。(比較的大きなテーパを有する)側壁2904は、トレンチ2900の底面に対して角度Φ2で傾斜するものとして特徴付けることができる。(例えば、図29Aにおいて断面で示されている)トレンチ2900の中間側壁のテーパは、テーパ測定が開始端から終端まで移動する位置によってトレンチ2900の開始端から終端まで変化し得る。このように、角度Φ1は角度Φ2以下であり得る。ある実施形態においては、角度Φ1が角度Φ2よりも大きくてもよい。
b.側壁テーパ
上述したトレンチ形成プロセスに関連付けられた異方性材料除去特性は、フィーチャ(例えば、上述した開口又はビア)又はトレンチ、スクライブライン、凹部領域などの側壁テーパに影響を与える(例えば小さくする)ように選択されるように適合され得る。例えば、上述したように処理スポットを1以上のスキャンパターンに沿ってスキャンすることによりフィーチャ形成を行ってもよい。しかしながら、本実施形態においては、スキャンパターンは、1以上の異方性材料除去スキャンラインを含んでいる。その結果、与えられたスポットサイズに対して、形成されるフィーチャの深さ、形成されるフィーチャの構造などの1以上のファクタに応じて、1以上の異方性材料除去スキャンラインを有するスキャンパターンに従って処理スポットを(例えば、スキャンパターン2600に関して述べられたように)スキャンすることにより形成されるフィーチャ(例えば、ビア、トレンチ、スクライブライン、凹部領域など)の側壁テーパを、単に所望のフィーチャ境界に沿って延びるスキャンラインに沿って(例えば、スキャンパターン2700及び2800に関して述べられたように)単にレーザパルスビームをスキャンすることにより形成されるフィーチャの側壁テーパに対して小さくすることができる。
逆に、形成されるフィーチャの深さ、形成されるフィーチャの構造などの1以上のファクタに応じて、比較的小さなスポットサイズを有するレーザパルスビームを所望のフィーチャ境界に沿って延びるスキャンラインに沿って(例えば、スキャンパターン2700及び2800に関して述べられたように)スキャンすることにより得られる同一の側壁テーパは、比較的大きなスポットサイズを有するレーザパルスビームを1以上の異方性材料除去スキャンラインを有するスキャンパターンに従ってスキャンすることによって得ることができる。可能である場合には、a)比較的小さなスポットサイズよりも比較的大きなスポットサイズを形成しやすい場合、b)比較的大きなスポットが、(例えば比較的大きなレイリー範囲により)Z方向高さプロセスウィンドウの外部へのワーク面Z方向高さの変化又は変位に対してより寛容である場合、及びc)(与えられた更新速度及び位置決め帯域幅に対するAOD偏向は、ワークピース102に照射されるレーザパルスのスポットサイズに比例するので)スポットサイズを比較的大きくすることによりAODシステムのようなポジショナの偏向範囲を大きくできる場合には、比較的大きなスポットサイズを用いてフィーチャを形成することが望ましいことがある。
本明細書で使用される場合には、異方性材料除去スキャンラインは、スキャニング平面内で測定した場合に60°から120°の範囲の角度で所望のフィーチャ境界と交差する軸を有するスキャンライン(すなわち、図29に示される実施形態においてはXY平面であるスキャニング平面で延びるスキャンライン)である。異方性材料除去スキャンラインの軸が所望のフィーチャ境界と交差する角度は、スポットサイズ、空間強度プロファイルの種類及び形状、照射されるレーザパルスが当たるスポット位置又はその近傍でのワークピース材料の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量など、照射されるレーザパルスが当たるスポット位置又はその近傍でのワークピース材料の粘性、パルス持続時間、フルエンス、パルス繰り返し率、スキャンパターンを規定するプロセス軌跡に沿って処理スポットが移動する速度など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののようなファクタに依存し得ることは理解すべきである。このように、異方性材料除去スキャンラインの軸が所望のフィーチャ境界に交差し得る角度は、60°よりも小さくてもよく、あるいは120°よりも大きくてもよい。例えば、スキャンラインの軸は、50°、60°、65°、70°、75°、80°、85°、87°、88.5°、90°、91.5°、93°、95°、100°、105°、110°、115°、120°などよりも大きいか等しい、あるいはこれらの値のいずれかの間の角度で所望の境界と交差し得る。同様に、スキャンラインの軸は、130°、120°、115°、110°、105°、100°、95°、93°、91.5°、90°、88.5°、87°、85°、80°、75°、70°、65°、60°などよりも小さい、あるいはこれらの値のいずれかの間の角度で所望の境界と公差し得る。
一実施形態においては、スキャンパターン内のスキャンラインのペアの隣接する終端スポット位置の間のピッチは、0.5μmから50μmの範囲にあるか、あるいは0.5μmより小さくてもよく、あるいは50μmより大きくてもよい。このように、(概してスキャンパターン内にあるか、共通のスキャンラインに沿って配置される)隣接スポット位置2504間のピッチは、0.5μm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、3.5μm、4.5μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、55μmなどよりも大きいか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよく、あるいは、60μm、55μm、40μm、30μm、20μm、15μm、10μm、5μm、4.5μm、3.5μm、3μm、2μm、1.5μm、1μm、0.5μm、0.1μmなどよりも小さくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい。2つのスキャンラインの間に介在するスキャンラインが存在しなければ、それら2つのスキャンラインは互いに隣接していると考えられる。
図26に示されるようなスキャンパターン2600は、複数の異方性材料除去スキャンラインを含むスキャンパターンの例である。スキャンパターン2600において、領域2602内のスキャンラインは、異方性材料除去スキャンラインの例であり、スポット位置2504cは、異方性材料除去スキャンラインの終端スポット位置である。図26は、スキャンパターン2600が27個の異方性材料除去スキャンラインを含むものとして図示しているが、スキャンパターン2600のようなスキャンパターンは、(例えば、所望の境界の形状、所望の境界とスポットサイズとの間の相対サイズ差、照射されるレーザパルスの空間強度プロファイルの種類及び形状など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクタに応じて)27個の異方性材料除去スキャンラインよりも多くの異方性材料除去スキャンライン又はそれよりも少ない異方性材料除去スキャンラインを有していてもよいことは理解すべきである。
図26は、それぞれの異方性材料除去スキャンラインが、同一の配置のスポット位置を含んでいるものとして図示しているが、異方性材料除去スキャンラインのうちの1以上の(又はすべての)異方性材料除去スキャンラインに対するスポット位置の配置が図示された実施形態とは異なっていてもよいことは理解すべきである。さらに、スキャンパターン内の1以上の異方性材料除去スキャンラインに対するスポット位置の配置は、スキャンパターンの少なくとも1つの他の異方性材料除去スキャンラインに対するスポット位置の配置と同じであっても、あるいは異なっていてもよい。このように、図26は、それぞれの異方性材料除去スキャンラインが4個のスポット位置を含むものとして図示しているが、いずれの異方性材料除去スキャンラインも、4個のスポット位置よりも多くのスポット位置又はそれよりも少ないスポット位置を有していてもよいことは理解すべきである。例えば、(領域2602内に示されている異方性材料除去スキャンラインのような)1つの異方性材料除去スキャンラインが含み得るスポット位置の数は、2、3、5、6、7、8、9、10、あるいはこれよりも多くなり得る。
iii.局所的熱蓄積に関する考察
ワークピース102に照射されるレーザパルスの波長、パルス持続時間、パルス繰り返し率、平均パワーなど、(例えば、スポット位置に照射されるレーザパルスの波長に対する)スポット位置での材料の線形吸収、スポット位置又はその近傍における材料の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量など、処理スポットがそれに沿ってスキャンされるスキャンパターンなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクタに応じて、1以上のスポット位置にレーザパルスが照射される結果として生じる熱は、照射されたスポット位置から拡散して、処理スポットの外部のワークピース102の領域内に蓄積し、処理スポットの外部の領域でワークピース102の温度を上昇させ得る。
蓄積された熱が次に処理される処理スポット又はその近傍に位置するワークピース102の領域での温度を上昇させることになり、この温度上昇が閾値温度(すなわち「処理閾値温度」)を超える場合、(例えば、直接アブレーション、間接アブレーション、あるいはこれらを任意に組み合わせたものによって)ワークピース102をこの後に処理できる効率に良い影響を与え得る。一般的に、処理される材料に関連付けられた処理閾値温度は、処理される材料の融点又はガラス転移温度以上である。しかしながら、他の実施形態においては、処理閾値温度は、処理される材料の融点又はガラス転移温度(例えば、その98%、95%、93%、90%、89%、87%、85%、80%、75%、70%、65%、又は50%)よりも低くてもよい。
場合によっては、蓄積された熱は、処理することを意図していないワークピース102の領域(それぞれ本明細書においてはワークピース102「非フィーチャ領域」とも呼ばれる)内の温度を上昇させることがある。温度が十分に高いと、ワークピース102の非フィーチャ領域は、望ましくないダメージを受け得るようになる(例えば、好ましくない形で傷ついたり、溶融したり、剥離したり、アニールされたりなど)。このように、ワークピース102の非フィーチャ領域内で好ましくない熱の蓄積を避けるようにワークピース102を処理することが好ましい場合がある。本明細書で使用される場合には、ワークピース102のある領域が望ましくないダメージを受ける温度を「ダメージ閾値温度」と呼ぶ。ワークピース102のいずれかの非フィーチャ領域のダメージ閾値温度は、スポット位置又はその近傍又は非フィーチャ領域における材料の厚さ、熱伝導率、熱拡散率、比熱容量など、(照射されるレーザエネルギービームに対する)吸光率などに加え、非フィーチャ領域の近傍に位置する構造の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量、サイズ及び寸法など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクタに依存し得ることは理解すべきである。
a.局所的熱蓄積に影響を及ぼす:間接アブレーション
熱の蓄積に関する考察は、ワークピース102の特性、ワークピース102が処理される方法などによって一般的に問題となり得るが、そのような考察は、ワークピース102が間接アブレーションにより処理される場合に特に問題となり得る。例えば、ワークピース102が、その第1の側面で第1の導電体(例えば、銅又は銅合金箔)に付着し、必要に応じて第1の側面とは反対側の第2の側面で第2の導電体(例えば、銅又は銅合金箔で形成されたパッド、トレース、箔など)に付着した誘電体構造(例えば、ガラス繊維強化エポキシ積層体)を含むPCBである場合、(例えば、レーザパルスをワークピース102に照射するようにビーム軸に沿ってレーザパルスビームを方向付けることによって)第1の導電体を間接的にアブレートするようにワークピース102を処理することができ、これにより、誘電体構造を露出する開口を形成することができる。
この実施形態の例においては、第1の導電体は、約5μm(又はその前後)から約50μm(又はその前後)の範囲の厚さを有し得る。例えば、第1の導電体は、7μm、8μm、9μm、10μm、12μm、15μm、17μm、18μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値と等しい(又は略等しい)厚さを有し得る。誘電体構造は、30μm(又はその前後)から200μm(又はその前後)の範囲の厚さを有し得る。例えば、誘電体構造は、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、140μm、180μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値と等しい(又は略等しい)厚さを有し得る。間接アブレーションにより形成された開口は、30μm(又はその前後)から350μm(又はその前後)の範囲の上部径又は底部径を有し得る。例えば、開口の上部径又は底部径は、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、150μm、200μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値と等しい(又は略等しい)直径を有し得る。
一実施形態によれば、ワーク面102a(すなわち第1の導電体)に照射されるレーザパルスビームは、電磁スペクトルの可視緑色光域の波長と、ガウス形又は非ガウス形の空間強度プロファイルと、1ns以上(例えば、1ns、1.5ns、2ns、2.5ns、5ns、7ns、10nsなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値以上)のパルス持続時間と、形成される開口の上部径又は底部径よりも小さいスポットサイズ(例えば、30μm、25μm、20μm、15μm、12μm、10μm、9μm、8μm、5μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値以下のスポットサイズ)と、100W以上(例えば、120W、150W、180W、200W、225W、250W、275W、300W、350W、500Wなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値以上)の平均パワーとを有し、100MHz以上(例えば、125MHz、150MHz、175MHz、200MHz、250MHz、300MHz、350MHz、500MHzなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値以上)のパルス繰り返し率でワーク面102aに照射される。上述した特性を有するレーザパルスは、典型的には、CWレーザ源、QCWレーザ源などのレーザ源により生成することができ、あるいはそのようなレーザ源から取得することができる。第1の導電体(すなわち銅又は銅合金)を形成するために典型的に使用される材料は、かなり効率的に緑色光を吸収する傾向にある。したがって、上記の例では、第1の導電体の露出面(すなわち、誘電体構造に対面していない第1の導電体の面)を暗化させること(電磁スペクトルのLWIR範囲の波長を有するレーザパルスを用いて第1の導電体を間接的にアブレートする際に典型的に用いられるプロセス)は、必要に応じて省略することができる。
(例えば、第1のポジショナ106を動作させる際に)スキャンパターン2800のようなスキャンパターンに沿って10m/秒以上(例えば、12m/秒、13m/秒、14m/秒、15m/秒、16m/秒、18m/秒、20m/秒など、あるいはこれらの値のいずれかの間の値以上)のスキャン速度で処理スポットをスキャンするようにビーム軸を移動させることができる。一実施形態においては、スキャンパターン2800は、第1のポジショナ106の第1のスキャニング範囲内の全体に適合するが、スキャンパターン2800が第1のスキャニング範囲よりも大きくてもよいことは理解できよう。この例では、スキャンパターン内の隣接スポット位置2504間のピッチは一定であり、それぞれのスポット位置2504に関連付けられた滞留時間は、他のスポット位置2504に関連付けられた滞留時間(例えば、1μm又はその前後以上)と同一である。
上述した例においてパラメータを与えると、第1の導電体を間接的にアブレートして第1の導電体に開口を形成することができる。間接アブレーション中、スキャンパターン2800のスポット位置2504が(すなわち、1以上のレーザパルスをそこに照射することにより)逐次的に処理され、第1の導電体内で熱を生成し蓄積する。この熱は、先に処理されたスポット位置2504と現在処理されているスポット位置2504で第1の導電体102の領域から放出するか、伝達され、1以上の未処理スポット位置2504で第1の導電体の領域内に蓄積する。未処理スポットで第1の導電体の領域内に蓄積する熱は、その領域での第1の導電体の温度を上昇させるように作用し、その下にある誘電体構造の領域にも伝達される。熱は、(例えば、先に処理されたスポット位置2504で第1の導電体の領域がまだ間接的にアブレートされていない場合に)先に処理されたスポット位置2504などで第1の導電体の他の領域内にも蓄積し得る。処理中に、誘電体構造に伝達された熱は蓄積し、第1の導電体の領域の下方及びそれに隣接する誘電体構造の領域を蒸発させるように作用する。第1の導電体の領域が、その下の誘電体構造の領域が蒸発する前に、その処理閾値温度以上の温度になっていない場合には、誘電体構造の領域の蒸発は、第1の導電体の下にポケット又は空間(例えば、誘電体構造の蒸発時に生成された加圧加熱ガス、粒子などを含む高圧領域)を生成するように作用する。そして、ポケット上方の第1の導電体の領域がその処理閾値温度以上の温度になったときに、ポケット内に生じた圧力が、第1の導電体の領域をワークピース102から押し出すか噴出するように作用し、その下にある誘電体構造を露出させる。
ポケット上方の第1の導電体の領域は、未処理のスポット位置となり得る。この場合において、そのような領域が最終的に1以上のレーザパルスに照射されると、第1の導電体の処理閾値温度以上の温度となり得る。場合によっては、処理中に、未処理のスポット位置でのポケット上方の第1の導電体の領域は、この領域が、先に処理された又は現在処理されている他のスポット位置から放出された熱を蓄積した後に、第1の導電体の処理閾値温度以上の温度となり得る。また、場合によっては、処理中に、ポケット上方の第1の導電体の領域は、先に処理されたスポット位置となり得る。この場合において、そのような領域は、先に処理された他のスポット位置から、あるいは現在処理されているスポット位置から、あるいはこれらを任意に組み合わせたものから放出された熱を蓄積したときに、第1の導電体の処理閾値温度以上の温度となり得る。例えば、スキャンパターン2800の第1のスポット位置2504aで第1の導電体の領域の下方にポケットが形成され得るが、第1の導電体のそのような領域は、スポット位置2504e、2504fなどの1以上のスポット位置が続いて処理されるまで、その処理閾値温度以上にならないかもしれない。
スキャンパターン2800に沿って処理スポットをスキャンすることにより第1の導電体を間接的にアブレートするプロセスを開発する際に、(第1の導電体の上部又は底部のいずれかにおける)開口の実現可能な最小径及び最大径は、照射されるレーザパルスのスポットサイズ、パルス持続時間、パルス繰り返し率、平均パワーなど、スキャン速度、第1の導電体の厚さ、第1の導電体及び誘電体構造の熱的特性、スキャンパターン2800内のスポット位置の配置などの1以上のファクタに依存することは理解すべきである。例えば、特定のスポットサイズの照射レーザパルスを用いて形成された開口の実現可能な最小径は、典型的には、特定のスポットサイズの1.5倍(又はその前後)から2倍(又はその前後)の範囲に制限される。特定のスポットサイズの照射レーザパルスを用いて形成された開口の実現可能な最大径は、典型的には、フィーチャ境界2502内の任意の領域(例えば、その中央領域)が、間接アブレーションを可能とするのに十分な量の熱を処理中に蓄積できなくなる前に得られる最大径に対応する。このように、上述したファクタのうち1つ以上のファクタに応じて、スキャンパターン2800に沿って15μm(又はその前後)のスポットサイズを有する照射レーザパルスビームをスキャンすることにより、25μm(又はその前後)から80μm(又はその前後)の範囲の直径を有する開口を第1の導電体内に形成することができる。同様に、30μm(又はその前後)のスポットサイズを用いる場合には、60μm(又はその前後)から200μm(又はその前後)の範囲の直径を有する開口を形成することができる。所望のフィーチャ境界2502に囲まれたすべての領域が間接アブレーションを可能とするのに十分な量の熱を処理中に確実に蓄積するために、スキャンパターン2800に(例えば、その中心領域で)1以上の付加的なスポット位置を追加することにより任意の直径を有するように開口を形成できることは理解すべきである。
上述した実施形態の例においては、隣接スポット位置2504間のピッチが一定となり、それぞれのスポット位置2504に関連付けられた滞留時間が他のスポット位置2504に関連付けられた滞留時間と同一となるように、スキャンパターン2800に沿って処理スポットをスキャンすることにより第1の導電体を処理している。しかしながら、他の実施形態においては、第1の導電体内に熱を蓄積する方法を制御するように、滞留時間、ピッチなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどのパラメータを調整してもよい。任意のスキャンパターン(スキャンパターン2800を含むが、これに限定されない)における(滞留時間及びピッチのような)そのようなパラメータの選択は、所望のフィーチャ境界2502の直径、第1の導電体の厚さ、誘電体構造の厚さ、第2の導電体の幾何的構成、第1の導電体に開口を形成するためのプロセスの所望のスループットなど、第1の導電体に照射されるレーザパルスのパルス持続時間、スポットサイズ、平均パワーなど、これに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクタに依存し得ることは理解すべきである。スキャニング手法パラメータの調整に関する実施形態は以下でより詳細に述べる。処理されるワークピース102又は処理中に形成されるフィーチャの種類にかかわらず、ワークピース102内に熱が蓄積される方法を制御するために、これらの実施形態の例を実施してもよいことは理解すべきである。
b.局所的蓄熱を制御する:滞留時間
一実施形態においては、スキャンパターン(例えば、スキャンパターン2500、2600、2700、2800など)内のそれぞれのスポット位置に関連付けられた滞留時間は同一である。しかしながら、他の実施形態においては、スキャンパターン内の少なくとも1つのスポット位置に関連付けられた滞留時間は、同一のスキャンパターン内の少なくとも1つのスポット位置に関連付けられた滞留時間とは異なっている。(例えば、第1のスキャニング範囲内で処理スポットをスキャンするように)第1のポジショナ106の動作を、あるいは(例えば、第2のスキャニング範囲内で処理スポット又は第1のスキャニング範囲をスキャンするように)第2のポジショナ108の動作を制御することにより、あるいは、(例えば、図示しないパルスゲーティングユニットを用いて)ワークピース102へのレーザパルスの照射を延期することにより、あるいはこれに類似する方法により、あるいはこれらを任意に組み合わせることにより滞留時間を制御することができる。
スキャンパターンの1以上の(又はすべての)処理スポットでのワークピース102の温度が処理中に確実に処理閾値温度又はそれよりも高くにするように、共通のスキャンパターン内の異なるスポット位置間の又は共通のスキャンラインに沿った滞留時間の差を選択、変調、あるいは設定することができる。例えば、照射されるスキャンパターンの最初のスポット位置に関連付けられた滞留時間は、同一のスキャンパターンの1以上の(又はすべての)他のスポット位置に関連付けられた滞留時間よりも長くてもよい。他の例においては、照射されるスキャンラインに沿った最初のスポット位置(そのようなスポット位置は、照射されるスキャンパターン内の最初のスポット位置ではない)に関連付けられた滞留時間は、同一のスキャンラインに沿って配置された1以上の(又はすべての)他のスポット位置に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも長くてもよい。さらに他の例では、照射されるスキャンラインに沿った任意のスポット位置(そのようなスポット位置は、照射されるスキャンパターン内の最初のスポット位置ではない)に関連付けられた滞留時間は、続いて照射される同一のスキャンラインに沿って配置された隣接スポット位置(又は他のスポット位置)に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも長くてもよい。さらに他の例では、照射される特定のスキャンラインに沿った最初のスポット位置(そのようなスポット位置は、照射されるスキャンパターン内の最初のスポット位置ではない)に関連付けられた滞留時間は、続いて照射される他のスキャンライン(特定のスキャンラインの最初のスポット位置に隣接することもあれば隣接しないこともある)に沿った最初のスポット位置に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも長くてもよい。
ワークピース102の非フィーチャ領域の温度がワークピース102の処理中に確実にダメージ閾値温度又はそれよりも低くなるように、共通のスキャンパターン内の又は共通のスキャンラインに沿った異なるスポット位置間の滞留時間の差を選択、変調、あるいは設定することができる。例えば、照射されるスキャンパターンの最後のスポット位置に関連付けられた滞留時間は、同一のスキャンパターンの1以上の(又はすべての)他のスポット位置に関連付けられた滞留時間よりも短くてもよい。他の例では、照射されるスキャンラインに沿った最後のスポット位置(そのようなスポット位置は、照射されるスキャンパターン内の最後のスポット位置ではない)に関連付けられた滞留時間は、同一のスキャンラインに沿って配置された1以上の(又はすべての)他のスポット位置に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも短くてもよい。さらに他の例では、スキャンラインに沿った任意の未処理のスポット位置(そのようなスポット位置は、スキャンパターン内の最初のスポット位置ではない)に関連付けられた滞留時間は、同一のスキャンラインに沿って配置された他の先に処理されたスポット位置に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも短くてもよい。さらに他の例では、照射される1つのスキャンラインに沿った最初のスポット位置(そのようなスポット位置は、照射されるスキャンパターン内の最初のスポット位置ではない)に関連付けられた滞留時間は、続いて照射される他のスキャンラインに沿った最初スポット位置に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも長くてもよい。
1つのスポット位置に関連付けられた滞留時間をあるスキャンパターン内の(又は共通のスキャンラインに沿って配置された)1以上の他のスポット位置に対して長くすることにより、(例えば、先に処理されたスポット位置、現在処理されているスポット位置、これから処理されるスポット位置など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおける)ワークピースの領域が(例えば、先に処理された1以上のスポット位置にレーザパルスを照射した結果として、あるいは現在処理されているスポット位置にレーザパルスを照射した結果として、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの結果として生じた)熱を蓄積する方法を、ワークピース102の非フィーチャ領域に対する好ましくないダメージを避けつつ効率的なアブレーション又は他の処理を可能とするように制御することができる。
上記を考慮すると、(すなわち、間接アブレーションによりPCBの第1の導電体に開口が形成される)上述した実施形態の例を続けると、スキャンパターン2800の1以上のスポット位置2504に関連付けられた滞留時間は、スキャンパターン2800の他のスポット位置2504のいずれかと異なっていてもよいことは理解すべきである。例えば、第1のスキャンパターン2800の最初のスポット位置2504aに関連付けられた滞留時間が、スキャンパターン2800の他のすべてのスポット位置2504に関連付けられた滞留時間よりも長くなるようにスキャンパターン2800に沿って処理スポットをスキャンすることができる。一般的に、最初のスポット位置2504aに関連付けられた滞留時間は、最初のスポット位置2504aの後に処理される1以上のスポット位置2504(例えば、スキャンパターン2800内の2番目のスポット位置2504e、3番目のスポット位置2504fなどのうちの1つ以上のスポット位置)での第1の導電体の部分を、これから処理されるそのようなスポット位置2504のうちの1以上のスポット位置が最終的に処理される際に間接的にアブレートできることを確実にするのに十分な期間に設定される。必要に応じて、最初のスポット位置2504aでの第1の導電体の領域が第1の最初のスポット位置2504aが処理された際に間接的にアブレートされるように、最初のスポット位置2504aに関連付けられた滞留時間を設定することができる。しかしながら、一般的に、ワークピース102の非フィーチャ領域(例えば、第2の導電体に隣接する又はその近傍の誘電体構造内の領域)の温度が第1の導電体の処理中にダメージ閾値温度よりも低くなるようにスポット位置2504のそれぞれに関連付けられた滞留時間を設定することができる。一実施形態においては、スキャンパターン2800内で、最初のスポット位置2504a又はスキャンパターン2800の他のスポット位置2504に関連付けられた滞留時間は、上述した第1のポジショナ106の位置決め時間よりも長いか、これと等しくてもよい。一実施形態においては、最初のスポット位置2504aに関連付けられた滞留時間は、2μs(又はその前後)から9μs(又はその前後)の範囲にあってもよい(例えば、最初のスポット位置2504aに関連付けられた滞留時間は、2μs、3μs、4μs、5μs、6μs、7μs、8μs、9μsなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値に等しくてもよい(あるいは略等しくてもよい))。他の実施形態においては、最初のスポット位置2504a以外のスポット位置2504に関連付けられた滞留時間は1μs(又はその前後)に等しくてもよい。
c.局所的蓄熱を制御する:ピッチ
一実施形態においては、スキャンパターン内の隣接スポット位置間のピッチ、共通するスキャンラインに沿った隣接スポット位置間のピッチ、あるいはこれらを任意に組み合わせたものは同一である。しかしながら、他の実施形態においては、(すなわち、同一のスキャンパターン内、又は共通のスキャンラインに沿った、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの)1対の隣接スポット位置と他の1対の隣接スポット位置との間のピッチは異なっていてもよい。(例えば、第1のスキャニング範囲内で処理スポットをスキャンするように)第1のポジショナ106の動作を、あるいは(例えば、第2のスキャニング範囲内で処理スポット又は第1のスキャニング範囲をスキャンするように)第2のポジショナ108の動作を、(例えば、第3のスキャニング範囲内で第1のスキャニング範囲又は第2のスキャニング範囲をスキャンするように)第3のポジショナ110の動作を、あるいはこれに類似した動作を、あるいはこれらを任意に組み合わせた動作を制御することによりピッチを制御することができる。
スキャンパターンの1以上の(又はすべての)処理スポットでのワークピース102の温度が処理中に確実に処理閾値温度又はそれより高くにするように、共通のスキャンパターン内の異なるスポット位置間の又は共通のスキャンラインに沿ったピッチの差を選択、変調、あるいは設定することができる。例えば、照射されるスキャンパターンにおける隣接スポット位置の最初のペアの間のピッチは、同一のスキャンパターンの隣接スポット位置の1以上の(又はすべての)他のペアの間のピッチよりも小さくてもよい。他の例では、照射されるスキャンラインに沿った隣接スポット位置の最初のペア(隣接スポット位置のそのようなペアは、照射されるスキャンパターンにおける隣接スポット位置の最初のペアではない)の間のピッチは、同一のスキャンラインに沿って配置された隣接スポット位置の1以上の(又はすべての)他のペア間のピッチと等しいか、それよりも短くてもよい。さらに他の例では、照射されるスキャンラインに沿った隣接スポット位置の任意のペア(隣接スポット位置のそのようなペアは、照射されるスキャンパターンにおける隣接スポット位置の最初のペアではない)の間のピッチは、続いて照射される同一のスキャンラインに沿って配置された隣接スポット位置の他のペアの間のピッチと等しいか、それよりも小さくてもよい。さらに他の例では、照射される特定のスキャンラインに沿った隣接スポット位置の最初のペア(隣接スポット位置のそのようなペアは、照射されるスキャンパターンにおける隣接スポット位置の最初のペアではない)の間のピッチは、続いて照射される他のスキャンライン(特定のスキャンラインの最初のスポット位置に隣接することもあれば隣接しないこともある)に沿った隣接スポット位置の最初のペアの間のピッチと等しいか、それよりも短くてもよい。
ワークピース102の非フィーチャ領域の温度がワークピース102の処理中に確実にダメージ閾値温度又はそれより低くなるように、スキャンパターンの1以上の(又はすべての)処理スポットでのワークピース102の温度が処理中に確実に処理閾値温度又はそれより高くなるように、共通のスキャンパターン内の又は共通のスキャンラインに沿った隣接スポット位置の異なるペア間のピッチの差を選択、変調、あるいは設定することができる。例えば、照射されるスキャンパターンの隣接スポット位置の最後のペアの間のピッチは、同一のスキャンパターンの隣接スポット位置の1以上の(又はすべての)他のペアの間のピッチよりも長くてもよい。他の例では、照射されるスキャンラインに沿った隣接スポット位置の最後のペア(隣接スポット位置のそのようなペアは、照射されるスキャンパターンにおけるスポット位置の最後のペアではない)の間のピッチは、同一のスキャンラインに沿って配置された1以上の(又はすべての)他のスポット位置に関連付けられた滞留時間と等しいか、それよりも長くてもよい。さらに他の例では、照射されるスキャンラインに沿った隣接スポット位置の任意のペア(隣接スポット位置のそのようなペアは、スキャンパターンにおける最初のスポット位置ではない)の間のピッチは、同一のスキャンラインに沿って配置された先に処理された隣接スポット位置の任意のペアの間のピッチと等しいか、それよりも長くてもよい。さらに他の例では、照射される1つのスキャンラインに沿った隣接スポット位置の最初のペア(隣接スポット位置のそのようなペアは、スキャンパターンにおける隣接スポット位置の最初のペアではない)の間のピッチは、続いて照射されるスキャンパターンの他のスキャンラインに沿った隣接スポット位置の最初のペアの間のピッチと等しいか、それよりも短くてもよい。
隣接スポット位置のあるペアの間のピッチをスキャンパターン内の(又は共通のスキャンラインに沿って配置された)隣接スポット位置の1以上の他のペアに対して短くすることにより、(例えば、先に処理されたスポット位置、現在処理されているスポット位置、これから処理されるスポット位置など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおける)ワークピースの領域が(例えば、先に処理された1以上のスポット位置にレーザパルスを照射した結果として、あるいは現在処理されているスポット位置にレーザパルスを照射した結果として、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの結果として生じた)熱を蓄積する方法を、ワークピース102の非フィーチャ領域に対する好ましくないダメージを避けつつ効率的なアブレーション又は他の処理を可能とするように制御することができる。
上記を考慮すると、(すなわち、間接アブレーションによりPCBの第1の導電体に開口が形成される)上述した実施形態の例を続けると、スキャンパターン2800の隣接スポット位置2504の1以上のペアの間のピッチは、スキャンパターン2800の隣接スポット位置2504の他のペアのいずれかの間のピッチと異なっていてもよく、あるいは同じであってもよいことは理解すべきである。例えば、一実施形態においては、スキャンパターン2800における隣接スポット位置のペアの間のピッチが、最初のスポット位置2504aから最後のスポット位置2504bまで(例えば、線形的に又は非線形的に、均一に又は非均一に、連続的に又は非連続的になど)増加してもよい。他の実施形態においては、スキャンパターン2800において逐次処理可能なスポット位置の1つのグループ内の隣接スポット位置のペアの間のピッチは、スキャンパターン2800において逐次処理可能なスポット位置の他のグループ内の隣接スポット位置のペアの間のピッチと異なっていてもよい。例えば、スキャンパターン2800において逐次処理可能なスポット位置の最初のグループ内の隣接スポット位置のペアのそれぞれの間のピッチは、スキャンパターン2800において逐次処理可能な2番目のグループ内の隣接スポット位置のペアのそれぞれの間のピッチよりも小さくてもよい。一般的に、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループ内のスポット位置は、スポット位置の2番目のグループ内のスポット位置よりも前に処理される。このように、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループは、少なくともスポット位置2504a、2504e及び2504fを含んでおり、逐次処理可能なスポット位置の2番目のグループは、少なくともスポット位置2504b、2504g及び2504hを含んでいる。一実施形態においては、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループ内のスポット位置の数は、スキャンパターン2800のスポット位置の総数の1%から95%の範囲にあり、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループに含まれていないスポット位置は、逐次処理可能なスポット位置の2番目のグループに含まれている。
一実施形態においては、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループ内の隣接スポット位置のペアのそれぞれの間のピッチは一定であり、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループ内のスポット位置の数は、スキャンパターン2800のスポット位置の総数の1%から95%の範囲にある。この実施形態においては、逐次処理可能なスポット位置の最初のグループ内のスポット位置の数は、3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%など、あるいはこれらの値のいずれかの間の値に等しい(あるいは略等しい)。
iv.スキャンパターンに関する他の考察
a.単一スポット位置スキャンパターン
上述した実施形態においては、スキャンパターンは、逐次処理される複数のスポット位置を含んでいるものとして説明し、様々なスポット位置に照射するスキャンパターンに沿って処理スポットをスキャンすることによりフィーチャを形成するようにワークピース102を処理してもよい。しかしながら、他の実施形態においては、スキャンパターンが単一のスポット位置だけから構成されていてもよく、単一のスポット位置(あるいは単一のスポット位置の局所的近傍に照射されるスポット位置)に1以上のレーザパルスを単に照射することによりワークピース102を処理(例えば、アブレートし、マーキングし、あるいは溶融するなど)してもよい。そのようなスキャンパターンは、本明細書においては「単一スポット位置スキャンパターン」と呼ばれる。例えば、スキャンパターンの単一のスポット位置には、(例えば、ワークピース102に非貫通ビア、貫通ビア、又は他の凹部、孔又は開口を形成するために)ワークピース102を直接アブレートするように複数のレーザパルスを繰り返し照射してもよい。この種の直接アブレーションプロセスは、「パンチ」プロセスと呼ばれることが多い。
他の例では、上記「局所的熱蓄積に影響を及ぼす:間接アブレーション」の節で述べたようにワークピース102がPCBである場合、第1の導電体を直接又は間接的にアブレートするようにワークピース102を処理することができ、これにより誘電体構造の領域を露出する開口が形成される。一実施形態においては、単一のスポット位置に照射されるレーザパルスは、電磁スペクトルのUV域の波長を有し得るし、第1の導電体を直接アブレートするのに好適な1以上の他の特性を有し得る。他の実施形態においては、単一のスポット位置に照射されるレーザパルスは、電磁スペクトルの長波長IR(LWIR)域の波長を有し得るし(すなわち、そのようなレーザパルスは、典型的には、レーザ源104としての二酸化炭素レーザから生成される)、第1の導電体を間接的にアブレートするのに好適な1以上の他の特性を有し得る。さらに他の実施形態では、単一のスポット位置に照射されるレーザパルスは、電磁スペクトルの可視緑色域の波長を有し得るし、第1の導電体を間接的にアブレートするのに好適な1以上の他の特性を有し得る。
電磁スペクトルの可視緑色域の波長を有するレーザパルスは、電磁スペクトルのUV域の波長を有する対応するレーザパルスよりもずっと高い平均パワーで生成され得ることが多く、ワークピース102を高スループットで処理することが可能となる。また、電磁スペクトルの可視緑色域の波長を有するレーザパルスは、電磁スペクトルのLWIR域の波長を有するレーザパルスよりもずっと小さなスポットサイズに収束可能であり、ワークピース102内により小さなフィーチャを形成することが可能となる。さらに、上述したように、第1の導電体(すなわち銅又は銅合金)を形成するために典型的に使用される材料は、非常に効率的に緑色を吸収する傾向にある。したがって、第1の導電体の露出面を暗化させること(すなわち、誘電体構造に対面していない第1の導電体の面)を暗化させること(電磁スペクトルのLWIR範囲の波長を有するレーザパルスを用いて第1の導電体を間接的にアブレートする際に典型的に用いられるプロセス)は、必要に応じて省略することができる。
一般的に、ワーク面102a(すなわち第1の導電体)に照射されるレーザパルスビームは、電磁スペクトルの可視緑色域の波長、ガウス形又は非ガウス形空間強度プロファイル、1ns以上(例えば、1ns、1.5ns、2ns、2.5ns、5ns、7ns、10nsなどよりも長いか等しい、あるいはこれらの値のいずれかの間の値)のパルス持続時間、形成される開口の上部径又は底部径よりも小さなスポットサイズ(例えば、30μm、25μm、20μm、15μm、12μm、10μm、9μm、8μm、5μmなどより小さいか等しいスポットサイズ、あるいはこれらの値のいずれかの間のスポットサイズ)、100W以上の平均パワー(例えば、120W、150W、180W、200W、225W、250W、275W、300W、350W、500Wなどより大きいか等しい、あるいはこれらの値のいずれかの間の値)を有している。
一実施形態においては、上述した緑色波長レーザパルスが、100MHz以上(例えば、125MHz、150MHz、175MHz、200MHz、250MHz、300MHz、350MHz、500MHzなどより大きいか等しい、あるいはこれらの値のいずれかの間の値)のパルス繰り返し率でワーク面102a(すなわち第1の導電体)に照射される。上述した特性を有するレーザパルスは、典型的には、CWレーザ源、QCWレーザ源などのレーザ源により生成することができ、あるいはそのようなレーザ源から取得することができる。しかしながら、他の実施形態においては、第1の導電体に開口を形成するために100μJ(又はその前後)から50mJ(又はその前後)の範囲のパルスエネルギーを有する緑色波長レーザパルスを1マイクロ秒以上のタイムスケール(例えば、2マイクロ秒以上にわたるns又はpsパルスのバーストモード又はバーストがマイクロ秒ごと又はそれ未満で繰り返されるバーストモードなど)で生成可能な他のレーザ源も用いることができる。
単一のスポット位置に関連付けられた滞留時間は、第1の導電体の厚さ、表面吸収特性、あるレーザパラメータ(例えばパルスエネルギー、パルス持続時間、パルス繰り返し率、スポットサイズ及びスポット形状など)などの1以上のファクタによって、1μs(又はその前後)から30μs(又はその前後)の範囲になり得ることは理解すべきである。
b.逐次フィーチャ形成と並行フィーチャ形成
一実施形態においては、照射されるレーザパルスビームを用いてワークピース102内又はワークピース102上に複数のフィーチャを逐次的に形成することができる。すなわち、ワークピース102に照射される複数のレーザパルスのビーム軸を移動し、その結果得られる処理スポットを第1のフィーチャが形成されるまで上述したスキャンパターンのいずれか又はその他のスキャンパターン(あるいはそのようなスキャンパターンの第1の組)のような第1のスキャンパターンに沿ってスキャンする。第1のフィーチャが形成された後、ビーム軸をワークピース102の他の領域に移動し、その結果得られる処理スポットを第2のフィーチャが形成されるまで上述したスキャンパターンのいずれか又はその他のスキャンパターン(あるいはそのようなスキャンパターンの第2の組)のような第2のスキャンに沿ってスキャンする。その後、1以上の付加的なフィーチャを同様の方法で順次形成することができる。
他の実施形態においては、照射されるレーザパルスビームを用いてワークピース102内又はワークピース102上に複数のフィーチャを並行的に形成することができる。すなわち、ワークピース102に照射される複数のレーザパルスのビーム軸を移動し、その結果得られる処理スポットを複数のスキャンパターンに沿って交互にスキャンする。例えば、第1のスキャンパターンの(すべてではないが)1以上のスポット位置に1以上のレーザパルスが照射されるようにビーム軸を移動し、その後、第2のスキャンパターンの(すべてではないが)1以上のスポット位置に1以上のレーザパルスが照射されるようにビーム軸をスキャンすることができる。そして、第1のスキャンパターンの(又はスキャンパターンの第1の組の)これから処理される1以上のスポット位置に、あるいは、第3のスキャンパターンの(又はスキャンパターンの第3の組の)(すべてではないが)1以上のスポット位置などに1以上のレーザパルスが照射されるようにビーム軸を移動することができる。第1のスキャンパターン(又はスキャンパターンの第1の組)のすべてのスポット位置が処理される(すなわち第1のフィーチャを形成する)まで、あるいは、第2のスキャンパターン(又はスキャンパターンの第2の組)のすべてのスポット位置が処理される(すなわち第2のフィーチャを形成する)までなど、ビーム軸を移動して様々なスキャンパターンの1以上のスポット位置にレーザパルスを交互に照射するプロセスを繰り返してもよい。並行的に複数のフィーチャを形成することは、単一のフィーチャの形成中又は複数のフィーチャの逐次形成中に蓄積したであろう熱によりワークピース102の非フィーチャ領域が好ましくないダメージを受けるのを防ぐのに役立つ。
上記実施形態で述べられたように逐次的又は並列的に形成されるフィーチャは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。逐次的に又は並列的に形成されるフィーチャの少なくとも一部は、第1のスキャニング範囲内、又は第2のスキャニング範囲内、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの範囲内で同時に配置可能となるように、ワークピース102内又はワークピース102上に空間的に互いに相対的に配置されていてもよい。このため、最終的に形成されるフィーチャのサイズ及びそのようなフィーチャ間の距離に応じて、第1のスキャニング範囲又は第2のスキャニング範囲は、少なくとも2つの逐次的に又は並列的に形成されるフィーチャを包囲していてもよい。
一実施形態(例えば、上記「局所的熱蓄積に影響を及ぼす:間接アブレーション」の節で述べたようにワークピース102がPCBである場合)においては、異なる単一スポット位置スキャンパターンの中で、(例えば、「単一スポット位置スキャンパターン」の節で述べたような特性を有するか、第1の導電体の間接アブレーションを容易にするのに好適な他の1以上の特性を有する)照射されるレーザパルスをスキャンすることにより、第1の導電体に開口のような複数のフィーチャを逐次的に又は並列的に形成するようにワークピース102を処理することができる。他の実施形態(例えば、ワークピース102が、ビルドアップフィルム、ガラス繊維強化エポキシ積層体、層間誘電材料、low-k誘電材料、ソルダレジストなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような誘電体構造である場合)においては、異なる単一スポット位置スキャンパターンの中で、(例えば、誘電体構造の直接アブレーションを容易にするのに好適な他の1以上の特性を有する)照射されるレーザパルスビームをスキャンすることにより、1以上のビア(例えば、1以上の非貫通ビア又は貫通ビア)、凹部、孔、開口など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの複数のフィーチャを逐次的に又は並列的に形成するようにワークピース102を処理することができる。一般的に、バーストモードレーザ(又はバーストモードで動作する他のレーザ)により生成されるレーザパルスは、典型的には、100MHzよりも低い(すなわち10kHz以下であることが多い)パルス繰り返し率で生成される。したがって、上述した実施形態のいずれかにおけるレーザパルスが100MHz以上(又は未満)のパルス繰り返し率でワーク面102aに照射される場合には、照射されるレーザパルスを第1のスキャニング範囲によって同時に包囲される異なる単一スポット位置スキャンパターンにスキャンするように第1のポジショナ106を動作させることによって複数のフィーチャを(すなわち第1の導電体に、あるいは誘電体構造に)形成してもよい。レーザパルスが10kHz未満のパルス繰り返し率でワーク面102aに照射される場合には、照射されるレーザパルスを第2のスキャニング範囲により同時に包囲されるされる異なる単一スポット位置スキャンパターンにスキャンするように第2のポジショナ108を動作させることによって複数のフィーチャを形成してもよい。
VIII.ビーム特性の変調に関する実施形態
上述したように、ワークピース102の処理中にワークピース102に照射されるレーザエネルギービーム(連続的かパルス状かを問わない)は、波長、平均パワー、空間強度プロファイルタイプ、M2ファクター、空間強度プロファイル形状、スポットサイズ、光強度、フルエンスなどの1以上の特性によって特徴付けることができる。レーザエネルギービームが1以上のレーザパルスを含んでいる場合には、このビームは、パルス繰り返し率、パルス持続時間、パルスエネルギー、ピークパワーなどの1以上の特性によって特徴付けることもできる。レーザエネルギービーム(連続的かパルス状かを問わない)のこれらの特性のすべては、本明細書において、総称して包括的にレーザエネルギービームの「特性」あるいは単に「ビーム特性」と呼ばれる。共通のスポット位置に照射される(又は共通のスポット位置の近傍に照射される)レーザパルスのビーム特性は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、共通のスポット位置に照射される(又は共通のスポット位置の近傍に照射される)逐次的照射レーザパルスのスポットサイズ、パルスエネルギー、パルス繰り返し率などの1以上の特性は、一定であってもよいし、増加してもよいし、減少してもよいし、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。同様に、共通のスキャンパターンの異なるスポット位置に照射されるレーザパルスのビーム特性は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
スポットサイズなどの特性は、上述したZ方向高さ補償を行う機構のうち1つ以上を動作させることによって調整することができる。M2ファクターや空間強度プロファイル形状などの特性は、上述した方法により1以上のAODシステム(例えば、第1のポジショナ106であるかその他のものであるかを問わない)を動作させることによって調整することができる。さらに、M2ファクターを変化させるためにAODシステムを動作させることに関して上記で述べた手法は、上述した方法でレーザパルスビームの空間強度プロファイルの種類を調整するように修正することができる。例えば、AODシステム(例えば、第1のポジショナ106であるかその他のものであるかを問わない)の1以上の変換器に印加されるRF信号のスペクトルを、非ガウス形スペクトルプロファイル(例えば、矩形又は「トップハット」空間プロファイル)を有するように整形することができる。そのようなRF信号がAODシステム(例えば、第1のポジショナ106であるかその他のものであるかを問わない)の1以上の変換器に印加される場合には、非ガウス形空間強度プロファイルの種類(例えば、矩形又は「トップハット」空間強度プロファイル)のレーザパルスの生成するような方法でAODシステムを出るレーザパルスを変化させることができる。一実施形態においては、スペクトル整形されたRF信号はチャープされない。他の実施形態においては、スペクトル整形されたRF信号がチャープされていてもよい。このため、(すなわち、印加された1以上のRF信号に応答して)AODシステムが駆動される方法によっては、AODシステムを出るレーザパルスが、M2ファクター、空間強度プロファイルの種類、空間強度プロファイル形状及びスポットサイズなどの1以上の特性において入射レーザパルスと異なっていてもよい。また、当該分野で知られている、あるいは本明細書(この節又はその他の場所)において開示されている他の好適な又は望ましい方法でこれらのビーム特性及び他のビーム特性を変化させてもよい。
一般的に、ワークピース102の処理中に1以上の(又はすべての)ビーム特性を一定(又は少なくとも実質的に一定)にしてもよいし、(例えば、実質的に非一定となるように)変調してもよいし、あるいはこれらを任意に組み合わせてもよい。フィーチャの処理中に1以上のビーム特性を変化させることができる実施形態の例を以下に述べる。この節のビーム特性の変調に関する特定の実施形態は装置100に関連して述べられているが、これらの実施形態のうちのいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものをマルチヘッド装置700に関して実現可能であることは理解できよう。さらに、この節で述べられる実施形態は、本明細書で述べられたもの以外の好適に装備されたシングルヘッド又はマルチヘッドレーザ処理装置を用いて実現してもよいことは理解されよう。
i.多層ワークピースにおけるフィーチャ形成
ワークピースの複数の層を貫通する1以上のフィーチャを形成するように多層構造を有するワークピースを処理することができる。一実施形態においては、多層ワークピース102の2つの異なる層を少なくとも部分的に貫通する開口、スロット、ビア又は他の孔、溝、トレンチ、スクライブライン、切溝、凹部領域などのフィーチャを形成するように多層ワークピース102を処理することができる。多層ワークピース102の異なる層は、異なる材料から形成されていてもよいし、(例えば、照射されるレーザエネルギービームに対して)異なる光学吸収特性などを有していてもよいし、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであってもよい。したがって、例えば、ワークピース102の2番目の層を露出させるためにビーム特性の第1のセットによって特徴付けられる照射レーザエネルギービームを用いてワークピース102の1番目の層をアブレートすることにより多層ワークピース102にフィーチャを形成してもよい。その後、ビーム特性の第1のセットとは(例えば、波長、平均パワー、空間強度プロファイルの種類、M2ファクター、空間強度プロファイル形状、スポットサイズ、光強度、フルエンス、パルス繰り返し率、パルス持続時間、ピークパワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて)異なるビーム特性の第2のセットによって特徴付けられる照射レーザエネルギービームを用いてワークピース102の2番目の層をアブレートしてもよい。ビーム特性の第2のセットにおける特性は、少なくとも1つの特性がビーム特性の第1のセットにおける対応する特性よりも大きい、これよりも小さい、あるいはこれと異なる限りにおいて、ビーム特性の第1のセットにおける対応する特性と同一であってもよい。
例えば、多層ワークピース102は、その第1の側で第1の導電体(例えば、(例えば、化学反応により、あるいはレーザ暗化プロセスなどにより)暗化された露出面又は暗化されていない露出面を有し得る銅箔又は銅合金箔)に固着され、必要に応じて、その第1の側とは反対の第2の側で第2の導電体(例えば、銅又は銅合金から構成されるパッド、トレース、箔など)に固着される誘電体構造(例えば、ガラス繊維強化エポキシ積層体)を含むPCBパネル又はPCBであってもよい。第1の導電体を完全に貫通し、誘電体構造を少なくとも部分的に貫通するビアを形成するように多層ワークピース102を処理してもよい。ビアは、第2の導電体で終端していてもよく(この場合、ビアは非貫通ビアである)、あるいは第2の導電体を完全に貫通していてもよい(この場合、ビアは貫通ビアである)。
上記例では、ビーム特性の第1のセットにより特徴付けられるレーザエネルギービームは、誘電体構造を露出させる開口を形成するために第1の導電体を直接又は間接的にアブレートする第1の処理ステップにおいて第1の導電体に照射されていてもよい(また、例えば、必要に応じて、上記で例示的に述べたスキャン手法によってスキャンされてもよい)。その後、第2の処理ステップにおいて、誘電体構造内に延びる孔を形成するために誘電体構造を直接アブレートするようにビーム特性の第2のセットにより特徴付けられるレーザエネルギービームを誘電体構造に開口を通じて照射してもよい(また、例えば、必要に応じて、上記で例示的に述べたスキャン手法によってスキャンしてもよい)。
一実施形態においては、ビーム特性の第1のセット及び第2のセットは、波長において同一であってもよいが(例えば、照射レーザエネルギービームは、電磁スペクトルのUV域、可視光域、IR域の波長を有していてもよい)、フルエンス、光強度など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものについては異なっていてもよい。例えば、フルエンスは、第2の処理ステップ中よりも第1の処理ステップ中の方が高くてもよい。第1の処理ステップと第2の処理ステップとの間では、照射レーザパルスビームのパルスエネルギーを減らすことにより、あるいは照射レーザパルスビームのスポットサイズを大きくすることなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせることにより、フルエンスを調整してもよい。例えば、平均パワーを減少させることなく、処理スポットでのフルエンスを減少させるために(例えば、第1の導電体及び第2の導電体の材料を直接アブレートすることができる閾値フルエンスよりも低く)、第2の処理ステップ中に照射されるレーザパルスビームのスポットサイズ(すなわち「第2のスポットサイズ」)を第1の処理ステップ中に照射されるレーザパルスビームのスポットサイズ(すなわち「第1のスポットサイズ」)に対して増やしてもよい。その結果、誘電体構造に孔を形成するのに必要なパルスの数を比較的少なく維持することができ、隣接する導電体構造へのダメージを避けることができる。ある実施形態においては、第1のスポットサイズは、2μm(又はその前後)から35μm(又はその前後)の範囲にあってもよく、第1のスポットサイズよりも大きな第2のスポットサイズは、40μm(又はその前後)から150μm(又はその前後)の範囲にあってもよい。例えば、第1のスポットサイズは、2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値に等しくてもよく(あるいは略等しくてもよく)、第2のスポットサイズは、40μm、50μm、60μm、80μm、100μm、125μm、140μm、155μmなどに等しくてもよい(あるいは略等しくてもよい)。
ii.局所的熱蓄積に関する考察
一実施形態においては、ワークピース102の非フィーチャ領域の温度がワークピース102の処理中に(例えば、1以上のフィーチャがワークピース102に形成される期間にわたって)ダメージ閾値温度又はそれよりも低くなるように1以上のビーム特性(例えば、パルスエネルギー、パルス繰り返し率、パルス持続時間、平均パワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を選択、変調又は設定してもよい。1以上のビーム特性の変調は、フィーチャを形成するために使用される任意のスキャニング手法に関連付けられたパラメータとは独立に行うことができ、あるいは、1以上のスキャニング手法パラメータ(例えば、滞留時間、ピッチなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)の変調に関連して行ってもよい。
例えば、PCBの第1の導電体に間接アブレーションにより(例えば、スキャンパターン2800に沿って処理スポットをスキャンすることにより)開口を形成する上記実施形態の例を続けると、スキャンパターン2800の最後のスポット位置2504bに照射される1以上のレーザパルスのパルスエネルギーが、スキャンパターン2800の最初のスポット位置2504aに照射される1以上のレーザパルスのパルスエネルギーよりも低くなるように、ワーク面102aに(すなわち第1の導電体の露出面に)照射されるレーザパルスのパルスエネルギーを変調することができる。例えば、最後のスポット位置2504bに照射される1以上のレーザパルスは、最初のスポット位置2504aに照射される1以上のパルスのパルスエネルギーの75%(又はその前後)から20%(又はその前後)の範囲にある(例えば、最初のスポット位置2504aに照射される1以上のパルスのパルスエネルギーの80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%など、あるいはこれらの値のいずれかの間の値に等しいか略等しい)パルスエネルギーを有することができる。一実施形態においては、スキャンパターン2800のスポット位置に照射されるレーザパルスのパルスエネルギーが、最初のスポット位置2504aから最後のスポット位置2504bまで(例えば、線形的に又は非線形的に、均一に又は非均一に、連続的に又は非連続的になど)減少してもよい。
他の実施形態においては、スキャンパターン2800内で逐次処理可能なスポット位置の1つのグループ内のスポット位置に照射されるレーザパルスのパルスエネルギーは、スキャンパターン2800内で逐次処理可能なスポット位置の他のグループ内のスポット位置に照射されるレーザパルスのパルスエネルギーと異なっていてもよい。例えば、スキャンパターン2800内で逐次処理可能なスポット位置の第1のグループ内のスポット位置に照射されるレーザパルスのパルスエネルギーは、スキャンパターン2800内で逐次処理可能なスポット位置の第2のグループ内のスポット位置に照射されるレーザパルスのパルスエネルギーよりも高くてもよい。一般的に、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループ内のスポット位置は、逐次処理可能なスポット位置の第2のグループ内のスポット位置よりも前に処理される。このため、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループは、スポット位置2504a、2504e及び2504fを少なくとも含んでおり、逐次処理可能なスポット位置の第2のグループは、スポット位置2504b、2504g及び2504hを少なくとも含んでいる。一実施形態においては、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループ内のスポット位置の数は、スキャンパターン2800のスポット位置の総数の1%から95%の範囲にあり、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループに含まれないスポット位置は、逐次処理可能なスポット位置の第2のグループに含まれる。
一実施形態においては、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループ内のスポット位置に照射されるレーザパルスのパルスエネルギーは一定であり、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループ内のスポット位置の数は、スキャンパターン2800のスポット位置の総数の1%から95%の範囲にある。この実施形態においては、逐次処理可能なスポット位置の第1のグループ内のスポット位置の数は、3%、5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%など、あるいはこれらの値のいずれかの間の値に等しい(あるいは略等しい)。
IX.後処理
時として、(例えば、処理スポットを上述したような1以上のフィーチャ形成スキャンパターンに沿って、あるいは、他の1以上のスキャンパターンに沿ってなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに沿ってスキャンすることにより)フィーチャが形成された後に付加的な処理がなされることがある。ィーチャの側壁領域の底面から材料(例えば、フィーチャの形成中に生成された残留材料あるいはフィーチャが形成された後にフィーチャ上又はフィーチャ内に残っている残留材料)を除去するために、あるいは、(例えば、所望のフィーチャ境界などにより近く合致するフィーチャ境界を得るなどのために)フィーチャ境界でワークピース102の1以上の部分をさらに除去するために、あるいは、フィーチャが規定された1以上の材料を加熱、アニール、溶融、炭化、酸化、還元、化学的エッチングするは(例えば光活性反応剤などを用いて)変質させる、あるいは処理するためなどに、あるいはこれらを任意に組み合わせるために、(例えば、周囲空気、酸化ガス又は酸化液、還元ガス又は還元液、不活性ガス又は不活性液、真空などの存在下での)付加的な処理を行うことができる。したがって、上述したフィーチャ形成パターンのいずれかと同一であるか、これとは異なることがある1以上の後処理スキャンパターンに沿って処理スポットをスキャンすることにより、1以上の後処理技術を実施することができる。
一般的に、(例えば、スポット位置の配置、フィーチャ境界に対するスポット位置の近接性などをはじめとする)後処理スキャンパターンの1以上の特性、後処理中に選択又は使用される1以上のビーム特性など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものは、フィーチャ形成スキャンパターンの対応する特性と同一であってもよく、あるいはこれと異なっていてもよく、さらに、フィーチャの形成中に選択又は使用されるビーム特性の対応する特性と同一であってもよく、あるいはこれと異なっていてもよい。一実施形態においては、形成されているフィーチャに対して、他のフィーチャを形成する前に1以上の後処理技術を実施することができる。しかしながら、他の実施形態においては、複数のフィーチャのすべてが形成された後にのみ複数のフィーチャに対して1以上の後処理技術を実施することができる。
ここで、後処理技術の実施形態の例についてより詳細に述べる。この節のビーム特性の変調に関する特定の実施形態は装置100に関連して述べられているが、これらの実施形態のうちのいずれか1つあるいはこれらを任意に組み合わせたものをマルチヘッド装置700に関して実現可能であることは理解できよう。さらに、この節で述べられている実施形態を、本明細書で述べられたもの以外の好適に装備されたシングルヘッド又はマルチヘッドレーザ処理装置を用いて実現してもよいことは理解されよう。
i.ビア清浄
誘電体構造(例えばガラス繊維強化エポキシ積層体)を直接アブレートして、その底部で導電体(例えば、銅又は銅合金から構成されるパッド、トレース、箔など)を露出させる孔を形成することにより非貫通ビアのようなフィーチャをワークピースに形成してもよい。一般的に、ビーム特性の第1のセットにより特徴付けられる照射レーザエネルギービームを用いて孔を形成することができる。(例えば樹脂材料を含む)残留材料が、非貫通ビア内に(例えば、露出した導電体上に)残留することがあり、これが、非貫通ビア内で続いて形成される金属皮膜が確実に固着されることを妨げ、非貫通ビアの底部で露出した銅層などと電気的に接触するための有効面積を減少させ得る。したがって、残留材料を(部分的に又は完全に)除去することが有益なことがある。一実施形態においては、ビーム特性の第1のセットとは(例えば、波長、平均パワー、空間強度プロファイルの種類、M2ファクター、空間強度プロファイル形状、スポットサイズ、光強度、フルエンス、パルス繰り返し率、パルス持続時間、ピークパワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて)異なるビーム特性の第2のセットにより特徴付けられる照射レーザエネルギービームを用いて残留材料を除去してもよい。ビーム特性の第2のセットにおける特性は、少なくとも1つの特性がビーム特性の第1のセットにおける対応する特性よりも大きい、これよりも小さい、あるいはこれと異なる限りにおいて、ビーム特性の第1のセットにおける対応する特性と同じであってもよい。ビーム特性の第2のセットによって特徴付けられるレーザエネルギービームは、誘電体構造内に形成された開口内で露出した導電体及びその上に位置する残留材料に照射されてもよい。そのようなレーザエネルギービームは、必要に応じて、露出した導電体をアブレートすることなく露出した導電体上の残留材料を直接又は間接的にアブレートするように(例えば、上記で例示的に述べられたスキャン手法により)スキャンされてもよい。
一実施形態においては、ビーム特性の第1のセット及び第2のセットは、波長(例えば、照射レーザエネルギービームは、電磁スペクトルのUV域、可視光域又はIR域の波長を有していてもよい)、空間強度プロファイルの種類(例えばガウス形空間強度プロファイル)において同一であってもよいが、スポットサイズ、M2ファクターなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいては異なっていてもよい。例えば、第2の処理ステップ中の照射レーザエネルギービームのスポットサイズは、第1の処理ステップ中の照射レーザエネルギービームのスポットサイズよりも大きくてもよい。同様に、第1の処理ステップ中よりも大きな有効スポットサイズを第2の処理ステップ中に有する照射レーザエネルギービームを生じるように照射レーザエネルギービームのM2ファクターを調整してもよい。(例えば、上述の「ビーム特性の変調に関する実施形態」の節で述べたような)任意の好適な又は所望の手法を用いてスポットサイズ又はM2ファクターの調整を行ってもよい。第2の処理ステップ中、必要に応じて(例えば、スキャンパターンに沿って複数のスポット位置を処理するように)処理スポットをスキャンしてもよい。第2の処理ステップ中の処理スポットでのスポットサイズ(又は有効スポットサイズ)が十分に大きい場合には、処理スポットで処理するスポット位置の数を少なく(1つ又は2つのスポット位置に)してもよい。
他の実施形態においては、ビーム特性の第1のセット及び第2のセットは、波長において同一であってもよいが(例えば、照射レーザエネルギービームは、電磁スペクトルのUV域、可視光域、IR域の波長を有していてもよい)、空間強度プロファイルの種類、空間強度プロファイル形状、スポットサイズなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものについては異なっていてもよい。第1の処理ステップ中の照射レーザエネルギービームは、略円形形状を有するガウス形空間強度プロファイルを有し、比較的小さいスポットサイズを有していてもよい。しかしながら、第2の処理ステップ中の照射レーザエネルギービームは、円形又は非円形(例えば正方形など)の形状を有する非ガウス形空間強度プロファイル(例えば、「トップハット」空間強度プロファイルなど)を有し、比較的大きなスポットサイズを有していてもよい。(例えば、上述の「ビーム特性の変調に関する実施形態」の節で述べたような)任意の好適な又は所望の手法を用いて空間強度プロファイルの種類、空間強度プロファイル形状及びスポットサイズスポットサイズの調整を行ってもよい。第2の処理ステップ中、必要に応じて(例えば、スキャンパターンに沿って複数のスポット位置を処理するように)処理スポットをスキャンしてもよい。第2の処理ステップ中の処理スポットでのスポットサイズ(又は有効スポットサイズ)が十分に大きい場合には、処理スポットで処理するスポット位置の数を少なく(1つ又は2つのスポット位置に)してもよい。
a.非貫通ビア清浄-中央領域
(例えば、誘電体構造を貫通し、その底部で銅層を露出させる)非貫通ビアのようなフィーチャを形成する際、残留材料(例えば誘電材料)が非貫通ビアの底部の中央領域に(例えば、非貫通ビアの底部で露出する導電体上に)存在することがある。これは、(例えば、図26に示されるスキャンパターン2600と同様に)所望のフィーチャ境界の中央領域内に位置するスポット位置が比較的少ない(又は存在しない)ことにより特徴付けられるフィーチャ形成スキャンパターンを用いる場合に多く見られることがある。
そのような残留材料を(部分的に又は完全に)除去するために、後処理スキャンパターン(本明細書において「中央領域清浄スキャンパターン」とも呼ばれる)をスキャンしてもよい。一般的に、中央領域清浄スキャンパターンは、フィーチャの底部でフィーチャ境界の中央領域に配置される1以上のスポット位置を含んでいる。図26は、中央領域清浄スキャンパターンの実施形態の例を示している。中央領域清浄スキャンパターンは、フィーチャ境界の中央領域内(例えば、領域2602内に包囲される境界2502の中央領域の内部)に位置する1以上のスポット位置を含んでいる(例えば、図26に示されるように、中央領域清浄スキャンパターンは、複数のスポット位置2504'を含んでいる)。スポット位置2504'のうち、スポット位置2504a'は、中央領域清浄中にレーザパルスが照射される最初のスポット位置を表しており、スポット位置2504b'は、中央領域清浄中にレーザパルスが照射される最後のスポット位置を表している。したがって、スポット位置2504'を繋ぐ実線は、(例えば、1以上の照射レーザパルスにより)スポット位置2504が処理される順序を示している。しかしながら、他の所望の順序でスポット位置2504'を処理してもよく(これにより実線の構成を変えてもよく)、ランダムに処理してもよいことは理解すべきである。
一般的に、中央領域清浄スキャンパターンをスキャンしつつスポット位置に照射されるレーザパルスは、フィーチャ境界でワークピース102の領域を照射しない。しかしながら、照射レーザパルスのスポットサイズ、空間強度分布など、フィーチャの上部でのフィーチャ境界のサイズ及び形状、フィーチャの底部でのフィーチャ境界のサイズ及び形状、フィーチャの深さなど、これに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のファクターによっては、(例えば、フィーチャの上部又はその近傍での)フィーチャ境界におけるワークピース102の1以上の領域は、1以上の照射レーザパルスの少なくとも一部により照射されてもよい。
b.非貫通ビア清浄-周縁領域
上記で図25から図28に関して述べたようなスキャンパターンを用いて(例えば、誘電体構造を貫通し、その底部で銅層を露出させる)非貫通ビアのようなフィーチャを形成する際、残留材料(例えば誘電材料)が非貫通ビアの底部の周縁領域に(例えば、非貫通ビアの側壁が非貫通ビアの底部で露出する導電体に接する領域又はその近傍に)存在することがある。
そのような残留材料を(部分的に又は完全に)除去するために、後処理スキャンパターン(本明細書において「周縁領域清浄スキャンパターン」とも呼ばれる)をスキャンしてもよい。周縁領域清浄スキャンパターンは、フィーチャの底部でフィーチャ境界の周縁領域に配置される1以上のスポット位置を含み得る。一実施形態においては、スキャンパターン2500のスポット位置2504a、2504b及び2504d、スキャンパターン2600のスポット位置2504c、スキャンパターン2700のスポット位置2504b及び2504d、及びスキャンパターン2800のスポット位置2504などのようなスポット位置は、(フィーチャの底部が形成される際にそのようなスキャンパターン2500、2600、2700又は2800が実際にスキャンされた場合には)フィーチャの底部でフィーチャ境界の周縁領域に位置しているものと考えられる。他の実施形態においては、周縁領域清浄スキャンパターンのスポット位置は、上述したスポット位置の局所的近傍内に位置し得る。説明のために、周縁領域清浄スキャンパターンのスポット位置が、上述したスポット位置のうちの1つの1μm以内(例えば、上述したスポット位置のうちの1つの0.8μm、0.75μm、0.7μm、0.65μm、0.6μm、0.5μm、0.4μm、0.3μm、0.25μm、0.2μm、0.15μm、0.1μm、0.08μm、0.05μm、0.01μm以内、又は0.01μm未満)に位置している場合には、上述したスポット位置のうちの1つの局所的近傍内に位置しているものと考える。非貫通ビアの中央領域と周縁領域の双方を清浄する場合には、中央領域を清浄する前又は後に周縁領域を清浄することができる。
一般的に、周縁領域清浄スキャンパターンをスキャンしている間にスポット位置に照射されるレーザパルスは、(例えば、フィーチャの上部又はその近傍で)フィーチャ境界でワークピース102の1以上の領域に照射される。しかしながら、照射レーザパルスのスポットサイズ、空間強度分布など、フィーチャの上部でのフィーチャ境界のサイズ及び形状、フィーチャの底部でのフィーチャ境界のサイズ及び形状、フィーチャの深さなど、又はこれに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のファクターに応じて、フィーチャ境界でワークピース102の領域に当たらないようにレーザパルスを中央領域清浄スキャンパターンのスポット位置に照射することができる。
ii.フィーチャ境界の微調整
一実施形態においては、所望のフィーチャ境界2502に隣接する上述したスキャンパターンのスポット位置(例えば、スキャンパターン2500のスポット位置2504a、2504b及び2504d、スキャンパターン2600のスポット位置2504c、スキャンパターン2700のスポット位置2504b及び2504d、及びスキャンパターン2800のスポット位置2504)は、1以上のレーザパルスが照射された際に、材料がワークピース102から除去されて所望のフィーチャ境界2502の少なくとも一部を形成するように、所望のフィーチャ境界の十分近くに配置されている。他の実施形態においては、そのようなスポット位置でワークピース102から除去される材料は、所望のフィーチャ境界の一部を形成する必要がない。いずれの実施形態においても、(例えば、側壁の滑らかさを改善するため、所望のフィーチャ境界の形状に対して実際に得られたフィーチャ境界の正確性を改善するためなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののために)所望のフィーチャ境界の少なくとも一部に沿って延びる1以上のスキャンラインを含む後処理スキャンパターン(本明細書においては「境界改善スキャンパターン」とも呼ばれる)をスキャンしてもよい。
iii.後処理のタイミング
一実施形態においては、フィーチャが形成された直後に上記で述べたような後処理手法を行ってもよい。すなわち、フィーチャ形成スキャンパターンにおけるスポット位置に最後のレーザパルスが照射された直後に、後処理スキャンパターンにおける最初のスポット位置にレーザパルスを照射してもよい。例えば、非貫通ビアなどのフィーチャを形成した直後に境界微調整プロセス又は中央領域又は周縁領域清浄プロセスを行ってもよい。他の実施形態においては、ある後処理手法(例えば、中央領域清浄プロセス)が完了した直後に他の処理手法(例えば、周縁領域清浄プロセス)を行ってもよい。ここで、「直後」は、フィーチャ形成プロセス(又は先に行われた後処理プロセス)の完了と続いて行われる後処理プロセスとの間で経過する時間が(例えば、フィーチャ形成プロセス又は先に行われた後処理プロセス中における第1のポジショナ106の)位置決め時間の最も短い時間又は最も長い時間又は中央値又は平均値に等しい(又は少なくとも実質的に等しい)ことを意味する。一実施形態においては、第1のポジショナ106の位置決め時間は20μs(又はその前後)よりも短い。例えば、第1のポジショナ106の位置決め時間は、15μs、10μs、5μs、3μs、2μs、1μs、0.8μs、0.5μs、0.3μs、0.1μsなどよりも短いか等しくなり得る。
フィーチャ形成中、(例えば、ワークピース102内の1以上の材料による照射レーザパルスにおけるエネルギーの吸収により、あるいはワークピース102における1以上の材料を通過する熱の伝達などにより)フィーチャが形成されている周辺の領域のワークピース102内に熱が蓄積し得る。したがって、フィーチャが形成されている周辺のワークピース102の領域の温度が、フィーチャの形成中に著しく上昇し得る。フィーチャ境界でワークピース102の1以上の領域から材料(例えば誘電体構造の材料)を除去したい場合(例えば、フィーチャ境界を微調整するために後処理する場合)には、この除去される材料に存在する蓄積熱エネルギーによって後処理効率が有利に増加する。
しかしながら、フィーチャの底部で材料(例えば残留材料)を除去したい場合(例えば、フィーチャの底部で中央領域又は周縁領域を清浄するために後処理する場合)、(例えば、フィーチャの上部又はその近傍で)ワークピース102の1以上の領域内に存在する蓄積熱エネルギーは、中央領域又は周縁領域の清浄中にスポット位置に照射されるレーザパルスがワークピース102のそのような部分を照射する場合には、フィーチャの上部又はその近傍でワークピース102の部分を除去しやすくする。その結果、中央領域清浄スキャンパターン又は周縁領域清浄スキャンパターンのような後処理スキャンパターンをスキャン中に、フィーチャの上部でのフィーチャ境界が好ましくない形で広げられることがある。
上述した問題を克服するために、フィーチャ形成プロセス(又は先に行われた後処理プロセス)の完了と中央領域清浄プロセス又は周縁領域清浄プロセスのような続いて行われる後処理プロセスとの間に遅延時間を挿入してもよい。遅延時間の期間は、中央領域又は周縁領域清浄中に照射されるレーザパルスで照射された際にフィーチャの上部又はその近傍でのワークピース102の領域が除去されないように、(例えば、フィーチャの上部又はその近傍での)ワークピース102内の熱エネルギーを放出できるように(すなわち、フィーチャの上部又はその近傍でのワークピース102の領域を冷却できるように)選択又は設定される。一般的に、遅延時間は、(例えば、フィーチャ形成プロセス又は先に行われた後処理プロセス中における第1のポジショナ106の)位置決め時間の最も短い時間又は最も長い時間又は中央値又は平均値よりも長い。一実施形態においては、位置決め時間が20μs(又はその前後)未満である場合には、遅延時間は20μs(又はその前後)よりも長い。例えば、遅延時間は、22μs、25μs、30μs、35μs、40μs、45μs、50μs、55μs、60μsなどよりも長いか等しい場合がある。フィーチャの上部又はその近傍のワークピース102の材料の熱伝導率、熱拡散率、比熱容量、粘性など、後処理中に照射されるレーザパルスのパルス持続時間、フルエンス、パルス繰り返し率など、ワークピース102を処理する(複数のフィーチャの形成や後処理などを行うことを含む)際の所望のスループットなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクターに応じて遅延時間を選択又は設定できることは理解すべきである。
X.副生成物の除去に関する実施形態
レーザ処理の結果としてワークピース102内に開口、スロット、ビア、孔、溝、トレンチ、スクライブライン、切溝、凹部などの1以上のフィーチャが形成される際に、(例えば、約0.01μmから約4μmの範囲にわたる最大断面寸法を有する粒子を含む)蒸気、(例えば、約0.1μmから約0.7mmの範囲にわたる最大断面寸法を有する粒子を含む)塵、(例えば、約0.7μmよりも大きな最大断面寸法を有する)ワークピース破片又は他の断片のような副生成物材料が生成され得る。場合によっては(例えば、ドリル加工プロセス又はカッティングプロセス中)、そのような副生成物材料がワークピース102から噴出し、ワークピース102のワーク面102aの再付着する。他の場合には(例えば、ワークピース102を貫通する貫通孔又は他のフィーチャを形成するためのカッティングプロセス中)、1以上の破片又は他の断片は、ワークピース102から噴出しないが、むしろ、(例えば、カッティングプロセス中にワークピース102に形成された切溝で)ワークピース102に単にくっついたままとなる。ワークピース102を貫通する貫通孔又は他のフィーチャのサイズによっては、ワークピース102の破片又は他の断片は、加工中に照射されるレーザエネルギーのスポットサイズよりも著しく大きな(例えば、少なくとも1桁分)最大寸法を有し得る。そのような副生成物の除去を促進するために、副生成物除去システムを設けてもよい。
一実施形態においては、図38を参照すると、ワークピース102を支持するためのフレーム3802と、フレーム3802上に配置されたエアナイフ3804と、フレーム3802の下方に配置された収集ビン3806とを含む副生成物除去システム3800として提供され得る。
ワークピース102がフレーム3802により支持される際、ワークピース102(例えば、PCB、FPC、リードフレームブランクなど)は処理された後であろうし、ワーク面102a上に落ちた蒸気や塵を含み得る。貫通する貫通孔や他のフィーチャを形成するようにワークピース102が処理されたとき、1以上の破片又は他の断片は、貫通孔内に残ったままか、あるいは(例えば、カッティングプロセス中にワークピース102に形成された切溝で)ワークピース102にくっついていることがある。ワークピース102は、(例えば、その端部にワークピースに係合させるためのエンドエフェクタなどを備えた)ロボットアーム、ロールツーロールハンドリングシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの移送機構によりレーザ処理装置からフレーム3802上に移送することができる。この場合において、コントローラ114により、あるいは他のコントローラなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に応答して移送機構を制御してもよい。
一実施形態においては、エアナイフ3804は、アクチュエータ(図示せず)と、ワークピース102を静止しつつワークピース102上でエアナイフ3804を(例えば、矢印3808で示されているようなX軸に沿って、あるいはY軸に沿って、あるいはこれらを任意に組み合わせた軸に沿って)移動可能な1以上の直動ステージ又は他の機械的リンケージ(例えばガイドレールなど)とに連結されている。他の実施形態においては、フレーム3802は、アクチュエータ(図示せず)と、エアナイフ3804の下方でフレーム3802(ひいてはワークピース102)を(例えば、矢印3808で示されているようなX軸に沿って、あるいはY軸に沿って、あるいはこれらを任意に組み合わせた軸に沿って)移動可能な1以上の直動ステージ又は他の機械的リンケージ(例えばガイドレールなど)とに連結されている。いずれの実施形態においても、コントローラ114により、あるいは他のコントローラなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に応答してアクチュエータを制御してもよい。
エアナイフ3804は、圧縮空気駆動エアナイフ、ブロア駆動エアナイフなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供されてもよく、ワーク面102aに落ちている塵や蒸気粒子を吹き飛ばすか、ワークピース102にくっついた破片又は断片を除去するなどするのに十分な力を有する高圧空気流又はガス流をワーク面102a上に生成するように構成されるノズル3804aを含んでいる。(概して3810で示される)除去された破片又は他の断片は、(例えば、重力、あるいはエアナイフ3804により生成された高圧流など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの影響により)収集3806の中に落ちる。一実施形態においては、求めているように副生成物が除去されたことを確認するために、自動光学検査(AOI)システム(図示せず)を設けてもよい。コントローラ114により、あるいは他のコントローラなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に応答してエアナイフ3804及びオプションのAOIシステムを制御してもよい。
処理されたワークピース102をエアナイフ3804により生成された高圧流にさらした後、このワークピース102を(例えば、材料ハンドリング装置800のような材料ハンドリング装置の格納ベイに、あるいはさらなる処理のためにレーザ処理装置に戻すように、これに類する場所に)移送してもよい。
XI.複数のレーザ源の利用に関する実施形態
あるワークピースは、組成が不均質であるものとして、あるいは、複合材料であるものとして特徴付けることができる。そのようなワークピースの例としては、PCBパネル、PCB、ガラス繊維強化エポキシ積層体、プリプレグ、ビルドアップ材料、FPC、IC、ICP、LED、LEDパッケージなどが挙げられる。時として、そのような不均質又は複合ワークピース(本明細書では包括的に「合成ワークピース」と呼ばれる)は、ワークピース102に照射されるレーザパルスの波長に対して透明ではない構成要素(すなわち、本明細書においては「不透明ワークピース構成要素」と呼ばれる)に加えて、ワークピース102に照射されるレーザパルスの波長に対して透明な1以上の構成要素(すなわち、本明細書においては「透明ワークピース構成要素」と呼ばれる)から形成される。この意味において、ワークピース102の構成要素は、照射レーザパルスの特定の帯域幅の線形吸収スペクトルと、(例えばビーム軸に沿って)その材料を透過する光のパーセンテージが10%よりも高い、25%よりも高い、50%よりも高い、75%よりも高い、80%よりも高い、85%よりも高い、90%よりも高い、95%よりも高い、98%よりも高い、又は99%よりも高くなるような厚さとを有する材料から形成される場合には、透明ワークピース構成要素と考えることができる。
理解できるように、特に照射レーザパルスのパルス持続時間が数十ピコ秒よりも長い場合には、照射レーザパルスの波長に対して透明な材料から形成される構成要素を有する合成ワークピースを効率的に処理することは難しい場合がある。「極短」レーザパルス(すなわち、数十ピコ秒未満のパルス持続時間を有するレーザパルスで、フェムト秒範囲のパルス持続時間を有することが多い)を利用することにより、非線形吸収を介して透明ワークピース構成要素を効果的に処理することができるが、合成ワークピースを処理するために極短レーザパルスを用いることは、それぞれの極短レーザパルスにより除去される材料の量が相対的に少ないので満足なものとは言えない。これらの問題を考慮して、本発明のある実施形態は、(透明ワークピース構成要素及び不透明ワークピース構成要素の双方から構成される)合成ワークピースを処理するために複数のレーザ源を有する装置(本明細書においては「マルチソース装置」と呼ばれる)を提供する。
例えば、図30を参照すると、装置3000のようなマルチソース装置の一実施形態は、第1のレーザ源3002aと第2のレーザ源3002bとを含み得る。一般的に、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bのそれぞれは、ともに、合成ワークピースの不透明ワークピース構成要素を処理するのに十分なレーザエネルギーを生成可能である。加えて、第1のレーザ源3002aは、一般的に、合成ワークピースの透明ワークピース構成要素を処理するのに十分なレーザエネルギーを生成可能でもある。
一般的に、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bのそれぞれは、上記でレーザ源104に関して例示的に述べたように提供され得る。したがって、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bのそれぞれは、パルスレーザ源、CWレーザ源、QCWレーザ源、バーストモードレーザ源など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。第1のレーザ源3002a又は第2のレーザ源3002bのいずれかがQCWレーザ源又はCWレーザ源を含んでいる場合には、そのようなレーザ源は、必要に応じて、QCWレーザ源又はCWレーザ源から出力されるレーザ放射のビームを時間的に変調するパルスゲーティングユニット(例えば、音響光学(AO)変調器(AOM)、ビームチョッパなど)を含み得る。一実施形態においては、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bのそれぞれがパルスレーザ源として提供される。他の実施形態においては、第1のレーザ源3002aがパルスレーザ源として提供され、第2のレーザ源3002bがQCWレーザ源又はCWレーザ源として提供され、QCWレーザ源又はCWレーザ源から出力されるレーザ放射のビームを時間的に変調するパルスゲーティングユニットを含んでいる。
また、合成ワークピースの様々な構成要素の性質や組成によっては、第2のレーザ源3002bが、合成ワークピースの透明ワークピース構成要素を処理するのに十分なレーザエネルギーを生成可能であってもよい。例えば、不透明ワークピース構成要素(例えば樹脂材料)内に埋め込まれた(又はこれに接触する)透明ワークピース構成要素(例えばガラス繊維)を有する合成ワークピース(例えばガラス繊維強化エポキシ積層体)の処理中に、第1のレーザ源3002a又は第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザエネルギーに曝された際に、不透明ワークピース構成要素が直接処理(例えば、溶融、蒸発、アブレート、炭化など)されてもよい。不透明ワークピース構成要素の直接処理中、あるいは不透明ワークピース構成要素の直接処理の結果として、(例えば、透明ワークピース構成要素と不透明ワークピース構成要素との間の光誘起化学反応又は熱誘起化学反応を介して)透明ワークピース構成要素が間接的に処理されてもよい。例えば、透明ワークピース構成要素を傷つけたり、加熱したり、脱色したりしてもよく、(例えば、不透明ワークピース構成要素で、あるいは不透明ワークピース構成要素の残留物などで)コーティングしてもよい。そのような透明ワークピース構成要素の間接処理は、第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザエネルギーの直接的な影響下で後続の処理を容易にし得る。合成ワークピースの様々な構成要素の性質や組成によっては、そのような後続の直接処理が重要になり得る。
一般的に、第1のレーザ源3002aは、第1のパルス持続時間を有するレーザパルスを出力可能であり、第2のレーザ源3002bは、第1のパルス持続時間よりも長い第2のパルス持続時間を有するレーザパルスを出力可能である。例えば、第1のパルス持続時間は500psよりも短くてもよい(例えば、450ps、25ps、15ps、10ps、7ps、5ps、4ps、3ps、2ps、1ps、900fs、850fs、750fs、700fs、500fs、400fs、300fs、200fs、150fs、100fs、50fs、30fs、15fs、10fsなどより短くてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間の値であってもよい)。一実施形態においては、第2のパルス持続時間は500psよりも長いか等しくてもよい(例えば、600ps、700ps、800ps、900ps、1ns、1.5ns、2ns、5ns、10ns、20ns、50ns、100ns、200ns、400ns、800ns、1000ns、2μs、5μs、10μs、50μs、100μs、200μs、300μs、500μs、900μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、300ms、500ms、900ms、1sなどよりも長いか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間の値であってもよい)。他の実施形態においては、第2のレーザ源3002bは、QCWレーザ源又はCWレーザ源として提供され、(例えば、第2のレーザ源3002bがQCWレーザエネルギービーム又はCWレーザエネルギービームを生成できるように)パルスゲーティングユニットを含んでいない。
一般的に、第1のレーザ源3002aは、第1のパルス繰り返し率でレーザパルスを出力可能であり、第2のレーザ源3002bは、第1のパルス繰り返し率よりも高い第1のパルス繰り返し率でレーザパルスを出力可能である。例えば、第2のパルス繰り返し率は、100kHzよりも高いか等しくてもよい(例えば、150kHz、250kHz、500kHz、800kHz、900kHz、1MHz、2MHz、10MHz、20MHz、50MHz、70MHz、100MHz、150MHz、200MHzなどよりも高いか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい)。一実施形態においては、第2のパルス繰り返し率は150MHz(又はその前後)に等しく、第1のパルス繰り返し率は1MHz(又はその前後)に等しい。あるいは、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ3002bが、同一の(又は少なくとも実質的に同一の)パルス繰り返し率でレーザパルスを出力可能であってもよい。
一実施形態においては、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bは、少なくとも実質的に同一の波長及び(FWHMで測定した場合に)少なくとも実質的に同一のスペクトル帯域幅を有するレーザエネルギービームを生成可能である。例えば、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bは、電磁スペクトルの可視光(例えば緑色)域における1以上の波長を有するレーザエネルギービームを生成可能である。他の実施形態においては、第1のレーザ源3002aにより生成されるレーザエネルギーの波長及びスペクトル帯域幅のうちの少なくとも一方が、第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザエネルギーと異なっていてもよい(例えばこれよりも大きいか、小さいか、あるいはこれらを任意に組み合わせてもよい)。
図示はされていないが、装置3000は、第1のレーザ源3002aにより生成され、第1の予備ビーム経路3004aに沿って伝搬するレーザエネルギーを収束、拡大、コリメート、整形、偏光、フィルタ、分割、結合、クロップ、あるいは修正、調整又は方向付けする1以上の光学要素(例えば、ビームエキスパンダ、ビーム整形器、アパーチャ、高調波発生結晶、フィルタ、コリメータ、レンズ、ミラー、偏光器、波長板、回折光学素子、屈折光学素子など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)も含んでいる。同様に、装置3000は、第2のレーザ源3002bにより生成され、第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザエネルギーを収束、拡大、コリメート、整形、偏光、フィルタ、分割、結合、クロップ、あるいは修正、調整又は方向付けする1以上の光学要素を含み得る。
第1の予備ビーム経路3004a及び第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザエネルギーは、任意の好適な方法により空間的に結合されてもよい。例えば、第2の予備ビーム経路3004bを第1の予備ビーム経路3004aに配置されるビームコンバイナ3008に向けるために折り返しミラー3006を設けてもよい。ビームコンバイナ3008を出る際に、レーザエネルギーは、(例えば、図1に示されるビーム経路116に対応する)ビーム経路116cに沿って第1のビーム伝搬システム3010のようなビーム伝搬システムまで伝搬し得る。
一般的に、第1のビーム伝搬システム3010は、上述の第1のポジショナ106、上述の第2のポジショナ108、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなど、上記で例示的に述べられたように提供される1以上のポジショナを含み得る。しかしながら、ある実施例においては、ビームコンバイナ3008が、第1の予備ビーム経路3004a又は第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザエネルギーの偏光状態を変化させてもよい。その結果、ビーム経路116cに沿って伝搬するレーザエネルギーは、複数の偏光状態(例えば、p偏光状態、s偏光状態など、あるいはこれらの値のいずれかの間の状態)により特徴付けることができる。そのような実施例では、第1のビーム伝搬システム3010は、入射したレーザエネルギーの偏光状態に対して比較的反応の良い構成要素(例えば、特定の方位で直線偏光を呈するレーザエネルギーに対して動作上概して反応の良いAODシステム)を含んでいない。むしろ、第1のビーム伝搬システム3010は、ガルバノメータミラーシステム、MEMミラー又はミラーアレイ、FSMなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののように比較的偏光に反応しにくい1以上の構成要素を含んでいる。
図示はされていないが、装置3000は、上述の第3のポジショナ110、スキャンレンズ(例えば上述のスキャンレンズ112)、コントローラ(例えば上述のコントローラ114)、又は装置100又は700に関して先に述べた他の構成要素など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの付加的に含んでいてもよい。
一実施形態においては、コントローラ114は、第1のレーザ源3002aにより生成される1以上のレーザパルスと第2のレーザ源3002bにより生成される1以上のレーザパルスとの間の時間的オフセット(又はそれらの時間的重なり)の設定又は調整を可能とするように第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bの動作を制御する。そのような設定又は調整を容易にするために、一実施形態においては、装置3000は、国際特許出願公開公報第WO2015/108991号において述べられているような1以上の同期装置、発振器などをさらに含み得る。この公開公報はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
他の実施形態においては、コントローラ114は、第1のレーザ源3002aにより生成されるレーザパルスと第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザパルスとの間の時間的オフセット(又はそれらの時間的重なり)の設定又は調整を可能とするように第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bの動作を制御しない。この場合において、装置3000は、国際特許出願公開公報第WO2015/108991号において述べられているような同期装置、発振器などを含んでいない。むしろ、第2のレーザ源3002bによるレーザエネルギー(パルス状又は連続的であり得る)の生成に対する第1のレーザ源3002aにより生成されたレーザパルスの時間的な関係によらず、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bの相対的な動作制御がなされる。したがって、第2のレーザ源3002bがレーザエネルギーを生成するように動作されるか否かにかかわらず、レーザエネルギーを生成するように第1のレーザ源3002aを動作させてもよい。第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bに伝達されるトリガ信号は、任意の好適な又は望ましい方法により互いに同期されていてもよく、あるいは全く同期されていないくてもよい。
上述したように、ビーム経路116cに沿って伝搬するレーザエネルギーは複数の偏光状態を含み得る。第1のビーム伝搬システム3010における構成要素を比較的偏光に反応しないものに制限するのに代えて、ビームコンバイナ3008により伝達されるレーザエネルギーの偏光状態を修正するためにマルチソース装置を設けることができる。例えば、図31を参照すると、装置3100のようなマルチソース装置の一実施形態は、上記で装置3000に関して述べたように提供されてもよいが、ビームコンバイナ3008により伝達されるレーザエネルギーの偏光状態を変えるためにビーム経路116cに配置された波長板3102(例えば半波長板)と、波長板3102により伝搬されたレーザエネルギーの一部をフィルタするための偏光器3104とをさらに含んでいてもよい。偏光器3104により伝達されるレーザエネルギーは、その後、(例えば、図1に示されるビーム経路116に対応する)ビーム経路116dに沿って第1のビーム伝搬システム3010まで伝搬し得る。一実施形態においては、第2のレーザ源3002bに起因するビーム経路116dに沿って伝搬するレーザエネルギービーム内のパワー量に対する第1のレーザ源3002aに起因するビーム経路116dに沿って伝搬するレーザエネルギービーム内のパワー量の比を調整するために、波長板3102及び偏光器3104の一方又は双方を調整する(例えば、ビーム経路116cの軸周りに回転する)ことができる。したがって、ビーム経路116dに沿って伝搬するレーザエネルギーは、第1のレーザ源と第2のレーザ源とにそれぞれ起因するパワーを50:50の混合比、又は他の好適な又は望ましい比(例えば、60:40、70:30、80:20、90:10、10:90、20:80、30:70、40:60など、あるいはこれらの値のいずれの間の値)で含み得る。本実施形態では、上記で装置3000に関して述べたように第1のビーム伝搬システム3010を設けてもよく、あるいは、上記で例示的に述べたようなAODシステムのような1以上の偏光反応の良い構成要素を含むように第1のビーム伝搬システム3010を設けてもよい。
他の実施形態においては、図32を参照すると、装置3200のようなマルチソース装置の一実施形態は、装置3100に関して上記で述べたように提供されてもよいが、(例えばビーム経路116d2を介して)偏光器3104に光学的に連結される第2のビーム伝搬システム3202をさらに含んでいてもよく、第1のビーム伝搬システム3010は、ビーム経路116d1を介して偏光器3104に光学的に連結される。第2のビーム伝搬システム3202は、第1のビーム伝搬システム3010と同じように(あるいは異なるように)構成されていてもよい。図32に示される実施形態においては、ビーム経路116d1及び116d2のそれぞれが、図1に示されるビーム経路116の異なる例に対応する。この実施形態においては、波長板3102及び偏光器3104(ここでは偏光ビームスプリッタキューブとして示されている)は、ビーム経路116d1及び116d2のそれぞれが、第1のレーザ源3002aに起因する光学パワーの半分(又は少なくとも略半分)と、第2のレーザ源3002bに起因する光学パワーの半分(又は少なくとも略半分)とを含むように構成される。偏光ビームスプリッタキューブ3104により伝達されるレーザエネルギーの偏光状態を変えるために、付加的な波長板3204(例えば半波長板)がビーム経路116d1に配置される。
他の実施形態においては、装置3200内で、半波長板3102、偏光器3104及び半波長板3204を省略して、スピニングチョッパミラー、回転多面鏡、共振ガルバノメータミラーシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに置き換えてレーザエネルギーをビーム経路116d1及び116d2に沿って分配してもよい。この場合において、第1のビーム伝搬システム3010及び第2のビーム伝搬システム3202は、偏光に反応しやすい構成要素を含んでいない。
他の実施形態においては、図33を参照すると、装置3300のようなマルチソース装置の一実施形態は、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bによって出力されるレーザパルスを第1のビーム伝搬システム3010に、あるいは第2のビーム伝搬システム3202に、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに様々に方向付けるように構成されるビーム分配器3302を含んでいてもよい。この場合において、ビーム分配器3302は、AOセル3304と、AOセル3304の一方の側に音響的に連結された超音波変換器素子3306と、超音波変換器素子3306の反対側のAOセル3304の他方の側に音響的に連結されたアブソーバ3308とを含んでいてもよい。
図示されるように、第1の予備ビーム経路3004a及び第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザパルスが、AOセル3304内の(例えば、黒い点で示される)ある領域で互いに完全に(あるいは少なくとも実質的に完全に)重なることができるように、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bの位置を合わせてもよい(あるいは1以上の光学要素を設けてもよい)。さらに、AOセル3304内で好適に回折されるのに、あるいは第1のビーム伝搬システム3010又は第2のビーム伝搬システム3202により好適に回折されるのに必要な偏光状態を有するために任意の好適な方法により第1の予備ビーム経路3004a及び第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬されるレーザパルス内の光を生成又は調整することができる。
印加されるRF信号により駆動される際に、超音波変換器素子3306はAOセル3304内で音波を生成し、そこではAOセル3304内で偏向されるレーザパルスのパワーを制御するように(一定のRF周波数を維持しつつ)印加されるRF信号のパワーが変調される。印加されるRF信号がない場合には、AOセル3304内では超音波変換器素子3306により音波が生成されず、第1のレーザ源3002a及び第1のレーザ源3002bにより生成されるレーザパルスがAOセル3304に入射し、AOセル3304を通過して第1のビーム伝搬システム3010及び第2のビーム伝搬システム3202のそれぞれに至ることができる。例えば、超音波変換器素子3306に印加されるRF信号レーザがない場合には、第1の予備ビーム経路3004aに沿って伝搬するレーザパルスは、AOセル3304を通過し、ビーム経路116d1に沿って第1のビーム伝搬システム3010に伝搬し、同様に、第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザパルスは、AOセル3304を通過し、ビーム経路116d2に沿って第2のビーム伝搬システム3202に伝搬する。このように、ビーム経路116d1は、第1のレーザ源3002aのためのゼロ次ビーム経路を構成し、ビーム経路116d2は、第2のレーザ源3002bのためのゼロ次ビーム経路を構成する。
超音波変換器素子3306に第1のパワーレベル(例えば「フルパワーレベル」)を有するRF信号が印加されると、第1の予備ビーム経路3004aに沿って伝搬するレーザパルスのパワーのほとんど(例えば約90%)は、AOセル3304により偏向され、ビーム経路116d2に沿って第2のビーム伝搬システム3202に伝搬し、同様に、第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザパルスのパワーのほとんど(例えば約90%)は、AOセル3304により偏向され、ビーム経路116d1に沿って第1のビーム伝搬システム3010に伝搬する。この場合において、第1の予備ビーム経路3004aに沿って伝搬するレーザパルスのパワーの残留量(例えば約10%)は、AOセル3304を通過して、ビーム経路116d1に沿って第1のビーム伝搬システム3010に伝搬し、同様に、第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザパルスのパワーの残留量(例えば約10%)は、AOセル3304を通過して、ビーム経路116d2に沿って第1の第2の伝搬システム3202に伝搬する。
上記を考慮すると、超音波変換器素子3306がフルパワーで駆動される場合には、第1のレーザ源3002aにより生成されるレーザパルスのパワーの約90%と第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザパルスのパワーの約10%とが第2のビーム伝搬システム3202に伝搬され、第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザパルスの約90%と第1のレーザ源3002aにより生成されるレーザパルスのパワーの約10%とが第1のビーム伝搬システム3010に伝搬されることは理解できよう。任意の単一のレーザ源により生成され、最終的に第1のビーム伝搬システム3010及び第2のビーム伝搬システム3202に伝搬されるレーザパルスのパワー量を、超音波変換器素子3306に印加されるRF信号のパワーを変化させることによりさらに変調することができる。例えば、第1のパワーレベルの50%の第2のパワーレベルを有するRF信号を超音波変換器素子3306に印加すると、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザパルスのパワーの約50%が第1のビーム伝搬システム3010と第2のビーム伝搬システム3202とに伝搬される。フィーチャを形成するためにワークピース102を処理しつつ、印加されるRF信号のパワーレベルを一定にすることができ、あるいは、個々のフィーチャの形成中に印加されるRF信号のパワーレベルを変化させることができる。
マルチソース装置3300は、第1のビーム伝搬システム3010及び第2のビーム伝搬システム3202の双方を含むものとして述べられているが、マルチソース装置3300が、第1のビーム伝搬システム3010のみ、あるいは第2のビーム伝搬システム3202のみを含んでいてもよいことはは理解できよう。そのような場合においては、省略されたビーム伝搬システムをビームダンプに置き換えることができる。
一般的に、第1のレーザ源3002a又は第2のレーザ源3002bから最終的に第1のビーム伝搬システム3010又は第2のビーム伝搬システム3202に伝搬されるレーザパルスのパワー量を変調するために、印加されるRF信号のパワーを変化できる速度(「変調速度」とも呼ばれる)は、50kHz(又はその前後)から10MHz(又はその前後)の範囲にある。一実施形態においては、変調速度は、100kHz(又はその前後)から2MHz(又はその前後)の範囲にある。他の実施形態においては、変調速度は、1MHz(又はその前後)である。このように、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ源3002bにより生成され、最終的に第1のビーム伝搬システム3010又は第2のビーム伝搬システム3202のいずれかに伝搬されるレーザパルスの相対パワーレベルを、超音波変換器素子3306に印加されるRF信号のパワーレベルを単に変調することにより、ワークピース102の処理中に急激に変化させることができる。
例えば、ガラス繊維強化エポキシ積層体材料のような合成ワークピースの上面に設けられた(例えば、形成された、積層されたなど)導電体構造(例えば、銅又は銅合金から構成され得る膜や箔など)を含む多層ワークピースにビア(例えば、非貫通ビア、貫通ビアなど)などのフィーチャを形成するために第1のビーム伝搬システム3010を使用する場合には、第2のレーザ源3002bにより生成されるレーザパルスのパワーの50%超(例えば、55%以上、60%以上、75%以上、80%以上、85%以上など、あるいはこれらの値のいずれかの間の値)を第1のビーム伝搬システム3010に伝搬して合成ワークピースを露出させる開口を導電体内に形成するように、印加されるRF信号のパワーを最初に設定することができる。その後、第1のレーザ源3002aにより生成されるレーザパルスのパワーの50%超(例えば、55%以上、60%以上、75%以上、80%以上、85%以上など、あるいはこれらの値のいずれかの間の値)を第1のビーム伝搬システム3010に伝搬して合成ワークピースにビアを形成するように、印加されるRF信号のパワーを急速に変調することができる。
XII.熱管理に関する実施形態
A.ワークピースの熱管理
時として、ワークピース102のワーク面102aの近傍における周囲環境の温度が、ワークピースの処理中に、照射レーザパルスとワークピースとの間のレーザ材料相互作用の結果として生じる熱により上昇することがある。そのようなことは、PCBパネルのようなワークピースにビアドリル加工のようなレーザプロセスを行う際に起こり得る。温度が十分高くなると、好ましくない程度にワークピースが拡張して、ビアのドリル加工の位置的な正確性と精度を悪化させ得る。ワークピース102にドリル加工されるビアの位置的な正確性と精度を維持することを促進するために、装置100は、必要に応じて、温度制御システムを備えていてもよい。
一実施形態においては、温度制御システムは、コントローラ114の入力に連結される温度センサ120と、温度制御された流体ノズル122とを含んでいる。温度センサ120は、ワーク面102aの近傍の周囲環境(例えば周囲空気)の温度(又は温度を示す特性)を測定するように構成される。温度制御された流体ノズル122は、温度制御されたガス流れ(例えば空気)をワーク面102aの近傍の周囲環境に誘導するように構成される。典型的には、流体ノズル122により誘導されるガス流れの温度は、温度センサ120により測定される温度に比べて比較的低い。このため、ガス流れは、ワーク面102aの近傍の周囲環境から熱を移動させるように(そしてその結果としてワークピースから移動させるように)作用し得る。一実施形態においては、装置100は、米国特許出願公開第2014/0026351号に開示されているような収集ノズルを含んでいてもよい(そして、その中の原動ノズルが温度制御された流体を運んで、本明細書で述べられる温度制御された流体ノズルとして作用する)。
動作中、温度センサ120は、測定される温度(又はその特性)を示す1以上の信号(例えば、「温度信号」)を生成して、これをコントローラ114に出力することができる。コントローラ114は、温度信号を処理して、測定された温度が所定の公称温度プロセスウィンドウ(例えば、±10℃、±5℃、±2℃など)の外部にあるか否かを判断することができる。測定された温度が公称温度プロセスウィンドウの外部にある(例えば、公称温度プロセスウィンドウよりも高い)と判断される場合には、コントローラ114は、ワーク面102aの近傍の周囲環境の温度を公称温度プロセスウィンドウ内に戻すために、測定された温度とは異なる(例えばこれよりも低い)温度を有する流体流れを誘導する1以上の制御信号を生成して温度制御された流体ノズル122に出力することができる。図示された実施形態においては、コントローラ114は、温度センサ120及び流体ノズル122と通信可能に連結されている限りにおいて、温度制御システムの一部であると考えることができる。しかしながら、他の実施形態においては、温度センサ120及び流体ノズル122は、温度制御システムに関連付けられた異なるコントローラ(図示しないが、コントローラ114と同一又は類似の構成を有し、同一又は類似の動作を行う)に連結されていてもよい。温度制御システムは、装置100のオプションの構成要素であるものとして述べられているが、温度制御システムを装置100以外の他の装置(レーザ処理装置又はその他の装置)に組み込むことができることは理解できよう。
B.AOセルの熱管理
上述したように、AOセルの一端(「コネクタ端」とも呼ばれる)に音響的に連結される超音波変換器素子を1以上のRF周波数で駆動することにより、音波が典型的にAOセルに送り出される。上述した構成を有するAOデバイスの例(すなわち、これはAOMやAODなどであり得る)が図34及び図35に示されている。図34及び図35を参照すると、例示的なAOデバイス3400は、AOセル3402と、AOセル3402のコネクタ端に音響的に連結される超音波変換器素子3404と、コネクタ端とは反対側のAOセル3402のアブソーバ端に音響的に連結されるアブソーバ3406とを含んでいる。図34及び図35において、レーザエネルギー3408のビームは、その入力面を介してAOセル3402に入るものとして図示されている。
AOセル3402を伝搬する音波は熱を発生し、この熱はAOセル3402が(例えば、光学的に又は物理的になど)劣化するのを防止するために有利に抽出される。AOセル3402を冷却する一般的な方法は、AOセルの入力面から出力面への光波の伝搬に干渉しない位置で冷却板をAOセル3402に取り付けることである。例えば、図34及び図35を参照すると、第1の冷却板3408をAOセル3402の第1の熱抽出面に熱的に連結し、第2の冷却板3410を第1の熱抽出面とは反対側のAOセル3402の第2の熱抽出面に熱的に連結してもよい。一般的に、第1の熱抽出面及び第2の熱抽出面はAOセル3402の反対側に位置する面(又はファセット)として特徴付けることができ、これらの面は、超音波変換器素子3304又はアブソーバ3406によって覆われていない。また、レーザエネルギービームは、典型的には、第1の熱抽出面及び第2の熱抽出面を通って伝搬しない。
一般的に、AOセル3402は、15mm(又はその前後)から35mm(又はその前後)の範囲の長さ寸法(すなわち、入力面から出力面までを測定したもの)を有し得る。一実施形態においては、AOセル3402の長さは、18mmから30mmの範囲になり得る。他の実施形態においては、AOセル3402の長さは、20mmから30mmの範囲にある。さらに他の実施形態においては、AOセル3402の長さは、22mmから28mmの範囲にある。しかしながら、AOセル3402は、15mmより小さい、あるいは30mmよりも大きな長さを有していてもよいことは理解すべきである。
一般的に、AOセル3402は、15mm(又はその前後)から35mm(又はその前後)の範囲の厚さ寸法(すなわち、第1の熱抽出面から第2の熱抽出面までを測定したもの)を有し得る。一実施形態においては、AOセル3402の厚さは、18mmから30mmの範囲になり得る。他の実施形態においては、AOセル3402の厚さは、20mmから30mmの範囲にある。さらに他の実施形態においては、AOセル3402の厚さは、22mmから28mmの範囲にある。しかしながら、AOセル3402は、15mmより小さい、あるいは30mmよりも大きな厚さを有していてもよいことは理解すべきである。また、AOセル3402の厚さは、AOセル3402の長さより大きくても、等しくても、あるいは小さくてもよいことは理解すべきである。
一般的に、AOセル3402は、15mm(又はその前後)から35mm(又はその前後)の範囲の幅寸法(すなわち、コネクタ端からアブソーバ端までを測定したもの)を有し得る。一実施形態においては、AOセル3402の幅は、18mmから30mmの範囲になり得る。他の実施形態においては、AOセル3402の幅は、20mmから30mmの範囲にある。さらに他の実施形態においては、AOセル3402の幅は、22mmから28mmの範囲にある。しかしながら、AOセル3402は、15mmより小さい、あるいは30mmよりも大きな幅を有していてもよいことは理解すべきである。また、AOセル3402の幅は、AOセル3402の長さ又は厚さのいずれよりも大きくても、等しくても、あるいは小さくてもよいことは理解すべきである。
第1の冷却板3408及び第2の冷却板3410は、概して、そこに形成された1以上のチャネルを流れる水によって冷却される。例えば、図35を参照すると、第1の冷却板3408及び第2の冷却板3410は、それぞれ、そこに形成される冷却チャネル(例えば、チャネルの端部のみが示されているU字形チャネル)を含んでいる。図35においては、端部3502a及び3502bは第1の冷却板3408に形成された冷却チャネルのそれぞれ入力端及び出力端である。同様に、端部3504a及び3504bは第2の冷却板3410に形成された冷却チャネルのそれぞれ入力端及び出力端である。(例えば、AOセル3402から熱を除去するために、冷媒が入力端3502a又は3504aを通って冷却チャネルに入り、出力端3502b又は3504bを通って冷却チャネルから出るように)それぞれの冷却チャネルを通る冷媒(例えば水)の流れを生成するためにポンプ(図示せず)を設けてもよい。
上述したような冷却板は、コネクタ端及びアブソーバ端から除去するのと同じ量の熱をAOセル3402の中心からほぼ除去するように構成されている。しかしながら、AOセル3402のコネクタ端で生じた熱量は、AOセル3402の中心領域に比べて高くなることがあり、AOセル3402のアブソーバ端でさらに高くなることさえあり得る。また、AOセル3402の長さ寸法及び厚さ寸法にわたって熱勾配がより少ない程度で存在し得る。AOセル3402内に十分に大きな熱勾配が存在することにより、好ましくない熱レンズ効果、回折効率の悪化、偏向誤差などが生じ得る。
従来から、AOセル3402を伝搬するレーザエネルギービームをAOセル3402の比較的小さな体積(本明細書において「作業体積」とも呼ばれる)内(例えば、測定される幅寸法が4mmから5mm)に閉じ込めることにより、AOセル3402内の望ましくない程大きな熱勾配に関連する悪影響は最小限にされるか、避けられている。しかしながら、少なくとも幅寸法については、AOセル3402の作業体積を増やすことが好ましい。このため、ある実施形態によれば、AOデバイスは、不均一な熱除去を提供するように構成され、AOセル3402の中心領域から除去される熱がAOセル3402の周縁領域(すなわち、コネクタ端又はその近傍におけるAOセル3402の領域、あるいはアブソーバ端又はその近傍におけるAOセル3402の領域、あるいはこれらを任意に組み合わせた領域)から除去される熱よりも少ない。
ある実施形態においては、第1の冷却板3408又は第2の冷却板3410のような冷却板に代えて、AOセル3402の1以上の周縁領域よりもAOセル3402の中央領域から除去する熱が少なくなるように構成される「不均一」冷却板を設けることにより、不均一な熱除去を実現することができる。
例えば、不均一冷却板は、AOセル3402の中央領域に対応する位置でその熱抽出面(例えば、AOセル3402の第1の熱抽出面又は第2の熱抽出面との熱インタフェイスを形成する面)に形成された1以上の溝やピットなどを備えていることがある。1以上の溝やピットなどがAOセル3402の熱抽出面と熱接触するように配置されている場合には、1以上の溝やピットなどはAOセル3402の中央領域にボイドを形成するのを促進し、これが(すなわち、AOセル3402と不均一冷却板との間の熱インタフェイスに対する)熱伝達に対する障害物として作用する。例えば図36を参照のこと。
他の例では、不均一冷却板は、AOセル3402の中央領域に対応する位置に(例えば、熱抽出面から離間して)その内部に形成された1以上のボイドやチャネルなどを備えていてもよい。1以上のボイドやピットなどがAOセル3402の熱抽出面と熱接触するように配置されている場合には、1以上のボイドやピットなどはAOセル3402の中央領域からの熱伝達に対する障害物として作用する。例えば図36を参照のこと。
他の例では、不均一冷却板は、AOセル3402の中央領域に対応する位置に、その表面に形成された溝とともに、(例えば、熱抽出面から離間して)その内部に形成された1以上のボイドやチャネルなどを備え、AOセル3402からの熱伝達を行う能力を下げたいわゆる「熱チョーク」構造としてもよい。冷却経路管を備えたそのような熱チョーク構造の例が図37に示されている。
さらに他の例では、不均一冷却板は、異なる熱伝達特性を有する複数の材料から構成されていてもよい。例えば、不均一冷却板は、AOセル3402の中央領域に対応する位置では第1の熱伝導率を有する第1の材料から構成され、AOセル3402の周縁領域に対応する1以上の位置では(第1の熱伝導率よりも高い)第2の熱伝導率を有する第2の材料から構成されていてもよい。
さらに他の例では、不均一冷却板は、上述したように形成される1以上の冷却チャネルを含んでいてもよいが、AOセル3402の中央領域に対応する冷却板の領域よりもAOセル3402の周縁領域に対応する冷却板の領域に、より多くの冷却チャネルが位置していてもよい。ある実施例においては、不均一冷却板は、AOセル3402の中央領域に対応する冷却板の領域に冷却チャネルを有していなくてもよい。
さらに他の例では、不均一冷却板は、上述したように形成される1以上の冷却チャネルを含んでいてもよいが、AOセル3402の中央領域に対応する冷却板の領域に位置する1以上の冷却チャネルを流れる冷媒の流量が、AOセル3402の周縁領域に対応する冷却板の領域に位置する1以上の冷却チャネルを流れる冷媒の流量よりも少なくてもよい。
他の例では、不均一冷却板は、AOセル3402の周縁領域に対応する1以上の位置で熱抽出面に熱接触し、AOセル3402の中央領域に対応する位置では熱抽出面に熱接触しないように単に構成されていてもよい。
他の実施形態においては、AOセル3402の周縁領域に対応する領域にのみAOセル3402の熱抽出面と熱接触する冷却板を設けることにより、あるいはAOセル3402の中央領域に対応する位置に熱抽出面と熱接触する加熱部材を設けることにより、あるいはこれらを任意に組み合わせることにより、不均一な熱除去を実現することができる。この実施形態においては、加熱部材は、AOセル3402内での中央領域と周縁領域のうちの1つ以上の領域との間の温度差を減少するようにAOセル3402の中央領域を加熱するように作用する。
XIII.結論
上記は、本発明の実施形態及び例を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態及び例が図面を参照して述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態及び例と他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改良はすべて、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落、例又は実施形態の主題を他の文や段落、例又は実施形態の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。
レーザ源104により出力されるレーザパルスは、10fsから900msの範囲にあるパルス幅又はパルス持続時間(すなわち、時間に対するパルスの光パワーの半値全幅(FWHM)に基づく)を有することができる。しかしながら、パルス持続時間を10fsよりも短くしてもよく、あるいは900msよりも長くしてもよいことは理解できよう。このように、レーザ源104により出力される少なくとも1つのレーザパルスは、10fs、15fs、30fs、50fs、100fs、150fs、200fs、300fs、500fs、700fs、750fs、850fs、900fs、1ps、2ps、3ps、4ps、5ps、7ps、10ps、15ps、25ps、50ps、75ps、100ps、200ps、500ps、1ns、1.5ns、2ns、5ns、10ns、20ns、50ns、100ns、200ns、400ns、800ns、1000ns、2μs、5μs、10μs、50μs、100μs、300μs、500μs、900μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、300ms、500ms、900ms、1sなどよりも長いか等しいパルス持続時間、あるいはこれらの値のいずれかの間のパルス持続時間を有することができる。同様に、レーザ源104により出力される少なくとも1つのレーザパルスは、1s、900ms、500ms、300ms、100ms、50ms、20ms、10ms、5ms、2ms、1ms、300ms、900μs、500μs、300μs、100μs、50μs、10μs、5μs、1μs、800ns、400ns、200ns、100ns、50ns、20ns、10ns、5ns、2ns、1.5ns、1ns、500ps、200ps、100ps、75ps、50ps、25ps、15ps、10ps、7ps、5ps、4ps、3ps、2ps、1ps、900fs、850fs、750fs、700fs、500fs、300fs、200fs、150fs、100fs、50fs、30fs、15fs、10fsなどよりも短いパルス持続時間、あるいはこれらの値のいずれかの間のパルス持続時間を有することができる。一実施形態においては、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、3psから15psの範囲にあるパルス持続時間を有している。他の実施形態においては、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、5psから7psの範囲にあるパルス持続時間を有している。
図25から図28は、形成されるフィーチャの境界2502(本明細書において「フィーチャ境界」とも呼ばれる)が円形であるものとして図示しているが、この境界は任意の好適な又は望ましい形状(例えば、楕円形、正方形、矩形、三角形、六角形、不規則形状など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を有していてもよいことは理解できよう。本明細書で述べる実施形態においては、フィーチャの上部及び底部での境界2502の形状は、同一であるか、類似している(例えば、円形)。他の実施形態(例えば、直接アブレーションにより材料の除去が生じ、材料の処理中に複数のスキャンパターンがスキャンされる実施形態)においては、フィーチャの上部での境界2502は、フィーチャの底部での境界の形状と異なる場合がある。例えば、フィーチャの上部は円形の境界2502を有していてもよく、フィーチャの部は楕円、矩形などの境界を有していてもよい。
一実施形態においては、照射されるレーザパルスビームを用いてワークピース102内又はワークピース102上に複数のフィーチャを逐次的に形成することができる。すなわち、ワークピース102に照射される複数のレーザパルスのビーム軸を移動し、その結果得られる処理スポットを第1のフィーチャが形成されるまで上述したスキャンパターンのいずれか又はその他のスキャンパターン(あるいはそのようなスキャンパターンの第1の組)のような第1のスキャンパターンに沿ってスキャンする。第1のフィーチャが形成された後、ビーム軸をワークピース102の他の領域に移動し、その結果得られる処理スポットを第2のフィーチャが形成されるまで上述したスキャンパターンのいずれか又はその他のスキャンパターン(あるいはそのようなスキャンパターンの第2の組)のような第2のスキャンパターンに沿ってスキャンする。その後、1以上の付加的なフィーチャを同様の方法で順次形成することができる。
エアナイフ3804は、圧縮空気駆動エアナイフ、ブロア駆動エアナイフなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供されてもよく、ワーク面102aに落ちている塵や蒸気粒子を吹き飛ばすか、ワークピース102にくっついた破片又は断片を除去するなどするのに十分な力を有する高圧空気流又はガス流をワーク面102a上に生成するように構成されるノズル3804aを含んでいる。(概して3810で示される)除去された破片又は他の断片は、(例えば、重力、あるいはエアナイフ3804により生成された高圧流など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの影響により)収集ビン3806の中に落ちる。一実施形態においては、求めているように副生成物が除去されたことを確認するために、自動光学検査(AOI)システム(図示せず)を設けてもよい。コントローラ114により、あるいは他のコントローラなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に応答してエアナイフ3804及びオプションのAOIシステムを制御してもよい。
一般的に、第1のレーザ源3002aは、第1のパルス繰り返し率でレーザパルスを出力可能であり、第2のレーザ源3002bは、第1のパルス繰り返し率よりも高い第のパルス繰り返し率でレーザパルスを出力可能である。例えば、第2のパルス繰り返し率は、100kHzよりも高いか等しくてもよい(例えば、150kHz、250kHz、500kHz、800kHz、900kHz、1MHz、2MHz、10MHz、20MHz、50MHz、70MHz、100MHz、150MHz、200MHzなどよりも高いか等しくてもよく、あるいはこれらの値のいずれかの間であってもよい)。一実施形態においては、第2のパルス繰り返し率は150MHz(又はその前後)に等しく、第1のパルス繰り返し率は1MHz(又はその前後)に等しい。あるいは、第1のレーザ源3002a及び第2のレーザ3002bが、同一の(又は少なくとも実質的に同一の)パルス繰り返し率でレーザパルスを出力可能であってもよい。
超音波変換器素子3306に第1のパワーレベル(例えば「フルパワーレベル」)を有するRF信号が印加されると、第1の予備ビーム経路3004aに沿って伝搬するレーザパルスのパワーのほとんど(例えば約90%)は、AOセル3304により偏向され、ビーム経路116d2に沿って第2のビーム伝搬システム3202に伝搬し、同様に、第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザパルスのパワーのほとんど(例えば約90%)は、AOセル3304により偏向され、ビーム経路116d1に沿って第1のビーム伝搬システム3010に伝搬する。この場合において、第1の予備ビーム経路3004aに沿って伝搬するレーザパルスのパワーの残留量(例えば約10%)は、AOセル3304を通過して、ビーム経路116d1に沿って第1のビーム伝搬システム3010に伝搬し、同様に、第2の予備ビーム経路3004bに沿って伝搬するレーザパルスのパワーの残留量(例えば約10%)は、AOセル3304を通過して、ビーム経路116d2に沿って第2の伝搬システム3202に伝搬する。

Claims (14)

  1. ワークピースにビアを形成する方法であって、
    複数のレーザパルスを生成し、
    ワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、
    複数のスキャンラインを含むスキャンパターンを規定するビーム軌跡に沿って前記ワークピースに対して前記ビーム軸をラスタ走査し、
    前記ラスタ走査中に、複数のレーザパルスを前記ワークピースの複数のスポット位置に照射する
    方法。
  2. ワークピースにビアを形成する方法であって、
    複数のレーザパルスを生成し、
    ワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、
    音響光学偏向器(AOD)を含む第1のポジショナを用いて、前記ワークピースに対して前記ビーム軸を相対移動させ、前記第1のポジショナは、第1のスキャニング範囲内で前記相対移動を生じさせるように構成され、前記ビアの最大直径は前記第1のスキャニング範囲以下であり、
    必要に応じて、第2のポジショナを用いて、前記ビーム軸と前記ワークピースとの間に相対移動を生じさせ、前記第2のポジショナは、前記第1のスキャニング範囲よりも大きな第2のスキャニング範囲内で相対移動を行うように構成され、
    前記第1のポジショナを用いて相対移動を生じさせている間に、複数のレーザパルスを前記ワークピースの複数のスポット位置に照射する、
    方法。
  3. 境界によりワークピース内に少なくとも部分的に規定されるフィーチャを前記ワークピース内に形成する方法であって、
    複数のレーザパルスを生成し、
    ワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、前記複数のレーザパルスは、前記ワークピースから材料をアブレートするように構成され、
    複数のスキャンラインを含むスキャンパターンを規定するビーム軌跡に沿って前記ビーム軸と前記ワークピースとの間で相対移動を生じさせ、
    前記相対移動を生じさせている間に、前記複数のスキャンラインのそれぞれのスキャンラインに沿って配置される複数のスポット位置で複数のグループのレーザパルスを前記ワークピースに照射し、
    それぞれのグループのレーザパルスの中で、最後のレーザパルスは、最初のレーザパルスが照射された前記スキャンラインに沿ったスポット位置よりも前記フィーチャの前記境界に近いスキャンラインに沿った終端スポット位置に照射される、
    方法。
  4. ワークピースを処理する方法であって、
    複数のレーザパルスを生成し、
    スキャンレンズを通って延びワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、
    第1のポジショナを用いて、第1のスキャニング範囲内で前記ワークピースに対して前記ビーム軸を移動させ、第1の方向における前記第1のスキャニング範囲の範囲は、第2の方向における前記第1のスキャニング範囲の範囲よりも小さく、
    前記移動を生じさせている間に、前記ワークピースに複数のレーザパルスを照射する、
    方法。
  5. 前記スキャンレンズは、前記複数のレーザパルスの焦点をビームウェストに合わせるように構成され、
    さらに、
    前記ワークピースの位置を検知し、
    前記ワークピースの前記検知された位置の特性に基づいて、AODシステムを用いて、前記ワークピースの位置の調整及び前記ワークピースに照射される前記複数のレーザパルスのうちの少なくとも1つのスポットサイズの調整からなる群から選択される少なくとも1つの動作を行う、
    請求項7の方法。
  6. 複数のレーザエネルギービームを用いてワークピースを処理する装置であって、
    第1のスキャンヘッド、第2のスキャンヘッと、第3のスキャンヘッド及び第4のスキャンヘッドと、
    前記第1のスキャンヘッド及び第3のスキャンヘッドに連結された第1のステージであって、前記第1のスキャンヘッド及び第3のスキャンヘッドに対して第1の移動を生じさせるように構成される第1のステージと、
    前記第1のスキャンヘッド及び第2のスキャンヘッドに連結された第2のステージであって、前記第1のスキャンヘッド及び第2のスキャンヘッドに対して第2の移動を生じさせるように構成される第2のステージと
    を備える装置。
  7. レーザエネルギービームを生成するように構成されるレーザ源と、
    第1のプライマリビーム経路又は第2のプライマリビーム経路に沿って前記レーザエネルギービームを方向付けるように構成されるプライマリ分配器と、
    前記第1のプライマリビーム経路内に配置されるセカンダリ分配器であって、前記第1のプライマリビーム経路に沿って伝搬するレーザパルスを第1のセカンダリビーム経路又は第2のセカンダリビーム経路に方向付けるように構成されるセカンダリ分配器と、
    複数のスキャンヘッドであって、前記複数のスキャンヘッドのうち少なくとも1つのスキャンヘッドが前記第1のセカンダリビーム経路又は第2のセカンダリビーム経路内に配置される複数のスキャンヘッドと
    を備える、装置。
  8. ワークピースをレーザ処理するための装置において使用される光学部品アセンブリであって、
    光入力ポート及び光出力ポートを有するハウジングであって、前記光入力ポート及び前記光出力ポートからなる群から選択される少なくとも1つを用いて前記装置内でのビーム経路の光学的位置合わせを容易にするように構成される少なくとも1つの位置合わせフィーチャを含むハウジングと、
    前記ハウジング内に搭載され、前記光入力ポート及び前記光出力ポートに対して光学的に位置合わせされた少なくとも2つの光学要素と
    を含む、光学部品アセンブリ。
  9. AOセルと、
    前記AOセルのコネクタ端に音響的に連結される超音波変換器と、
    前記AOセルの前記コネクタ端の反対側の前記AOセルのアブソーバ端に音響的に連結されるアブソーバと、
    前記コネクタ端と前記アブソーバ端との間に延びる前記AOセルの面に熱接触する冷却板と
    を備え、
    前記冷却板が、a)前記コネクタ端と前記アブソーバ端とからなる群から選択される少なくとも1つから比較的遠くに位置する前記AOセルの中央領域からより少ない熱を除去し、b)前記コネクタ端と前記アブソーバ端とからなる群から選択される少なくとも1つに比較的近い前記AOセルの周縁領域から比較的多くの熱を除去するように、前記冷却板の熱伝達特性が前記コネクタ端及び前記アブソーバ端から延びる方向に沿って変化する、
    音響光学(AO)デバイス。
  10. 音響光学偏向器(AOD)システムでレーザパルスを受け取り、該受け取ったレーザパルスは、M2ファクター及び空間強度プロファイルの種類を有し、
    前記AODシステムを駆動して前記受け取ったレーザパルスを変調し、前記変調されたレーザパルスがM2ファクター及び空間強度プロファイルの種類を有し、前記変調されたレーザパルスのM2ファクター及び空間強度プロファイルの種類からなる群から選択される少なくとも1つが、前記受け取ったレーザパルスのものと異なり、
    前記変調されたレーザパルスを前記AODシステムから出力する、
    方法。
  11. 9μmから11μmの範囲の波長を有する複数のレーザパルスを生成し、
    ワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、
    前記複数のレーザパルスが複数のスポット位置で前記ワークピースを照射するように音響光学偏向器(AOD)システムを用いて前記ビーム経路を偏向し、前記AODシステムは、ゲルマニウムを含むAOセルを含み、
    前記複数のレーザパルスは、前記複数のスポット位置のうち少なくとも一部で前記ワークピースの少なくとも一部を処理するように構成される、
    方法。
  12. 誘電体構造と熱接触するように配置される導電体構造を有するワークピースにフィーチャを形成する方法であって、
    複数のレーザパルスを生成し、
    前記ワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、
    前記複数のレーザパルスを前記導電体構造に照射し、
    前記複数のレーザパルスは、1μmよりも短い波長を有し、前記導電体構造の少なくとも一部を間接的にアブレートするのに十分な、平均パワー、パルス繰り返し率及びパルス持続時間からなる群より選択される少なくとも1つの特性によりさらに特徴付けられる、
    方法。
  13. 第1の材料層及び第2の材料層を含むワークピースにフィーチャを形成する方法であって、
    複数のレーザパルスを生成し、
    前記ワークピースの表面に対してビーム軸を形成するビーム経路に沿って前記複数のレーザパルスを方向付け、
    前記複数のレーザパルスを前記導電体構造に照射し、
    前記複数のレーザパルスが複数のスポット位置に照射されて前記第1の材料層を間接的にアブレートするように前記ビーム経路を偏向する、
    方法。
  14. ワークピースを処理するための方法であって、
    第1のレーザエネルギービームを生成し、
    第2のレーザエネルギービームを生成し、
    前記第1のレーザエネルギービームを第1のビーム経路に沿って伝搬させ、
    前記第2のレーザエネルギービームを第2のビーム経路に沿って伝搬させ、
    前記第1のビーム経路と前記第2のビーム経路とを組み合わせて、前記ワークピースに対してビーム軸を形成する共通のビーム経路に沿って前記第1のレーザエネルギービーム及び前記第2のレーザエネルギービームを伝搬させ、
    前記ビーム軸に沿って前記第1のレーザエネルギービーム及び前記第2のレーザエネルギービームを照射して前記ワークピースをアブレートし、
    前記第1のレーザエネルギービームは、前記ワークピースの少なくとも一部が透明となる波長を有し、前記ワークピースの前記一部の内部に光の非線形吸収を誘引するように十分に短い第1のパルス持続時間を有する複数のレーザパルスによって特徴付けられ、
    前記第1のレーザエネルギービーム内のレーザパルスが生成されるタイミングは、前記第2のレーザエネルギービームを生成する動作から独立している、
    方法。
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